画像形成装置
【課題】装置本体との間で動力伝達を行なう交換ユニットの出荷時においてユニット可動部を固定しておくための固定部材を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を可能にする画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体のカップリング98aに連結されて装置本体からユニット12への動力伝達を行うカップリング98bが装置本体からの動力で初めて変位する前に装置本体からの動力以外の力で変位するのを防止すべく、カップリング98bをユニット12の非変位部に繋ぎ止める固定部材505は、カップリング98bとの係合部がカップリング98b、98aに挟まれるとともに装置本体からの初めての動力伝達によりユニット12の非変位部に固定された固定部に対して変位しようとすることにより、破断し、ユニット12は、固定部材505の破断を検知してユニット12の新旧を判断可能にする検知手段を備える。
【解決手段】装置本体のカップリング98aに連結されて装置本体からユニット12への動力伝達を行うカップリング98bが装置本体からの動力で初めて変位する前に装置本体からの動力以外の力で変位するのを防止すべく、カップリング98bをユニット12の非変位部に繋ぎ止める固定部材505は、カップリング98bとの係合部がカップリング98b、98aに挟まれるとともに装置本体からの初めての動力伝達によりユニット12の非変位部に固定された固定部に対して変位しようとすることにより、破断し、ユニット12は、固定部材505の破断を検知してユニット12の新旧を判断可能にする検知手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やレーザビームプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置において、像担持体(感光ドラム)及びその周りのクリーナや現像器、中間転写ベルト等をいわゆるプロセスカートリッジとしてユニット化した構成が知られている。ユニット化されたプロセスカートリッジは、ユニットごとプリンタ本体、即ち画像形成装置本体に対して交換自在に構成されている。プロセスカーリッジと同様に、像担持体上に形成されたトナー像を転写材(紙等)へ転写させる転写部材(転写ローラ等)やベルト部材、張架ローラなどで構成される転写ユニットに関しても、消耗品であり交換する場合がある。
交換に伴って、プロセスカートリッジや転写ユニットの新旧を検知するために、様々な提案がされている。例えば、特許文献1には、プロセスカートリッジに設けたヒューズによって新旧を判断する方法が提案されている。また、特許文献2には、新品検知シールによって転写ユニットが新品か否かを検知する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−118736号公報
【特許文献2】特許第3050872号公報
【特許文献3】特開2004−306926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユニットを新品と判断した場合に所定の初期化処理を行ってヒューズを切断する処理をおこなうため、次のような問題が生じる。ユニットの生産工程では、ユニットの出荷前にユニットの機能・性能確認を行うのが一般的である。出荷前確認では、通常、転写ベルトや転写ローラなどを組み合わせた状態で、ユニットを装置本体に装着し、実際に画像を出力させて、当該ユニットの不良の有無を確認する。ところが、出荷前確認時に、通常の使用時と同じシーケンスで画像の出力確認等を行なってしまうとヒューズが切断されてしまうため、出荷前確認時には、新品検知機能を無効化することができる特別なシーケンスを別途用意する必要がある。しかし、出荷前確認時と実際の使用時とで別個にシーケンスを用意することは、これらの工程設定を複雑なものとしてしまう。勿論、出荷前確認時には、ヒューズをつけないまま確認するという方法も考えられる。しかしながら、ヒューズは電気的に接続する必要があるため転写ユニットに予め組み込まれるのが通常であり、ヒューズを着脱自在にするためには特別な構造等が必要となる。さらに、ユーザがユニットを交換するときにヒューズが外れたりしないよう、ユニットへの取付には確実性・堅牢性が要求される。このように、ヒューズを取付ける構成は、「トレードオフ」の関係があり、必ずしも生産性の高いものではない。一方、特許文献2に記載の技術では、画像形成に係わる転写体に直接、新品検知シールを接着するため、転写体表面に糊が残ることや、剥がれたテープ端部が転写体表面と摺擦するなどして転写体表面を汚損するおそれがある。
【0005】
本発明は、装置本体との間で動力伝達を行なう交換ユニットの出荷時においてユニット可動部を固定しておくための固定部材(シップロック部材)を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、
転写材に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能に構成されるとともに前記装置本体から動力が伝達されて駆動されるユニットと、を備え、
前記ユニットは、
前記装置本体の動力伝達部に連結されて前記動力伝達部とともに変位することにより前記装置本体からの動力を受け取る被動力伝達部と、
前記被動力伝達部が前記装置本体からの動力によって初めて変位する前に前記装置本体からの動力以外の力によって変位するのを防止すべく、前記被動力伝達部を前記ユニットの非変位部に繋ぎ止める固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記非変位部に固定される固定部と、前記被動力伝達部に係合される係合部と、を有する画像形成装置において、
前記固定部材は、前記係合部が前記被動力伝達部と前記動力伝達部とによって挟まれる位置で前記被動力伝達部に係合されるとともに、前記装置本体からの初めての動力伝達によって変位する前記動力伝達部及び前記被動力伝達部とともに前記係合部が前記固定部に対して変位しようとすることにより、破断するように構成されており、
前記固定部材の破断を検知して前記ユニットの新旧を判断可能にする検知手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置本体との間で動力伝達を行なう交換ユニットの出荷時においてユニット可動部を固定しておくための固定部材(シップロック部材)を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像形成装置の断面図。
【図2】図1の画像形成装置に装着される転写ユニットの斜視図。
【図3】図2の当接離間機構に関連するカムと離間ロッドの動作を示す拡大説明図。
【図4】全離間モードでの転写ベルトと像担持体の当接関係を示す概略断面図。
【図5】全当接モードでの転写ベルトと像担持体の当接関係を示す概略断面図。
【図6】モノカラーモードでの転写ベルトと像担持体の当接関係を示す概略断面図。
【図7】転写ローラ軸受と離間ロッドの部分拡大斜視図。
【図8】転写ローラ軸受と離間ロッドの当接・離間時の説明図。
【図9】画像形成装置本体と転写ユニットとのインターフェース部の拡大説明図。
【図10】画像形成装置本体と転写ユニットとのインターフェース部の拡大説明図。
【図11】各モード毎のカップリングの回転位相を示す説明図。
【図12】新品検知機構の説明図。
【図13】固定部材の切断性向上に関する具体例を示す説明図。
【図14】転写ユニットの新品検知機構の構成を説明する模式図。
【図15】各モード毎のカップリングの回転位相を示す説明図。
【図16】新品検知機構の説明図。
【図17】各モード毎のカップリングの回転位相を示す説明図。
【図18】本発明のカラー画像形成装置の制御ブロック図。
【図19】画像メモリ部の制御ブロック図。
【図20】外部I/F処理部の構成図。
【図21】画像形成システムの構成図。
【図22】転写ユニットの当接離間検知のフローチャート。
【図23】転写ユニットの新品検知のフローチャート。
【図24】画像形成システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施例1>
[全体構成]
図1は、本発明に係る画像形成装置の断面図である。図1に示すカラーの画像形成装置は、画像形成装置本体100に対して着脱自在なプロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ7a〜7dは、構造は同一であるが、異なる色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーによる画像を形成
する点で相違している。プロセスカートリッジ7a〜7dは、ドラムユニット4a,4b,4c,4dと
、現像ユニット5a,5b,5c,5dとによって構成されている。ドラムユニット4a〜4dは、それ
ぞれ像担持体である感光ドラム1a,1b,1c,1dと、帯電ローラ2a,2b,2c,2dと、ドラムクリーニングブレード8a,8b,8c,8dと、廃トナー容器とを有している。現像ユニット5a〜5dは、
現像ローラ50a,50b,50c,50dと、現像剤塗布ローラ51a,51b,51c,51dとを有している。プロセスカートリッジ7a〜7dの下方にはスキャナユニット3が配置され、画像信号に基づく露
光を感光ドラム1a〜1dに対して行う。感光ドラム1a〜1dは、帯電ローラ2a〜2dによって所定の負極性の電位に帯電された後、スキャナユニット3によってそれぞれ静電潜像が形成
される。この静電潜像は、現像ユニット5a〜5dによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY,M,C,Bkのトナー像が形成される。
【0011】
中間転写ベルトユニット(以下、転写ユニット)12は、1次転写ローラ12a,12b,12c,12dと、中間転写ベルト(ベルト部材。以下、ベルトとする)12eと、駆動ローラ12fと、2
次転写対向ローラ12gと、テンションローラ12hと、を備える。各ローラは、転写ユニット12の不図示のハウジング部材によって回転可能に軸支されている。また、転写ユニット12は、後述するように1次転写ローラ12a〜12dをベルト12eに対して当接及び離間させるた
めの機構を備える。
【0012】
なお、以下の説明では、感光ドラム1a〜1dは、区別して説明する必要がある場合を除き、感光ドラム1とする。他のプロセスカートリッジ7a〜7dやクリーニングブレード8a〜8d
等の部材についても、同様に、プロセスカートリッジ7、クリーニングブレード8等とする。
【0013】
ベルト12eは、駆動ローラ12f、2次転写対向ローラ12g、テンションローラ12hによって張架されている。テンションローラ12hは、矢印B方向に張力をかけている。また、1次転写ローラ12a〜12dは、ベルト12eの内側において各感光ドラム1に対向する位置にそれぞれ配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスが印加される構成となっている。各感光ドラム1は矢印方向に回転し、ベルト12eは矢印A方向に回転する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ12a〜12dに正極性のバイアスが印加さ
れることにより、感光ドラム1a上のトナー像から順次、ベルト12e上に1次転写される。
4色のトナー像は、ベルト12e上に重なった状態で転写され、2次転写部15まで搬送され
る。
【0014】
給搬送装置13は、転写材Pを収納する給紙カセット11内から転写材Pを給紙する給紙ローラ9と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ10とを有している。そして、給搬送装置13から搬送された転写材Pはレジストローラ対17によって2次転写部15に搬送される。2
次転写部15において、2次転写ローラ16に正極性のバイアスを印加することにより、転写
材Pにベルト12e上の4色のトナー像を2次転写する。トナー像転写後の転写材Pは、定着
装置14に搬送され、定着ローラ141と加圧ローラ142とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは、排紙ローラ対20によって排紙トレー21に排
出される。
【0015】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム1表面に残ったトナーは、クリーニングブレード8によって除去される。また、転写材Pへの2次転写後にベルト12e上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去される。除去されたトナーは、不図示の廃トナー搬送路(図中破線矢印)を通過し、廃トナー回収容器23へと回収される。
【0016】
[中間転写ベルト当接・離間機構]
図2〜図9を参照して、ベルト12eをプロセスカートリッジ7の感光ドラム1に対して当接
及び離間させるための機構について説明する。図2は、図1の画像形成装置に装着される転写ユニット12の概要構成及び対応する感光体ドラム1を示す斜視図である。図3は当接・離間機構の一部であるカムと離間ロッドの部分拡大図である。図4〜図6は、それぞれ全離間モード(第3モード)、全色当接するフルカラーモード(第1モード)、モノカラーモード(第2モード)における転写ユニットの概略構成を示す断面図(図3とは逆側から見た(L
側からR側を見たときの)断面図)である。図7は、転写ローラ軸受と離間ロッドの部分拡大斜視図である。図8は、転写ローラ軸受と離間ロッドの当接・離間時の説明図である。
図9は、画像形成装置本体と転写ユニットとのインターフェース部の拡大説明図である。
【0017】
ベルト12eの感光ドラム1との当接及び離間動作は、フルカラーモード(第1モード)、モノカラーモード(第2モード)、全色離間モード(第3モード)の3種類のモードから選択できるように構成されている。フルカラーモードでは、ベルト12eが全ての感光ドラム1と当接した状態となり、転写材Pに対して複数色を重ね合わせた多色記録が行なわれる。
モノカラーモードでは、ベルト12eが感光ドラム1のうちのひとつと当接した状態となり、転写材Pに対して単色のみで記録が行なわれる。全色離間モードでは、ベルト12eが全ての感光ドラム1から離間した状態となる。
【0018】
感光ドラム1に対するベルト12eの当接・離間動作は、1次転写ローラ12a〜12dをベルト12eに対して当接及び離間させることにより行なわれる。1次転写ローラ12a〜12dは、対
応する感光ドラム1に対してベルト12eを挟んで対向する位置に配置されている。1次転写ローラ12a〜12dは、対応する感光ドラム1に向かって移動してベルト12eの内側の面に当接するとともに、ベルト12eの外側の面が感光ドラム1と当接するまでベルト12eを引っ張っ
て移動する。これにより、ベルト12eが感光ドラム1と当接する。
【0019】
本実施例では、供給電源の瞬停等による異常な場合を除き、電源OFF及び装置スタンバ
イ状態は、一次転写ローラ12a〜12dを全て退避させ、ベルト12eが全ての感光ドラム1から離間した全色離間モードとなる。これは、ベルト12eと感光ドラム1が当接状態で長期間放置されると、ベルト12eや一次転写ローラ12a〜12dに「クリープ」のような局所的な塑性
変形等を生じる場合があり、画質低下の恐れがあるためである。また、感光ドラム1とベ
ルト12eの間にクリアランスを確保することで、プロセスカートリッジ7や転写ユニット12の交換時に、感光ドラム1とベルト12eが摺擦するのを少しでも回避するためでもある。
【0020】
図2に示すように、ベルト12e及び1次転写ローラ12a〜12dを感光ドラム1に対して当接
及び離間させる機構は、駆動ローラ12f、従動ローラ12g、テンションローラ12hの3本の
張架ローラにより構成される空間に配置されている。当該機構は、転写加圧バネ90aR〜90dR,90aL〜90dL、転写ローラ軸受91aR〜91dR,91aL〜91dL、離間ロッド92aR,92bR,92aL,92bL、離間軸93、離間カム94a,94b、ギア95等により構成される。当該機構の動力は、画像形成装置本体100から供給される。
【0021】
画像形成装置本体100から転写ユニット12(1次転写ローラ12a〜12dを駆動する機構)
への動力伝達は、装置本体100に設けられた駆動出力ギア96からカップリング98a,98bを介して行なわれる。ギア95は、駆動出力側のカップリング98aと同軸に設けられた駆動出力
ギア96と噛み合っており、装置本体側上流側の駆動系列から駆動伝達される。離間軸93は、ユニット側のカップリング98bと同軸に設けられており、その両側に離間カム94a,94bが固定されている。離間カム94a,94bにはそれぞれ、離間ロッド92aR・92bR,92aL・92bLが接続されている。各離間ロッド92は、離間カム94の回転に伴い、感光ドラム1aから感光ドラム1dまでの並び方向と略同一(略平行)の方向にスライドするように構成されている(図2破線矢印)。
【0022】
ギア95の歯数は17、ギア96の歯数はその3倍(自然数倍)の51としている。そして、ギ
ア95の駆動上流にある不図示の欠歯ギアとソレノイドにより、ソレノイドのON・OFF1回
ごとに、ギア95の1回転制御と、ギア96及びカップリング98a,98bの1/3回転制御を実現し
ている。ギア96は図2のX矢印(曲線の実線矢印)の方向に回転する。回転制御に関しては、欠歯ギアとソレノイドという構成以外に、ステッピングモータによる回転角度制御や、電磁クラッチなどの駆動制御手段を用いても同等の機能を実現可能である。ソレノイドのON・OFFによるギア96の1/3回転制御は、カップリング98a,98bが図2のX矢印のように1回
転するごとに、図4→図5→図6→図4のようにモードが変化する。即ち、全色離間モード(第3モード)→フルカラーモード(第1モード)→モノカラーモード(第2モード)→全色
離間モード(第3モード)というメカ動作を繰り返す。
【0023】
図3〜図6を参照して、さらに詳細に説明する。なお、図2に示すように、転写ユニット12は、離間カム94a及び符号に“R”を含む部材による構成と、離間カム94b及び符号に“L
”を含む部材による構成とが、転写材Pの搬送方向に対して左右対称に構成されている。
したがって、ここでは、離間カム94a及び“R”を含む部材による構成について説明し、反対側の構成についての説明は省略する。
【0024】
図3に当接離間動作に関与する、離間カム94aと離間ロッド92aR・92bRの部分拡大図を示す。図3(a)は離間カム94aの斜視図である。離間カム94aは、離間軸93の軸方向にそって、離間ロッド92aR・92bRに作用する、94aa・94ab・94acの3つのカム形状を有している。次
に、全離間モードの時の離間ロッド92bRと離間カム94aの関係を示す部分拡大図を図3(b)
に、同じく、離間ロッド92aRと離間カム94aの関係を示す部分拡大図を図3(c)に示す。ギ
ア96の1回転により、全離間モードから全当接モードになる時には、図3(b)・(c)の破線矢印のように時計回りに離間カム94aが1/3回転する。そして、図3(d)・(e)に示す図の右方
向に示す矢印のように離間ロッド92aR・92bRが移動して、フルカラーモードとなる。さらに、離間カム94aが反時計回りに1/3回転すると、今度は、図3(f)・(g)のように離間ロッ
ド92aRのみが図の左方向に移動しモノモードとなる。同様にして、全離間モードにする時には、離間カム94aを時計回りに1/3回転させ、図3(b)・(c)の状態に戻すのである。この
ようにして、カップリング98a,98b,離間軸93及び離間カム94aを介して離間ロッド92aR,92bRが感光体ドラム1aから感光体ドラム1dの並び方向と略平行(図4〜図6中矢印方向)にスライドする。これに追従して転写ローラ軸受91aR〜91dRが回転(揺動)し、各転写ローラ軸受91aR〜91dRにおける転写ローラ12a〜12dの支持部が、転写加圧バネ90aR〜90dRの軸方向(加圧方向)に沿って順方向または逆方向に移動する。これにより転写ローラ12a〜12dが移動し、感光体ドラム1とベルト12eの当接・離間が行なわれる。
【0025】
モード間遷移ごとの離間ロッド92の変化を詳述する。全色離間モード(第3モード)か
らフルカラーモード(第1モード)への遷移時には、離間ロッド92aR及び離間ロッド92bR
が、いずれも図4中の矢印方向に移動する。ここで、離間ロッド92aRは、1次転写ローラ12a〜12cを駆動するための1番目から3番目の転写ローラ軸受91aR〜91cRを揺動させるよ
うに構成されている。また、離間ロッド92bRは、1次転写ローラ12dを駆動するための4
番目の転写ローラ軸受91dRを揺動させるように構成されている。これにより、図5に示す
ように、全ての1次転写ローラ12a〜12dがベルト12eに当接し、ベルト12eが全ての感光ドラム1に当接する。次に、フルカラーモード(第1モード)からモノカラーモード(第2モ
ード)への遷移時には、離間ロッド92aのみが図5中の矢印方向に移動する。これにより、図6に示すように、1次転写ローラ12a〜12cがベルト12eから離間し、ベルト12eも感光ド
ラム1a〜1cから離間する。そして、モノカラーモード(第2モード)から全色離間モード
(第3モード)への遷移時には、離間ロッド92bのみが図6中の矢印方向に移動する。これ
により、図4に示すように、1次転写ローラ12dがベルト12eから離間し、ベルト12eも感光ドラム1dから離間し、全色離間モード(第3モード)に戻る。
【0026】
図7及び図8を参照して、離間ロッド92と転写ローラ軸受91の関係について説明する。なお、図7は、代表例として1次転写ローラ12dを駆動するための4番目の転写ローラ軸受91dRのボス部91nRが、離間ロッド92bRのカム形状(斜面状になっている箇所)に載っている状態を表している。離間ロッド92がスライドすると、ボス部91nRが、離間ロッド92bRのカム形状に応じて、転写ローラ軸受91dRの揺動中心91hRを中心に図7の矢印のように揺動す
る。この結果、図8の略上下方向に転写ローラ軸受91dR及び1次転写ローラ12dが移動し、ベルト12eと1次転写ローラ12d(すなわち、ベルト12eと感光ドラム1d)の当接離間を実
現している(図8(a)が離間時、同(b)が当接時を示す)。なお、1〜3番目の転写ローラ
軸受91と離間ロッド92の関係についても同様に構成されている。
【0027】
[当接離間検知構成]
図9〜図11を参照して、ベルト12eの当接離間検知構成について説明する。図9及び図10
は、本体側のカップリング98a(動力伝達部)と、転写ユニット12側のカップリング98b(被動力伝達部)のインターフェース部の拡大図を示している。装置本体に対して着脱可能に構成された転写ユニット12は、カップリング98aとカップリング98bとが連結することにより、装置本体から動力が伝達されて駆動される。各図の(a)はカップリング98aとカップリング98bが係合した様子の斜視図、(b)はカップリング98b側のみの斜視図、(c)はカップリング98a側の斜視図を示している。図9(b)では、カップリング98bに当接離間検知部材(以下、検知部材)503が設けられている。この検知部材503は、カップリング98bの面(ア)
と反射率が異なる色のシート状部材である。図9(c)では、カップリング98aにギア歯幅方
向に貫通した3つの開口部98acが設けてある。図10は、図9に示す構成に、画像形成装置
本体100側に具備された当接離間検知手段としての反射型フォトセンサ504(以下、フォトセンサ)と、そのフォトセンサ504から発せられる光502を追記したものである。フォトセンサ504は、光を照射した対象物の光の反射率を測定可能な光センサであり、カップリン
グ98aに設けられた開口部98acを介して、発光・受光を行う。フォトセンサ504からの光は、カップリング98a,98bの連結部において固定部材505が挟まれる位置に照射される。検知部材503の有無は、固定部材505のカップリング98bとの係合部がカップリング98a,98bに挟まれているときと固定部材505が破断して係合部がカップリング98a,98bの連結部から退いたときの光の反射率の違いにより判断可能となる。
【0028】
次に、図11を用いて、第1〜第3モードに対する検知をカップリング98a,98b部分に焦
点を当てて説明する。図11は、各モード毎のカップリング98a,98bの回転位相を示す説明
図である。図11(a)は第3モード時、図11(b)は第1モード時、図11(c)は第2モード時を
それぞれ示す。カップリング98bは、図11(a)から図11(c)にかけて、図中の矢印Yで示すように、その軸を中心に120°ずつ回転していく。検知部材503は、120°で等配された3つ
の開口部98acのうちの1つと同位相となるように、すなわち、当該開口部98acと検知部材503がそれぞれカップリング98a、98bの回転軸に平行な1つの直線上に位置するように配
置されている。また、フォトセンサ504は、第3モードのとき(図11(a))に検知部材503
と同位相となって検知部材503を検知できるように配置されており、第1、第2モードの
とき(図11(b)、図11(c))には検知部材503を検知しない。すなわち、検知部材503が検知されたときに全色離間モードと判断される。また、第1及び2モードの時には、カップリング98a,98bの回転に伴い、センサ504の検知範囲から検知部材503が退避し、全色当接モ
ードもしくはモノカラーモードが検出可能となっている(判断の詳細は後述する)。第1モード及び第2モードの判断は、ギア96から離間カム94までの駆動列並びに離間ロッド92の動きを一義的に決めておくことでこれらの位相関係の保証し、第3モードに対する制御上の時間的な前後関係から、いずれのモードであるのかを判断している。
【0029】
また、カップリング98a,98bは、検知部材503が3つの開口部98acのうちの1つと同位相のときのみ、すなわち、いずれかのモードを形成する位相関係のときのみ、それぞれに設けられた凹凸形状が互いに係合可能に構成されている。ここで、カップリング98a,98bが
互いに係合可能、すなわち、転写ユニット12が装置本体100に対して着脱可能となる位相
としては、ベルト12eが全ての感光ドラム1から離間する第3モードを形成する位相であると好適である。
【0030】
[中間転写ベルトユニット新品検知機構]
図12を参照して、転写ユニットの新品検知機構について説明する。図12(a)は、カップ
リング98a,98bの係合状態をカップリングの軸方向と直交する方向から見た図である。図12(b)は、新品の転写ユニット12のカップリング98bを中心とした部分拡大図である。カッ
プリング98bは、回転軸に垂直な方向に延びかつ回転軸方向に凹む溝部98baを有している
。一方、カップリング98aは、回転軸方向に突出しかつ溝部98baに嵌められる凸部を有し
ている。カップリング98bは、その溝部98baに沿って取り付けられたシート状の固定部材505によって回転が規制されて転写ユニット12の非変位部に固定されて(繋ぎ止められて)いる。固定部材505は、溝部98baに係合される部分(係合部)の両側が転写ユニット12の
非変位部の(ハウジングの)面とのみ両面粘着テープなどで固定されており(固定部)、カップリング98bとは接着されていない。この固定部材505により、転写ユニット12の輸送中の衝撃や振動(すなわち、装置本体100からの動力以外の力)で、カップリング98aが回転してしまうことが防止される。したがって、例えば、ユニットの保管時等において、全色離間モード(第3モード)からフルカラーモード(第1モード)に状態遷移し、ベルト12eや一次転写ローラ12a〜12dが当接した状態となって永久変形が生じてしまうのを防止し
ている。さらに、ユーザやサービスマンがユニットの交換作業の際に固定部材505に触れ
て剥がれてしまうのを防ぐ為、固定部材505の接着面に容易に触れることができないよう
にリブ12j,12kが設けられている。そして、転写ユニット12を装置本体100に装着し、カップリング98a,98bが係合すると、固定部材505が2つのカップリングにより狭持されるようになっている。
【0031】
図12(b)〜図12(e)を参照して、固定部材505を伴ったベルト12eの当接離間検知構成について説明する。なお理解の為、ギア96及びカップリング98aを不図示としている。図12(b)〜図12(e)は、図11(a)〜図11(c)にそれぞれ対応している。すなわち、カップリング98a、98bは、図12(b)に示す新品時の全色離間モード(第3モード)から、所定の制御により図の時計回りに120°回転し、図12(c)に示す全色当接モード(第1モード)に至る。このモード遷移の途中で、固定部材505は、カップリング98aとカップリング98bとに狭持されな
がら回転されるので、カップリング98a,98bから受けるトルクに起因するせん断力により
物理的に切断される。これにより、転写ユニット12は使用開始状態となる。切断に対しては、このように固定部材505を狭持することで、装置本体100からの回転動力により確実に固定部材505を切断できるようにしている。図12(c)に示すように、固定部材505は、そ
の中央部で破断して2つの部分505a,505bに分かれる。それぞれの部分505a,505bは、依然として転写ユニット12に固定された状態にあり、カップリング98の回転に伴い、回転軌跡の外側に排除される。これにより、固定部材505に覆われていた検知部材503がカップリング98aに露出する。その後は、破断されたテープがカップリング98の回転半径の外側に排
除されたまま、図12(d)のモノカラーモード(第2モード)、図12(e)の中古状態の全色離間モード(第3モード)へとモード遷移がなされる。
【0032】
各モードの検知については、フォトセンサ504により、固定部材505の有無を検知する。具体的には、カップリング98bの面(ア)(溝部98baの溝底面)と検知部材503と固定部材505の光学的な反射率を、例えば、カップリング98a>固定部材505>検知部材503のように変化させ、それら3つの反射率の差を検知・判断する。これにより、既存の当接離間検知に加え、新たな検知手段を設けることなくユニット新品検知も実現している。また、このように新品検知を出荷時の固定部材505で行うことにより、次の効果が期待できる。一般的
に生産工程でのユニットの動作・性能チェックを行う際に、例えば、電気的なヒューズを用いて新品検知を行なう場合がある。この検知方法では、出荷時のチェック時に、そのヒューズを切らないような特別なファームウェアを用いて、新品検知機能を無効化する必要があり、必ずしも効率的とは言えなかった。本実施例によれば、出荷時の固定部材505を
検知部材としても利用し、ユニットの動作チェックを行った後、ユニットの梱包前の最終段階で固定部材505を取り付けることで、そのような煩雑な工程をなくすことができる。
【0033】
図13を参照して、固定部材505について、さらに切断に対する確実性を向上させる構成
について説明する。図13(a)〜図13(c)は、固定部材の切断性向上に関する具体例を示す説明図である。図13(a)〜図13(c)に示すように、固定部材505の一部(係合部)には、図中(イ)〜(エ)のように、横幅が狭くなる(横幅方向に切った断面積が減少する)領域が形成
されるようにVノッチやミシン目が設けられている。このようにノッチやミシン目を設けて固定部材505に局所的に強度が弱くなる部分を設けることで、その部分においての固定
部材505が破断を生じる確実性が向上される。また、破断に要するせん断力、特に、本実
施例では、カップリング98a,98bの軸上におけるトルクを低く抑えることが期待できる。
勿論、これ以外にも、カップリング98a,98bの回転軸方向と直交する方向に沿って、任意
の位置において断面積が変化する(一定でない)ように構成された固定部材505を用いて
も、同様な効果を実現可能である。
【0034】
本発明は、画像形成に係る交換ユニットの新品検知機構に関し、交換ユニットの出荷時の固定部材(シップロック部材)を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を行う構成を実現するものである。交換ユニットの出荷最終段階にて、固定部材を貼り付けることで、所望の構成を実現でき、生産工程におけるユニットの検査を煩雑にさせることがない。また、ユニットの交換時に新品検知を行うことで、装置の制御パラメータ設定を常に最適化することが可能となり、ユーザに対し、高画質を維持できる画像形成装置を提供することができる。
【0035】
<実施例2>
図14及び図15を参照して、実施例2について説明する。図14は、実施例2に係る転写ユニットの新品検知機構の構成を説明する模式図である。図14(a)は、カップリング98の周
囲を示す。図14(b)は、カップリング98aと離間ギア96を示す。図14(c)は、説明の都合上
、図14(a)から図14(b)の要素を除去したものを示す。図14(d)は、カップリング98b、固定部材505、フォトセンサ504などを示す。図15は、各モード毎のカップリング98bの位相の
変化等を示す模式図である。図15(a)は、新品時の全色離間モード(第3モード)におけ
る模式図である。図15(b)は、フルカラーモード(第1モード)における模式図である。
図15(c)は、モノカラーモード(第2モード)における模式図である。図15(d)は、旧品時の全色離間モード(第3モード)における模式図である。なお、図15(a)〜図15(d)中の破線は、理解を促すために、各時点での固定部材505の様子を補助的に示したものである。
【0036】
実施例2は、フォトセンサ504から発せられる光502の光路がカップリング98の軸方向と略直交して延びる構成となっている。この構成により、実施例1と同様、ベルト当接離間
検知と新品検知とを実現することができる。なお、転写ユニット12やベルト当接離間機構に関しては、実施例1と同様なので、それらに関する詳細な説明は割愛する。図14に示すように、実施例1では、固定部材505の短手方向とカップリング98の軸方向が直交してい
るのに対し、実施例2では、両者が平行関係になっている。
【0037】
図15(a)の新品時の全色離間モード(第3モード)においては、検知手段504から発せられる光502は固定部材505に遮断され、検知手段504は、検知部材503の反射光を受光せず、固定部材505の反射光を受光する。実施例1と同様、カップリング98b、検知部材503、固
定部材505の反射率を異なるものとすることで、この時、固定部材505の存在を検知し、当該転写ユニット12は新品であると判断する。その後、カップリング98が回転し、図15(b)
の状態、フルカラーモード(第1モード)となる時、固定部材505は破線で示すようにそ
の略中央で切断される。この時、検知手段504は、検知部材503からの反射光を受光することなく、カップリング98bからの反射光を受ける。そして、同様に図15(c)のモノカラーモード(第2モード)から図15(d)の旧品時の全色離間モード(第3モード)へと遷移し、
旧品時の全色離間モード(第3モード)にて、初めて、検知手段504は、検知部材503からの反射光を受光する。以降は、前述したように、全色離間モード(第3モード)となる毎に、検知手段504が検知部材503からの反射光を受光する。
【0038】
<実施例3>
本発明は、実施例1、2の反射型フォトインタラプタのような光学的センサを用いた画像形成装置に限定されるものではない。例えば、光学的な反射率の差ではなく、特許文献3に記載の技術のように、磁力の差(磁界の変化)を用いた磁気センサを使用してもよい。具体的には、検知手段504を磁力を検知可能な磁気センサに、そして、検知部材503を永久磁石として、磁界の変化を検知するように構成することで、検知手段504と検知部材503との間で非接触の形態をとることができる。したがって、このような構成に対しても本発明は適用可能であり、上記実施例と同様の効果を得ることは明らかである。
【0039】
<実施例4>
図16及び図17を参照して、実施例4について説明する。実施例4では、固定部材505に
導電性を持たせ、固定部材505の破断部の両側の部位に接点部を設け、接点間に電流や電
圧を印加し、固定部材505の破断前後の状態検知(電気の導通の有無)を行い、これによ
り新品検知を行う。
【0040】
図16は、実施例4に係る新品検知機構の説明図である。図16(a)は、装置本体100の一部100aと、カップリング98aと、装置本体100の一部100aに具備された接点506a,506bの部分
拡大図である。接点506a,506bは、いずれも捩りコイルばねであり、カップリング98aからカップリング98bの方向に付勢されるように構成された腕を有している。図16(b)は、カップリング98bの周囲を装置本体100側から見た斜視図である。接点506a,506bは、装置本体100の一部100aに設けられたボス100b,100cとフック部100d,100eにより装置本体100の一部100aに固定されている。また、接点506a,506bには電圧もしくは電流といった電気的な(第2の)検出手段512が電気的に接続されている。図16(c)は、固定部材505を示したもので
ある。本実施例における固定部材505は、伸縮する弾性体で出来ている。また、固定部材505は、中央の部位(係合部)505cとその両端の部位(固定部)505a,505bに接着剤が塗布
されており(図の斜線部)、係合部505cと固定部505a,505bとの間の境界部(斜線部以外
)には塗布されていない。
【0041】
図17は、各モード毎のカップリング98bの位相の変化等を示す模式図である。図17(a)は、新品時の全色離間モード(第3モード)における模式図である。図17(b)は、フルカラ
ーモード(第1モード)における模式図である。図17(c)は、モノカラーモード(第2モ
ード)における模式図である。図17(d)は、旧品時の全色離間モード(第3モード)にお
ける模式図である。図12や図15に示すように実施例1、2では、当接離間と新品検知(つまり固定部材505)の検知を、いずれも検知手段504を用いて行なう構成となっている。本実施例は、当接離間検知を、既に述べた検知部材504(不図示)で行い、新品検知のみを
第2の検出手段512で行う構成となっている。
【0042】
図17(a)に示すように、固定部材505の両端(固定部505a,505b)にそれぞれ接点506a,506bが当接している。また、固定部材505は、カップリング98bの外径付近2箇所(係合部50cと固定部505a,505bとの境界部)で図中(オ)のようなミシン目が設けられており、そのミシン目近傍で切断されるようになっている。また、このミシン目の裏(図17(a)のグレー
の網掛け部分)が図16(c)の非斜線部、つまり接着剤が無い部分となっており、固定部材505が自然状態よりも伸びた状態で張力を有しながら、貼り付けられている。さらに、固定部材505上には検出部材503が貼り付けられている。これらの反射率などについては、既述の通りである。なお、ここでは説明の都合上、装置本体100の一部100aやカップリング98a、検出手段512は不図示としている。図12(b)〜(d)と同様に、第3→第1→第2→第3モ
ードへとモード切替が行われる。この最初の第3から第1モードへ遷移する時に、固定部材505がカップリング98の回転によりミシン目をきっかけに3つの部位(固定部505a,505bと係合部505c)に切断される。これにより、以降の動作では、接点506aと接点506bとの間での電気的な導通が取れなくなり、(第2の)検出手段512はユニット12が新品から旧品
へと変わったと判断する。前述したように、固定部材505は弾性体であり、伸ばされた状
態で貼り付けられている。そのため、切断後には、図17(d)の分割された固定部材505における3つの部位505a,505b,505cの間の接着剤が塗布されていない部分が縮み、それら3つの部位505a,505b,505cの間にクリアランスが生じる。これにより、切断後に3つの部位505a,505b,505cが互いに接触して意図せず導通がとれるような場合を排除し、上記検知の信頼性を確保している。
【0043】
[ベルト当接離間検知及び新品検知に関連する制御]
図18は、本発明の各実施例に係るカラー画像形成装置を制御するための例示的な制御ブロック図である。画像形成装置100の基本制御を行うCPU171は、制御プログラムが書き込
まれたROM174と、処理を行うためのワークRAM175と、入出力ポートI/O173とが、アドレ
スバス、データバスにより接続されている。入出力ポートI/O173には、画像形成装置を
構成するモータ、クラッチ等の各種負荷(不図示)や紙の位置を検知するセンサ等の入力(
不図示)が接続されている。CPU171は、ROM174の内容にしたがって入出力ポートI/O173を介して順次入出力の制御を行い、画像形成動作を実行する。また、CPU171には操作部172
が接続されており、操作部172の表示手段、キー入力手段を制御する。操作者は、キー入
力手段をとおして、画像形成動作モードや、表示の切替をCPU171に指示し、CPU171は、画像形成装置100の状態やキー入力による動作モード設定の表示を行う。CPU171にはさらに
、外部I/F処理部400と、画像メモリ部300と、画像エンジン部200とが接続されている。外部I/F処理部400は、PCなど外部機器からの画像データ・処理データなどを送受信する。画像メモリ部300は、画像の伸張処理や一時的な蓄積処理などを行なう。画像エンジン部200は、画像メモリ部300から転送されたライン画像データをスキャナユニット3に露光させるべく処理を行う。
【0044】
図19は、本発明の各実施例に係る画像メモリ部300の例示的な制御ブロック図である。
画像メモリ部300では、DRAM等のメモリで構成されるページメモリ301に、メモリコントローラ部302を介して外部I/F処理部400から受け取った画像データを書き込み、画像エンジ
ン部200への画像読み出し等画像の入出力のアクセスを行う。メモリコントローラ部302は、外部I/F処理部400から受け取った外部機器からの画像データが圧縮データであるか否かの判断を行う。そして、圧縮データであると判断された場合、メモリコントローラ部302
は、圧縮データ伸張処理部303を用いて伸張処理を行った後、ページメモリ301へ書き込み処理を行なう。メモリコントローラ部302は、ページメモリ301のDRAMリフレッシュ信号の
発生を行う。また、メモリコントローラ部302は、画像I/F処理部400からの書き込み、画
像エンジン部200への読み出しに対するページメモリ301へのアクセスの調停を行う。さらに、メモリコントローラ部302は、CPU171の指示に従い、ページメモリ301への書き込みアドレス、ページメモリ301からの読み出しアドレス、読み出し方向などの制御をする。
【0045】
図20を参照して、外部I/F処理部400の構成を説明する。図20は、外部I/F処理部400の構成図である。外部I/F処理部400は、外部装置500から送信される画像データ及びプリント
コマンドデータを、USB I/F部401、セントロI/F部402、ネットワークI/F部403のいずれかを介して受信する。また、外部I/F処理部400は、CPU171で判断された画像形成装置の状態情報等を外部装置500に対し送信する。ここで、外部装置500は、コンピュータやワークステーション等である。外部装置500からUSB I/F部401、セントロI/F部402、ネットワークI/F部403のいずれかを介して受信したプリントコマンドデータは、CPU171にて処理される
。そして、CPU171は、画像エンジン部200や図18の入出力ポート173などを用いてプリント動作を実行するための設定やタイミングを生成する。外部装置500からUSB I/F部401、セ
ントロI/F部402、ネットワークI/F部403のいずれかを介して受信した画像データは、プリントコマンドデータに基づくタイミングに応じて画像メモリ部300に送信され、処理され
る。これにより、画像形成部200にて画像形成がなされる。
【0046】
図21は、本実施例1〜3における画像形成システムの構成図である。ここで、以下の説明では、ユニット新品検知手段504を、当接離間検知手段と固定部材検知手段の両方を兼
ねるものとし、上記実施例1、2における光学式のフォトセンサを例として説明する。勿論、磁気センサを用いた場合でも、システム構成自体は本質的に同じである。
【0047】
転写ユニット12は、前述のベルト12e、駆動ローラ12f、対向ローラ12g、テンションロ
ーラ12hなどからなるユニットである。転写ユニット12に設けられる新品検知部材は、固
定部材505であり、転写ユニット12のカップリング98bに配置される。ユニット新品検知手段504は、既知のように光学的に検知部材505の有無を検知するセンサである。固定部材505が、所定のモードにおいてユニット新品検知手段504の出力値を変化させることにより、転写ユニット12の新旧品が判断される。また、ユニット新品検知手段504が検知した結果
は、入出力ポート173を通してCPU171に通知される。
【0048】
一方、ユニット新品検知手段504は、ベルト12eのドラムに対する当接・離間状態を検知する手段としても機能する。カウント手段507は、転写ユニット12が新品として使用開始
されてからの累積印字量(印字率を加味した印字ドット量、いわゆるピクセルカウント量)、もしくは画像形成を行った時間(稼動時間)を計測するための手段である。その結果は、カウンタ508に記憶される。ユニット情報510は、転写ユニット12の特性に合わせて画像形成を行うためのパラメータ情報である。ユニット情報510は、転写ユニット12が初め
て画像形成装置に投入された際に行われる初期化動作の結果に応じて決められる。本実施例においては、転写電圧・電流制御を行っている。この制御ではベルト12eや一次転写ロ
ーラ12a〜12d、従動ローラ12gの長期使用時の抵抗変化等に応じて、所望の転写条件とな
るよう、1次転写部や2次転写部の転写電圧・電流を制御している。ユニット情報510は
、画像形成装置内の不揮発性のRAM領域に記憶される。ユニット情報保持手段511は、転写ユニット12が交換された場合に一定期間、前に使用(装着)していたユニット情報510を
記憶(退避)しておくための手段であり、ユニット情報510と同様に画像形成装置内の不
揮発性のRAM領域に記憶される。
【0049】
図22を参照して、本実施例に係る画像形成装置における転写ユニット12の当接離間検知の流れを説明する。図22は、画像形成装置における転写ユニット12の当接離間検知のフローチャートを示す。転写ユニット12は、供給電源の突然停止などにより必ずしもそのホームポジションである全離間モードであるとは限らない。そのため、当接離間機構に異常が
無いことを前提とし、電源ON後(S601)、少なくとも、全離間モード、全当接モード、モノカラーモードのいずれかになるよう、ギア96を1/3回転以上(つまり、カップリング98a・98bを1回転以上)駆動する。その後、当接離間検知手段(以下、センサとする)504が検知
部材503を検知するまで、つまり全離間モードとなるまで、転写ユニット12が当接離間動
作を繰り返す(S603〜S611もしくは622)。これにより、転写ユニット12の状態すなわち、
全離間モード、全当接モード、モノカラーモードのどの状態なのかを把握する。並行して、センサ504自体の故障がないかを確認し(S605〜S606または、S615〜S626)、全離間モー
ドへ復帰し、検知終了となる(S612もしくはS622〜S613)。
引き続き、図22のフローについて、具体的に説明する。なお、ここでは、S603にて転写ユニット12の実際のモードが全離間モードであった場合について例示する。前述したように、電源ON後、ギア96が1/3以上回転するよう駆動する(S601〜S602)。その後、センサ504で検知部材503の有無を確認し、検知部材503が確認される(S603:YES)。その後、当接離間動作を繰り返し(S604,S607,S609)、そのステップごとに検知部材503の有無を確認する(S605,S608,S610)。この過程で、検知部材503が本来のタイミングでない時に検知されたり、本来のタイミングでされなかったりした場合は当接離間機構異常と判断され(S605:YES,S608:YES,S610:NO)、終了する(S606〜S613)。一方、機構に異常なく、本来検知されるべ
きタイミングで検知部材が適切に検知される場合(S610:YES)は、ホームポジションである全離間モードでスタンバイとなり、終了する(S611〜S613)。
同様に、S603にてモノモードや全当接モードである場合においても、最大4回、転写ユ
ニット12の駆動と検知部材503の検知を繰り返す。異常時を除き、モノカラーモードの時
はS603,S614〜S621のようなフローをたどり、全当接モードの時はS603,S614,S615,S624,S625のようなフローをたどる。これらのフローにおいて本来のタイミングで検知部材503が検知されない場合(S617:YES,S619:YES,S621:NO,S625:NO)には、ユニットに何らかの異
常があると考えられる。従って、この場合には、当接離間機構そのものの異常、もしくは、検知部材503が存在しないなどといった、ユニットに何らかの異常があると判断(S606
もしくはS626)する。一方、正常な場合、意図したタイミングで検知部材503が検知され
(モノカラーモードの時はS621でYES、全当接モードの時はS625でYES)、機構に異常はなくかつ転写ユニット12は全離間モードであると判断する(S622)。そして、ホームポジションである全離間モードでスタンバイ(S623)状態となり、終了する(S613)。
【0050】
図23は、本実施例に係る画像形成装置における転写ユニット12の新旧識別(新品検知)動作のフローチャートを示す。S701において、使用者によりユニット12が装着され、画像形成装置の電源が入れられた後、S702でまず、センサ504で固定部材505の有無を確認する。検知しない場合(S702;NO)は、図22に示す通常の当接離間検知モードのみを実施する(S703)。S702でまず、センサ504に検知信号が入った場合(S702;YES)、センサ故障などを除き、ユニット12は全離間モードである。したがって、再び全離間モードになるまで、当接離間のモード切換を実施し、適宜センサ504の故障や新品検知機構・当接離間機構自体の異
常をスクリーニングしていく(S704〜S711)。S712において、センサ504が検知部材503を検知した場合は、転写ユニット12は新品であると判断し、カウンタ508をクリアする(S713)
。その後、転写ユニット12の特性に合わせて画像形成を行うためのユニット情報510を決
めるための初期化動作が行われ、初期動作が終了した時点で画像形成装置はスタンバイ状態となる(S714)。そして、検知動作を終了する(S715)。
一部内容に関し重複するが、理解の為、まず転写ユニット12が新品で、カップリング98a・98bの回転により、固定部材505が切れないで異常となる場合について、以下具体的に
説明する。最初に、電源ON(S701)後、固定部材505の検知を行う(S702)。固定部材505が検知される(S702:YES)ので、当接離間クラッチをONする(S704)。そして、再度固定部材505
の検知を行う。固定部材505が切れていない・当接離間動作自体が出来ていないなどの理
由により検知されてしまう(S705:YES)ので、新品検知機構異常と判断する(S706)。この時、これまで使用していた転写ユニット12をそのまま使用する可能性もある為、旧ユニット12のカウンタ508をクリアせず保持し、検知動作は終了する(S715)。これとは別に、転写
ユニット12が新品で固定部材505は適切に切断されるものの、全離間モードを示す検知部
材503が検知されない場合について説明する。この時、上述の固定部材505の検知で検知されない(S705:NO)ので、引き続き、当接離間動作と固定部材の検知を繰り返す(S706〜S709)。そして、本来存在するべき検知部材503が、検知部材自身が存在しない等の理由により検知されない場合(S712:NO)、このケースは、新品の検知とは関係なく、当接離間機構異
常とし、検知動作を終了させる(S711→S715)。このケースも、カウンタ508はクリアせず
保持される。
【0051】
なお、転写ユニット12のカウンタ508の動作については次のようになる。画像形成装置
は画像形成を行う毎にカウンタ508の値を更新する。画像形成が終了した時点でCPU171及
びROM174は、カウンタ508の値が所定の条件に達しているか否かを判断する。カウンタ値
が所定枚数以上になったと判断した場合には、転写ユニット12が交換時期である旨を操作部172等に表示等して使用者に警告すると共に、以降の画像形成動作を制限し、良好な画
質を保てるように制御する。本実施例のように、転写ユニット12が新品であると判断された場合(S713)、カウンタ508をリセットし、再度ユニットの使用履歴を記録し始める。
【0052】
図24は、本実施例4における画像形成システムの構成図を示す。図21に示す構成では、センサ504が当接離間検知手段及びユニット新品検知手段として兼用されていた。図24に
示す構成では、図21の構成におけるセンサ504が、当接離間検知手段504と、固定部材検知手段512に分けられた構成となっている。図24のその他の構成や、新旧識別動作関連の検
知・制御については図21の構成と同じであり、ここでは説明を割愛する。
【0053】
<実施例5>
上記実施例1〜4では、画像形成装置100は、ベルト12eよって搬送される転写材Pにトナー像を一括転写して記録画像を形成する画像形成装置であるとして説明した。しかし、本発明は転写ベルト12eを使用した画像形成装置に限定されるものではない。例えば、像
担持体と、この像担持体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段、クリーニング手段などを備え、装置本体との駆動伝達部を持つ、交換可能なプロセスカートリッジ7においても、本発明は適用可能である。かかる構成においても、上記と同様の効果を得
ることは明らかである。また、装置本体100から駆動伝達を受け、定着ローラ141と加圧ローラ142とによって加熱、加圧し、転写材P表面にトナー像を定着させる交換可能な定着装置14においても同様な効果が期待できる。
【符号の説明】
【0054】
100…画像形成装置本体、12…中間転写ユニット、98a,98b…カップリング(動力伝達部、被動力伝達部)、504…フォトセンサ(検知手段)、505…固定部材、P…記録材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やレーザビームプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置において、像担持体(感光ドラム)及びその周りのクリーナや現像器、中間転写ベルト等をいわゆるプロセスカートリッジとしてユニット化した構成が知られている。ユニット化されたプロセスカートリッジは、ユニットごとプリンタ本体、即ち画像形成装置本体に対して交換自在に構成されている。プロセスカーリッジと同様に、像担持体上に形成されたトナー像を転写材(紙等)へ転写させる転写部材(転写ローラ等)やベルト部材、張架ローラなどで構成される転写ユニットに関しても、消耗品であり交換する場合がある。
交換に伴って、プロセスカートリッジや転写ユニットの新旧を検知するために、様々な提案がされている。例えば、特許文献1には、プロセスカートリッジに設けたヒューズによって新旧を判断する方法が提案されている。また、特許文献2には、新品検知シールによって転写ユニットが新品か否かを検知する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−118736号公報
【特許文献2】特許第3050872号公報
【特許文献3】特開2004−306926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユニットを新品と判断した場合に所定の初期化処理を行ってヒューズを切断する処理をおこなうため、次のような問題が生じる。ユニットの生産工程では、ユニットの出荷前にユニットの機能・性能確認を行うのが一般的である。出荷前確認では、通常、転写ベルトや転写ローラなどを組み合わせた状態で、ユニットを装置本体に装着し、実際に画像を出力させて、当該ユニットの不良の有無を確認する。ところが、出荷前確認時に、通常の使用時と同じシーケンスで画像の出力確認等を行なってしまうとヒューズが切断されてしまうため、出荷前確認時には、新品検知機能を無効化することができる特別なシーケンスを別途用意する必要がある。しかし、出荷前確認時と実際の使用時とで別個にシーケンスを用意することは、これらの工程設定を複雑なものとしてしまう。勿論、出荷前確認時には、ヒューズをつけないまま確認するという方法も考えられる。しかしながら、ヒューズは電気的に接続する必要があるため転写ユニットに予め組み込まれるのが通常であり、ヒューズを着脱自在にするためには特別な構造等が必要となる。さらに、ユーザがユニットを交換するときにヒューズが外れたりしないよう、ユニットへの取付には確実性・堅牢性が要求される。このように、ヒューズを取付ける構成は、「トレードオフ」の関係があり、必ずしも生産性の高いものではない。一方、特許文献2に記載の技術では、画像形成に係わる転写体に直接、新品検知シールを接着するため、転写体表面に糊が残ることや、剥がれたテープ端部が転写体表面と摺擦するなどして転写体表面を汚損するおそれがある。
【0005】
本発明は、装置本体との間で動力伝達を行なう交換ユニットの出荷時においてユニット可動部を固定しておくための固定部材(シップロック部材)を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、
転写材に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能に構成されるとともに前記装置本体から動力が伝達されて駆動されるユニットと、を備え、
前記ユニットは、
前記装置本体の動力伝達部に連結されて前記動力伝達部とともに変位することにより前記装置本体からの動力を受け取る被動力伝達部と、
前記被動力伝達部が前記装置本体からの動力によって初めて変位する前に前記装置本体からの動力以外の力によって変位するのを防止すべく、前記被動力伝達部を前記ユニットの非変位部に繋ぎ止める固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記非変位部に固定される固定部と、前記被動力伝達部に係合される係合部と、を有する画像形成装置において、
前記固定部材は、前記係合部が前記被動力伝達部と前記動力伝達部とによって挟まれる位置で前記被動力伝達部に係合されるとともに、前記装置本体からの初めての動力伝達によって変位する前記動力伝達部及び前記被動力伝達部とともに前記係合部が前記固定部に対して変位しようとすることにより、破断するように構成されており、
前記固定部材の破断を検知して前記ユニットの新旧を判断可能にする検知手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置本体との間で動力伝達を行なう交換ユニットの出荷時においてユニット可動部を固定しておくための固定部材(シップロック部材)を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像形成装置の断面図。
【図2】図1の画像形成装置に装着される転写ユニットの斜視図。
【図3】図2の当接離間機構に関連するカムと離間ロッドの動作を示す拡大説明図。
【図4】全離間モードでの転写ベルトと像担持体の当接関係を示す概略断面図。
【図5】全当接モードでの転写ベルトと像担持体の当接関係を示す概略断面図。
【図6】モノカラーモードでの転写ベルトと像担持体の当接関係を示す概略断面図。
【図7】転写ローラ軸受と離間ロッドの部分拡大斜視図。
【図8】転写ローラ軸受と離間ロッドの当接・離間時の説明図。
【図9】画像形成装置本体と転写ユニットとのインターフェース部の拡大説明図。
【図10】画像形成装置本体と転写ユニットとのインターフェース部の拡大説明図。
【図11】各モード毎のカップリングの回転位相を示す説明図。
【図12】新品検知機構の説明図。
【図13】固定部材の切断性向上に関する具体例を示す説明図。
【図14】転写ユニットの新品検知機構の構成を説明する模式図。
【図15】各モード毎のカップリングの回転位相を示す説明図。
【図16】新品検知機構の説明図。
【図17】各モード毎のカップリングの回転位相を示す説明図。
【図18】本発明のカラー画像形成装置の制御ブロック図。
【図19】画像メモリ部の制御ブロック図。
【図20】外部I/F処理部の構成図。
【図21】画像形成システムの構成図。
【図22】転写ユニットの当接離間検知のフローチャート。
【図23】転写ユニットの新品検知のフローチャート。
【図24】画像形成システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施例1>
[全体構成]
図1は、本発明に係る画像形成装置の断面図である。図1に示すカラーの画像形成装置は、画像形成装置本体100に対して着脱自在なプロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ7a〜7dは、構造は同一であるが、異なる色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーによる画像を形成
する点で相違している。プロセスカートリッジ7a〜7dは、ドラムユニット4a,4b,4c,4dと
、現像ユニット5a,5b,5c,5dとによって構成されている。ドラムユニット4a〜4dは、それ
ぞれ像担持体である感光ドラム1a,1b,1c,1dと、帯電ローラ2a,2b,2c,2dと、ドラムクリーニングブレード8a,8b,8c,8dと、廃トナー容器とを有している。現像ユニット5a〜5dは、
現像ローラ50a,50b,50c,50dと、現像剤塗布ローラ51a,51b,51c,51dとを有している。プロセスカートリッジ7a〜7dの下方にはスキャナユニット3が配置され、画像信号に基づく露
光を感光ドラム1a〜1dに対して行う。感光ドラム1a〜1dは、帯電ローラ2a〜2dによって所定の負極性の電位に帯電された後、スキャナユニット3によってそれぞれ静電潜像が形成
される。この静電潜像は、現像ユニット5a〜5dによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY,M,C,Bkのトナー像が形成される。
【0011】
中間転写ベルトユニット(以下、転写ユニット)12は、1次転写ローラ12a,12b,12c,12dと、中間転写ベルト(ベルト部材。以下、ベルトとする)12eと、駆動ローラ12fと、2
次転写対向ローラ12gと、テンションローラ12hと、を備える。各ローラは、転写ユニット12の不図示のハウジング部材によって回転可能に軸支されている。また、転写ユニット12は、後述するように1次転写ローラ12a〜12dをベルト12eに対して当接及び離間させるた
めの機構を備える。
【0012】
なお、以下の説明では、感光ドラム1a〜1dは、区別して説明する必要がある場合を除き、感光ドラム1とする。他のプロセスカートリッジ7a〜7dやクリーニングブレード8a〜8d
等の部材についても、同様に、プロセスカートリッジ7、クリーニングブレード8等とする。
【0013】
ベルト12eは、駆動ローラ12f、2次転写対向ローラ12g、テンションローラ12hによって張架されている。テンションローラ12hは、矢印B方向に張力をかけている。また、1次転写ローラ12a〜12dは、ベルト12eの内側において各感光ドラム1に対向する位置にそれぞれ配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスが印加される構成となっている。各感光ドラム1は矢印方向に回転し、ベルト12eは矢印A方向に回転する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ12a〜12dに正極性のバイアスが印加さ
れることにより、感光ドラム1a上のトナー像から順次、ベルト12e上に1次転写される。
4色のトナー像は、ベルト12e上に重なった状態で転写され、2次転写部15まで搬送され
る。
【0014】
給搬送装置13は、転写材Pを収納する給紙カセット11内から転写材Pを給紙する給紙ローラ9と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ10とを有している。そして、給搬送装置13から搬送された転写材Pはレジストローラ対17によって2次転写部15に搬送される。2
次転写部15において、2次転写ローラ16に正極性のバイアスを印加することにより、転写
材Pにベルト12e上の4色のトナー像を2次転写する。トナー像転写後の転写材Pは、定着
装置14に搬送され、定着ローラ141と加圧ローラ142とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは、排紙ローラ対20によって排紙トレー21に排
出される。
【0015】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム1表面に残ったトナーは、クリーニングブレード8によって除去される。また、転写材Pへの2次転写後にベルト12e上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置22によって除去される。除去されたトナーは、不図示の廃トナー搬送路(図中破線矢印)を通過し、廃トナー回収容器23へと回収される。
【0016】
[中間転写ベルト当接・離間機構]
図2〜図9を参照して、ベルト12eをプロセスカートリッジ7の感光ドラム1に対して当接
及び離間させるための機構について説明する。図2は、図1の画像形成装置に装着される転写ユニット12の概要構成及び対応する感光体ドラム1を示す斜視図である。図3は当接・離間機構の一部であるカムと離間ロッドの部分拡大図である。図4〜図6は、それぞれ全離間モード(第3モード)、全色当接するフルカラーモード(第1モード)、モノカラーモード(第2モード)における転写ユニットの概略構成を示す断面図(図3とは逆側から見た(L
側からR側を見たときの)断面図)である。図7は、転写ローラ軸受と離間ロッドの部分拡大斜視図である。図8は、転写ローラ軸受と離間ロッドの当接・離間時の説明図である。
図9は、画像形成装置本体と転写ユニットとのインターフェース部の拡大説明図である。
【0017】
ベルト12eの感光ドラム1との当接及び離間動作は、フルカラーモード(第1モード)、モノカラーモード(第2モード)、全色離間モード(第3モード)の3種類のモードから選択できるように構成されている。フルカラーモードでは、ベルト12eが全ての感光ドラム1と当接した状態となり、転写材Pに対して複数色を重ね合わせた多色記録が行なわれる。
モノカラーモードでは、ベルト12eが感光ドラム1のうちのひとつと当接した状態となり、転写材Pに対して単色のみで記録が行なわれる。全色離間モードでは、ベルト12eが全ての感光ドラム1から離間した状態となる。
【0018】
感光ドラム1に対するベルト12eの当接・離間動作は、1次転写ローラ12a〜12dをベルト12eに対して当接及び離間させることにより行なわれる。1次転写ローラ12a〜12dは、対
応する感光ドラム1に対してベルト12eを挟んで対向する位置に配置されている。1次転写ローラ12a〜12dは、対応する感光ドラム1に向かって移動してベルト12eの内側の面に当接するとともに、ベルト12eの外側の面が感光ドラム1と当接するまでベルト12eを引っ張っ
て移動する。これにより、ベルト12eが感光ドラム1と当接する。
【0019】
本実施例では、供給電源の瞬停等による異常な場合を除き、電源OFF及び装置スタンバ
イ状態は、一次転写ローラ12a〜12dを全て退避させ、ベルト12eが全ての感光ドラム1から離間した全色離間モードとなる。これは、ベルト12eと感光ドラム1が当接状態で長期間放置されると、ベルト12eや一次転写ローラ12a〜12dに「クリープ」のような局所的な塑性
変形等を生じる場合があり、画質低下の恐れがあるためである。また、感光ドラム1とベ
ルト12eの間にクリアランスを確保することで、プロセスカートリッジ7や転写ユニット12の交換時に、感光ドラム1とベルト12eが摺擦するのを少しでも回避するためでもある。
【0020】
図2に示すように、ベルト12e及び1次転写ローラ12a〜12dを感光ドラム1に対して当接
及び離間させる機構は、駆動ローラ12f、従動ローラ12g、テンションローラ12hの3本の
張架ローラにより構成される空間に配置されている。当該機構は、転写加圧バネ90aR〜90dR,90aL〜90dL、転写ローラ軸受91aR〜91dR,91aL〜91dL、離間ロッド92aR,92bR,92aL,92bL、離間軸93、離間カム94a,94b、ギア95等により構成される。当該機構の動力は、画像形成装置本体100から供給される。
【0021】
画像形成装置本体100から転写ユニット12(1次転写ローラ12a〜12dを駆動する機構)
への動力伝達は、装置本体100に設けられた駆動出力ギア96からカップリング98a,98bを介して行なわれる。ギア95は、駆動出力側のカップリング98aと同軸に設けられた駆動出力
ギア96と噛み合っており、装置本体側上流側の駆動系列から駆動伝達される。離間軸93は、ユニット側のカップリング98bと同軸に設けられており、その両側に離間カム94a,94bが固定されている。離間カム94a,94bにはそれぞれ、離間ロッド92aR・92bR,92aL・92bLが接続されている。各離間ロッド92は、離間カム94の回転に伴い、感光ドラム1aから感光ドラム1dまでの並び方向と略同一(略平行)の方向にスライドするように構成されている(図2破線矢印)。
【0022】
ギア95の歯数は17、ギア96の歯数はその3倍(自然数倍)の51としている。そして、ギ
ア95の駆動上流にある不図示の欠歯ギアとソレノイドにより、ソレノイドのON・OFF1回
ごとに、ギア95の1回転制御と、ギア96及びカップリング98a,98bの1/3回転制御を実現し
ている。ギア96は図2のX矢印(曲線の実線矢印)の方向に回転する。回転制御に関しては、欠歯ギアとソレノイドという構成以外に、ステッピングモータによる回転角度制御や、電磁クラッチなどの駆動制御手段を用いても同等の機能を実現可能である。ソレノイドのON・OFFによるギア96の1/3回転制御は、カップリング98a,98bが図2のX矢印のように1回
転するごとに、図4→図5→図6→図4のようにモードが変化する。即ち、全色離間モード(第3モード)→フルカラーモード(第1モード)→モノカラーモード(第2モード)→全色
離間モード(第3モード)というメカ動作を繰り返す。
【0023】
図3〜図6を参照して、さらに詳細に説明する。なお、図2に示すように、転写ユニット12は、離間カム94a及び符号に“R”を含む部材による構成と、離間カム94b及び符号に“L
”を含む部材による構成とが、転写材Pの搬送方向に対して左右対称に構成されている。
したがって、ここでは、離間カム94a及び“R”を含む部材による構成について説明し、反対側の構成についての説明は省略する。
【0024】
図3に当接離間動作に関与する、離間カム94aと離間ロッド92aR・92bRの部分拡大図を示す。図3(a)は離間カム94aの斜視図である。離間カム94aは、離間軸93の軸方向にそって、離間ロッド92aR・92bRに作用する、94aa・94ab・94acの3つのカム形状を有している。次
に、全離間モードの時の離間ロッド92bRと離間カム94aの関係を示す部分拡大図を図3(b)
に、同じく、離間ロッド92aRと離間カム94aの関係を示す部分拡大図を図3(c)に示す。ギ
ア96の1回転により、全離間モードから全当接モードになる時には、図3(b)・(c)の破線矢印のように時計回りに離間カム94aが1/3回転する。そして、図3(d)・(e)に示す図の右方
向に示す矢印のように離間ロッド92aR・92bRが移動して、フルカラーモードとなる。さらに、離間カム94aが反時計回りに1/3回転すると、今度は、図3(f)・(g)のように離間ロッ
ド92aRのみが図の左方向に移動しモノモードとなる。同様にして、全離間モードにする時には、離間カム94aを時計回りに1/3回転させ、図3(b)・(c)の状態に戻すのである。この
ようにして、カップリング98a,98b,離間軸93及び離間カム94aを介して離間ロッド92aR,92bRが感光体ドラム1aから感光体ドラム1dの並び方向と略平行(図4〜図6中矢印方向)にスライドする。これに追従して転写ローラ軸受91aR〜91dRが回転(揺動)し、各転写ローラ軸受91aR〜91dRにおける転写ローラ12a〜12dの支持部が、転写加圧バネ90aR〜90dRの軸方向(加圧方向)に沿って順方向または逆方向に移動する。これにより転写ローラ12a〜12dが移動し、感光体ドラム1とベルト12eの当接・離間が行なわれる。
【0025】
モード間遷移ごとの離間ロッド92の変化を詳述する。全色離間モード(第3モード)か
らフルカラーモード(第1モード)への遷移時には、離間ロッド92aR及び離間ロッド92bR
が、いずれも図4中の矢印方向に移動する。ここで、離間ロッド92aRは、1次転写ローラ12a〜12cを駆動するための1番目から3番目の転写ローラ軸受91aR〜91cRを揺動させるよ
うに構成されている。また、離間ロッド92bRは、1次転写ローラ12dを駆動するための4
番目の転写ローラ軸受91dRを揺動させるように構成されている。これにより、図5に示す
ように、全ての1次転写ローラ12a〜12dがベルト12eに当接し、ベルト12eが全ての感光ドラム1に当接する。次に、フルカラーモード(第1モード)からモノカラーモード(第2モ
ード)への遷移時には、離間ロッド92aのみが図5中の矢印方向に移動する。これにより、図6に示すように、1次転写ローラ12a〜12cがベルト12eから離間し、ベルト12eも感光ド
ラム1a〜1cから離間する。そして、モノカラーモード(第2モード)から全色離間モード
(第3モード)への遷移時には、離間ロッド92bのみが図6中の矢印方向に移動する。これ
により、図4に示すように、1次転写ローラ12dがベルト12eから離間し、ベルト12eも感光ドラム1dから離間し、全色離間モード(第3モード)に戻る。
【0026】
図7及び図8を参照して、離間ロッド92と転写ローラ軸受91の関係について説明する。なお、図7は、代表例として1次転写ローラ12dを駆動するための4番目の転写ローラ軸受91dRのボス部91nRが、離間ロッド92bRのカム形状(斜面状になっている箇所)に載っている状態を表している。離間ロッド92がスライドすると、ボス部91nRが、離間ロッド92bRのカム形状に応じて、転写ローラ軸受91dRの揺動中心91hRを中心に図7の矢印のように揺動す
る。この結果、図8の略上下方向に転写ローラ軸受91dR及び1次転写ローラ12dが移動し、ベルト12eと1次転写ローラ12d(すなわち、ベルト12eと感光ドラム1d)の当接離間を実
現している(図8(a)が離間時、同(b)が当接時を示す)。なお、1〜3番目の転写ローラ
軸受91と離間ロッド92の関係についても同様に構成されている。
【0027】
[当接離間検知構成]
図9〜図11を参照して、ベルト12eの当接離間検知構成について説明する。図9及び図10
は、本体側のカップリング98a(動力伝達部)と、転写ユニット12側のカップリング98b(被動力伝達部)のインターフェース部の拡大図を示している。装置本体に対して着脱可能に構成された転写ユニット12は、カップリング98aとカップリング98bとが連結することにより、装置本体から動力が伝達されて駆動される。各図の(a)はカップリング98aとカップリング98bが係合した様子の斜視図、(b)はカップリング98b側のみの斜視図、(c)はカップリング98a側の斜視図を示している。図9(b)では、カップリング98bに当接離間検知部材(以下、検知部材)503が設けられている。この検知部材503は、カップリング98bの面(ア)
と反射率が異なる色のシート状部材である。図9(c)では、カップリング98aにギア歯幅方
向に貫通した3つの開口部98acが設けてある。図10は、図9に示す構成に、画像形成装置
本体100側に具備された当接離間検知手段としての反射型フォトセンサ504(以下、フォトセンサ)と、そのフォトセンサ504から発せられる光502を追記したものである。フォトセンサ504は、光を照射した対象物の光の反射率を測定可能な光センサであり、カップリン
グ98aに設けられた開口部98acを介して、発光・受光を行う。フォトセンサ504からの光は、カップリング98a,98bの連結部において固定部材505が挟まれる位置に照射される。検知部材503の有無は、固定部材505のカップリング98bとの係合部がカップリング98a,98bに挟まれているときと固定部材505が破断して係合部がカップリング98a,98bの連結部から退いたときの光の反射率の違いにより判断可能となる。
【0028】
次に、図11を用いて、第1〜第3モードに対する検知をカップリング98a,98b部分に焦
点を当てて説明する。図11は、各モード毎のカップリング98a,98bの回転位相を示す説明
図である。図11(a)は第3モード時、図11(b)は第1モード時、図11(c)は第2モード時を
それぞれ示す。カップリング98bは、図11(a)から図11(c)にかけて、図中の矢印Yで示すように、その軸を中心に120°ずつ回転していく。検知部材503は、120°で等配された3つ
の開口部98acのうちの1つと同位相となるように、すなわち、当該開口部98acと検知部材503がそれぞれカップリング98a、98bの回転軸に平行な1つの直線上に位置するように配
置されている。また、フォトセンサ504は、第3モードのとき(図11(a))に検知部材503
と同位相となって検知部材503を検知できるように配置されており、第1、第2モードの
とき(図11(b)、図11(c))には検知部材503を検知しない。すなわち、検知部材503が検知されたときに全色離間モードと判断される。また、第1及び2モードの時には、カップリング98a,98bの回転に伴い、センサ504の検知範囲から検知部材503が退避し、全色当接モ
ードもしくはモノカラーモードが検出可能となっている(判断の詳細は後述する)。第1モード及び第2モードの判断は、ギア96から離間カム94までの駆動列並びに離間ロッド92の動きを一義的に決めておくことでこれらの位相関係の保証し、第3モードに対する制御上の時間的な前後関係から、いずれのモードであるのかを判断している。
【0029】
また、カップリング98a,98bは、検知部材503が3つの開口部98acのうちの1つと同位相のときのみ、すなわち、いずれかのモードを形成する位相関係のときのみ、それぞれに設けられた凹凸形状が互いに係合可能に構成されている。ここで、カップリング98a,98bが
互いに係合可能、すなわち、転写ユニット12が装置本体100に対して着脱可能となる位相
としては、ベルト12eが全ての感光ドラム1から離間する第3モードを形成する位相であると好適である。
【0030】
[中間転写ベルトユニット新品検知機構]
図12を参照して、転写ユニットの新品検知機構について説明する。図12(a)は、カップ
リング98a,98bの係合状態をカップリングの軸方向と直交する方向から見た図である。図12(b)は、新品の転写ユニット12のカップリング98bを中心とした部分拡大図である。カッ
プリング98bは、回転軸に垂直な方向に延びかつ回転軸方向に凹む溝部98baを有している
。一方、カップリング98aは、回転軸方向に突出しかつ溝部98baに嵌められる凸部を有し
ている。カップリング98bは、その溝部98baに沿って取り付けられたシート状の固定部材505によって回転が規制されて転写ユニット12の非変位部に固定されて(繋ぎ止められて)いる。固定部材505は、溝部98baに係合される部分(係合部)の両側が転写ユニット12の
非変位部の(ハウジングの)面とのみ両面粘着テープなどで固定されており(固定部)、カップリング98bとは接着されていない。この固定部材505により、転写ユニット12の輸送中の衝撃や振動(すなわち、装置本体100からの動力以外の力)で、カップリング98aが回転してしまうことが防止される。したがって、例えば、ユニットの保管時等において、全色離間モード(第3モード)からフルカラーモード(第1モード)に状態遷移し、ベルト12eや一次転写ローラ12a〜12dが当接した状態となって永久変形が生じてしまうのを防止し
ている。さらに、ユーザやサービスマンがユニットの交換作業の際に固定部材505に触れ
て剥がれてしまうのを防ぐ為、固定部材505の接着面に容易に触れることができないよう
にリブ12j,12kが設けられている。そして、転写ユニット12を装置本体100に装着し、カップリング98a,98bが係合すると、固定部材505が2つのカップリングにより狭持されるようになっている。
【0031】
図12(b)〜図12(e)を参照して、固定部材505を伴ったベルト12eの当接離間検知構成について説明する。なお理解の為、ギア96及びカップリング98aを不図示としている。図12(b)〜図12(e)は、図11(a)〜図11(c)にそれぞれ対応している。すなわち、カップリング98a、98bは、図12(b)に示す新品時の全色離間モード(第3モード)から、所定の制御により図の時計回りに120°回転し、図12(c)に示す全色当接モード(第1モード)に至る。このモード遷移の途中で、固定部材505は、カップリング98aとカップリング98bとに狭持されな
がら回転されるので、カップリング98a,98bから受けるトルクに起因するせん断力により
物理的に切断される。これにより、転写ユニット12は使用開始状態となる。切断に対しては、このように固定部材505を狭持することで、装置本体100からの回転動力により確実に固定部材505を切断できるようにしている。図12(c)に示すように、固定部材505は、そ
の中央部で破断して2つの部分505a,505bに分かれる。それぞれの部分505a,505bは、依然として転写ユニット12に固定された状態にあり、カップリング98の回転に伴い、回転軌跡の外側に排除される。これにより、固定部材505に覆われていた検知部材503がカップリング98aに露出する。その後は、破断されたテープがカップリング98の回転半径の外側に排
除されたまま、図12(d)のモノカラーモード(第2モード)、図12(e)の中古状態の全色離間モード(第3モード)へとモード遷移がなされる。
【0032】
各モードの検知については、フォトセンサ504により、固定部材505の有無を検知する。具体的には、カップリング98bの面(ア)(溝部98baの溝底面)と検知部材503と固定部材505の光学的な反射率を、例えば、カップリング98a>固定部材505>検知部材503のように変化させ、それら3つの反射率の差を検知・判断する。これにより、既存の当接離間検知に加え、新たな検知手段を設けることなくユニット新品検知も実現している。また、このように新品検知を出荷時の固定部材505で行うことにより、次の効果が期待できる。一般的
に生産工程でのユニットの動作・性能チェックを行う際に、例えば、電気的なヒューズを用いて新品検知を行なう場合がある。この検知方法では、出荷時のチェック時に、そのヒューズを切らないような特別なファームウェアを用いて、新品検知機能を無効化する必要があり、必ずしも効率的とは言えなかった。本実施例によれば、出荷時の固定部材505を
検知部材としても利用し、ユニットの動作チェックを行った後、ユニットの梱包前の最終段階で固定部材505を取り付けることで、そのような煩雑な工程をなくすことができる。
【0033】
図13を参照して、固定部材505について、さらに切断に対する確実性を向上させる構成
について説明する。図13(a)〜図13(c)は、固定部材の切断性向上に関する具体例を示す説明図である。図13(a)〜図13(c)に示すように、固定部材505の一部(係合部)には、図中(イ)〜(エ)のように、横幅が狭くなる(横幅方向に切った断面積が減少する)領域が形成
されるようにVノッチやミシン目が設けられている。このようにノッチやミシン目を設けて固定部材505に局所的に強度が弱くなる部分を設けることで、その部分においての固定
部材505が破断を生じる確実性が向上される。また、破断に要するせん断力、特に、本実
施例では、カップリング98a,98bの軸上におけるトルクを低く抑えることが期待できる。
勿論、これ以外にも、カップリング98a,98bの回転軸方向と直交する方向に沿って、任意
の位置において断面積が変化する(一定でない)ように構成された固定部材505を用いて
も、同様な効果を実現可能である。
【0034】
本発明は、画像形成に係る交換ユニットの新品検知機構に関し、交換ユニットの出荷時の固定部材(シップロック部材)を用いて、安価かつ省スペースでの新品検知を行う構成を実現するものである。交換ユニットの出荷最終段階にて、固定部材を貼り付けることで、所望の構成を実現でき、生産工程におけるユニットの検査を煩雑にさせることがない。また、ユニットの交換時に新品検知を行うことで、装置の制御パラメータ設定を常に最適化することが可能となり、ユーザに対し、高画質を維持できる画像形成装置を提供することができる。
【0035】
<実施例2>
図14及び図15を参照して、実施例2について説明する。図14は、実施例2に係る転写ユニットの新品検知機構の構成を説明する模式図である。図14(a)は、カップリング98の周
囲を示す。図14(b)は、カップリング98aと離間ギア96を示す。図14(c)は、説明の都合上
、図14(a)から図14(b)の要素を除去したものを示す。図14(d)は、カップリング98b、固定部材505、フォトセンサ504などを示す。図15は、各モード毎のカップリング98bの位相の
変化等を示す模式図である。図15(a)は、新品時の全色離間モード(第3モード)におけ
る模式図である。図15(b)は、フルカラーモード(第1モード)における模式図である。
図15(c)は、モノカラーモード(第2モード)における模式図である。図15(d)は、旧品時の全色離間モード(第3モード)における模式図である。なお、図15(a)〜図15(d)中の破線は、理解を促すために、各時点での固定部材505の様子を補助的に示したものである。
【0036】
実施例2は、フォトセンサ504から発せられる光502の光路がカップリング98の軸方向と略直交して延びる構成となっている。この構成により、実施例1と同様、ベルト当接離間
検知と新品検知とを実現することができる。なお、転写ユニット12やベルト当接離間機構に関しては、実施例1と同様なので、それらに関する詳細な説明は割愛する。図14に示すように、実施例1では、固定部材505の短手方向とカップリング98の軸方向が直交してい
るのに対し、実施例2では、両者が平行関係になっている。
【0037】
図15(a)の新品時の全色離間モード(第3モード)においては、検知手段504から発せられる光502は固定部材505に遮断され、検知手段504は、検知部材503の反射光を受光せず、固定部材505の反射光を受光する。実施例1と同様、カップリング98b、検知部材503、固
定部材505の反射率を異なるものとすることで、この時、固定部材505の存在を検知し、当該転写ユニット12は新品であると判断する。その後、カップリング98が回転し、図15(b)
の状態、フルカラーモード(第1モード)となる時、固定部材505は破線で示すようにそ
の略中央で切断される。この時、検知手段504は、検知部材503からの反射光を受光することなく、カップリング98bからの反射光を受ける。そして、同様に図15(c)のモノカラーモード(第2モード)から図15(d)の旧品時の全色離間モード(第3モード)へと遷移し、
旧品時の全色離間モード(第3モード)にて、初めて、検知手段504は、検知部材503からの反射光を受光する。以降は、前述したように、全色離間モード(第3モード)となる毎に、検知手段504が検知部材503からの反射光を受光する。
【0038】
<実施例3>
本発明は、実施例1、2の反射型フォトインタラプタのような光学的センサを用いた画像形成装置に限定されるものではない。例えば、光学的な反射率の差ではなく、特許文献3に記載の技術のように、磁力の差(磁界の変化)を用いた磁気センサを使用してもよい。具体的には、検知手段504を磁力を検知可能な磁気センサに、そして、検知部材503を永久磁石として、磁界の変化を検知するように構成することで、検知手段504と検知部材503との間で非接触の形態をとることができる。したがって、このような構成に対しても本発明は適用可能であり、上記実施例と同様の効果を得ることは明らかである。
【0039】
<実施例4>
図16及び図17を参照して、実施例4について説明する。実施例4では、固定部材505に
導電性を持たせ、固定部材505の破断部の両側の部位に接点部を設け、接点間に電流や電
圧を印加し、固定部材505の破断前後の状態検知(電気の導通の有無)を行い、これによ
り新品検知を行う。
【0040】
図16は、実施例4に係る新品検知機構の説明図である。図16(a)は、装置本体100の一部100aと、カップリング98aと、装置本体100の一部100aに具備された接点506a,506bの部分
拡大図である。接点506a,506bは、いずれも捩りコイルばねであり、カップリング98aからカップリング98bの方向に付勢されるように構成された腕を有している。図16(b)は、カップリング98bの周囲を装置本体100側から見た斜視図である。接点506a,506bは、装置本体100の一部100aに設けられたボス100b,100cとフック部100d,100eにより装置本体100の一部100aに固定されている。また、接点506a,506bには電圧もしくは電流といった電気的な(第2の)検出手段512が電気的に接続されている。図16(c)は、固定部材505を示したもので
ある。本実施例における固定部材505は、伸縮する弾性体で出来ている。また、固定部材505は、中央の部位(係合部)505cとその両端の部位(固定部)505a,505bに接着剤が塗布
されており(図の斜線部)、係合部505cと固定部505a,505bとの間の境界部(斜線部以外
)には塗布されていない。
【0041】
図17は、各モード毎のカップリング98bの位相の変化等を示す模式図である。図17(a)は、新品時の全色離間モード(第3モード)における模式図である。図17(b)は、フルカラ
ーモード(第1モード)における模式図である。図17(c)は、モノカラーモード(第2モ
ード)における模式図である。図17(d)は、旧品時の全色離間モード(第3モード)にお
ける模式図である。図12や図15に示すように実施例1、2では、当接離間と新品検知(つまり固定部材505)の検知を、いずれも検知手段504を用いて行なう構成となっている。本実施例は、当接離間検知を、既に述べた検知部材504(不図示)で行い、新品検知のみを
第2の検出手段512で行う構成となっている。
【0042】
図17(a)に示すように、固定部材505の両端(固定部505a,505b)にそれぞれ接点506a,506bが当接している。また、固定部材505は、カップリング98bの外径付近2箇所(係合部50cと固定部505a,505bとの境界部)で図中(オ)のようなミシン目が設けられており、そのミシン目近傍で切断されるようになっている。また、このミシン目の裏(図17(a)のグレー
の網掛け部分)が図16(c)の非斜線部、つまり接着剤が無い部分となっており、固定部材505が自然状態よりも伸びた状態で張力を有しながら、貼り付けられている。さらに、固定部材505上には検出部材503が貼り付けられている。これらの反射率などについては、既述の通りである。なお、ここでは説明の都合上、装置本体100の一部100aやカップリング98a、検出手段512は不図示としている。図12(b)〜(d)と同様に、第3→第1→第2→第3モ
ードへとモード切替が行われる。この最初の第3から第1モードへ遷移する時に、固定部材505がカップリング98の回転によりミシン目をきっかけに3つの部位(固定部505a,505bと係合部505c)に切断される。これにより、以降の動作では、接点506aと接点506bとの間での電気的な導通が取れなくなり、(第2の)検出手段512はユニット12が新品から旧品
へと変わったと判断する。前述したように、固定部材505は弾性体であり、伸ばされた状
態で貼り付けられている。そのため、切断後には、図17(d)の分割された固定部材505における3つの部位505a,505b,505cの間の接着剤が塗布されていない部分が縮み、それら3つの部位505a,505b,505cの間にクリアランスが生じる。これにより、切断後に3つの部位505a,505b,505cが互いに接触して意図せず導通がとれるような場合を排除し、上記検知の信頼性を確保している。
【0043】
[ベルト当接離間検知及び新品検知に関連する制御]
図18は、本発明の各実施例に係るカラー画像形成装置を制御するための例示的な制御ブロック図である。画像形成装置100の基本制御を行うCPU171は、制御プログラムが書き込
まれたROM174と、処理を行うためのワークRAM175と、入出力ポートI/O173とが、アドレ
スバス、データバスにより接続されている。入出力ポートI/O173には、画像形成装置を
構成するモータ、クラッチ等の各種負荷(不図示)や紙の位置を検知するセンサ等の入力(
不図示)が接続されている。CPU171は、ROM174の内容にしたがって入出力ポートI/O173を介して順次入出力の制御を行い、画像形成動作を実行する。また、CPU171には操作部172
が接続されており、操作部172の表示手段、キー入力手段を制御する。操作者は、キー入
力手段をとおして、画像形成動作モードや、表示の切替をCPU171に指示し、CPU171は、画像形成装置100の状態やキー入力による動作モード設定の表示を行う。CPU171にはさらに
、外部I/F処理部400と、画像メモリ部300と、画像エンジン部200とが接続されている。外部I/F処理部400は、PCなど外部機器からの画像データ・処理データなどを送受信する。画像メモリ部300は、画像の伸張処理や一時的な蓄積処理などを行なう。画像エンジン部200は、画像メモリ部300から転送されたライン画像データをスキャナユニット3に露光させるべく処理を行う。
【0044】
図19は、本発明の各実施例に係る画像メモリ部300の例示的な制御ブロック図である。
画像メモリ部300では、DRAM等のメモリで構成されるページメモリ301に、メモリコントローラ部302を介して外部I/F処理部400から受け取った画像データを書き込み、画像エンジ
ン部200への画像読み出し等画像の入出力のアクセスを行う。メモリコントローラ部302は、外部I/F処理部400から受け取った外部機器からの画像データが圧縮データであるか否かの判断を行う。そして、圧縮データであると判断された場合、メモリコントローラ部302
は、圧縮データ伸張処理部303を用いて伸張処理を行った後、ページメモリ301へ書き込み処理を行なう。メモリコントローラ部302は、ページメモリ301のDRAMリフレッシュ信号の
発生を行う。また、メモリコントローラ部302は、画像I/F処理部400からの書き込み、画
像エンジン部200への読み出しに対するページメモリ301へのアクセスの調停を行う。さらに、メモリコントローラ部302は、CPU171の指示に従い、ページメモリ301への書き込みアドレス、ページメモリ301からの読み出しアドレス、読み出し方向などの制御をする。
【0045】
図20を参照して、外部I/F処理部400の構成を説明する。図20は、外部I/F処理部400の構成図である。外部I/F処理部400は、外部装置500から送信される画像データ及びプリント
コマンドデータを、USB I/F部401、セントロI/F部402、ネットワークI/F部403のいずれかを介して受信する。また、外部I/F処理部400は、CPU171で判断された画像形成装置の状態情報等を外部装置500に対し送信する。ここで、外部装置500は、コンピュータやワークステーション等である。外部装置500からUSB I/F部401、セントロI/F部402、ネットワークI/F部403のいずれかを介して受信したプリントコマンドデータは、CPU171にて処理される
。そして、CPU171は、画像エンジン部200や図18の入出力ポート173などを用いてプリント動作を実行するための設定やタイミングを生成する。外部装置500からUSB I/F部401、セ
ントロI/F部402、ネットワークI/F部403のいずれかを介して受信した画像データは、プリントコマンドデータに基づくタイミングに応じて画像メモリ部300に送信され、処理され
る。これにより、画像形成部200にて画像形成がなされる。
【0046】
図21は、本実施例1〜3における画像形成システムの構成図である。ここで、以下の説明では、ユニット新品検知手段504を、当接離間検知手段と固定部材検知手段の両方を兼
ねるものとし、上記実施例1、2における光学式のフォトセンサを例として説明する。勿論、磁気センサを用いた場合でも、システム構成自体は本質的に同じである。
【0047】
転写ユニット12は、前述のベルト12e、駆動ローラ12f、対向ローラ12g、テンションロ
ーラ12hなどからなるユニットである。転写ユニット12に設けられる新品検知部材は、固
定部材505であり、転写ユニット12のカップリング98bに配置される。ユニット新品検知手段504は、既知のように光学的に検知部材505の有無を検知するセンサである。固定部材505が、所定のモードにおいてユニット新品検知手段504の出力値を変化させることにより、転写ユニット12の新旧品が判断される。また、ユニット新品検知手段504が検知した結果
は、入出力ポート173を通してCPU171に通知される。
【0048】
一方、ユニット新品検知手段504は、ベルト12eのドラムに対する当接・離間状態を検知する手段としても機能する。カウント手段507は、転写ユニット12が新品として使用開始
されてからの累積印字量(印字率を加味した印字ドット量、いわゆるピクセルカウント量)、もしくは画像形成を行った時間(稼動時間)を計測するための手段である。その結果は、カウンタ508に記憶される。ユニット情報510は、転写ユニット12の特性に合わせて画像形成を行うためのパラメータ情報である。ユニット情報510は、転写ユニット12が初め
て画像形成装置に投入された際に行われる初期化動作の結果に応じて決められる。本実施例においては、転写電圧・電流制御を行っている。この制御ではベルト12eや一次転写ロ
ーラ12a〜12d、従動ローラ12gの長期使用時の抵抗変化等に応じて、所望の転写条件とな
るよう、1次転写部や2次転写部の転写電圧・電流を制御している。ユニット情報510は
、画像形成装置内の不揮発性のRAM領域に記憶される。ユニット情報保持手段511は、転写ユニット12が交換された場合に一定期間、前に使用(装着)していたユニット情報510を
記憶(退避)しておくための手段であり、ユニット情報510と同様に画像形成装置内の不
揮発性のRAM領域に記憶される。
【0049】
図22を参照して、本実施例に係る画像形成装置における転写ユニット12の当接離間検知の流れを説明する。図22は、画像形成装置における転写ユニット12の当接離間検知のフローチャートを示す。転写ユニット12は、供給電源の突然停止などにより必ずしもそのホームポジションである全離間モードであるとは限らない。そのため、当接離間機構に異常が
無いことを前提とし、電源ON後(S601)、少なくとも、全離間モード、全当接モード、モノカラーモードのいずれかになるよう、ギア96を1/3回転以上(つまり、カップリング98a・98bを1回転以上)駆動する。その後、当接離間検知手段(以下、センサとする)504が検知
部材503を検知するまで、つまり全離間モードとなるまで、転写ユニット12が当接離間動
作を繰り返す(S603〜S611もしくは622)。これにより、転写ユニット12の状態すなわち、
全離間モード、全当接モード、モノカラーモードのどの状態なのかを把握する。並行して、センサ504自体の故障がないかを確認し(S605〜S606または、S615〜S626)、全離間モー
ドへ復帰し、検知終了となる(S612もしくはS622〜S613)。
引き続き、図22のフローについて、具体的に説明する。なお、ここでは、S603にて転写ユニット12の実際のモードが全離間モードであった場合について例示する。前述したように、電源ON後、ギア96が1/3以上回転するよう駆動する(S601〜S602)。その後、センサ504で検知部材503の有無を確認し、検知部材503が確認される(S603:YES)。その後、当接離間動作を繰り返し(S604,S607,S609)、そのステップごとに検知部材503の有無を確認する(S605,S608,S610)。この過程で、検知部材503が本来のタイミングでない時に検知されたり、本来のタイミングでされなかったりした場合は当接離間機構異常と判断され(S605:YES,S608:YES,S610:NO)、終了する(S606〜S613)。一方、機構に異常なく、本来検知されるべ
きタイミングで検知部材が適切に検知される場合(S610:YES)は、ホームポジションである全離間モードでスタンバイとなり、終了する(S611〜S613)。
同様に、S603にてモノモードや全当接モードである場合においても、最大4回、転写ユ
ニット12の駆動と検知部材503の検知を繰り返す。異常時を除き、モノカラーモードの時
はS603,S614〜S621のようなフローをたどり、全当接モードの時はS603,S614,S615,S624,S625のようなフローをたどる。これらのフローにおいて本来のタイミングで検知部材503が検知されない場合(S617:YES,S619:YES,S621:NO,S625:NO)には、ユニットに何らかの異
常があると考えられる。従って、この場合には、当接離間機構そのものの異常、もしくは、検知部材503が存在しないなどといった、ユニットに何らかの異常があると判断(S606
もしくはS626)する。一方、正常な場合、意図したタイミングで検知部材503が検知され
(モノカラーモードの時はS621でYES、全当接モードの時はS625でYES)、機構に異常はなくかつ転写ユニット12は全離間モードであると判断する(S622)。そして、ホームポジションである全離間モードでスタンバイ(S623)状態となり、終了する(S613)。
【0050】
図23は、本実施例に係る画像形成装置における転写ユニット12の新旧識別(新品検知)動作のフローチャートを示す。S701において、使用者によりユニット12が装着され、画像形成装置の電源が入れられた後、S702でまず、センサ504で固定部材505の有無を確認する。検知しない場合(S702;NO)は、図22に示す通常の当接離間検知モードのみを実施する(S703)。S702でまず、センサ504に検知信号が入った場合(S702;YES)、センサ故障などを除き、ユニット12は全離間モードである。したがって、再び全離間モードになるまで、当接離間のモード切換を実施し、適宜センサ504の故障や新品検知機構・当接離間機構自体の異
常をスクリーニングしていく(S704〜S711)。S712において、センサ504が検知部材503を検知した場合は、転写ユニット12は新品であると判断し、カウンタ508をクリアする(S713)
。その後、転写ユニット12の特性に合わせて画像形成を行うためのユニット情報510を決
めるための初期化動作が行われ、初期動作が終了した時点で画像形成装置はスタンバイ状態となる(S714)。そして、検知動作を終了する(S715)。
一部内容に関し重複するが、理解の為、まず転写ユニット12が新品で、カップリング98a・98bの回転により、固定部材505が切れないで異常となる場合について、以下具体的に
説明する。最初に、電源ON(S701)後、固定部材505の検知を行う(S702)。固定部材505が検知される(S702:YES)ので、当接離間クラッチをONする(S704)。そして、再度固定部材505
の検知を行う。固定部材505が切れていない・当接離間動作自体が出来ていないなどの理
由により検知されてしまう(S705:YES)ので、新品検知機構異常と判断する(S706)。この時、これまで使用していた転写ユニット12をそのまま使用する可能性もある為、旧ユニット12のカウンタ508をクリアせず保持し、検知動作は終了する(S715)。これとは別に、転写
ユニット12が新品で固定部材505は適切に切断されるものの、全離間モードを示す検知部
材503が検知されない場合について説明する。この時、上述の固定部材505の検知で検知されない(S705:NO)ので、引き続き、当接離間動作と固定部材の検知を繰り返す(S706〜S709)。そして、本来存在するべき検知部材503が、検知部材自身が存在しない等の理由により検知されない場合(S712:NO)、このケースは、新品の検知とは関係なく、当接離間機構異
常とし、検知動作を終了させる(S711→S715)。このケースも、カウンタ508はクリアせず
保持される。
【0051】
なお、転写ユニット12のカウンタ508の動作については次のようになる。画像形成装置
は画像形成を行う毎にカウンタ508の値を更新する。画像形成が終了した時点でCPU171及
びROM174は、カウンタ508の値が所定の条件に達しているか否かを判断する。カウンタ値
が所定枚数以上になったと判断した場合には、転写ユニット12が交換時期である旨を操作部172等に表示等して使用者に警告すると共に、以降の画像形成動作を制限し、良好な画
質を保てるように制御する。本実施例のように、転写ユニット12が新品であると判断された場合(S713)、カウンタ508をリセットし、再度ユニットの使用履歴を記録し始める。
【0052】
図24は、本実施例4における画像形成システムの構成図を示す。図21に示す構成では、センサ504が当接離間検知手段及びユニット新品検知手段として兼用されていた。図24に
示す構成では、図21の構成におけるセンサ504が、当接離間検知手段504と、固定部材検知手段512に分けられた構成となっている。図24のその他の構成や、新旧識別動作関連の検
知・制御については図21の構成と同じであり、ここでは説明を割愛する。
【0053】
<実施例5>
上記実施例1〜4では、画像形成装置100は、ベルト12eよって搬送される転写材Pにトナー像を一括転写して記録画像を形成する画像形成装置であるとして説明した。しかし、本発明は転写ベルト12eを使用した画像形成装置に限定されるものではない。例えば、像
担持体と、この像担持体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段、クリーニング手段などを備え、装置本体との駆動伝達部を持つ、交換可能なプロセスカートリッジ7においても、本発明は適用可能である。かかる構成においても、上記と同様の効果を得
ることは明らかである。また、装置本体100から駆動伝達を受け、定着ローラ141と加圧ローラ142とによって加熱、加圧し、転写材P表面にトナー像を定着させる交換可能な定着装置14においても同様な効果が期待できる。
【符号の説明】
【0054】
100…画像形成装置本体、12…中間転写ユニット、98a,98b…カップリング(動力伝達部、被動力伝達部)、504…フォトセンサ(検知手段)、505…固定部材、P…記録材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能に構成されるとともに前記装置本体から動力が伝達されて駆動されるユニットと、を備え、
前記ユニットは、
前記装置本体の動力伝達部に連結されて前記動力伝達部とともに変位することにより前記装置本体からの動力を受け取る被動力伝達部と、
前記被動力伝達部が前記装置本体からの動力によって初めて変位する前に前記装置本体からの動力以外の力によって変位するのを防止すべく、前記被動力伝達部を前記ユニットの非変位部に繋ぎ止める固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記非変位部に固定される固定部と、前記被動力伝達部に係合される係合部と、を有する画像形成装置において、
前記固定部材は、前記係合部が前記被動力伝達部と前記動力伝達部とによって挟まれる位置で前記被動力伝達部に係合されるとともに、前記装置本体からの初めての動力伝達によって変位する前記動力伝達部及び前記被動力伝達部とともに前記係合部が前記固定部に対して変位しようとすることにより、破断するように構成されており、
前記固定部材の破断を検知して前記ユニットの新旧を判断可能にする検知手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記動力伝達部及び前記被動力伝達部は、回転動力を伝達すべく回転可能に構成されており、
前記固定部材は、前記動力伝達部及び前記被動力伝達部の回転によって破断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被動力伝達部は、回転軸に垂直な方向に延びる溝部を有し、
前記動力伝達部は、回転軸方向に突出しかつ前記溝部に嵌められる凸部を有し、
前記固定部材は、前記係合部が前記溝部に係合され、前記固定部が前記係合部を挟む両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、光を照射した対象物の光の反射率を測定可能な光センサを有し、
前記光センサは、前記動力伝達部と前記被動力伝達部との連結部において前記固定部材の前記係合部が挟まれる位置に光を照射し、
前記検知手段は、前記係合部が前記連結部に挟まれているときに測定される光の反射率と、前記固定部材が破断して前記係合部が前記連結部から退いたときに測定される光の反射率との違いに基づき、前記固定部材の破断を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記動力伝達部と前記被動力伝達部との連結部において前記固定部材の前記係合部が挟まれる位置に設けられる永久磁石と、
該永久磁石の磁力を検知可能な磁気センサと、
を有し、
前記連結部に挟まれた前記係合部が前記固定部材の破断によって前記連結部から退くことによりに生じる、前記磁気センサによって検知される磁力の差に基づき、前記固定部材の破断を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記係合部に横幅が狭くなる領域を有することを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記固定部材は、導電性を有し、
前記検知手段は、前記固定部材において破断する部位を挟んだ両側の部位にそれぞれ接点を設けて前記固定部材に電気又は電圧を印加し、前記固定部材の破断前後の前記接点間における電気の導通の有無により、前記固定部材の破断を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ユニットは、像担持体に形成されたトナー像が転写されるベルト部材を有し、前記ベルト部材に転写されたトナー像を前記転写材に転写する、中間転写ベルトユニットであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
転写材に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能に構成されるとともに前記装置本体から動力が伝達されて駆動されるユニットと、を備え、
前記ユニットは、
前記装置本体の動力伝達部に連結されて前記動力伝達部とともに変位することにより前記装置本体からの動力を受け取る被動力伝達部と、
前記被動力伝達部が前記装置本体からの動力によって初めて変位する前に前記装置本体からの動力以外の力によって変位するのを防止すべく、前記被動力伝達部を前記ユニットの非変位部に繋ぎ止める固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記非変位部に固定される固定部と、前記被動力伝達部に係合される係合部と、を有する画像形成装置において、
前記固定部材は、前記係合部が前記被動力伝達部と前記動力伝達部とによって挟まれる位置で前記被動力伝達部に係合されるとともに、前記装置本体からの初めての動力伝達によって変位する前記動力伝達部及び前記被動力伝達部とともに前記係合部が前記固定部に対して変位しようとすることにより、破断するように構成されており、
前記固定部材の破断を検知して前記ユニットの新旧を判断可能にする検知手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記動力伝達部及び前記被動力伝達部は、回転動力を伝達すべく回転可能に構成されており、
前記固定部材は、前記動力伝達部及び前記被動力伝達部の回転によって破断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被動力伝達部は、回転軸に垂直な方向に延びる溝部を有し、
前記動力伝達部は、回転軸方向に突出しかつ前記溝部に嵌められる凸部を有し、
前記固定部材は、前記係合部が前記溝部に係合され、前記固定部が前記係合部を挟む両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、光を照射した対象物の光の反射率を測定可能な光センサを有し、
前記光センサは、前記動力伝達部と前記被動力伝達部との連結部において前記固定部材の前記係合部が挟まれる位置に光を照射し、
前記検知手段は、前記係合部が前記連結部に挟まれているときに測定される光の反射率と、前記固定部材が破断して前記係合部が前記連結部から退いたときに測定される光の反射率との違いに基づき、前記固定部材の破断を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記動力伝達部と前記被動力伝達部との連結部において前記固定部材の前記係合部が挟まれる位置に設けられる永久磁石と、
該永久磁石の磁力を検知可能な磁気センサと、
を有し、
前記連結部に挟まれた前記係合部が前記固定部材の破断によって前記連結部から退くことによりに生じる、前記磁気センサによって検知される磁力の差に基づき、前記固定部材の破断を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記係合部に横幅が狭くなる領域を有することを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記固定部材は、導電性を有し、
前記検知手段は、前記固定部材において破断する部位を挟んだ両側の部位にそれぞれ接点を設けて前記固定部材に電気又は電圧を印加し、前記固定部材の破断前後の前記接点間における電気の導通の有無により、前記固定部材の破断を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ユニットは、像担持体に形成されたトナー像が転写されるベルト部材を有し、前記ベルト部材に転写されたトナー像を前記転写材に転写する、中間転写ベルトユニットであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−112857(P2011−112857A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269003(P2009−269003)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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