説明

画像形成装置

【課題】冷却効率がよく、コストを削減することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中空構造48をした軸43を有する駆動フレーム44と、軸43と嵌合して軸43周りに回転する回転体42とを有する駆動機構24を備えた画像形成装置11において、軸43の中空構造48の内面に当接するように、軸43の中空構造48内に冷却部材41を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の、駆動機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の駆動機構を冷却するために、種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、駆動ローラを、貫通孔を有する中空構造とし、軸流ファンによりその一方の軸端部から他方の軸端部に流れる気流を発生して熱を奪い、駆動ローラを冷却する冷却手段を備えた画像形成装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、駆動機構の回転中心軸をヒートパイプで構成し、このヒートパイプが本体外に面したヒートシンクと連結することで、熱を発生する回転中心軸を冷却する冷却部材を備えた現像装置が記載されている。また、前記ヒートパイプを、回転中心軸に設けた中空部に配置する現像装置も記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、軸流ファンの風によって冷却するため、冷却効率が悪くなるという問題があった。
【0006】
特許文献2に記載の現像装置では、ヒートパイプにギヤを嵌合させるためヒートパイプに機械加工が必要であり、コストがかかる。また、ヒートパイプを回転中心軸に設けた中空部に配置するには、回転中心軸を加工して中空部を設ける必要があった。
【0007】
【特許文献1】特開平10−48972号公報
【特許文献2】特開2003−107906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、冷却効率がよく、コストを削減することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、本発明の一側面に係る画像形成装置は、
中空構造をした軸を有する駆動フレームと、前記軸と嵌合して前記軸周りに回転する回転体とを有する駆動機構を備えた画像形成装置において、
前記軸の中空構造の内面に当接するように、前記軸の中空構造内に冷却部材を設けたものである。
【0010】
冷却部材を、軸の中空構造内に設けたので、回転体との摺接により熱を発生する軸を効率よく冷却することができる。
【0011】
具体的な1つの手段として、前記冷却部材の外径と、前記軸の内径とが一致することが好ましい。
【0012】
冷却部材の外径と、軸の内径とが一致することにより、軸の内周面と冷却部材の外周面が当接して、冷却効率を向上することができる。
【0013】
他の手段として、冷却部材の外径が、前記軸の内径よりも小さいことが好ましい。
【0014】
冷却部材の外径を、軸の内径よりも小さくすることで、冷却部材を小型化し、コストを削減することができる。
【0015】
前記冷却部材は、前記軸の中空構造外に突出していることが好ましい。
【0016】
冷却部材が軸の中空構造外に突出しているので、冷却効率を向上することができる。
【0017】
前記冷却部材が、前記軸の中空構造の開放側に設置された放熱部と連結することが好ましい。
【0018】
冷却部材が、前記軸の中空構造の開放側に設置された放熱部と連結することにより、冷却効率を向上することができる。
【0019】
前記冷却部材が、前記軸の突出方向と反対側に設置された放熱部と一体に設けられたことが好ましい。
【0020】
冷却部材を、軸の突出方向と反対側に設置された放熱部と一体に設けることで、部品点数を減らし、コストを削減することができる。
【0021】
前記駆動フレームの前記軸が、金型成型により設けられたことが好ましい。
【0022】
駆動フレームの軸を、金型成型により設けると、肉厚を一定に保つために必然的に軸に中空構造が形成されるので、軸に新たな加工を施す必要が無く、コストを削減することができる。
【0023】
前記冷却部材は、ヒートパイプであることが好ましい。
【0024】
前記冷却部材は、金属性部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
上記画像形成装置によれば、冷却部材を軸の中空構造内に設けたので、回転体との摺接により熱を発生する軸を効率よく冷却することができる。また、冷却部材を軸の中空構造の円面に当接させるだけでよいので、軸や冷却部材に新たな加工を施す必要が無く、コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図1に、本発明の実施形態に係る画像形成装置11を示す。まず、画像形成装置11の概略構成を説明する。画像形成装置11は、画像形成装置本体11aの内部のほぼ中央部に像担持体として中間転写ベルト12を備えている。中間転写ベルト12は、ローラ13a、13bの外周部に支持されて矢印A方向に回転駆動されるようになっている。中間転写ベルト12の下部水平部の下には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色にそれぞれ対応する4つのプリントユニット14Y、14M、14C、14Kが中間転写ベルト12に沿って並んで配置されている。各プリントユニット14Y、14M、14C、14Kは、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K及び現像装置16Y、16M、16C、16Kをそれぞれ有している。各感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの周囲には、中間転写ベルト12を挟んで各感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと対向する1次転写ローラ17Y、17M、17C、17Kがそれぞれ配置されている。現像装置16Y、16M、16C、16Kは、中間転写ベルト12を挟んで上方に配設されたトナーカートリッジ18Y、18M、18C、18Kと、それぞれ連通している。中間転写ベルト12の駆動ローラ13aで支持された部分には、2次転写ローラ19が圧接されており、2次転写ローラ19と中間転写ベルト12とのニップ部が、転写部21になっている。通紙路22aの更に下流には、定着ローラ駆動ユニット24と連結する加圧ローラ25と、加圧ローラ25と対向する定着ローラ26とが配設されており、この圧接部が定着ニップ領域27となっている。
【0028】
画像形成装置11の下部には、第1給紙部28aと第2給紙部28bとが上下に配置されている。各給紙部28a、28b内に積載収容された用紙Sは、最上部のものから1枚ずつ通紙路22bに送り出されることになる。また画像形成装置11の側部には循環路31が設けられている。排紙ローラ32でスイッチバックした片面印刷済みの用紙は、循環路31を介して下方に搬送され、未印刷面が中間転写ベルト12側に向いた状態で通紙路22cを再度上方に搬送されるようになっている。前記循環路31の下方には、手差し給紙装置33が設けられる。手差し給紙装置33と各給紙部28a、28bからの通紙路22bには、図1で代表的に示すように用紙Sを給紙するための給紙ローラ34が配設されている。また35は、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kを画像信号に基づいて露光する露光部35を示す。
【0029】
次に、以上の構成からなる画像形成装置11の概略動作について説明する。画像読取部37で画像を読み取って得られたカラープリントデータ、又はパーソナルコンピュータ等から出力された画像データは、所定の信号処理が施された後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像信号として、露光部35に供給される。各プリントユニット14Y、14M、14C、14Kでは、それぞれの感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に画像信号で変調されたレーザ光が投射されて画像潜像が形成される。各現像装置16Y、16M、16C、16Kで現像された各感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上にはイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー画像が形成される。形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、黒のトナー画像は、1次転写ローラ17Y、17M、17C、17Kの作用により、移動する中間転写ベルト12上に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして中間転写ベルト12上に形成された重ね合わせトナー画像は、中間転写ベルト12の移動にしたがって転写部21に達する。この転写部21において、重ね合わされた各色トナー画像は2次転写ローラ19の作用により、給紙部28a、28b又は手差し給紙装置33から供給された用紙Sに一括して2次転写される。次にトナー画像が2次転写された用紙Sは、定着ニップ領域27に達する。定着ニップ領域27においては、トナー画像は定着ローラ26及び加圧ローラ25の作用により用紙Sに定着される。トナー画像が定着された用紙Sは、排紙ローラ32を介して排紙トレイ38に排出される。
【0030】
次に図2を参照して、駆動機構である定着ローラ駆動ユニット24と、この定着ローラ駆動ユニット24に設ける冷却部材41について説明する。
【0031】
定着ローラ駆動ユニット24は、加圧ローラ25の軸25aと嵌合する回転体であるギヤ42aと、ギヤ42aと噛合するギヤ42bと、ギヤ42bと噛合するギヤ42cと、ギヤ42bとギヤ42cとを嵌合支持する軸43を有する駆動フレーム44と、軸43の突部45と係合して取り付けられ、ギヤ42a、42b、42cを収容するカバー46とからなる。
【0032】
駆動フレーム44は、樹脂製である。また、駆動フレーム44は金型成型により形成されている。
【0033】
駆動フレーム44は、平板状の基部44aと、基部44aの周縁から立ち上がる周壁部44bとからなっている。駆動フレーム44の基部44aに設けられた軸43の外径は、例えば7mmから10mmである。ただし、軸43の強度が確保できる限り寸法は特に限定されず、前記寸法よりも大きい軸も採用し得る。また、軸43には、成型時に肉厚を均一にする必要上、内部に中空構造である空洞部48が設けられている。
【0034】
軸43の空洞部48には、冷却部材41が設けられている。冷却部材41は、例えば銅、アルミ等の金属性部材、またはヒートパイプから構成されている。そして、冷却部材41は円筒形状である。
【0035】
冷却部材41は、空洞部48から突出している。冷却効率を向上するために、例えば冷却部材41の全長の1/3を空洞部48から突出させる構成が好ましい。
【0036】
図3(a)に示すように、冷却部材41は、軸43の空洞部48内に、取付金具51により固定されている。取付金具51は、冷却部材41に溶接などによって固定され、ねじ53を介して駆動フレーム44の基部44aに固定される。
【0037】
ただし、冷却部材41を固定し強度を確保することができる限り、取付金具51は前記形態に限定されず、例えば図3(b)に示すように、1本のねじ53を介して基部44aに固定する構成も採用し得る。
【0038】
また、冷却部材41の外径は、軸43の内径と一致している(図3(a)参照)。ただし、冷却効率を確保することができる限り、例えば図3(b)に示すように、冷却部材41の外径が、軸43の内径よりも小さい構成も採用し得る。
【0039】
次に定着ローラ駆動ユニット24と、この定着ローラ駆動ユニット24を冷却する冷却部材41の作用について説明する。
【0040】
図2に示すように、ギヤ42cは、図示しない駆動ギヤから動力を受けて軸43周りに回転し、ギヤ42bに動力を伝達する。ギヤ42bはギヤ42cから動力を受けて軸43周りに回転し、ギヤ42aに動力を伝達する。ギヤ42aが回転することで、加圧ローラ25に動力が伝達される。
【0041】
ギヤ42bと42cとが、軸43周りに摺接しながら回転すると、軸43に熱が発生する。軸43に発生した熱は、軸43に当接する冷却部材41に吸熱される。吸熱により温度上昇したこの冷却部材41は、空洞部48から突出する突出部41aから前記熱を放熱し、軸43は冷却される。
【0042】
冷却部材41を、軸43の空洞部48内に設けたので、ギヤ42との摺接により熱を発生する軸43を効率よく冷却することができる。
【0043】
冷却部材41の外径と、軸43の内径とが一致することにより、軸43の内周面と冷却部材41の外周面が当接して、冷却効率を向上することができる。
【0044】
冷却部材41の外径を、軸43の内径よりも小さくすることで、冷却部材41を小型化し、コストを削減することができる。
【0045】
駆動フレーム44の軸43を、金型成型により設けると、肉厚を一定に保つために、必然的に軸43に空洞部48が形成されるので、空洞部48を形成する新たな加工の必要が無く、コストを削減することができる。
【0046】
図4に、本発明による第2実施形態の冷却部材41を示す。冷却部材41の、軸43の突部45と反対側、即ち、基部44a側であって空洞部48が開放されている側の端部にはそれぞれ、放熱部56が連結されている。放熱部56として、例えば、金属製からなる放熱フィン、ヒートシンク等、公知の放熱するための部材を採用することができる。
【0047】
放熱フィン57を採用する場合には、図5(a)に示すように、放熱フィン57が冷却部材41の軸に対して垂直に並ぶように設けてもよく、図5(b)に示すように冷却部材41の軸43と平行に並ぶように設けてもよい。放熱フィン57はねじ53を介して駆動フレーム44の基部44aに固定されている。ただし、比熱が大きく、冷却効率が大きいものであれば、前記放熱部材には限定されない。
【0048】
放熱部56を設けることで、冷却部材41の冷却効率を更に向上することができる。ただし、冷却効率を更に向上できる限り、個々の冷却部材41に、それぞれ放熱部56を連結する構成に限定されず、これら複数の放熱部56を一体に設ける構成も採用し得る。
【0049】
また、前記実施形態では、冷却部材41と放熱部56とを別体に構成したが。冷却効率を更に向上できる限り、冷却部材41と放熱部56とを一体に設ける構成も採用し得る。これにより、部品点数を減らし、コストを削減することができる。
【0050】
更に、ファン(図示せず)を設置し、このファンから導かれる風により、放熱フィン57を更に冷却する構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略図。
【図2】本発明の第1実施形態による駆動機構と冷却部材を示す断面図。
【図3】(a)は図2の冷却部材が空洞部に固定されている状態を示す上面図(b)はその変形例を示す上面図。
【図4】本発明の第2実施形態による冷却部材と駆動機構との断面図。
【図5】(a)は図4の冷却部材に冷却フィンを取り付けた状態を示す斜視図(b)はその変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0052】
11 画像形成装置
24 定着ローラ駆動ユニット(駆動機構)
41 冷却部材
42 ギヤ(回転体)
43 軸
44 駆動フレーム
48 空洞部(中空構造)
56 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造をした軸を有する駆動フレームと、前記軸と嵌合して前記軸周りに回転する回転体とを有する駆動機構を備えた画像形成装置において、
前記軸の中空構造の内面に当接するように、前記軸の中空構造内に冷却部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却部材の外径と、前記軸の内径とが一致することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却部材の外径が、前記軸の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却部材は、前記軸の中空構造外に突出していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却部材が、前記軸の中空構造の開放側に設置された放熱部と連結することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記冷却部材が、前記軸の中空構造の開放側に設置された放熱部と一体に設けられたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動フレームの前記軸が、金型成型により設けられたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却部材は、ヒートパイプであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記冷却部材は、金属性部材であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−72295(P2010−72295A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239162(P2008−239162)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】