画像形成装置
【課題】 画像形成装置において、印刷された文書の内容について後から検証することと、その内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることを可能とすること。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部とを設けることにより課題を解決した。さらに、印刷データ中の特定文字列の存在の有無により、印刷データを保存するかしないかの制御を行うこととした。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部とを設けることにより課題を解決した。さらに、印刷データ中の特定文字列の存在の有無により、印刷データを保存するかしないかの制御を行うこととした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置において、印刷されたデータの印刷出力後の内容の検証を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
米国でのSOX法(上場企業会計改革および投資家保護法)の制定を受けて、企業内文書での取り扱いに関して、一層のセキュリティの向上が必要とされるようになった。これまでも、文書の印刷に関して部門や個人での資格に対する制限等が行なわれていた。又、特殊な領収書や金銭に絡むものに関してファイルの出力制限などが行われていた。しかし、日常的に単純に印刷される文書の内容には大きな注意が払われていなかった。こういった文書中に重要な情報が記載されている可能性もあるが、従来の印刷ログを記録する方法では、実際の文書の中身についてまでの記録は残せないため、印刷終了後に印刷文書の内容を検証することはできず、文書の印刷に関する充分な危機管理を行うことはできなかった。
【0003】
従来技術として、画像出力装置のセキュリティ装置において、入力されるプリントジョブ中の特定の出力内容の有無を検知する特定出力内容検知手段1と、画像出力装置の紙詰まりを検知する紙詰まり検知手段2と、紙詰まりが生じたページの再印刷処理を制御する再印刷制御手段3とから構成し、特定出力内容検知手段1の出力と紙詰まり検知手段2の出力によって再印刷制御・出力制御手段3を制御して、特定内容を有するページに紙詰まりが生じた場合には再印刷を禁止する方法がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、ジョブ履歴を当該ジョブ履歴に関わったユーザ以外に参照できないように対策するとともに、全てのユーザのプライバシーに関する情報を取得できないように対策することで、セキュリティを向上させるデバイスおよび履歴表示制御方法を提供する方法がある(特許文献2参照)。
【0005】
しかし、これらの方法では印刷された文書の内容について、後から検証することはできない。また、印刷された文書について、その内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることはできない。
【特許文献1】特開平07−125391号公報
【特許文献2】特開2007−87002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、画像形成装置において印刷された文書の内容について後から検証することはできなかった点と、当該印刷された文書についてその内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることはできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部と、前記印刷データ及び前記印刷データリストの印刷出力をする印刷部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、さらに前記印刷データ中に特定文字列の存在を検知する特定文字列検知部と、前記特定文字列検知部が検知した前記特定文字列の存在の有無に基づいて、前記印刷データ保存部が前記印刷データを保存するかどうかを判断する印刷データ保存判断部とを有することを特徴としてもよい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記特定文字列検知部は、前記印刷データのヘッダ中から前記特定文字列の存在を検知することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置は、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部と、前記印刷データ及び前記印刷データリストの印刷出力をする印刷部とを有することを特徴とする。
【0011】
このため、印刷された文書の印刷データが保存してあるため、後から該文書の内容を検証することが可能となり、セキュリティの向上が可能となる。又、該印刷データリスト記録部の記録データを確認することにより、印刷されたデータがどのファイルで、誰により、いつ印刷されたかを確認可能となる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、さらに前記印刷データ中に特定文字列の存在を検知する特定文字列検知部と、前記特定文字列検知部が検知した前記特定文字列の存在の有無に基づいて、前記印刷データ保存部が前記印刷データを保存するかどうかを判断する印刷データ保存判断部とを有することを特徴としてもよい。
【0013】
このため、例えば保存せずに印刷許可するための特定文字列を決めて、印刷データ中に同特定文字列が含まれていれば、印刷データの保存を行うことなく印刷を可能とさせ、明らかに保存が必要の無い印刷データによるメモリリソースの無用な消費が抑制される。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の前記特定文字列検知部は、前記印刷データのヘッダ中から前記特定文字列の存在を検知することを特徴としてもよい。
【0015】
このため、印刷データのヘッダを読み込んだ早期の段階において、印刷データの保存を行うかどうかの判断が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
画像形成装置において、印刷された文書の内容について後から検証することができない問題点と当該印刷された文書について、その内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることはできない問題点を解決するために、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部とを設けた。
【実施例】
【0017】
[構成]
図1は、本発明の実施例に係わる画像形成装置の機能ブロック図である。
【0018】
画像形成装置101は、データ受信インタフェース部111、本体設定部113、記憶部115、制御部117、出力設定部119、印刷制御部121、印刷部123、解析部131とを有している。解析部131は、本発明の本質的な機能を司る機能部であるが、その内部にさらに特定文字列検知部133、印刷データ保存判断部135、印刷データ保存部137、印刷データリスト記録部139とを有している。
【0019】
以下に各機能部について説明する。
【0020】
データ受信インタフェース部111は、PC(Personal Computer)から送信された印刷データを受信する機能部である。インタフェースの規格はUSB、シリアル、パラレルないしはネットワークインタフェース等のいずれであってもよい。
【0021】
本体設定部113は、画像形成装置101本体の様々な初期設定を記録保持する機能部である。印刷許可の特定文字列が無くとも印刷させるかどうか等の初期設定を記録しておく。
【0022】
記憶部115は、半導体メモリ及び回転磁気ディスク装置等の記憶装置からなり、画像形成装置101の動作に必要なプログラムやデータを記録すると共に、本発明の印刷データ及び印刷データリストを記録する。
【0023】
制御部117は、CPUと周辺回路を有し、画像形成装置の動作の制御を行う。また、後述の解析部131が有する各機能部からの指示を得て、本発明の特徴的な動作の制御を行う。
【0024】
出力設定部119は、画像形成装置101が印刷出力を行う際の設定事項の記録保存を行う。
【0025】
印刷制御部121は、印刷部123で印刷出力を行う際に必要な制御を行う。
【0026】
印刷部123は、印刷エンジンを有し、紙などの媒体に印刷出力D53を行う。また、印刷部123は、印刷データ保存部137により保存された印刷データ及び印刷データリスト記録部139により記録された印刷データリストを印刷可能である。
【0027】
解析部131は、本発明の最も本質的な機能を司る機能部であり、PC201等から受信した印刷データの解析を行って、印刷データ及び印刷データリストの記録を行う。動作の詳細は以降の各機能部に記載する。
【0028】
特定文字列検知部133は、印刷データのヘッダ中に所定の印刷許可文字列が存在するかどうかを検知する。印刷データは一般的にページ記述言語で書かれており、そのヘッダ部分はPJL(Printer Job Language)などによるプリンタコントロールのコマンドが書かれているが、同ヘッダ中に印刷データの保存を行わないで印刷を許可することを表す印刷許可文字列を組み込んでおくと、その印刷データは保存することなく印刷が許可される。この文字列は、どのようなものであってもよいが、偶然にも同じ文字列が発生しないような”%”や”&”などの特殊文字を埋め込んだ、例えば、”%%&&PRINTABLE&NO−SAVE&&%%”のようなものが適当である。
【0029】
印刷データ保存判断部135は、前記特定文字列検知部133が印刷許可の特定文字列の存在を判断したときに、当該印刷データの保存を行わずに印刷を許可すると判断して、その指令を印刷データ保存部137に出す。
【0030】
印刷データ保存部137は、前記印刷データ保存判断部135の判断に基づき印刷データを保存する。印刷許可の特定文字列が印刷データ中に存在する場合は、印刷データの保存を行わない。無い場合には保存する。
【0031】
一旦記録された印刷データは、ユーザ又は管理者等の指示によってホスト等に送信することが可能であり、印刷データの詳細な内容の検討をホストコンピュータ上で行うことも可能である。
【0032】
印刷データリスト記録部139は、印刷データと該印刷データの印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する。印刷データが保存される場合にのみ印刷データリストを記録するという方法であってもよいし、印刷データが保存されるかされないかに限らず、印刷データリストを記録するという方法であってもよい。
【0033】
[フローチャート]
図2のフローチャートを用いて、印刷データ中の特定文字列の有無に従って印刷データ保存を行う画像形成装置の動作の流れについて説明する。
【0034】
最初のS11及びS13は、PC201上での処理動作である。
【0035】
S11:PC201において、印刷データを生成するが、その際に印刷許可の特定文字列を付加するかどうかの設定をユーザの入力にて行う。
【0036】
S13:S11で特定文字列の付加ないしは不付加の設定がされた印刷データを画像形成装置に送信し、印刷実行が指示される。
【0037】
以降は、画像形成装置101上での処理動作である。
【0038】
S21:データ受信インタフェース部111は、印刷データを受信する。
【0039】
S23:特定文字列検知部133は、保存を行わずに印刷を許可する印刷許可特定文字列が印刷データのヘッダ中にあるかどうかを検知する。印刷データ保存判断部135は、前記特定文字列の存在があったときは動作をS25に移行する。無かった場合には動作をS27に移行する。
【0040】
S25:印刷データリスト記録部139は、印刷データと関連付けて該印刷データの印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を印刷データリスト(図3のD51)に登録する。登録される印刷データリストは記憶部115に記録される。この後、動作をS37に移行する。
【0041】
S27:印刷データの全ての受信が完了したかどうかを判断する。印刷データの受信が完了すれば動作をS29に移行する。完了していなければS21に戻り以降の動作を繰り返す。
【0042】
S29:印刷データリスト記録部139は、印刷データと関連付けて該印刷データの印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を印刷データリスト(図3のD51)に登録する。登録される印刷データリストは記憶部115に記録される。
【0043】
S31:印刷データ保存部137は、印刷データの保存を行う。保存される印刷データは記憶部115に記録される。
【0044】
S33:本体設定部113に記録されている画像形成装置101の初期設定に従い、印刷許可の特定文字列が無い場合においても印刷を行うかどうかを判断する。初期設定によりその場合は印刷を行わないとする場合には、動作をS35に移行する。初期設定により印刷許可の特定文字列が無くとも印刷を許可する場合には、S37に動作を移行する。
【0045】
S35:印刷を行わないので制御部117は、印刷データを廃棄処理する。
【0046】
S37:印刷を行うと判断されたので、印刷データを印刷部123にて印刷出力する(図1のD53)。
【0047】
上記の一連の動作により、印刷データ中の印刷許可文字列の存在の有無により印刷データを保存するかどうかを判断して印刷を行う動作を完了する。
【0048】
次に、図3のフローチャートを用いて、記録された印刷データリストを利用する際の動作について説明する。
【0049】
S41:印刷データリスト記録部139は、ユーザの入力による印刷データリストの印刷指示を受け取る。
【0050】
S43:印刷データリスト記録部139は、S41のユーザの入力指示に従い、記憶部115に記憶されている印刷データリストから必要なデータを抽出する。
【0051】
S45:印刷部123において、印刷データリストを印刷出力する。
【0052】
上記の一連の動作により、印刷履歴である印刷データリストの出力動作が完了する。
【0053】
この後、印刷データリスト中にある保存された印刷データへの印刷出力を行ってもよいし、印刷データリストの出力を行わずに、単独で保存された印刷データの印刷出力を行ってもよい。
【0054】
[実施例の効果]
本発明実施例の画像形成装置により、以下のことが可能となる。
【0055】
印刷が完了した後でも、印刷データが保存されるため印刷内容について検証が可能である。
【0056】
印刷データの検証の際には、印刷データリストに記録してある印刷日時、印刷実行ユーザ、ファイル名等とのデータをも取得可能である。
【0057】
保存された印刷データをホストに再送信することも可能であるので、複数台の画像形成装置がネットワーク化されているような場合であっても、データ管理が容易となる。
【0058】
[その他]
本発明実施例では、特定文字列がヘッダ中に存在するかどうかを検知する方法としたが、ヘッダ中に限定せずに印刷データ全体の中に存在するかどうかを検知する方法としてもよい。
【0059】
本発明実施例では、特定文字列が存在すると保存を行わずに印刷を許可するとの設定にしたが、例えば特定文字列が存在しないと保存を行わずに印刷を許可するなどの他の設定によって動作させる方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明実施例の画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明実施例の画像形成装置の印刷指示から印刷データ保存、印刷までの動作のフローチャートである。
【図3】本発明実施例の画像形成装置の印刷データリスト印刷時のフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
101 画像形成装置
111 データ受信インタフェース部
113 本体設定部
115 記憶部
117 制御部
119 出力設定部
121 印刷制御部
123 印刷部
131 解析部
133 特定文字列検知部
135 印刷データ保存判断部
137 印刷データ保存部
139 印刷データリスト記録部
【技術分野】
【0001】
画像形成装置において、印刷されたデータの印刷出力後の内容の検証を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
米国でのSOX法(上場企業会計改革および投資家保護法)の制定を受けて、企業内文書での取り扱いに関して、一層のセキュリティの向上が必要とされるようになった。これまでも、文書の印刷に関して部門や個人での資格に対する制限等が行なわれていた。又、特殊な領収書や金銭に絡むものに関してファイルの出力制限などが行われていた。しかし、日常的に単純に印刷される文書の内容には大きな注意が払われていなかった。こういった文書中に重要な情報が記載されている可能性もあるが、従来の印刷ログを記録する方法では、実際の文書の中身についてまでの記録は残せないため、印刷終了後に印刷文書の内容を検証することはできず、文書の印刷に関する充分な危機管理を行うことはできなかった。
【0003】
従来技術として、画像出力装置のセキュリティ装置において、入力されるプリントジョブ中の特定の出力内容の有無を検知する特定出力内容検知手段1と、画像出力装置の紙詰まりを検知する紙詰まり検知手段2と、紙詰まりが生じたページの再印刷処理を制御する再印刷制御手段3とから構成し、特定出力内容検知手段1の出力と紙詰まり検知手段2の出力によって再印刷制御・出力制御手段3を制御して、特定内容を有するページに紙詰まりが生じた場合には再印刷を禁止する方法がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、ジョブ履歴を当該ジョブ履歴に関わったユーザ以外に参照できないように対策するとともに、全てのユーザのプライバシーに関する情報を取得できないように対策することで、セキュリティを向上させるデバイスおよび履歴表示制御方法を提供する方法がある(特許文献2参照)。
【0005】
しかし、これらの方法では印刷された文書の内容について、後から検証することはできない。また、印刷された文書について、その内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることはできない。
【特許文献1】特開平07−125391号公報
【特許文献2】特開2007−87002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、画像形成装置において印刷された文書の内容について後から検証することはできなかった点と、当該印刷された文書についてその内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることはできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部と、前記印刷データ及び前記印刷データリストの印刷出力をする印刷部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、さらに前記印刷データ中に特定文字列の存在を検知する特定文字列検知部と、前記特定文字列検知部が検知した前記特定文字列の存在の有無に基づいて、前記印刷データ保存部が前記印刷データを保存するかどうかを判断する印刷データ保存判断部とを有することを特徴としてもよい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記特定文字列検知部は、前記印刷データのヘッダ中から前記特定文字列の存在を検知することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置は、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部と、前記印刷データ及び前記印刷データリストの印刷出力をする印刷部とを有することを特徴とする。
【0011】
このため、印刷された文書の印刷データが保存してあるため、後から該文書の内容を検証することが可能となり、セキュリティの向上が可能となる。又、該印刷データリスト記録部の記録データを確認することにより、印刷されたデータがどのファイルで、誰により、いつ印刷されたかを確認可能となる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、さらに前記印刷データ中に特定文字列の存在を検知する特定文字列検知部と、前記特定文字列検知部が検知した前記特定文字列の存在の有無に基づいて、前記印刷データ保存部が前記印刷データを保存するかどうかを判断する印刷データ保存判断部とを有することを特徴としてもよい。
【0013】
このため、例えば保存せずに印刷許可するための特定文字列を決めて、印刷データ中に同特定文字列が含まれていれば、印刷データの保存を行うことなく印刷を可能とさせ、明らかに保存が必要の無い印刷データによるメモリリソースの無用な消費が抑制される。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の前記特定文字列検知部は、前記印刷データのヘッダ中から前記特定文字列の存在を検知することを特徴としてもよい。
【0015】
このため、印刷データのヘッダを読み込んだ早期の段階において、印刷データの保存を行うかどうかの判断が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
画像形成装置において、印刷された文書の内容について後から検証することができない問題点と当該印刷された文書について、その内容と印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて調べることはできない問題点を解決するために、印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部とを設けた。
【実施例】
【0017】
[構成]
図1は、本発明の実施例に係わる画像形成装置の機能ブロック図である。
【0018】
画像形成装置101は、データ受信インタフェース部111、本体設定部113、記憶部115、制御部117、出力設定部119、印刷制御部121、印刷部123、解析部131とを有している。解析部131は、本発明の本質的な機能を司る機能部であるが、その内部にさらに特定文字列検知部133、印刷データ保存判断部135、印刷データ保存部137、印刷データリスト記録部139とを有している。
【0019】
以下に各機能部について説明する。
【0020】
データ受信インタフェース部111は、PC(Personal Computer)から送信された印刷データを受信する機能部である。インタフェースの規格はUSB、シリアル、パラレルないしはネットワークインタフェース等のいずれであってもよい。
【0021】
本体設定部113は、画像形成装置101本体の様々な初期設定を記録保持する機能部である。印刷許可の特定文字列が無くとも印刷させるかどうか等の初期設定を記録しておく。
【0022】
記憶部115は、半導体メモリ及び回転磁気ディスク装置等の記憶装置からなり、画像形成装置101の動作に必要なプログラムやデータを記録すると共に、本発明の印刷データ及び印刷データリストを記録する。
【0023】
制御部117は、CPUと周辺回路を有し、画像形成装置の動作の制御を行う。また、後述の解析部131が有する各機能部からの指示を得て、本発明の特徴的な動作の制御を行う。
【0024】
出力設定部119は、画像形成装置101が印刷出力を行う際の設定事項の記録保存を行う。
【0025】
印刷制御部121は、印刷部123で印刷出力を行う際に必要な制御を行う。
【0026】
印刷部123は、印刷エンジンを有し、紙などの媒体に印刷出力D53を行う。また、印刷部123は、印刷データ保存部137により保存された印刷データ及び印刷データリスト記録部139により記録された印刷データリストを印刷可能である。
【0027】
解析部131は、本発明の最も本質的な機能を司る機能部であり、PC201等から受信した印刷データの解析を行って、印刷データ及び印刷データリストの記録を行う。動作の詳細は以降の各機能部に記載する。
【0028】
特定文字列検知部133は、印刷データのヘッダ中に所定の印刷許可文字列が存在するかどうかを検知する。印刷データは一般的にページ記述言語で書かれており、そのヘッダ部分はPJL(Printer Job Language)などによるプリンタコントロールのコマンドが書かれているが、同ヘッダ中に印刷データの保存を行わないで印刷を許可することを表す印刷許可文字列を組み込んでおくと、その印刷データは保存することなく印刷が許可される。この文字列は、どのようなものであってもよいが、偶然にも同じ文字列が発生しないような”%”や”&”などの特殊文字を埋め込んだ、例えば、”%%&&PRINTABLE&NO−SAVE&&%%”のようなものが適当である。
【0029】
印刷データ保存判断部135は、前記特定文字列検知部133が印刷許可の特定文字列の存在を判断したときに、当該印刷データの保存を行わずに印刷を許可すると判断して、その指令を印刷データ保存部137に出す。
【0030】
印刷データ保存部137は、前記印刷データ保存判断部135の判断に基づき印刷データを保存する。印刷許可の特定文字列が印刷データ中に存在する場合は、印刷データの保存を行わない。無い場合には保存する。
【0031】
一旦記録された印刷データは、ユーザ又は管理者等の指示によってホスト等に送信することが可能であり、印刷データの詳細な内容の検討をホストコンピュータ上で行うことも可能である。
【0032】
印刷データリスト記録部139は、印刷データと該印刷データの印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する。印刷データが保存される場合にのみ印刷データリストを記録するという方法であってもよいし、印刷データが保存されるかされないかに限らず、印刷データリストを記録するという方法であってもよい。
【0033】
[フローチャート]
図2のフローチャートを用いて、印刷データ中の特定文字列の有無に従って印刷データ保存を行う画像形成装置の動作の流れについて説明する。
【0034】
最初のS11及びS13は、PC201上での処理動作である。
【0035】
S11:PC201において、印刷データを生成するが、その際に印刷許可の特定文字列を付加するかどうかの設定をユーザの入力にて行う。
【0036】
S13:S11で特定文字列の付加ないしは不付加の設定がされた印刷データを画像形成装置に送信し、印刷実行が指示される。
【0037】
以降は、画像形成装置101上での処理動作である。
【0038】
S21:データ受信インタフェース部111は、印刷データを受信する。
【0039】
S23:特定文字列検知部133は、保存を行わずに印刷を許可する印刷許可特定文字列が印刷データのヘッダ中にあるかどうかを検知する。印刷データ保存判断部135は、前記特定文字列の存在があったときは動作をS25に移行する。無かった場合には動作をS27に移行する。
【0040】
S25:印刷データリスト記録部139は、印刷データと関連付けて該印刷データの印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を印刷データリスト(図3のD51)に登録する。登録される印刷データリストは記憶部115に記録される。この後、動作をS37に移行する。
【0041】
S27:印刷データの全ての受信が完了したかどうかを判断する。印刷データの受信が完了すれば動作をS29に移行する。完了していなければS21に戻り以降の動作を繰り返す。
【0042】
S29:印刷データリスト記録部139は、印刷データと関連付けて該印刷データの印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を印刷データリスト(図3のD51)に登録する。登録される印刷データリストは記憶部115に記録される。
【0043】
S31:印刷データ保存部137は、印刷データの保存を行う。保存される印刷データは記憶部115に記録される。
【0044】
S33:本体設定部113に記録されている画像形成装置101の初期設定に従い、印刷許可の特定文字列が無い場合においても印刷を行うかどうかを判断する。初期設定によりその場合は印刷を行わないとする場合には、動作をS35に移行する。初期設定により印刷許可の特定文字列が無くとも印刷を許可する場合には、S37に動作を移行する。
【0045】
S35:印刷を行わないので制御部117は、印刷データを廃棄処理する。
【0046】
S37:印刷を行うと判断されたので、印刷データを印刷部123にて印刷出力する(図1のD53)。
【0047】
上記の一連の動作により、印刷データ中の印刷許可文字列の存在の有無により印刷データを保存するかどうかを判断して印刷を行う動作を完了する。
【0048】
次に、図3のフローチャートを用いて、記録された印刷データリストを利用する際の動作について説明する。
【0049】
S41:印刷データリスト記録部139は、ユーザの入力による印刷データリストの印刷指示を受け取る。
【0050】
S43:印刷データリスト記録部139は、S41のユーザの入力指示に従い、記憶部115に記憶されている印刷データリストから必要なデータを抽出する。
【0051】
S45:印刷部123において、印刷データリストを印刷出力する。
【0052】
上記の一連の動作により、印刷履歴である印刷データリストの出力動作が完了する。
【0053】
この後、印刷データリスト中にある保存された印刷データへの印刷出力を行ってもよいし、印刷データリストの出力を行わずに、単独で保存された印刷データの印刷出力を行ってもよい。
【0054】
[実施例の効果]
本発明実施例の画像形成装置により、以下のことが可能となる。
【0055】
印刷が完了した後でも、印刷データが保存されるため印刷内容について検証が可能である。
【0056】
印刷データの検証の際には、印刷データリストに記録してある印刷日時、印刷実行ユーザ、ファイル名等とのデータをも取得可能である。
【0057】
保存された印刷データをホストに再送信することも可能であるので、複数台の画像形成装置がネットワーク化されているような場合であっても、データ管理が容易となる。
【0058】
[その他]
本発明実施例では、特定文字列がヘッダ中に存在するかどうかを検知する方法としたが、ヘッダ中に限定せずに印刷データ全体の中に存在するかどうかを検知する方法としてもよい。
【0059】
本発明実施例では、特定文字列が存在すると保存を行わずに印刷を許可するとの設定にしたが、例えば特定文字列が存在しないと保存を行わずに印刷を許可するなどの他の設定によって動作させる方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明実施例の画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明実施例の画像形成装置の印刷指示から印刷データ保存、印刷までの動作のフローチャートである。
【図3】本発明実施例の画像形成装置の印刷データリスト印刷時のフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
101 画像形成装置
111 データ受信インタフェース部
113 本体設定部
115 記憶部
117 制御部
119 出力設定部
121 印刷制御部
123 印刷部
131 解析部
133 特定文字列検知部
135 印刷データ保存判断部
137 印刷データ保存部
139 印刷データリスト記録部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、
前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部と、
前記印刷データ及び前記印刷データリストの印刷出力をする印刷部とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記印刷データ中に特定文字列の存在を検知する特定文字列検知部と、
前記特定文字列検知部が検知した前記特定文字列の存在の有無に基づいて、前記印刷データ保存部が前記印刷データを保存するかどうかを判断する印刷データ保存判断部とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置であって、
前記特定文字列検知部は、前記印刷データのヘッダ中から前記特定文字列の存在を検知する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
印刷データを保存して記録する印刷データ保存部と、
前記印刷データと印刷日時、印刷実行ユーザ、印刷ファイル名を関連付けて記録する印刷データリスト記録部と、
前記印刷データ及び前記印刷データリストの印刷出力をする印刷部とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記印刷データ中に特定文字列の存在を検知する特定文字列検知部と、
前記特定文字列検知部が検知した前記特定文字列の存在の有無に基づいて、前記印刷データ保存部が前記印刷データを保存するかどうかを判断する印刷データ保存判断部とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置であって、
前記特定文字列検知部は、前記印刷データのヘッダ中から前記特定文字列の存在を検知する
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−99994(P2010−99994A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275366(P2008−275366)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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