説明

画像形成装置

【課題】画像読取部と画像形成部との間に設けられたシート排出部に排出される記録シートを容易に取り出すことができ、また、画像読取部が小型化することによって装置全体を小型化することができる。
【解決手段】画像読取部10と画像形成部20との間に、記録シートが積載されるシート排出部40が設けられている。シート排出部40は、画像読取部10と一体となった排紙トレイ41を有しており、画像読取部10が排紙トレイ41によって補強されている。シート排出部40には、記録シートの排出方向の下流側端に、外部に対する開口であるシート取り出し口44が形成されている。シート排出部40のシート取り出し口44に隣接する記録シートの排出方向の下流側端部の上下方向の間隔は、シート取り出し口44側になるにつれて順次広がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部によって読み取られた画像のデータに基づいて記録シート上に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置は、通常、原稿の画像を読み取る画像読取部と、画像読取部によって読み取られた画像のデータに基づいて記録シート上に画像を形成する画像形成部とを備えている。画像形成部では、画像データに対応したトナー画像を記録シート上に転写して、転写されたトナー画像を定着部によって記録シートに熱定着した後に、記録シートを定着部から排紙トレイ上に排出する。このような画像形成装置では、装置全体を小型化して設置スペースを小さくするために、画像形成部の定着部から排出される排紙トレイを、画像読取部と画像形成部との間に設ける構成が実用化されている。このような構成とする場合には、排紙トレイ上に複数枚の記録シートが積載されるように、また、排紙トレイ上に排出された記録シートが容易に取り出されるように、排紙トレイ上に適当な大きさの空間を設ける必要がある。しかし、排紙トレイ上に設けられる空間が大きくなると画像形成装置全体が大型になり、反対に排紙トレイ上の空間が小さくなると、排紙トレイ上に積載された記録シートを容易に取り出すことができなくなるという問題がある。特に、排紙トレイ上の空間が小さくなると、葉書、封筒、A5サイズ等の小サイズの記録シートが排紙トレイ上に排出された場合には、外部から記録シートを目視することが困難になり、記録シートを取り出すことが困難になる。
【0003】
特許文献1には、画像読取部と画像形成部との間に排紙トレイを設けた画像形成装置において、排紙トレイ上に排出された記録シートを冷却するための風等による使用者の不快感を解消するために、排紙トレイを開閉する排紙扉を設ける構成が開示されている。このような構成の画像形成装置では、排紙トレイを開閉する排紙扉が設けられていることによって、排紙トレイ上の記録シートを取り出す際に排紙扉の開閉作業が必要になり、作業性が低下するという問題がある。
【0004】
また、特許文献2には、画像読取部と画像形成部との間に排紙部を設けた画像形成装置において、排紙部の側方に排気口を設けて、排気口が開閉するように画像読取部と画像形成部とを相対移動させることにより、画像読取部が熱の影響を受けることを防止する構成が開示されている。しかしながら、このような構成では、画像読取部と画像形成部とを相対移動させる機構が必要になるために、装置が大型化するという問題がある。
【0005】
特許文献1および2のいずれの構成においても、排紙トレイ上に比較的大きな空間が形成されており、排紙トレイ上に排出された小サイズの記録シートも、比較的容易に取り出すことができる。しかし、このような構成では、装置全体が大型であるという問題がある。
特許文献3には、画像読取部と画像形成部との間に排紙トレイを設けた画像形成装置において、画像形成部に対して画像読取部を開閉可能に支持する構成が開示されている。このような構成の画像形成装置では、画像読取部に対して画像読取部を上方に回動させることによって、排紙トレイの上面が開放された状態になり、排紙トレイ上に排出された記録シートを容易に取り出すことができる。
【特許文献1】特開2008−151885号公報
【特許文献2】特開2008−129497号公報
【特許文献3】特開2008−107573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献3の画像形成装置では、画像読取部を比較的容易に回動操作できる構成になっているものの、排紙トレイ上の記録シートを取り出す際に画像読取部を回動させることは、非常に手間であり、作業性が悪いという問題がある。また、排紙トレイと画像読取部との間に比較的大きな空間が形成されているために装置全体が大型になっており、大きな設置スペースが必要になるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、その目的は、画像読取部と画像形成部との間に設けられた排紙トレイ上の記録シートを容易に取り出すことができ、それでいて、画像読取部が高強度であって装置全体を小型化することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、該画像読取部の下側に設けられており、画像データに基づいて記録シート上にトナー画像を形成する画像形成部と、該画像形成部と前記画像読取部との間に設けられており、該画像形成部から排出される記録シートが積載されるように前記画像読取部とは空間を介して配置された排紙トレイを有するシート排出部と、を備え、該排紙トレイが前記画像読取部を補強するように該画像読取部と一体化されており、前記シート排出部には、前記画像形成部から排出される記録シートの排出方向の下流側端に、該シート排出部の外部に対する開口であるシート取り出し口が設けられており、前記シート排出部における前記記録シートの排出方向の下流側の部分は、上下方向の間隔が下流になるにつれて順次広がっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置では、画像読取部と画像形成部との間に設けられたシート排出部の排紙トレイと画像読取部とが一体化されていることによって、画像読取部が補強されており、画像読取部自体を高強度とすることによって、画像読取部のフレーム等を高強度とするために寸法を大きくしたり、補強部材によって補強する必要がなく、画像読取部が大型化することを防止できる。また、シート排出部における記録シートの排出方向の下流側端に設けられたシート取り出し口が外部に対して開口されていることにより、無駄な空間が形成されず、これによっても、装置全体を小型化することができる。この場合、シート取り出し口も小さくなるが、シート排出部における記録シートの排出方向の下流側の端部の上下方向の間隔が、シート取り出し口側になるにつれて順次広がっているために、シート排出部の内奥側に積載された小サイズの記録シートを外部から容易に視認することができ、記録シートを取り出す際の作業性が向上する。
【0010】
好ましくは、前記シート排出部は、前記排紙トレイにおける記録シートの排出方向と直交する幅方向の両側の各側縁部に沿った状態で上方に延出する側壁を備え、該側壁のそれぞれが前記画像読取部に連結されることにより、前記シート排出部が該画像読取部と一体化されていることを特徴とする。
好ましくは、前記画像読取部は、回動支点を中心として回動し得るように前記画像形成部に取り付けられており、前記排紙トレイは、前記画像読取部が回動されることによって、前記画像形成部の内部を覆った状態と該内部を開放した状態とに開閉自在であることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記排紙トレイには、前記記録シートの排出方向下流側に、下流に行くほど順次下方に傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記シート排出部には、前記排紙トレイの上方の前記空間を規定する上面が設けられており、該上面における前記シート取り出し口よりも前記記録シートの排出方向上流側部分が、上方に逃げるように該排出方向に沿って凹状に湾曲していることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図、図2は、その正面図である。この画像形成装置1は、略正六面体形状をしており、上部に、原稿画像を読み取ることによって原稿画像に対応した画像データを生成する画像読取部10が設けられており、画像読取部10の下側に、公知の電子写真プロセスによって記録シートにトナー画像を形成する画像形成部20が設けられている。画像読取部10と画像形成部20との間には、画像形成部20によってトナー画像が形成された記録シートが排出されるシート排出部40が、画像読取部10と一体的に設けられている。このシート排出部40には、画像形成装置1の正面側壁面1Aに開口するシート取り出し口44が設けられている。
【0013】
画像読取部10は、従来の画像形成装置に設けられる画像読取装置と同様に、原稿の画像を読み取る読取本体部11と、この読取本体部11上に設けられた自動原稿給紙部(ADF: Automatic Document Feeder)12とを備えている。自動原稿給紙部12は、原稿載置台12aに載置された原稿を1枚ずつ読取本体部11に供給する。
図3は、画像読取部10における内部の構成を示す模式図である。読取本体部11は、扁平な長方体形状のハウジング11aを備えており、このハウジング11a内に、線状光源11bおよびイメージセンサ11cが搭載されたキャリッジ11dが設けられている。キャリッジ11dは、ハウジング11a内を、矢印AおよびBで示す方向(副走査方向)に沿ってスライド可能に配置されている。なお、この場合の副走査方向は、画像形成装置1の正面側壁面1Aに沿った方向、すなわち、画像形成装置1の前後方向と直交する左右方向になっている。キャリッジ11dは、副走査方向と直交する方向(主走査方向:画像形成装置1の前後方向)に沿って長く延伸した形状になっており、長手方向の両側の端部が、副走査方向に沿ってハウジング11a内に設けられたガイドレール(図示せず)上にスライド可能に支持されている。キャリッジ11dには、画像読取モーター11fの正回転および逆回転が、ベルト、ワイヤー、プーリ等によって構成された駆動伝達部11gを介して伝達されて、副走査方向に走査されるようになっている。
【0014】
読取本体部11におけるハウジング11aの上面には、主走査方向に沿って長く延びるスリット内に配置されたコンタクトガラス(以下、スリットガラスとする)11hと、プラテンガラス11jとが設けられている。スリットガラス11hは、ハウジング11aのB方向側の側部であって、自動原稿給紙部12にて搬送される原稿Dの画像を読み取る原稿画像読取位置に配置されており、自動原稿給紙部12にて搬送される原稿Dがスリットガラス11h上を通過するようになっている。プラテンガラス11jは、スリットガラス11hに対して矢印Aで示す方向に所定の間隔をあけて配置されており、プラテンガラス11j上には、画像面を下方に向けた状態で原稿が載置されるようになっている。
【0015】
キャリッジ11dに搭載されたイメージセンサ11cは、主走査方向に沿って配置された複数の光電変換素子を有するCCD(Charge Coupled Device)によって構成されている。線状光源11bは、直線状に延びるキセノンランプ、LED等によって構成されており、イメージセンサ11cに平行な状態でキャリッジ11dに搭載されている。線状光源11bは、スリットガラス11h上を通過する原稿またはプラテンガラス11j上に載置された原稿に対して光を照射し、イメージセンサ11cが原稿から反射される光をスリットガラス11hまたはプラテンガラス11jを介して受光する。原稿からの反射光を受光したイメージセンサ11cからは、原稿画像に対応した画像データが出力される。
【0016】
読取本体部11上に設けられた自動原稿給紙部12では、原稿載置台12a上の原稿Dが、ピックアップローラ12bによって1枚ずつ搬送路12cに送り出されるようになっている。搬送路12c内には、ピックアップローラ12bによって送り出される原稿Dをプラテンローラ12eに搬送するレジストローラ12dが設けられている。プラテンローラ12eの上部には、第1搬送ローラ12fが圧接されており、レジストローラ12dにて搬送される原稿Dは、第1搬送ローラ12fとプラテンローラ12eとの間を通過することによって、プラテンローラ12eの外周面に沿って略半周にわたって搬送される。プラテンローラ12eの下部には第2搬送ローラ12gが圧接されており、プラテンローラ12eの外周面の略半周にわたって搬送される原稿Dは、第2搬送ローラ12gとプラテンローラ12eとの間を通過することにより、読取本体部11のスリットガラス11h上を通過して、排紙ローラ対12hへと搬送される。排紙ローラ対12hは、原稿Dを原稿排出トレイ12j(図1および図2参照)上に排出する。
【0017】
なお、自動原稿給紙部12は、正面側部分が上方に回動することによって読取本体部11におけるハウジング11aの上面を開放するように、読取本体部11に対して回動可能に取り付けられており、読取本体部11の上面が開放されることによって、読取本体部11のプラテンガラス11j上に原稿がセットされる。
図4は、画像形成装置1における画像形成部20の前後方向に沿った断面の模式図である。画像形成部20には、画像形成装置1における正面側壁面1Aと背面側壁面1Bとのほぼ中央位置に感光体ドラム21が設けられており、この感光体ドラム21に対して正面側にロータリー式の現像部22が配置されている。また、画像形成部20の内部には、感光体ドラム21および現像部22の上方から感光体ドラム21の背面側の側方にかけて周回移動する中間転写ベルト23が傾斜した状態で配置されている。中間転写ベルト23の背面側の端部には、2次転写ローラ27が対向状態で配置されている。中間転写ベルト23と感光体ドラム21とは一体的にユニット化されており、画像形成部20に対して着脱可能になっている。現像部22の下側には、画像データに対応したレーザ光を感光体ドラム21に照射する露光走査部24が現像部22に近接して配置されている。
【0018】
露光走査部24の下方には記録シートが積載される給紙台25が設けられている。給紙台25は、給紙台25上に積載された記録シートを給紙ローラ26に押し付けるように付勢されており、給紙ローラ26に押し付けられた記録シートが、給紙ローラ26によって上方に向って繰り出される。画像形成装置1の正面側壁面1Aには、画像形成部20の内部における給紙台25の上方の空間を外部に開放する給紙台カバー20aが開閉可能に設けられている。給紙台カバー20aは、正面側壁面1Aに沿った垂直状態から外側の下方に向って回動することにより、同図の二点鎖線の位置まで移動して、給紙台25の上方の空間を外部に開放し、給紙台カバー20aの上面が、給紙台25の上面と略同一面上に位置される。このような状態では、給紙台カバー20aの上面から給紙台25の上面にわたって、例えばA4サイズの記録シートを縦方向(長手方向)が給紙方向となるように積載することができる。
【0019】
感光体ドラム21は、図4に矢印Cで示す方向に回転するようになっており、その表面が、感光体ドラム21の下部に近接して配置された帯電ローラ(図示せず)によって一様な電位に帯電された後に、露光走査部24から射出されるレーザ光によって露光走査される。これにより、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像は、ロータリー式の現像部22により、所定の色のトナーによって現像される。
【0020】
現像部22には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナーによって感光体ドラム21上の静電潜像を現像する現像ユニット22Y、22M、22C、22Kが設けられており、これら現像ユニット22Y、22M、22C、22Kが、回転可能になった回転ラック内に着脱可能な状態で保持されている。各現像ユニット22Y、22M、22C、22Kは、回転ラックの回転によって、感光体ドラム21に対向する位置に順次移動され、感光体ドラム21に対向した各現像ユニット22Y、22M、22C、22Kによって、感光体ドラム21上に順次形成される静電潜像が、Y、M、C、Kの各色のトナーによって現像される。
【0021】
感光体ドラム21上のトナー画像は、矢印Dで示す方向に周回移動する中間転写ベルト23上に転写される。Y、M、C、Kの各色のトナーによってカラー画像を形成する場合には、例えば、Y色に対応した感光体ドラム21上の静電潜像の形成と、現像ユニット22Yによる静電潜像の現像とが順番に行われて、中間転写ベルト23上にY色のトナー画像が転写された後に、M色に対応した感光体ドラム21上の静電潜像の形成と、現像ユニット22Mによる現像とが順番に行われて、Y色のトナー画像が転写された中間転写ベルト23上の領域に重ねてM色のトナー画像が転写される。以後、同様にして、感光体ドラム21上にC色のトナー画像が形成されて、Y色およびM色のトナー画像が転写された中間転写ベルト23上の領域に重ねて転写されると、感光体ドラム21上にK色のトナー画像が形成されて、Y色、M色、C色のトナー画像が転写された中間転写ベルト23上の領域に重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト23における所定の領域上にフルカラーのトナー画像が形成される。
【0022】
給紙台25上にセットされた記録シートは、給紙ローラ26によって1枚ずつ繰り出されて、中間転写ベルト23における背面側端に対向して配置された2次転写ローラ27と中間転写ベルト23との間に搬送され、中間転写ベルト23上に転写されたトナー画像が2次転写ローラ27によって記録シートに2次転写される。トナー画像が転写された記録シートは、2次転写ローラ27の上方に配置された定着部28に搬送されて、定着部28において記録シートに転写されたトナー画像が熱定着される。
【0023】
定着部28は、例えば、相互に圧接された加熱ローラ28aと加圧ローラ28bとを備えており、加熱ローラ28aと加圧ローラ28bとの間を記録シートが上方に向って通過することにより、トナー画像が記録シートに熱定着される。加熱ローラ28aと加圧ローラ28bとの間を通過した記録シートは、画像形成装置1の正面側の上方に向って搬送される。定着部28の上部には、トナー画像が定着された記録シートを画像形成装置1の正面側に向って排出する排紙ローラ28cが設けられおり、この排紙ローラ28cよりも画像形成装置1の正面側部分に、画像読取部10と一体になったシート排出部40が設けられている。なお、画像形成部20の背面側の側部には、画像形成部20の各部を制御するコントローラ29が設けられている。
【0024】
図5は、画像読取部10および画像形成部20の上部における前後方向に沿った断面図である。この断面図では、画像読取部10における読取本体部11のハウジング11a内の構成については省略している。読取本体部11におけるハウジング11aの正面側部分は、左右方向の全域にわたって自動原稿給紙部12によって覆われないように構成されており、このハウジング11aにおける正面側の内部に操作パネル30(図1および図2参照)が設けられている。操作パネル30には、文字、数字等の入力のための複数のキーが設けられたキー入力部31と、指示メニュー、取得した画像に関する情報等が表示される表示部32とが、ハウジング11aの上面から露出するように設けられている。表示部32は、例えば液晶パネルによって構成されている。操作パネル30が設けられたハウジング11aの正面側部分は、正面側になるにつれて順次下方に位置するように緩やかに傾斜している。
【0025】
シート排出部40は、定着部28の前面から画像形成装置1の正面側に開口するシート取り出し口44までの全域にわたって排紙ローラ28cよりも下方に位置するように設けられた排紙トレイ41と、排紙トレイ41の左右のそれぞれ側縁部に沿って、垂直状態で上方に延出するように排紙トレイ41と一体化された排出部側壁42とを備えている。各排出部側壁42の上端部は、画像読取部10における読取本体部11のハウジング11aの底面に取り付けられており、従って、シート排出部40は、画像読取部10と一体的に構成されている。定着部28からの記録シートの排出方向側の端部に設けられたシート取り出し口44のみが外部に対して開口する唯一の開口部になっている。画像読取部10は、シート排出部40を構成する各排出部側壁42と排紙トレイ41とによって補強された状態になっている。排紙トレイ41とハウジング10aの底面との間には空間が形成されており、定着部28の排紙ローラ28cによって排出される記録シートは、排紙トレイ41上の空間内に排出されて排紙トレイ41上に積載される。
【0026】
排紙トレイ41は、画像形成部20における定着部28よりも正面側に位置する装置内部を覆っており、定着部28側(記録シートの排出方向上流側)に設けられた第1傾斜部41aと、シート取り出し口44側(記録シートの排出方向下流側)に設けられた第2傾斜部41bとを備えている。第1傾斜部41aは、定着部28の前面から水平方向に対して10°程度の角度で上方に向って傾斜しており、第2傾斜部41bは、第1傾斜部41aに対して水平方向に対して25°程度の角度でシート取り出し口44側の下方に向って傾斜している。第2傾斜部41bは、排紙トレイ41の前後方向の中程よりも若干正面側に配置されており、シート取り出し口44側に突出するように記録シートの排出方向に沿って湾曲している。排紙トレイ41の幅方向(記録シートの排出方向とは直交する方向)の寸法は、記録シートの排出方向の全域にわたって一定になっており、シート排出部40は、排紙トレイ41と、画像読取部10におけるハウジング11aの底面と、両側の排出部側壁42とによって、定着部28の前面からシート取り出し口44までの全域にわたって、断面長方形状の管状に形成されている。
【0027】
シート排出部40の上面を構成するハウジング11aの底面は、排紙トレイ41とは空間を介して対向しており、この底面には、シート取り出し口44側の端部に隣接して、記録シートの排出方向に沿って凹状に湾曲した湾曲部11eが形成されている。湾曲部11eにおける正面側部分の上方には、前述した操作パネル30が設けられている。湾曲部11eに対してシート取り出し口44側に連続するハウジング11aの底面は、水平に対して正面側の上方に向って若干傾斜した傾斜面11fになっている。従って、シート排出部40における記録シートの排出方向の下流側の端部は、記録シートの排出方向下流側(正面側)になるにつれて、上下方向の間隔が順次広がっている。シート取り出し口44における上下方向の間隔は80mm程度になっている。
【0028】
排紙トレイ41の第2傾斜部41bにおける幅方向の中央部には、シート取り出し台41cが設けられている。シート取り出し台41cの上面は、第1傾斜部41aの上面と同一面上に位置するように傾斜しており、シート取り出し台41cの前面は、第2傾斜部41bにおけるシート排出方向の中程に位置している。シート取り出し台41cの上面には、シート積載補助板41dが、シート取り出し台41cの上面に沿って前方へスライドし得るように設けられている。このシート積載補助板41dは、シート取り出し口44よりも前方にスライドされることによって、長手方向(縦方向)に沿って排出されるA4サイズの記録シートをシート取り出し口44から落下することなく積載することができる。
【0029】
画像読取部10は、正面側部分がシート排出部40とともに上方に回動するように、画像読取部10の背面側部分が、画像形成部20の背面側部分に対して支持ピン51によって回動可能に取り付けられている。画像読取部10は、例えば、画像形成部20の両側の側面カバーに沿ってそれぞれが垂直状態で設けられた側板(図示せず)の背面側部分と、画像読取部10におけるハウジング11aの底面の両側にそれぞれ設けられた取付部(図示せず)との両方にわたって各支持ピン51が挿入されることによって、画像形成部20に対して回動可能に取り付けられており、各支持ピン51の軸心位置が画像読取部10の回動支点になっている。回動支点は、定着部28の排紙ローラ28cよりも下方に位置する排紙トレイ41が、排紙ローラ28cおよび定着部28の上部に接触することなく円滑に上方に回動するように、定着部28よりも後方(背面側)であって、画像形成装置1の背面側側壁部1B、すなわち、画像読取部10の背面よりも前方に位置しており、しかも、下方に回動された排紙トレイ41よりも上方であって画像読取部10よりも下方に位置している。
【0030】
画像読取部10が、それぞれの支持ピン51を回動支点として画像読取部10の正面側部分が上方へと回動されると、図6に示すように、シート排出部40も画像読取部10と一体となって上方に回動され、画像形成部20の内部が開放状態とされる。この場合、定着部28の上面も、排紙トレイ41とともに一体的に上方に回動されて、定着部28の内部が開放される。画像読取部10の上方への回動により画像形成部20の内部が開放した状態になると、画像読取部10は、一対の支持ロッド52によって安定的に保持される。各支持ロッド52は、画像形成部20の左右の両側に下端部がそれぞれ回動可能に支持されて、上端部が画像読取部10の左右の両側に前後方向へのスライド可能に取り付けられている。画像読取部10が上方の回動位置になると、画像形成部20におけるユニット化された感光体ドラム21および中間転写ベルト23を一体となって上方に引き出すことができる。各支持ロッド52の上端部は、画像読取部10が下方に回動されることによって、それぞれが前方にスライドされ、画像形成部20における左右の各側縁部における上部に設けられた各支持ロッド収容部20z内に収容される。
【0031】
なお、図1および図2に示すように、画像形成部20における正面側壁面1Aには、給紙台カバー20aの上方位置において、正面側壁面1Aに沿った垂直状態から外側の下方に向って回動する開閉カバー20bが設けられている。この開閉カバー20bが外側の下方に向って回動されることによって画像形成部20の内部が開放され、画像形成部20の内部に設けられた現像部22の各現像ユニット22Y、22M、22C、22Kを回転ラックから取り外して外部に取り出すことができる。
【0032】
このような構成の画像形成装置1では、画像形成部20によってトナー画像が定着された記録シートが、定着部28の排紙ローラ28cによって、定着部28から斜め上方に向って排出されて、シート排出部40における排紙トレイ41上に積載される。記録シートが、A5サイズ程度の大きさの場合には、排紙トレイ41における定着部28に近接した第1傾斜部41a上に積載される。この場合、シート取り出し口44側の端部が、シート取り出し口44側になるにつれて上下方向に順次広がっているために、シート排出部40の第1傾斜部41a上に積載された記録シートを容易に視認することができる。しかも、シート取り出し口44の定着部28側(シート排出方向上流側)におけるハウジング11aの底面に湾曲部11eが形成されているために、排紙トレイ41上のシート取り出し口44側の空間が湾曲部11eによって広くなっており、この湾曲部11eを利用して第1傾斜部41a上に積載された記録シートを容易に取り出すことができる。
【0033】
なお、記録シートがA4サイズ程度の大きなサイズの場合には、シート積載補助板41dを予めシート取り出し口44の外側に向ってスライドさせておくことにより、そのシート積載補助板41d上に積載される。従って、A4サイズ程度の記録シートは、シート取り出し口44から落下することなくシート積載補助板41dに積載される。
なお、ユニット化された感光体ドラム21および中間転写ベルト23を交換する場合、画像形成部20において紙詰まりが生じた場合等には、画像読取部10は、定着部28の後方における所定位置に設けられた支持ピン51を回動支点として上方に回動される。これにより、シート排出部40も一体となって上方に回動され、画像読取部10およびシート排出部40は、一対の支持ロッド52によって、シート取り出し口44が斜め上方を向いた傾斜状態で保持されて、画像形成部20の内部における定着部28よりも前方部分が開放される。これにより、画像形成部20の内部のユニット化された感光体ドラム21および中間転写ベルト23を容易に引き出すことができる。この場合、シート取り出し口44が斜め上方に向っているために、排紙トレイ41上に記録シートが残っている場合には、シート取り出し口44を介して容易に視認することができ、シート取り出し口44を介して容易に取り出すことができる。
【0034】
なお、上記の実施形態では、排紙トレイ41は、定着部28の前面からシート取り出し口44までの全体にわたって一定の幅方向寸法に形成されているが、このような構成に限らず、図7に示すように、第1傾斜部41aを一定の幅方向寸法に形成し、第2傾斜部41bの幅方向寸法を、正面側になるにつれて順次大きくなるように形成してもよい。この場合には、排紙トレイ41の両側のそれぞれの側縁に沿った状態で各排出部側壁42が設けられる。このような構成により、シート排出部40におけるシート取り出し口44側の内部の空間が、シート取り出し口44側になるにつれて左右方向に広がるために、第1傾斜部41a上に積載された記録シートをさらに容易に視認することができ、しかも、容易に取り出すことができる。
【0035】
また、上記実施の形態では、画像読取装置が設けられた画像形成装置としてMFPについて説明したが、これに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、画像読取部と画像形成部との間に、画像形成部から排出される記録シートが積載されるシート排出部が設けられた構成において、装置全体を小型化することができ、しかも、シート排出部に排出された記録シートを取り出す際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例であるMFPの斜視図である。
【図2】そのMFPの正面図である。
【図3】そのMFPに設けられた画像読取部における内部の構成を示す模式図である。
【図4】そのMFPの前後方向の断面における模式図である
【図5】その画像読取部の前後方向の断面における模式図である。
【図6】そのMFPの動作説明のための斜視図である。
【図7】本発明に係る画像読取装置に係る他の例における排紙トレイの平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 画像形成装置
1A 正面側壁面
1B 背面側壁面
10 画像読取部
11 読取本体部
11a ハウジング
11e 湾曲部
20 画像形成本体部
28 定着部
28c 排紙ローラ
40 シート排出部
41 排紙トレイ
41a 第1傾斜部
41b 第2傾斜部
42 排出部側壁
44 シート取り出し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
該画像読取部の下側に設けられており、画像データに基づいて記録シート上にトナー画像を形成する画像形成部と、
該画像形成部と前記画像読取部との間に設けられており、該画像形成部から排出される記録シートが積載されるように前記画像読取部とは空間を介して配置された排紙トレイを有するシート排出部と、を備え、
該排紙トレイが前記画像読取部を補強するように該画像読取部と一体化されており、
前記シート排出部には、前記画像形成部から排出される記録シートの排出方向の下流側端に、該シート排出部の外部に対する開口であるシート取り出し口が設けられており、
前記シート排出部における前記記録シートの排出方向の下流側部分は、上下方向の間隔が下流になるにつれて順次広がっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート排出部は、前記排紙トレイにおける記録シートの排出方向と直交する幅方向の両側の各側縁部に沿った状態で上方に延出する側壁を備え、該側壁のそれぞれが前記画像読取部に連結されることにより、前記シート排出部が該画像読取部と一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像読取部は、回動支点を中心として回動し得るように前記画像形成部に取り付けられており、
前記排紙トレイは、前記画像読取部が回動されることによって、前記画像形成部の内部を覆った状態と該内部を開放した状態とに開閉自在であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排紙トレイには、前記記録シートの排出方向下流側に、下流に行くほど順次下方に傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート排出部には、前記排紙トレイの上方の前記空間を規定する上面が設けられており、該上面における前記シート取り出し口よりも前記記録シートの排出方向上流側部分が、上方に逃げるように該排出方向に沿って凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−74413(P2010−74413A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238399(P2008−238399)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】