説明

画像形成装置

【課題】2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】液体現像剤を用いた湿式画像形成装置であって、中間転写体21上に一旦、1次転写した後、記録媒体に2次転写するタンデム方式を適用した画像形成装置において、2次転写後、中間転写体21に残留した液体現像剤を回収するクリーニング部と、2次転写位置より中間転写体21の回転方向下流側であって、クリーニング部より中間転写体21の回転方向上流側に配置され、液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、中間転写体21の表面上に添加する凝集促進剤添加部101とを備える画像形成装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、及びこれらの機能を併せ持つ複合機等の電子写真方式の画像形成装置としては、種々の現像方式の現像装置が備えられたものが挙げられる。具体的には、例えば、使用する現像剤の形態により、乾式現像方式と湿式現像方式とに大別される。そのうち、湿式現像方式の現像装置では、トナー粒子や顔料等の着色粒子等をキャリア液中に分散させた液体現像剤が用いられる。そして、湿式現像方式の現像装置は、液体現像剤中で帯電した着色粒子が、電気泳動の原理により現像ローラ表面から感光体ドラム表面に移動し、そのことによって、像担持体である感光体ドラムの表面に形成された静電潜像を顕像化させるものである。
【0003】
また、電子写真方式を利用した画像形成装置では、粒子径の比較的小さな着色粒子を含む現像剤を用いると、高解像度で階調性に優れた高画質な画像を形成することができると考えられる。しかしながら、乾式現像剤では、着色粒子の粒子径の小さくすれば、着色粒子が大気中に飛散しやすくなる傾向があった。これに対して、液体現像剤は、着色粒子がキャリア液中で分散しているので、着色粒子の大気中への飛散が充分に抑制することができると考えられる。このことより、乾式現像剤では、着色粒子の飛散を充分に抑制できないような粒子径の小さな着色粒子、例えば、平均粒子径がサブミクロンサイズの微細な着色粒子であっても、好適に使用することができる。よって、湿式現像方式の現像装置を備える画像形成装置は、このような平均粒子径の比較的小さな着色粒子を含む液体現像剤を用いることができるので、高解像度で階調性に優れた高画質な画像を形成することが期待できる。
【0004】
また、液体現像剤を用いた画像形成装置としては、感光体ドラム上に形成された着色粒子像を、その周面に一旦転写(1次転写)した後、周面に転写された着色粒子像を記録媒体に転写(2次転写)するための中間転写ベルト等の中間転写体を備えた画像形成装置が挙げられる。このような中間転写体を介して、感光体ドラム上に形成された着色粒子像を記録媒体に転写する画像形成装置は、2次転写後に中間転写ベルト上に残留した液体現像剤を中間転写ベルトから回収する。
【0005】
このような画像形成装置としては、例えば、特許文献1〜4に記載のものが挙げられる。
【0006】
特許文献1には、中間転写ベルトに残留した残留現像剤を除去するクリーニング手段を印刷媒体にトナー画像を転写するために中間転写体に対向して設置する加圧ローラの下流側で現像ユニットの上流に設けた液体現像剤を使用する液体現像電子写真装置において、前記クリーニング手段が、印刷媒体に画像を転写した後の中間転写体にキャリア液を塗布するキャリア液塗布手段と、中間転写体に現像剤のトナー粒子の帯電特性と逆極性のバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段と、キャリア液塗布手段で塗布したキャリア液と印刷媒体に画像を転写せず中間転写体に残留した液体現像剤とを中間転写体より除去して残留現像剤を回収する回収手段とを備える液体現像電子写真装置が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、中間転写体を有する液体現像剤を用いた画像形成装置において、中間転写体から転写媒体に転写する2次転写位置と、2次転写位置に対して中間転写体の回転方向下流側で中間転写体にクリーニング部材が当接するクリーニング位置との間に、中間転写体上に液体を塗布するための液体塗布部材を配置した液体現像剤を用いた画像形成装置が記載されている。
【0008】
また、特許文献3には、中間転写体を有する液体現像剤を用いた画像形成装置において、中間転写体から転写媒体に転写する2次転写位置と、2次転写位置に対して中間転写体の回転方向下流側で中間転写体にクリーニング部材が当接するクリーニング位置との間に、中間転写体上にキャリア液よりも低粘度の液体を塗布するための液体塗布部材を配置した液体現像剤を用いた画像形成装置が記載されている。
【0009】
また、特許文献4には、中間転写体を有する液体現像剤を用いた画像形成装置において、中間転写体から転写媒体に転写する2次転写位置と、2次転写位置に対して中間転写体の回転方向下流側で中間転写体にクリーニング部材が当接するクリーニング位置との間に、前記クリーニング部材で回収した現像剤の一部を塗布するための液体塗布部材を配置した液体現像剤を用いた画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−323058号公報
【特許文献2】特開2007−25028号公報
【特許文献3】特開2007−25029号公報
【特許文献4】特開2007−25030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
液体現像剤は、上述したように、高画質な画像を形成するために、含有される着色粒子として、平均粒子径の比較的小さなものを用いる。一方、着色粒子の粒子径が小さいほど、比表面積が大きくなり、中間転写体等への付着力が高まる傾向があると考えられる。このことから、中間転写体を備えた画像形成装置において、2次転写後に中間転写体上に残留しやすいと考えられる。また、2次転写後に中間転写体上に残留した液体現像剤は、画像形成に影響を与えると考えられる。
【0012】
よって、高画質な画像を形成させるためには、2次転写後に中間転写体上に残留した現像剤を好適にクリーニングすることができることが求められる。
【0013】
特許文献1によれば、中間転写体に凝集/固着した液体現像剤を効果的に安定してクリーニングすることができることが開示されている。
【0014】
また、特許文献2〜4によれば、中間転写体上に付着した付着物のクリーニングを容易にすることができることが開示されている。
【0015】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の画像形成装置では、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤のクリーニングが不充分である場合があった。例えば、着色粒子として、結着樹脂と顔料等の着色剤とを含むトナーを含む液体現像剤を用いた場合ではなく、樹脂を溶解させたキャリア液に顔料等の着色剤を分散させた液体現像剤を用いた場合等に、液体現像剤のクリーニングが不充分である場合があった。
【0016】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、キャリア液、前記キャリア液中に分散された着色粒子、及び前記キャリア液中に溶解された樹脂を含む液体現像剤を用いて、前記像担持体の表面に形成された静電潜像を顕像化した着色粒子像を形成する現像装置と、前記像担持体に対向して配置した、回転可能な中間転写体と、前記像担持体の表面上に形成された着色粒子像を、前記中間転写体に転写する1次転写部と、前記中間転写体に転写された着色粒子像を記録媒体に転写する2次転写部と、前記2次転写部による転写後、前記中間転写体に残留した液体現像剤を回収するクリーニング部と、前記2次転写部より前記中間転写体の回転方向下流側であって、前記クリーニング部より前記中間転写体の回転方向上流側に配置され、前記液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、前記中間転写体の表面上に添加する凝集促進剤添加部とを備えることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができる。よって、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0019】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0020】
前記2次転写部より前記中間転写体の回転方向下流側であって、前記クリーニング部より前記中間転写体の回転方向上流側に配置された凝集促進剤添加部によって、前記液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、前記中間転写体の表面上に添加する。そうすることによって、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤に対して、前記凝集促進剤が添加されることになり、前記液体現像剤に含まれる樹脂が凝集されると考えられる。この樹脂が凝集される際、着色粒子等も取り込んで凝集すると考えられる。そして、このように、着色粒子等を取り込んで凝集された樹脂は、前記クリーニング部によって、回収しやすいと考えられる。すなわち、粒子径の小さく、中間転写体に対する付着力の高い着色粒子であっても、凝集された樹脂とともに、前記クリーニング部によって、回収されると考えられる。
【0021】
よって、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができると考えられる。
【0022】
また、前記画像形成装置において、前記樹脂が、前記凝集促進剤に不溶であることが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤をより好適にクリーニングすることができる。
【0024】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0025】
前記凝集促進剤は、液体現像剤に添加すると、液体現像剤に溶解されている樹脂を凝集させる、いわゆる、樹脂に対する貧溶媒であると考えられる。よって、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤に、前記凝集促進剤を添加することによって、液体現像剤に溶解されている樹脂の凝集をより好適に進行させることができることによると考えられる。
【0026】
また、前記画像形成装置において、前記凝集促進剤が、前記キャリア液と相互に可溶な液体であることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤をより好適にクリーニングすることができる。
【0028】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0029】
2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤に、前記凝集促進剤を添加すると、前記凝集促進剤が液体現像剤に均一に分散することができると考えられる。よって、前記凝集促進剤の、液体現像剤に溶解されている樹脂を凝集させるという効果をより発揮できると考えられる。
【0030】
また、前記画像形成装置において、前記キャリア液が、前記樹脂が不溶な第1溶媒と、前記樹脂が可溶な第2溶媒とを少なくとも含み、前記凝集促進剤が、前記第1溶媒であることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、液体現像剤を構成する成分以外の成分を用いることなく、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができる。
【0032】
また、前記樹脂が、セルロースエーテル系樹脂を含み、前記キャリア液が、トール油脂肪酸と脂肪族炭化水素との混合溶媒であり、前記凝集防止剤が、脂肪族炭化水素であることが好ましい。
【0033】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができる。
【0034】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0035】
まず、凝集防止剤として、脂肪族炭化水素を用いることによって、トール油脂肪酸と好適に相溶し、液体現像剤に溶解されているセルロースエーテル系樹脂を凝集させることができると考えられる。よって、着色粒子とともに凝集されたセルロースエーテル系樹脂を、クリーニング部で好適に回収することができると考えられる。
【0036】
また、このような液体現像剤を用いると、着色粒子像が記録媒体に転写された後、キャリア液が記録媒体の内部に吸収されると考えられる。そして、その吸収の際に、セルロースエーテル系樹脂が、記録媒体の表面に留まっている顔料等の着色粒子を被覆しつつ、記録媒体の表面上に留まって、被膜を形成すると考えられる。このセルロースエーテル系樹脂の被膜によって、着色粒子が記録媒体に定着されると考えられる。よって、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができる。
【0037】
以上のことから、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができると考えられる。
【0038】
また、前記セルロースエーテル系樹脂が、エチルセルロースであることが好ましい。
【0039】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像をより好適に定着させることができる。
【0040】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0041】
まず、前記セルロースエーテル系樹脂として、エチルセルロースを含有することによって、得られた被膜の乾燥性が高まると考えられる。また、前記キャリア液に、トール油脂肪酸を含有することによって、キャリア液にエチルセルロースが好適に溶解すると考えられる。
【0042】
よって、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像をより好適に定着させることができると考えられる。
【0043】
また、前記画像形成装置において、前記樹脂が、環状オレフィン共重合体を含み、前記キャリア液が、脂肪族炭化水素であり、前記凝集促進剤が、アルコール系溶媒であることが好ましい。
【0044】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができる。
【0045】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0046】
まず、凝集防止剤として、アルコール系溶媒を用いることによって、液体現像剤に溶解されている環状オレフィン共重合体を凝集させることができると考えられる。よって、着色粒子とともに凝集された環状オレフィン共重合体を、クリーニング部で好適に回収することができると考えられる。
【0047】
また、このような液体現像剤を用いると、着色粒子像が記録媒体に転写された後、キャリア液が記録媒体の内部に吸収されると考えられる。そして、その吸収の際に、環状オレフィン共重合体が、記録媒体の表面に留まっている顔料等の着色粒子を被覆しつつ、記録媒体の表面上に留まって、被膜を形成すると考えられる。このセルロースエーテル系樹脂の被膜によって、着色粒子が記録媒体に定着されると考えられる。よって、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させることができる。
【0048】
以上のことから、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させることができると考えられる。
【0049】
また、前記環状オレフィン共重合体が、ノルボルネンとエチレンとの共重合体であることが好ましい。
【0050】
このような構成によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像をより好適に定着させることができる。
【0051】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0052】
まず、前記環状オレフィン共重合体として、ノルボルネンとエチレンとの共重合体である環状オレフィン共重合体を含有することによって、得られた被膜の乾燥性が高まると考えられる。また、前記キャリア液に、アルコール系溶媒を含有することによって、キャリア液に環状オレフィン共重合体が好適に溶解すると考えられる。
【0053】
よって、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像をより好適に定着させることができると考えられる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】液体現像剤循環装置を除いた画像形成装置の概略図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置に備えられる凝集促進剤添加部の構成を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置に備えられる現像装置を一側面側から見た斜視図であり、長手方向における現像装置の全体的な構造を示す。
【図5】図4のX−X線に沿って切断した概略断面図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置に備えられる液体現像剤循環装置における循環系統を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0057】
本実施形態に係る画像形成装置は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、キャリア液、前記キャリア液中に分散された着色粒子、及び前記キャリア液中に溶解された樹脂を含む液体現像剤を用いて、前記像担持体の表面に形成された静電潜像を顕像化した着色粒子像を形成する現像装置と、前記像担持体に対向して配置した、回転可能な中間転写体と、前記像担持体の表面上に形成された着色粒子像を、前記中間転写体に転写する1次転写部と、前記中間転写体に転写された着色粒子像を記録媒体に転写する2次転写部とを備える画像形成装置である。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置は、まず、液体現像剤を用いた湿式画像形成装置である。そして、本実施形態に係る画像形成装置は、中間転写体を備えた、いわゆるタンデム方式の画像形成装置である。さらに、本実施形態に係る画像形成装置は、上述したタンデム方式の湿式画像形成装置において、前記2次転写部による転写後、前記中間転写体に残留した液体現像剤を回収するクリーニング部と、前記2次転写部より前記中間転写体の回転方向下流側であって、前記クリーニング部より前記中間転写体の回転方向上流側に配置され、前記液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、前記中間転写体の表面上に添加する凝集促進剤添加部とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0058】
このような画像形成装置は、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができる。よって、高画質な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0059】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0060】
前記2次転写部より前記中間転写体の回転方向下流側であって、前記クリーニング部より前記中間転写体の回転方向上流側に配置された凝集促進剤添加部によって、前記液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、前記中間転写体の表面上に添加する。そうすることによって、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤に対して、前記凝集促進剤が添加されることになり、前記液体現像剤に含まれる樹脂が凝集されると考えられる。この樹脂が凝集される際、着色粒子等も取り込んで凝集すると考えられる。そして、このように、着色粒子等を取り込んで凝集された樹脂は、前記クリーニング部によって、回収しやすいと考えられる。すなわち、粒子径の小さく、中間転写体に対する付着力の高い着色粒子であっても、凝集された樹脂とともに、前記クリーニング部によって、回収されると考えられる。
【0061】
よって、2次転写後に、中間転写体上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができると考えられる。
【0062】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。
【0063】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置(湿式画像形成装置)の全体構成を示す概略図である。図2は、液体現像剤循環装置を除いた画像形成装置の概略図である。なお、図1及び図2に示される画像形成装置は、カラープリンタであるが、記録媒体上に画像を形成することができる湿式画像形成装置であれば、特に限定されない。具体的には、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機(MFP)等が挙げられる。また、以下の説明で用いられる記録媒体は、表面に画像を形成することが可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシート等が挙げられる。以下の説明では、記録媒体として、用紙を例に挙げて説明する。
【0064】
画像形成装置(カラープリンタ)1は、図1に示すように、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部(装置本体)1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが収容される下側本体部1Bとから構成されている。ここでは、上側本体部1Aと下側本体部1Bとを結ぶ配管類は図示を省略している。
【0065】
また、上側本体部1Aは、図2に示すように、画像データに基づいて、着色粒子像を形成するタンデム方式の画像形成部2と、用紙を収納する用紙収納部3と、画像形成部2で形成された着色粒子像を用紙上に転写する2次転写部4と、転写された未定着の着色粒子像を用紙上に定着させる定着部5と、着色粒子像を定着させ、用紙上に画像を形成させた用紙を機外に排出する排出部6と、用紙収納部3から排出部6まで用紙を搬送する用紙搬送部7とを備えている。
【0066】
また、画像形成装置は、上述したように、2次転写部4と排出部6との間に、定着部5が備えられるのが一般的である。用いる液体現像剤の定着性が高ければ、この定着部5がなくてもよい。その際、定着部5の代わりに、搬送ローラを備えていてもよい。
【0067】
画像形成部2は、中間転写体(中間転写ベルト)21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、凝集促進剤添加部101と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
【0068】
中間転写ベルト21は、導電性を有する無端状のベルト部材である。そして、中間転写ベルト21は、画像を形成させる用紙のうち、用紙の搬送方向に直交する方向における長さが最大の用紙より幅広である。また、中間転写ベルト21は、図1及び図2において時計回りに循環駆動される。なお、中間転写ベルト21は、中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を「表面」と記し、内側を向く面を「裏面」と記す。
【0069】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と2次転写部4との間に配置される。なお、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBの配置の順番は、図示されたものに限定されないが、各色の混色による完成画像への影響を少なくする観点から好ましい配置の1つである。
【0070】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBのそれぞれは、像担持体である感光体ドラム10と、帯電装置11と、露光装置12と、現像装置14と、1次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。なお、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBのうち、最も2次転写部4に近い位置に配置されるブラックの画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同様である。
【0071】
各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが設けられ、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。画像形成ユニットFY、FM、FC、FBについては、後に詳述する。
【0072】
感光体ドラム10は、円柱状であり、その表面(周面)には、帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)された着色粒子像を担持可能な像担持体である。また、ここで図示される感光体ドラム10は、反時計回りに回転可能である。
【0073】
帯電装置11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。
【0074】
露光装置12は、画像データ、例えば、外部の機器から入力された画像データに基づいて、一様に帯電された感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面に、画像データに基づいた静電潜像を形成する。露光装置12としては、例えば、LEDを光源とした露光装置であるLED露光装置等が挙げられる。
【0075】
現像装置14は、液体現像剤を、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像に着色粒子を付着させる。これにより、静電潜像は、着色粒子像として現像(顕像化)される。現像装置14は、後で詳述する。
【0076】
1次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。また、1次転写ローラ20には、図示しない電源から着色粒子像を構成する着色粒子とは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加される。すなわち、1次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21に着色粒子と逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺に着色粒子が引き付けられる。中間転写ベルト21は、着色粒子像を担持して、用紙まで搬送する中間転写体として機能する。
【0077】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置である。また、クリーニング装置26は、液体現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備える。
【0078】
クリーニング装置26内に配置される液体現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置26の外部に搬送する。
【0079】
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るように、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その一端部が感光体ドラム10の表面に摺接し、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0080】
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤の除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
【0081】
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。また、キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも2次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する。
【0082】
用紙収納部3は、着色粒子像を定着させる用紙を収容する部分である。用紙収納部3は、上側本体部1Aの下部に配置される。また、用紙収納部3は、用紙を収容可能に形成された給紙カセット(図示せず)を含む。
【0083】
2次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成された着色粒子像を用紙に転写する部分である。また、2次転写部4は、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ41と、支持ローラ41に対向して配置された2次転写ローラ42とを有する。
【0084】
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる部分である。定着部5は、2次転写部の、用紙の搬送方向上流側、本実施形態においては、2次転写部の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラ43と、加熱ローラ43に対向して配置された加圧ローラ44とを有している。
【0085】
また、上述したように、用いる液体現像剤の定着性が高ければ、この定着部5がなくてもよい。その際、定着部5を構成する加熱ローラや加圧ローラの代わりに、搬送ローラ対を備えていてもよい。また、このような場合、2次転写部4では、着色粒子像が転写された後、定着される。
【0086】
排出部6には、2次転写部4又は定着部5で着色粒子像が定着された用紙シートが排出される部分である。排出部6は、カラープリンタ1の上部に配置されている。
【0087】
用紙搬送部7は、複数の搬送ローラ対を備え、用紙収納部3から、2次転写部4や定着部5を経て、排出部6まで用紙を搬送する。
【0088】
中間転写ベルト21のクリーニング部22は、2次転写部4で、中間転写ベルト21上の着色粒子像を記録媒体に転写した後、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を回収する部分である。また、中間転写ベルト21のクリーニング部22は、2次転写部4の、中間転写ベルト21の回転方向下流側であって、画像形成部各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの、中間転写ベルト21の回転方向上流側に配置される。
【0089】
凝集促進剤添加部101は、中間転写ベルト21の表面に凝集促進剤を添加する部分である。また、凝集促進剤添加部101は、2次転写部4より、中間転写ベルト21の回転方向下流側であって、中間転写ベルト21のクリーニング部22より、中間転写ベルト21の回転方向上流側に配置される。すなわち、凝集促進剤添加部101は、2次転写部4と中間転写ベルト21のクリーニング部22との間に配置される。そして、凝集促進剤添加部101によって、中間転写ベルト21の表面に凝集促進剤を添加することによって、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を、中間転写ベルト21のクリーニング部22で効率的に回収できる。
【0090】
また、凝集促進剤添加部101は、図3に示すように、塗布ローラ102、発泡ならしローラ103、及び供給ノズル104を備えている。なお、図3は、本実施形態に係る画像形成装置に備えられる凝集促進剤添加部の構成を示す概略図である。
【0091】
供給ノズル104は、塗布ローラ102の周面に、凝集促進剤105を供給する。
【0092】
塗布ローラ102は、その周面が中間転写ベルト21に接触し、中間転写ベルト21の回転に従動して回転可能に配置されている。これにより、塗布ローラ102は、供給ノズル104から供給された凝集促進剤105を、中間転写ベルト21の表面に塗布することができる。また、塗布ローラ102は、その周面が中間転写ベルト21に近接し、中間転写ベルト21の回転速度に合わせて回転可能に配置されていてもよい。
【0093】
発泡ならしローラ103は、その周面が塗布ローラ102に接触し、塗布ローラ102の回転に従動して回転可能に配置されている。また、発泡ならしローラ103は、塗布ローラ102の回転方向において、供給ノズル104からの凝集促進剤の供給位置より下流側で、塗布ローラ102と中間転写ベルト21との接触位置より上流側の位置に配置される。この位置で、発泡ならしローラ103が塗布ローラ102に接触しながら回転することによって、塗布ローラ102の周面上に供給された凝集促進剤105の発泡を抑制することができる。また、発泡ならしローラ103は、凝集促進剤105を塗布ローラ102の周面上に均一に広げることができる。
【0094】
凝集促進剤としては、液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させることができるものであれば、特に限定されない。このような凝集促進剤を、凝集促進剤添加部101で中間転写ベルト21の表面に塗布することによって、2次転写後に中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を、中間転写ベルト21のクリーニング部22で好適に回収できる。
【0095】
凝集促進剤としては、具体的には、前記樹脂が不溶な液体であることが好ましい。さらに、この凝集促進剤は、液体現像剤に含まれるキャリア液と相互に可溶な液体であることが好ましい。すなわち、この凝集促進剤は、液体現像剤に含まれるキャリア液との相溶性が高いことが好ましい。
【0096】
なお、ここで不溶とは、溶解させる対象物、ここでは樹脂をほとんど溶解させないことである。また、不溶な液体とは、溶解させる対象物、ここでは樹脂をほとんど溶解させず、液体現像剤に添加することによって、液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる液体である。また、不溶とは、可溶との比較によるものであり、不溶な液体は、可溶な液体を用いたときより溶解性が低い液体である。また、ここで、相互に可溶とは、2種の液体をどのような混合比で混合させても、均一に混ざり合い、溶解することである。
【0097】
また、液体現像剤は、上述したように、キャリア液と、キャリア液中に分散された着色粒子と、キャリア液中に溶解された樹脂とを含むものである。そして、液体現像剤は、キャリア液と着色粒子と樹脂とを含み、液体現像剤として使用可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、以下のようなものが挙げられる。
【0098】
液体現像剤の第1の例としては、例えば、キャリア液と、キャリア液中に分散された着色粒子と、キャリア液中に溶解された樹脂とを含み、前記樹脂が、セルロースエーテル系樹脂を含有する液体現像剤が挙げられる。
【0099】
前記セルロースエーテル系樹脂が、エチルセルロースであることが好ましい。前記セルロースエーテル系樹脂の含有量は、前記液体現像剤100質量部に対して、1〜6質量部であることが好ましい。
【0100】
また、前記キャリア液が、トール油脂肪酸を含むことが好ましい。前記トール油脂肪酸の含有量は、前記液体現像剤100質量部に対して20〜90質量部であることが好ましい。
【0101】
前記キャリア液は、液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。前記キャリア液としては、電気絶縁性を有するものであって、液体現像剤のキャリア液として用いられるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、25℃における体積抵抗率が1010Ω・cm以上、すなわち電気伝導度が100pS/cm以下の有機溶媒等が挙げられる。前記キャリア液としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン等の、常温で液体の脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。脂肪族炭化水素としては、具体的には、例えば、n−パラフィン系炭化水素やiso−パラフィン系炭化水素等のパラフィン系炭化水素、及びハロゲン化脂肪族炭化水素等が挙げられる。パラフィン系炭化水素としては、具体的には、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、ハロゲン化脂肪族炭化水素としては、具体的には、例えば、パークロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。前記キャリア液としては、例示した各キャリア液を構成する有機溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。前記キャリア液としては、上述したように、流動パラフィン等の、常温で液体の脂肪族炭化水素を含むものが好ましく、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素を含むものがより好ましい。
【0102】
また、前記キャリア液としては、市販のものも用いることができる。具体的には、例えば、エクソンモービル社製のアイソパーG、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV、株式会社MORESCO製の流動パラフィン「モレスコホワイトP−40」、「モレスコホワイトP−70」、「モレスコホワイトP−200」、コスモ石油株式会社製の流動パラフィン「コスモホワイトP−60」、「コスモホワイトP−70」、「コスモホワイトP−120」等が挙げられる。
【0103】
また、ここで使用し得るキャリア液としては、前記物性に加えて、セルロースエーテル系樹脂を溶解させることができるもの(セルロースエーテル系樹脂の溶解度が相対的に高いもの)が好ましい。そのようなキャリア液としては、例えば、植物性の油、動物性の油、鉱物性の油等の油類が挙げられ、これらのうちでも植物性の油が好ましく、さらには植物性の油のうちでも、上述したように、トール油脂肪酸(主成分:オレイン酸、リノール酸)が好ましい。
【0104】
また、前記キャリア液としては、セルロースエーテル系樹脂がキャリア液に溶解すれば特に限定されない。前記キャリア液としては、セルロースエーテル系樹脂の溶解度が相対的に高いもの(セルロースエーテル系樹脂の良溶媒)のみを用いてもよく、又は、セルロースエーテル系樹脂の良溶媒と、セルロースエーテル系樹脂の溶解度が相対的に低いもの(セルロースエーテル系樹脂の貧溶媒)とを混合して用いてもよい。その場合、用いるキャリア液の種類によってキャリア液全体の導電率ひいては液体現像剤の導電率が過度に高くならないように留意する。例えば、トール油脂肪酸をはじめ、植物性の油、動物性の油、鉱物性の油は、流動パラフィン等のような脂肪族炭化水素等と比べると、一般に、導電率が高い。したがって、セルロースエーテル系樹脂をキャリア液に良好に溶解させるために、キャリア液として前記油類を含むときは、その含有量に留意する必要がある。
【0105】
キャリア液全体における前記油類の含有量が多いほど、セルロースエーテル系樹脂の溶解度の点で有利となるが、導電率の点で不利となる傾向がある。一方、キャリア液全体における前記油類の含有量が少ないほど、導電率の点で有利となるが、セルロースエーテル系樹脂の溶解度の点で不利となるとなる傾向がある。前記油類の含有量は、液体現像剤中のセルロースエーテル系樹脂の種類や含有量等によっても異なるが、例えば、前記液体現像剤100質量部に対して、20〜90質量部であることが好ましく、30〜80質量部であることがより好ましく、40〜70質量部であることがさらに好ましい。前記油類の含有量が少なすぎると、セルロースエーテル系樹脂をキャリア液に良好に溶解させることが困難となる傾向がある。また、前記油類の含有量が多すぎると、キャリア液全体の導電率ひいては液体現像剤の導電率が過度に高くなる傾向がある。液体現像剤の導電率が過度に高くなると、現像性が不足し、画像濃度が低くなり、かぶりが多くなる可能性がある。
【0106】
液体現像剤の導電率は、例えば、200pS/cm以下であることが好ましい。したがって、トール油脂肪酸等の前記油類にセルロースエーテル系樹脂を溶解させ、得られた溶液(本明細書において「樹脂溶液」という)に高電気抵抗の脂肪族炭化水素を混合することにより、キャリア液全体の導電率ひいては液体現像剤の導電率を例えば200pS/cm以下に調整することが好ましい。
【0107】
前記着色粒子としては、顔料を結着樹脂に分散させたトナーであっても、顔料そのものであってもよい。そのような顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0108】
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等が挙げられる。橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等が挙げられる。紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、C.I.Pigment Blue 15:3、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等が挙げられる。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等が挙げられる。
【0109】
液体現像剤中の顔料の含有量は、1〜30質量%が好ましい。より好ましくは、3質量%以上であり、さらに好ましくは、5質量%以上である。また、より好ましくは、20質量%以下であり、さらに好ましくは、10質量%以下である。
【0110】
液体現像剤中の顔料の平均粒子径、すなわち、体積基準の中位径(D50)は、0.1〜1.0μmであることが好ましい。顔料の平均粒子径が小さすぎると、現像性が不足し、画像濃度が低くなり、かぶりが多くなる可能性がある。また、顔料の平均粒子径が大きすぎると、定着性が低下する可能性がある。ここで、体積基準の中位径(D50)とは、一般に、粒度分布が求められている1群の粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたときの累積カーブが50%となる点の粒子径をいう。
【0111】
また、このような液体現像剤には、液体現像剤中の粒子の分散を促進し安定化するための分散安定剤を含有してもよい。分散安定剤としては、例えば、ビックケミー社製の「BYK−116」等が好適である。その他、ルーブリゾール社製の「ソルスパース9000」、「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」や、ISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」、「Antaron(登録商標)V−220」等も好ましく用いられ得る。
【0112】
液体現像剤中の分散安定剤の含有量は、1〜10質量%程度、好ましくは、2〜6質量%程度である。
【0113】
前記セルロースエーテル系樹脂は、セルロース分子内の水酸基がアルコキシ基に置換された高分子である。その置換率としては、特に限定されないが、例えば、45〜49.5%であることが好ましい。また、アルコキシ基のアルキル部分が例えばヒドロキシル基等によって置換されていてもよい。セルロースエーテル系樹脂によって形成された被膜は、強靭性、熱安定性等に優れている。
【0114】
前記セルロースエーテル系樹脂としては、以下の性状であることが好ましい。まず、セルロースエーテル系樹脂がキャリア液に溶解した状態で長期間安定して存在可能であることが好ましい。さらに、記録媒体への画像の転写後に、記録媒体の表面上でキャリア液中のセルロースエーテル系樹脂の濃度が高くなって飽和溶解量を超えると、セルロースエーテル系樹脂が記録媒体の表面上に留まって被膜を形成可能であることが好ましい。このようなセルロースエーテル系樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロース;等が挙げられる。これらは状況に応じて単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、熱エネルギーや光エネルギーを消費することなく、定着性に優れる液体現像剤が確実に得られるという点で、アルキルセルロースが好ましく、アルキルセルロースのうちでも、エチルセルロースが好ましい。
【0115】
前記セルロースエーテル系樹脂としては、市販されているものを使用することができる。例えば、エチルセルロースとして、ダウケミカル社製の「エトセル(登録商標)STD4」、「エトセル(登録商標)STD7」、「エトセル(登録商標)STD10」等が挙げられる。これらは状況に応じて単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0116】
前記セルロースエーテル系樹脂の含有量は、前記液体現像剤100質量部に対して、1〜6質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましく、3〜4質量部であることがさらに好ましい。前記セルロースエーテル系樹脂の含有量が、少なすぎると、記録媒体の表面上に留まるセルロースエーテル系樹脂の被膜の量が少なくなり過ぎ、造膜性ひいては定着性が過度に不足する可能性がある。前記セルロースエーテル系樹脂の含有量が多すぎると、記録媒体の表面上に留まるセルロースエーテル系樹脂の被膜の量が多くなり過ぎ、被膜の乾燥性が過度に低下し、被膜の粘着性(タック性)が過度に大きくなり、画像の耐擦過性が過度に低下する可能性がある。また、現像性が不足し、画像濃度が低くなり、かぶりが多くなる可能性もある。
【0117】
液体現像剤の第2の例としては、例えば、キャリア液と、キャリア液中に分散された着色粒子と、キャリア液中に溶解された樹脂とを含み、前記樹脂が、環状オレフィン共重合体を含有する液体現像剤が挙げられる。
【0118】
前記環状オレフィン共重合体が、ノルボルネンとエチレンとの共重合体であることが好ましい。前記環状オレフィン共重合体の含有量は、前記液体現像剤100質量部に対して、2〜8質量部であることが好ましい。
【0119】
前記キャリア液としては、前記液体現像剤の第1の例のキャリア液と同様のものが挙げられる。
【0120】
そして、ここで使用し得るキャリア液としては、前記物性に加えて、環状オレフィン共重合体を溶解させることができるもの(環状オレフィン共重合体の溶解度が相対的に高いもの)が好ましい。また、前記キャリア液としては、環状オレフィン共重合体がキャリア液に溶解すれば特に限定されない。前記キャリア液としては、環状オレフィン共重合体の溶解度が相対的に高いもの(環状オレフィン共重合体の良溶媒)のみを用いてもよく、又は、環状オレフィン共重合体の良溶媒と、環状オレフィン共重合体の溶解度が相対的に低いもの(環状オレフィン共重合体の貧溶媒)とを混合して用いてもよい。その場合、用いるキャリア液の種類によってキャリア液全体の導電率ひいては液体現像剤の導電率が過度に高くならないように留意する。
【0121】
前記着色粒子としては、前記液体現像剤の第1の例の着色粒子と同様のものが挙げられる。
【0122】
また、このような液体現像剤には、前記液体現像剤の第1の例と同様、液体現像剤中の粒子の分散を促進し安定化するための分散安定剤を含有してもよい。前記分散安定剤としては、前記液体現像剤の第1の例の分散安定剤と同様のものが挙げられる。
【0123】
前記環状オレフィン共重合体は、環状オレフィン骨格を主鎖に有し、環境負荷物質を含まない、非晶性で熱可塑性のオレフィン系樹脂である。そして、前記環状オレフィン共重合体は、透明性、軽量性、低吸水性等に優れている。前記環状オレフィン共重合体としては、主鎖が炭素−炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物であることが好ましい。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(環状オレフィン)を単量体として用いることで導入される。
【0124】
前記環状オレフィン共重合体としては、以下の性状であることが好ましい。まず、環状オレフィン共重合体がキャリア液に溶解した状態で長期間安定して存在可能であることが好ましい。さらに、記録媒体への画像の転写後に、記録媒体の表面上でキャリア液中の環状オレフィン共重合体の濃度が高くなって飽和溶解量を超えると、環状オレフィン共重合体が記録媒体の表面上に留まって被膜を形成可能であることが好ましい。このような環状オレフィン共重合体としては、例えば、(1)環状オレフィンの付加(共)重合体又はその水素添加物、(2)環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物、(3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、等が挙げられる。
【0125】
前記環状オレフィンの具体例としては、(a)シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;(b)シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;(c)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;(d)トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;(e)トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンとの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;(f)5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の3環の環状オレフィン;(g)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等の4環の環状オレフィン;(h)8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;(i)テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセン);(j)ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;(k)シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィン;等が挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0126】
前記α−オレフィンとしては、炭素数が2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンが好ましく、その具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0127】
環状オレフィンの重合方法、環状オレフィンとα−オレフィンとの重合方法、及び得られた重合体の水素添加方法には、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0128】
また、環状オレフィン共重合体の構造には、格別な制限はなく、鎖状でも、分岐状でも、架橋状でもよいが、好ましくは直鎖状である。
【0129】
前記環状オレフィン共重合体としては、例えば、ノルボルネンとエチレンとの共重合体、又は、テトラシクロドデセンとエチレンとの共重合体が好ましく用いられ、ノルボルネンとエチレンとの共重合体がより好ましく用いられる。その場合の、共重合体中のノルボルネンの含有率は、60〜82質量%が好ましく、60〜79質量%がより好ましく、60〜76質量%がさらに好ましく、60〜65質量%が一層好ましい。ノルボルネン含有率が低すぎると、環状オレフィン共重合体の被膜のガラス転移温度が低くなり過ぎ、環状オレフィン共重合体被膜の造膜性が低下する可能性がある。また、ノルボルネン含有率が高すぎると、環状オレフィン共重合体の被膜のガラス転移温度が高くなり過ぎ、環状オレフィン共重合体被膜による顔料つまり画像の定着性が低下する可能性がある。また、キャリア液への環状オレフィン共重合体の溶解度が過度に低くなる可能性がある。
【0130】
前記環状オレフィン共重合体としては、市販されているものを使用することができる。例えば、ノルボルネンとエチレンとの共重合体として、トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・ゲーエムベーハー社製の「TOPAS(登録商標)TM」(ノルボルネン含有率:約60質量%、ガラス転移温度:約60℃)、「TOPAS(登録商標)TB」(ノルボルネン含有率:約60質量%、ガラス転移温度:約60℃)、「TOPAS(登録商標)8007」(ノルボルネン含有率:約65質量%、ガラス転移温度:約80℃)、「TOPAS(登録商標)5013」(ノルボルネン含有率:約76質量%、ガラス転移温度:約140℃)、「TOPAS(登録商標)6013」(ノルボルネン含有率:約76質量%、ガラス転移温度:約140℃)、「TOPAS(登録商標)6015」(ノルボルネン含有率:約79質量%、ガラス転移温度:約160℃)、「TOPAS(登録商標)6017」(ノルボルネン含有率:約82質量%、ガラス転移温度:約180℃)等が挙げられる。これらは状況に応じて単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0131】
前記環状オレフィン共重合体の含有量は、前記液体現像剤100質量部に対して、2〜8質量部であることが好ましく、3〜6質量部であることがより好ましく、3.5〜4質量部であることがさらに好ましい。環状オレフィン共重合体の含有量が少なすぎると、記録媒体の表面上に留まる環状オレフィン共重合体被膜の量が少なくなり過ぎ、造膜性ひいては定着性が過度に不足する可能性がある。また、環状オレフィン共重合体の含有量が多すぎると、記録媒体の表面上に留まる環状オレフィン共重合体被膜の量が多くなり過ぎ、被膜の乾燥性が過度に低下し、被膜の粘着性(タック性)が過度に大きくなり、画像の耐擦過性が過度に低下する可能性がある。
【0132】
また、液体現像剤に含まれるキャリア液としては、上述したように、単一の液体からなるものであってもよいし、2種類以上の液体を組み合わせたものであってもよい。
【0133】
液体現像剤に含まれるキャリア液として、2種類以上の液体を組み合わせたものを用いる場合、液体現像剤に含まれる樹脂が不溶な第1溶媒と、前記樹脂が可溶な第2溶媒とを少なくとも含む場合が挙げられる。すなわち、液体現像剤に含まれる樹脂に対する貧溶媒と良溶媒との混合溶媒が挙げられる。キャリア液が、このような第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒である場合、前記凝集促進剤として、前記第1溶媒を用いることが好ましい。そうすることによって、液体現像剤を構成する成分以外の成分を用いることなく、2次転写後に、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を、中間転写ベルト21のクリーニング部22で好適にクリーニングすることができる。
【0134】
また、このような場合、本実施形態に係る画像形成装置としては、後述するように、液体現像剤を調製するキャリア液を貯留しているキャリアタンクから、液体現像剤を調製するためだけではなく、凝集促進剤として供給するように構成されていてもよい。
【0135】
このような場合、液体現像剤に含まれる樹脂が、セルロースエーテル系樹脂を含み、液体現像剤に含まれるキャリア液が、トール油脂肪酸と脂肪族炭化水素との混合溶媒であり、液体現像剤に含まれる凝集防止剤が、脂肪族炭化水素であることが好ましい。さらに、セルロースエーテル系樹脂としては、エチルセルロースが好ましい。
【0136】
このような液体現像剤及び凝集促進剤を用いることによって、2次転写後に、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができる。
【0137】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0138】
まず、凝集防止剤として、脂肪族炭化水素を用いることによって、トール油脂肪酸と好適に相溶し、液体現像剤に溶解されているセルロースエーテル系樹脂を凝集させることができると考えられる。よって、着色粒子とともに凝集されたセルロースエーテル系樹脂を、クリーニング部で好適に回収することができると考えられる。
【0139】
また、このような液体現像剤を用いると、着色粒子像が記録媒体に転写された後、キャリア液が記録媒体の内部に吸収されると考えられる。そして、その吸収の際に、セルロースエーテル系樹脂が、記録媒体の表面に留まっている顔料等の着色粒子を被覆しつつ、記録媒体の表面上に留まって、被膜を形成すると考えられる。このセルロースエーテル系樹脂の被膜によって、着色粒子が記録媒体に定着されると考えられる。よって、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができる。
【0140】
以上のことから、2次転写後に、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができると考えられる。
【0141】
また、上記のような場合、セルロースエーテル系樹脂の含有量が、液体現像剤100質量部に対して1〜6質量部であり、トール油脂肪酸の含有量が、液体現像剤100質量部に対して20〜90質量部であることが好ましい。そうすることによって、セルロースエーテル系樹脂やトール油脂肪酸の、上述した作用が好適に発揮できると考えられ、より好適にクリーニングできると考えられる。
【0142】
また、液体現像剤に含まれるキャリア液が、単一の液体からなるものである場合、液体現像剤に含まれる樹脂が、環状オレフィン共重合体を含み、液体現像剤に含まれるキャリア液が、脂肪族炭化水素であり、液体現像剤に含まれる凝集促進剤が、アルコール系溶媒であることが好ましい。さらに、前記環状オレフィン共重合体としては、ノルボルネンとエチレンとの共重合体であることが好ましい。
【0143】
このような液体現像剤及び凝集促進剤を用いることによって、2次転写後に、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させて、画像を形成することができる。
【0144】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0145】
まず、凝集防止剤として、アルコール系溶媒を用いることによって、液体現像剤に溶解されている環状オレフィン共重合体を凝集させることができると考えられる。よって、着色粒子とともに凝集された環状オレフィン共重合体を、クリーニング部で好適に回収することができると考えられる。
【0146】
また、このような液体現像剤を用いると、着色粒子像が記録媒体に転写された後、キャリア液が記録媒体の内部に吸収されると考えられる。そして、その吸収の際に、環状オレフィン共重合体が、記録媒体の表面に留まっている顔料等の着色粒子を被覆しつつ、記録媒体の表面上に留まって、被膜を形成すると考えられる。このセルロースエーテル系樹脂の被膜によって、着色粒子が記録媒体に定着されると考えられる。よって、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させることができる。
【0147】
以上のことから、2次転写後に、中間転写ベルト21上に残留した液体現像剤を好適にクリーニングすることができ、さらに、光エネルギーや熱エネルギー等のエネルギーによらず、記録媒体に転写した着色粒子像を定着させることができると考えられる。
【0148】
また、上記のような場合、前記環状オレフィン共重合体の含有量が、前記液体現像剤100質量部に対して2〜8質量部であることが好ましい。そうすることによって、環状オレフィン共重合体の、上述した作用が好適に発揮できると考えられ、より好適にクリーニングできると考えられる。
【0149】
また、供給ノズル104からの凝集促進剤の供給速度としては、中間転写ベルト21のクリーニング部22によるクリーニングが好適に行うことができれば、特に限定されない。凝集促進剤や樹脂の種類等によっても異なるが、具体的には、例えば、0.15〜0.5g/秒であることが好ましい。凝集促進剤の供給速度が遅すぎると、凝集促進剤を塗布することによって、クリーニング性を高めるという効果が不充分になる傾向がある。また、凝集促進剤の供給速度が速すぎても、クリーニング性を高めるという効果を飽和する傾向があるだけではなく、中間転写ベルト21のクリーニング部22によって回収される液体の量が増える。すなわち、クリーニング性を高めるという効果をさほど高めることなく、単に廃液の量が増えてしまう結果となる。
【0150】
次に、図4及び図5を参照しながら、現像装置14について説明する。なお、図4は、図1及び図2に示す画像形成装置に備えられる現像装置を一側面側から見た斜視図であり、長手方向における現像装置の全体的な構造を示す。図5は、図4のX−X線に沿って切断した断面図である。
【0151】
現像装置14は、後述する構成要素を収容する現像容器50を含む。また、現像容器50は、現像装置14の長手方向、つまり感光体ドラム10の回転軸方向に沿って延びる形状を有する部材である。
【0152】
現像装置14は、本体フレーム51、中間フレーム55、上部フレーム54、及び一対の側面フレーム52,53を含む。
【0153】
本体フレーム51は、現像装置14の長手方向に延びる容器状の部材である。また、本体フレーム51は、図5に示すように上方に開口している。本体フレーム51の内部には、現像装置14の長手方向に延びる2段の溝部51a,40が形成されている。上側の溝部51aには、後述するニップ形成ローラ33が回転可能に配置されている。下側の溝部40には、第1搬送スクリュー45が回転可能に配置されている。上側溝部51aおよび下側溝部40は互いに連通されている。
【0154】
中間フレーム55は、現像装置14の長手方向に延びる容器状の部材である。また、中間フレーム55は、上方に開口しているとともに、本体フレーム51の開口の一部を覆うように本体フレーム51に上方から取り付けられている。中間フレーム55の底部には、現像装置14の長手方向に延びる溝部46が形成されている。溝部46には、第2搬送スクリュー47が回転可能に配置されている。
【0155】
上部フレーム54は、現像装置14の長手方向に延びる部材である。また、上部フレーム54は、中間フレーム55の開口を覆うように中間フレーム55に上方から取り付けられている。
【0156】
本体フレーム51、中間フレーム55および上部フレーム54は、互いに略同一の長手方向寸法を有している。
【0157】
一対の側面フレーム52,53は、現像容器50の長手方向両端部において、本体フレーム51の両側面および中間フレーム55の両側面を覆っている。一方の側面フレーム52からは、後述する第1回収路40が現像装置14の長手方向に突出している。
【0158】
図4及び図5に示すように、現像装置14に液体現像剤を供給するための液体現像剤供給装置38が、本体フレーム51の外面にビス等で取り付けられている。液体現像剤供給装置38は、現像装置14内に延びる複数本(図4及び図5に示す現像装置の場合、5本)の分岐供給管39を有している。
【0159】
液体現像剤供給装置38は、供給チューブ872を介して、液体現像剤リザーブタンク(収容容器)277と接続されている。そして、液体現像剤供給装置38は、液体現像剤LDを収容する液体現像剤リザーブタンク277から液体現像剤LDを現像装置14に供給する。液体現像剤リザーブタンク277には、攪拌部材277aが設けられており、攪拌部材277aによって液体現像剤LDは適宜攪拌される。
【0160】
現像装置14は、図5に示すように、現像容器50内において、現像ローラ31、供給ローラ32、ニップ形成ローラ33、規制ブレード35、現像ローラ帯電器34、クリーニングローラ37およびクリーニングブレード36を備える。
【0161】
ニップ形成ローラ33は、上述したように本体フレーム51の上側溝部51a内に回転可能に配置されたローラである。供給ローラ32は、ニップ形成ローラ33の斜め上方位置でニップ形成ローラ33の回転軸方向に沿って延びるローラである。ニップ形成ローラ33は、供給ローラ32に当接した状態で配置されている。これにより、ニップ形成ローラ33と供給ローラ32との間には、供給ニップ部NPが形成されている。上述した液体現像剤供給装置38の複数の分岐供給管39は、ニップ形成ローラ33の回転軸方向に並んで配置されている。そして、分岐供給管39の吐出口39aは、供給ニップ部NPに向いている。したがって、液体現像剤は、液体現像剤供給装置38によって供給ニップ部NPに吐出される。図5では、ニップ形成ローラ33は、反時計方向に回転され、供給ローラ32は、時計方向に回転される。
【0162】
吐出口39aから供給ニップ部NPに吐出された液体現像剤は、供給ニップ部NPにおいて一時的に滞留された後、ニップ形成ローラ33および供給ローラ32の回転に伴って供給ニップ部NPを通過し、供給ローラ32の周面上に保持された状態で上方に運ばれる。供給ローラ32の周面には、液体現像剤を保持するための溝が形成されている。
【0163】
規制ブレード35は、その先端が供給ローラ32の周面に圧接されている。その圧接状態により、規制ブレード35は、供給ローラ32の周面上の液体現像剤の量が所定量になるように規制する。また、規制ブレード35は、例えば、ウレタンゴム等の材料から形成されている。規制ブレード35によって掻き落とされた余剰の液体現像剤は、自然落下に従って上側溝部51a、次に下側溝部40で受け取られる。下側溝部(回収路)40は、規制ブレード35によって掻き落とされた液体現像剤を回収する第1回収路を構成しており、液体現像剤は第1搬送スクリュー45の回転によって液体現像剤回収容器70(図6)に搬送される。
【0164】
現像ローラ31は、本体フレーム51、中間フレーム55、及び上部フレーム54間に形成された開口部に、供給ローラ32と接するように配置されている。現像ローラ31は、ニップ形成ローラ33や供給ローラ32に平行に延び、図5では時計方向に回転される。したがって、現像ローラ31と供給ローラ32とが接するニップ部では、現像ローラ31の周面は供給ローラ32の周面と逆方向に移動する。これにより、現像ローラ31の周面に、供給ローラ32の周面に保持されている液体現像剤が受け渡される。供給ローラ32上の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ31の周面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
【0165】
現像ローラ帯電器34は、着色粒子の帯電極性と同極性の帯電電位を与えることで、現像ローラ31に担持された液体現像剤層中の着色粒子を現像ローラ31の周面側に移動させ、現像効率を向上させる作用を果たすものである。現像ローラ帯電器34は、現像ローラ31の回転方向から見て現像ローラ31と供給ローラ32との間のニップ部よりも下流側であって、現像ローラ31と感光体ドラム10との間のニップ部よりも上流側において、現像ローラ31の周面に対向するように設けられている。
【0166】
現像ローラ31は、感光体ドラム10に接しており、感光体ドラム10との間でニップ部を形成している。感光体ドラム10の周面上の静電潜像の電位と現像ローラ31に印加される現像バイアスとの電位差により、着色粒子が感光体ドラム10の周面上に移動して静電潜像が現像される。これにより、着色粒子像が感光体ドラム10の周面上に形成される。
【0167】
クリーニングローラ37は、現像ローラ31の回転方向から見て感光体ドラム10の下流側に配置され、その周面が現像ローラ31の周面に接触している。これにより、現像ローラ31の周面上に残留する液体現像剤が掻き落とされる。掻き落とされた液体現像剤は、中間フレーム55に形成された溝部46に受け取られる。
【0168】
クリーニングブレード36は、現像ローラ31の回転方向から見てクリーニングローラ37の下流側に配置され、その先端部が現像ローラ31の周面に接触している。これにより、クリーニングローラ37によって掻き落とされなかった現像ローラ31の周面上に残留する液体現像剤がさらに掻き落とされる。掻き落とされた液体現像剤は、クリーニングブレード36の表面に沿って流下し、中間フレーム55に形成された溝部46に受け取られる。溝部46は、第2回収路として構成される。この第2回収路(溝部)46内の液体現像剤は、第2搬送スクリュー47の回転により、第2回収路46と第1回収路40とを連通させる合流路48(図6)に導かれる。その後、合流路48に導かれた液体現像剤は、第1回収路40を通って液体現像剤回収容器70に搬送される。
【0169】
次に、図6を参照しながら、液体現像剤を現像装置14に供給するととともに、液体現像剤を現像装置14から回収して再利用する、液体現像剤の循環系統について説明する。図6は、一つの液体現像剤循環装置LCの概略構成図であり、液体現像剤の循環系統を模式的に示す。他の液体現像剤循環装置LY、LM、LBも同じ構成である。液体現像剤循環装置LCは、液体現像剤を現像装置14に供給するととともに、第1回収路40および第2回収路46を介して液体現像剤回収容器70に回収された液体現像剤を再利用するためのものである。
【0170】
また、液体現像剤として、キャリア液として2種類の液体を用いた場合について説明する。具体的には、この液体現像剤循環装置は、液体現像剤に含まれる樹脂をキャリア液に溶解させた樹脂溶液、液体現像剤に含まれる着色粒子である顔料をキャリア液に分散させた顔料分散液、及び2種類のキャリア液を混合することによって、液体現像剤を調製する場合について説明する。そして、この液体現像剤循環装置は、その一方のキャリア液を、凝集促進剤として用いることができるように構成されている。すなわち、液体現像剤循環装置は、一方のキャリア液を、凝集促進剤添加部101の供給ノズル104から塗布ローラ102に供給することができるように構成されている。
【0171】
液体現像剤循環装置LCは、液体現像剤回収容器70、現像剤調製容器272、第1キャリアタンク281、第2キャリアタンク282、樹脂溶液タンク283、顔料分散液タンク284、現像剤リザーブタンク277、及び複数のポンプP1〜P12を含む。
【0172】
液体現像剤回収容器70は、第1パイプ83を介して現像剤調製容器272に接続されている。第1パイプ83には、第1ポンプP1が配設されており、液体現像剤回収容器70に回収された液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動によって現像剤調製容器272に送られる。
【0173】
現像剤調製容器272は、回収された液体現像剤に、第1キャリア液、第2キャリア液、樹脂溶液、及び顔料分散液を加えることで、顔料濃度を適正範囲に調整するものである。顔料濃度が調整された液体現像剤は、現像装置14に再度供給される。
【0174】
固形分濃度検出装置273は、現像剤調製容器272内の液体現像剤の顔料濃度を検出するための装置である。固形分濃度検出装置273は、現像剤調製容器272に接続されている環状の第2パイプ84に接続されている。また、第2パイプ84には、第2ポンプP2が取り付けられている。現像剤調製容器272内の液体現像剤は、第2ポンプP2の駆動により第2パイプ84の入口端から固形分濃度検出装置273へ導かれ、その後、第2パイプ84の出口端から現像剤調製容器272に戻される。
【0175】
第1キャリアタンク281は、第1キャリア液を貯留するタンクである。第2キャリアタンク282は、第2キャリア液を貯留するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤調製容器272内の顔料濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、第1キャリアタンク281及び第2キャリアタンク282から現像剤調製容器272内に、第1キャリア液と第2キャリア液とが所定の割合で供給され、現像剤調製容器272内の液体現像剤の顔料濃度が下げられる。
【0176】
第1キャリアタンク281は、現像剤調製容器272と第3パイプ85で接続されており、第3パイプ85には、第3ポンプP3が配設されている。また、第3パイプ85は、流路変更部291が備えられており、この流路変更部291を介して、凝集促進剤添加部101の供給ノズル104に接続されている。第3ポンプP3を駆動させ、この流路変更部291を切り替えることによって、第1キャリアタンク281から、第1キャリア液が現像剤調製容器272に供給されるだけではなく、凝集促進剤添加部101の供給ノズル104に供給される。よって、第1キャリア液を凝集促進剤としても用いることができる。
【0177】
また、第2キャリアタンク282は、現像剤調製容器272と第4パイプ86で接続されており、第4パイプ86には、第4ポンプP4が配設されている。第4ポンプP4の駆動によって、第2キャリアタンク282から現像剤調製容器272に第2キャリア液が供給される。
【0178】
樹脂溶液タンク283は、樹脂溶液を貯留するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤調製容器272内の樹脂濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、樹脂溶液タンク283から現像剤調製容器272内に樹脂溶液が供給され、容器272内の液体現像剤の樹脂濃度が上げられる。樹脂溶液タンク283は、現像剤調製容器272と第5パイプ87で接続されており、第5パイプ87には、第5ポンプP5が配設されている。第5ポンプP5の駆動によって、樹脂溶液タンク283から現像剤調製容器272に、樹脂溶液が供給される。
【0179】
顔料分散液タンク284は、顔料分散を貯留するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤調製容器272内の顔料濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、顔料分散液タンク284から現像剤調製容器272内に顔料分散液が供給され、容器272内の液体現像剤の顔料濃度が上げられる。顔料分散液タンク284は、現像剤調製容器272と第6パイプ88で接続されており、第6パイプ88には、第6ポンプP6が配設されている。第6ポンプP6の駆動によって、顔料分散液タンク284から現像剤調製容器272に、顔料分散液が供給される。
【0180】
現像剤調製容器272内には、液体現像剤を攪拌するための攪拌装置276が配設されている。攪拌装置276によって攪拌させることによって、現像剤調製容器272内へ導入された第1キャリア液、第2キャリア液、樹脂溶液、及び顔料分散液が、現像剤調製容器272内の既存の液体現像剤と均一に混合することができる。また、攪拌装置276によって攪拌させることによって、現像剤調製容器272内に収容されている液体現像剤において凝集することがある顔料を再分散させることができる。攪拌装置276は、回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた攪拌羽根とを含む。
【0181】
現像剤リザーブタンク277は、液体現像剤供給装置38(図4)を介して現像装置14に補給する液体現像剤を収納するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤調製容器272と第7パイプ871で接続されており、第7パイプ871には、第7ポンプP7が配設されている。第7ポンプP7の駆動によって、現像剤調製容器272から現像剤リザーブタンク277に液体現像剤が供給される。
【0182】
また、現像剤リザーブタンク277は、液体現像剤供給装置38(図4)と供給チューブ872によって接続されている。供給チューブ872には、上述したように、第8ポンプP8が配設されており、第8ポンプP8の駆動によって液体現像剤が現像剤リザーブタンク277から液体現像剤供給装置38に供給される。
【0183】
さらに、現像剤リザーブタンク277は、第1キャリアタンク281と、第1直結管路911で接続されている。また、現像剤リザーブタンク277は、第2キャリアタンク282と、第2直結管路912で接続されている。また、現像剤リザーブタンク277は、樹脂溶液タンク283と、第3直結管路913で接続されている。また、現像剤リザーブタンク277は、顔料分散液タンク284と、第4直結管路914で接続されている。第1直結管路911、第2直結管路912、第3直結管路913、及び第4直結管路914には、第9ポンプP9、第10ポンプP10、第11ポンプP11、第12ポンプP12が、それぞれ配置されている。すなわち、現像剤リザーブタンク277には、第1キャリアタンク281、第2キャリアタンク282、樹脂溶液タンク283、及び顔料分散液タンク284から、第1キャリア液、第2キャリア液、樹脂溶液、及び顔料分散液を直接的に供給されることが可能となっている。第1直結管路911、第2直結管路912、第3直結管路913、及び第4直結管路914からの、第1キャリア液、第2キャリア液、樹脂溶液、及び顔料分散液の供給系統は、未だ回収液体現像剤が発生していないカラープリンタ1の使用開始時等に、既知の配合比に従って速やかに液体現像剤を生成する場合に活用される。
【0184】
なお、図示は省略しているが、液体現像剤回収容器70、第1キャリアタンク281、第2キャリアタンク282、樹脂溶液タンク283、顔料分散液タンク284、及び現像剤リザーブタンク277の適所には、これらタンク内の液面高さを検知するための液面検出装置が設けられている。
【0185】
なお、第1キャリアタンク281及び第2キャリアタンクには、ブラック、マゼンタおよびイエローの各色用の現像剤調製容器が接続されているとともに、ブラック、マゼンタおよびイエローの各色用の現像剤リザーブタンクが接続されている。
【0186】
本実施形態に係る画像形成装置は、上記動作によって、液体現像剤を用いて記録媒体上に高画質な画像を形成することができる。
【実施例】
【0187】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に何ら限定されるものではない。
【0188】
(液体現像剤Aの製造)
第1キャリア液としての流動パラフィン(株式会社MORESCO製のモレスコホワイトP−200)72質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのルーブリゾール社製のSolsperse17000 8質量部とを、混合した。その混合物を、ダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)で粉砕した。そうすることによって、顔料分散体が得られた。この顔料分散体は、含有される顔料の体積平均粒子径が0.5μmであった。
【0189】
また、セルロースエーテル系樹脂としてのエチルセルロース(日進化成株式会社製のエトセル STD4)5質量部を、第2キャリア液としてのトール油脂肪酸(ハリマ化成株式会社製のハートールFA−1)95質量部に溶解させることにより、樹脂溶液を調製した。
【0190】
そして、樹脂溶液と顔料分散体とを3:1の混合比(質量比)で混合することにより、顔料濃度が5質量%、樹脂濃度が3.8質量%であるシアンの液体現像剤Aを製造した。
【0191】
なお、第1キャリア液である流動パラフィンには、樹脂であるエチルセルロースが不溶である。第2キャリア液であるトール油脂肪酸には、樹脂であるエチルセルロースが可溶である。
【0192】
(液体現像剤Bの製造)
環状オレフィン共重合体として、ノルボルネンとエチレンとの共重合体(トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・ゲーエムベーハー社製の「TOPAS(登録商標)TM」(ノルボルネン含有率:約60質量%、ガラス転移温度:約60℃))5質量部を、キャリア液としての流動パラフィン(株式会社MORESCO製の「モレスコホワイトP−200」)95質量部に溶解させることにより、樹脂溶液を調製した。
【0193】
また、キャリア液としての流動パラフィン(株式会社MORESCO製の「モレスコホワイトP−200」)72質量部に、着色粒子としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)20質量部と、分散安定剤としてのISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」8質量部とを、ロッキングミル(セイワ技研社製の「RM−10」)を用いて、駆動周波数60Hzにて、1時間、混合・分散させることにより、顔料分散体を調製した。
【0194】
顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmであった。そして、樹脂溶液と顔料分散体とを3:1の混合比(質量比)で混合することにより、表1に示すように、顔料を5質量%、環状オレフィン共重合体を3.75質量%含有するシアンの液体現像剤Bを製造した。
【0195】
なお、キャリア液である流動パラフィンには、樹脂であるノルボルネンとエチレンとの共重合体が可溶である。
【0196】
(実施例1)
図1〜6に示された画像形成装置(カラープリンタ)1(京セラミタ株式会社製の湿式画像形成装置の実験機、ポリイミド製の中間転写ベルトを備えた画像形成装置)を用い、以下の条件で、記録媒体としてのA4白紙上に所定の画像パターンを印字した。その際の印字条件は、線速0.1m/秒、現像ローラに印加する現像バイアス300V、感光体ドラムの表面電位450V、2次転写部の転写ローラに印加する転写バイアス(中間転写バイアス)300V、2次転写時に、中間転写ベルトに流れる電流(転写電流)30μAの条件である。
【0197】
そして、凝集促進剤添加部101の供給ノズル104から、凝集促進剤として、エクソンモービル社製のアイソパーGを供給速度0.2g/秒で供給した。
【0198】
なお、液体現像剤Aに含まれる樹脂は、凝集促進剤として用いられたアイソパーGに不溶である。
【0199】
また、凝集促進剤として用いられたアイソパーGは、液体現像剤Aに含まれるキャリア液に対して相溶する。すなわち、凝集促進剤として用いられたアイソパーGは、液体現像剤Aに含まれるキャリア液と相互に溶解する。
【0200】
(実施例2)
凝集促進剤として、アイソパーGの代わりに液体現像剤Aに含まれる第1キャリア液である流動パラフィン(株式会社MORESCO製のモレスコホワイトP−200)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0201】
なお、液体現像剤Aに含まれる樹脂は、凝集促進剤として用いられたモレスコホワイトP−200に不溶である。
【0202】
また、凝集促進剤として用いられたモレスコホワイトP−200は、液体現像剤Aに含まれるキャリア液に対して相溶する。すなわち、凝集促進剤として用いられたモレスコホワイトP−200は、液体現像剤Aに含まれるキャリア液と相互に溶解する。
【0203】
(実施例3)
液体現像剤として、液体現像剤Aの代わりに液体現像剤Bを用い、さらに、凝集促進剤として、アイソパーGの代わりにイソプロパノールを用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0204】
なお、液体現像剤Bに含まれる樹脂は、凝集促進剤として用いられたイソプロパノールに不溶である。
【0205】
また、凝集促進剤として用いられたイソプロパノールは、液体現像剤Bに含まれるキャリア液に対して相溶しにくい。
【0206】
(比較例1)
凝集促進剤として、アイソパーGの代わりに液体現像剤Aに含まれる第2キャリア液であるトール油脂肪酸(ハリマ化成株式会社製のハートールFA−1)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0207】
なお、液体現像剤Aに含まれる樹脂は、凝集促進剤として用いられたハートールFA−1に可溶である。
【0208】
また、凝集促進剤として用いられたハートールFA−1は、液体現像剤Aに含まれるキャリア液に対して相溶する。すなわち、凝集促進剤として用いられたハートールFA−1は、液体現像剤Aに含まれるキャリア液と相互に溶解する。
【0209】
(比較例2)
凝集促進剤として、イソプロパノールの代わりに流動パラフィン(株式会社MORESCO製のモレスコホワイトP−200)を用いたこと以外、実施例3と同様である。
【0210】
なお、液体現像剤Bに含まれる樹脂は、凝集促進剤として用いられたモレスコホワイトP−200に可溶である。
【0211】
また、凝集促進剤として用いられたモレスコホワイトP−200は、液体現像剤Bに含まれるキャリア液と同一である。
【0212】
(比較例3)
凝集促進剤添加部101の供給ノズル104から、何ら液体を供給しないこと以外、実施例1と同様である。
【0213】
(評価)
上記実施例1〜3及び比較例1〜3を以下のように評価した。
【0214】
そして、上記の各条件で、所定の画像パターンを100枚印字した後、中間転写ベルトのクリーニング部を通過した後の中間転写ベルト(クリーニング後中間転写ベルト)を目視で確認した。さらに、100枚印字後の記録媒体上に形成された画像(形成画像)を目視で確認した。
【0215】
その結果、クリーニング後中間転写ベルト上に、残留液体現像剤がほとんど確認されず、さらに、形成画像にかぶり等の不具合の発生が確認されなければ、「◎」と評価した。
【0216】
クリーニング後中間転写ベルト上に、残留液体現像剤がある程度確認されるが、形成画像にかぶり等の不具合の発生が確認されなければ、「○」と評価した。
【0217】
クリーニング後中間転写ベルト上に、残留液体現像剤がある程度確認され、部分的に残留液体現像剤に基づく着色粒子のこびりつきが確認されれば、「△」と評価した。
【0218】
クリーニング後中間転写ベルト上に、全面的に残留液体現像剤に基づく着色粒子のこびりつきが確認されれば、「×」と評価した。
【0219】
その結果、実施例1が「◎」と評価され、実施例2及び実施例3が「○」と評価された。これに対して、比較例1及び比較例2が「△」と評価され、比較例3が「×」と評価された。
【0220】
このことから、2次転写後、中間転写ベルトのクリーニング部を通過する前に、液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、中間転写ベルトに添加した場合(実施例1〜3)、中間転写ベルトのクリーニング部による、中間転写ベルトのクリーニングが好適に行えることがわかった。これに対して、液体現像剤に含まれる樹脂が可溶な溶媒を添加した場合(比較例1,2)、樹脂の凝集を充分に促進させることができず、中間転写ベルトのクリーニング部による中間転写ベルトのクリーニングが不充分になることがわかった。さらに、2次転写後、中間転写ベルトのクリーニング部を通過する前に、何ら液体を塗布しない場合(比較例3)、中間転写ベルトのクリーニング部による中間転写ベルトのクリーニングがより不充分になることがわかった。
【符号の説明】
【0221】
1 画像形成装置(カラープリンタ)
2 画像形成部
3 用紙収納部
4 2次転写部
5 定着部
6 排出部
7 用紙搬送部
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
13 除電装置
14 現像装置
20 1次転写ローラ
21 中間転写体(中間転写ベルト)
22 クリーニング部
101 凝集促進剤添加部
102 塗布ローラ
103 発泡ならしローラ
104 供給ノズル
105 凝集促進剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
キャリア液、前記キャリア液中に分散された着色粒子、及び前記キャリア液中に溶解された樹脂を含む液体現像剤を用いて、前記像担持体の表面に形成された静電潜像を顕像化した着色粒子像を形成する現像装置と、
前記像担持体に対向して配置された、回転可能な中間転写体と、
前記像担持体の表面上に形成された着色粒子像を、前記中間転写体に転写する1次転写部と、
前記中間転写体に転写された着色粒子像を記録媒体に転写する2次転写部と、
前記2次転写部による転写後、前記中間転写体に残留した液体現像剤を回収するクリーニング部と、
前記2次転写部より前記中間転写体の回転方向下流側であって、前記クリーニング部より前記中間転写体の回転方向上流側に配置され、前記液体現像剤に含まれる樹脂の凝集を促進させる凝集促進剤を、前記中間転写体の表面上に添加する凝集促進剤添加部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記樹脂が、前記凝集促進剤に不溶である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記凝集促進剤が、前記キャリア液と相互に可溶な液体である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記キャリア液が、前記樹脂が不溶な第1溶媒と、前記樹脂が可溶な第2溶媒とを少なくとも含み、
前記凝集促進剤が、前記第1溶媒である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記樹脂が、セルロースエーテル系樹脂を含み、
前記キャリア液が、トール油脂肪酸と脂肪族炭化水素との混合溶媒であり、
前記凝集防止剤が、脂肪族炭化水素である請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記セルロースエーテル系樹脂が、エチルセルロースである請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記樹脂が、環状オレフィン共重合体を含み、
前記キャリア液が、脂肪族炭化水素であり、
前記凝集促進剤が、アルコール系溶媒である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記環状オレフィン共重合体が、ノルボルネンとエチレンとの共重合体である請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−128073(P2012−128073A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278132(P2010−278132)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】