画像形成装置
【課題】外添剤を用いない場合であってもエッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】露光装置による静電潜像の形成時に,後に現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の非画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる。
【解決手段】露光装置による静電潜像の形成時に,後に現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の非画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,一様に帯電された感光体ドラムを画像データに基づいて露光することにより該感光体ドラムに静電潜像を形成し,その静電潜像を現像剤によって現像する電子写真方式の画像形成装置に関し,特に,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制するための技術に関するものである。ここで,エッジ効果とは,網点や細線の集合で形成された画像(パターン画像)部分の単位面積当たりのトナー量が,塗りつぶし画像(ソリッド画像)部分の単位面積当たりのトナー量より多くなることを言う。
【背景技術】
【0002】
従来から,一様に帯電された感光体ドラムを画像データに基づいて露光することにより該感光体ドラムに静電潜像を形成し,その静電潜像を現像剤によって現像する電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では,画像のエッジ部の濃度が中央部に比べて濃くなるエッジ効果が問題となる。ここに,図24は例として正帯電感光体のエッジ効果を説明するための図である。
図24(a)に示すように,感光体ドラムは帯電装置からプラスの電荷を帯びて一様に帯電される。一方,感光体ドラムに対向配置される現像ローラには,マイナスのバイアス電圧が印加され,プラスの電荷を帯びたトナーが付着される。このとき,図24(b)に示すように,感光体ドラムから現像ローラに向けて電気力線が生じる。
そして,図24(c)に示すように,露光装置によって画像データに基づいて感光体ドラムが露光され,その露光箇所が放電して静電潜像が形成される。これにより,現像ローラに付着したプラスの電荷を帯びたトナーが感光体ドラム上の放電箇所に移動し,その静電潜像が現像される。
但し,このとき,感光体ドラムの非画像形成領域(白紙領域)から現像ローラに向けて作用する電気力線の一部が画像形成領域に回り込むことや,非画像形成領域においてプラス電位に帯電されたトナーを離反させる斥力(現像斥力)が働くことが知られている。これにより,画像形成領域と非画像形成領域との境界近傍のエッジ部に付着するトナー量が増加して濃度が濃くなる。
具体的に,図25に示すように,画素番号「31」を中心として,「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」,「ソリッド」のそれぞれの画像パターンを形成する場合を考える。この場合,図26に示すように,「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」のそれぞれの両端において,画像形成領域と非画像形成領域との境界から画像形成領域側のエッジ部の現像電界強度が,中央部の現像電界強度(「ソリッド」の現像電界強度と同等)に対して大きくなることがわかる。そのため,そのエッジ部に付着するトナー量が多くなる。ここで,前記現像電界強度のプラス側は,現像装置の現像ローラから感光体ドラムへの電界の強度である。
これに対し,例えば特許文献1では,画像のエッジ部に照射する露光光量を予め下げておくことによりエッジ部の濃度の均一化を図ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−43315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,エッジ効果の影響は,画像形成領域の内部のみならず非画像形成領域に及ぶことが知られている。具体的には,図26に示したように,エッジ効果により非画像形成領域から画像形成領域に電気力線が回り込んで境界の内側の一部の現像電界強度が高くなると,逆に境界の外側の非画像形成領域の一部の現像電界強度は低下する。これにより,非画像形成領域のうち現像電界強度が低下した箇所に逆極性に帯電されたトナーが現像されるおそれがある。そのため,その逆極性のトナーの現像が画質に影響することやトナーの浪費が問題となる。
なお,逆極性のトナーの現像を防止するために逆極性の外添剤をトナーに混ぜることも考えられるが,その場合には,多量の外添剤をトナーに混ぜる必要があるため,現像装置が供給するトナーに要求される性能の阻害要因となるおそれがある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,外添剤を用いない場合であってもエッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による前記外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記非画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる外側エッジ露光補正手段を備えてなることを特徴とする画像形成装置として構成される。
これにより,前記外側エッジ領域への逆極性現像剤の付着を抑制することができ,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。そのため,前記現像剤に多量の外添剤を混ぜる必要もない。
ここに,前記外側エッジ露光補正手段は,予め設定された露光補正情報に基づいて前記外側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものであることが望ましい。これにより,前記外側エッジ領域における複数の領域ごとに現像電界強度を適切に調整することができる。例えば,前記露光補正情報は,前記境界からの距離が遠くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものであることが考えられる。前記境界から遠ざかるに連れてエッジ効果の影響が小さくなるためである。
また,前記露光光量は,前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記外側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものであることが望ましい。これにより,前記露光光量が強すぎることに起因して正規の極性に帯電された現像剤が前記外側エッジ領域に付着することを防止することができる。
なお,前記露光光量は,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以下であることが考えられる。また,前記所定範囲は,前記境界から1mm以下の範囲であることが考えられる。
【0006】
ところで,前記画像形成装置において,エッジ効果の影響の程度やエッジ効果の影響が及ぶ範囲は各種条件によって変化する。そこで,前記外側エッジ露光補正手段が,以下の各種の条件に従って前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。これにより,その各種の条件ごとに適した補正を行うことができる。
まず,前記外側エッジ露光補正手段は,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。
また,前記外側エッジ露光補正手段は,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることも考えられる。
さらに,前記外側エッジ露光補正手段は,前記感光体の帯電電位や前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることも考えられる。
また,前記外側エッジ露光補正手段は,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることが考えられる。
なお,予め設定された複数の前記所定範囲や前記露光光量の中から任意の前記所定範囲や前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなることも考えられる。
【0007】
また,本発明は,一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該画像形成領域側の所定範囲の内側エッジ領域を,エッジ効果による前記内側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる内側エッジ露光補正手段を備えてなり,前記内側エッジ露光補正手段が,予め設定された露光補正情報に基づいて前記内側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものであることを特徴とする画像形成装置として構成される。
これにより,前記内側エッジ領域における複数の領域に適した補正を個別に行って,該内側エッジ領域への現像剤の付着量を適切に抑制することができ,エッジ効果による画質への影響や現像剤の浪費を抑制することができる。
例えば,前記露光補正情報は,前記境界からの距離が短くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものであることが考えられる。前記境界に近づくに連れてエッジ効果の影響が大きくなるためである。
また,前記露光光量は,前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記内側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものであることが望ましい。これにより,前記内側エッジ領域における現像電界強度が低くなりすぎることを防止することで,濃度が低下することや画像が細くなることを防止することができる。
なお,前記露光光量は,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以上且つ100%以下であることが考えられる。また,前記所定範囲は,前記境界から1mm以下の範囲であることが考えられる。
【0008】
ところで,前記画像形成装置において,エッジ効果の影響の程度やエッジ効果の影響が及ぶ範囲は各種条件によって変化する。そこで,前記内側エッジ露光補正手段が以下の各種の条件に従って前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。これにより,その各種の条件ごとに適した補正を行うことができる。
まず,前記内側エッジ露光補正手段が,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。
また,前記内側エッジ露光補正手段は,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることが考えられる。
さらに,前記内側エッジ露光補正手段はが,前記感光体の帯電電位や前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることも考えられる。
また,前記内側エッジ露光補正手段は,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることが考えられる。
なお,予め設定された複数の前記所定範囲や前記露光光量の中から任意の前記所定範囲や前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなることが考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,前記外側エッジ領域への逆極性現像剤の付着を抑制することができ,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。また,前記現像剤に多量の外添剤を混ぜる必要もない。
一方,本発明によれば,前記内側エッジ領域への現像剤の付着を抑制することができ,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの画像形成部3の概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの光走査装置33の概略構成を示すブロック図。
【図4】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図5】図4の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図6】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図7】図6の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図8】比誘電率の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図9】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図10】図9の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図11】ソリッド画像及びパターン画像の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図12】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図13】図12の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図14】エッジ部の内側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図15】図14の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図16】エッジ部の内側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図17】図16の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図18】比誘電率の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図19】エッジ部の内側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図20】図19の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図21】ソリッド画像及びパターン画像の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図22】露光補正情報の一例を示す図。
【図23】図12の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図24】エッジ効果を説明するための図。
【図25】従来の露光情報の一例を示す図。
【図26】図25の露光情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
なお,本実施の形態に係るカラープリンタXは,本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎず,他に,複写機やファクシミリ装置,複合機なども本発明に係る画像形成装置に該当する。また,本実施の形態では,後述の光走査装置33を複数有するカラー対応の画像形成装置について説明するが,該光走査装置33を一つだけ有するモノクロ対応の画像形成装置であってもよい。
【0012】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記カラープリンタXは,当該カラープリンタXにおいて各種の情報の表示や入力操作を行う液晶ディスプレイ,タッチパネルなどの表示/操作部1と,LAN等の通信網を介して接続された図外の情報処理装置から入力された原稿の画像データに対して各種の画像処理を施す画像処理部2と,前記画像処理部2から入力された原稿の画像データに基づいて用紙にトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部3と,前記画像形成部3に用紙を搬送する用紙搬送ユニット4と,前記画像形成部3によって用紙に形成されたトナー像をその用紙に溶融定着させる定着装置5と,当該カラープリンタXを統括的に制御する制御部6とを有している。前記制御部6は,演算手段であるCPUや,ROM,RAMなどを備えてなり,前記CPUが前記ROMに格納された所定の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0013】
ここで,図2を用いて前記画像形成部3及び前記用紙搬送ユニット4について説明する。
図2に示すように,前記画像形成部3は,マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)及びブラック(K)の各色に対応する複数の画像形成ユニット3M,3C,3Y,3Kを有している。一方,前記用紙搬送ユニット4は,複数の搬送ローラ41,搬送ベルト42,駆動ローラ43及び張架ローラ44を備えており,前記駆動ローラ43を駆動して前記搬送ベルト42を走行させることにより,前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3Kの順に用紙を搬送させるものである。
前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々は略同様に構成されており,感光体ドラム31,帯電器32,光走査装置(露光装置)33,現像装置34,クリーナ35及び除電器36などを備えている。前記現像装置34は,マイナスのバイアス電圧が印加された現像ローラを有しており,該現像ローラに付着したプラスの電荷を帯びたトナーを前記感光体ドラム31に供給するものである。なお,前記感光体ドラム31は比誘電率ε≒12のアモルファスシリコン(a−Si)を用いた感光体である。
このように構成された前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々では,前記感光体ドラム31が前記帯電器32からプラスの電荷を帯びて一様に帯電される。そして,一様に帯電された前記感光体ドラム31の表面に前記光走査装置33から画像データに基づくレーザ光が照射され,該レーザ光が露光された箇所のみが放電することにより静電潜像が形成される。次に,前記感光体ドラム31上に形成された静電潜像は,前記現像装置34の現像ローラから供給されるプラスに帯電したトナーによって現像される(反転現像)。
その後,前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々の前記感光体ドラム31に形成されたトナー像が,前記用紙搬送ユニット4で搬送される用紙に順次重ね合わせて転写されることにより,その用紙にカラー画像が形成される。もちろん,前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々の前記感光体ドラム31に形成されたトナー像を中間転写ベルトに転写し,該中間転写ベルトから用紙に転写するものであってもよい。
なお,用紙に転写されずに前記感光体ドラム31に残ったトナーは前記クリーナ35によって除去され,その後,前記感光体ドラム31は前記除電器36によって除電される。
【0014】
次に,図3の模式図を用いて,前記光走査装置33について説明する。
図3に示すように,前記光走査装置33には,レーザ光を照射するレーザダイオードなどを有するレーザ光源11と,前記レーザ光源11から照射されるレーザ光を前記感光体ドラム31上の主走査方向に走査させるポリゴンミラー(回転多面鏡)12と,前記ポリゴンミラー12で走査されるレーザ光を前記感光体ドラム31の表面上に結像するfθレンズ13と,前記ポリゴンミラー12によるレーザ光の走査経路上の予め定められた位置に設けられたレーザ光検知センサ14とが設けられている。
また,前記光走査装置33は,入力された画像データに基づいて前記レーザ光源11によるレーザ光の発光の有無や発光強度を制御することにより該画像データに対応する静電潜像を前記感光体ドラム31に形成する露光制御回路15と,前記露光制御回路15からの制御指示に応じて前記レーザ光源11を駆動させるレーザドライバ16とを有している。なお,前記露光制御回路15は,例えば前記レーザ光源11に流れる電流の大きさを調整することによって該レーザ光源11による露光光量を変更することが可能である。
【0015】
このように構成された前記カラープリンタXは,前記露光制御回路15によって後述の外側エッジ露光補正処理が実行されることにより,前記レーザ光源11の発光強度が調整される点に特徴を有しており,以下この点について詳述する。
具体的に,前記露光制御回路15は,前記光走査装置33による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置34によってトナーが付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による前記外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記非画像形成領域の現像電界強度(即ち,非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度)に近似するように予め定められた露光光量で露光させる外側エッジ露光補正処理を実行する。ここに,係る外側エッジ露光補正処理を実行するときの前記露光制御回路15が外側エッジ露光補正手段に相当する。なお,当該外側エッジ露光補正処理は,前記画像処理部2や前記制御部6などによって実行されてもよく,この場合は前記画像処理部2や前記制御部6などが外側エッジ露光補正手段に相当する。
【0016】
ここに,図4は,前記カラープリンタXにおいて,図25に示した「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」,「ソリッド」のそれぞれの画像パターンを解像度600dpiで形成する場合における補正後の露光光量が予め設定された露光補正情報の一例を示している。ここに,図4に示す露光補正情報では,各画素に対応する露光光量を,エッジ効果の影響を無視したときの前記画像形成領域に対応する光量を「1」,前記非画像形成領域に対応する光量を「0」としたときの割合で示している。
図4に示すように,前記カラープリンタXでは,前記画像形成領域と前記非画像形成領域との境界から非画像形成領域側の5画素の範囲(所定範囲)が外側エッジ領域として設定されている。そして,前記外側エッジ領域における露光光量は,前記境界からの距離が遠くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応してそれぞれ画素(領域)ごとに異なる値に定められている。図4に示す例では,前記外側エッジ領域のうち前記境界に最も近い画素の露光光量が「0.27」であり,その後,前記境界から離れるに連れて「0.20」,「0.13」,「0.07」,「0.07」となるように設定されている。即ち,図25に示した露光光量とは異なり,前記外側エッジ領域に微量の光が照射されることになる。
【0017】
ここで,前記外側エッジ領域における露光光量は,前記画像形成領域の中央部の露光光量である「1」の50%以下であることが望ましい。これは,エッジ効果により高まる前記画像形成領域の現像電界強度がソリッド画像に比べて約2倍以下且つ等倍以上であって,その増加量は該画像形成領域の中央部の現像電界強度の50%〜100%であるため,それと同程度のエッジ効果の影響を受ける前記非画像形成領域の前記外側エッジ領域の現像電界強度もそれと同等の範囲で補正することが最適と考えられるためである。
また,前記外側エッジ領域の範囲は,前記境界から5画素の範囲に限らないが,解像度600dpi(1画素あたり0.042mm)である場合には5画素〜6画素(0.2mm〜0.3mm程度)の範囲を前記外側エッジ領域とすることが望ましい。もちろん,予め行う実験によりエッジ効果が生じる範囲が前記境界から10ドットであることがわかっている場合には,その10ドットの範囲を前記外側エッジ領域としてもよい。但し,前記外側エッジ領域の所定範囲は,前記境界から0〜1mm以下の範囲であることが望ましい。
【0018】
そして,前記露光制御回路15は,図4に示すように予め設定された前記露光補正情報に基づいて,前記光走査装置33における前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度を制御する。
ここに,図5は,図4に示した露光補正情報に従って前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度が制御され,前記感光体ドラム31上に静電潜像が形成されたときに,前記現像装置34から前記感光体ドラム31に作用する現像電界強度を表している。
前述したように,前記感光体ドラム31上ではエッジ効果により前記非画像形成領域の電気力線が前記画像形成領域に回り込むことにより(図24参照),該非画像形成領域の所定範囲における現像電界強度が低下する(図26参照)。
これに対し,前記光走査装置33において,図4に示した前記露光補正情報に基づく露光が行われる場合には,該非画像形成領域の外側エッジ領域に対応する露光光量が予め「0」より高く設定されているため,図5に示すように,エッジ効果によって低下した後の前記外側エッジ領域の現像電界強度が,エッジ効果を受けない場合の非画像形成領域の現像電界強度に近似することとなる。特に,前記外側エッジ領域の露光光量は,該外側エッジ領域における複数の画素(領域)にそれぞれ異なる露光光量の光が照射されるように設定されているため,各画素において適切な現像電界強度を得ることができる。
これにより,エッジ効果の影響を受ける前記外側エッジ領域に逆極性トナーが付着することを抑制し,画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。また,図5に示すように,前記境界の内外の電位差(コントラスト)が図26に示した場合に比べて減少し,エッジ効果が弱まるため,エッジ効果による前記境界の前記画像形成領域側の現像電界強度の増加量も軽減される。
さらに,図4に示した5ドットライン以上の画像パターンに対応する前記露光光量は,図5に示すように前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,5ドットライン以上の画像パターンについては,前記外側エッジ領域に正規の電位に帯電したトナーが現像されることを確実に防止することができる。
【実施例1】
【0019】
ところで,1ドットラインの画像パターンを形成する場合に,5ドットライン以上の画像パターンを形成する場合と同様の露光光量の光で露光を行うと,図5に示すように,補正が強すぎて前記外側エッジ領域の現像電界強度が高くなり過ぎるおそれがある。この場合には,前記外側エッジ領域にプラスに帯電されたトナーが現像されるおそれがある。
そこで,前記露光制御回路15が,形成される画像の幅(大きさ)によって前記露光光量や前記外側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。具体的に,前記露光制御回路15は,図6に示すように,形成される画像が「1ドットライン」である場合には,中心画素「31」から3画素のみを外側エッジ領域とする。また,その外側エッジ領域の露光光量についても,「5ドットライン」以上の画像パターンが形成される場合に比べて小さい値である。例えば,「1ドットライン」の前記境界に最も近い画素の露光光量は,「5ドットライン」が形成される場合の前記境界から3画素目の露光光量と同じである。
これにより,図7に示すように,「1ドットライン」についても,「5ドットライン」以上の大きさの画像と同様に,前記外側エッジ領域の現像電界強度を非画像形成領域における他の領域と同等に調整することができる。さらに,図6に示した前記露光光量は,図7に示すように前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,前記外側エッジ領域に正規の電位に帯電したトナーが現像されることを防止することができる。また,前記露光光量及び前記外側エッジ領域の所定範囲のいずれか一方だけを変更することも考えられる。
【実施例2】
【0020】
また,前記感光体ドラム31の材質(比誘電率)や,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離(ギャップ)によって,画像形成領域と非画像形成領域との境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさは異なる。
具体的に,図8を参照すれば,同じ35ドットラインの画像パターンを形成する場合であっても,前記感光体ドラム31の材質が,比誘電率ε≒3のOPC(有機光伝導体)である場合と,比誘電率ε≒12のa−Si(アモルファスシリコン)である場合とによって,エッジ効果の影響が異なることがわかる。
そこで,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合とa−Siである場合とのそれぞれに対応する露光光量や前記外側エッジ領域の所定範囲を予め定めておき,前記露光制御回路15が,その予め定められた前記感光体ドラム31の材質と前記露光光量との対応関係に基づいて前記非画像形成領域の前記外側エッジ領域に照射する光の露光光量や前記外側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。
具体的には,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合は図9に示す「補正1」で定められた露光光量及び外側エッジ領域の所定範囲(5画素)を採用し,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合は図9に示す「補正2」で定められた露光光量及び外側エッジ領域の所定範囲(4画素)を採用する。即ち,前記感光体ドラム31の材質がa−Siよりも比誘電率が低いOPCである場合には,a−Siのときに比べて露光光量が低く前記外側エッジ領域も狭くなる。
これにより,図10に示すように,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合においても,前記境界の外側近傍の領域における現像電界強度を均一化することができる。なお,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合については図5に示しているため図示を省略する。また,前記露光光量及び前記外側エッジ領域の所定範囲のいずれか一方だけを変更することも考えられる。
【0021】
同じく,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離によっても,非画像形成領域から画像形成領域への電気力線の回り込み量が変化してエッジ効果が異なる。そのため,前記露光制御回路15が,前記離間距離の設定値に応じて前記非画像形成領域の外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させることも考えられる。具体的には,離間距離が大きくなるほどエッジ効果の程度は小さくなるため,離間距離が大きいほど外側エッジ領域の所定範囲が狭く露光光量が低くなるように変化させればよい。もちろん,前記感光体ドラム31の材質と前記感光体ドラム31及び前記現像ローラの離間距離との両方に応じて前記非画像形成領域の外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させてもよい。
また,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラ現像バイアスなどによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。そのため,前記露光制御回路15が,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラの現像バイアスに応じて外側エッジ領域や露光光量を変化させることも考えられる。また,前記光走査装置33におけるレーザ光源11の光量が濃度補正などによって補正された場合には,その補正後の光量に応じて外側エッジ領域や露光光量を変化させればよい。
【実施例3】
【0022】
さらに,一つの画像形成領域を構成する画像の幅が同じであっても,その画像が,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像(塗りつぶし画像)であるか,網点や細線の集合で形成されたパターン画像であるかによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。
ここに,図11は,35ドットラインを前記ソリッド画像で形成する場合と,1画素間隔で1ドットラインを間欠的に配置したパターン画像で35ドットラインを形成する場合とのそれぞれにおける現像電界強度を示している。図11に示すように,35ドットラインが前記ソリッド画像で形成されている場合と前記パターン画像で形成されている場合との両方においてエッジ効果が生じているが,そのエッジ効果の影響は,前記ソリッド画像に比べて前記パターン画像である場合の方が小さい。
そのため,これら両方の場合に図12の「補正1」に示す露光光量や外側エッジ領域を採用すると,図13に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成する場合に,前記外側エッジ領域の現像電界強度の補正後の値が強くなり過ぎて,該外側エッジ領域に正規の電位に帯電したトナーが現像されるおそれがある。
そこで,前記露光制御回路15が,前記パターン画像及び前記ソリッド画像のいずれであるかに応じて前記外側エッジ領域の所定範囲や前記露光光量を変化させることが望ましい。具体的には,前記パターン画像の場合には図12に示す「補正2」を採用し,前記ソリッド画像の場合には図12に示す「補正1」を採用することが考えられる。即ち,前記パターン画像である場合は前記ソリッド画像である場合に比べて補正量を小さくすればよい。具体的に,図12に示す例では,「補正1」では所定範囲が5画素であるのに対し,「補正2」では所定範囲が3画素である。また,「補正2」の前記境界に最も近い画素の光量は,「補正2」の前記境界から3画素目の光量と同じである。
これにより,図13に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成した場合であっても,前記外側エッジ領域の現像電界強度を他の領域と同等に補正することができる。
【0023】
また,前記露光制御回路15が,前記表示/操作部1に対するユーザ操作に従って,前記外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を予め設定した複数の露光補正情報の中から任意の露光補正情報を選択することにより,前記外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に選択することも考えられる。このとき前記選択を行うための前記表示/操作部1及び前記露光制御回路15が補正内容変更手段に相当する。もちろん,前記表示/操作部1により前記外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に入力することができる構成も他の実施例として考えられる。
【実施例4】
【0024】
ところで,前記カラープリンタXにおいては,図26に示したように,エッジ効果によって前記境界から前記画像形成領域側の所定範囲の現像電界強度の絶対値が高くなることが知られている。これにより,前記境界近傍のエッジ部の濃度が高くなるため,画質への影響やトナーの浪費が問題となる。
以下では,前記境界から前記画像形成領域側の所定範囲の現像電界強度を低下させることにより,画質への影響やトナーの浪費を抑制することのできる構成について説明する。
具体的に,前記露光制御回路15は,前記光走査装置33による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置34によってトナーが付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該画像形成領域側の所定範囲の内側エッジ領域を,エッジ効果による前記内側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値が,エッジ効果を受けない場合の前記画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量で露光させる内側エッジ露光補正処理を実行する。ここに,係る内側エッジ露光補正処理を実行するときの前記露光制御回路15が内側エッジ露光補正手段に相当する。なお,当該内側エッジ露光補正処理は,前記画像処理部2や前記制御部6などによって実行されてもよく,この場合は前記画像処理部2や前記制御部6などが内側エッジ露光補正手段に相当する。また,前記外側エッジ露光補正処理及び前記内側エッジ露光補正処理の両方が実行されることも他の実施例として考えられる。
【0025】
ここに,図14は,前記カラープリンタXにおいて,図25に示した「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」,「ソリッド」のそれぞれの画像パターンを解像度600dpiで形成する場合における補正後の露光光量が予め設定された露光補正情報の一例を示している。ここに,図14に示す露光補正情報では,各画素に対応する露光光量を,エッジ効果の影響を無視したときの前記画像形成領域に対応する光量を「1」,前記非画像形成領域に対応する光量を「0」としたときの割合で示している。
図14に示すように,前記カラープリンタXでは,前記画像形成領域と前記非画像形成領域との境界から画像形成領域側の所定範囲が内側エッジ領域として設定されている。そして,前記内側エッジ領域における露光光量は,前記境界からの距離が短くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応してそれぞれ画素(領域)ごとに異なる値に定められている。図14に示す例では,前記内側エッジ領域のうち前記境界に最も近い画素の露光光量が「0.73」であり,その後,前記境界から離れるに連れて「0.80」,「0.87」,「0.93」,「0.93」となるように設定されている。即ち,図25に示した露光光量に比べて,前記内側エッジ領域の露光光量が予め低く設定されることになる。
【0026】
ここで,前記内側エッジ領域における露光光量は,前記画像形成領域の中央部の露光光量である「1」の50%以上且つ100%以下であることが望ましい。これは,エッジ効果により高まる前記内側エッジ領域の現像電界強度がソリッド画像に比べて約2倍以下且つ等倍以上であって,その増加量は該画像形成領域の中央部の現像電界強度の50%〜100%であるためである。
また,前記内側エッジ領域の範囲は,前記境界から5画素の範囲に限らないが,解像度600dpi(1画素あたり0.042mm)である場合には5画素〜6画素(0.2mm〜0.3mm程度)の範囲を前記内側エッジ領域とすることが望ましい。もちろん,予め行う実験によりエッジ効果が生じる範囲が前記境界から10ドットであることがわかっている場合には,その10ドットの範囲を前記内側エッジ領域としてもよい。但し,前記内側エッジ領域の所定範囲は,前記境界から0〜1mm以下の範囲であることが望ましい。
【0027】
そして,前記露光制御回路15は,図14に示すように予め設定された前記露光補正情報に基づいて,前記光走査装置33における前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度を制御する。
ここに,図15は,図14に示した露光補正情報に従って前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度が制御され,前記感光体ドラム31上に静電潜像が形成されたときに,前記現像装置34から前記感光体ドラム31に作用する現像電界強度を表している。
前述したように,前記感光体ドラム31上ではエッジ効果により前記非画像形成領域の電気力線が前記画像形成領域に回り込むことにより(図24参照),該画像形成領域の所定範囲における現像電界強度が高くなる(図26参照)。
これに対し,前記光走査装置33において,図14に示した前記露光補正情報に基づく露光が行われる場合には,該画像形成領域の内側エッジ領域に対応する露光光量が予め「1」より低く設定されているため,図15に示すように,エッジ効果によって高くなった後の前記内側エッジ領域の現像電界強度が,画像形成領域の中央部の現像電界強度(エッジ効果を受けない場合の現像電界強度)に近似することとなる。特に,前記内側エッジ領域の露光光量は,該内側エッジ領域における複数の画素(領域)にそれぞれ異なる露光光量の光が照射されるように設定されているため,各画素において適切な現像電界強度を得ることができる。
これにより,エッジ効果の影響を受ける前記内側エッジ領域に付着するトナー量を抑制し,画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。また,図15に示すように,前記境界の内外の電位差(コントラスト)が図26に示した場合に比べて減少し,エッジ効果が弱まるため,エッジ効果による前記境界の前記非画像形成領域側の現像電界強度の低下量も軽減される。
さらに,図14に示した5ドットライン以上の画像パターンに対応する前記露光光量は,図15に示すように前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,5ドットライン以上の画像パターンについては,前記境界近傍のエッジ部の濃度が低くなりすぎることを防止することができる。
【実施例5】
【0028】
ところで,1ドットラインの画像パターンを形成する場合に,5ドットライン以上の画像パターンを形成する場合と同様の露光光量の光で露光を行うと,図15に示すように,補正が強すぎて前記内側エッジ領域の現像電界強度が低くなり過ぎるおそれがある。この場合には,前記内側エッジ領域に正規に帯電されたトナーが現像されるおそれがある。一方,5ドットラインの画像パターンを形成する場合には,両方からのエッジ効果により中央部の現像電界強度が特に高くなる。
そこで,前記露光制御回路15が,形成される画像の幅(大きさ)によって前記露光光量や前記内側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。
具体的に,前記露光制御回路15は,図16に示すように,形成される画像が「1ドットライン」である場合には,前記境界に最も近い画素の露光光量を,「5ドットライン」以上の画像パターンが形成される場合に比べて大きい値とする。
また,前記露光制御回路15は,図16に示すように,形成される画像が「5ドットライン」である場合には,前記内側エッジ領域の露光光量を,「15ドットライン」以上の画像パターンが形成される場合に比べて小さい値とする。
【0029】
これにより,図17に示すように,「1ドットライン」についても,「5ドットライン」以上の大きさの画像と同様に,前記内側エッジ領域の現像電界強度を画像形成領域における他の領域と同等に調整することができる。さらに,図16に示した前記露光光量は,図17に示すように前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により内側露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,前記内側エッジ領域の濃度が低くなりすぎることを防止することができる。
また,図17に示すように,「5ドットライン」については,「15ドットライン」以上の大きさの画像に比べて前記内側エッジ領域の現像電界強度の低下量を大きくすることができ,エッジ効果の影響を受ける前記内側エッジ領域に付着するトナー量を抑制し,画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。なお,前記露光光量に代えて,或いは前記露光光量と共に前記内側エッジ領域の所定範囲を変更することも考えられる。
【実施例6】
【0030】
また,前記感光体ドラム31の材質(比誘電率)や,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離(ギャップ)によって,画像形成領域と非画像形成領域との境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさは異なる。
具体的に,図18を参照すれば,同じ35ドットラインの画像パターンを形成する場合であっても,前記感光体ドラム31の材質が,比誘電率ε≒3のOPC(有機光伝導体)である場合と,比誘電率ε≒12のa−Si(アモルファスシリコン)である場合とによって,エッジ効果の影響が異なることがわかる。
そこで,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合とa−Siである場合とのそれぞれに対応する露光光量や前記内側エッジ領域の所定範囲を予め定めておき,前記露光制御回路15が,その予め定められた前記感光体ドラム31の材質と前記露光光量との対応関係に基づいて前記画像形成領域の前記内側エッジ領域に照射する光の露光光量や前記内側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。
具体的には,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合は図19に示す「補正1」で定められた露光光量を採用し,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合は図19に示す「補正2」で定められた露光光量を採用する。即ち,前記感光体ドラム31の材質がa−Siよりも比誘電率が低いOPCである場合には,a−Siのときに比べて露光光量が低く前記内側エッジ領域も狭くなる。
これにより,図20に示すように,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合においても,前記境界の内側近傍の領域における現像電界強度を均一化することができる。なお,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合については図15に示しているため図示を省略する。また,前記露光光量に代えて或いは前記露光光量と共に前記内側エッジ領域の所定範囲を変更することも考えられる。
【0031】
同じく,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離によっても,非画像形成領域から画像形成領域への電気力線の回り込み量が変化してエッジ効果が異なる。そのため,前記露光制御回路15が,前記離間距離の設定値に応じて前記画像形成領域の内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させることも考えられる。具体的には,離間距離が大きくなるほどエッジ効果の程度は小さくなるため,離間距離が大きいほど内側エッジ領域の所定範囲が狭く露光光量が高くなるように変化させればよい。もちろん,前記感光体ドラム31の材質と前記感光体ドラム31及び前記現像ローラの離間距離との両方に応じて前記画像形成領域の内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させてもよい。
また,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラ現像バイアスなどによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。そのため,前記露光制御回路15が,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラの現像バイアスに応じて内側エッジ領域や露光光量を変化させることも考えられる。また,前記光走査装置33におけるレーザ光源11の光量が濃度補正などによって補正された場合には,その補正後の光量に応じて内側エッジ領域や露光光量を変化させればよい。
【実施例7】
【0032】
さらに,一つの画像形成領域を構成する画像の幅が同じであっても,その画像が,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像(塗りつぶし画像)であるか,網点や細線の集合で形成されたパターン画像であるかによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。
ここに,図21は,35ドットラインを前記ソリッド画像で形成する場合と,1画素間隔で1ドットラインを間欠的に配置したパターン画像で35ドットラインを形成する場合とのそれぞれにおける現像電界強度を示している。図21に示すように,35ドットラインが前記ソリッド画像で形成されている場合と前記パターン画像で形成されている場合との両方においてエッジ効果が生じているが,そのエッジ効果の影響は,前記ソリッド画像に比べて前記パターン画像である場合の方が小さい。
そのため,これら両方の場合に図22の「補正1」に示す露光光量や内側エッジ領域を採用すると,図23に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成する場合に,前記内側エッジ領域の現像電界強度の補正後の値が低くなり過ぎて,十分な濃度が得られないおそれがある。
そこで,前記露光制御回路15が,前記パターン画像及び前記ソリッド画像のいずれであるかに応じて前記内側エッジ領域の所定範囲や前記露光光量を変化させることが望ましい。具体的には,前記パターン画像の場合には図22に示す「補正2」を採用し,前記ソリッド画像の場合には図22に示す「補正1」を採用することが考えられる。即ち,前記パターン画像である場合は前記ソリッド画像である場合に比べて補正量を小さくすればよい。
これにより,図23に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成した場合であっても,前記内側エッジ領域の現像電界強度を他の領域と同等に補正することができる。
【0033】
また,前記露光制御回路15が,前記表示/操作部1に対するユーザ操作に従って,前記内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を予め設定した複数の露光補正情報の中から任意の露光補正情報を選択することにより,前記内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に選択することも考えられる。このとき前記選択を行うための前記表示/操作部1及び前記露光制御回路15が補正内容変更手段に相当する。もちろん,前記表示/操作部1により前記内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に入力することができる構成も他の実施例として考えられる。
【符号の説明】
【0034】
X…カラープリンタ(画像形成装置の一例)
1…表示/操作部
11…レーザ光源
12…ポリゴンミラー
13…fθレンズ
14…レーザ光検知センサ
15…露光制御回路
16…レーザドライブ回路
2…画像処理部
3…画像形成部
3M,3C,3Y,3K…画像形成ユニット
31…感光体ドラム
32…帯電器
33…光走査装置(露光装置)
34…現像装置
35…クリーナ
36…除電器
4…用紙搬送ユニット
5…定着装置
6…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は,一様に帯電された感光体ドラムを画像データに基づいて露光することにより該感光体ドラムに静電潜像を形成し,その静電潜像を現像剤によって現像する電子写真方式の画像形成装置に関し,特に,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制するための技術に関するものである。ここで,エッジ効果とは,網点や細線の集合で形成された画像(パターン画像)部分の単位面積当たりのトナー量が,塗りつぶし画像(ソリッド画像)部分の単位面積当たりのトナー量より多くなることを言う。
【背景技術】
【0002】
従来から,一様に帯電された感光体ドラムを画像データに基づいて露光することにより該感光体ドラムに静電潜像を形成し,その静電潜像を現像剤によって現像する電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では,画像のエッジ部の濃度が中央部に比べて濃くなるエッジ効果が問題となる。ここに,図24は例として正帯電感光体のエッジ効果を説明するための図である。
図24(a)に示すように,感光体ドラムは帯電装置からプラスの電荷を帯びて一様に帯電される。一方,感光体ドラムに対向配置される現像ローラには,マイナスのバイアス電圧が印加され,プラスの電荷を帯びたトナーが付着される。このとき,図24(b)に示すように,感光体ドラムから現像ローラに向けて電気力線が生じる。
そして,図24(c)に示すように,露光装置によって画像データに基づいて感光体ドラムが露光され,その露光箇所が放電して静電潜像が形成される。これにより,現像ローラに付着したプラスの電荷を帯びたトナーが感光体ドラム上の放電箇所に移動し,その静電潜像が現像される。
但し,このとき,感光体ドラムの非画像形成領域(白紙領域)から現像ローラに向けて作用する電気力線の一部が画像形成領域に回り込むことや,非画像形成領域においてプラス電位に帯電されたトナーを離反させる斥力(現像斥力)が働くことが知られている。これにより,画像形成領域と非画像形成領域との境界近傍のエッジ部に付着するトナー量が増加して濃度が濃くなる。
具体的に,図25に示すように,画素番号「31」を中心として,「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」,「ソリッド」のそれぞれの画像パターンを形成する場合を考える。この場合,図26に示すように,「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」のそれぞれの両端において,画像形成領域と非画像形成領域との境界から画像形成領域側のエッジ部の現像電界強度が,中央部の現像電界強度(「ソリッド」の現像電界強度と同等)に対して大きくなることがわかる。そのため,そのエッジ部に付着するトナー量が多くなる。ここで,前記現像電界強度のプラス側は,現像装置の現像ローラから感光体ドラムへの電界の強度である。
これに対し,例えば特許文献1では,画像のエッジ部に照射する露光光量を予め下げておくことによりエッジ部の濃度の均一化を図ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−43315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,エッジ効果の影響は,画像形成領域の内部のみならず非画像形成領域に及ぶことが知られている。具体的には,図26に示したように,エッジ効果により非画像形成領域から画像形成領域に電気力線が回り込んで境界の内側の一部の現像電界強度が高くなると,逆に境界の外側の非画像形成領域の一部の現像電界強度は低下する。これにより,非画像形成領域のうち現像電界強度が低下した箇所に逆極性に帯電されたトナーが現像されるおそれがある。そのため,その逆極性のトナーの現像が画質に影響することやトナーの浪費が問題となる。
なお,逆極性のトナーの現像を防止するために逆極性の外添剤をトナーに混ぜることも考えられるが,その場合には,多量の外添剤をトナーに混ぜる必要があるため,現像装置が供給するトナーに要求される性能の阻害要因となるおそれがある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,外添剤を用いない場合であってもエッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による前記外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記非画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる外側エッジ露光補正手段を備えてなることを特徴とする画像形成装置として構成される。
これにより,前記外側エッジ領域への逆極性現像剤の付着を抑制することができ,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。そのため,前記現像剤に多量の外添剤を混ぜる必要もない。
ここに,前記外側エッジ露光補正手段は,予め設定された露光補正情報に基づいて前記外側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものであることが望ましい。これにより,前記外側エッジ領域における複数の領域ごとに現像電界強度を適切に調整することができる。例えば,前記露光補正情報は,前記境界からの距離が遠くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものであることが考えられる。前記境界から遠ざかるに連れてエッジ効果の影響が小さくなるためである。
また,前記露光光量は,前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記外側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものであることが望ましい。これにより,前記露光光量が強すぎることに起因して正規の極性に帯電された現像剤が前記外側エッジ領域に付着することを防止することができる。
なお,前記露光光量は,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以下であることが考えられる。また,前記所定範囲は,前記境界から1mm以下の範囲であることが考えられる。
【0006】
ところで,前記画像形成装置において,エッジ効果の影響の程度やエッジ効果の影響が及ぶ範囲は各種条件によって変化する。そこで,前記外側エッジ露光補正手段が,以下の各種の条件に従って前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。これにより,その各種の条件ごとに適した補正を行うことができる。
まず,前記外側エッジ露光補正手段は,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。
また,前記外側エッジ露光補正手段は,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることも考えられる。
さらに,前記外側エッジ露光補正手段は,前記感光体の帯電電位や前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることも考えられる。
また,前記外側エッジ露光補正手段は,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることが考えられる。
なお,予め設定された複数の前記所定範囲や前記露光光量の中から任意の前記所定範囲や前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなることも考えられる。
【0007】
また,本発明は,一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置に適用されるものであって,前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該画像形成領域側の所定範囲の内側エッジ領域を,エッジ効果による前記内側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる内側エッジ露光補正手段を備えてなり,前記内側エッジ露光補正手段が,予め設定された露光補正情報に基づいて前記内側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものであることを特徴とする画像形成装置として構成される。
これにより,前記内側エッジ領域における複数の領域に適した補正を個別に行って,該内側エッジ領域への現像剤の付着量を適切に抑制することができ,エッジ効果による画質への影響や現像剤の浪費を抑制することができる。
例えば,前記露光補正情報は,前記境界からの距離が短くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものであることが考えられる。前記境界に近づくに連れてエッジ効果の影響が大きくなるためである。
また,前記露光光量は,前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記内側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものであることが望ましい。これにより,前記内側エッジ領域における現像電界強度が低くなりすぎることを防止することで,濃度が低下することや画像が細くなることを防止することができる。
なお,前記露光光量は,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以上且つ100%以下であることが考えられる。また,前記所定範囲は,前記境界から1mm以下の範囲であることが考えられる。
【0008】
ところで,前記画像形成装置において,エッジ効果の影響の程度やエッジ効果の影響が及ぶ範囲は各種条件によって変化する。そこで,前記内側エッジ露光補正手段が以下の各種の条件に従って前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。これにより,その各種の条件ごとに適した補正を行うことができる。
まず,前記内側エッジ露光補正手段が,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変更するものであることが考えられる。
また,前記内側エッジ露光補正手段は,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることが考えられる。
さらに,前記内側エッジ露光補正手段はが,前記感光体の帯電電位や前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることも考えられる。
また,前記内側エッジ露光補正手段は,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲や前記露光光量を変化させるものであることが考えられる。
なお,予め設定された複数の前記所定範囲や前記露光光量の中から任意の前記所定範囲や前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなることが考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,前記外側エッジ領域への逆極性現像剤の付着を抑制することができ,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。また,前記現像剤に多量の外添剤を混ぜる必要もない。
一方,本発明によれば,前記内側エッジ領域への現像剤の付着を抑制することができ,エッジ効果による画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの画像形成部3の概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの光走査装置33の概略構成を示すブロック図。
【図4】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図5】図4の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図6】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図7】図6の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図8】比誘電率の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図9】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図10】図9の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図11】ソリッド画像及びパターン画像の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図12】エッジ部の外側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図13】図12の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図14】エッジ部の内側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図15】図14の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図16】エッジ部の内側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図17】図16の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図18】比誘電率の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図19】エッジ部の内側を補正する露光補正情報の一例を示す図。
【図20】図19の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図21】ソリッド画像及びパターン画像の違いによる現像電界強度の違いを示す図。
【図22】露光補正情報の一例を示す図。
【図23】図12の露光補正情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【図24】エッジ効果を説明するための図。
【図25】従来の露光情報の一例を示す図。
【図26】図25の露光情報を用いた場合の現像電界強度の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
なお,本実施の形態に係るカラープリンタXは,本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎず,他に,複写機やファクシミリ装置,複合機なども本発明に係る画像形成装置に該当する。また,本実施の形態では,後述の光走査装置33を複数有するカラー対応の画像形成装置について説明するが,該光走査装置33を一つだけ有するモノクロ対応の画像形成装置であってもよい。
【0012】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記カラープリンタXは,当該カラープリンタXにおいて各種の情報の表示や入力操作を行う液晶ディスプレイ,タッチパネルなどの表示/操作部1と,LAN等の通信網を介して接続された図外の情報処理装置から入力された原稿の画像データに対して各種の画像処理を施す画像処理部2と,前記画像処理部2から入力された原稿の画像データに基づいて用紙にトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部3と,前記画像形成部3に用紙を搬送する用紙搬送ユニット4と,前記画像形成部3によって用紙に形成されたトナー像をその用紙に溶融定着させる定着装置5と,当該カラープリンタXを統括的に制御する制御部6とを有している。前記制御部6は,演算手段であるCPUや,ROM,RAMなどを備えてなり,前記CPUが前記ROMに格納された所定の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0013】
ここで,図2を用いて前記画像形成部3及び前記用紙搬送ユニット4について説明する。
図2に示すように,前記画像形成部3は,マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)及びブラック(K)の各色に対応する複数の画像形成ユニット3M,3C,3Y,3Kを有している。一方,前記用紙搬送ユニット4は,複数の搬送ローラ41,搬送ベルト42,駆動ローラ43及び張架ローラ44を備えており,前記駆動ローラ43を駆動して前記搬送ベルト42を走行させることにより,前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3Kの順に用紙を搬送させるものである。
前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々は略同様に構成されており,感光体ドラム31,帯電器32,光走査装置(露光装置)33,現像装置34,クリーナ35及び除電器36などを備えている。前記現像装置34は,マイナスのバイアス電圧が印加された現像ローラを有しており,該現像ローラに付着したプラスの電荷を帯びたトナーを前記感光体ドラム31に供給するものである。なお,前記感光体ドラム31は比誘電率ε≒12のアモルファスシリコン(a−Si)を用いた感光体である。
このように構成された前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々では,前記感光体ドラム31が前記帯電器32からプラスの電荷を帯びて一様に帯電される。そして,一様に帯電された前記感光体ドラム31の表面に前記光走査装置33から画像データに基づくレーザ光が照射され,該レーザ光が露光された箇所のみが放電することにより静電潜像が形成される。次に,前記感光体ドラム31上に形成された静電潜像は,前記現像装置34の現像ローラから供給されるプラスに帯電したトナーによって現像される(反転現像)。
その後,前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々の前記感光体ドラム31に形成されたトナー像が,前記用紙搬送ユニット4で搬送される用紙に順次重ね合わせて転写されることにより,その用紙にカラー画像が形成される。もちろん,前記画像形成ユニット3M,3C,3Y,3K各々の前記感光体ドラム31に形成されたトナー像を中間転写ベルトに転写し,該中間転写ベルトから用紙に転写するものであってもよい。
なお,用紙に転写されずに前記感光体ドラム31に残ったトナーは前記クリーナ35によって除去され,その後,前記感光体ドラム31は前記除電器36によって除電される。
【0014】
次に,図3の模式図を用いて,前記光走査装置33について説明する。
図3に示すように,前記光走査装置33には,レーザ光を照射するレーザダイオードなどを有するレーザ光源11と,前記レーザ光源11から照射されるレーザ光を前記感光体ドラム31上の主走査方向に走査させるポリゴンミラー(回転多面鏡)12と,前記ポリゴンミラー12で走査されるレーザ光を前記感光体ドラム31の表面上に結像するfθレンズ13と,前記ポリゴンミラー12によるレーザ光の走査経路上の予め定められた位置に設けられたレーザ光検知センサ14とが設けられている。
また,前記光走査装置33は,入力された画像データに基づいて前記レーザ光源11によるレーザ光の発光の有無や発光強度を制御することにより該画像データに対応する静電潜像を前記感光体ドラム31に形成する露光制御回路15と,前記露光制御回路15からの制御指示に応じて前記レーザ光源11を駆動させるレーザドライバ16とを有している。なお,前記露光制御回路15は,例えば前記レーザ光源11に流れる電流の大きさを調整することによって該レーザ光源11による露光光量を変更することが可能である。
【0015】
このように構成された前記カラープリンタXは,前記露光制御回路15によって後述の外側エッジ露光補正処理が実行されることにより,前記レーザ光源11の発光強度が調整される点に特徴を有しており,以下この点について詳述する。
具体的に,前記露光制御回路15は,前記光走査装置33による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置34によってトナーが付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による前記外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記非画像形成領域の現像電界強度(即ち,非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度)に近似するように予め定められた露光光量で露光させる外側エッジ露光補正処理を実行する。ここに,係る外側エッジ露光補正処理を実行するときの前記露光制御回路15が外側エッジ露光補正手段に相当する。なお,当該外側エッジ露光補正処理は,前記画像処理部2や前記制御部6などによって実行されてもよく,この場合は前記画像処理部2や前記制御部6などが外側エッジ露光補正手段に相当する。
【0016】
ここに,図4は,前記カラープリンタXにおいて,図25に示した「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」,「ソリッド」のそれぞれの画像パターンを解像度600dpiで形成する場合における補正後の露光光量が予め設定された露光補正情報の一例を示している。ここに,図4に示す露光補正情報では,各画素に対応する露光光量を,エッジ効果の影響を無視したときの前記画像形成領域に対応する光量を「1」,前記非画像形成領域に対応する光量を「0」としたときの割合で示している。
図4に示すように,前記カラープリンタXでは,前記画像形成領域と前記非画像形成領域との境界から非画像形成領域側の5画素の範囲(所定範囲)が外側エッジ領域として設定されている。そして,前記外側エッジ領域における露光光量は,前記境界からの距離が遠くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応してそれぞれ画素(領域)ごとに異なる値に定められている。図4に示す例では,前記外側エッジ領域のうち前記境界に最も近い画素の露光光量が「0.27」であり,その後,前記境界から離れるに連れて「0.20」,「0.13」,「0.07」,「0.07」となるように設定されている。即ち,図25に示した露光光量とは異なり,前記外側エッジ領域に微量の光が照射されることになる。
【0017】
ここで,前記外側エッジ領域における露光光量は,前記画像形成領域の中央部の露光光量である「1」の50%以下であることが望ましい。これは,エッジ効果により高まる前記画像形成領域の現像電界強度がソリッド画像に比べて約2倍以下且つ等倍以上であって,その増加量は該画像形成領域の中央部の現像電界強度の50%〜100%であるため,それと同程度のエッジ効果の影響を受ける前記非画像形成領域の前記外側エッジ領域の現像電界強度もそれと同等の範囲で補正することが最適と考えられるためである。
また,前記外側エッジ領域の範囲は,前記境界から5画素の範囲に限らないが,解像度600dpi(1画素あたり0.042mm)である場合には5画素〜6画素(0.2mm〜0.3mm程度)の範囲を前記外側エッジ領域とすることが望ましい。もちろん,予め行う実験によりエッジ効果が生じる範囲が前記境界から10ドットであることがわかっている場合には,その10ドットの範囲を前記外側エッジ領域としてもよい。但し,前記外側エッジ領域の所定範囲は,前記境界から0〜1mm以下の範囲であることが望ましい。
【0018】
そして,前記露光制御回路15は,図4に示すように予め設定された前記露光補正情報に基づいて,前記光走査装置33における前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度を制御する。
ここに,図5は,図4に示した露光補正情報に従って前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度が制御され,前記感光体ドラム31上に静電潜像が形成されたときに,前記現像装置34から前記感光体ドラム31に作用する現像電界強度を表している。
前述したように,前記感光体ドラム31上ではエッジ効果により前記非画像形成領域の電気力線が前記画像形成領域に回り込むことにより(図24参照),該非画像形成領域の所定範囲における現像電界強度が低下する(図26参照)。
これに対し,前記光走査装置33において,図4に示した前記露光補正情報に基づく露光が行われる場合には,該非画像形成領域の外側エッジ領域に対応する露光光量が予め「0」より高く設定されているため,図5に示すように,エッジ効果によって低下した後の前記外側エッジ領域の現像電界強度が,エッジ効果を受けない場合の非画像形成領域の現像電界強度に近似することとなる。特に,前記外側エッジ領域の露光光量は,該外側エッジ領域における複数の画素(領域)にそれぞれ異なる露光光量の光が照射されるように設定されているため,各画素において適切な現像電界強度を得ることができる。
これにより,エッジ効果の影響を受ける前記外側エッジ領域に逆極性トナーが付着することを抑制し,画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。また,図5に示すように,前記境界の内外の電位差(コントラスト)が図26に示した場合に比べて減少し,エッジ効果が弱まるため,エッジ効果による前記境界の前記画像形成領域側の現像電界強度の増加量も軽減される。
さらに,図4に示した5ドットライン以上の画像パターンに対応する前記露光光量は,図5に示すように前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,5ドットライン以上の画像パターンについては,前記外側エッジ領域に正規の電位に帯電したトナーが現像されることを確実に防止することができる。
【実施例1】
【0019】
ところで,1ドットラインの画像パターンを形成する場合に,5ドットライン以上の画像パターンを形成する場合と同様の露光光量の光で露光を行うと,図5に示すように,補正が強すぎて前記外側エッジ領域の現像電界強度が高くなり過ぎるおそれがある。この場合には,前記外側エッジ領域にプラスに帯電されたトナーが現像されるおそれがある。
そこで,前記露光制御回路15が,形成される画像の幅(大きさ)によって前記露光光量や前記外側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。具体的に,前記露光制御回路15は,図6に示すように,形成される画像が「1ドットライン」である場合には,中心画素「31」から3画素のみを外側エッジ領域とする。また,その外側エッジ領域の露光光量についても,「5ドットライン」以上の画像パターンが形成される場合に比べて小さい値である。例えば,「1ドットライン」の前記境界に最も近い画素の露光光量は,「5ドットライン」が形成される場合の前記境界から3画素目の露光光量と同じである。
これにより,図7に示すように,「1ドットライン」についても,「5ドットライン」以上の大きさの画像と同様に,前記外側エッジ領域の現像電界強度を非画像形成領域における他の領域と同等に調整することができる。さらに,図6に示した前記露光光量は,図7に示すように前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,前記外側エッジ領域に正規の電位に帯電したトナーが現像されることを防止することができる。また,前記露光光量及び前記外側エッジ領域の所定範囲のいずれか一方だけを変更することも考えられる。
【実施例2】
【0020】
また,前記感光体ドラム31の材質(比誘電率)や,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離(ギャップ)によって,画像形成領域と非画像形成領域との境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさは異なる。
具体的に,図8を参照すれば,同じ35ドットラインの画像パターンを形成する場合であっても,前記感光体ドラム31の材質が,比誘電率ε≒3のOPC(有機光伝導体)である場合と,比誘電率ε≒12のa−Si(アモルファスシリコン)である場合とによって,エッジ効果の影響が異なることがわかる。
そこで,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合とa−Siである場合とのそれぞれに対応する露光光量や前記外側エッジ領域の所定範囲を予め定めておき,前記露光制御回路15が,その予め定められた前記感光体ドラム31の材質と前記露光光量との対応関係に基づいて前記非画像形成領域の前記外側エッジ領域に照射する光の露光光量や前記外側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。
具体的には,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合は図9に示す「補正1」で定められた露光光量及び外側エッジ領域の所定範囲(5画素)を採用し,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合は図9に示す「補正2」で定められた露光光量及び外側エッジ領域の所定範囲(4画素)を採用する。即ち,前記感光体ドラム31の材質がa−Siよりも比誘電率が低いOPCである場合には,a−Siのときに比べて露光光量が低く前記外側エッジ領域も狭くなる。
これにより,図10に示すように,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合においても,前記境界の外側近傍の領域における現像電界強度を均一化することができる。なお,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合については図5に示しているため図示を省略する。また,前記露光光量及び前記外側エッジ領域の所定範囲のいずれか一方だけを変更することも考えられる。
【0021】
同じく,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離によっても,非画像形成領域から画像形成領域への電気力線の回り込み量が変化してエッジ効果が異なる。そのため,前記露光制御回路15が,前記離間距離の設定値に応じて前記非画像形成領域の外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させることも考えられる。具体的には,離間距離が大きくなるほどエッジ効果の程度は小さくなるため,離間距離が大きいほど外側エッジ領域の所定範囲が狭く露光光量が低くなるように変化させればよい。もちろん,前記感光体ドラム31の材質と前記感光体ドラム31及び前記現像ローラの離間距離との両方に応じて前記非画像形成領域の外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させてもよい。
また,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラ現像バイアスなどによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。そのため,前記露光制御回路15が,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラの現像バイアスに応じて外側エッジ領域や露光光量を変化させることも考えられる。また,前記光走査装置33におけるレーザ光源11の光量が濃度補正などによって補正された場合には,その補正後の光量に応じて外側エッジ領域や露光光量を変化させればよい。
【実施例3】
【0022】
さらに,一つの画像形成領域を構成する画像の幅が同じであっても,その画像が,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像(塗りつぶし画像)であるか,網点や細線の集合で形成されたパターン画像であるかによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。
ここに,図11は,35ドットラインを前記ソリッド画像で形成する場合と,1画素間隔で1ドットラインを間欠的に配置したパターン画像で35ドットラインを形成する場合とのそれぞれにおける現像電界強度を示している。図11に示すように,35ドットラインが前記ソリッド画像で形成されている場合と前記パターン画像で形成されている場合との両方においてエッジ効果が生じているが,そのエッジ効果の影響は,前記ソリッド画像に比べて前記パターン画像である場合の方が小さい。
そのため,これら両方の場合に図12の「補正1」に示す露光光量や外側エッジ領域を採用すると,図13に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成する場合に,前記外側エッジ領域の現像電界強度の補正後の値が強くなり過ぎて,該外側エッジ領域に正規の電位に帯電したトナーが現像されるおそれがある。
そこで,前記露光制御回路15が,前記パターン画像及び前記ソリッド画像のいずれであるかに応じて前記外側エッジ領域の所定範囲や前記露光光量を変化させることが望ましい。具体的には,前記パターン画像の場合には図12に示す「補正2」を採用し,前記ソリッド画像の場合には図12に示す「補正1」を採用することが考えられる。即ち,前記パターン画像である場合は前記ソリッド画像である場合に比べて補正量を小さくすればよい。具体的に,図12に示す例では,「補正1」では所定範囲が5画素であるのに対し,「補正2」では所定範囲が3画素である。また,「補正2」の前記境界に最も近い画素の光量は,「補正2」の前記境界から3画素目の光量と同じである。
これにより,図13に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成した場合であっても,前記外側エッジ領域の現像電界強度を他の領域と同等に補正することができる。
【0023】
また,前記露光制御回路15が,前記表示/操作部1に対するユーザ操作に従って,前記外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を予め設定した複数の露光補正情報の中から任意の露光補正情報を選択することにより,前記外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に選択することも考えられる。このとき前記選択を行うための前記表示/操作部1及び前記露光制御回路15が補正内容変更手段に相当する。もちろん,前記表示/操作部1により前記外側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に入力することができる構成も他の実施例として考えられる。
【実施例4】
【0024】
ところで,前記カラープリンタXにおいては,図26に示したように,エッジ効果によって前記境界から前記画像形成領域側の所定範囲の現像電界強度の絶対値が高くなることが知られている。これにより,前記境界近傍のエッジ部の濃度が高くなるため,画質への影響やトナーの浪費が問題となる。
以下では,前記境界から前記画像形成領域側の所定範囲の現像電界強度を低下させることにより,画質への影響やトナーの浪費を抑制することのできる構成について説明する。
具体的に,前記露光制御回路15は,前記光走査装置33による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置34によってトナーが付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該画像形成領域側の所定範囲の内側エッジ領域を,エッジ効果による前記内側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値が,エッジ効果を受けない場合の前記画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量で露光させる内側エッジ露光補正処理を実行する。ここに,係る内側エッジ露光補正処理を実行するときの前記露光制御回路15が内側エッジ露光補正手段に相当する。なお,当該内側エッジ露光補正処理は,前記画像処理部2や前記制御部6などによって実行されてもよく,この場合は前記画像処理部2や前記制御部6などが内側エッジ露光補正手段に相当する。また,前記外側エッジ露光補正処理及び前記内側エッジ露光補正処理の両方が実行されることも他の実施例として考えられる。
【0025】
ここに,図14は,前記カラープリンタXにおいて,図25に示した「1ドットライン」,「5ドットライン」,「15ドットライン」,「25ドットライン」,「35ドットライン」,「ソリッド」のそれぞれの画像パターンを解像度600dpiで形成する場合における補正後の露光光量が予め設定された露光補正情報の一例を示している。ここに,図14に示す露光補正情報では,各画素に対応する露光光量を,エッジ効果の影響を無視したときの前記画像形成領域に対応する光量を「1」,前記非画像形成領域に対応する光量を「0」としたときの割合で示している。
図14に示すように,前記カラープリンタXでは,前記画像形成領域と前記非画像形成領域との境界から画像形成領域側の所定範囲が内側エッジ領域として設定されている。そして,前記内側エッジ領域における露光光量は,前記境界からの距離が短くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応してそれぞれ画素(領域)ごとに異なる値に定められている。図14に示す例では,前記内側エッジ領域のうち前記境界に最も近い画素の露光光量が「0.73」であり,その後,前記境界から離れるに連れて「0.80」,「0.87」,「0.93」,「0.93」となるように設定されている。即ち,図25に示した露光光量に比べて,前記内側エッジ領域の露光光量が予め低く設定されることになる。
【0026】
ここで,前記内側エッジ領域における露光光量は,前記画像形成領域の中央部の露光光量である「1」の50%以上且つ100%以下であることが望ましい。これは,エッジ効果により高まる前記内側エッジ領域の現像電界強度がソリッド画像に比べて約2倍以下且つ等倍以上であって,その増加量は該画像形成領域の中央部の現像電界強度の50%〜100%であるためである。
また,前記内側エッジ領域の範囲は,前記境界から5画素の範囲に限らないが,解像度600dpi(1画素あたり0.042mm)である場合には5画素〜6画素(0.2mm〜0.3mm程度)の範囲を前記内側エッジ領域とすることが望ましい。もちろん,予め行う実験によりエッジ効果が生じる範囲が前記境界から10ドットであることがわかっている場合には,その10ドットの範囲を前記内側エッジ領域としてもよい。但し,前記内側エッジ領域の所定範囲は,前記境界から0〜1mm以下の範囲であることが望ましい。
【0027】
そして,前記露光制御回路15は,図14に示すように予め設定された前記露光補正情報に基づいて,前記光走査装置33における前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度を制御する。
ここに,図15は,図14に示した露光補正情報に従って前記レーザ光源11によるレーザ光の発光強度が制御され,前記感光体ドラム31上に静電潜像が形成されたときに,前記現像装置34から前記感光体ドラム31に作用する現像電界強度を表している。
前述したように,前記感光体ドラム31上ではエッジ効果により前記非画像形成領域の電気力線が前記画像形成領域に回り込むことにより(図24参照),該画像形成領域の所定範囲における現像電界強度が高くなる(図26参照)。
これに対し,前記光走査装置33において,図14に示した前記露光補正情報に基づく露光が行われる場合には,該画像形成領域の内側エッジ領域に対応する露光光量が予め「1」より低く設定されているため,図15に示すように,エッジ効果によって高くなった後の前記内側エッジ領域の現像電界強度が,画像形成領域の中央部の現像電界強度(エッジ効果を受けない場合の現像電界強度)に近似することとなる。特に,前記内側エッジ領域の露光光量は,該内側エッジ領域における複数の画素(領域)にそれぞれ異なる露光光量の光が照射されるように設定されているため,各画素において適切な現像電界強度を得ることができる。
これにより,エッジ効果の影響を受ける前記内側エッジ領域に付着するトナー量を抑制し,画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。また,図15に示すように,前記境界の内外の電位差(コントラスト)が図26に示した場合に比べて減少し,エッジ効果が弱まるため,エッジ効果による前記境界の前記非画像形成領域側の現像電界強度の低下量も軽減される。
さらに,図14に示した5ドットライン以上の画像パターンに対応する前記露光光量は,図15に示すように前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,5ドットライン以上の画像パターンについては,前記境界近傍のエッジ部の濃度が低くなりすぎることを防止することができる。
【実施例5】
【0028】
ところで,1ドットラインの画像パターンを形成する場合に,5ドットライン以上の画像パターンを形成する場合と同様の露光光量の光で露光を行うと,図15に示すように,補正が強すぎて前記内側エッジ領域の現像電界強度が低くなり過ぎるおそれがある。この場合には,前記内側エッジ領域に正規に帯電されたトナーが現像されるおそれがある。一方,5ドットラインの画像パターンを形成する場合には,両方からのエッジ効果により中央部の現像電界強度が特に高くなる。
そこで,前記露光制御回路15が,形成される画像の幅(大きさ)によって前記露光光量や前記内側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。
具体的に,前記露光制御回路15は,図16に示すように,形成される画像が「1ドットライン」である場合には,前記境界に最も近い画素の露光光量を,「5ドットライン」以上の画像パターンが形成される場合に比べて大きい値とする。
また,前記露光制御回路15は,図16に示すように,形成される画像が「5ドットライン」である場合には,前記内側エッジ領域の露光光量を,「15ドットライン」以上の画像パターンが形成される場合に比べて小さい値とする。
【0029】
これにより,図17に示すように,「1ドットライン」についても,「5ドットライン」以上の大きさの画像と同様に,前記内側エッジ領域の現像電界強度を画像形成領域における他の領域と同等に調整することができる。さらに,図16に示した前記露光光量は,図17に示すように前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記露光制御回路15により内側露光補正処理が実行されない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように予め定められたものである。従って,前記内側エッジ領域の濃度が低くなりすぎることを防止することができる。
また,図17に示すように,「5ドットライン」については,「15ドットライン」以上の大きさの画像に比べて前記内側エッジ領域の現像電界強度の低下量を大きくすることができ,エッジ効果の影響を受ける前記内側エッジ領域に付着するトナー量を抑制し,画質への影響やトナーの浪費を抑制することができる。なお,前記露光光量に代えて,或いは前記露光光量と共に前記内側エッジ領域の所定範囲を変更することも考えられる。
【実施例6】
【0030】
また,前記感光体ドラム31の材質(比誘電率)や,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離(ギャップ)によって,画像形成領域と非画像形成領域との境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさは異なる。
具体的に,図18を参照すれば,同じ35ドットラインの画像パターンを形成する場合であっても,前記感光体ドラム31の材質が,比誘電率ε≒3のOPC(有機光伝導体)である場合と,比誘電率ε≒12のa−Si(アモルファスシリコン)である場合とによって,エッジ効果の影響が異なることがわかる。
そこで,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合とa−Siである場合とのそれぞれに対応する露光光量や前記内側エッジ領域の所定範囲を予め定めておき,前記露光制御回路15が,その予め定められた前記感光体ドラム31の材質と前記露光光量との対応関係に基づいて前記画像形成領域の前記内側エッジ領域に照射する光の露光光量や前記内側エッジ領域の所定範囲を変化させることが考えられる。
具体的には,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合は図19に示す「補正1」で定められた露光光量を採用し,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合は図19に示す「補正2」で定められた露光光量を採用する。即ち,前記感光体ドラム31の材質がa−Siよりも比誘電率が低いOPCである場合には,a−Siのときに比べて露光光量が低く前記内側エッジ領域も狭くなる。
これにより,図20に示すように,前記感光体ドラム31の材質がOPCである場合においても,前記境界の内側近傍の領域における現像電界強度を均一化することができる。なお,前記感光体ドラム31の材質がa−Siである場合については図15に示しているため図示を省略する。また,前記露光光量に代えて或いは前記露光光量と共に前記内側エッジ領域の所定範囲を変更することも考えられる。
【0031】
同じく,前記感光体ドラム31及び前記現像装置34の現像ローラの離間距離によっても,非画像形成領域から画像形成領域への電気力線の回り込み量が変化してエッジ効果が異なる。そのため,前記露光制御回路15が,前記離間距離の設定値に応じて前記画像形成領域の内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させることも考えられる。具体的には,離間距離が大きくなるほどエッジ効果の程度は小さくなるため,離間距離が大きいほど内側エッジ領域の所定範囲が狭く露光光量が高くなるように変化させればよい。もちろん,前記感光体ドラム31の材質と前記感光体ドラム31及び前記現像ローラの離間距離との両方に応じて前記画像形成領域の内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を変化させてもよい。
また,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラ現像バイアスなどによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。そのため,前記露光制御回路15が,前記感光体ドラム31の帯電電位や前記現像装置34の現像ローラの現像バイアスに応じて内側エッジ領域や露光光量を変化させることも考えられる。また,前記光走査装置33におけるレーザ光源11の光量が濃度補正などによって補正された場合には,その補正後の光量に応じて内側エッジ領域や露光光量を変化させればよい。
【実施例7】
【0032】
さらに,一つの画像形成領域を構成する画像の幅が同じであっても,その画像が,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像(塗りつぶし画像)であるか,網点や細線の集合で形成されたパターン画像であるかによっても,前記境界近傍のエッジ部に生じるエッジ効果の大きさが変化する。
ここに,図21は,35ドットラインを前記ソリッド画像で形成する場合と,1画素間隔で1ドットラインを間欠的に配置したパターン画像で35ドットラインを形成する場合とのそれぞれにおける現像電界強度を示している。図21に示すように,35ドットラインが前記ソリッド画像で形成されている場合と前記パターン画像で形成されている場合との両方においてエッジ効果が生じているが,そのエッジ効果の影響は,前記ソリッド画像に比べて前記パターン画像である場合の方が小さい。
そのため,これら両方の場合に図22の「補正1」に示す露光光量や内側エッジ領域を採用すると,図23に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成する場合に,前記内側エッジ領域の現像電界強度の補正後の値が低くなり過ぎて,十分な濃度が得られないおそれがある。
そこで,前記露光制御回路15が,前記パターン画像及び前記ソリッド画像のいずれであるかに応じて前記内側エッジ領域の所定範囲や前記露光光量を変化させることが望ましい。具体的には,前記パターン画像の場合には図22に示す「補正2」を採用し,前記ソリッド画像の場合には図22に示す「補正1」を採用することが考えられる。即ち,前記パターン画像である場合は前記ソリッド画像である場合に比べて補正量を小さくすればよい。
これにより,図23に示すように,35ドットラインを前記パターン画像で形成した場合であっても,前記内側エッジ領域の現像電界強度を他の領域と同等に補正することができる。
【0033】
また,前記露光制御回路15が,前記表示/操作部1に対するユーザ操作に従って,前記内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を予め設定した複数の露光補正情報の中から任意の露光補正情報を選択することにより,前記内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に選択することも考えられる。このとき前記選択を行うための前記表示/操作部1及び前記露光制御回路15が補正内容変更手段に相当する。もちろん,前記表示/操作部1により前記内側エッジ領域の所定範囲や露光光量を任意に入力することができる構成も他の実施例として考えられる。
【符号の説明】
【0034】
X…カラープリンタ(画像形成装置の一例)
1…表示/操作部
11…レーザ光源
12…ポリゴンミラー
13…fθレンズ
14…レーザ光検知センサ
15…露光制御回路
16…レーザドライブ回路
2…画像処理部
3…画像形成部
3M,3C,3Y,3K…画像形成ユニット
31…感光体ドラム
32…帯電器
33…光走査装置(露光装置)
34…現像装置
35…クリーナ
36…除電器
4…用紙搬送ユニット
5…定着装置
6…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置であって,
前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による前記外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記非画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる外側エッジ露光補正手段を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記外側エッジ露光補正手段が,予め設定された露光補正情報に基づいて前記外側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光補正情報が,前記境界からの距離が遠くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものである請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外側エッジ露光補正手段が,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変更するものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外側エッジ露光補正手段が,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記外側エッジ露光補正手段が,前記感光体の帯電電位及び/又は前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記外側エッジ露光補正手段が,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
予め設定された複数の前記所定範囲及び/又は前記露光光量の中から任意の前記所定範囲及び/又は前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなる請求項4〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記露光光量は,前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記外側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものである請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記露光光量が,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以下である請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記所定範囲が,前記エッジ部から1mm以下の範囲である請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置であって,
前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該画像形成領域側の所定範囲の内側エッジ領域を,エッジ効果による前記内側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる内側エッジ露光補正手段を備えてなり,
前記内側エッジ露光補正手段が,予め設定された露光補正情報に基づいて前記内側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記露光補正情報が,前記境界からの距離が短くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものである請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記内側エッジ露光補正手段が,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変更するものである請求項12又は13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記内側エッジ露光補正手段が,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項12〜14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記内側エッジ露光補正手段が,前記感光体の帯電電位及び/又は前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項12〜15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記内側エッジ露光補正手段が,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項12〜16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
予め設定された複数の前記所定範囲及び/又は前記露光光量の中から任意の前記所定範囲及び/又は前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなる請求項14〜17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記露光光量は,前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記内側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものである請求項12〜18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記露光光量が,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以上且つ100%以下である請求項12〜19のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記所定範囲が,前記エッジ部から1mm以下の範囲である請求項12〜20のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置であって,
前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該非画像形成領域側の所定範囲の外側エッジ領域を,エッジ効果による前記外側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記非画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる外側エッジ露光補正手段を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記外側エッジ露光補正手段が,予め設定された露光補正情報に基づいて前記外側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光補正情報が,前記境界からの距離が遠くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものである請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外側エッジ露光補正手段が,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変更するものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外側エッジ露光補正手段が,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記外側エッジ露光補正手段が,前記感光体の帯電電位及び/又は前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記外側エッジ露光補正手段が,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
予め設定された複数の前記所定範囲及び/又は前記露光光量の中から任意の前記所定範囲及び/又は前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなる請求項4〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記露光光量は,前記外側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記非画像形成領域における前記外側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記外側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記外側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものである請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記露光光量が,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以下である請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記所定範囲が,前記エッジ部から1mm以下の範囲である請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
一様に帯電された感光体を露光して該感光体上に静電潜像を形成する露光装置と,該静電潜像を現像剤によって現像する現像装置とを備えてなる画像形成装置であって,
前記露光装置による静電潜像の形成時に,後に前記現像装置によって現像剤が付着される画像形成領域と現像剤が付着されない非画像形成領域との境界に隣接する該画像形成領域側の所定範囲の内側エッジ領域を,エッジ効果による前記内側エッジ領域の現像電界強度の変化後の値がエッジ効果を受けない場合の前記画像形成領域の現像電界強度に近似するように予め定められた露光光量の光で照射させる内側エッジ露光補正手段を備えてなり,
前記内側エッジ露光補正手段が,予め設定された露光補正情報に基づいて前記内側エッジ領域における複数の領域にそれぞれ異なる露光光量の光を照射させるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記露光補正情報が,前記境界からの距離が短くなるに連れて段階的に低くなるように該境界からの距離に対応する露光光量を定めたものである請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記内側エッジ露光補正手段が,前記静電潜像の幅に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変更するものである請求項12又は13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記内側エッジ露光補正手段が,前記感光体の材質と前記感光体及び前記現像装置の離間距離とのいずれか一方又は両方に応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項12〜14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記内側エッジ露光補正手段が,前記感光体の帯電電位及び/又は前記現像装置の現像バイアスに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項12〜15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記内側エッジ露光補正手段が,網点又は細線を間欠的に配置することにより一つの前記画像形成領域を形成するパターン画像と,連続する画素に画像が形成されるソリッド画像とのいずれであるかに応じて前記所定範囲及び/又は前記露光光量を変化させるものである請求項12〜16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
予め設定された複数の前記所定範囲及び/又は前記露光光量の中から任意の前記所定範囲及び/又は前記露光光量を選択する補正内容変更手段を更に備えてなる請求項14〜17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記露光光量は,前記内側エッジ領域の現像電界強度の絶対値が,前記画像形成領域における前記内側エッジ領域を除く領域の現像電界強度以上であり,且つ前記内側エッジ露光補正手段を用いない場合のエッジ効果による変化後の前記内側エッジ領域の現像電界強度のピーク値よりも低くなるように,予め定められたものである請求項12〜18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記露光光量が,前記画像形成領域の中央部の光量の50%以上且つ100%以下である請求項12〜19のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記所定範囲が,前記エッジ部から1mm以下の範囲である請求項12〜20のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図13】
【図18】
【図23】
【図24】
【図4】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【図2】
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【図13】
【図18】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−118241(P2012−118241A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267111(P2010−267111)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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