説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、装置内の各機能部への電源供給を細かく制御して、最適な省エネ化を実現すること。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、ホストPCからのコマンド入力により、スキャナやFAXや印刷エンジン等の機能部毎に、通常モードと省エネモードの間の移行を制御可能であり、さらに省エネモードから通常モードへの移行後のジョブ実行が終了した際には、再度省エネモードに戻すか通常モードのままにしておくかについてもホストPCからのコマンド入力により制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置において、スリープ状態を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、省電力化を行なうために省エネモードと呼ばれる各機能部への電源を遮断するモードがある。この場合でも例えばインタフェースで接続された端末からの印刷データの転送があると、画像形成装置は省エネモードから各部に電源が行き渡った通常モードに移行して、印刷を行うことが可能である。しかし、例えばUSBメモリを画像形成装置に接続して印刷を行おうとしても、従来のスリープ状態にある画像形成装置では、通常モードに移行せず電源のリセットを行うなどして画像形成装置の全ての機能部を通常モードにして印刷するしかなく、当該USBメモリからの印刷には不要な部分にまでも電源供給することになっていた。このように、従来の画像形成装置では、各機能部毎に必要最低限に電力を供給してより高度な省電力化を達成するということはできなかった。
【0003】
また、画像形成装置が省エネモードに遷移している場合、利用できないインタフェースや操作が発生する場合がある。例えば、電源供給されてないインタフェース(例えばUSB)を利用してデータ送信することや省エネモードではサポートされてない操作(例えばWebページ閲覧)を実行する等である。
【0004】
このような操作を行う場合、画像形成装置を省エネモードから通常モードに戻してから上記操作を行う必要があり、特に画像形成装置から距離が離れた場所に居るユーザにとっては煩わしさを与えることに繋がる。
【0005】
画像形成装置を省エネモードから通常モードに戻すために電源キーを操作するのは画像形成装置までユーザが移動する必要があるため不便であるし、省エネモードから復帰するために不要な印刷や本来の目的とは異なる制御コマンドを実行すると必要外の機能部に電源供給されてしまう。
【0006】
従来技術として、通常動作モードの他に予熱モード、スリープモード等の電力消費を抑える少なくとも1つ以上の省電力モードを設け、省電力モード時には記録すべき画像データの受信(ないし入力)が生じた時、装置の省電力モードを維持したまま、受信データを画像メモリに保持し、そして操作部などからユーザによる複写動作、またはプリント動作が指示され、装置がプリントアウト可能状態に移行した場合にこの機会を利用して画像メモリに保持された受信データを出力する方法がある(特許文献1参照)。
【0007】
しかし、この方法によっても、画像形成装置の各機能部への電源供給を細かく制御して、最適な省エネ化を達成する電源制御はできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−318265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、画像形成装置の各機能部への電源供給を細かく制御して、最適な省エネ化を達成する電源制御ができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、装置内の各機能部に電源を供給する通常モードと電源を遮断する省エネモードとを選択して設定可能とする省エネ制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このため、画像形成装置の各機能部への電源供給を細かく制御して、最適な省エネ化を達成する電源制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明実施例の画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明実施例の画像形成装置での3つのサブシステムの電源制御のコマンド例の説明図である。
【図3】本発明実施例の画像形成装置での1つのサブシステムの電源制御のコマンド例の説明図である。
【図4】本発明実施例の画像形成装置での全てのサブシステムを通常モードに移行させるコマンド例の説明図である。
【図5】本発明実施例の画像形成装置でのディープスリープ状態の説明図である。
【図6】本発明実施例の画像形成装置でのライトスリープ状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例に係る画像形成装置について、以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
[構成]
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置101の機能ブロック図である。
【0015】
画像形成装置101は、省エネサブシステム111(省エネ制御部)、コントローラサブシステム121、スキャナサブシステム123、パネルサブシステム125、FAXサブシステム127、エンジンサブシステム131の各機能部を有する。
【0016】
また、画像形成装置101は、外部の端末装置であるホストPC201とインタフェースを介して接続しており、ホストPC201からの印刷データの転送や省エネモードの制御のコマンド転送が可能である。
【0017】
以下に画像形成装置101の各機能部について説明する。
【0018】
省エネサブシステム111(省エネ制御部)は、本発明の本質的な機能部である。省エネサブシステム111は、コントローラサブシステム121、スキャナサブシステム123、パネルサブシステム125、FAXサブシステム127、エンジンサブシステム131の各機能部に電源を供給する通常モードと電源を遮断する省エネモードとを選択して設定可能とする。この電源モードの設定は、外部端末であるホストPC201からのコマンド入力によって行なう。パネルサブシステム121が通常モードである場合には、パネルサブシステム121からの操作入力によって電源モードの制御を行なってもよい。
【0019】
省エネモードから通常モードへの復帰の際には、通常モードに復帰してジョブ実行が終了した後に当該機能部を再度省エネモードに戻すか、通常モードのまま持続させるかの制御を前記コマンド入力により選択可能となっている(詳細後述)。
【0020】
コントローラサブシステム121は、画像形成装置の各機能部を制御する。
【0021】
スキャナサブシステム123は、スキャナ装置を有して、原稿を読み取って電子ファイルに変換する。
【0022】
パネルサブシステム125は、入出力装置であるパネル装置を有して、ユーザからの画像形成装置の操作・設定の入力を受け付ける。又当該操作・設定のために必要な情報の表示及び画像形成装置の状態の表示を行う。
【0023】
FAXサブシステム127は、FAX通信のための機能を有する。FAXの通信の際には、本機能部がスリープモードから通常モードに立ち上がる。FAX受信の際には、受信の入力によりスリープモードから通常モードに立ち上がる。
【0024】
エンジンサブシステム131は、印刷エンジンを有して用紙に印刷を行う。印刷の際には熱定着を行うために電力を多く消費する。そのため、完全なスリープ状態(ディープスリープモード)では、定着器及びその他の部分への電源を遮断する。定着器への電源が完全に遮断していると、定着器を熱定着可能な温度に昇温するのに時間がかかり、印刷時間が遅れてしまうために、定着器を余熱して印刷時間の遅れをなくすライトスリープモードと呼ばれる状態がある。これらのモードの状態は、省エネサブシステム111からのコマンド入力により変更される。
【0025】
[制御コマンドによるモード制御]
本画像形成装置101では、モードを制御する制御コマンドにおいて、復帰するサブシステムや復帰レベル(詳細後述)を指定できるようにすることで無駄な消費電力をより削減することができるようにする。
【0026】
また、この場合に、サブシステムと復帰レベルをそれぞれ指定できても構わないし、1度に複数サブシステムを同時に指定できても構わない。
【0027】
以下に図2、図3、図4を用いて省エネサブシステムが発行する制御コマンドにより制御される各サブシステムの状態の例について説明する。
【0028】
まず、復帰レベルでは、例えば以下のレベルAとレベルBのような、実行ジョブ後のモード設定の違いが有る。
【0029】
復帰レベルA:通常モードへの復帰のみ行なう。ジョブ実行後も通常モードを継続する。
【0030】
復帰レベルB:通常モードへ復帰して実行ジョブの完了後に再度省エネモードへ遷移する。
【0031】
次にコマンドシンタックス例について述べる。
【0032】
図2では以下の復帰コマンドを用いる:復帰コマンド, 1, A, 2, B, 3, B.
ここで、数値1はコントローラサブシステム、数値2はスキャナサブシステム、数値3は、パネルサブシステムを示す。
【0033】
上記のコマンドでは、コントローラサブシステムを復帰レベルA、スキャナサブシステムを復帰レベルB、パネルサブシステムを復帰レベルBで復帰する。
【0034】
次に図3では以下の復帰コマンドを用いる:復帰コマンド, 2, A.
ここで、数値2はスキャナサブシステムを示す。
【0035】
このコマンドでは、スキャナサブシステムのみを復帰レベルAで復帰する。
【0036】
次に図4では、以下の復帰コマンドを用いる:復帰コマンド ALL, A.
上記のコマンドでは、全サブシステムを復帰レベルAで復帰する。
【0037】
なお、ここではカンマを引数区切り文字、ピリオドをコマンド終端文字とする。
【0038】
なお、省エネモードではないサブシステムへ復帰要求が発行されても、そのサブシステム内でその要求は無視されても構わないし、省エネモードではないサブシステムへの復帰後省エネモードへ遷移要求が発行された場合は、省エネモードへ遷移しても構わない。
【0039】
以上の方法により、省エネサブシステム111は、画像形成装置内の各機能部の電源モードを制御する。
【0040】
[実施例1の効果]
実施例1の画像形成装置により、以下の効果が得られる。
【0041】
画像形成装置の各機能部への電源供給を細かく制御して、実行ジョブに対して最適な省エネ化を達成する細かい電源制御が可能となる。そのため、画像形成装置の消費電力を減らすことが可能となる。
【0042】
省エネモードからの復帰を外部端末からのリモートにより実行可能となるため、画像形成装置の所まで行ってパネルからの操作入力によって、通常モードに戻す必要がなくなる。
【0043】
[その他]
本発明は、実施例1において図1で示した構成に限らず、本発明の省エネモード及び通常モードの細かい電源制御が達成できれば実施可能である。よって、実施例1の構成以外にもFAX無しの構成やスキャナ無しの構成、その他単独のプリンタ機能のみの構成であってもよいし、又、パネルの無い構成であってもよい。実施例1に示した、スキャナサブシステム123、パネルサブシステム125、FAXサブシステム127等の構成要素は、本発明の必須条件ではない。
【実施例2】
【0044】
本発明の実施例2に係る画像形成装置について、以下に説明する。
【0045】
実施例2の画像形成装置の構成は、実施例1において図1を用いて説明したものとほぼ同じであるが、省エネサブシステム111に付加機能があるので、その差異について以下に説明する。
【0046】
実施例2の省エネサブシステム111では、省エネモードに様々な段階を設定可能である(実施例1で示した復帰レベルA及びBとは異なる)。さらに、画像形成装置の各機能部の状態に応じて自動でモードを選択可能である。
【0047】
実施例2の画像形成装置は、省エネモードにおいて以下の2つの段階が設定可能である。
【0048】
DeepSleep → 消費電力は低い、利用できる機能は少ない(ほとんどのサブシステム(基板)に電源供給されてない;図5参照)
LightSleep → 消費電力は高い、利用できる機能は多い(エンジンの電源供給が止まっている程度、従来のスリープ;図6参照)
実施例2の省エネサブシステム111は、複数の省エネモードをサポートし、ユーザの任意で当該省エネモード及び通常モードを選択可能とする。特に個別設定においては、省エネモードで制約の生じる機能に関して任意に設定できることによって様々なニーズに対処することができる。又、以下に示すように省エネモードを自動設定可能とすることにより、ユーザの省エネモードの設定入力が無くとも最適な省エネモードを選択する。
【0049】
設定可能な省エネモードは、以下のごとくである。
【0050】
(1)DeepSleep許可しない :省エネモードはLightSleepとなる。
【0051】
(2)DeepSleep許可する :省エネモードはDeepSleepとなる。
【0052】
(3)自動設定 :稼動している機能や状態に応じてシステムが省エネモードを判断、決定する。
【0053】
(4)個別設定 :利用している機能ごとにユーザが省エネモードを個別に設定する。
【0054】
例えば、以下のような設定をした場合、
A機能利用時:DeepSleepを許可する
B機能利用時:DeepSleepを許可しない
システムは以下のようなふるまいをする。
【0055】
A利用中、B利用中 →LightSleep
A利用中、B利用せず →DeepSleep
A利用せず、B利用中 →LightSleep
A利用せず、B利用せず →DeepSleep
なお、複数の省エネモード(上記例ではLightSleepとDeepSleep)は段階的に遷移しても、背反制御されても構わないものとする。
【0056】
[実施例の効果]
画像形成装置の各機能部の稼動状態に応じて、省エネサブシステム111は、ユーザの入力により、DeepSleep及びLightSleepの各省エネモードや通常モードを設定可能となるため、画像形成装置の使用状況に応じた省エネ化を実現可能となる。
【0057】
省エネサブシステムが実行する省エネモードの自動設定により、ユーザの選択入力無しに、画像形成装置が自動で各サブシステムに必要最小限の電力を供給するモードを選択することにより消費電力の削減が可能となる。
【符号の説明】
【0058】
101 画像形成装置
111 省エネサブシステム(省エネ制御部)
121 コントローラサブシステム
123 スキャナサブシステム
125 パネルサブシステム
127 FAXサブシステム
131 エンジンサブシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内の各機能部に電源を供給する通常モードと電源を遮断する省エネモードとを選択して設定可能とする省エネ制御部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記省エネ制御部は、前記各機能部の電源状態の通常モードと省エネモードとの選択を外部端末装置からの入力によって設定可能とする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置であって、
前記省エネ制御部は、前記各機能部の前記省エネモードから通常モードへ移行後のジョブ実行が終了した後に当該機能部を再度省エネモードに戻すか、通常モードのまま持続させるかの制御が可能である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの画像形成装置であって、
前記省エネ制御部は、各機能部の稼動状態に応じて当該機能部での省エネモードが可能であれば自動で省エネモードに移行させる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−75901(P2011−75901A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228251(P2009−228251)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】