説明

画像形成装置

【課題】画像形成に際して発生するオゾン及び臭気成分を、筐体外部への排気から効率良く除去し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】レーザプリンタ1は、画像形成部4、定着部6を本体筐体2内に備える。画像形成部4と定着部6の間に、第1区画壁71、第2区画壁72を含む複数の区画壁70により、混合空間Mが形成される。排気ファン90を駆動すると、オゾンを含む第1気体Oが、画像形成部4側の第1区画壁71上端に形成された第1導入口75を介し、混合空間M上面に位置する区画壁70に沿って混合空間M内に導入される。同時に、VOCを含む第2気体Vは、第1区画壁71下端に沿って混合空間M下面を構成する区画壁70に形成された第2導入口76を介し、第1区画壁71に沿って混合空間M内に導入される。第1気体O、第2気体Vを含む気体は、混合空間M内で渦を描くように流れつつ、排気ファン90により本体筐体2外部へ排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に伴いオゾン及び臭気成分が筐体内部に発生し得る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に関する発明として、種々の発明がなされている。電子写真式の画像形成装置においては、オゾンや臭気成分が、画像の形成に伴って、筐体内部に発生する。オゾンは、画像形成を行うために放電する際(例えば、帯電器によって感光体を帯電する際)に、筐体内部に発生する場合がある。又、臭気成分は、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、以下、VOCという)を含み、当該VOCは、記録媒体に画像を熱定着させる際に、当該記録媒体を加熱することで筐体内部に発生し得る。このような画像形成装置では、画像形成に伴い生じたオゾンや臭気物質をできるだけ除去して、装置内の空気と共に筐体外部に排出する必要がある。
【0003】
この点に関する発明として、例えば、特許文献1に記載された発明が知られている。特許文献1には、オゾンとVOCを除去し得る画像形成装置に関する発明が記載されている。具体的には、特許文献1記載の画像形成装置は、帯電器において生じたオゾンを含有する空気と、定着部において生じたVOCを含有する空気を、共通の経路に合流させて筐体外部へ排出するように構成されている。この構成によれば、当該画像形成装置は、VOC酸化触媒フィルタやオゾンフィルタを介して排出すると共に、発生したオゾンを酸化剤として利用することで、筐体外部へ排出する空気から、オゾン及びVOCを除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−018240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1記載の画像形成装置は、主として、VOC酸化触媒フィルタ及びオゾンフィルタにより、オゾン及びVOCを除去しており、オゾンを酸化剤として利用する点については副次的なものとして取り扱われている。即ち、特許文献1においては、発生したオゾンの酸化剤としての効果をより高めるような構成は採用されていなかった。
【0006】
上述のように、オゾン及びVOC等の臭気成分は、画像形成の際に生じてしまうものである。従って、発生したオゾンの酸化剤としての効果をより有効に活用し、オゾン及び臭気成分を除去し得る画像形成装置が要望されている。
【0007】
本発明は、画像形成に伴いオゾン及び臭気成分が筐体内部に発生し得る画像形成装置に関し、発生したオゾンを有効活用することで、オゾン及び臭気成分を効率良く除去し得る画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、筐体と、画像形成部と、定着部と、混合空間と、排気ファンと、を備える。混合空間は、前記定着部と前記画像形成部との間において、複数の区画壁により区画されている。排気ファンは、混合空間と接続され、混合空間内の気体を所定の排気方向に従って前記筐体外部に排気する。そして、当該混合空間には、複数の区画壁の内、前記画像形成部側に立設された第1区画壁に形成された第1導入口と、第1区画壁と異なる区画壁に形成された第2導入口とが形成されている。第1気体は、画像形成部における画像形成に伴って発生したオゾンを含み、第1導入口を介して、第1区画壁に隣接する区画壁の内面に沿って混合空間内に導入される。第2気体は、定着部における熱定着に伴って発生した臭気成分(例えば、VOC等)を含み、第2導入口を介して、当該第2導入口が形成された区画壁に隣接する他の区画壁の内面に沿い、且つ、前記第1導入口から導入された気体の流れに従って、混合空間内に導入される。従って、混合空間内に導入された気体(即ち、第1気体、第2気体)は、混合空間を構成する区画壁の内面に沿って渦を描きつつ、排気ファンによって筐体外部へ排気される。ここで、第1気体に含まれるオゾンは、混合空間内で渦を描きつつ、排気方向に向かって流下する過程で、第2気体に含まれる臭気成分と酸化・還元反応をおこす。これにより、混合空間から排気ファンにより排気される気体は、オゾン及び臭気成分が除去されたものとなる。更に、当該画像形成装置は、混合空間内で渦を描きつつ、第1気体と第2気体を排気方向に向かって流下させることにより、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進することができる。この結果、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【0009】
そして、請求項2記載の画像形成装置において、前記第1導入口から導入された第1気体は、前記混合空間内において、前記排気ファンによる排気方向に鉛直な平面上に区画壁に沿った渦状流を描きつつ、当該排気方向へ流下する。そして、前記第2導入口は、前記第1区画壁と異なる区画壁であって、前記渦状流の円周に対する接線方向で、且つ、当該渦状流の流れに沿う方向へ前記第2気体が導入される位置に形成されている。従って、第2気体は、第2導入口から導入されると、第1気体と共に渦状流を描きつつ排気方向へ流下する。従って、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進し、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【0010】
又、請求項3記載の画像形成装置において、第1導入口は、前記排気方向に鉛直な平面上において、第1区画壁と他の区画壁により構成される角部であって、当該第1区画壁の一端部に形成される。第1気体は、第1導入口から混合空間へ導入されると、前記角部を構成する他の区画壁に沿って流れ、排気方向に鉛直な平面上に渦を描く。そして、第2導入口は、排気方向に鉛直な平面上において、第1区画壁の他端部を含んで構成される角部であって、第1区画壁と異なる区画壁の端部に形成される。第2気体は、第2導入口から混合空間へ導入されると、第1区画壁に沿って流れ、排気方向に鉛直な平面における流れを妨げることなく、渦を描く。従って、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進し、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【0011】
そして、請求項4記載の画像形成装置において、第1導入口は、排気方向に鉛直な平面上において、第1区画壁と他の区画壁により構成される角部であって、当該第1区画壁の一端部に形成される。従って、第1気体は、第1導入口から混合空間へ導入されると、前記角部を構成する他の区画壁に沿って流れ、排気方向に鉛直な平面上に渦を描く。そして、第2導入口は、排気方向に鉛直な平面上において、前記混合空間の中心軸を基準として点対称となる位置で、前記第1区画壁に対向する区画壁の端部に形成されている。従って、第2気体は、第2導入口から混合空間へ導入されると、排気方向に鉛直な平面における流れを妨げることなく、区画壁にそって渦を描く。従って、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進し、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【0012】
又、請求項5記載の画像形成装置において、混合空間には、第3導入口が第1区画壁に隣接する区画壁に形成されている。当該第3導入口において、画像形成部と定着部の間を流れる気体が第1区画壁の内壁面に沿って導入される。従って、当該画像形成装置は、第3導入口から気体を導入することにより、前記混合空間内における渦状の流れを速くすることができ、もって、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進し得る。この結果、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【0013】
そして、請求項6記載の画像形成装置において、前記混合空間には、前記区間壁から混合空間内部に向かって整流板が立設されている。当該整流板は、混合空間内における気体の渦状流下流側ほど、前記排気ファンの接続側に位置するように立設されている。従って、当該画像形成装置は、整流板により、混合空間内における渦状流の形成を促進することができ、もって、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進し得る。この結果、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【0014】
又、請求項7記載の画像形成装置において、混合空間には、排気方向と同一方向に延びる軸部と、前記軸部から前記区画壁へ向かって放射状に立設された複数の静翼部とを有する静翼部材が配設される。当該静翼部は、前記渦状流下流側ほど前記排気ファンの接続側に位置するように前記軸部周面に立設されている。従って、当該画像形成装置は、静翼部材により、混合空間内における渦状流の形成を促進することができ、もって、第1気体中のオゾンと第2気体中の臭気成分の酸化・還元反応を促進し得る。この結果、当該画像形成装置は、第1気体中のオゾンを有効に活用して、より効率良くオゾン及び臭気成分を除去し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】レーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
【図2】レーザプリンタにおける第1気体、第2気体、内部気体の流れを示す説明図である。
【図3】第1実施形態に係る混合空間内での気体の流れを示す説明図である。
【図4】第1実施形態に係る混合空間内での気体の流れを示す断面図である。
【図5】混合空間内に配設された整流板を示す説明図である。
【図6】第2実施形態に係る混合空間内に配設された静翼部材を示す説明図である。
【図7】第3実施形態に係る混合空間内での気体の流れを示す断面図である。
【図8】第4実施形態に係る混合空間内での気体の流れを示す断面図である。
【図9】第5実施形態に係る混合空間内での気体の流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る画像形成装置を、レーザプリンタ1に具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明において、レーザプリンタ1使用時のユーザを基準にした方向を用いて説明する。即ち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって手前側を「左側」、紙面に向かって奥側を「右側」とする。又、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態に係るレーザプリンタ1は、本体筐体2内部に、給紙部3、画像形成部4、定着部6等を備えている。本体筐体2は、レーザプリンタ1の装置本体を構成する。給紙部3、画像形成部4、定着部6等の構成については、後に詳細に説明する。
【0018】
本体筐体2の前側には、フロントカバー21が開閉自在に取り付けられている。フロントカバー21を開放した場合、本体筐体2内部は、本体筐体2外部と連通する。従って、フロントカバー21を開放した場合、ユーザは、後述するプロセスカートリッジ50を、本体筐体2内部の所定位置へ着脱可能に装着し得る。
【0019】
更に、本体筐体2の上面には、排紙トレイ22が形成されている。排紙トレイ22は、給紙部3、画像形成部4、定着部6等により画像が形成された用紙Pを積層状態で収納する。
【0020】
第1実施形態に係るレーザプリンタ1の給紙部3について説明する。給紙部3は、レーザプリンタ1における被記録媒体である用紙Pを、画像形成部4等へ給紙する。当該給紙部3は、給紙トレイ31と、ピックアップローラ34と、給紙ローラ35と、分離パッド36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38とを有している。
【0021】
給紙トレイ31は、本体筐体2下部に着脱自在に取り付けられ、用紙Pを積層状態で収納している。ピックアップローラ34は、給紙トレイ31の前側上方において、回転自在に取り付けられている。当該ピックアップローラ34は、給紙トレイ31に収納された用紙Pと当接しており、回転駆動することにより、給紙トレイ31内の用紙Pを給紙する。
【0022】
給紙ローラ35は、ピックアップローラ34により給紙された用紙Pを、分離パッド36と協働することで、一枚毎に分離する。分離パッド36は、給紙ローラ35の下側近傍に配設されており、給紙ローラ35で給紙される用紙Pに所定の搬送抵抗を加えることで、用紙Pを分離する。
【0023】
搬送ローラ37は、分離パッド36により分離された用紙Pと当接し、当該用紙Pをレジストローラ38へ向かって搬送する。レジストローラ38は、搬送ローラ37よりも用紙Pの搬送方向下流側において、用紙Pの先端に接触することで、用紙Pの斜行を補正しつつ、画像形成部4へ用紙Pを搬送する。
【0024】
続いて、第1実施形態に係るレーザプリンタ1の画像形成部4について説明する。当該画像形成部4は、露光装置40と、プロセスカートリッジ50と、を有しており、給紙部3により給紙された用紙Pに画像を形成する。
【0025】
露光装置40は、本体筐体2上部に配設されており、レーザ発光部(図示せず)と、ポリゴンミラー41と、レンズ42と、反射鏡44と、を有している。レーザ発光部から照射されるレーザ光は、レーザプリンタ1により用紙Pに形成される画像に基づいている。そして、図1に示すように、当該レーザ光は、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44を介して、プロセスカートリッジ50を構成する感光ドラム52表面へ照射される。後述するように、画像に対応する静電潜像は、このレーザ光により、当該感光ドラム52表面に形成される。
【0026】
プロセスカートリッジ50は、露光装置40の下方に設けられ、本体筐体2に対して着脱自在に装着される。当該プロセスカートリッジ50は、中空状のケーシング51を有している。そして、プロセスカートリッジ50は、当該ケーシング51内部に、感光ドラム52と、帯電器53と、現像ローラ54と、供給ローラ55と、層厚規制ブレード56と、トナー収容部57と、転写ローラ58を有している。
【0027】
感光ドラム52は、ケーシング51内部に回転可能に支持されており、円筒状の導電性を有するドラム本体により構成される。そして、感光ドラム52は、当該ドラム本体の外周面に、帯電性の感光層を有している。当該感光ドラム52の感光層には、露光装置40のレーザ光により、画像に対応する静電潜像が形成される。
【0028】
そして、帯電器53は、感光ドラム52の後方において、所定間隔を隔てて当該感光ドラム52と対向する位置に配設されており、感光ドラム52の外周面を一様に帯電させる。
【0029】
この帯電器53による感光ドラム52の帯電に伴い、空気中の酸素と反応することで、オゾンが本体筐体2内部に発生する。尚、本明細書においては、帯電器53による感光ドラム52の帯電に伴って生じたオゾンを含む気体を「第1気体O」という。
【0030】
現像ローラ54は、感光ドラム52表面に形成された静電潜像に対して、トナーを供給する。当該現像ローラ54は、感光ドラム52の前方において、回転可能に支持されており、感光ドラム52と接触するように配置されている。そして、供給ローラ55は、現像ローラ54の前方で回転可能に支持されており、現像ローラ54の外周面に当接するように配設されている。当該供給ローラ55は、現像ローラ54と接触しつつ回転することで、現像ローラ54に対して、トナーを供給する。
【0031】
層厚規制ブレード56は、現像ローラ54に摺接して、現像ローラ54上に担持されるトナーの厚さを規制する。そして、トナー収容部57は、供給ローラ55の前方に形成されており、現像ローラ54、供給ローラ55を介して、感光ドラム52に供給されるトナーを収容している。当該トナー収容部57には、公知の構成のアジテータ(図示省略)が配設されている。
【0032】
転写ローラ58は、感光ドラム52の下方において回転可能に支持されており、感光ドラム52と対向して接触するように配置されている。この転写ローラ58には、転写時に定電流制御による転写バイアスが印加される。これにより、転写バイアスが印加された場合、転写ローラ58は、感光ドラム52外周面のトナーを用紙Pに転写する。
【0033】
トナー収容部57内のトナーは、アジテータの回転により供給ローラ55に供給される。供給ローラ55へ供給されたトナーは、供給ローラ55が現像ローラ54と接触しつつ回転することにより、現像ローラ54上に供給される。現像ローラ54上に供給されたトナーは、現像ローラ54の回転により、層厚規制ブレード56と現像ローラ54との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。そして、現像ローラ54上に担持されたトナーは、静電潜像が形成された感光ドラム52と接触回転することにより、感光ドラム52表面に供給され、感光ドラム52表面の静電潜像を可視像化する。
【0034】
次に、第1実施形態に係るレーザプリンタ1の定着部6について説明する。定着部6は、プロセスカートリッジ50及び後述する混合空間Mの後方(用紙Pの搬送方向の下流側)に設けられ、加熱ローラ61と、加圧ローラ62とを有している。加熱ローラ61は、画像形成部4により画像が形成された用紙Pを加熱しつつ搬送する。加圧ローラ62は、加熱ローラ61と対向する位置に回転可能に支持されており、用紙Pを加熱ローラ61向かって押圧する。これにより、定着部6は、用紙Pに転写されたトナーを加熱溶融し、形成された画像を用紙Pに熱定着する。
【0035】
ここで、用紙Pに画像を熱定着する際に、用紙P及びトナーの加熱溶融に伴って、揮発性有機化合物(以下、VOCという)が発生する。VOCは、スチレン等を含む。尚、本明細書においては、定着部6による画像の熱定着に伴って生じたVOCを含む気体を「第2気体V」という。
【0036】
そして、定着部6の上方には、排紙ローラ65が、排紙トレイ22の後端に沿って回転自在に配設されている。排紙ローラ65は、定着部6により画像が定着された用紙Pを排紙トレイ22へ排紙する。
【0037】
又、画像形成部4において画像が形成された用紙Pが搬送される経路上には、連通口78が形成されている。当該連通口78は、画像形成部4と定着部6との間に形成されており、給紙部3を構成する空間と、画像形成部4及び定着部6を収容する空間を連通している。後述するように、混合空間Mに接続された排気ファン90の駆動を開始し、混合空間M内の空気を本体筐体2外部へ排気すると、本体筐体2内の給紙部3側に位置する気体(以下、内部気体I)は、当該連通口78を介して、本体筐体2上部へ向かって流れ、混合空間M内へ導入される。これにより、定着部6(例えば、加熱ローラ61)により加熱された気体は、当該連通口78から混合空間M内へ導入される内部気体Iの流れにより、画像形成部4側への流下を妨げられる。この結果、当該レーザプリンタ1は、画像形成部4に対する定着部6の熱による影響を抑制し得る。
【0038】
続いて、第1実施形態に係るレーザプリンタ1の画像形成時の動作について説明する。画像形成が実行されると、図1に示すように、給紙トレイ31内の用紙Pは、ピックアップローラ34の回転駆動に伴い、給紙トレイ31から送り出される。給紙トレイ31から送り出された用紙Pは、給紙ローラ35および分離パッド36によって一枚ずつ分離される。その後、用紙Pは、進路を前方から後方へ変えつつ、搬送ローラ37を経由して、レジストローラ38へ搬送される。レジストローラ38は、用紙Pの先端と当接することで、用紙Pの斜行を補正しつつ、用紙Pを感光ドラム52と転写ローラ58の間に向かって搬送する。
【0039】
一方、画像形成の実行が開始されると、帯電器53は、感光ドラム52の外周面を一様に帯電させる。そして、用紙Pの先端が所定位置を通過した時点で、露光装置40は、ポリゴンミラー41を介して、感光ドラム52の外周面にレーザ光を照射する。これにより、感光ドラム52の外周面は露光され、画像データに基づく静電潜像が、当該感光ドラム52の外周面に形成される。そして、トナー収容部57内に収容されたトナーは、供給ローラ55、現像ローラ54の回転駆動により、感光ドラム52の外周面に供給される。これにより、これにより、感光ドラム52上の静電潜像が可視像化され、トナー像が形成される。
【0040】
その後、表面にトナー像が担持された感光ドラム52と転写ローラ58とが対向する位置を用紙Pが通過する際に、転写ローラ58に転写バイアスが印加される。これにより、感光ドラム52上のトナー像は、用紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは、定着部6において、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する。これにより、用紙P上のトナー像は、用紙P表面に加熱定着される。定着部6から搬送された用紙Pは、進路を後方から前方へ変えつつ、排紙ローラ65へ向かって搬送され、排紙ローラ65によって本体筐体2の外部(即ち、排紙トレイ22上)に排紙される。
【0041】
ここで、図1に示すように、本体筐体2内部には、混合空間Mが形成されており、第1気体O、第2気体V等が導入される。当該混合空間Mは、第1区画壁71と、第2区画壁72を含む複数の区画壁70により区画され、画像形成部4と定着部6の間に形成されている。第1区画壁71は、画像形成部4後端部(帯電器53の後方)から上方へ向かって立設されている。第2区画壁72は、定着部6の後端上方において、混合空間Mの上面を構成する排紙トレイ22(即ち、区画壁70)から下方に垂下して形成される。
【0042】
尚、本実施形態においては、排紙トレイ22の裏面側を構成する本体筐体2内壁面が、混合空間Mの上面に位置する区画壁70として機能する。更に、定着部6の上面は、混合空間Mの下面に位置する区画壁70として機能する。混合空間Mの左右両側は、本体筐体2内部に配設されているサイドフレーム(図示せず)により閉塞されている。
【0043】
又、混合空間Mにおいては、第1区画壁71、第2区画壁72と、他の部材(即ち、本体筐体2の内壁面や定着部6の外表面)の間に間隙部分が存在する場合、当該間隙部分を閉塞し、混合空間Mの気密性を高める密閉部材を配設することが望ましい。或いは、混合空間Mの密閉性を高めるために、当該間隙部分近傍において、区画壁70をラビリンス構造となるように構成してもよい。
【0044】
また、図3等に示すように、混合空間Mの一側面(即ち、レーザプリンタ1の右側面)には、排気ファン90が配設されている。排気ファン90は、所定の排気方向Bに従って、本体筐体2内部の気体を、混合空間Mを介して本体筐体2外部へ排気する。所定の排気方向Bとは、本体筐体2の左側から右側へ向かう方向を意味する。
【0045】
そして、混合空間Mには、第1導入口75と第2導入口76が形成されている。第1導入口75は、排気ファン90の駆動に伴って、第1気体Oを混合空間Mへ導く(図2等参照)。そして、第2導入口76は、排気ファン90の駆動に伴って、第2気体Vを混合空間Mへ導く(図2等参照)。
【0046】
図1〜図5に示すように、第1実施形態に係る第1導入口75は、混合空間Mの上面を構成する区画壁70と第1区画壁71により構成される混合空間Mの角部であって、第1区画壁71の上端に形成されている。更に、第1導入口75は、混合空間Mにおける第1区画壁71の上端であって、排気方向B上流側(本体筐体2の左側面側)に形成されている。従って、排気ファン90が駆動すると、画像形成部4の帯電器53近傍で発生した第1気体Oは、第1導入口75を介して、混合空間M内に導入され、当該混合空間Mの上面を構成する区画壁70(即ち、排紙トレイ22の裏面)に沿って流れる(図3、図4参照)。第1気体Oは、混合空間Mの上面を構成する区画壁70に沿って流れた後、第2区画壁72、混合空間Mの下面を構成する区画壁70(即ち、定着部6外表面)の順に、区画壁70に沿って流れる。この結果、図3〜図5に示すように、第1気体Oは、排気方向Bに鉛直な平面において、区画壁70に沿った渦状流(図4中、反時計回り方向)を描きつつ、排気方向Bへ流下する。
【0047】
そして、第1実施形態に係る第2導入口76は、第1区画壁71と混合空間Mの下面を構成する区画壁70(即ち、定着部6上面)により構成される混合空間Mの角部であって、下面を構成する区画壁70に形成されている(図1〜図5参照)。更に、第2導入口76は、混合空間Mの下面を構成する区画壁70であって、第1区画壁71下端に沿うように、排気方向B上流側(本体筐体2の左側面側)に形成されている。従って、排気ファン90が駆動すると、定着部6近傍で発生した第2気体Vは、第2導入口76を介して、混合空間M内に導入され、当該第1区画壁71に沿って流れる(図3、図4参照)。第2気体Vは、第1区画壁71に沿って流れた後、混合空間Mの上面を構成する区画壁70、第2区画壁72、混合空間Mの下面を構成する区画壁70の順に、区画壁70に沿って流れる。この結果、図3、図4に示すように、第2気体Vは、第1導入口75からの導入された第1気体Oと同様に、排気方向Bに鉛直な平面において、区画壁70に沿った渦状流(図4中、反時計回り方向)を描きつつ、排気方向Bへ流下する。
【0048】
尚、第1実施形態に係る第2導入口76は、連通口78から混合空間M内へ向かう内部気体Iが導入される第3導入口77として機能する。第1実施形態において、排気ファン90の駆動が開始されると、内部気体Iは、連通口78を介して本体筐体2上方へと向かって流れ、第2導入口76を介して、混合空間M内へ導入される。そして、混合空間M内においては、内部気体Iは、第2導入口76から導入された第2気体Vと同様に、渦状流を形成しつつ排気方向Bへ流下する。
【0049】
図5に示すように、第1実施形態において、混合空間M内には、整流板80が複数立設されている。当該複数の整流板80は、第1区画壁71、第2区画壁72、混合空間Mの上面又は下面を構成する区画壁70に立設されている。各整流板80は、板状の部材であり、混合空間M内に導入された気体の流れを、混合空間M内に渦状流を描くように整えつつ、排気方向Bへ導く。そして、各整流板80は、気体の渦状流の下流側(排気方向Bに対して鉛直な平面に沿った気体の流れ成分の下流側)ほど、前記排気ファン90側(本体筐体2の右側)に位置し、排気方向Bに対して斜めになるように形成されている。従って、当該レーザプリンタ1は、各整流板80の整流作用により、混合空間M内における第1気体O、第2気体Vを含む渦状流の生成を促進し得る。又、各整流板80は、排気方向B下流側に位置する整流板80ほど、排気方向Bと整流板80のなす角が小さく形成されており、排気方向B下流側ほど、排気方向Bに沿った状態で形成されている。ここで、混合空間Mにでは、排気方向B下流側では、排気方向B上流側より排気抵抗が高くなる。排気方向B下流側ほど、排気方向Bと整流板80のなす角を小さく形成することで、排気方向B下流側で気体に作用する抵抗を低減し、排気を円滑にロスなく行い得る。
【0050】
次に、第1実施形態に係るレーザプリンタ1における第1気体O、第2気体Vの流れについて、図2等を参照しつつ詳細に説明する。排気ファン90の駆動を開始すると、混合空間M内の気体は、本体筐体2外部へと排気される。排気ファン90の駆動に伴い、画像形成部4(特に、帯電器53)近傍の気体は、第1導入口75を介して、混合空間Mへ導入され、定着部6近傍の気体は、第2導入口76を介して、混合空間Mへ導入される。
【0051】
そして、第2導入口76近傍の気体が混合空間M内に導入されることにより、連通口78近傍の気体も、第2導入口76へ向かって流れる。従って、内部気体Iは、連通口78を介して混合空間M内へ向かって上方へ流れる。そして、内部気体Iは、第2導入口76を介して混合空間M内へ導入され、第1気体O、第2気体Vと共に渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する。
【0052】
図2に示すように、画像形成部4の帯電器53近傍で発生したオゾンを含む第1気体Oは、排気ファン90の駆動に伴い、第1導入口75を介して、混合空間Mへ導入される。又、定着部6で発生したVOCを含む第2気体Vは、排気ファン90の駆動に伴い、第2導入口76を介して、混合空間Mへ導入される。
【0053】
これにより、混合空間M内には、第1気体O及び第2気体Vが存在する。即ち、混合空間M内の気体は、帯電器53により生じたオゾンと、定着部6において発生したVOCを含む。そして、図3、図4に示すように、混合空間M内における気体の流れは、混合空間M内で区画壁70に沿った渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ向かう。従って、当該レーザプリンタ1は、混合空間M内において、オゾン及びVOCを含む気体を攪拌し得る。
【0054】
より具体的には、第1気体Oは、第1導入口75から混合空間Mの上面を構成する区画壁70に沿って導入され、区画壁70に沿って鉛直方向に反時計回りの渦を描くように流れる。そして、第2気体V及び内部気体Iは、第2導入口76から第1区画壁71に沿って導入され、区画壁70に沿って鉛直方向に反時計回りの渦を描くように流れる。この時、排気ファン90の駆動も継続されているので、当該混合空間M内の気体は、混合空間M内を排気方向Bへ向かって流れる。即ち、混合空間M内の気体は、混合空間M内で渦を描きつつ、排気方向Bへ流れる。
【0055】
混合空間M内において渦を描くように流れることにより、混合空間M内に含有されるオゾンとVOCは、混合空間M内に略均一に分布し、混合空間M内における当該オゾンとVOCの酸化・還元反応が促進される。又、第1導入口75及び第2導入口76が排気方向B上流側に形成されているので、オゾンとVOCの酸化・還元反応が進行する期間を十分に確保することができ、もって、確実にオゾン及びVOCを除去し得る。
【0056】
又、混合空間M内には、複数の整流板80が、各区画壁70(第1区画壁71、第2区画壁72を含む)から鉛直に立設されており、気体の渦状流の下流側(排気方向Bに対して鉛直な平面に沿った気体の流れ成分の下流側)ほど、前記排気ファン90側(排気方向B下流側)に位置し、排気方向Bに対して斜めになるように形成されている。これにより、混合空間M内の気体は、確実に渦状流を形成することができ、オゾンとVOCを混合空間M内に略均一に分布させ得る。従って、当該レーザプリンタ1は、気体の攪拌により、混合空間M内におけるオゾンとVOCの間の酸化・還元反応を促進し得る。
【0057】
そして、混合空間Mにおいて、オゾンとVOCの間で酸化・還元反応が起こることにより、オゾン及びVOCはそれぞれ別の物質に変化する。従って、排気ファン90により排気された気体は、オゾン及びVOCが除去された状態となる。即ち、レーザプリンタ1は、混合空間M内でオゾンとVOCの間における酸化・還元反応をより促進することにより、レーザプリンタ1から排出される気体から、オゾン及びVOCを効率良く除去し得る。
【0058】
以上、説明したように、第1実施形態に係るレーザプリンタ1は、画像形成部4と定着部6の間に混合空間Mを形成する。混合空間Mは、第1導入口75と、第2導入口76を有しており、混合空間Mは、排気ファン90と、整流板80と、を有している。
【0059】
帯電器53において発生したオゾンを含む第1気体Oは、排気ファン90の駆動に伴って、第1導入口75を介して、混合空間Mへ導かれる。定着部6において発生したVOCを含む第2気体Vは、排気ファン90の駆動に伴って、第2導入口76を介して、混合空間M内へ導かれる。又、内部気体Iも、排気ファン90の駆動に伴って、第2導入口76を介して、混合空間M内へ導かれる。
【0060】
第1気体Oは、第1導入口75を介して、混合空間Mの上面を構成する区画壁70に沿って混合空間M内へ導入されると、鉛直断面において渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する。第2気体V及び内部気体Iは、第2導入口76を介して、第1区画壁71に沿って混合空間Mへ導入されると、鉛直断面において渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する。この構成により。混合空間Mへ導かれた気体は、鉛直断面において渦を描きつつ、排気方向Bへ向かって流れる。当該レーザプリンタ1は、混合空間M内の気体が渦を描くように流れるため、混合空間M内の気体に含まれるオゾン及びVOCの酸化・還元反応を促進し得る。これにより、当該レーザプリンタ1は、第1気体O中のオゾンを有効活用して、混合空間M内から本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを効率良く除去し得る。
【0061】
又、混合空間M内に配設された整流板80は、排気ファン90による排気方向Bへの気流を整流して渦状流の形成を促進しつつ、混合空間M内の気体を攪拌する。これにより、当該レーザプリンタ1は、気体中のオゾンとVOCの間の酸化・還元反応を促進し得る。この結果、当該レーザプリンタ1は、第1気体O中のオゾンを有効活用して、本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを更に効率良く除去し得る。
【0062】
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態と異なる別の実施形態(第2実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態に係るレーザプリンタ1と同一の基本的構成を有しており、混合空間Mの構成のみが相違する。従って、第2実施形態に係る混合空間Mについて、図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0063】
図6に示すように、第2実施形態に係る混合空間Mにおいて、第1導入口75、第2導入口76は、第1実施形態に係る混合空間Mと同様の構成で形成されている。従って、第2実施形態に係る混合空間M内の気体は、第1実施形態と同様に、反時計回りの渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する。この点、第1実施形態にでは、混合空間M内に複数の整流板80が立設されていたが、第2実施形態では、混合空間M内には、静翼部材85が配設されている点で相違する(図6参照)。
【0064】
図6に示すように、静翼部材85は、軸部86と、複数の静翼部87により構成される。軸部86は、排気方向Bと同一方向を軸とする円筒状の部材である。複数の静翼部87は、軸部86の外周面から放射状に立設された静翼である。各静翼部87は、第2実施形態に係る渦状流(図3、図4参照)の下流側ほど、排気方向B下流側(排気ファン90接続側)に位置するように形成されている。
【0065】
以上、説明したように、第2実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態と同様に、混合空間Mに形成された第1導入口75から導入された第1気体Oと、第2導入口76から導入された第2気体V、内部気体Iにより、混合空間M内に渦状流を形成しつつ、混合空間M内の気体を排気方向Bへ流下させ得る(図3、図4参照)。これにより、当該レーザプリンタ1は、気体中のオゾンとVOCの間の酸化・還元反応を促進し、第1気体O中のオゾンを有効活用して、本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを効率良く除去し得る。更に、当該レーザプリンタ1は、混合空間M内に配設された静翼部材85により、渦状流の形成を促進し得るので、第1気体O中のオゾンを有効活用して、本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを更に効率良く除去し得る。
【0066】
[第3実施形態]
次に、上述した第1実施形態、第2実施形態と異なる別の実施形態(第3実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第3実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態、第2実施形態に係るレーザプリンタ1と同一の基本的構成を有しており、混合空間Mの構成のみが相違する。従って、第3実施形態に係る混合空間Mについて、図7を参照しつつ詳細に説明する。
【0067】
図7に示すように、第3実施形態においては、混合空間Mに形成される第1導入口75、第2導入口76、第3導入口77を個別に形成すると共に、第2導入口76の形成位置を変更している。
【0068】
第3実施形態に係る第1導入口75は、第1実施形態、第2実施形態と同様の位置に形成されている。従って、第1気体Oは、混合空間Mの上面を構成する区画壁70に沿って導入され、区画壁70に沿った鉛直断面で反時計回りの渦状流を形成しつつ、排気方向Bに向かって流下する。
【0069】
そして、第3実施形態における混合空間Mにおいては、第2導入口76は、第2区画壁72と、混合空間Mの下面を構成する区画壁70により構成される角部であって、第2区画壁72の下端に形成される。即ち、当該第2導入口76は、排気方向Bに鉛直断面の中心を軸として、第1導入口75と点対称となる位置に形成される(図7参照)。従って、第2気体Vは、排気ファン90の駆動に伴って、第2導入口76を介して、混合空間M下面を構成する区画壁70に沿って、混合空間M内に導入される。そして、当該第2気体Vは、混合空間M内で反時計回りの渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する。
【0070】
又、第3実施形態においては、第1実施形態、第2実施形態における第2導入口76と同様の位置に、第3導入口77が形成されている。従って、内部気体Iは、排気ファン90の駆動に伴って、第3導入口77から混合空間M内に導入される。第3導入口77から導入されると、内部気体Iは、第1実施形態、第2実施形態と同様に、第1区画壁71に沿って、反時計回りの渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ向かって流下する。
【0071】
又、第3実施形態においても、第1導入口75〜第3導入口77は、混合空間M内における排気方向B上流側(本体筐体2の左側面側)に形成されている。従って、第3実施形態においても、オゾンとVOCの酸化・還元反応が進行する期間を十分に確保することができ、もって、確実にオゾン及びVOCを除去し得る。
【0072】
以上説明したように、第3実施形態に係る第1導入口75〜第3導入口77の配置構成(図7参照)であっても、当該レーザプリンタ1は、混合空間M内に、第1気体O、第2気体V、内部気体Iによる渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ排気する。即ち、第3実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態、第2実施形態と同様に、混合空間M内の気体に含まれるオゾン及びVOCの酸化・還元反応を促進することができ、第1気体O中のオゾンを有効活用して、混合空間M内から本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを効率良く除去し得る。
【0073】
[第4実施形態]
次に、上述した第1実施形態〜第3実施形態と異なる別の実施形態(第4実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第4実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態〜第3実施形態に係るレーザプリンタ1と同一の基本的構成を有しており、混合空間Mの構成のみが相違する。従って、第4実施形態に係る混合空間Mについて、図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0074】
第4実施形態においては、第1導入口75〜第3導入口77の形成位置が第1実施形態〜第3実施形態と異なる。具体的には、第1導入口75は、第1区画壁71と、混合空間Mの下面に位置する区画壁70により構成される角部において、第1区画壁71の下端に沿って形成される。従って、第1気体Oは、第1導入口75を介して、混合空間Mの下面を構成する区画壁70に沿って混合空間M内に導入される。この結果、第4実施形態では、第1気体Oは、混合空間M内で区画壁70に沿って、時計回りの渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する(図8参照)。
【0075】
そして、第4実施形態に係る第2導入口76は、第2区画壁72と、混合空間Mの下面に位置する区画壁70により構成される角部において、混合空間M下面を構成する区画壁70に形成される。従って、第2気体Vは、第2導入口76を介して、第2区画壁72に沿って導入される。これにより、第4実施形態においても、第2気体Vは、第1導入口75から導入された第1気体Oの流れを乱すことなく、混合空間M内で時計回りの渦状流を形成し、排気方向Bへ流下する。
【0076】
又、第4実施形態に係る第2導入口76は、上述した第1実施形態、第2実施形態と同様に、第3導入口77として機能する。従って、第4実施形態において、排気ファン90の駆動が開始されると、内部気体Iは、連通口78を介して本体筐体2上方へと向かって流れ、第2導入口76を介して、混合空間M内へ導入される。そして、混合空間M内においては、内部気体Iは、第2導入口76から導入された第2気体Vと同様に、時計回りの渦状流を形成しつつ排気方向Bへ流下する。
【0077】
又、第4実施形態においても、第1導入口75、第2導入口76は、混合空間M内における排気方向B上流側(本体筐体2の左側面側)に形成されている。従って、第4実施形態においても、オゾンとVOCの酸化・還元反応が進行する期間を十分に確保することができ、もって、確実にオゾン及びVOCを除去し得る。
【0078】
以上説明したように、第4実施形態に係る第1導入口75、第2導入口76の配置構成(図8参照)であっても、当該レーザプリンタ1は、混合空間M内に、第1気体O、第2気体V、内部気体Iによる渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ排気する。即ち、第4実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態〜第3実施形態と同様に、混合空間M内の気体に含まれるオゾン及びVOCの酸化・還元反応を促進することができ、第1気体O中のオゾンを有効活用して、混合空間M内から本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを効率良く除去し得る。
【0079】
[第5実施形態]
次に、上述した第1実施形態〜第4実施形態と異なる別の実施形態(第5実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第5実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態〜第4実施形態に係るレーザプリンタ1と同一の基本的構成を有しており、混合空間Mの構成のみが相違する。従って、第5実施形態に係る混合空間Mについて、図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0080】
第5実施形態においては、第1導入口75〜第3導入口77の形成位置が、上述した第1実施形態〜第4実施形態と異なる。具体的に説明すると、第5実施形態における第1導入口75は、上述した第4実施形態と同様の位置に形成される。従って、第1気体Oは、第4実施形態と同様に、時計回りの渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ流下する(図9参照)。
【0081】
そして、第5実施形態における第2導入口76は、第2区画壁72と、混合空間Mの上面に位置する区画壁70により構成される角部において、第2区画壁72の上端に沿って形成される。従って、第5実施形態において、第2気体Vは、第2導入口76を介して、混合空間Mの上面に位置する区画壁70に沿って導入され、第1導入口75から導入された第1気体Oの流れを乱すことなく、混合空間M内で時計回りの渦状流を形成し、排気方向Bへ流下する。
【0082】
又、第5実施形態に係る第3導入口77は、上述した第4実施形態における第2導入口76と同じ位置に形成される。従って、第5実施形態において、排気ファン90の駆動が開始されると、内部気体Iは、連通口78を介して本体筐体2上方へと向かって流れ、第2導入口76を介して、第2区画壁72に沿って混合空間M内へ導入される。そして、混合空間M内においては、内部気体Iは、第1気体O及び第2気体Vにより形成された気流を妨げることなく、時計回りの渦状流を形成しつつ排気方向Bへ流下する。
【0083】
又、第5実施形態においても、第1導入口75〜第3導入口77は、混合空間M内における排気方向B上流側(本体筐体2の左側面側)に形成されている。従って、第5実施形態においても、オゾンとVOCの酸化・還元反応が進行する期間を十分に確保することができ、もって、確実にオゾン及びVOCを除去し得る。
【0084】
以上説明したように、第5実施形態に係る第1導入口75〜第3導入口77の配置構成(図9参照)であっても、当該レーザプリンタ1は、混合空間M内に、第1気体O、第2気体V、内部気体Iによる渦状流を形成しつつ、排気方向Bへ排気する。即ち、第5実施形態に係るレーザプリンタ1は、第1実施形態〜第4実施形態と同様に、混合空間M内の気体に含まれるオゾン及びVOCの酸化・還元反応を促進することができ、第1気体O中のオゾンを有効活用して、混合空間M内から本体筐体2外部へ排気される気体中から、オゾン及びVOCを効率良く除去し得る。
【0085】
尚、第3〜5実施形態においても、第1実施形態と同様に、混合空間Mを構成する各区画壁70に、複数の整流板80を形成するように構成しても良い。又、第2実施形態と同様に、混合空間M内に静翼部材85を配設するように構成することも可能である。
【0086】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、第1実施形態における整流板80は、あくまでも一例であり、その形状及び数を任意の数としてもよい。混合空間Mを構成する一の区画壁70にのみ整流板80を形成する構成とすることも可能である。又、第2実施形態における静翼部材85も、あくまでも一例であり、静翼部87の形状及び数を任意の値にすることが可能である。又、混合空間M内における静翼部材85の数を適宜変更することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 レーザプリンタ、 2 本体筐体、 4 画像形成部、
6 定着部、 70 区画壁、 71 第1区画壁、
72 第2区画壁、 75 第1導入口、 76 第2導入口、
77 第3導入口、 80 整流板、 85 静翼部材、
O 第1気体、 V 第2気体、 I 内部気体、
M 混合空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対する画像形成に用いられる構成部品を内蔵する筐体と、
前記被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により被記録媒体に形成された画像を熱定着する定着部と、を備える画像形成装置であって、
前記定着部と、前記画像形成部との間において、複数の区画壁により区画され、前記画像形成部における画像形成に伴って発生したオゾンを含む第1気体と、前記定着部における熱定着に伴って発生した臭気成分を含む第2気体とが導入され、当該第1気体及び第2気体が混合される混合空間と、
前記混合空間と接続され、前記混合空間内に導入された気体を所定の排気方向に従って前記筐体外部に排気する排気ファンと、を有し、
前記混合空間には、
前記複数の区画壁の内、前記画像形成部側に立設された第1区画壁に形成され、前記第1気体が当該第1区画壁に隣接する区画壁の内面に沿って混合空間内に導入される第1導入口と、
前記第1区画壁と異なる区画壁に形成され、前記第2気体が当該区画壁に隣接する他の区画壁の内面に沿い、且つ、前記第1導入口から導入された気体の流れに従って、混合空間内に導入される第2導入口とが形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記第1導入口から導入された第1気体は、
前記混合空間内において、前記排気ファンによる排気方向に鉛直な平面上に区画壁に沿った渦状流を描きつつ、当該排気方向へ流下し、
前記第2導入口は、
前記第1区画壁と異なる区画壁であって、
前記渦状流の円周に対する接線方向で、且つ、当該渦状流の流れに沿う方向へ前記第2気体が導入される位置に形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の画像形成装置であって、
前記第1導入口は、
前記排気方向に鉛直な平面上において、前記第1区画壁と他の区画壁により構成される角部であって、当該第1区画壁の一端部に形成され、
前記第2導入口は、
前記排気方向に鉛直な平面上において、前記第1区画壁の他端部を含んで構成される角部であって、前記第1区画壁と異なる区画壁の端部に形成される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の画像形成装置であって、
前記第1導入口は、
前記排気方向に鉛直な平面上において、前記第1区画壁と他の区画壁により構成される角部であって、当該第1区画壁の一端部に形成され、
前記第2導入口は、
前記排気方向に鉛直な平面上において、前記混合空間の中心軸を基準として点対称となる位置で、前記第1区画壁に対向する区画壁の端部に形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置であって、
前記混合空間には、
前記画像形成部と定着部の間を流れる気体が前記第1区画壁の内壁面に沿って導入される第3導入口が、前記第1区画壁に隣接する区画壁に形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5の何れかに記載の画像形成装置であって、
前記混合空間には、前記区間壁から混合空間内部に向かって整流板が立設され、
当該整流板は、
前記混合空間内における気体の渦状流下流側ほど、前記排気ファンの接続側に位置するように立設されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項5の何れかに記載の画像形成装置であって、
前記混合空間には、
前記排気方向と同一方向に延びる軸部と、前記軸部から前記区画壁へ向かって放射状に立設された複数の静翼部とを有する静翼部材が配設され、
当該静翼部は、
前記渦状流下流側ほど前記排気ファンの接続側に位置するように前記軸部周面に立設されている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−252968(P2011−252968A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125052(P2010−125052)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】