説明

画像形成装置

【課題】書き込み回数に制限を持つ不揮発性の記録手段に対して、消耗品の残量に関する情報を、見掛け上、書き込み回数を超えて書き込むことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録手段としてのICタグは、残量に関する情報記録領域が、複数に分割されており、それぞれ独立して書き込むことができる。制御部は、残量に関する情報記録領域に対して、残量初期値や現在の残量値、エンドコードなどを記録する。さらに、制御部は、感光材料の特定の使用に応じて、残量情報を分割された一部の残量に関する記録領域に書き込み(S11)、残量情報を記録領域にエンドコードが記録されている場合は、残量初期値を分割されたすべての残量記録領域に書き込む(S5)。また、制御部は、分割されたすべての残量記録領域の中から最小残量値を検索し、該最小残量値を残量に関する情報として読み取り(S6)、RAMに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、感光材料、プリント紙、あるいは感熱紙といった記録用紙などの消耗品を収容し、また、さらに、該消耗品の消費に伴い補充可能なマガジン(あるいは、カートリッジ、以下、総称して「マガジン」という)などの収容体を着脱自在に装着する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一形態として、ネガフィルム、ポジフィルムといった写真フィルム、CD−ROM、メモリカードといったメディアなどから読み込んだ画像を感光材料に露光処理し、次いで、現像処理を施して写真プリントを作製する写真処理装置が知られている。かかる写真処理装置では、長尺の感光材料をロール状に巻回して収容したマガジンを装置本体に装着し、使用に際して感光材料をマガジンから引き出して装置本体内に送り込む、いわゆるマガジン方式が記録用紙の供給手段として従来より採用されている。
【0003】
また、マガジン方式は、マガジンの取り替えを少なくすることにより長時間の連続自動運転を図る施策の一つとして、幅サイズが同一あるいは異なる感光材料を収容したマガジンを二つ並べて装置本体に装着する、いわゆるダブルマガジン方式が一般的であり、さらに、近年では、さらなる能力アップを目的として、マガジンを多数収容可能な供給装置を追加的に備える写真処理装置も提供されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−168991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の写真処理装置には、マガジンに収容する感光材料の現在の残量を記録するために、ICタグのような不揮発性の記録手段をマガジンに取り付けることで、現在の残量を管理するものがある。この不揮発性の記録手段は、感光材料の排出した量を検出するマガジン検出センサにより、マガジンに残った感光材料の残量を算出し、算出した現在の残量を前記記録手段に書き込むものである(特許文献2)。
【特許文献2】特開2003−211796号公報
【0005】
しかしながら、一般の不揮発性の記録手段は、記録領域の書き込み回数に制限があり、多数の写真プリントを作製する写真処理装置において、作製する写真プリント1枚おきに残量を記録手段に書き込むと、容易に記録手段の最大書き込み回数を超えてしまうことになる。
【0006】
また、他の不揮発性の記録手段は、記録領域を複数に分割して、分割されたそれぞれの記録領域にそれぞれの用途に応じた情報を記録させることができるものである。これを利用したこの種の写真処理装置は、記録手段の複数に分割されたすべての記録領域に、同じ残量に関する情報を記録させておき、分割されたすべての記録領域のうち、特定の記録領域のみが読み込み不可能な状態となっても、他の記録領域に記録された残量に関する情報から読み込むことで、残量に関する情報を保護するものがある(特許文献3)。
【特許文献3】特開2000−19891号公報
【0007】
しかし、分割されたすべての記録領域に同じ情報を書き込むため、分割された記録領域毎の書き込み回数は、分割されたすべての記録領域においてほぼ同じであり、すなわち、ほぼ同時に最大書き込み回数を越えるため、結果的に、書き込み回数は制限されていた。
【0008】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、書き込み回数に制限を持つ不揮発性の記録手段に対して、消耗品の残量に関する情報を、見掛け上、書き込み回数を超えて書き込むことができる画像形成装置を提供することを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、消耗品を収容する収容体を着脱自在に装着する画像形成装置であって、前記収容体に備わる不揮発性の記録手段に対して前記消耗品の残量に関する情報を読み書きする制御部を備える画像形成装置において、前記記録手段は、前記残量に関する情報が記録される記録領域を備えると共に、該記録領域は、複数の記録領域に分割されており、前記制御部は、前記残量に関する情報を書き込む記録領域を、前記記録手段のうち、前記残量に関する情報が記録される記録領域の分割された一部の記録領域とし、かつ、書き込み毎に異なる若しくは同一の記録領域に書き込み、そして、前記記録手段のうち、前記残量に関する情報が記録される記録領域の分割されたすべての記録領域に記録された残量に関する情報のうち、最も残量が少ないことを意味する最小残量値を残量に関する情報として読み取ることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、記録手段は、残量に関する情報を記録する記録領域が複数の記録領域に分割されており、各記録領域に分散して残量に関する情報を記録するため、分割された一つの記録領域における書き込み回数を減らすことができる。また、制御部は、最小残量値が分割された他の記録領域に記録されている残量に関する情報と比べてより正確な残量に関する情報であるため、書き込む残量に関する情報に対して、特別な情報、即ち、書き込んだ順番や、タイムスタンプなどと共に書き込む必要がない。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記収容体がマガジンであり、前記消耗品が感光材料である場合において、前記制御部は、前記マガジンに収容される感光材料が初期状態にあるときに、初期状態を意味する残量初期値を、前記記録手段のうち、前記残量に関する情報が記録される記録領域の分割されたすべての記録領域に書き込むことを採用することができる。
【0012】
かかる構成によれば、前記消耗品が初期状態であって、残量に関する情報を記録した分割された記録領域に初期状態を意味する残量に関する情報以外の残量に関する情報が書き込まれた前記記録手段にあっても、分割されたすべての記録領域に対して残量初期値を書き込むことで、使用前に書き込まれた残量に関する情報と、新たに書き込まれる残量に関する情報が、混同することを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記制御部は、前記消耗品の使用に応じた残量に関する情報を記録する記憶手段を備え、前記消耗品の特定の使用に応じて、前記記憶手段に記録された残量に関する情報を前記記録手段に書き込むことを採用することができる。
【0014】
かかる構成によれば、消耗品の特定の使用に応じて、残量に関する情報を書き込むため、特定の使用の頻度により、残量に関する情報の書き込み回数そのものを減らすことができる。さらには、書き込み回数を減らすことができれば、残量に関する情報を記録する記録領域の分割数も減らすことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明に係る前記消耗品の残量を管理する残量管理方法によれば、書き込み回数に制限を持つ不揮発性の記録手段に対して、消耗品の残量に関する情報を、見掛け上、書き込み回数を超えて書き込むことができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として、写真処理装置について説明する。まずは、本実施形態において特徴的なことを説明する前に、写真処理装置の全体構成について概略的に説明する。
【0017】
図1及び図2に示す如く、写真処理装置1は、画像データに基づいて感光材料Pを露光処理する露光処理部2と、露光処理された感光材料Pを現像処理する現像処理部3と、現像処理後の感光材料Pを乾燥処理する乾燥処理部4と、乾燥処理された感光材料Pを写真プリントとしてオーダー毎に仕分ける仕分部5とを備えている。
【0018】
この写真処理装置1は、別個の制御装置6が電気的に接続され、該制御装置6によって全体の制御が行われると共に、その制御装置6で読み取った画像データや編集した画像データに基づいて露光処理等を行うようになっている。制御装置6は、各処理の処理状況や操作案内等を表示するモニター60と、該モニター60の表示に基づいて入力操作を行うための入力手段61(キーボード61a及びマウス61b)と、露光処理部2で感光材料Pに露光処理を行うための画像データを読み取る読取手段62(フラットベッドスキャナ62a、フィルムスキャナ62b及びメディアドライブ62c)と、露光処理を行うに際し、各種処理や写真処理装置1の実質的な制御を行う演算処理装置63(CPU63a、RAM63b及びROM63c)とを備えている。
【0019】
露光処理部2は、ロール状に巻回された長尺な感光材料Pを収容する第一のマガジン20a及び第二のマガジン20bと、該マガジン20a,20b(あるいは後述するマガジン20c,20d)から供給された感光材料Pを所定の長さで切断してカットシートにする切断装置21と、該切断装置21で切断された感光材料Pを露光処理する露光ユニット22と、露光処理部2内の各構成間で感光材料Pを搬送し、マガジン20a,20b(あるいは後述するマガジン20c,20d)から供給された感光材料Pを下流側(現像処理部3)に搬送するための主搬送系23とを備えている。
【0020】
マガジン20a,20bは、ロール状の感光材料Pを回転可能に構成され、感光材料Pを長手方向に円滑に排出できるようになっている。また、露光処理部2、現像処理部3及び乾燥処理部4を一体的にする主筐体10に対し、オプション(追加)の第三のマガジン20c及び第四のマガジン20dを収容するための副筐体11を接続できるようになっており、主筐体10内のマガジン20a,20bから供給される感光材料Pの搬送経路に対し、オプションのマガジン20c,20dから供給される感光材料Pの搬送経路が主筐体10内で合流するようになっており、写真処理に際しては、何れか一つのマガジン20a〜20dから供給された感光材料Pが用いられる。
【0021】
露光ユニット22は、主搬送系23において搬送される感光材料Pの乳剤面を露光する露光エンジン(図示しない)を備えている。該露光エンジンは、レーザー光源(図示しない)や、該レーザー光源からのレーザー光を露光ポイントAにまで導く光学系(例えば、ポリゴンミラーやレンズ、図示しない)等を備えた、いわゆるレーザーエンジンが採用されている。尚、露光エンジンには、ハロゲンランプ等からなる光源と、該光源に光ファイバー束を介して接続された光シャッター(PLZT)とで構成されたもの等、その他のいわゆるデジタル露光エンジンであってもよい。
【0022】
現像処理部3は、露光処理部2から送り込まれてくる感光材料Pを現像するためのもので、現像処理液が貯留される現像処理液槽30と、該現像処理液槽30内の現像処理液に対して感光材料Pを浸漬して引き上げる動作を繰り返すように、感光材料Pを搬送する主搬送系32とを備えている。現像処理液槽30は、複数の液槽30a,30b…が横並びに配置されることで構成されている。各液槽30a,30b…には、感光材料Pに対して現像処理、漂白処理、定着処理、安定処理を行うための現像処理液が貯留されている。即ち、各液槽30a,30b…には、上流側から順に現像液(CD)、漂白・定着液(BF)、安定液(STB)、洗浄液が貯留されている。主搬送系32は、現像処理液槽30(各液槽30a,30b…)の現像処理液(現像液、漂白・定着液、安定液、洗浄液)中で感光材料Pを搬送する液中搬送系32aと、各液槽30a,30b…から引き上げられた感光材料Pを下流側で隣接する液槽30b…内に導きつつ搬送する外部搬送系32bとで構成されており、各搬送系32a,32bのそれぞれは、複数のローラ対により構成されている。
【0023】
乾燥処理部4は、上流側の現像処理部3から送り込まれる感光材料Pを搬送する主搬送系40と、該主搬送系40で搬送される感光材料Pを乾燥させる乾燥装置41とを備えている。主搬送系40は、現像処理部3から送り込まれてきた感光材料Pの搬送経路を方向転換しつつ搬送し、該感光材料Pに対する乾燥処理に必要な距離(実際には、乾燥処理に必要な時間)を担保するようになっている。
【0024】
仕分部5は、排出口から排出される写真プリントを搬送するコンベア50と、該コンベア50で搬送されてくる写真プリントをオーダー毎に仕分ける仕分ユニット51とで構成されている。そして、該仕分ユニット51は、コンベア50で搬送されてくる写真プリントを受けるための複数のトレー51a,51b…と、該複数のトレー51a,51b…のうち、所定(空)のトレー51a,51b…をコンベア50から写真プリントを受け取り可能な位置に移動させるための駆動手段(図示しない)とで構成され、トレー51a,51b…の配置を適宜変更することで、写真プリントをオーダー毎にそれぞれのトレー51a,51b…に排出できるようになっている。
【0025】
本実施形態に係る写真処理装置の概略的な説明は以上の通りであり、次に、本実施形態における特徴的な事項について以下に説明する。
【0026】
第一〜第四のマガジン20a〜20dは、上述の如く、感光材料がロールの形態で収容されており、各種の幅サイズ、各種の面質、各メーカの感光材料が収容されるようになっている。感光材料は消耗品であり、感光材料を全て使い切ると、交換をする必要がある。そのため、何れも図示しないが、各マガジン20には、ICタグ(記録手段)が設けられる一方、露光処理部2には、各マガジン20に対応して、マガジン20の装着を検出するセンサ(マガジン装着検出手段)と、ICタグ用のリードライタ(読取・書込手段)とが設けられる。
【0027】
ICタグは、例えば、マガジン20の本体(筐体)に取り付けられるか、感光材料のロールのコア(巻芯)に取り付けられる。ICタグは、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)タグである。このRFIDタグは、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型など様々な形状があり、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって、タグに記録された情報を外部(リードライタ)から読み取ったり、外部(リードライタ)からタグに情報を書き込むことができる。通信距離は、数mm程度のものから数m程度のものまで幅広く提供されているため、マガジン20の適宜の箇所に設けられるICタグと、写真処理装置1(露光処理部2)の適宜の箇所に設けられるリードライタとの間の距離に応じて、各種のタグが選択される。
【0028】
ICタグには、写真処理に関する各種の情報が記録されるようになっている。記録される情報としては、例えば、そのICタグが取り付けられるマガジン20に関する情報(例えば、マガジン20の個体識別番号、マガジン20の装着回数、マガジン20の使用時間、マガジン20の使用履歴)などが挙げられる。また、マガジン20に収容される感光材料に関する情報として、感光材料の種類に関する情報(例えば、銘柄(メーカ名)、幅サイズ、面質に関する情報)、感光材料の製造に関する情報(例えば、乳剤番号)、及び、感光材料の残量に関する情報(例えば、残量初期値(使用可能量)、使用量、使用量の履歴、現在の残量、残量の履歴、残量の有無(エンドコードの有無))などがICタグに記録される。
【0029】
図3は、上記した制御装置6と、上記した特徴的な事項との関係を示すブロック図である。演算処理装置63の共通バスライン64には、上記したマガジン装着検出用のセンサ65と、ICタグ用のリードライタ66とが接続される。従って、マガジン20が写真処理装置1に装着されると、センサ65がONとなり、制御部6は、マガジン20が装着されたことを認識することができ、また、マガジン20が写真処理装置1から外されると、センサ65がOFFとなって、制御部6は、マガジン20が取り外されたことを認識することができる。尚、本実施形態の如く、マガジン20を複数装着できる写真処理装置1にあっては、マガジン20が装着されているのか、取り外されているのかをマガジン取り付け箇所(ポート)毎に認識することができるようになっている。
【0030】
そして、マガジン20が装着された状態にあっては、マガジン20におけるICタグ20’がリードライタ66と近接することで、無線による双方向通信が可能となる。即ち、制御部6は、リードライタ66を介して、ICタグ20’に記録された情報を読み取ったり、ICタグ20’に情報を書き込むことができる。尚、読み取った情報あるいは書き込むべき情報は、RAM63bに保管される。また、ICタグ20’へ書き込まれる情報は、モニター60上に展開されるユーザインターフェイスを介して、キーボード61aやマウス61bといった入力手段61を用いて入力することができ、あるいは、ICタグ20’から読み取った情報は、モニター60上に展開されるユーザインターフェイスを介して、モニター60上に表示させることもできる。
【0031】
ところで、本実施形態に係る写真処理装置1では、露光ユニット(露光エンジン)の露光条件を設定するセットアップ処理を毎日の稼働前に行うようにしている。このセットアップ処理は、露光処理部2で感光材料Pに所定のパターン(露光ユニットの光源の調整に必要な色パターン等)を露光処理し、それを現像処理部3で現像処理して作製したテストプリントの発色状態を測色計で計測し、その計測結果に基づいて露光ユニットを適正な状態に設定することによって行われる。そのため、本実施形態に係る写真処理装置1は、感光材料Pの発色を測定する測色計67を備える。測色計67は、バスライン64を介して演算処理装置63に接続され、演算処理装置63が測色計67の測色結果に基づいて露光ユニットを調整するようになっている。また、測色計67が乾燥処理部4から仕分部5の排出口に至る間における感光材料Pの搬送経路上に配置されることで、露光、現像、乾燥処理を経た感光材料Pは、測色計67に自動供給され、その結果、セットアップ処理の自動化が可能となる。
【0032】
本実施形態に係る写真処理装置は以上の構成からなり、次に、この写真処理装置におけるマガジン20(に収容された感光材料P)の取り扱いについて説明する。
【0033】
図4は、制御部6がマガジン(に収容された感光材料)の取り扱いに関して実行する処理のフローチャートである。制御部6は、写真処理装置1にマガジン20が装着(セット)されたか否かをチェックする(S1)。マガジン20が写真処理装置1にセットされたことは、マガジン装着検出用のセンサ65がOFFからONに変化することをもって判断することができる。また、制御部6は、S1がNOの場合、オペレータによってマガジン20の切り替えの指示があったか否か、あるいは、現在使用しているマガジン20における感光材料を使い切ってしまったために写真処理装置1にセットされている別のマガジン20に切り替える必要があるか否かをチェックする(S2)。そして、S1がYESの場合であれば、写真処置装置1にセットされたマガジン20(取り替えられたマガジン20)が、S2がYESの場合であれば、切り替えられたマガジン20が、制御部6によってアクティブなものとして指定される(S3)。尚、S2がNOの場合、S1に戻ることで、制御部6は、常時、S1とS2のチェックを行うものである。
【0034】
次に、制御部6は、リードライタ66を介して、ICタグ20’に記録された情報のうち、感光材料の残量に関する情報、より具体的には、残量の有無(エンドコードの有無)を読み取る。エンドコードは、感光材料を使い切ってしまったことにより、後述するS11において、制御部6がリードライタ66を介してICタグ20’に書き込むコードであり、これが付されたICタグ20’を備えるマガジン20は、使用できる感光材料が入っていないということを意味する。しかしながら、感光材料を使い切ると、新たな感光材料のロールをマガジン20内にセットし、そのマガジン20を使用可能とする上で、オペレータがICタグ20’の内容を書き換える(更新あるいは変更する)ようにはしていないので、エンドコードが付されたICタグ20’を備えるマガジン20は、使用できる感光材料が入っていないもののみならず、新品の感光材料が入っているものも含み得る。そこで、制御部6は、エンドコードが付されたICタグ20’を備えるマガジン20が指定されたか否かをチェックし(S4)、これがYESの場合、そのマガジン20に入っている感光材料は新品であると判断して、感光材料の残量初期値を現在の残量値として(RAM63bに)セットし、また、ICタグ20’に記録されている残量値を初期化すべく、リードライタ66を介して、ICタグ20’にも記録する(S5)。一方、S4がNOの場合、制御部6は、そのマガジン20は、使用継続中のものであって、使用可能な感光材料がまだ中に入っていると判断して、そのため、リードライタ66を介して、ICタグ20’に記録された情報のうち、感光材料の残量に関する情報、より具体的には、現在の残量値を読み取り、これを(RAM63bに)セットする(S6)。
【0035】
次に、制御部6は、セットアップ判定処理を行う(S7)。セットアップ判定処理とは、マガジン20内の感光材料を全て使い切ることにより、別のマガジン20に取り替える、あるいは、写真処理装置1にセットされている別のマガジン20に切り替えるに当たり、それら別のマガジン20に収容されている感光材料が先に使用されていた感光材料と乳剤番号が異なっている場合に行う必要がある特性補正用セットアップ(乳剤番号変更セットアップ)を行うべきか否か、より簡単に言えば、S3にてマガジン20が指定されることで、先に使用されていた感光材料の乳剤番号とは異なる乳剤番号の感光材料が使用されることとなるか否かに関する判断処理である。
【0036】
セットアップ判定処理を終えると、写真処理装置1は本稼働が可能な状態となる。そこで、制御部6は、オペレータによって写真処理の指示があったか否かをチェックする(S8)。そして、これがYESの場合、制御部6は、写真処理を実行し、顧客から注文を受けた写真プリントを作製する(S9)。尚、S8がNOの場合、S8を循環することで、制御部6は、常時、S8のチェックを行うものである。
【0037】
また、本実施形態においては、制御部6は、写真処理を終えて稼働が停止した状態が所定時間以上経過したか否か、即ち、写真処理装置1が稼働していない状態が所定時間以上継続したか否かをチェックし(S10)、これがYESの場合、取り敢えず、マガジン20から写真処理装置1内に引き出された感光材料をマガジン20内に収容させるべく、マガジン20を逆駆動して、感光材料をマガジン20内に巻き取らせるようにする(S11)。また、この際、制御部6は、写真処理に供された感光材料の使用量を把握しているため、S5にてセットされた残量初期値、あるいは、S6にてセットされた現在の残量値(S9を経た今となっては、過去の残量値)から使用量を減算して、現在の残量値を演算することができる。そこで、制御部6は、この演算値をリードライタ66を介してICタグ20’に書き込み、感光材料の残量に関する情報を更新する(S11)。
【0038】
ところで、この時点(S11)で、マガジン20におけるICタグ20’の情報(感光材料の残量に関する情報)を更新するのは、この時点以降で且つ写真処理が指示されることなく、当該マガジン20が写真処理装置1から取り外される可能性があるからである。現在の残量値に更新されることなくマガジン20が取り外されると、実際の残量値を写真処理装置1(の制御部6)が把握し得ない事態が生じるからである。
【0039】
全体的な流れを説明したところで、次は、ICタグ20’への残量に関する情報の記録方法について具体的に説明する。尚、残量初期値は、写真処理装置1に予め登録されている使用可能量や、残量としてありえない大きい残量値であってもよい。
【0040】
本発明に係る記録手段としてのICタグ20’は、残量に関する情報を記録する記録領域が、複数に分割されており、それぞれ独立して書き込むことができるようになっている。制御部6は、複数に分割された残量に関する情報を記録する記録領域(以下、略して「分割された残量に関する記録領域」という)のうち、すべての記録領域に同一の残量に関する情報を書き込むわけではなく、一部の記録領域に書き込む。さらに、制御部6は、分割された残量に関する記録領域への書き込みにおいて、分割された一部の残量に関する記録領域に偏って、書き込むことを避けることが望ましい。これは、分割された残量に関する記録領域のうち、分割された一つの記録領域あたりの書き込み回数の制限が変わらないため、分割された一部の残量に関する記録領域に偏って書き込むと、従来どおりに書き込み不可能な状態と成り得るが、各分割された残量に関する記録領域へのそれぞれの書き込み回数を平均化させることで、書き込み不可能な状態にある分割された残量に関する記録領域そのものを減らすことができるためである。また、制御部6に備わっている本発明に係る記憶手段としてのRAM63bは、第一〜第四のマガジン20に関するすべての残量に関する情報を記録することができ、かつ、高頻度で書き込んでも充分余裕のある記録容量を有しているものとし、残量1枚毎に残量に関する情報を更新することができるものとする。
【0041】
図4にあるように、制御部6からICタグ20’に対して残量に関する情報を記録する記録領域の初期化指示を受けたとき(S4、S5)について、まず、S4がYESの場合、即ち、制御部6が、分割された残量に関する記録領域の一部にエンドコードが付されたICタグ20’を備えるマガジン20に対して、そのマガジン20に入っている感光材料は新品であると判断した場合、制御部6は、そのマガジン20に取り付けられたICタグ20’の分割されたすべての残量に関する記録領域に、新品であることを意味する残量初期値を書き込む。これは、残量に関する情報を記録する記録領域に前の感光材料の残量に関する情報が残っている場合、これから新たに書き込む残量に関する情報と混在することになり、正しい残量に関する情報を認識することができなくなるためである。
【0042】
次に、制御部6によりICタグ20’への残量に関する情報を更新するとき(S11)について、マガジン20から写真処理装置1内に引き出された感光材料をマガジン20内に収容する場合、制御部6は、マガジン20に取り付けられたICタグ20’の分割された残量に関する記録領域の一部、例えば、分割された一つの残量に関する記録領域に、現在の残量値を演算した結果を書き込み、残量に関する情報を更新する。このとき、分割された一つの残量に関する記録領域に記録した残量に関する情報以外の残量に関する情報には、以前に書き込んだ(現在の)残量値である過去の残量値や、残量初期値、エンドコードなどが含まれ、制御部6は、残量初期値が最も残量が多い値であり、エンドコードが最も残量の少ない値であると設定されている。そこで、残量に関する情報を記録する記録領域に記録されている残量に関する情報の中で最も小さい値である最小残量値は、新品挿入後に分割されたすべての記録領域に残量初期値を書き込むため、直近に書き込んだ残量に関する情報となる。よって、制御部6は、残量に関する情報を記録する記録領域の中で、最小残量値を読み取るように設計することで、必然として、マガジン20に残された実際の残量とほぼ同じ残量を読み取ることが可能である。また、残量に関する情報を書き込む際に、元の情報を消さないため、分割された残量に関する記録領域に対する書き込み回数を減らすこともできる。
【0043】
また、制御部6は、分割されたすべての残量に関する記録領域に残量に関する情報を同時に書き込まずに、分割された一部の残量に関する記録領域に書き込むようにする。これにより、ICタグ20’の残量に関する情報を記録する記録領域への書き込み回数は、分割されたすべての残量に関する記録領域で一律となることを避けることができ、例え、分割された一つの残量に関する記録領域に偏って書き込まれた結果、書き込み回数の制限を超えて、書き込み不可能となったとしても、分割された他の残量に関する記録領域は、書き込み回数の制限を超えていないため、書き込み不可能な分割された残量に関する記録領域を避けて記録することで、さらに残量に関する情報を書き込むことができる。尚、制御部6が残量に関する情報を記録する記録領域に対して残量に関する情報を書き込むときは、分割された一つの残量に関する記録領域に偏って書き込まないように、既に残量に関する情報が書き込まれた分割された残量に関する記録領域以外の分割された残量に関する記録領域や、最も残量に関する情報が少ない残量に関する情報を記録する記録領域以外の分割された残量に関する記録領域、最も大きい残量に関する情報を書き込まれた分割された残量に関する記録領域などに残量に関する情報を書き込むようにしてもよい。また、ランダムに分割された残量に関する記録領域を選択したり、分割された残量に関する記録領域毎に一定順序を決めて、順番に沿って書き込むようにしてもよい。
【0044】
ICタグ20’への残量に関する情報の記録(更新)は、感光材料の特定の使用に応じて、すなわち、前述の写真処理停止後、所定時間以上経過したとき(S10、S11)以外に、写真処理中であっても、写真処理が所定枚数や所定の稼働時間に達したときなどであってもよい。RAM63bと比較して、書き換え回数に制限があるICタグ20’は、上記の特定の使用に応じて書き込むことで、書き込み回数自体を減らすことができる。
【0045】
また、制御部6によりICタグ20’から残量に関する情報を読み取るとき(S6)について、制御部6は、分割されたすべての残量に関する記録領域の中から最小残量値を検索し、最小残量値を残量に関する情報として読み取り、RAM63bに書き込む。
【0046】
尚、画像処理装置内のRAM63bが、停電などにより、記録された残量に関する情報を読み込むことができない場合であっても、制御部6は、前記同様に、ICタグ20’の分割されたすべての残量に関する記録領域に記録されている残量に関する情報の中から、最小残量値を検索し、最小残量値を残量に関する情報として読み取り、RAM63bに書き込む。尚、このとき、すべての残量に関する情報が、初期値であった場合は、新品のままであると判断し、予め登録されたマガジンに収容された感光材料の使用可能量をRAM63bに書き込む。但し、ICタグ20’の残量に関する情報を記録する記録領域に書き込まれている残量に関する情報は、ある一定周期毎の残量に関する情報であるため、マガジンに収容されている感光材料の実際の残量と完全に一致しない場合もある。
【0047】
ゆえに、制御部6が画像処理装置内のRAM63bの残量に関する情報をICタグ20’への書き込みに必要な時間分の無停電を補償する無停電電源を備えておけば、写真処理中の停電などで写真処理装置への電源が喪失したときでも、ICタグ20’への書き込みを行うことができ、ICタグ20’に記録することができ、実際の残量とICタグ20’に書き込まれた残量に関する情報を一致させることができる。
【0048】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、制御部6によるICタグ20’の残量に関する情報を記録する記録領域への書き込みは、前記のとおり感光材料の特定の使用に応じて書き込まれ、マガジン20は、別の写真処理装置に装着して使用する場合であっても、ICタグ20’の残量に関する情報を記録する記録領域の残量に関する情報を利用し、共有することができる。写真処理装置から感光材料を取り外したときに、残量に関する情報をICタグ20’の残量に関する情報を記録する記録領域へ書き込む点を利用して、複数の感光材料を抱える場合に、別体のICタグリードライタを利用することで、在庫管理に利用することも可能である。感光材料の残量値は、制御部が残量値として識別可能な情報であればよいので、数値に限定されず、残量の比率や、特定の残量レベルを意味する記号などであってもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、消耗品及び収容体として、感光材料及びマガジンを用いていたが、写真処理装置において他にも様々な消耗品及び収容体を備えており、それらの消耗品及び収容体に対しても同様に実施してよい。すなわち、マガジン以外の消耗品及び収容体の例として、感光材料の裏面にコマ番号や画像の補正データ等を印字するインクは消耗品であり、印字装置のインクカートリッジは収容体であって、インクがなくなるとインクカートリッジを新品に交換する。現像処理部に使用する現像処理液も消耗品であり、なくなれば交換しなければならない。尚、写真処理装置内に設けられる消耗品及び収容体として、これらは一例であり、他の消耗品及び収容体に対しても同じように考えることができる。
【0051】
また、上記実施形態においては、マガジン20が装着されているか否かを検出するマガジン装着検出手段として、露光処理部2にセンサ65を設けるようにしているが、マガジン装着検出手段としては、露光処理部2側に設けられたリードライタ66とマガジン20側に設けられたICタグ20’との組み合わせであってもよい。具体的に言えば、リードライタ66は、マガジン20が装置本体に装着されると、ICタグ20’を検出し、これにより、ICタグ20’との無線通信が可能な状態(ステータス)となるが、この状態をもって、マガジン20が装置本体に装着されたと判断するようにしてもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態においては、感光材料に露光・現像処理を施して画像を形成する写真処理装置を一例にして説明したが、これに限定されるものではなく、インクやトナーを用いて記録用紙に画像を形成する印刷機、プリンタ、コピー機などの画像形成装置であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、ロール状に巻回してマガジン20内に収容される連続紙を記録用紙として用いたが、予め所定のサイズにカットされた状態でマガジンに収容される枚葉紙であってもよい。
【0054】
尚、上記実施形態においては、消耗品の消費に伴い使用者にて補充可能な収容体と消耗品を示したが、この実施形態に限らず、収容体に対して消耗品を補充できない使い捨てによるものや、使用済みの収容体を使用者から回収したものに対して消耗品を補充するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係る写真処理装置の外観斜視図である。
【図2】同写真処理装置の概略構成図である。
【図3】同写真処理装置における制御装置とその周辺装置との関係を示すブロック図である。
【図4】同写真処理装置における制御装置がマガジン(に収容された感光材料)の取り扱いに関して実行する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…写真処理装置(装置本体)、10…主筐体、11…副筐体、2…露光処理部、20…マガジン(20a〜20d…第一〜第四のマガジン)、20’…ICタグ、21…切断装置、22…露光ユニット、23…主搬送系、3…現像処理部、30…現像処理液槽(30a,30b…液槽)、32…主搬送系(32a…液中搬送系,32b…外部搬送系)、4…乾燥処理部、40…主搬送系、41…乾燥装置、5…仕分部、50…コンベア、51…仕分ユニット、6…制御装置(制御部)、60…モニター、61…入力手段、62…読取手段、63…演算処理装置(演算処理部)、64…バスライン、65…センサ(マガジン装着検出手段)、66…リードライタ(読取・書込手段)、67…測色計(測色手段)、A…露光ポイント、P…感光材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を収容する収容体を着脱自在に装着する画像形成装置であって、前記収容体に備わる不揮発性の記録手段に対して前記消耗品の残量に関する情報を読み書きする制御部を備える画像形成装置において、
前記記録手段は、前記残量に関する情報が記録される記録領域を備えると共に、該記録領域は、複数の記録領域に分割されており、
前記制御部は、前記残量に関する情報を書き込む記録領域を、前記記録手段のうち、前記残量に関する情報が記録される記録領域の分割された一部の記録領域とし、かつ、書き込み毎に異なる若しくは同一の記録領域に書き込み、そして、前記記録手段のうち、前記残量に関する情報が記録される記録領域の分割されたすべての記録領域に記録された残量に関する情報のうち、最も残量が少ないことを意味する最小残量値を残量に関する情報として読み取ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記収容体に収容される消耗品が初期状態にあるときに、初期状態を意味する残量初期値を、前記記録手段のうち、前記残量に関する情報が記録される記録領域の分割されたすべての記録領域に書き込む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記消耗品の使用に応じた残量に関する情報を記録する記憶手段を備え、前記消耗品の特定の使用に応じて、前記記憶手段に記録された残量に関する情報を前記記録手段に書き込む請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−79040(P2010−79040A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248562(P2008−248562)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】