説明

画像形成装置

【課題】定着装置により加熱された転写紙の熱を吸熱することで転写紙の熱変形やセンサ類の破損防止を抑制すると共に、吸熱した熱を定着装置よりも上流側で定着前の転写紙に放熱することで定着前の転写紙を予備加熱して定着性を向上すると同時に、定着温度を下げることで省エネルギー化に貢献し得て、しかも転写紙への定着性や光沢度といった画像品質の均一化・安定化に貢献することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像が形成された定着前の転写紙を加熱・加圧することによりトナー像を転写紙に定着する定着部24よりも搬送方向下流側で定着後の転写紙の熱を吸熱し且つ定着部24よりも上流側で定着前の転写紙を予備加熱する予備加熱部71と、予備加熱部71の吸熱温度上昇に応じて定着部24の加熱温度を下げる温度制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・プリンタ・ファクシミリ或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置、特に、トナー像が形成された定着前の転写紙を加熱・加圧することによりトナー像を転写紙に定着する定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機・プリンタ・ファクシミリ或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置にあっては、転写紙に転写されたトナー像を定着させるために、トナー像が転写された転写紙を定着装置で加熱・加圧することにより転写紙に対して定着処理を施している。
【0003】
また、この定着処理時には、トナー像が転写された転写紙は高温加熱されるが、この加熱によって定着処理後の転写紙が熱変形したり、転写紙の搬送経路中に配置された各種センサ類が熱損傷したり、排出トレイでの転写紙同士のトナー融着が発生するといった不具合が発生してしまうことがある。
【0004】
そこで、定着装置により加熱された転写紙から熱を吸収する冷却部とその熱を伝達する伝達部、伝達された熱を定着処理前の転写紙に放熱する放熱部と、を備えた熱交換装置を配置することによって、定着装置で加熱された転写紙を冷却して、定着処理後の転写紙の熱変形、転写紙の搬送経路に配置される各種センサ類の熱損傷、排出トレイでの転写紙同士のトナー融着を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−122467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、このような熱交換手段を配置した場合、定着装置により加熱定着された転写紙の定着枚数に応じて予備加熱部の温度が上昇し、その結果、定着処理前の転写紙に供給される熱量がだんだんと増えていくため、定着装置にて同じ定着温度で定着を行ない続けてしまうとトナー定着状態の違いから、通紙枚数とともに画像の光沢度が上がってしまい、最悪の場合には熱量が供給過多になりすぎるとホットオフセットが発生するといった不具合も発生する虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、定着装置により加熱された転写紙の熱を吸熱することで転写紙の熱変形やセンサ類の破損防止を抑制すると共に、吸熱した熱を定着装置よりも上流側で定着前の転写紙に放熱することで定着前の転写紙を予備加熱して定着性を向上すると同時に、定着温度を下げることで省エネルギー化に貢献し得て、しかも転写紙への定着性や光沢度といった画像品質の均一化・安定化に貢献することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナー像が形成された定着前の転写紙を加熱・加圧することによりトナー像を転写紙に定着する定着装置を備えた画像形成装置において、前記定着装置よりも搬送方向下流側で定着後の転写紙の熱を吸熱し且つ前記定着装置よりも上流側で定着前の転写紙を予備加熱する予備加熱部と、該予備加熱部の吸熱温度上昇に応じて前記定着装置の加熱温度を下げる温度制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、定着装置によって加熱された転写紙の熱を利用して定着前の転写紙を予備加熱すると共に、転写紙への予備加熱温度に応じて転写装置の加熱温度を下げることができることから、定着装置により加熱された転写紙の熱を吸熱することで転写紙の熱変形やセンサ類の破損防止を抑制すると共に、吸熱した熱を定着装置よりも上流側で定着前の転写紙に放熱することで定着前の転写紙を予備加熱して定着性を向上すると同時に、定着温度を下げることで省エネルギー化に貢献し得て、しかも転写紙への定着性や光沢度といった画像品質の均一化・安定化に貢献することができる。
【0010】
請求項2に記載の画像形成装置は、前記予備加熱部は、定着後の転写紙の熱を吸熱する吸熱部と、該吸熱部で吸熱した熱を前記定着装置よりも下流側に伝熱する伝熱部と、該伝熱部で伝熱された熱を定着前の転写紙に放熱する放熱部と、を備え、前記温度制御部は、前記吸熱部・前記伝熱部・前記放熱部の少なくとも一箇所の現在温度を監視する温度センサを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の構成によれば、リアルタイムでの転写紙毎の放熱量を一定箇所での温度センサの監視によって決定することができ、定着性や光沢度の均一化・安定化を容易に確保することができる。
【0012】
請求項3に記載の画像形成装置は、前記放熱部は、前記定着装置よりも上流側に配置されたレジストローラ対、定着前ガイド、金属製搬送シュートの少なくとも一つを利用していることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の画像形成装置は、前記吸熱部は、前記定着装置よりも下流側に配置された搬送ローラ対を利用していることを特徴とする。
【0014】
請求項3及び請求項4に記載の構成によれば、既存の構成部品をそのまま吸熱部又は放熱部として利用することができ、部品点数の削減に貢献することができるばかりでなく、狭い機内スペースの有効利用に貢献することができる。
【0015】
請求項5に記載の画像形成装置は、前記吸熱部と前記放熱部の少なくとも一方にはヒートパイプが配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の構成によれば、ヒートパイプを用いることにより、吸熱又は放熱時における温度の有効利用を図ることができる。
【0017】
請求項6に記載の画像形成装置は、前記定着装置よりも上流側にトナー像を転写紙に転写する転写装置が配置され、前記放熱部は前記転写装置の上流側と下流側にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の構成によれば、転写装置の上流側では転写紙に未定着のトナー画像が担持されていないことから、転写後のトナーが凝集しない範囲での放熱が可能となるように放熱部の構成に制約を受けることなく予備加熱を効率良く行うことができ、転写装置の下流で定着装置の上流側では、転写紙に未定着のトナー画像が担持されていることから、転写装置によって吸熱された転写紙温度を補う程度の補助的な放熱部を構成するといったように、定着前で且つ転写前後の転写紙を段階的に予備加熱することができ、汎用性を向上することができる。
【0019】
請求項7に記載の画像形成装置は、前記温度制御部は、前記温度センサの監視温度が所定温度以上となった際に前記伝熱部による前記放熱部への伝熱を遮断する切替部を備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の構成によれば、大量な連続印刷時等、印刷切替部によって過剰な予備加熱を防止することができ、転写後のトナー凝集を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置は、定着装置により加熱された転写紙の熱を吸熱することで転写紙の熱変形やセンサ類の破損防止を抑制すると共に、吸熱した熱を定着装置よりも上流側で定着前の転写紙に放熱することで定着前の転写紙を予備加熱して定着性を向上すると同時に、定着温度を下げることで省エネルギー化に貢献し得て、しかも転写紙への定着性や光沢度といった画像品質の均一化・安定化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る他の画像形成装置の説明図である。
【図3】本発明の実施例1に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【図4】本発明の実施例1における定着温度制御補正値例の図表である。
【図5】本発明の実施例2に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【図6】本発明の実施例2における定着温度制御補正値例の図表である。
【図7】本発明の実施例3に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【図8】本発明の実施例3における定着温度制御補正値例の図表である。
【図9】本発明の実施例4に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【図10】本発明の実施例4における定着温度制御補正値例の図表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明の画像形成装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図である。
【0026】
(複合機の全体構成)
図1において、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機11は、複合機本体12と、複合機本体12の前面から引き出し可能な複数段の給紙カセット13,14,15と、給紙カセット13,14,15とは別の転写紙の利用を可能とするために複合機本体12の一方の側面に開閉可能に設けられた手差トレイ16と、複写機・ファクシミリ・スキャナの各種機能として原稿を読み取る際に使用する自動原稿送り装置(ADF)17と、表示画面18を有すると共に各種機能等の設定・選択操作を行う操作部19とを備えている。尚、複合機11の形状や構成・機能等は図示例のものに限定されるものではない。
【0027】
(複合機本体12の内部構成)
また、複合機本体12の内部には、収納手段としての給紙カセット13,14,15又は手差トレイ16に収納された転写紙(図示せず)を取り出して排紙トレイ20に向けて搬送する搬送経路21と、搬送経路21のシート搬送方向上流側に配置されたレジストローラ対22と、レジストローラ対22よりも搬送経路21のシート搬送方向下流側に配置された画像形成部23と、画像形成部23によって転写紙の表面に転写されたトナー像を転写紙の表面に定着させる定着部(定着装置)14と、搬送経路21の複合機本体12内での最下流部に配置された排出部25と、を備えている。
【0028】
さらに、搬送経路21には、複数の経路が分岐・合流されており、本実施の形態では、定着部24よりも搬送経路21のシート搬送方向下流側に配置された分岐路26と、分岐路26に導かれた転写紙を表裏反転させるスイッチバック経路27と、スイッチバック経路27によって表裏反転した転写紙をレジストローラ対22よりもシート搬送方向上流側の搬送経路21へと戻す反転経路28と、ADF17にセットされた原稿が複数である場合に片面印刷処理後の転写紙の排出面を原稿順序に合わせた状態で排出部25へと導く反転排出路29と、を備えている。
(レジストローラ対22の構成)
【0029】
レジストローラ対22は、給紙カセット13,14,15又は手差トレイ16から取り出された転写紙の搬送方向先端をレジストセンサ30で検出することにより、転写紙の先端位置と感光体ドラム31の表面に形成されたトナー像位置との同期を計るものである。
【0030】
具体的には、レジストセンサ30が転写紙の先端を検出してから所定時間経過後にレジストローラ対22と感光体ドラム31の回転駆動を開始させ、レジストセンサ30が転写紙の後端を検出してから所定時間経過後にレジストローラ対22と感光体ドラム31の回転駆動を停止する。また、レジストセンサ30は、給紙カセット13,14,15から搬送経路21へと送り出された転写紙のシート搬送方向に沿うシート長を検出するもので、転写紙の先端を検出してから後端を検出するまでの時間によって転写紙の長さ(シート搬送方向に沿う方向)を検出する。
レジストローラ対22は、モータ等の駆動源(図示せず)に連繋されている。そして、レジストローラ対22は、静止状態において、転写紙の先端がニップされたときに瞬間的に転写紙の搬送を停止することで転写紙の斜め送りを矯正する。
【0031】
(画像形成部23の構成)
画像形成部23は、感光体ドラム31と、感光体ドラム31の周囲に配置された帯電デバイス32、露光デバイス33、現像デバイス34、転写ローラ35、クリーニングデバイス36、除電デバイス37等を備えている。
【0032】
これにより、画像形成部23は、感光体ドラム31が図示しない駆動手段によって所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が帯電デバイス32によって所定の極性・電位に均一に帯電される。
【0033】
帯電後の感光体ドラム31は、その表面に露光デバイス33によって静電潜像が形成される。ここで、露光デバイス33は、例えば、複写機機能によりADF17を利用してスキャナー部で読み取った印刷データ、ファクシミリ機能により電話回線を通じて受信した印刷データ、プリンタ機能によりネットワーク等の通信回線によって接続されたパーソナルコンピュータ等から出力された印刷データに基づいて、感光体ドラム31の表面にレーザー光を照射し、感光体ドラム31の表面のレーザー光照射部分の電荷を除去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。
そして、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像は、現像デバイス34によって電荷を有するトナーが静電的に付着されて未転写トナー像として現像される。さらに、その未転写トナー像は、感光体ドラム31と転写ローラ35との協働によって転写紙の表面に未定着トナー像として転写される。
【0034】
この際、転写紙の表面に未転写トナー像を転写した感光体ドラム31は、クリーニングデバイス36によって残留トナー等が除去されると共に次の画像形成時の帯電のために除電デバイス37によって除電される。
【0035】
(定着部24の構成)
定着部24は、画像形成部23によって転写紙の表面に転写された未定着トナー像を定着させるために、転写紙の表面側、即ち、未定着トナー像側に配置された加熱部材としての加熱ローラ(又は加熱ベルト)28と、搬送経路21を挟んで加熱ローラ38と対向する加圧部材としての加圧ローラ39とを備え、この加圧ローラ39を加熱ローラ38に圧接することで転写紙をニップ搬送(ニップ部)する。
【0036】
転写紙の表面に形成された未定着トナー像は、加熱ローラ38に直接接触することによって溶融し、転写紙の裏面側から加圧ローラ39で加圧されることによってそのまま転写紙の表面に溶融トナーが定着像として定着されつつ、次段の搬送ローラ対40へと搬送される。
【0037】
(他の画像形成装置)
ところで、本発明の画像形成装置としては、上述した単色の複合機11の他、図2に示すように、フルカラーの画像形成装置として、例えば、カラープリンタ41への適用も可能である。
【0038】
(カラープリンタ41の全体構成)
図2において、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ41は、プリンタ本体42の一面(例えば、正面)から引き出し可能な給紙カセット43と、プリンタ本体42の一面に起倒可能に設けられた手差トレイ44と、給紙カセット43又は手差トレイ44にセットされた転写紙(図示せず)を搬送する搬送経路45と、搬送経路45の上流端を構成する給紙ユニット部46と、搬送経路45の給紙ユニット部46よりもシート搬送方向下流に配置されたレジストローラ対22と、レジストローラ対22よりも搬送経路45のシート搬送方向下流側に配置された二次転写ローラ35と、二次転写ローラ35と協働して転写紙の表面にトナー転写像を形成する無端ベルト状の中間転写ベルト47と、中間転写ベルト47の表面に必要に応じた各色(例えば、イエロー(Y)・マゼンダ(M)・シアン(C)・ブラック(K))のトナーをトナー像として転写する複数の画像形成部48(図2に各色記号を符号に併記)と、搬送経路45の終端寄りに配置されて転写紙の表面に形成されたトナー転写像を定着させる定着部24と、定着後の転写紙を搬送経路45の下流端からプリンタ本体42の排紙トレイ49へと排出する排出部50とを備えている。
【0039】
中間転写ベルト47は、像担持体としての機能を具備しており、層構成に少なくとも一層の弾性層を用いた弾性中間転写ベルトが採用され、駆動ローラ51、テンションローラとしての機能を具備した従動ローラ52、加圧ローラ53の間で回動移動(図示矢印参照)する。
【0040】
加圧ローラ53は中間転写ベルト47を挟んで二次転写ローラ35と対向配置されており、二次転写ローラ35に転写バイアスを印加することによって搬送経路45に搬送された転写紙の表面にトナー像を転写してトナー転写像を形成する。
【0041】
(画像形成部48の構成)
画像形成部48は、本実施の形態では中間転写ベルト47の回動移動方向に沿ってタンデム方式で4ヶ所に配置され、実質的に同一構成のものが配置されている。また、画像形成部48は、各色のトナーを収納したトナーコンテナ54と、トナーコンテナ54に収納したトナーを供給する供給部55と、表面に供給部55からトナーが供給されるドラム状の静電潜像担持体としての感光体ドラム56と、中間転写ベルト47を挟んで感光体ドラム56に対向配置された転写ローラ57と、感光体ドラム56の表面に付着した残存トナー等を除去するクリーニングデバイス58と、感光体ドラム56の電荷を除去する除電デバイス59と、感光体ドラム56の表面を帯電する帯電デバイス60と、感光体ドラム56の表面に所定の静電潜像を形成する露光デバイス61と、を備えている。
【0042】
尚、各画像形成部48は、本実施の形態では、中間転写ベルト47の回動移動方向に沿ってマゼンダ用の画像形成部48(M)、シアン用の画像形成部48(C)、イエロー用の画像形成部48(Y)の順で配置され、図示右側の端部にブラック用の画像形成部48(K)が配置されている。
【0043】
(画像形成処理)
このような構成のカラープリンタ41においては、図示を略すパーソナルコンピュータ等から印刷データが出力されると、帯電デバイス60によって感光体ドラム56の表面が帯電された後(帯電工程)、露光デバイス61によって感光体ドラム56の表面が露光されて静電潜像が形成される(露光工程)。
【0044】
一方、供給部55においては、二成分現像剤のトナーのみを飛翔させ、感光体ドラム56の静電潜像にトナーを付着させて静電潜像をトナー像として現像した後(現像工程)、そのトナー像を転写ローラ57によって感光体ドラム56から中間転写ベルト47へと一次転写する(一次転写工程)。
【0045】
次に、中間転写ベルト47に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト47の回動移動によって二次転写ローラ35へと搬送され、この二次転写ローラ35に印加された転写バイアスによって転写紙へと転写される(二次転写工程)。
【0046】
尚、二次転写ローラ35によってトナー像を二次転写した後の中間転写ベルト47の表面に残存したトナー等は、二次転写ローラ35よりも回動移動方向下流側に配置されたクリーニングデバイス62によって除去される。
【0047】
(定着部24の構成)
定着部24は、画像形成部48によって転写紙の表面に転写された未定着トナー像を定着させるために、転写紙の表面側、即ち、未定着トナー像側に配置された加熱ローラ38と、搬送経路45を挟んで加熱ローラ38と対向する加圧ローラ39とを備え、この加圧ローラ39を加熱ローラ38に圧接することで転写紙をニップ搬送する。
【0048】
転写紙の表面に形成された未定着トナー像は、加熱ローラ38に直接接触することによって溶融し、転写紙の裏面側から加圧ローラ39で加圧されることによってそのまま転写紙の表面に溶融トナーが定着像として定着されつつ次段の搬送ローラ対40へと搬送される。
【0049】
ところで、上記実施の形態では、レジストから定着に至る転写紙の搬送方向が略水平なものを開示したが、レジストから定着に至る転写紙の搬送方向の少なくとも一部が上向き搬送である画像形成装置等への適用も可能である。
【0050】
(実施例)
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。尚、以下の説明において、図2に示した二次転写ローラ35は、中間転写ベルト47を介して加圧ローラ53と対向配置されており、この転写部位にて実質的な転写紙へのトナー像転写を行うことから、図1に示した感光体ドラム31と転写ローラ35とによるトナー像転写と実質的に同一の機能を具備していることとなる。
【0051】
従って、以下の説明では、便宜上、中間転写ベルト47の存在を図示上では無視し、加圧ローラ53は感光体ドラム31として、二次転写ローラ35は転写ローラ35として、それぞれ置き換えたものとして説明する。
【0052】
(実施例1)
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置における実施例1を説明する。
【0053】
図3は、実施例1に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【0054】
加熱ローラ38は、内部に加熱源としてハロゲンヒータ38aが配置されており、図示を略する制御回路によって、常時は加熱ローラ38の表面温度や周辺温度(湿度)等を監視することでハロゲンヒータ38aによる加熱温度が制御される。
【0055】
定着部24よりも搬送方向下流側に配置されて定着後の転写紙をニップ搬送する搬送ローラ対40は、転写紙の画像形成面側(表面側)に配置された金属搬送ローラ40aと、金属搬送ローラ40aに加圧する弾性搬送ローラ40bと、を備えている。本実施例においては、金属搬送ローラ40aは、SUSなどの金属パイプの表面に離型層としてフッ素層がコーティング処理によって形成されており、吸熱部を兼用している。また、弾性搬送ローラ40bには、Siゴム製のパイプやローラが用いられている。
【0056】
転写ローラ35よりも搬送方向上流側に配置されたレジストローラ対22は、転写紙の画像形成面側(表面側)に配置された金属レジストローラ22aと、金属レジストローラ22aに加圧する弾性レジストローラ22bと、を備えている。本実施例においては、金属レジストローラ22aは、SUSなどの金属パイプの表面に離型層としてフッ素層がコーティング処理によって形成されており、放熱部を兼用している。また、弾性レジストローラ22bには、Siゴム製のパイプやローラが用いられている。
【0057】
吸熱部を兼ねた金属搬送ローラ40aの一端と放熱部を兼ねた金属レジストローラ22aとの各一端間には、SUS等の金属パイプからなる伝熱部75の両側面がそれぞれ面接触するように接続されている。また、金属搬送ローラ40a、伝熱部75、金属レジストローラ22aの各内部には、銅パイプに水を内包した吸熱用ヒートパイプ76、伝熱用ヒートパイプ77、放熱用ヒートパイプ78がそれぞれ配置され、吸熱・伝熱・放熱効率の向上が図られている。
【0058】
従って、本実施例においては、金属搬送ローラ40a、伝熱部75、金属レジストローラ22a、各ヒートパイプ76,77,78によって、予備加熱部71が構成されている。
【0059】
このような構成によれば、加熱ローラ38によって加熱された定着後の転写紙の蓄熱は、吸熱部としての金属搬送ローラ40aによって吸熱され、伝熱部75を経由して金属レジストローラ22aに伝熱される。
【0060】
これにより、次に搬送された転写紙は、定着前において金属レジストローラ22aの放熱によって予備加熱される。
【0061】
一方、金属レジストローラ22aの表面温度は、レジスト温度検知サーミスタ79によって監視されており、このレジスト温度検知サーミスタ79の検知温度に基づいて加熱ローラ38の加熱温度(定着温度)が制御回路によって制御される。
【0062】
尚、この制御回路による加熱温度制御方法としては、例えば転写紙の厚さ(種類)情報や周辺環境温度等に基づいて設定された公知の定着温度制御に加え、レジスト温度検知サーミスタ79にて検知した検知温度と環境温度との差によって補正を行う。
【0063】
具体的には、図4に示すように、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度に対して、定着部24の付近の周辺温度(環境温度)を検知する公知の温度検知センサ(図示せず)との差に応じ、加熱ローラ38の加熱温度(表面温度)を制御する。
【0064】
これにより、継続的に定着処理することによって温度上昇する放熱量が高温化するにつれて加熱ローラ38の加熱温度を下げることができ、ハロゲンヒータ38aの加熱量を下げる分だけ消費電力を抑えることができる。
【0065】
(実施例2)
図5は、実施例2に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【0066】
尚、図5において、上記実施例1と実質的に同一の構成には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
定着部24と転写ローラ35との間には、転写紙の非画像形成面側(底面側・裏面側)を支持する定着前ガイド80が配置されている。この定着前ガイド80は、本実施例においては放熱部の機能を兼ねており、公知の転写紙ガイド機能を備えた既存の構成部品である(図2参考)。また、吸熱部としての金属搬送ローラ40aと放熱部としての定着前ガイド80との間には、平面視略L字形状の伝熱部81が設けられている。
【0068】
伝熱部81には、SUS等の金属部材が用いられており、放熱部を兼ねた定着前ガイド80の長手方向全域に面接触するように構成されている。また、その内部には伝熱・放熱用ヒートパイプ82が配置されている。
【0069】
従って、本実施例においては、金属搬送ローラ40a、伝熱部81、定着前ガイド80、各ヒートパイプ76,82によって、予備加熱部72が構成されている。
【0070】
このような構成によれば、加熱ローラ38によって加熱された定着後の転写紙の蓄熱は、吸熱部としての金属搬送ローラ40aによって吸熱され、伝熱部81を経由して転写前ガイド80に伝熱される。
【0071】
これにより、次に搬送された転写紙は、定着前において転写前ガイド80の放熱によって予備加熱される。
【0072】
一方、転写前ガイド80の表面温度は、ガイド温度検知サーミスタ83によって監視されており、このガイド温度検知サーミスタ83の検知温度に基づいて加熱ローラ38の加熱温度(定着温度)が制御回路によって制御される。
【0073】
尚、この制御回路による加熱温度制御方法としては、例えば転写紙の厚さ(種類)情報や周辺環境温度等に基づいて設定された公知の定着温度制御に加え、ガイド温度検知サーミスタ83にて検知した検知温度と環境温度との差によって補正を行う。
【0074】
具体的には、図6に示すように、ガイド温度検知サーミスタ83の検知温度に対して、定着部24の付近の周辺温度(環境温度)を検知する公知の温度検知センサ(図示せず)の検知温度との差に応じ、加熱ローラ38の加熱温度(表面温度)を制御する。
【0075】
これにより、継続的に定着処理することによって温度上昇する放熱量が高温化するにつれて加熱ローラ38の加熱温度を下げることができ、ハロゲンヒータ38aの加熱量を下げる分だけ消費電力を抑えることができる。
【0076】
(実施例3)
図7は、実施例3に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【0077】
尚、図7において、上記実施例1,2と実質的に同一の構成には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
金属搬送ローラ40aと転写前ガイド80と金属レジストローラ22aとの間には、平面視略T字状(図7(B)において横向き)の伝熱部84が配置されている。
【0079】
伝熱部84は、放熱部を兼ねた定着前ガイド80の長手方向全域に面接触するように構成されている。また、その内部には伝熱部84の形状に合わせるように伝熱用ヒートパイプ85が配置されている。
【0080】
また、伝熱部84と金属レジストローラ22aとの間には、パイプ状のレジスト温度調整部材86が配置されている。
【0081】
このレジスト温度調整部材86は、伝熱部84からの熱を金属レジストローラ22aへと伝熱する機能を備えており、レジスト温調駆動モータ87の出力軸87aに設けられたレジスト温調駆動アーム88によって、伝熱部84と金属レジストローラ22aとの間に位置した伝熱位置と、伝熱部84と金属レジストローラ22aとの間から退避した遮断位置と、に切り替えられるように構成されている。また、出力軸87aには、レジスト温調駆動アーム88とは逆方向に突出するレジスト温調アクチュエータ89が設けられており、その位置はレジスト温調PIセンサ90によって検出される。
【0082】
これにより、レジスト温度調整部材86が伝熱部84と金属レジストローラ22aとの間の伝熱位置に位置しているか否かは、レジスト温調PIセンサ90がレジスト温調アクチュエータ89を検出しているか否かで確認することができる。
【0083】
従って、本実施例においては、金属搬送ローラ40a、伝熱部84、定着前ガイド80、金属レジストローラ22a、各ヒートパイプ76,85,78、レジスト温度調整部材86によって、予備加熱部73が構成されている。
【0084】
このような構成によれば、加熱ローラ38によって加熱された定着後の転写紙の蓄熱は、吸熱部としての金属搬送ローラ40aによって吸熱され、伝熱部84を経由して転写前ガイド80と金属レジストローラ22aとに伝熱される。
【0085】
これにより、次に搬送された転写紙は、転写前においては金属レジストローラ40aの放熱によって、また、定着前においては転写前ガイド80の放熱によって、それぞれ予備加熱される。
【0086】
一方、金属レジストローラ22aの表面温度と転写前ガイド80の表面温度とは、レジスト温度検知サーミスタ79とガイド温度検知サーミスタ83とによってそれぞれ監視されており、このレジスト温度検知サーミスタ79とガイド温度検知サーミスタ83との各検知温度に基づいて加熱ローラ38の加熱温度(定着温度)が制御回路によって制御される。
【0087】
また、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度に基づいてレジスト温調駆動モータ87の駆動が制御回路によって制御される。
【0088】
尚、この制御回路による加熱温度制御方法としては、例えば転写紙の厚さ(種類)情報や周辺環境温度等に基づいて設定された公知の定着温度制御に加え、ガイド温度検知サーミスタ83にて検知した検知温度と環境温度との差によって補正を行う。
【0089】
具体的には、図8に示すように、レジスト温度検知サーミスタ79の検知と温度ガイド温度検知サーミスタ83との各検知温度を関連付けし、その各温度に対して、定着部24の付近の周辺温度(環境温度)を検知する公知の温度検知センサ(図示せず)の検知温度との差に応じ、加熱ローラ38の加熱温度(表面温度)を制御する。
【0090】
これにより、継続的に定着処理することによって温度上昇する放熱量が高温化するにつれて加熱ローラ38の加熱温度を下げることができ、ハロゲンヒータ38aの加熱量を下げる分だけ消費電力を抑えることができる。
【0091】
また、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度が予め設定された閾値(例えば、実温度45℃)を超えると、レジスト温調駆動モータ87が回転し、レジスト温度調整部材86が伝熱部84及び金属レジストローラ22aから離間して伝熱部84から金属レジストローラ22aへの伝熱を遮断する。
【0092】
そして、転写紙が金属レジストローラ22aの蓄熱を奪い、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度が予め設定された閾値を下回った場合には、レジスト温調駆動モータ87が逆回転し、レジスト温度調整部材86を伝熱部84と金属レジストローラ22aとの間に位置させる。
【0093】
これにより、感光体ドラム31や図示しない現像器の温度上昇がある一定温度以下で抑えられ、感光体ドラム31内に存在する廃トナーや図示しない現像器内のトナーが熱により凝集することで画像に悪影響を与えたり、トルクが高くなって破損するといった不具合を抑制することができる。
【0094】
(実施例4)
図9は、実施例4に係る画像形成装置を示し、(A)は要部の側面図、(B)は要部の平面図である。
【0095】
尚、図9において、上記実施例1,2,3と実質的に同一の構成には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0096】
金属搬送ローラ40aと転写前ガイド80と金属レジストローラ22aとの間には、平面視略T字状(図9(B)において横向き)の伝熱部91が配置されている。
【0097】
伝熱部91は、定着前ガイド80よりも搬送方向上流側に配置されて搬送方向下流側を自由端とするように回動可能な金属製搬送シュート92の長手方向全域に面接触するように構成されている。また、伝熱部91は、金属製搬送シュート92の一端寄りで分割されており、その間にはパイプ状の搬送シュート温度調節部材93が配置されている。これにより、伝熱部91は、金属搬送ローラ40aと金属レジストローラ22aとの間で平面視直線状に跨る第1伝熱部91aと、この第1伝熱部91aの中途部から搬送シュート温度調節部材93を介して平面視直行方向に伸びる第2伝熱部91bとに実質的に分かれている。また、第1伝熱部91aと第2伝熱部91bとには、それぞれ第1伝熱用ヒートパイプ94と第2伝熱用ヒートパイプ95とが配置されている。
【0098】
搬送シュート温度調節部材93は、第1伝熱部91aからの熱を第2伝熱部91bを介して金属製搬送シュート92へと伝熱する機能を備えており、搬送シュート温調駆動モータ96の出力軸96aに設けられた搬送シュート温調駆動アーム97によって、伝熱部91と金属製搬送シュート92との間に位置した伝熱位置と、伝熱部91と金属製搬送シュート92との間から退避した遮断位置と、に切り替えられるように構成されている。また、出力軸96aには、搬送シュート温調駆動アーム97とは逆方向に突出する搬送シュート温調アクチュエータ98が設けられており、その位置は搬送シュート温調PIセンサ99によって検出される。
【0099】
これにより、搬送シュート温度調節部材93が伝熱部91と金属製搬送シュート92との間の伝熱位置に位置しているか否かは、搬送シュート温調PIセンサ99が搬送シュート温調アクチュエータ98を検出しているか否かで確認することができる。
【0100】
また、金属製搬送シュート92の転写紙幅方向両端寄り底面には、楕円状のカム100が設けられている。
【0101】
この一対のカム100は、搬送シュート回動モータ101の出力軸101aに固定されており、搬送シュート回動モータ101によって転写紙の底面に接触する放熱位置と、少なくとも自由端寄りが転写紙の底面から離間する非放熱位置と、に切り替えられるように構成されている。また、出力軸101aには、搬送シュートアクチュエータ102が設けられており、その位置は搬送シュートPIセンサ103によって検出される。
【0102】
これにより、金属製搬送シュート92が放熱位置に位置しているか否かは、搬送シュートPIセンサ103が搬送シュートアクチュエータ102を検出しているか否かで確認することができる。
【0103】
従って、本実施例においては、金属搬送ローラ40a、伝熱部91、金属製搬送シュート92、金属レジストローラ22a、各ヒートパイプ76,94,95,78、レジスト温度調整部材86、搬送シュート温度調節部材93によって、予備加熱部74が構成されている。
【0104】
このような構成によれば、加熱ローラ38によって加熱された定着後の転写紙の蓄熱は、吸熱部としての金属搬送ローラ40aによって吸熱され、伝熱部91を経由して金属製搬送シュート92と金属レジストローラ22aとに伝熱される。
【0105】
これにより、次に搬送された転写紙は、転写前においては金属レジストローラ40aの放熱によって、また、定着前においては金属製搬送シュート92の放熱によって、それぞれ予備加熱される。
【0106】
一方、金属レジストローラ22aの表面温度と金属製搬送シュート92の表面温度とは、レジスト温度検知サーミスタ79と搬送シュート温度検知サーミスタ104とによってそれぞれ監視されており、このレジスト温度検知サーミスタ79と搬送シュート温度検知サーミスタ104との各検知温度に基づいて加熱ローラ38の加熱温度(定着温度)が制御回路によって制御される。
【0107】
また、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度に基づいて搬送シュート温調駆動モータ96の駆動が制御回路によって制御され、搬送シュート温度検知サーミスタ104の検知温度に基づいて搬送シュート温調駆動モータ96と搬送シュート回動モータ101の駆動が制御回路によって制御される。
【0108】
尚、この制御回路による加熱温度制御方法としては、例えば転写紙の厚さ(種類)情報や周辺環境温度等に基づいて設定された公知の定着温度制御に加え、レジスト温度検知サーミスタ79にて検知した検知温度及び搬送シュート温度検知サーミスタ104にて検知した検知温度と、環境温度との差によって補正を行う。
【0109】
具体的には、図10に示すように、レジスト温度検知サーミスタ79の検知と温度搬送シュート温度検知サーミスタ104との各検知温度を関連付けし、その各温度に対して、定着部24の付近の周辺温度(環境温度)を検知する公知の温度検知センサ(図示せず)の検知温度との差に応じ、加熱ローラ38の加熱温度(表面温度)を制御する。
【0110】
これにより、継続的に定着処理することによって温度上昇する放熱量が高温化するにつれて加熱ローラ38の加熱温度を下げることができ、ハロゲンヒータ38aの加熱量を下げる分だけ消費電力を抑えることができる。
【0111】
また、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度が予め設定された閾値(例えば、実温度45℃)を超えると、搬送シュート温調駆動モータ96が回転し、搬送シュート温度調節部材93が伝熱部91及び金属製搬送シュート92から離間して伝熱部91から金属製搬送シュート92への伝熱を遮断する。
【0112】
そして、転写紙が金属製搬送シュート92の蓄熱を奪い、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度が予め設定された閾値を下回った場合には、搬送シュート温調駆動モータ96が逆回転し、搬送シュート温度調節部材93を伝熱部91と金属製搬送シュート92との間に位置させる。
【0113】
同様に、搬送シュート温度検知サーミスタ104の検知温度が予め設定された閾値(例えば、実温度40℃)を超えると、搬送シュート温調駆動モータ96が回転し、搬送シュート温度調節部材93が伝熱部91及び金属製搬送シュート92から離間して伝熱部91から金属製搬送シュート92への伝熱を遮断する。
【0114】
また、搬送シュート温度検知サーミスタ104の検知温度が予め設定された閾値(例えば、実温度40℃)を超えると、搬送シュート回動モータ101が回転し、金属製搬送シュート92の自由端部寄りが転写紙非接触位置へと回動して転写紙への放熱を遮断する。
【0115】
そして、転写紙が金属製搬送シュート92の蓄熱を奪い、搬送シュート温度検知サーミスタ104の検知温度が予め設定された閾値を下回った場合には、搬送シュート温調駆動モータ96と搬送シュート回動モータ101とが逆回転し、搬送シュート温度調節部材93を伝熱部91と金属製搬送シュート92との間に位置させると共に、金属製搬送シュート92を元の接触位置へと復帰させる。
【0116】
従って、金属製搬送シュート92の温度が金属レジストローラ22aの放熱により予備加熱された転写紙の温度よりも低い場合には、金属製搬送シュート92を転写紙に接触させず(吸熱せず)、金属製搬送シュート92の温度が転写紙温度よりも高い場合にのみ転写紙を予備加熱することが可能となる。
【0117】
これにより、感光体ドラム31や図示しない現像器の温度上昇がある一定温度以下で抑えられ、感光体ドラム31内に存在する廃トナーや図示しない現像器内のトナーが熱により凝集することで画像に悪影響を与えたり、トルクが高くなって破損するといった不具合を抑制することができる。
【0118】
また、レジスト温度検知サーミスタ79の検知温度が閾値を超えるまでは、レジスト温度調整部材86は伝熱部84と金属レジストローラ22aとの間に位置し、搬送シュート温調部材93は伝熱部91及び金属製搬送シュート92から離間し、閾値を超えるとそれぞれ逆の位置になるように制御回路によって制御されることにより、閾値を超えるまでは集中的にレジストの温度を上げることができる。
【0119】
さらに、搬送シュート温度検知サーミスタ104の検知温度が閾値を超えたと制御回路が判定すると金属製搬送シュート92は転写紙に接触する位置に持ち上がり、搬送シュート温度検知サーミスタ104の検知温度が閾値を下回ったと制御回路が判定すると金属製搬送シュート92は転写紙に接触しない位置まで下がる。
【0120】
このように、本発明の画像形成装置によれば、定着部24により加熱された転写紙の熱を利用して定着前(転写前)の転写紙を予備加熱することで定着性を向上させ、放熱部としての金属搬送ローラ40a,定着前ガイド80,金属製搬送シュート92の温度に応じて定着温度を下げることで定着部24の省エネルギー化を図ることができるとともに、転写紙毎の定着性や光沢度の均一化に貢献することができ、しかも、オフセットのない安定した画像を出力することが可能となる。
【0121】
また、放熱部としての定着前ガイド80,金属製搬送シュート92は、定着ニップ直前で転写紙に熱を伝達するために、熱伝達により温度が上がった転写紙からの再予備加熱を最小限に抑えることができ、既存の構成部品を放熱部として利用することから、放熱部のための余分な専用部材を配置する必要がない。
【0122】
さらに、放熱部である金属搬送ローラ40a,定着前ガイド80,金属製搬送シュート92は、転写紙幅方向の略全幅に跨っていることから、転写紙を幅方向で均一に予備加熱することができるうえ、放熱用ヒートパイプ78,伝熱・放熱用ヒートパイプ82,伝熱用ヒートパイプ85,第2伝熱用ヒートパイプ95を配置することによって転写紙幅方向の予備加熱温度の均一化を向上することができ、1枚の転写紙内での定着性や光沢度等も均一化することができ、安定した画像を得すことができる。
【0123】
また、放熱部にレジストローラ対22の転写面側に位置する金属レジストローラ22aを利用すれば、転写前のトナー像が形成されていない転写紙の表裏を加圧ニップ搬送しつつ、転写紙の転写面側を効率良く予備加熱することができる。
【0124】
さらに、放熱部を感光体ドラム31の上流側と下流側とに配置することにより、感光体ドラム31の上流側では転写紙に未定着のトナー画像が担持されていないため、放熱部にレジストローラ対22を利用することにより転写紙を挟み込みながら圧力をかけることで転写紙へ効率良く熱伝達を行なうことが可能である反面、転写装置の上流側であまり転写紙の温度を上げすぎてしまうと転写紙が転写装置を通過する際に転写装置の温度が高くなり、未定着トナーが凝集してしまう虞があることから、感光体ドラム31と定着部24との間に第2放熱部として定着前ガイド80,金属製搬送シュート92を配置することにより、バランスの良い予備加熱を確保することができる。
【符号の説明】
【0125】
22…レジストローラ対
22a…金属レジストローラ
22b…弾性レジストローラ
31…感光体ドラム
35…転写ローラ
38…加熱ローラ
38a…ハロゲンヒータ
39…加圧ローラ
40…搬送ローラ対
40a…金属搬送ローラ
40b…弾性搬送ローラ
71…予備加熱部
72…予備加熱部
73…予備加熱部
74…予備加熱部
75…伝熱部
76…吸熱用ヒートパイプ
77…伝熱用ヒートパイプ
78…放熱用ヒートパイプ
79…レジスト温度検知サーミスタ
80…定着前ガイド
81…伝熱部
82…伝熱・放熱用ヒートパイプ
83…ガイド温度検知サーミスタ
84…伝熱部
85…伝熱用ヒートパイプ
86…レジスト温度調整部材
91…伝熱部
92…金属製搬送シュート
93…搬送シュート温度調節部材
94…第1伝熱用ヒートパイプ
95…第2伝熱用ヒートパイプ
104…搬送シュート温度検知サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成された定着前の転写紙を加熱・加圧することによりトナー像を転写紙に定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
前記定着装置よりも搬送方向下流側で定着後の転写紙の熱を吸熱し且つ前記定着装置よりも上流側で定着前の転写紙を予備加熱する予備加熱部と、該予備加熱部の吸熱温度上昇に応じて前記定着装置の加熱温度を下げる温度制御部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記予備加熱部は、定着後の転写紙の熱を吸熱する吸熱部と、該吸熱部で吸熱した熱を前記定着装置よりも下流側に伝熱する伝熱部と、該伝熱部で伝熱された熱を定着前の転写紙に放熱する放熱部と、を備え、前記温度制御部は、前記吸熱部・前記伝熱部・前記放熱部の少なくとも一箇所の現在温度を監視する温度センサを備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記放熱部は、前記定着装置よりも上流側に配置されたレジストローラ対、定着前ガイド、金属製搬送シュートの少なくとも一つを利用していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸熱部は、前記定着装置よりも下流側に配置された搬送ローラ対を利用していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸熱部と前記放熱部の少なくとも一方にはヒートパイプが配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着装置よりも上流側にトナー像を転写紙に転写する転写装置が配置され、前記放熱部は前記転写装置の上流側と下流側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記温度制御部は、前記温度センサの監視温度が所定温度以上となった際に前記伝熱部による前記放熱部への伝熱を遮断する切替部を備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項6の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−180312(P2011−180312A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43683(P2010−43683)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】