説明

画像形成装置

【課題】現像手段を装置本体外に脱離させることなく、安定して用紙搬送路を開放した状態でジャム処理を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100の左右側面部100bの内側面には、現像ユニット20の突起部20aが摺動可能に係合する第2案内レール30が形成され、第2案内レール30の前面側端部であって現像ユニット20が第1用紙搬送路12を開放可能なジャム処理位置に、突起部20aが背面側に移動しないように支持可能な凹部31と、凹部31の前面側に第2案内レール30に対して上下方向に出没可能に支持され、第2案内レール30よりも下方に没入することにより突起部20aの前面側及び背面側の通過を許容し、上方に突出することにより突起部20aの前面側への通過を規制可能な規制部材32と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関し、特に用紙搬送路でのジャム処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、FAX等の電子写真方式を用いる画像形成装置においては、主に粉末の現像剤が使用され、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって可視化し、そのトナー像を給紙カセットから記録媒体上に転写した後、定着処理を行うプロセスが一般的である。また、画像形成装置には、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像するために、装置本体に着脱可能な現像ユニットが設けられている場合がある。
【0003】
このような画像形成装置を図10〜図12に示す。図10は、従来の画像形成装置の外観を示す概略斜視図であり、図11は、従来の画像形成装置の上面カバーが開いた状態を図10の左方から示す概略斜視図であり、図12は、従来の画像形成装置の上面カバー及び手差しトレイが開いた状態を図10の右方から示す概略斜視図である。また、図13は、現像ユニットが装置本体に装着された状態を示す概略側面断面図であり、図14は、脱離された状態を示す概略側面断面図である。
【0004】
図10に示すように、画像形成装置100の外装には、上面カバー(外装カバー)100aと手差しトレイ(側面カバー、外装カバー)11とが設けられている。上面カバー100aは、装置本体上面の前面側に配置され、図11及び図12に示すように、背面側端部を支点として上方に略垂直に起立するように開閉可能に支持されている。また、上面カバー100aを開けると現像ユニット(現像手段)20が現れるようになっている。
【0005】
手差しトレイ11は、装置本体の前面カバーを構成しており、装置本体前面の上面側であって、給紙カセット10の直上に配置され、図12に示すように、下端部を支点として下方に略水平に倒伏するように開閉可能に支持されている。手差しトレイ11のトレイ面(内面)11aには、倒伏した状態で用紙を載置(収容)することができ、該トレイ面11aには、用紙を幅方向に位置決めするための用紙ガイド11bが設けられている。また、上面カバー100a及び手差しトレイ11は、装置本体の上面側且つ前面側端部で開閉端部が互いに直近するように配置されている。
【0006】
図12に示すように、現像ユニット20は、装置本体に着脱可能であり、現像ローラ8a(図13参照)を有する現像装置8とトナーコンテナ9とを有している。かかる現像ユニット20が装置本体に装着されることにより、図13に示すように、現像ユニット20が感光体ドラム5と対向して配置されると共に、給紙カセット10や手差しトレイ11から供給された用紙を感光体ドラム5に搬送するための第1用紙搬送路12の上側面の一部を構成するようになっている。
【0007】
また、現像ユニット20には、長手方向(着脱方向とは垂直方向、図13の紙面とは垂直方向)両端部から両外側に突出する突起部20aが形成されており、装置本体の左右の側面部100bの内側面には、突起部20aが係合可能な溝状の第1案内レール51が形成されている。第1案内レール51は、感光体ドラム5の近傍から装置本体の前面側(脱離側)まで斜め上方に向かって形成されており、突起部20aが第1案内レール51を摺動することによって、現像ユニット20が第1案内レール51に案内されるようになっている。
【0008】
そして、上面カバー100a及び手差しトレイ11を開け、現像ユニット20を第1案内レール51に沿って装置本体内部に挿入することにより、図13に示すように現像ユニット20を感光体ドラム5との対向位置に装着することができ、この位置から現像ユニット20を第1案内レール51に沿って引き出すことにより、図14に示すように現像ユニット20を装置本体から脱離することができるようになっている。
【0009】
このような画像形成装置100では、第1用紙搬送路12でジャムが発生した場合、現像ユニット20を装置本体から取り出す(脱離する)ことによって第1用紙搬送路12を開放し、ジャム処理を行っている。このとき、装置本体から脱離させた現像ユニット20を、床やテーブル等に載置してジャム処理をするか、片方の手指で持ちながら他方の手指でジャム処理をする必要がある。
【0010】
しかし、現像ユニット20を床やテーブルに載置した場合は、載置する際の衝撃で現像ローラ8a上のトナーがこぼれて床等を汚すおそれがある。加えて、現像ユニット20から外側に露出している現像ローラ8a表面に、ステープルの針などが磁力で引き寄せられて付着し、この状態で画像形成を行うと画像不良等が発生するおそれもある。
【0011】
ここで、例えば特許文献1には、トナーを収納するカートリッジ本体と、トナーによりトナー像を形成する感光体と、感光体を回転自在に保持した状態でカートリッジ本体に回転自在に保持され、感光体を取り外し可能な位置まで回動する回転ユニットとを備えることにより、感光体を容易に取り外すことができ、ユーザの経済的負担を軽減する方法が開示されている。
【0012】
また特許文献2には、画像形成プロセスユニットの交換時期の検出結果に基づいて、開閉扉を開放させて画像形成プロセスユニットを装着状態から機器本体外部に押し出すことにより、操作者が交換必要な時期を知ると共に容易に交換することを可能とする方法が開示されている。
【0013】
また特許文献3には、本体に回転可能に取り付けられ第1開口を開閉するドアが閉じるときに、脱着可能な消耗品を定位置に固定するようにドアと連動して移動するロッキング部材を設けることにより、消耗品(現像手段)が画像形成装置の運搬中に損傷する危険性を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−242703号公報
【特許文献2】特開2005−215104号公報
【特許文献3】特開2009−020515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1の方法では、感光体を取り外し可能な位置まで回動しても用紙の搬送路を開放することはできない。加えて、ジャム処理を行うためには、感光体を回動した後、トナーコンテナを装置本体から脱離させる必要がある。また、特許文献2の方法では、プロセスユニットを押し出しただけでは用紙の搬送路は開放されず、別途プロセスユニットを取り出す必要がある。また、特許文献3の方法では、消耗品を定位置、すなわち搬送路を形成するための位置で固定するための方法であり、消耗品を脱離途中で固定するための方法ではない。
【0016】
本発明は、上記問題点に鑑み、現像手段を装置本体外側に脱離させることなく、安定して用紙搬送路を開放した状態でジャム処理を可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体と、装置本体に着脱可能であり、前記装置本体に装着されることにより用紙搬送路の一部を構成すると共に前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、前記現像手段から該現像手段の着脱方向とは垂直方向両外側に突設された突起部と、前記現像手段の脱離側に向かって斜め上方に傾斜して配置され、前記突起部が摺動可能に係合することにより前記現像手段を前記着脱方向に沿って案内する案内部材と、前記装置本体に開閉可能に支持され、前記現像手段を前記装置本体から着脱するための外装カバーと、を備えた画像形成装置において、前記案内部材の前記脱離側端部であって前記現像手段が前記用紙搬送路を開放可能な位置に形成され、前記突起部が前記現像手段の装着側に移動しないように支持可能な支持部と、前記支持部の前記脱離側に前記案内部材に対して上下方向に出没可能に支持され、前記案内部材よりも下方に没入することにより前記突起部の前記着脱方向の通過を許容し、上方に突出することにより前記突起部の着脱方向の通過を規制可能な規制部材と、が設けられたことを特徴としている。
【0018】
また本発明は、前記規制部材を上方に付勢する付勢部材が設けられ、前記規制部材には、該規制部材を前記付勢部材の付勢力に抗して下方に移動させるための把持部が形成されたことを特徴としている。
【0019】
また本発明は、前記規制部材の上端部には、前記装着側に向かって上方に傾斜し、前記現像手段が前記脱離側から押圧可能な傾斜部が形成され、前記現像手段が装着されるとき、前記規制部材は、前記傾斜部が前記突起部に押圧されることにより前記案内部材よりも下方に没入し、前記突起部による押圧が解除されることにより前記案内部材よりも上方に突出することを特徴としている。
【0020】
また本発明は、前記外装カバーは、開閉端部が互いに直近する、上方に開く上面カバーと側方に開く側面カバーとから成り、前記側面カバーの内面には、前記側面カバーが開いたとき前記現像手段を支持すると共に前記着脱方向に案内可能な案内部が設けられたことを特徴としている。
【0021】
また本発明は、前記側面カバーは、前記用紙搬送路に用紙を供給するための手差しトレイであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の構成によれば、案内部材の脱離側端部であって現像手段が用紙搬送路を開放可能な位置に形成され、突起部が現像手段の装着側に移動しないように支持可能な支持部と、支持部の脱離側に案内部材に対して上下方向に出没可能に支持され、案内部材よりも下方に没入することにより突起部の着脱方向の通過を許容し、上方に突出することにより突起部の着脱方向の通過を規制可能な規制部材と、を設けることによって、現像手段を案内部材に案内されて脱離される途中で安定に支持して、用紙搬送路を開放することができる。
【0023】
これにより、現像手段を装置本体外側に脱離させることなく安定して用紙搬送路を開放し、ジャム処理を行うことが可能となる。また、現像手段を装置本体に対して着脱する際には、規制部材を下方に移動させるだけで容易に着脱することができる。
【0024】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、規制部材を上方に付勢する付勢部材を設け、規制部材に、該規制部材を付勢部材の付勢力に抗して下方に移動させるための把持部を形成することによって、ジャム処理を行うときには、より確実に規制部材を案内部材から突出させて、現像手段の装置本体からの落下を防止することができる。また、現像手段を装置本体に対して着脱する際には、把持部を掴んで規制部材を下方に移動させるだけでより容易に着脱することができる。
【0025】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、規制部材の上端部に、装着側に向かって上方に傾斜し、現像手段が脱離側から押圧可能な傾斜部を形成し、現像手段が装着されるとき、規制部材が、傾斜部が突起部に押圧されることにより案内部材よりも下方に没入し、突起部による押圧が解除されることにより案内部材よりも上方に突出することによって、現像手段を案内部材に沿って装着側に移動させるだけで規制部材を案内部材よりも下方に没入させることができる。
【0026】
これにより、現像手段を装置本体により容易に装着することができる。また、現像手段が傾斜部を装着側へと通過した後には、規制部材が自動的に突出するため、次にジャム処理を行うとき、より確実に現像手段の装置本体からの落下を防止できる。
【0027】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の画像形成装置において、外装カバーを、開閉端部が互いに直近する、上方に開く上面カバーと側方に開く側面カバーとから構成し、側面カバーの内面に、側面カバーが開いたとき現像手段を支持すると共に着脱方向に案内可能な案内部を設けることによって、ジャム処理時により安定して用紙搬送路を開放することができる。加えて、現像手段を装置本体に着脱する際、案内部に沿って移動させることができるため、現像手段の着脱がより容易となる。
【0028】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の画像形成装置において、側面カバーを、用紙搬送路に供給される用紙を収容するための手差しトレイとすることによって、部材の追加を防止すると共に構成の複雑化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略側面断面図
【図2】本実施形態の画像形成装置に用いられる案内部材周辺の構成を示す概略側面断面図
【図3】本実施形態の画像形成装置に用いられる案内部材に設けられた規制部材を示す概略側面図
【図4】本実施形態の画像形成装置に用いられる案内部材に設けられた規制部材が案内部材よりも下方に没入した状態を示す概略側面断面図
【図5】本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットがジャム処理位置で支持される状態を示す概略側面断面図
【図6】本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットを装置本体に装着するときの規制部材の状態を示す概略側面断面図
【図7】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に用いられる手差しトレイの案内部をこれに案内される現像ユニットと共に示す概略斜視図
【図8】本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットが案内部に支持される状態を図7の右上方から示す概略図であって、図8(a)は、現像ユニットが案内部に当接する状態を示す図であり、図8(b)は、現像ユニットが案内部に当接した状態を示す図
【図9】本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットが案内部に当接した状態を示す概略側面断面図
【図10】従来の画像形成装置の外観を示す概略斜視図
【図11】従来の画像形成装置の上面カバーが開いた状態を図10の左方から示す概略斜視図
【図12】従来の画像形成装置の上面カバー及び手差しトレイが開いた状態を図10の右方から示す概略斜視図
【図13】従来の画像形成装置に現像ユニットが装着された状態を示す概略側面断面図
【図14】従来の画像形成装置から現像ユニットが離脱された状態を示す概略側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略側面断面図である。なお、図10〜図14と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0031】
図1に示すように、画像形成装置(プリンタ)100では、画像形成動作を行う場合、帯電ユニット4により図中時計回りに回転する感光体ドラム5が一様に帯電され、原稿画像データに基づく露光ユニット(レーザ走査ユニット等)7からのレーザビームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像ユニット(現像手段)20により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。
【0032】
この現像ユニット20は、現像装置8とトナーコンテナ9とを有しており、トナーコンテナ9から現像装置8にトナーの供給が行われ、現像装置8に設けられた現像ローラ8aから感光体ドラム5にトナーが供給されるようになっている。かかる現像ユニット20の詳細は後述する。なお、画像データはパーソナルコンピュータ(図示せず)等から送信される。また、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置(図示せず)が、感光体ドラム5の回転方向(図の時計回り)に対しクリーニングユニット6の下流側に設けられている。
【0033】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、用紙Pが給紙カセット10又は手差しトレイ11から第1用紙搬送路(用紙搬送路)12及びレジストローラ対13を経由して搬送され、転写ローラ14(画像転写部)により感光体ドラム5の表面に形成されたトナー像が用紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム5から分離され、定着ローラ対15aを有する定着部15に搬送されてトナー像が定着される。定着部15を通過した用紙は、第2用紙搬送路16により装置上部に搬送され、排出ローラ対17より排出トレイ18に排出される。
【0034】
ここで、第1用紙搬送路12でジャムが発生した場合、ジャム処理を行うために現像ユニット20を装置本体から脱離させると、上記したようにトナーが漏れたり、現像ローラ8aにステープラの針等が吸着したり、現像ユニット20を落下させるおそれがある。そこで、本実施形態では、現像ユニット20を着脱時に案内する第2案内レール30の前面側(脱離側)端部に、凹部(支持部)31及び規制部材32を設け、凹部31に現像ユニット20を安定に支持してジャム処理を行うこととした。
【0035】
図2は、本実施形態の画像形成装置に用いられる案内部材周辺の構成を示す概略側面断面図であり、図3は、本実施形態の画像形成装置に用いられる案内部材に設けられた規制部材を示す概略側面図であり、図4は、本実施形態の画像形成装置に用いられる案内部材に設けられた規制部材が案内部材よりも下方に没入した状態を示す概略側面断面図である。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0036】
図2に示すように、装置本体の左右両側面部100bの内側面には、現像ユニット20を装置本体に対して着脱可能に案内するための一対の第2案内レール(案内部材)30が形成されている。第2案内レール30は、左右両側面部100bを切り欠いた溝状に形成され、装置本体の背面側(装着側、図の左側)から前面側(脱離側、図の右側)に向かって上方に傾斜している。また、現像ユニット20における現像ローラ8aの回転軸と両外側から対向する位置には、着脱方向とは垂直方向両外側、すなわち左右両側面部100bに向かって突出し、第2案内レール30を摺動してこれに案内される突起部20aが形成されている。
【0037】
かかる突起部20aが第2案内レール30に沿って背面側に案内されることにより、現像ローラ8aが感光体ドラム5と対向する対向位置に配置され、感光体ドラム5に形成された静電潜像にトナーを供給することができる。また、かかる対向位置に配置されることにより、現像ユニット20の底部は第1用紙搬送路12の上側面の一部を構成することができる。一方、かかる対向位置から第2案内レール30に沿って装置本体前面側に案内されることにより、現像ユニット20を装置本体から脱離することができる(図4参照)。
【0038】
凹部31は、第2案内レール30の下面が下方に切り欠かれることにより側面視略半円形状に形成されている。また、凹部31は、現像ユニット20の突起部20aが嵌まり込むことができるような大きさに形成されている。かかる凹部31に突起部20aが嵌まり込むことにより、現像ユニット20が第1用紙搬送路12を開放する位置(ジャム処理位置)に、自重によって装着側へと滑り落ちて移動しないように支持される(図5参照)。
【0039】
図2及び図3に示すように、第2案内レール30における凹部31の前面側に、規制部材32が上下方向に移動可能に支持されている。規制部材32は、側面視略矩形状から形成され、規制部材32の上端部には、該上端部の前面側端部が切り欠かれることにより背面側に向かって上方に傾斜する傾斜部32aが形成されている。後述するように規制部材32が上方に移動すると、図2に示すように傾斜部32aが第2案内レール30よりも上方に突出し、規制部材32が下方に移動すると、図4に示すように傾斜部32aが第2案内レール30よりも下方に没入するようになっている。
【0040】
また、図2に示すように、規制部材32が第2案内レール30よりも上方に突出している状態では、凹部31に嵌まり込んだ突起部20aの前面側への通過を規制することができ、これにより、現像ユニット20の装置本体外側(図の右側)への落下を防止することができる。一方、図4に示すように、規制部材32が第2案内レール30よりも下方に没入している状態では、突起部20aの前面側及び背面側(着脱方向)の通過を許容して、現像ユニット20の装置本体からの装着及び脱離を許容することができる。
【0041】
また、規制部材32の前面側端部における傾斜部32aの下方には、第2案内レールよ30よりも前面側に突出する把持部32bが形成されており、把持部32bを手指で掴むことにより規制部材32を上下方向(ここでは後述するように下方)に移動させることができるようになっている。
【0042】
規制部材32の下方には、上下方向に沿って圧縮バネ(付勢部材)33が配置されており、圧縮バネ33の上端は規制部材32の下端部に連結され、下端は装置本体に設けられた不図示の固定部に連結されている。かかる圧縮バネ33により、規制部材32は傾斜部32aが第2案内レール30よりも上方に突出するように付勢されている。
【0043】
次に、現像ユニット20を感光体ドラム5との対向位置から引き出して第1用紙搬送路12を開放する動作、現像ユニット20の装置本体に対する脱離動作、及び装着動作について説明する。図5は、本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットが案内部材のジャム処理位置に支持される状態を示す概略側面断面図であり、図6は、本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットを装置本体に装着するときの規制部材の状態を示す概略側面断面図である。図2〜図4と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0044】
上面カバー100a及び手差しトレイ11を開け(図12参照)、感光体ドラム5との対向位置(図2参照)から現像ユニット20を引き出すと、現像ユニット20の突起部20aは、第2案内レール30に沿って前面側に摺動する。図5に示すように、現像ユニット20の突起部20aが凹部31に到達すると、突起部20aは凹部31に嵌まり込み、突起部20aの前面側から規制部材32が当接する。
【0045】
現像ユニット20が、このように突起部20aが凹部31に嵌まり込むジャム処理位置に配置されると、第1用紙搬送路12が開放される。この状態で、上面カバー100aを開けて形成された装置本体上部の空間部から、手指を差し込むことにより、第1用紙搬送路12のジャム紙を除去することが可能となる。
【0046】
このとき、突起部20aが凹部31に嵌まり込むことにより、現像ユニット20の背面が側への移動を防止することができる。また、規制部材32が突起部20aに前面側から当接することにより、突起部20aの前面側への通過を規制することができるため、現像ユニット20の装置本体からの落下を防止することができる。これにより、第1用紙搬送路12の開放状態を安定に維持することができる。
【0047】
このように、第2案内レー30に凹部31及び規制部材32を設けることにより、現像ユニット20を第2案内レール30に案内されて脱離される途中で安定に支持して、第1用紙搬送路12を開放することができる。
【0048】
一方、第1用紙搬送路12で複雑なジャムが発生し、現像ユニット20を脱離しないとジャム処理ができない場合や、現像ユニット20を交換したりメンテナンスを行う場合等には、現像ユニット20を装置本体から脱離させる必要がある。かかる場合には、まず、現像ユニット20を上記ジャム処理位置まで一旦引き出して、凹部31に配置する。この状態で、規制部材32の把持部32bを手指や工具等で掴んで引き下げると、規制部材32が圧縮バネ33の付勢力に抗して下方に移動して第2案内レール30よりも下方に没入する。
【0049】
これにより、規制部材32による突起部20aの規制が解除され、現像ユニット20を装置本体から脱離することができる。なお、現像ユニット20を脱離する際には、例えば左右の規制部材32の一方を下方に移動させて現像ユニット20の長手方向一端を取り出した後、他方の規制部材32を下方に移動させて現像ユニット20の長手方向他端を取り出すことにより、現像ユニット20を脱離することができる。
【0050】
このように、片方ずつ取り出すことにより、通常時、現像ユニット20が安易に取り出されることを防止することができる。そして、現像ユニット20を脱離後、把持部32bから手指等を離すと、圧縮バネ33の付勢力により規制部材32は第2案内レール30よりも上方に突出する。
【0051】
一方、現像ユニット20を装置本体に装着する際には、規制部材32の傾斜部32aに対して突起部20aを前面側から当接させ、現像ユニット20をそのまま背面側へと移動させることにより、図6に示すように傾斜部32aが突起部20aに押圧されて、規制部材32が圧縮バネ33の付勢力に抗して下方に移動し、第2案内レール30よりも下方に没入する(図4参照)。これにより、現像ユニット20を容易に装着し、感光体ドラム5との対向位置(図2参照)に配置することができる。
【0052】
上記した通り、本実施形態では、第2案内レール30の前面側端部であって現像ユニット20が第1用紙搬送路12を開放可能なジャム処理位置に形成され、突起部20aが背面側に移動しないように支持可能な凹部31と、凹部31の前面側に第2案内レール30に対して上下方向に出没可能に設けられ、第2案内レール30よりも下方に没入することにより突起部20aの前面側及び背面側の通過を許容し、上方に突出することにより突起部20aの前面側への通過を規制可能な規制部材32と、を設けた。
【0053】
これにより、現像ユニット20を、第2案内レール30に案内されて脱離される途中で安定に支持して、第1用紙搬送路12を開放することができるため、現像ユニット20を装置本体外側に脱離させることなく安定して第1用紙搬送路12を開放し、ジャム処理を行うことが可能となる。また、現像ユニット20を装置本体に対して着脱する際には、規制部材32を下方に移動させるだけで容易に着脱することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、規制部材32を上方に付勢する圧縮バネ33を設け、規制部材32に、該規制部材32を圧縮バネ33の付勢力に抗して下方に移動させるための把持部32bを形成したため、ジャム処理を行うときには、規制部材32を、より確実に第2案内レール30から突出させて、現像ユニット20の装置本体からの落下を防止することができる。また、現像ユニット20を装置本体に対して着脱する際には、把持部32bを掴んで規制部材32を下方に移動させるだけで容易に現像ユニット20を装置本体に着脱することができる。
【0055】
加えて、把持部32bを掴んでいた手指等を離すだけで規制部材32が自動的に上方に突出するため、次にジャム処理を行うとき、より確実に現像ユニット20の装置本体からの落下を防止できる。しかし、規制部材32を上下方向に移動可能であれば、圧縮バネ33や把持部32bを設けない構成とすることもでき、圧縮バネ33を用いない場合には、手指等で規制部材33を掴んで第2案内レール30に対して出没させることもできる。また、規制部材32の付勢方法は、本実施形態に特に限定されるものではなく、その他例えば、圧縮バネ33を用いる代わりに板バネ等を用いることもできる。
【0056】
また、本実施形態では、規制部材32の上端部に、背面側に向かって上方に傾斜し、現像ユニット20が前面側から押圧可能な傾斜部32aを形成し、現像ユニット20が装着されるとき、規制部材32が、傾斜部32aが突起部20aに押圧されることにより第2案内レール30よりも下方に没入し、突起部20aによる押圧が解除されることにより第2案内レール30よりも上方に突出することとしたため、現像ユニット20を第2案内レール30に沿って背面側に移動させるだけで規制部材32を第2案内レール30よりも下方に没入させることができる。
【0057】
これにより、現像ユニット20を装置本体により容易に装着することができる。また、突起部20aが傾斜部32aを背面側へと通過した後には、規制部材32が自動的に上方に突出するため、次にジャム処理を行うとき、より確実に現像ユニット20の装置本体からの落下を防止できる。なお、規制部材32に傾斜部32aを形成しない構成とすることもできる。
【0058】
図7は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に用いられる手差しトレイの案内部をこれに案内される現像ユニットと共に示す概略斜視図であり、図8は、本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットが案内部に支持される状態を図7の右上方から示す概略図であって、図8(a)は、現像ユニットが案内部に当接する状態を示す図であり、図8(b)は、現像ユニットが案内部に当接した状態を示す図であり、図9は、本実施形態の画像形成装置に用いられる現像ユニットが案内部に当接した状態を示す概略側面断面図である。図2〜図6と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。また、図7及び〜図9では、用紙ガイド11bを省略して示す。
【0059】
図7に示すように、本実施形態では、手差しトレイ11が下端の回転軸11dを中心として開くと、手差しトレイ11のトレイ面(内面)11a(図の上面)が、現像ユニット20を下方から摺動可能に支持できるようになっている。また、トレイ面11aの用紙幅方向(着脱方向とは垂直方向)両端部には、着脱方向に沿って上方に突設され、現像ユニット20の長手方向両側面部が摺動可能に当接し、現像ユニット20を前面側及び背面側(着脱方向)に案内可能な案内部11cが形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、図7及び図8に示すように、現像ユニット20を装置本体に装着する際、現像ユニット20の底部を手差しトレイ11のトレイ面11aに載置し、案内部11cに沿って背面側に移動させることができる。また、現像ユニット20が案内部11cに案内されながら背面側に移動すると、突起部20aが規制部材32の傾斜部32aを前面側から押圧することができるようになっている。
【0061】
突起部20aが傾斜部32を背面側に押圧すると、上記した様に、規制部材32が第2案内レール30よりも下方に没入し(図6参照)、現像ユニット20は第2案内レール30に案内されて感光体ドラム5との対向位置に配置される(図2参照)。これにより、現像ユニット20を案内部11cに沿って移動させるだけで、突起部20aが確実に規制部材32の傾斜部32aを押圧することができるため、現像ユニット20の装置本体への装着が容易となる。
【0062】
一方、図9に示すように、現像ユニット20を感光体ドラム5との対向位置から引き出し、突起部20aを凹部31に嵌め込むと、現像ユニット20の底部の前面側を、手差しトレイ11の案内部11cに挟まれた状態で、トレイ面11aに載置することができる。これにより、現像ユニット20がトレイ面11a及び案内部11cに支持されるため、より安定して第1用紙搬送路12を開放することができる。
【0063】
さらに、この状態から、規制部材32を上記した様に下方に没入させ、現像ユニット20を案内部11cに沿って引き出すと、現像ユニット20は手差しトレイ11の案内部11cに沿ってトレイ面11aを摺動する。これにより、現像ユニット20は、案内部11cに案内されながら装置本体から脱離される。
【0064】
このように、手差しトレイ11のトレイ面11aに、手差しトレイ11が開いたとき現像ユニット20を支持する共に着脱方向に案内可能な案内部11cを設けたため、ジャム処理時には、より安定して第1用紙搬送路12を開放することができる。また、現像ユニット20を装置本体に対して着脱する際、案内部11cに沿って移動させることができるため、現像ユニットの着脱が容易となる。
【0065】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態で用いた第2案内レール30、凹部31、規制部材32、案内部11cの形状等は、装置構成等に応じて適宜設計することができる。また、上記実施形態では、側面カバーとして、第1用紙搬送路12に供給される用紙Pを収容するための手差しトレイ11としたため、部材の追加を防止して構成の複雑化を防止することができる。
【0066】
しかし、側面カバーとして、装置前面に用紙収容機能を有さない前面カバーを設けることもできる。また、かかる側面カバーとして、その他、現像ユニット20の着脱方向に応じて左右側面カバーを用いたり、背面カバーを用いることもできる。また、外装カバーとして1つ、若しくは3つ以上のカバーを用いることもできる。
【0067】
また、装置本体における第2案内レール30、現像ユニット20における突起部20aの配置は、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、上記実施形態では、現像ユニット20に一対の突起部20aを設けたが、突起部20aの他に、第2案内レール30に案内される、若しくは装置本体の左右側面部100bに設けられた不図示の案内用部と摺動して案内される当接部を設けることもでき、これにより、第2案内レール30による現像ユニット20の案内を、より安定させることができる。
【0068】
また、本発明はプリンタに限らず、アナログ及びデジタル方式のモノクロ複写機、カラー複写機やファクシミリ等の、種々の画像形成装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、案内部材の脱離側端部であって現像手段が用紙搬送路を開放可能な位置に形成され、突起部が現像手段の装着側に移動しないように支持可能な支持部と、支持部の脱離側に案内部材に対して上下方向に出没可能に支持され、案内部材よりも下方に没入することにより突起部の着脱方向の通過を許容し、上方に突出することにより突起部の着脱方向の通過を規制可能な規制部材と、が設けられたものである。
【0070】
これにより、現像手段を装置本体外側に脱離させることなく安定して用紙搬送路を開放し、ジャム処理を行うことが可能となるため、ジャム処理の効率化を図ると共に、現像手段の破損や画像不良の発生を防止することができる。
【0071】
また、規制部材を上方に付勢する付勢部材を設け、規制部材に、該規制部材を付勢部材の付勢力に抗して下方に移動させるための把持部を形成することによって、より確実に現像手段の装置本体からの落下を防止することができる。
【0072】
また、規制部材の上端部に、装着側に向かって上方に傾斜し、現像手段が脱離側から押圧可能な傾斜部を形成し、現像手段が装着されるとき、規制部材が、傾斜部が突起部に押圧されることにより案内部材よりも下方に没入し、突起部による押圧が解除されることにより案内部材よりも上方に突出することによって、現像手段を装置本体により容易に装着することができると共に、より確実に現像手段の装置本体からの落下を防止できる。
【0073】
また、外装カバーを、開閉端部が互いに直近する、上方に開く上面カバーと側方に開く側面カバーとから構成し、側面カバーの内面に、側面カバーが開いたとき現像手段を支持すると共に着脱方向に案内可能な案内部を設けることによって、現像手段の着脱がより容易となる。また、側面カバーを、用紙搬送路に供給される用紙を収容するための手差しトレイとすることによって、部材の追加を防止すると共に構成の複雑化を防止することができる。
【符号の説明】
【0074】
11 手差しトレイ(側面カバー、外装カバー)
11a 用紙ガイド
11b トレイ面(内面)
11c 案内部
11d 回転軸
20 現像ユニット(現像手段)
30 第2案内レール(案内部材)
31 凹部(支持部)
32 規制部材
32a 傾斜部
32b 把持部
33 圧縮バネ(付勢部材)
100 プリンタ(画像形成装置)
100a 上面カバー(外装カバー)
100b 側面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
装置本体に着脱可能であり、前記装置本体に装着されることにより用紙搬送路の一部を構成すると共に前記像担持体に現像剤を供給する現像手段と、
前記現像手段から該現像手段の着脱方向とは垂直方向両外側に突設された突起部と、
前記現像手段の脱離側に向かって斜め上方に傾斜して配置され、前記突起部が摺動可能に係合することにより前記現像手段を前記着脱方向に沿って案内する案内部材と、
前記装置本体に開閉可能に支持され、前記現像手段を前記装置本体から着脱するための外装カバーと、を備えた画像形成装置において、
前記案内部材の前記脱離側端部であって前記現像手段が前記用紙搬送路を開放可能な位置に形成され、前記突起部が前記現像手段の装着側に移動しないように支持可能な支持部と、
前記支持部の前記脱離側に前記案内部材に対して上下方向に出没可能に支持され、前記案内部材よりも下方に没入することにより前記突起部の前記着脱方向の通過を許容し、上方に突出することにより前記突起部の着脱方向の通過を規制可能な規制部材と、が設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部材を上方に付勢する付勢部材が設けられ、
前記規制部材には、該規制部材を前記付勢部材の付勢力に抗して下方に移動させるための把持部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材の上端部には、前記装着側に向かって上方に傾斜し、前記現像手段が前記脱離側から押圧可能な傾斜部が形成され、
前記現像手段が装着されるとき、前記規制部材は、前記傾斜部が前記突起部に押圧されることにより前記案内部材よりも下方に没入し、前記突起部による押圧が解除されることにより前記案内部材よりも上方に突出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外装カバーは、開閉端部が互いに直近する、上方に開く上面カバーと側方に開く側面カバーとから成り、前記側面カバーの内面には、前記側面カバーが開いたとき前記現像手段を支持すると共に前記着脱方向に案内可能な案内部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記側面カバーは、前記用紙搬送路に用紙を供給するための手差しトレイであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−154062(P2011−154062A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13874(P2010−13874)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】