説明

画像形成装置

【課題】搬送部材による記録用紙の搬送により当該記録用紙に複数の画像を重ねて転写するときに記録用紙上で発生する画像間の経時的に変化する記録用紙上で発生する画像間の転写位置ずれを確実に補正する。
【解決手段】画像位置検出用パターンを搬送ベルト150上に形成し、濃度センサ155で検出し、色ずれを判定し、光ビーム出力タイミング補正データを生成する。第2の補正データに基づき、光ビームタイミング補正データを補填する。第3の補正データに基づき、光ビームタイミング補正データを補填する。上記制御により、フィードバック補正制御を変更することなく、搬送ベルト150と用紙Pとの相対位置ずれに起因する用紙P上での色ずれを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、プリンタや複写機等の画像形成装置において、カラーの画像を形成する装置が広く普及している。この種の画像形成装置では、例えば、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色毎のトナーを用いて現像するために設けられたそれぞれ画像形成部が、用紙搬送ベルトによる記録用紙等の転写対象の移動方向に沿って配列されたものがある(用紙搬送方式タンデム型画像形成装置)。なお、用紙搬送方式に対比する構造のタンデム型画像形成装置として、中間転写体方式がある。
【0003】
前記用紙搬送方式タンデム型画像形成装置では、各画像形成部での画像データに基づいて光ビームの照射による画素パターンにより感光体ドラム上に静電潜像を形成し(主走査及び副走査)、現像処理によって色の異なる画像(トナー画像)に現像し、このトナー画像を、定速で搬送される記録用紙等の転写対象に順次重ねて転写することで、カラー画像を得るようになっている。
【0004】
特許文献1では、定期的又は不定期に実行される画像の位置ずれ調整(必要に応じて、「レジコン(レジストレーションコントロール)」という)の実行時に、用紙搬送ベルト上にトナー像を転写し、このトナー像を濃度センサ等で読み取ったタイミングから、画像データの出力タイミング(水平同期、垂直同期)を制御し、位置ずれを補正することが開示されている。また、この特許文献1には、具体的な手段が記載されていないものの、上記レジコンの補正結果に対して、記録用紙への転写(印字)時のずれ分をオフセットする概念が記載されている。
【特許文献1】特開平8−006345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、搬送部材による記録用紙の搬送により当該記録用紙に複数の画像を重ねて転写するときに記録用紙上で発生する画像間の経時的に変化する記録用紙上で発生する画像間の転写位置ずれを確実に補正することができる画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像データに基づいて走査光を出力する光走査部から出力された走査光に基づいて像保持体に像を形成する複数の画像形成手段を備え、搬送部材を用いて記録用紙を前記画像形成手段の転写部へ順次搬送することで、複数の画像形成部で形成された画像を互いに重ね合わせ、単一の画像を形成する画像形成手段と、前記搬送部材に、各像保持体から基準画像を形成し、当該それぞれの基準画像が形成された相対位置に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第1の補正手段と、前記像保持体から前記記録用紙までの画像の転写に起因する相対的な位置ずれに基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第2の補正手段と、前記第1の補正手段による補正量を、前記第2の補正手段による補正量に基づいて補填する第1の補正量補填手段と、を有している。
【0007】
請求項2に記載の発明は、画像データに基づいて走査光を出力する光走査部から出力された走査光に基づいて像保持体に像を形成する複数の画像形成手段を備え、搬送部材を用いて記録用紙を前記画像形成手段の転写部へ順次搬送することで、複数の画像形成部で形成された画像を互いに重ね合わせ、単一の画像を形成する画像形成手段と、前記搬送部材に、各像保持体から基準画像を形成し、当該それぞれの基準画像が形成された相対位置に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第1の補正手段と、前記記録用紙の状態に基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第3の補正手段と、前記第1の補正手段による補正量を、前記第3の補正手段による補正量に基づいて補填する第2の補正量補填手段と、を有している。
【0008】
請求項3に記載の発明は、画像データに基づいて走査光を出力する光走査部から出力された走査光に基づいて像保持体に像を形成する複数の画像形成手段を備え、搬送部材を用いて記録用紙を前記画像形成手段の転写部へ順次搬送することで、複数の画像形成部で形成された画像を互いに重ね合わせ、単一の画像を形成する画像形成手段と、前記搬送部材に、各像保持体から基準画像を形成し、当該それぞれの基準画像が形成された相対位置にも基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第1の補正手段と、前記像保持体から前記記録用紙までの画像の転写に起因する相対的な位置ずれに基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第2の補正手段と、前記記録用紙の状態に基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第3の補正手段と、前記第1の補正手段による補正量を、前記第2の補正手段及び第3の補正手段による補正量に基づいて補填する第3の補正量補填手段と、を有している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜請求項3記載の発明によれば、搬送部材による記録用紙の搬送により当該記録用紙に複数の画像を重ねて転写するときに記録用紙上で発生する画像間の経時的に変化する記録用紙上で発生する画像間の転写位置ずれを確実に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置110の構成を示す図である。
【0011】
画像形成装置110は、4色のトナー(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))によるフルカラー画像形成を行うプロセスカートリッジ120を各色に対応して上下方向に4つ配列している。
【0012】
各トナーY、M、C、Kは、特に製造方法により限定されるものではなく、各種のトナーが使用可能である。
【0013】
ここで、プロセスカートリッジ120は、感光体ドラム116と、感光体ドラム116の周囲に配設された帯電ロール118、イレーズランプ122、及び感光体ドラム116に作像される静電潜像に対して、各色のトナーの現像を行う現像装置111A、111B、111C、111Dなどで構成されている。
【0014】
一方、画像形成装置110の下部には、用紙Pが収納された給紙カセット124が設けられている。給紙カセット124の近傍には、用紙Pを所定のタイミングで送り出すピックアップロール126が設けられている。
【0015】
ピックアップロール126は、給紙カセット124から用紙Pを送り出し、搬送ロール128、用紙搬送路132及びレジストレーションロール130を介して、用紙Pをプロセスカートリッジ120に搬送する搬送装置144へ搬送する。
【0016】
プロセスカートリッジ120は、用紙搬送路132の上流側(紙面の下側)から前述のY、M、C、Kの色の順に配設されている。プロセスカートリッジ120の図1の左側には、プロセスカートリッジ120に走査光を照射する光走査装置20が配設されている。
【0017】
光走査装置20は筐体20Aに覆われており、Y〜K4色それぞれのモノシリックな半導体レーザー(面発光レーザー)から発せられた光ビームをコリメータレンズ、シリンドリカルレンズで集光し、ポリゴンミラー23で主走査方向に偏向(走査)して、fθレンズに入射し、2色ずつ副走査方向に分割されるようになっている。
【0018】
fθレンズを出射した光ビームは、複数の反射ミラー25により、最終的に1色ずつ副走査方向に分割されて、各感光体ドラム116へ結像する。
【0019】
搬送装置144は、画像形成装置110の側壁110Aに沿って設けられた一対の張架ロール146、148と、この張架ロール146、148に巻き掛けられた搬送ベルト150と、を備えている。
【0020】
張架ロール146の近傍には、吸着ロール154が配設されており、この吸着ロール154にバイアス電圧が印加されることによって、搬送ベルト150に用紙Pが静電的に吸着される。張架ロール148は、図示しないモータによって回転され、搬送ベルト150を側壁110Aに沿って移動させる。搬送ベルト150を挟んで張架ロール148に対向する位置に、基準パッチの濃度を検出する濃度センサ155(画像位置検出器)が設けられている。
【0021】
搬送ベルト150の内周側であって各色の感光体ドラム116に対向する位置には、それぞれ転写ロール152が配設されている。各々の転写ロール152は、感光体ドラム116上に形成されたトナー像Y、M、C、Kを、搬送ベルト150によって搬送されている用紙Pに順次転写する。
【0022】
そして、定着装置156は、用紙Pに転写されたトナー像を定着する。排出ロール158は、トナー像が定着された用紙Pを排出トレイ160へ排出する。
【0023】
また、制御ユニット166は、本装置全体の制御を行うものであり、例えば外部から入力された画像データや濃度センサ155の出力に基づいて、露光装置134や現像装置111を制御する。
【0024】
また、図4に示される如く、各々の転写ロール152は、感光体ドラム116上に形成された画像位置検出用パターン(基準パッチ)GPBのトナー像Y、M、C、Kを、搬送ベルト150に順次転写する。ここで、画像位置検出用パターンGPBは、現像装置111内のトナー濃度と基準パッチ位置を測定するために用いられる。具体的には、濃度センサ155で検出される画像位置検出用パターンGPBの濃度に応じて、現像装置111へのトナーの補給や露光量等の画像形成条件が制御される。また、画像位置検出用パターンGPBの位置は、各画像位置検出用パターンGPBが濃度センサ155を通過するタイミングを測定し、ずれ量が検出される。測定されたずれ量に応じて、画像形成開始タイミング補正量や、主走査方向倍率ずれの補正量が決定される。
【0025】
上記の如く構成される、所謂タンデム方式の画像形成装置110では、運搬・設置時の振動や、給紙トレイの開け閉め、あるいは温度変化や経年変化等、種々の要因によって、各画像形成部そのものの位置や、各画像形成部を構成する感光体ドラム116や光走査装置20等に位置的な変動が生じ、画像の位置ずれ(カラーレジずれともいう。)が発生する場合がある。表1にその一例を示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1に示されるような、種々の原因によって、主走査方向及び副走査方向の位置、主走査方向の倍率、主走査方向の部分倍率、副走査方向の倍率、副走査方向の部分倍率、リードのスキュー、サイドのスキュー、リードのリニアリティ、サイドのリニアリティ、副走査方向の周期的ずれ、主走査方向の周期的ずれ等のレジずれが生じるが、これらの画像のレジずれが重ね合わされて、DC的なずれ(均一なずれ)やAC的なずれ(周期的なずれ)が生じ、カラーレジずれとなって現れる場合がある。
【0028】
そこで、特定の時期に、搬送ベルト150上に画像位置検出用パターンGPBを形成し、この画像位置検出用パターンGPBを濃度センサ155によって濃度を検出して、画像の位置ずれ量を求める、カラーレジずれ量の演算及び補正(フィードバック補正)が一般的に実行されている。
【0029】
図2に示される如く、制御ユニット166は、マイクロコンピュータ10を備えている。マイクロコンピュータ10には、レジずれ補正動作で適宜使用されるレジずれ検出用パターンの画像情報やパラメータを記憶する記憶手段としての不揮発性メモリ(NVM)12が接続されている。
【0030】
また、上記制御ユニット166のマイクロコンピュータ10には、画像データを展開するための描画メモリを備えた画像データ展開回路(Video Asic)14が接続されており、当該画像データ展開回路(Video Asic)14からは、画像形成制御部167のROS制御部16に各色の画像データが送られるようになっている。画像形成制御部167は、マイクロコンピュータ168を備えており、前記制御ユニット166との信号のやりとりを行なうことで同期をとると共に、ROS制御部16を制御する。
【0031】
また、制御ユニット166及び画像形成制御部167は、それぞれユーザーインタフェイス(UI)170が接続されている。UI170は、所謂タッチパネル式であり、画面上に入力キーや選択ボックス等の領域が表示され、所定の領域を指等で触れることで、入力指示されるようになっている。
【0032】
(フィードバック補正(第1の補正))
図2に示される如く、制御ユニット166は、濃度センサ155による画像位置検出用パターンGPBの検出結果に基づいて、各画像形成の位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算手段としても機能するようになっている。
【0033】
カラーレジずれ量の演算及び補正動作は、まず、現在の色ずれ量を測定するため、画像位置検出用パターンを感光体ドラム116を介して、搬送ベルト150上に形成し、この画像位置検出用パターンを濃度センサ155で検出し、当該濃度センサ155の検出データに基づいて色ずれ量を演算し、その演算結果から色ずれを補正するための色ずれ補正量を判定して、最終的に色ずれの補正動作が行われる。
【0034】
色ずれの補正動作では、図3に示される如く、1ページ毎に出力される垂直同期信号を調整することで、副走査方向(SS方向)の色ずれを補正する。また、主走査1ライン毎に出力される水平同期信号を調整することで、主走査方向の色ずれを補正する。
【0035】
(用紙上色ずれ補正(第2の補正))
ところで、上記フィードバック補正されるのは、搬送ベルト150上の画像位置検出用パターンGPBである。これは、搬送ベルト150によって搬送される用紙Pが、搬送ベルト150と相対位置がずれないことを前提としたものであるが、用紙Pの種類、厚さ寸法、サイズ、材質等によって、搬送中に搬送ベルト150との間で相対位置関係がずれる場合がある。
【0036】
そこで、本実施の形態では、用紙Pに画像位置検出用パターンGPP(図5及び図6参照)を形成し、色ずれを補正するためのデータに基づく補正係数を登録すると共に、当該登録された補正係数を、前記搬送ベルト150に形成された画像位置検出用パターンの濃度センサ155による読み取りによって実行されるフィードバック補正に反映するようにした。
【0037】
図5は、副走査方向に対する補正係数の登録を行なう場合に用紙Pに形成される画像位置検出用パターンGPPである。また、図6は、主走査方向に対する補正係数の登録を行なう場合に用紙Pに形成される画像位置検出用パターンGPPである。
【0038】
搬送ベルト150と用紙Pとの相対位置ずれの特性上、搬送方向上流側にいくほどずれが少なく、下流側へいくほどずれを多い(図7(A)参照)。
【0039】
これを単一データで補正するには、その中間、すなわち用紙Pの搬送方向中央部で色ずれを判断すれば、ずれが搬送方向の上流側及び下流側に分散することになる(図7(B)参照)。
【0040】
画像形成装置110には、UI170が設けられており、用紙色ずれ補正設定モードを選択することで、図8に示される如く、補正量入力画面170Aが表示される。この補正量入力画面に表示された数値
は、画像位置検出用パターンGPPに付与された数値と対応しており、ユーザーは目視で最も黒色に対する位置が合っている位置を、画像位置検出用パターンGPPに付与された数値で特定し、入力するようになっている。なお、本実施の形態では、数値は−4〜+4の9種類(整数、0を含む)となっているが、この数値の分解能に限定されるものではない。
【0041】
入力された数値は解析され、用紙上の色ずれに基づく補正量が定められる。この場合、フィードバック補正(第1の補正)は通常どおり実行し、その結果に対して、用紙上色ずれ補正(第2の補正)の実行によって登録された補正量に基づいて補填する。
【0042】
(用紙種補正(第3の補正))
一方、用紙Pはその種類によって、搬送ベルト150によって搬送されるときのずれ量やずれ方向の特性が異なる。言い換えれば、用紙Pの種類が同じであれば、ある程度同じ特性となり得る。
【0043】
そこで、メーカー側では、画像形成装置110の出荷段階で、複数種類の用紙Pに対する基本的な色ずれ補正のための補正係数を登録しておき、UI170(図9参照)を用いて、ユーザーが選択できる機能を設けている。
【0044】
図9に示される如く、UI170には、用紙種選択モードにおいて、予め設定された用紙種(普通紙、光沢紙、厚紙、OHP紙、ラベル紙、超厚紙データ)毎にK(黒)色に対する各色(Y色,M色,C色)の補正係数が示された表170Bを含む用紙種選択画面170Cが表示されている。なお、このUI170に表示される表170Bでは、プルダウンメニュー領域170Dを操作することで、解像度の選択が可能となっている。また、UI170に表示される表170Bの最左端は、選択ボタン領域170Eとされており、何れかの用紙種を選択することで、当該画像形成装置110における補正係数が決定し、登録される。
【0045】
この決定により、フィードバック補正(第1の補正)は通常どおり実行し、その結果に対して、用紙種補正(第3の補正)の実行によって登録された補正量に基づいて補填する。
【0046】
本実施の形態では、前記用紙上色ずれ補正(第2の補正)である用紙Pへの画像形成後のユーザーによる補正値設定と、用紙種補正(第3の補正)である用紙種選択による補正値設定と、を併用している。
【0047】
図10は、制御コントローラ166における、フィードバック補正(第1の補正)に対して、用紙上色ずれ補正(第2の補正)、用紙種補正(第3の補正)を併用した場合の制御を機能的に示したブロック図である。
【0048】
濃度センサ155は、フィードバック補正部200に接続されている。フィードバック補正部200は、この濃度センサ155からの信号に基づいて、各色間(K色基準)の色ずれを判定し、光ビームの水平同期信号、垂直同期信号の出力タイミングを補正するための信号を画像形成制御部167へ送出する。
【0049】
一方、UI170には、図示しない表示制御部に第2の補正及び第3の補正の登録モードを選択するためのボタン等が表示される。
【0050】
何れかのモードが選択されると、UI170では、対応するモードに関する情報が表示される。
【0051】
第2の補正データ登録モードでは、UI170には、図8に示される補正量入力画面170Aが表示される。また、第3の補正データ登録モードでは、UI170には、図9に示される用紙種選択画面170Cが表示される。
【0052】
補正量入力画面170Aでは、ずれ量に応じて−4〜+4までの9種類から選択する数値(整数)選択信号が入力可能であり、一方、用紙種選択画面170Cでは使用される用紙種を選択する用紙種選択信号が入力可能である(共に所定領域のタッチ操作による)。
【0053】
UI170での、数値選択操作信号及び用紙種選択信号は、信号解析部202へ送出されるようになっている。
【0054】
信号解析部202は、用紙上色ずれ量解析部204及び用紙種判定部206に接続されている。
【0055】
用紙上色ずれ量解析部204は、第2の補正データを得るために、前記信号解析部202から数値選択信号が入力される。用紙上色ずれ量解析部204では、この数値選択信号に基づいて、前記フィードバック補正による光ビームの水平同期信号、垂直同期信号の出力タイミング調整を補填する第2の補正データが生成されるようになっている。
【0056】
用紙上色ずれ量解析部204は、第2の補正データ登録部208に接続されている。第2の補正データ登録部208には、前記用紙上色ずれ量解析部204で生成された第2の補正データが登録され、この第2の補正データが次回の第2の補正登録モードまで保持される。すなわち、前記フィードバック補正が流動的な補正であるのに対して、第2の補正データは固定的な補正となる。
【0057】
第2の補正データ登録部208は、補填データ読出部210に接続されている。補填データ読出部210は、前記フィードバク補正部200がフイードバック補正を実行するときに出力する読出指示信号に基づいて、第2の補正データ登録部208から第2の補正データを読み出し、補填処理部212へ送出する。
【0058】
補填処理部212は、前記フィードバック補正部200と接続され、同期がとられており、フィードバック補正部200での補正データが画像形成制御部167へ送出されるのと同時期に、前記第2の補正データを補填データとして、画像形成制御部167へ送出する。
【0059】
この結果、画像形成制御部167では、搬送ベルト150上の画像位置検出用パターンGPBによる位置ずれ補正に加え、搬送ベルト150と用紙Pとの相対位置変動による色ずれ分(画像位置検出用パターンGPPによる位置ずれ分)を補填する。
【0060】
前記用紙種判定206は、第3の補正データを得るために、前記信号解析部202から用紙種選択信号(情報)が入力される。用紙種判定部206では、用紙種を判定し、その結果を第3の補正データ読出部214に送出する。
【0061】
第3の補正データ読出部214は、用紙種−第3の補正データテーブルメモリ216に接続されている。この用紙種−第3の補正データテーブルメモリ216は、前記UI170に接続されており、前記用紙種選択画面170Cの一部(表170B)として、用紙種−第3の補正データテーブルが表示されるようになっている。
【0062】
第3の補正データ読出部214では、用紙種−第3の補正データテーブルメモリ216から用紙種に基づく第3の補正データを読み出す。すなわち、前記用紙種選択信号に基づいて、前記フィードバック補正による光ビームの水平同期信号、垂直同期信号の出力タイミング調整を補填する第3の補正データが読み出されるようになっている。
【0063】
第3の補正データ読出部214は、第3の補正データ登録部218に接続されている。第3の補正データ登録部218には、前記第3の補正データ読出部214で読み出された第3の補正データが登録され、この第3の補正データが次回の第3の補正登録モードまで保持される。すなわち、前記フィードバック補正が流動的な補正であるのに対して、第3の補正データは固定的な補正となる。
【0064】
第3の補正データ登録部218は、補填データ読出部210に接続されている。補填データ読出部210は、前記フィードバク補正部200がフイードバック補正を実行するときに出力する読出指示信号に基づいて、第3の補正データ登録部218から第3の補正データを読み出し、補填処理部212へ送出する。
【0065】
補填処理部212は、前記フィードバック補正部200と接続され、同期がとられており、フィードバック補正部200での補正データが画像形成制御部167へ送出されるのと同時期に、前記第2の補正データを補填データとして、画像形成制御部167へ送出する。
【0066】
この結果、画像形成制御部167では、搬送ベルト155上の画像位置検出用パターンGPPによる位置ずれ補正に加え、搬送ベルト155と用紙Pとの相対位置変動による色ずれ分(画像位置検出用パターンGPPによる位置ずれ分)を補填する。
【0067】
以下に、本実施の形態の作用を説明する。
【0068】
カラーレジずれ量の演算及び補正動作は、基本的には、フィードバック補正(第1の補正)プロセスに従って行われ、このフィードバック補正に対して、第2の補正及び第3の補正が加味される。
【0069】
第2の補正の場合、ユーザーが予め第2の補正データを設定し、登録する必要がある。図11は、この第2の補正データ設定モードルーチンを示す制御フローチャートであるである。このルーチンは、ユーザーによる指示で、第2の補正データ設定モードが選択されると実行される。
【0070】
図11に示される如く、ステップ250では、UI170に補正量入力画面(図8参照)を表示し、次いで、ステップ252へ移行して、画像形成指示を待つ。この場合、すなわち、第2の補正データ設定モードの下での画像形成指示では、画像位置検出用パターンGPP(図5、図6参照)の画像データが読み出され、かつ、ユーザーが通常使用される用紙をトレイ等に設定した状態で処理される。
【0071】
ステップ252で肯定判定されると、ステップ254へ移行して、上記通常使用される用紙P上に、画像位置検出用パターンGPP(図5、図6参照)が形成され、排出される。
【0072】
ユーザーはこの用紙Pに形成された画像位置検出用パターンGPPを目視し、この画像位置検出用パターンGPPに隣接して付与された数値の中から最も基準色(ここでは、K(黒))と一致している位置の数値をUI170の画面上から入力する。
【0073】
この入力がユーザーによって実行されると、ステップ256で肯定判定され、ステップ258へ移行して入力された設定値に基づき、用紙上色ずれ量を解析する。
【0074】
この解析の結果、次のステップ260では、第2の補正データを第2の補正データ登録部208(図10参照)に登録し、このルーチンは終了する。
【0075】
次に、第3の補正の場合、画像形成装置110の出荷段階で、用紙種−第3の補正データテーブルメモリ216(図10参照)に、予め複数種の用紙Pの種類毎に第3の補正データが記憶されている。このため、ユーザーは、この用紙種の中から、ユーザーが主として使用する用紙Pの種類を選択すればよい。
【0076】
すなわち、図12に示される如く、ステップ262ではUI170上に図9に示す用紙種選択画面170Bが表示され、ユーザーはこれを目視しながら、所定の領域のパネル面に触れることで、用紙種を選択する(ステップ264)。この選択した用紙種に基づいて、用紙種−第3の補正データテーブルメモリ216(図10参照)から第3の補正データを読み出し(ステップ266)、第3の補正データ登録部218(図10参照)に登録する(ステップ268)。
【0077】
図13は、例えば、処理枚数が予め設定した枚数になったとき等の定期的時期、並びに、何らかのエラーが生じた時等の不定期時期に実行される色ずれ補正に関する処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態では、既に、第2の補正データ及び第3の補正データがそれぞれ登録されているものとして説明する。
【0078】
図13に示される如く、現在の色ずれ量を測定するため、画像位置検出用パターンを感光体ドラム116を介して、搬送ベルト150上に形成し(ステップ270のパターン描画)、この画像位置検出用パターンを濃度センサ155で検出し(ステップ272のセンサ読取)、当該濃度センサ155の検出データに基づいて色ずれ量を演算し(ステップ274の演算)、色ずれの結果を判定する(ステップ276の色ずれ結果判定)。
【0079】
ここで、次のステップ278では、光ビーム出力タイミング補正データを生成し、次のステップ280で、第2の補正データが登録済か否かが判断される。このステップ280で肯定判定されると、ステップ282へ移行して第2の補正データに基づき、光ビームタイミング補正データを補填し、ステップ284へ移行する。なお、ステップ280で否定判定、すなわち、第2の補正データが未登録の場合は、ステップ284へ移行する。
【0080】
ステップ284では、第3の補正データが登録済か否かが判断される。このステップ284で肯定判定されると、ステップ286へ移行して第3の補正データに基づき、光ビームタイミング補正データを補填し、ステップ288へ移行する。なお、ステップ284で否定判定、すなわち、第3の補正データが未登録の場合は、ステップ288へ移行する。ステップ288では、最終的に色ずれの補正動作が行われる(補正実行)。
【0081】
上記制御により、フィードバック補正制御を変更することなく、搬送ベルト150と用紙Pとの相対位置ずれに起因する用紙P上での色ずれを補正する。
【0082】
なお、補正の組み合わせとして、第1の補正+第2の補正+第3の補正を説明したが、第1の補正+第2の補正、或いは第1の補正+第3の補正であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置を制御するための制御系を示すブロック図である。
【図3】画像形成するときの水平同期信号及び垂直同期信号の出力タイミングを示す用紙の正面図である。
【図4】搬送ベルトに形成される画像位置検出用パターンの平面図である。
【図5】用紙に形成される画像位置検出用パターン(副走査方向色ずれ用)の平面図である。
【図6】用紙に形成される画像位置検出用パターン(主走査方向色ずれ用)の平面図である。
【図7】用紙搬送方向により変動する色ずれの状態を示す平面図である。
【図8】UIに表示される補正量入力画面(第2の補正データ)の正面図である。
【図9】UIに表示される用紙種選択画面(第3の補正データ)の正面図である。
【図10】制御ユニットにおける第1の補正、第2の補正、大の補正を実行するための機能ブロック図である。
【図11】第2の補正データ設定モード時の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】第3の補正データ設定モード時の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】フィードバック補正を主体とする色ずれ補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
P 用紙
GPB 画像位置検出用パターン(ベルト)
GPP 画像位置検出用パターン(用紙)
10 マイクロコンピュータ
12 不揮発性メモリ
14 画像データ展開回路
16 ROS制御部
20 光走査装置
23 ポリゴンミラー
25 反射ミラー
110 画像形成装置(画像形成手段)
110A 側壁
111(A、B、C、D) 現像装置
116 感光体ドラム
118 帯電ロール
120 プロセスカートリッジ
122 イレーズランプ
124 給紙カセット
126 ピックアップロール
128 搬送ロール
130 レジストレーションロール
132 用紙搬送路
146,148 張架ロール
150 搬送ベルト(搬送部材)
152 転写ロール
154 吸着ロール
155 濃度センサ
156 定着装置
158 排出ロール
160 排出トレイ
166 制御ユニット
167 画像形成制御部
168 マイクロコンピュータ
170 UI(ユーザーインタフェイス)
170A 補正量入力画面
170B 表
170C 用紙種選択画面
170D プルダウンメニュー領域
170E 選択ボタン領域
200 フィードバック補正部(第1の補正手段)
202 信号解析部
204 用紙上色ずれ量解析部
206 用紙種判定部
208 第2の補正データ登録部(第2の補正手段)
210 補填データ読出部
212 補填処理部(第2の補正手段、第3の補正手段)
214 第3の補正データ読出部
216 用紙種−第3の補正データテーブルメモリ
218 第3の補正データ登録部(第3の補正手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて走査光を出力する光走査部から出力された走査光に基づいて像保持体に像を形成する複数の画像形成手段を備え、搬送部材を用いて記録用紙を前記画像形成手段の転写部へ順次搬送することで、複数の画像形成部で形成された画像を互いに重ね合わせ、単一の画像を形成する画像形成手段と、
前記搬送部材に、各像保持体から基準画像を形成し、当該それぞれの基準画像が形成された相対位置に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第1の補正手段と、
前記像保持体から前記記録用紙までの画像の転写に起因する相対的な位置ずれに基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第2の補正手段と、
前記第1の補正手段による補正量を、前記第2の補正手段による補正量に基づいて補填する第1の補正量補填手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
画像データに基づいて走査光を出力する光走査部から出力された走査光に基づいて像保持体に像を形成する複数の画像形成手段を備え、搬送部材を用いて記録用紙を前記画像形成手段の転写部へ順次搬送することで、複数の画像形成部で形成された画像を互いに重ね合わせ、単一の画像を形成する画像形成手段と、
前記搬送部材に、各像保持体から基準画像を形成し、当該それぞれの基準画像が形成された相対位置に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第1の補正手段と、
前記記録用紙の状態に基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第3の補正手段と、
前記第1の補正手段による補正量を、前記第3の補正手段による補正量に基づいて補填する第2の補正量補填手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項3】
画像データに基づいて走査光を出力する光走査部から出力された走査光に基づいて像保持体に像を形成する複数の画像形成手段を備え、搬送部材を用いて記録用紙を前記画像形成手段の転写部へ順次搬送することで、複数の画像形成部で形成された画像を互いに重ね合わせ、単一の画像を形成する画像形成手段と、
前記搬送部材に、各像保持体から基準画像を形成し、当該それぞれの基準画像が形成された相対位置にも基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第1の補正手段と、
前記像保持体から前記記録用紙までの画像の転写に起因する相対的な位置ずれに基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第2の補正手段と、
前記記録用紙の状態に基づいて設定される設定値に基づいて、前記画像形成手段による前記各画像保持体への画像形成時期を補正する第3の補正手段と、
前記第1の補正手段による補正量を、前記第2の補正手段及び第3の補正手段による補正量に基づいて補填する第3の補正量補填手段と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−78908(P2010−78908A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247174(P2008−247174)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】