説明

画像形成装置

【課題】 ユーザは、扉を大きく開かずにジャム処理することができると共に、ユニットを交換するときだけ扉を大きく開けば済む画像形成装置を提供する。
【解決手段】 中間転写ユニット40、装置本体10Aと、装置本体10Aに回動自在に取り付けられ、装置本体10Aを閉じた閉状態でシートPを搬送する搬送経路11を形成する扉ユニット20と、第1回動角度θ1に扉ユニット20を開いた状態で保持し、搬送経路11を形成していた部位にユーザがアクセス可能となる第1空間A1を形成し、第1回動角度θ1よりも大きい第2回動角度θ2に扉ユニット20を開いた状態で保持し、中間転写ユニット40、給送ユニット50をユーザが取り出し可能となる第2空間A2を形成する扉規制部材71と、を備える画像形成装置10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して開閉する扉を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シート収納庫からシート排出トレイに至るまでのシート搬送経路を備えている。ユーザが画像形成装置を使用すると、画像形成装置本体の内部では、シートが何らかの原因で詰まるジャムが生じ得る。そのために、画像形成装置には、ユーザがジャム処理し易い利便性が求められる。また、画像形成装置の内部には、種々のユニットが設けられている。寿命等によってユニットの交換が必要な場合には、画像形成装置には、ユーザがユニットを交換し易い利便性が求められる。
【0003】
ジャム処理の利便性に関しては、特許文献1に記載の発明が開示されている。特許文献1に記載の発明は、画像形成装置本体に対して回動自在に取り付けられた扉の一部にシート搬送路の一部が設けられ、扉が支点を中心に回動すると搬送路が広く開放される。そして、扉の開放を支持するアームのうち、画像形成装置本体の手前側のアームを低い位置に設置することで、ユーザが画像形成装置本体の手前側から手を入れ易く構成され、ジャム処理の利便性が図られている。
【0004】
また、ユニット交換の利便性に関しては、特許文献2に記載の発明が開示されている。特許文献2に記載の発明は、外装扉に中間転写ユニットが固定されて一体に構成される。そして、外装扉が開放されると中間転写ユニットが画像形成装置本体の外部に露出し、ユーザが画像形成装置本体の内部にアクセスする必要なく中間転写ユニットを交換でき、ユニット交換の利便性が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−195271号公報
【特許文献2】特開2007−47571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、ユーザが画像形成装置本体の内部のユニットを交換する場合には、扉を広く開放しなければならない。このことは、近年求められる省スペース化に反する。
【0007】
また、特許文献2に記載の発明では、ユーザが画像形成装置本体の内部でシートのジャム処理をする場合には、ジャム処理時に触れる必要が無いユニットに不用意に触れる虞がある。このことで、ユニットの固定位置がずれ、ユニットの配置異常から画像に影響が出ることもある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、ユーザは、扉を大きく開かずにジャム処理することができると共に、ユニットを交換するときだけ扉を大きく開けば済む画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、ユニットを収納可能な装置本体と、前記装置本体に回動自在に取り付けられ、前記装置本体を閉じた閉状態でシートを搬送する搬送経路を前記装置本体と共に形成する扉と、前記閉状態の角度を基準とした第1回動角度に前記扉を開いた状態で保持して、前記搬送経路を形成していた部位にユーザがアクセス可能となる第1空間を形成し、前記閉状態の角度を基準として前記第1回動角度よりも大きい第2回動角度に前記扉を開いた状態で保持して、前記ユニットをユーザが取り出し可能となる第2空間を形成する回動角度保持手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザは、ジャム処理の場合には、扉を第1回動角度に設定すると、搬送経路を形成していた部位にアクセスすることができる。また、ユーザは、ユニット交換の場合には、扉を第2回動角度に設定すると、ユニットを交換することができる。その結果、ユーザは、扉を大きく開かずにジャム処理することができると共に、ユニットを交換するときだけ扉を大きく開けば済む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】扉が閉状態から開状態に移行する経過状態を示す画像形成装置の断面図である。
【図3】扉が閉状態から開状態に完全に移行した状態を示す画像形成装置の断面図である。
【図4】扉の回動角度が第1回動角度まで回動した工程を示す拡大断面図等である。
【図5】扉規制部材の構成を示す拡大側面図等である。
【図6】扉ユニットが第1回動角度に設定される場合に、カップリングが突出する状態を示す斜視図等である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置10の構成を示す断面図である。画像形成装置10は、電子写真画像形成プロセスを利用したフルカラー画像形成装置(複写機機能、プリンタ機能、FAX機能を併せ持つ複合機)である。図1に示されるように、画像形成装置10は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)10Aを有し、装置本体10Aに対して外装扉ユニット(以下、「扉ユニット20」という)が扉回動軸21を中心に開閉自在に取り付けられている。装置本体10Aの内部には、画像を形成する画像形成部52(52A、52B、52C、52D)が設けられる。画像形成部52は、『像担持体』である感光体ドラム5(5A、5B、5C、5D)、『転写装置』である1次転写ローラ7(7A、7B、7C、7D)等を含む。少なくとも感光体ドラム5については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体10Aに組み込まれる構成としても良い。
【0014】
画像形成装置10は、定着装置30、中間転写ユニット40、給送ユニット50、給送カセット60を収納可能な装置本体10Aを備える。このうちで、中間転写ユニット40、給送ユニット50が装置本体10Aに対して着脱可能に構成されている。また、画像形成装置10は、装置本体10Aに回動自在に取り付けられる『扉』である扉ユニット20を備える。扉ユニット20が装置本体10Aを閉じた閉状態では、扉ユニット20は、シートPを搬送する搬送経路11を前記装置本体10Aと共に形成する。
【0015】
中間転写ユニット40は、中間転写ベルト40Aを有し、中間転写ベルト40Aは、ローラ25、26、2次転写対向ローラ27、複数の1次転写ローラ7(7A〜7D)に懸架されている。装置本体10Aの搬送経路11の側には、2次転写対向ローラ27、搬送ローラ23B、24Bが配置されている。扉ユニット20の扉本体20Aの搬送経路11の側には、2次転写ローラ22、シートPを搬送する搬送ローラ23A、24Aが設けられている。
【0016】
次に、像が転写されるシートPの流れを説明する。給送カセット60に積載されたシートPは、給送ユニット50の駆動によって給送される。給送されるシートPには、搬送経路11を通過する途中で、2次転写ローラ22に印加された電圧によって中間転写ユニット40上に作られた像が転写される。そして、シートPに転写された像は、定着装置30で定着されて、シートPは排出トレイ12に排出される。
【0017】
図2は、扉ユニット20が閉状態から開状態に移行する経過状態を示す画像形成装置10の断面図である。なお、図2では、後述の連結部材70及び扉規制部材71は省略されている。図2に示されるように、扉ユニット20が閉状態から開状態に移行する経過途中で、扉ユニット20は、第1回動角度θ1に設定される。このように、閉状態の角度を基準とした第1回動角度θ1に扉ユニット20が開かれた状態で保持されると、搬送経路11を形成していた部位にユーザがアクセス可能となる第1空間A1が形成される。図2を参照しつつ、シートPが搬送経路11の内部で詰まった場合に、ユーザがジャム処理するときのユーザの操作について以下に説明する。
【0018】
ユーザは、シートPをジャム処理する場合には、搬送経路11に残ったシートPを除去するために、扉回動軸21を支点として扉ユニット20を回動させて搬送経路11を開放する。このときに、扉ユニット20は、第1回動角度θ1で開放角度が規制される。扉ユニット20が第1回動角度θ1で配置される場合には、ユーザは、搬送経路11にアクセスするときに、装置本体10Aの正面からだけではなく、扉ユニット20の側からでも搬送経路11に容易に近づくことができる。また、第1回動角度θ1は、搬送経路11の視認性が良い第1空間A1を作る角度であれば良い。第1回動角度θ1は、扉ユニット20が閉状態に対して50度程度開けば良く、全開放する必要がないので、装置本体10Aの設置スペースが狭くて済む。実際に、扉ユニット20が開いたときに必要な横幅は、90度開いたときの65%程度となり、35%のスペース縮小になる。
【0019】
扉ユニット20は、第1回動角度θ1まで開いた状態では、中間転写ユニット40、給送ユニット50を引き出す引出軌跡上の位置に配置される。このように、扉ユニット20が第1回動角度θ1まで開いた状態では、ユーザは中間転写ユニット40、給送ユニット50を取り出すことができない。
【0020】
図3は、扉ユニット20が閉状態から開状態に完全に移行した状態を示す画像形成装置10の断面図である。なお、図3では、後述の連結部材70及び扉規制部材71は省略されている。図3に示されるように、扉ユニット20が閉状態から開状態に完全に移行したときには、扉ユニット20は、第2回動角度θ2に設定される。このように、閉状態の角度を基準として第1回動角度θ1よりも大きい第2回動角度θ2に扉ユニット20が開かれた状態で保持されると、中間転写ユニット40、給送ユニット50をユーザが取り出し可能となる第2空間A2が形成される。図3を参照しつつ、ユニット交換のメンテナンス性について以下に詳述する。
【0021】
ユーザがユニットを交換する場合には、ユーザは、扉回動軸21を支点として扉ユニット20を第2回動角度θ2まで開く。第2回動角度θ2は、中間転写ユニット40や給送ユニット50の着脱のために、90度程度開くのが良い。扉ユニット20が第2回動角度θ2まで開かれると、中間転写ユニット40や給送ユニット50は、扉ユニット20の開放方向へと着脱自在となる。
【0022】
中間転写ユニット40や給送ユニット50は、ユニット寿命などの理由で交換が必要となることがある。特に、中間転写ユニット40は、中間転写ユニット40の構成部品である中間転写ベルト40Aにダメージを与えると画像に影響するため、交換には注意が必要である。しかし、最近ではサービスレスが求められており、専門知識をもたないユーザでも、ユニット交換できることが望ましい。
【0023】
中間転写ユニット40を装置本体10Aの上方側や手前側に着脱する方式があるが、これらの場合は中間転写ユニット40を取り外すまでに複数の手順を必要とするので、交換が容易ではない。一方、ここでは、扉ユニット20の開閉のみで中間転写ユニット40にアクセスが可能となるため、ユニット交換の際にはユーザでもユニット交換しやすく、良好なメンテナンス性とサービスレスに繋がる。
【0024】
扉ユニット20は、第2回動角度θ2まで開いた状態では、中間転写ユニット40、給送ユニット50を引き出す引出軌跡上から外れた位置に配置されている。このように、扉ユニット20が第2回動角度θ2また開いた状態では、ユーザは中間転写ユニット40、給送ユニット50を取り出すことができる。
【0025】
図4(a)は、扉ユニット20の回動角度が第1回動角度θ1まで回動した工程を示す拡大断面図である。図4(a)に示されるように、扉ユニット20は、装置本体10Aに取り付けられた扉回動軸21を中心に回動自在となっている。扉ユニット20の裏面には連結軸23が取り付けられており、連結軸23には連結部材70が揺動自在に取り付けられている。
【0026】
また、この一方で、装置本体10Aの側板90には孔90aが形成されており、孔90aに『回動角度保持手段』である扉規制部材71が挿入されている。この扉規制部材71は、孔90aを通じて装置本体10Aに対して出入り自在に構成されている。前述の連結部材70は連結端部70Aを有し、扉規制部材71は連結端部71Aを有し、これらの連結端部70A及び連結端部71Aは互いに連結軸72で連結されている。したがって、前述の連結部材70は、扉規制部材71に対して連結軸72を中心に揺動自在となっている。
【0027】
また、装置本体10Aは、『フレーム』である側板90を有する。さらに、扉規制部材71は、扉ユニット20が第1回動角度θ1の状態で側板90に当接する『第1当接部』である外板金突起89を有する。外板金突起89が側板90に引っ掛かる。そのために、扉ユニット20は、装置本体10Aに対して第1回動角度θ1まで揺動した状態で規制されることになる。
【0028】
図4(b)は、扉ユニット20の回動角度が第2回動角度θ2まで回動した工程を示す拡大断面図である。図4(b)に示されるように、外板金突起89が孔90aを通過すると、扉ユニット20が第1回動角度θ1から更に回動される。そうすると、外板金突起89が押し下げられて、扉規制部材71は孔90aを通じて更に外側へと引き出される。扉規制部材71は、扉ユニット20が第2回動角度θ2の状態で側板90に当接する『第2当接部』である内板金突起88を有する。内板金突起88が側板90に引っ掛かる。そのために、扉ユニット20は、装置本体10Aに対して第2回動角度θ2まで揺動した状態で規制されることになる。
【0029】
図5(a)は、扉規制部材71の構成を示す拡大側面図である。図5(b)は、扉規制部材71から外板金80を取り外した状態を示す拡大側面図である。ここでは、まず、図5(b)を参照しつつ説明してから、図5(a)を参照しつつ説明する。
【0030】
図5(b)に示されるように、扉規制部材71は、板金規制部材83、ボス85、内板金81、付勢部材82を備える。板金規制部材83にはボス85が固定されている。また、内板金81には、長穴状のスリット86が形成されると共に、外板金突起89が形成される。板金規制部材83のボス85は、内板金81に形成されたスリット86に係合している。このために、内板金81は、長穴状のスリット86の範囲でボス85に対して左右方向に移動自在となっている。
【0031】
さらに、付勢部材82は、一端が板金規制部材83に固定され、他端が内板金81の延設部91に固定されている。付勢部材82は、矢印Eの方向に内板金81を付勢している。そのために、内板金81は、ボス85を中心に矢印Fの方向に回動するように付勢されている。そして、外板金突起89が壁部83a、83aの間の孔に挿入される。そして、付勢部材82が最大限に内板金81を付勢した状態では、外板金突起89が板金規制部材83から突出した状態となるように設定されている。この外板金突起89は、前述のように、扉ユニット20を第1回動角度θ1まで回動した状態を保持するための突起である。
【0032】
そして、ユーザが内板金81の被押圧部81aを押圧する(図5(a)の矢印Bの方向に押圧する)。そうすると、内板金81はボス85を中心に下方に(矢印Fとは反対方向下方に)揺動するために、外板金突起89も下がり、第1回動角度θ1での扉ユニット20の保持が解除される。
【0033】
図5(a)に示されるように、板金規制部材83には内板金81が介在した状態で外板金80が固定されている。外板金80は、一端に内板金突起88が形成されている。この内板金突起88は、前述のように、扉ユニット20を第2回動角度θ2まで回動した状態を保持するための突起である。
【0034】
こうした扉規制部材71が扉ユニット20の回動角度を第1回動角度θ1及び第2回動角度θ2に規制する動作に関して以下に説明する。ユーザが扉ユニット20を開くと、連結部材70が回動して扉規制部材71が右方向に引かれ、外板金突起89が側板90に突き当たって扉ユニット20の回動が規制される((図4(a)、図5(b)参照)。このときの扉ユニット20の回動角度が第1回動角度θ1である。なお、外板金80と内板金81は金属同士で突き当たるため、強度上問題ない。
【0035】
扉規制部材71は、外板金突起89及び側板90の当接状態を解除する『解除手段』である被押圧部81aを有する。ユーザが被押圧部81aを押圧して動作させる。そうすると、内板金81が下方に揺動して外板金突起89が側板90に突き当たる状態が解除される。扉ユニット20の開放動作と共に扉規制部材71は更に外側へと移動し、内板金突起88が側板90に突き当たって扉ユニット20の回動が規制される(図4(b)、図5(a)参照)。このときの扉ユニット20の回動角度が第2回動角度θ2である。このように、被押圧部81aの押圧で、扉ユニット20が第1回動角度θ1及び第2回動角度θ2の間で回動可能となる。
【0036】
ユーザが扉ユニット20を閉めると、扉規制部材71が左に移動する。外板金突起89は、扉ユニット20とは反対側にテーパが形成されている。そのために、扉規制部材71が左に移動すると、外板金突起89が側板90によって自然に押し下げられる。したがって、扉ユニット20が閉じられる過程で、外板金突起89は扉ユニット20の回動角度を規制しない。その結果、ユーザが矢印Bの方向に被押圧部81aを押圧しなくても、扉ユニット20が閉じられるようになっている。
【0037】
図6(a)は、扉ユニット20が第1回動角度θ1に設定される場合に、カップリング101が突出する状態を示す斜視図である。図6(a)に示される『連結手段』であるカップリング101は、中間転写ユニット40の一部である2次転写対向ローラ27の端部を連結する部材である。このカップリング101の突出によって、装置本体10Aに中間転写ユニット40が連結される。
【0038】
カップリング101は、離間カム102の回転によって、2次転写対向ローラ27の軸方向に突出したり退避したりする構成になっている。また、離間カム102の回転部にはリンク103が固定されている。リンク103にはリンク104が移動自在に取り付けられ、リンク104にはリンク105が回転自在に取り付けられている。そして、このリンク105に前述の扉規制部材71が接続され、扉規制部材71に連結部材70が回動自在に取り付けられている。
【0039】
ここで、扉規制部材71が扉ユニット20を第1回動角度θ1に設定する場合を考える。この場合には、連結部材70、扉規制部材71、リンク105、リンク104、リンク103の位置によって、離間カム102が所定の角度(カップリング101を突出させる角度)以上には回転していないので、カップリング101が突出した状態となっている。したがって、2次転写対向ローラ27はカップリング101によって連結され、カップリング101は中間転写ユニット40に駆動力を伝達するようになっている。2次転写対向ローラ27及びカップリング101が連結されているので、扉ユニット20が第1回動角度θ1の場合には、ユーザは中間転写ユニット40を取り外せない。
【0040】
図6(b)は、扉ユニット20が第2回動角度θ2に設定される場合に、カップリング101が退避した状態を示す斜視図である。図6(b)に示されるカップリング101の退避によって、装置本体10Aから中間転写ユニット40が着脱自在な状態になる。
【0041】
ここで、扉規制部材71が扉ユニット20を第2回動角度θ2に設定する場合を考える。この場合には、連結部材70、扉規制部材71、リンク105、104が外側へと引張られる。そうすると、リンク103が下方へと引張られ、離間カム102が図6(b)中の時計回りに回転し、カップリング101が退避した状態となる。したがって、カップリング101の連結が解除されて中間転写ユニット40が装置本体10Aから着脱自在となる。
【0042】
次に、図2及び図3を参照しつつ、扉ユニット20が第1回動角度θ1の状態では給送ユニット50を取り外せず、扉ユニット20が第2回動角度θ2の状態で初めて締結部51を外して給送ユニット50を取り外せる構成について説明する。
【0043】
給送ユニット50の下部は、締結部51によって装置本体10Aに締結されている。扉ユニット20が第1回動角度θ1の状態では、図2に示されるように扉ユニット20が50度程度しか開かない。そのために、ユーザが給送ユニット50の締結部51の締結状態を解除できない。また、給送ユニット50を取り外す軌跡上に扉ユニット20が配置されている。そのために、ユーザは給送ユニット50を取り外せない。
【0044】
一方、扉ユニット20が第2回動角度θ2の状態では、図3に示されるように扉ユニット20が90度程度に開かれる。そのために、ユーザは、給送ユニット50の締結部51の締結状態を解除して、給送ユニット50にアクセス可能となる。また、給送ユニット50を取り外す軌跡上に扉ユニット20が配置されていない状態が確保される。そのために、ユーザは給送ユニット50を取り外せる。
【0045】
詳しくは、例えば、給送ユニット50の搬送経路11の側には、給送ユニット50を装置本体10Aに取り付ける締結部51が設けられ、この締結部51にはビスが用いられる。扉ユニット20が第1回動角度θ1に開いた状態では、水平方向で締結部51及び扉ユニット20の間が所定寸法未満に設定されてドライバー等が挿入不可であるために、締結部51による締結が解除不可となる。扉ユニット20が第2回動角度θ2に開いた状態では、水平方向で締結部51及び扉ユニット20の間が所定寸法(例えば、ドライバーが挿入可能な寸法)に設定されてドライバー等が挿入可能のために、締結部51による締結が解除可能となる。
【0046】
こうして、扉ユニット20の回動角度が2段階に設定され、第1回動角度θ1ではジャム処理し易い空間を確保するように扉ユニット20が開放される。その結果、装置本体10Aの設置スペースの縮小化が実現されると共に、メンテナンス性が維持される。また、第1回動角度θ1ではユニットの取り外しができない。その結果、ユーザが不用意にユニットに触れたり外したりする可能性が低減される。ユニット交換を行う際は、第2回動角度θ2に切り替えることで扉ユニット20の回動角度を広く取り、ユーザの作業性が良くなる。その結果、装置本体10Aの設置スペースの縮小化が実現されると共に、メンテナンス性が維持される。
【0047】
以上のことから、実施例の構成によれば、ユーザは、ジャム処理の場合には、扉ユニット20を第1回動角度θ1に設定すると、搬送経路11を形成していた部位にアクセスすることができる。また、ユーザは、中間転写ユニット40、給送ユニット50の交換の場合には、扉ユニット20を第2回動角度θ2に設定すると、中間転写ユニット40、給送ユニット50を交換することができる。その結果、ユーザは、扉ユニット20を大きく開かずにジャム処理することができると共に、中間転写ユニット40、給送ユニット50を交換するときだけ扉ユニット20を大きく開けば済む。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
10A 装置本体
11 搬送経路
20 扉ユニット(扉)
40 中間転写ユニット
50 給送ユニット
71 扉規制部材(回動角度保持手段)
θ1 第1回動角度
θ2 第2回動角度
A1 第1空間
A2 第2空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットを収納可能な装置本体と、
前記装置本体に回動自在に取り付けられ、前記装置本体を閉じた閉状態でシートを搬送する搬送経路を前記装置本体と共に形成する扉と、
前記閉状態の角度を基準とした第1回動角度に前記扉を開いた状態で保持して、前記搬送経路を形成していた部位にユーザがアクセス可能となる第1空間を形成し、前記閉状態の角度を基準として前記第1回動角度よりも大きい第2回動角度に前記扉を開いた状態で保持して、前記ユニットをユーザが取り出し可能となる第2空間を形成する回動角度保持手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記扉は、前記第1回動角度まで開いた状態では、前記ユニットを引き出す引出軌跡上の位置に配置され、前記第2回動角度まで開いた状態では、前記ユニットを引き出す引出軌跡上から外れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ユニットの前記搬送経路の側には、前記ユニットを前記装置本体に取り付ける締結部が設けられ、前記扉が前記第1回動角度に開いた状態では、水平方向で前記締結部及び前記扉の間が所定寸法未満に設定されて前記締結部による締結が解除不可となり、前記扉が前記第2回動角度に開いた状態では、水平方向で前記締結部及び前記扉の間が所定寸法に設定されて前記締結部による締結が解除可能となることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置本体に対して前記ユニットを連結する連結手段を備え、
前記回動角度保持手段が前記扉を前記第1回動角度に設定すると、前記連結手段が前記ユニットを前記装置本体に連結し、前記回動角度保持手段が前記扉を前記第2回動角度に設定すると、前記連結手段の連結が解除されて前記ユニットを前記装置本体から着脱自在とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連結手段は、前記ユニットに駆動力を伝達するカップリングであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体は、フレームを有し、
前記回動角度保持手段は、前記扉が前記第1回動角度の状態で前記フレームに当接する第1当接部、及び、前記扉が前記第2回動角度の状態で前記フレームに当接する第2当接部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記保持手段は、前記第1当接部及び前記フレームの当接状態を解除する解除手段を有し、
ユーザが前記解除手段を動作させると、前記扉が前記第1回動角度及び前記第2回動角度の間で回動可能となることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1当接部は、前記扉とは反対側にテーパが形成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−252981(P2011−252981A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125271(P2010−125271)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】