説明

画像形成装置

【課題】消費電力を低減することが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】充放電可能な蓄電手段を有する画像形成装置であって、交流電圧を直流電圧に変換して当該画像形成装置へ電力を供給する主電源と、前記主電源又は前記蓄電手段により供給される電力で駆動されるファンと、当該画像形成装置が動作モード中にあるときにのみ、前記蓄電手段の充電を行う充電手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能な蓄電手段を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、装置内の温度上昇を抑えるためファンを駆動させている。ファンの駆動は、コピー、プリント等の動作モード中のみでなく、動作完了後の所定期間においても実施している。
【0003】
一方、画像形成装置の駆動電源である主電源は、可能なかぎり停止させたほうが消費電力を低減させることができる。そこで従来では、動作完了直後に主電源を停止させ、ファンは補助電源により駆動させる技術が既に知られている。例えば特許文献1には、消費電力を低減する目的で、省エネルギーモードへ移行すべき場合には蓄電手段からの電力供給によってファンを駆動させ、主電源は停止させる構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術では、補助電源となる充放電可能な蓄電手段に充電を行うタイミング等が明確に決められていない。そのため、長期間での消費電力を考えた場合に、従来のように充電を行うと十分に消費電力を低減させることができない。
【0005】
また従来では、画像形成装置に供給される商用AC(Alternating Current)電源容量を画像形成装置の立ち上げ時間の短縮や線速の向上のために最大限活用しており、画像形成装置が動作モードにあるときは電力に余裕がないため、動作モード以外に蓄電手段への充電を行っている。また商用AC電源に対して余裕がある画像形成装置であっても、主電源の容量を大きくすることを考慮して、蓄電手段に対する充電は主電源の負荷が小さいとき(動作モード以外)に行っている。
【0006】
このように従来の画像形成装置では、蓄電手段を充電するための時間を別途設けているため、その分消費電力が増大してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、消費電力を低減することが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0009】
本発明は、充放電可能な蓄電手段を有する画像形成装置であって、交流電圧を直流電圧に変換して当該画像形成装置へ電力を供給する主電源と、前記主電源又は前記蓄電手段により供給される電力で駆動されるファンと、当該画像形成装置が動作モード中にあるときにのみ、前記蓄電手段の充電を行う充電手段と、を有する構成とした。
【0010】
また本発明の画像形成装置において、前記充電手段は、当該画像形成装置が動作モードとなってから所定時間が経過した後に前記蓄電手段の充電を行う構成とした。
【0011】
また本発明の画像形成装置において、前記充電手段による前記蓄電手段に対する充電は、当該画像形成装置が前記動作モードにある期間に基づき決定される構成とした。
【0012】
また本発明の画像形成装置は、前記蓄電手段に蓄電された電力量を検出する電力検出手段と、前記電力検出手段により前記蓄電手段の満充電が検出されたき、前記充電手段による充電を停止させる充電制御手段と、を有する構成とした。
【0013】
また本発明の画像形成装置において、前記蓄電手段は、キャパシタである構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置の構成を説明する図である。
【図2】補助電源におけるキャパシタの充電動作を説明するフローチャートである。
【図3】補助電源におけるキャパシタの充電動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、補助電源を充電するための時間を設けず、画像形成装置が動作モードにあるときに補助電源を充電する。
【0017】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の構成を説明する図である。
【0018】
本実施形態の画像形成装置100は、主電源スイッチ110、主電源120、補助電源130、制御部140、定着加熱装置150、+5V系負荷160、+24V系負荷170、切換回路180を有する。
【0019】
主電源スイッチ110は、オン/オフにより、商用AC電源10の主電源120への供給を制御する。
【0020】
主電源120は、定着電源121、定電圧電源(AC/DCコンバータ)122、123を有する。定着電源121は、主電源スイッチ110を介して商用AC電源から供給されたAC電源を定着加熱装置150へ供給する。定電圧電源122は、商用AC電源10から供給されるAC電源をDC電源に変換し、定電圧フィードバック制御を行って5VのDC電圧を発生させ、+5V系負荷160へDC電圧を供給する。定電圧電源123は、商用AC電源10から供給されるAC電源をDC電源に変換し、定電圧フィードバック制御を行って24VのDC電圧を発生させ、+24V系負荷170へDC電圧を供給する。
【0021】
補助電源130は、+24V系負荷170に含まれるファン171を駆動させる。本実施形態の補助電源130は、キャパシタ131、電力検出部132、キャパシタ充電部133を有する。キャパシタ131は電力を蓄積する。電力検出部132は、キャパシタ131に充電された電力量を監視する。キャパシタ充電部133は、制御部140からの充電指示を受けて、定電圧電源123からの電源によりキャパシタ131に電力を充電する。
【0022】
尚本実施形態のキャパシタ131は、電気二重層コンデンサ等の大容量のキャパシタであることが好ましい。キャパシタ131には、電気二重層コンデンサ以外にも選択可能だが、本発明では短時間での充放電が可能で、長寿命である電気二重層コンデンサを用いることが好ましい。
【0023】
制御部140は、画像形成装置100全体の制御を司る。本実施形態の制御部140は、充電制御部141、モード検出部142、切換指示部143を有する。充電制御部141は、補助電源130のキャパシタ充電部133に対して充電指示を行う。モード検出部142は、画像形成装置100のモードを検出する。切換指示部143は、モード検出部142によるモードの検出結果に基づき、ファン171の電源を主電源120から補助電源130へ又は補助電源130から主電源120へ切り換える切換指示を切換回路180に対して行う。
【0024】
以下に本実施形態の画像形成装置100のモードについて説明する。
【0025】
本実施形態の画像形成装置100は、動作モード、待機モード、省エネルギーモード(以下、省エネモード)を有する。動作モードとは、画像形成装置100により実現できる機能を実行している状態を示している。本実施形態の画像形成装置100が例えば印刷、コピー、FAX送受信等の機能を有する場合には、これらの各機能を実行している状態を動作モードと言う。待機モードとは、画像形成装置100が機能の実行指示を待っている状態である。省エネモードとは、消費電力を低減するモードである。本実施形態では、画像形成装置100のモードが待機モードとなってから予め設定された所定時間が経過すると、省エネモードへ移行するものとした。また本実施形態の画像形成装置100では、省エネモードへ移行すると、+24V系負荷170を動作させる定電圧電源122が停止する。
【0026】
本実施形態の切換指示部143は、モード検出部142により画像形成装置100のモードが動作モード又は待機モードから省エネモードへ移行したことが検出されると、切換回路180へファン171の電源を定電圧電源123から補助電源130へ切り換える切換指示を行う。切換回路180は、切換指示を受けてファン171の電源を定電圧電源123から補助電源130のキャパシタ131へ切り換える。また切換指示部143は、モード検出部142により画像形成装置100のモードが省エネモードから動作モード又は待機モードへ移行したことが検出されると、切換回路180へファン171の電源を補助電源130から定電圧電源123へ切り換える切換指示を行う。切換回路180は、切換指示を受けてファン171の電源を補助電源130のキャパシタ131から定電圧電源123へ切り換える。
【0027】
定着加熱装置150は、画像形成装置100における画像形成動作に含まれる加熱定着を行う。+5V系負荷160は、+5Vの電圧で動作する負荷である。+24V系負荷170は、+24Vの電圧で動作する負荷である。+24V系負荷170には、ファン171が含まれる。
【0028】
ファン171は、画像形成装置100の装置内部の温度を所定温度以下とするための冷却手段である。尚本実施形態の画像形成装置100は、装置内部に図示しない温度検出手段を有しており、装置内部の温度が所定温度を超えるとファン171を駆動させ、装置内部の温度が所定温度以下となったらファン171の駆動を停止させる制御を行っている。
【0029】
本実施形態のファン171は、画像形成装置100が動作モード又は待機モードにある場合には、定電源電圧123から供給される電力で駆動する。また本実施形態のファン171は、画像形成装置100が省エネモードにある場合には、補助電源130のキャパシタ131から供給される電力で駆動する。
【0030】
切換回路180は、補助電源130とファン171との間に設けられており、+24V系負荷170に対する定電圧電源123からの電源の供給が停止したとき、ファン171の電源を補助電源130へ切り換える。
【0031】
尚本実施形態では、補助電源130の出力電圧を定電圧電源123の出力電圧より低くなるように設定し、切換回路180をダイオードにより構成しても良い。このように構成すれば、ファン171は、動作モード中に定電圧電源123が起動している場合には、電圧の高い定電圧電源123の電力で駆動される。そしてファン171は、省エネモードへ移行して定電圧電源123が停止した場合には、補助電源130の電力で駆動する。すなわち定電圧電源123と補助電源130とを切り換えるための制御が不要となり、制御及び回路構成を簡素化することができる。
【0032】
次に、図2を参照して本実施形態の画像形成装置100の補助電源130におけるキャパシタの充電動作について説明する。図2は、補助電源におけるキャパシタの充電動作を説明するフローチャートである。
【0033】
本実施形態の画像形成装置100において、制御部140は、モード検出部142により画像形成装置100のモードを検出し、検出されたモードが動作モードであるか否かを判定する(ステップS21)。モードが動作モードであった場合、制御部140は所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS22)。
【0034】
ステップS22において所定時間が経過した場合、制御部140は、充電制御部141によりキャパシタ充電部133に充電指示を行う。キャパシタ充電部133は、充電指示を受けてキャパシタ131の充電を開始する(ステップS23)。ステップS22において所定時間が経過していない場合、モード検出部142は動作モードが終了したか否かを判定する(ステップS24)。そしてステップS24において動作モードが終了していた場合、処理を終了する。ステップS24において動作モードが終了していない場合、ステップS22へ戻る。
【0035】
次にモード検出部142は、動作モードが終了したか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において動作モードが終了していない場合、充電制御部141は、キャパシタ133が満充電となったか否かを判定する(ステップS26)。具体的には充電制御部141は、電力検出部132により検出されたキャパシタ131の電力に基づき、キャパシタ131が満充電か否かを判定する。ステップS25において動作モードが終了していた場合、充電制御部141はキャパシタ充電部133によるキャパシタ133の充電を停止させ(ステップS27)、処理を終了する。
【0036】
ステップS26において満充電が検出されると、充電制御部141はステップS27へ進み、キャパシタ131の充電を停止させて充電動作を終了する。
【0037】
尚ステップS22における所定時間は、予めユーザにより設定された時間であってもよい。尚図2の説明では、動作モードに移行してから所定時間が経過した後にキャパシタ131の充電を開始するものとして説明したが、これに限定されない。本実施形態では、例えば動作モードに移行すると同時にキャパシタ131の充電を開始しても良い。
【0038】
図3は、補助電源におけるキャパシタの充電動作を説明するタイミングチャートである。
【0039】
画像形成装置100は、タイミングAにおいて動作指示を受けると、主電源120を起動させて省エネモードから復帰して動作モードに移行する。このとき制御部140は、モード検出部142により動作モードとなったことを検出し、充電制御部141によりキャパシタ充電部133によるキャパシタ131の充電を開始する。キャパシタ131は、充電により蓄積電力量が増加するため、動作モード中にキャパシタ131の電圧は上昇する。
【0040】
タイミングBにおいて画像形成装置100の動作モードが終了して待機モードへ移行すると、充電制御部141は、動作モードの終了と同時にキャパシタ充電部133によるキャパシタ131の充電を停止させる。
【0041】
画像形成装置100において待機モードに移行してから所定時間が経過すると、タイミングCにおいて省エネモードへ移行する。省エネモードに移行すると、主電源120は停止するため、ファン171の電源は主電源120かに補助電源130に切り換えられる。ファン171は、補助電源130のキャパシタ131に蓄えられた電力で駆動する。キャパシタ131の電圧は時間と共に下降し、キャパシタ131の電圧がファン171を駆動せるのに必要な下限電圧まで下降すると、ファン171の駆動は停止する。
【0042】
尚画像形成装置100において、動作モード終了後にファン171の駆動を必要とする期間(以下、駆動必要期間)は、動作モードであった期間に依存する。すなわち動作モードであった期間が長い程、画像形成装置100内の温度は上昇し、ファンの駆動必要期間は長くなる。そこで本実施形態では、動作モードでいた期間に基づきファン171の駆動必要期間を考慮してキャパシタ131の充電を行っても良い。
【0043】
本実施形態では、例えばキャパシタ131に蓄積される電力がファン171の必要駆動時間を考慮した電力となるように、キャパシタ充電部133の容量(充電勾配)を決定しても良い。本実施形態では、例えばファン171の駆動時間、ファン171の消費電力、キャパシタ131の容量等を対応付けたテーブル等を有しており、駆動必要時間に対応したキャパシタ131の容量を充電できるように、キャパシタ充電部133の容量を決定しても良い。
【0044】
本実施形態では、この構成により、無駄な電力を蓄電することを防止できる。またキャパシタ充電部133の容量を過度に大きく設定することがなくなるため、コストを低減させることができる。さらにファン171をキャパシタ131の残容量で駆動可能な期間のみ駆動させる制御となるため、無駄なファン171の駆動を防止でき、消費電力を低減できる。またファン171を停止させるための時間管理が不要となり、ファン171の制御構成を簡素化できる。
【0045】
さらに本実施形態の画像形成装置100において、動作モードであった期間が短いときには、動作モード終了後のファン171の駆動が不要な場合がある。その際は、充電制御部141は、タイミングA1からキャパシタ131の充電が開始されるように、キャパシタ充電部133を制御すれば良い。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態の画像形成装置100では、補助電源130のキャパシタ131を充電するための時間を設けずに、画像形成装置100が動作モードにあるときにキャパシタ131の充電を行う。よって本実施形態の画像形成装置100には、充電動作のためだけに動作モードである必要がなく、主電源120を立ち上げている時間を短くすることができ、消費電力を低減させることができる。
【0047】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0048】
100 画像形成装置
110 主電源スイッチ
120 主電源
130 補助電源
131 キャパシタ
133 キャパシタ充電部
140 制御部
141 充電制御部
171 ファン
180 切換回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特開2004−301877号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な蓄電手段を有する画像形成装置であって、
交流電圧を直流電圧に変換して当該画像形成装置へ電力を供給する主電源と、
前記主電源又は前記蓄電手段により供給される電力で駆動されるファンと、
当該画像形成装置が動作モード中にあるときにのみ、前記蓄電手段の充電を行う充電手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記充電手段は、
当該画像形成装置が動作モードとなってから所定時間が経過した後に前記蓄電手段の充電を行う請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記充電手段による前記蓄電手段に対する充電は、当該画像形成装置が前記動作モードにある期間に基づき決定される請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄電手段に蓄電された電力量を検出する電力検出手段と、
前記電力検出手段により前記蓄電手段の満充電が検出されたき、前記充電手段による充電を停止させる充電制御手段と、を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記蓄電手段は、キャパシタである請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−64817(P2011−64817A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213749(P2009−213749)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】