説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置に用いられる光走査装置では、画像形成装置の可動部の振動により、光走査装置のミラーが振動すると、副走査方向の濃度ムラ(Banding)が発生して画質劣化が生じてしまう。このため、高画質な画像を実現するためには、光走査装置のミラーの振動低減が課題である。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、光源から射出された光を反射させるミラーと、ミラーを支持する支持部で構成された支持構造を両端に配置した画像形成装置であって、ミラー支持部の座面はミラーの長手方向に対し、垂直ではなく斜めに配置し、ミラーの装着位置を変更することができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターなどの高画質な出力画像が得られる画像形成装置を対象とし、特に、ミラーの支持方法を変更させ、ミラーの固有振動数を調整することに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置とは、電子写真方式の作像系を採用していて、光による書込み光学系により感光体上に結像し、1ないし複数個の感光体を用いて、4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に分解された画像を形成してこれを中間転写ベルト上に転写し、さらに支持体(紙)に転写後、定着することによって画像を形成する装置のことである。
【0003】
上記画像形成装置に用いられる光走査装置では、画像形成装置の可動部の振動により、光走査装置のミラーが振動すると、副走査方向の濃度ムラ(Banding)が発生して画質劣化が生じてしまう。このため、高画質な画像を実現するためには、光走査装置のミラーの振動低減が不可欠となる。
【0004】
特許文献1には、光学部材である反射ミラーの支持部が、支持部材と、支持部材に反射ミラーを押し当てて保持する板ばねを備え、ハウジングに配置した少なくとも1個の加振装置で発生させた振動を、反射ミラーの箇所に配置した振動測定装置で測定し、この振動条件に基づいて、反射ミラーに対する、支持部の支持条件を変更する機構が開示されている。これにより、光走査装置を画像形成装置に搭載して運転することなく、反射ミラーに伝播する振動を発生させ、反射ミラーと支持部とからなる振動系の固有振動数を認識し、共振を回避できる。
【0005】
特許文献2には、光学部材である反射ミラーを支持する支持部材と、この支持部材と反射ミラーの間に設けて反射ミラーを保持するとともに、変形量に対応してばね定数が可変な弾性部材であるばねと、このばねを変形させる長さ変更機構が開示されている。これにより、反射ミラーを保持するばねのばね定数を変更することが可能である。したがって、反射ミラーとばねとからなる振動系の固有振動数を変更することができるのとともに、さらに多様な周波数で発生する振動にも対応することが可能である。
【0006】
特許文献3には、ミラーを支持する支持部材は、ミラーの長手方向に沿って移動可能な機構が開示されている。このため、長手方向に沿って支持部材を移動し、ミラーを支持する位置を変えて、ミラーの支持スパン長を変えることにより、ミラーの固有振動数を調整することができる。これにより、周波数の異なる振動源が複数存在する場合であっても、ミラーの固有振動数を調整し、共振点をずらすことで、ミラーの振動を抑制することができる。
【0007】
特許文献4には、ミラーを支持する支持構造を移動させることでミラーの固有振動周波数を所定の周波数範囲にわたって変化させる固有振動周波数変化手段が開示されている。
【0008】
特許文献5には、折り返しミラーの支持部材を複数持ち、フレームに折り返しミラーを3個所以上で支持又は固定する機構が開示されている。これにより折り返しミラーの共振周波数が通常の2個所で固定する場合と比較して高い方へシフトし、ミラー振動によるジッターが可視化可能である周波数帯域よりずれ、画質に影響する振動成分が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に開示された機構では、支持部の支持条件を変更するために、何らかの加工または部品が必要となる。加工の場合、たとえばハウジングが金型によるモールド材だと、金型に加工が必要であり加工時間およびコストがアップする問題があった。
【0010】
また、特許文献2に開示された機構では、支持部の剛性を変化させるため、弾性部材であるばねと、このばねを変形させる長さ変更機構が必要である。このため、この機構を搭載するためにコストがアップする問題があった。
【0011】
また、特許文献3および特許文献4に開示された機構では、ミラーを支持する支持部材を移動させるための機構が必要であり、その機構を搭載するためにコストがアップする問題があった。
【0012】
また、特許文献5に開示された機構では、露光手段において、光路設計に基づきミラーなどの光学部品のレイアウトを作成したときに、光路がミラー底面とケーシングの間を通過させる場合があるが、この場合は適用が困難であった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、ミラーを保持する保持部材を工夫し、低コストで上記問題を解決する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像形成装置は、光源から射出された光を反射させるミラーと、ミラーを支持する支持部で構成された支持構造を両端に配置した画像形成装置であって、ミラー支持部の座面はミラーの長手方向に対し、垂直ではなく斜めに配置し、ミラーの装着位置を変更することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ミラーの支持方法を変更させ、ミラーの固有振動数を調整することで外乱による共振を避けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る構成図(その1)である。
【図2】本発明の実施形態に係る構成図(その2)である。
【図3】本発明の実施形態に係る構成図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る構成図(その1)である。この画像形成装置のミラー支持構造は、光線を反射するミラー1と、ミラー1の反射面2の位置の正確な位置決めを兼ねた保持部材3と、保持部材3に対向し、ばね力により座面ミラー1を押し当てる保持板ばね4と、により構成されている。保持部材3、保持板ばね4は露光手段のケーシングに固定させる。保持部材3の座面51および52は、ミラーの長手方向に対し、垂直ではなく斜めに構成されている。座面51と座面52との斜めの向きは逆に構成されている。
【0018】
図1に示した構成による効果について説明する。ミラー1を上下にずらすと、ミラー1を支持する座面51および座面52が斜めなことから、ミラー1の支持する距離が短くなる。一般的に梁構造の両端を支持する場合、その両端間の距離を変更することで固有振動数が変化することが知られている。ミラー1の両端を支持する距離が短くなるため、固有振動数を高める作用がある。よって、ミラー1が共振して光線に問題が生じた場合、任意の位置にミラー1を変更し、固有振動数を変化させることで、共振を避け、振動と低減させる効果を有する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る構成図(その2)である。保持部材3とミラー1との間に、位置決め用部材6を配置させた構造になっている。図2に示した構成による効果について説明する。ミラー1を任意の高さに調整した後、重力によってミラー1の位置が変化することを防止することができる。また、位置決め用部材6とミラー1とが接触するため、減衰する効果を持つ。よって、図1に示した構成の効果を有し、且つその効果を安定して持続することができる。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る構成図(その3)である。ケーシング10に保持板ばね4を装着させる段差を有した複数の座面7を設ける。この座面7によって、保持板ばね4は、位置が変更でき、図3に示すような保持板ばね41および42となる。例えば、ミラー1をミラー位置11からミラー位置12に変更した場合、保持板ばね4は保持板ばね41から42に変更させ、ミラー1の中央部に保持板ばね4が押し当たるように変更する。
【0021】
図3に示した構成による効果について説明する。ミラー1を任意の高さに調整した後、保持板ばね4をミラー1中央部付近に配置できるため、よりミラー1を安定して支持することができる。よって、図1に示した構成の効果を有し、且つその効果を安定して持続することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ミラー
2 反射面
3 保持部材
4 保持板バネ
6 位置決め用部材
7 複数の座面
10 ケーシング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2009−134123号公報
【特許文献2】特開2009−128847号公報
【特許文献3】特開2006−184548号公報
【特許文献4】特開平08−086971号公報
【特許文献5】特開平10−221627号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光を反射させるミラーと、
前記ミラーを支持する支持部で構成された支持構造を両端に配置した画像形成装置において、
前記ミラー支持部の座面は前記ミラーの長手方向に対し、垂直ではなく斜めに配置し、前記ミラーの装着位置を変更することができる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記ミラーの面内方向の移動を既定する支持部と前記ミラーとの間に位置決め用部材を配置した
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記支持部に対向し、ばね力により前記ミラーを押し当てる保持板ばねを設け、前記保持板ばねの座面に段差を設けた
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−11645(P2012−11645A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149603(P2010−149603)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】