説明

画像形成装置

【課題】LED等の露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、複数の感光ドラム61をそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材(LEDアレイ40)と、複数の感光ドラム61を支持して移動可能な感光ドラム支持体(ドロワ100)を備える。複数の露光部材は、感光ドラム61に接近した露光位置と、感光ドラム61から退避して係止部(長孔112)で係止される退避位置とに移動可能となるように感光ドラム支持体に設けられ、かつ、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、感光ドラム支持体内に収容される。感光ドラム支持体には、露光部材の被作用部43Aに当接して、当該露光部材を露光位置または退避位置に移動させる作用部材(直動カム200)が移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感光ドラムをそれぞれ露光する複数の露光部材を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムの上方に配置される複数のLEDヘッド(露光部材)と、複数の感光ドラムおよび複数のLEDヘッドを支持する感光ドラム支持体とを備え、感光ドラム支持体が装置本体に対して移動可能な構成が知られている(特許文献1参照)。この技術では、LEDヘッドが感光ドラム支持体に揺動可能に設けられたアームに支持されるとともに、このアームがバネで常時上方に付勢されることで、感光ドラム支持体を装置本体外に移動させたときには、複数のアームがバネによって上方に揺動してストッパによって止められることで、複数のLEDヘッドがその露出面を前方に向けるようにして感光ドラム支持体の上方(外側)に飛び出した位置(退避位置)で保持される。これにより、感光ドラムからLEDヘッドが退避して、感光ドラムを有するカートリッジを良好に取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、感光ドラム支持体を装置本体外に移動させるとLEDヘッドが感光ドラム支持体の外側に出るため、LEDヘッドと装置本体外にある他の部材とが干渉したり、露出したLEDヘッドの露光面をユーザが触ることで露光面にゴミや傷がつき、その後の印字に影響がでるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、LEDヘッド等の露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、複数の感光ドラムと、前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムを支持する感光ドラム支持体と、を備え、前記感光ドラム支持体が、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに移動可能な画像形成装置であって、前記複数の露光部材は、前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容され、前記感光ドラム支持体には、前記露光部材の被作用部に当接して、当該露光部材を前記露光位置または前記退避位置に移動させる作用部材が移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、露光部材が露光位置および退避位置のいずれの位置であっても感光ドラム支持体内に収容されているので、露光部材と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、露光部材をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、露光部材を感光ドラムから退避させることを可能としつつ、露光部材を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【図2】フロントカバーが閉位置のときのドロワと直動カムの状態を示す断面図である。
【図3】フロントカバーが開位置のときのドロワと直動カムの状態を示す断面図である。
【図4】ドロワを装置本体外に引き出した状態を示す断面図である。
【図5】ドロワとプロセスカートリッジとの関係を示す断面図である。
【図6】LEDアレイを前後方向から見た断面図である。
【図7】直動カムを手動で動かす形態を示す断面図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0011】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。また、断面図については、図面の見易さを考慮して、特に必要な箇所にのみハッチングを施すこととする。
【0012】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙PにK,C,M,Yの各色に対応した画像を重ねて形成する画像形成部30とを備えている。
【0013】
装置本体10には、その前壁(フロント側)に開口部11(図3参照)が形成されるとともに、この開口部11を開閉するフロントカバー12が回動可能に設けられている。詳しくは、フロントカバー12は、開口部11を閉じる閉位置(図1の位置)と、開口部11を開放する開位置(図3の位置)との間で回動可能(変位可能)となっている。
【0014】
給紙部20は、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙搬送装置22とを備えている。
【0015】
画像形成部30は、複数の露光部材の一例としての4つのLEDアレイ40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0016】
LEDアレイ40は、半導体チップに複数のLEDを配列して構成されており、後述する感光ドラム61を主走査方向(感光ドラム61の軸方向)に沿って露光している。そして、各色に対応した4つのLEDアレイ40は、各色に対応した4つの感光ドラム61に対応するように、各感光ドラム61の上方に近接して配置されて、後述する感光ドラム支持体の一例としてのドロワ100に支持されている。
【0017】
プロセスカートリッジ50は、前後方向に並んで配置され、現像カートリッジ51と、当該現像カートリッジ51の下側に配置されるドラムカートリッジ60とで構成され、ドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0018】
現像カートリッジ51は、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容器52や、当該トナー収容器52内のトナーを感光ドラム61に供給する現像ローラ53や、符号を省略して示す供給ローラや層厚規制ブレードなどを備えて構成されている。そして、各色に対応した4つの現像カートリッジ51は、4つの感光ドラム61に対応するように、その内部に異なる色のトナーをそれぞれ収容して各感光ドラム61の前斜め上方に隣接して配置され、ドラムカートリッジ60に対して着脱可能となっている。
【0019】
ドラムカートリッジ60は、感光ドラム61や、符号を省略して示す公知の帯電器などを備えて構成されている。そして、4つのドラムカートリッジ60は、ドロワ100に対して着脱可能となっている。
【0020】
転写ユニット70は、給紙部20と各感光ドラム61の間に設けられ、複数のローラに張架された無端状の搬送ベルト71と、4つの転写ローラ72とを備えている。搬送ベルト71は、複数の感光ドラム61と対向するように各感光ドラム61の下側に配置されている。各転写ローラ72は、各感光ドラム61との間で搬送ベルト71を挟み込むように当該搬送ベルト71の内側に配置されている。
【0021】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0022】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、各LEDアレイ40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が担持される。
【0023】
次に、搬送ベルト71上に供給された用紙Pが各感光ドラム61と各転写ローラ72との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0024】
そして、定着ユニット80で熱定着された用紙Pは、定着ユニット80の下流側に配設される排紙ローラ90によって装置本体10外に排出され、装置本体10の上壁14に形成された排出トレイ部13上に載置される。ここで、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14の左右方向における中央部に下方に凹むように形成されており、これにより、装置本体10内における排出トレイ部13の左右両側(感光ドラム61の軸方向両側)にスペースが形成されるようになっている。
【0025】
具体的に、排出トレイ部13は、装置本体10の上壁14から下方に向けて直角に延び、かつ、用紙Pの排出口13Aを有する第1壁131と、第1壁131の下端から前斜め上方の上壁14に向けて延び、かつ、上方に凸となるような断面視円弧形状の第2壁132とを備えて構成されている。
【0026】
<ドロワ100周りの構造>
次に、ドロワ100周りの構造について詳細に説明する。
【0027】
図2〜図4に示すように、ドロワ100は、装置本体10内に収納された収納位置(図3の位置)と、収納位置から装置本体10の開口部11を通して装置本体10外へ移動した移動位置(図4)とに前後に移動可能となっている。言い換えると、ドロワ100は、排出トレイ部13に対する用紙Pの排出方向(前方)に引き出し可能となっている。
【0028】
また、ドロワ100内の各LEDアレイ40は、フロントカバー12の開閉に連動して上下動するようになっている。詳しくは、各LEDアレイ40は、フロントカバー12を閉じた状態では、感光ドラム61に接近し、かつ、露光面が感光ドラム61と対向した状態である露光位置(図2の位置)に配置され、フロントカバー12を開いた状態では、感光ドラム61から退避して係止部(後述する長孔112の上端または第2係合部222の上縁)で係止される退避位置に配置されるようになっている。なお、このとき、各LEDアレイ40の露光面は、感光ドラム61と対向した状態(下向きの状態)で上下移動するようになっている。
【0029】
そして、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100内に収容されるようになっている。すなわち、各LEDアレイ40は、露光位置および退避位置のいずれの位置においても、ドロワ100外に突出しないようになっている。換言すると、各LEDアレイ40は、上下方向においてドロワ100内を移動するようになっている。これにより、各LEDアレイ40をユーザ等から保護することが可能となっている。
【0030】
具体的に、ドロワ100は、左右(感光ドラム61の軸方向)に対向する一対の側壁110を有し、当該一対の側壁110の間において複数のプロセスカートリッジ50(複数の感光ドラム61)や複数のLEDアレイ40を支持している。また、一対の側壁110は、図5に示すように、その前端部が前壁120で連結され、その後部が後壁130で連結されている。そして、前壁120の前面には、ユーザによって把持される断面視U字状の取手部140が設けられている。詳しく述べると、ドロワ100は、略長方形の形状をした箱の中に複数のプロセスカートリッジ50(複数の感光ドラム61)や複数のLEDアレイ40を支持している。また、この箱の後端部(側壁110の後側上部)には、後方に向かって突出した略三角形状の部分がある。
【0031】
各側壁110の内面には、プロセスカートリッジ50を、被露光位置(感光ドラム61がLEDアレイ40によって露光されるときの位置)に案内するための円弧状の溝111が形成されている。これにより、プロセスカートリッジ50がドロワ100に対して円弧状に移動して着脱可能となっている。
【0032】
また、各側壁110には、各LEDアレイ40を上下に移動可能に支持する貫通部の一例としての一対の長孔112が形成されている。長孔112は、上下に延びるように形成されており、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために、LEDアレイ40の後述する被作用部43A(図6参照)と係合している。
【0033】
ここで、LEDアレイ40は、図6に示すように、複数のLEDを有するLEDヘッド41と、LEDヘッド41を感光ドラム61に向けて付勢する一対のコイルバネ42と、LEDヘッド41をコイルバネ42を介して支持する支持フレーム43とを備えている。そして、支持フレーム43は、左右方向に長尺となるように形成されており、その両端部には、各長孔112を貫通して各側壁110の左右方向外側に突出する一対の被作用部43Aが形成されている。
【0034】
各側壁110から外側に突出した各被作用部43Aは、図2〜図4に示すように、各側壁110の外側に設けられる作用部材の一例としての一対の直動カム200と当接することで、当該直動カム200によって上下に押圧されるようになっている。具体的に、直動カム200は、前後方向(ドロワ100の移動方向)に沿って動くように構成されており、主に、前後に長い板状の本体部210と、本体部210に対して左右に貫通するように形成される4つのカム孔220と、本体部210の下端の前側に形成されるラックギヤ部230とを有している。
【0035】
なお、直動カム200や後述する連動機構300などの左右に配置される各部材は、左右対称な構造であるため、以下においては、左右の一方のみを代表して説明し、他方の説明は省略する。
【0036】
本体部210は、ドロワ100の側壁110に対面して配置されており、側壁110に回転可能に設けられた複数の支持ローラ113によって前後に移動可能に支持されている。なお、図示は省略するが、側壁110には、本体部210を側壁110と対面した状態に保持しておくための保持部材(例えば、本体部210の上面、外面および下面に沿ったコ字状の部材)が設けられている。
【0037】
カム孔220は、LEDアレイ40が露光位置に位置するときに被作用部43Aに係合する第1係合部221と、LEDアレイ40が退避位置に位置するときに被作用部43Aに係合する第2係合部222と、第1係合部221と第2係合部222とを繋ぐ傾斜部223とを有している。
【0038】
第1係合部221は、前後方向に沿って延びる長孔状に形成され、その上縁で、被作用部43Aの上方への移動を規制している。具体的には、LEDアレイ40が露光位置(図6に示すLEDヘッド41に回転可能に設けられるガイドローラ41Aが感光ドラム61に接触した位置)に位置するときには、コイルバネ42によってLEDヘッド41が下方に付勢されるとともに、コイルバネ42によって被作用部43Aが上方に付勢される。そのため、LEDアレイ40は、被作用部43Aが第1係合部221の上縁に係止されることで、露光位置に位置決めされるとともに、感光ドラム61に対して好適な付勢力で付勢されるようになっている。
【0039】
第2係合部222は、前後方向に沿って延びる長孔状に形成され、その上下端で、被作用部43Aの上下方向への移動を規制している。具体的には、LEDアレイ40が退避位置に位置するとき(例えば、ドロワ100が装置本体10外に引き出されたとき)には、被作用部43Aが第2係合部222の下端で支持されることで、LEDアレイ40が露光位置に移動せずに退避位置で保持される。また、この退避位置においてユーザがLEDアレイ40を上方に引き抜こうとしても、被作用部43Aが第2係合部222の上縁(もしくは長孔112の上端)に当接することで、その移動が規制される。
【0040】
傾斜部223は、後方に向かうにつれて上方に傾斜する長孔状に形成されている。これにより、直動カム200を図2の位置から前方に動かすと、図3に示すように、傾斜部223の下縁で被作用部43Aが上方に押し上げられて、LEDアレイ40が上方の退避位置に向けて移動する。また、直動カム200を図3の位置から後方に動かすと、図2に示すように、傾斜部23の上縁で被作用部43Aが下方に押される、もしくは、LEDアレイ40の自重によって被作用部43Aが下方に下げられて、LEDアレイ40が下方の露光位置に向けて移動する。
【0041】
ラックギヤ部230は、前後方向に並んだ複数のギヤ歯を有しており、フロントカバー12の開閉による動力が連動機構300を介して伝達されるようになっている。
【0042】
連動機構300は、図2,3に示すように、フロントカバー12が閉位置から開位置に変位するときにLEDアレイ40が露光位置から退避位置に移動するように、直動カム200とフロントカバー12とを連動させている。具体的に、連動機構300は、フロントカバー12の内面に一体に設けられる円弧状ギヤ部310と、円弧状ギヤ部310と噛み合う第1ギヤ320と、第1ギヤ320とラックギヤ部230とに噛み合う第2ギヤ330とを備えている。
【0043】
円弧状ギヤ部310は、フロントカバー12の回動中心を中心とする円弧状に形成されており、その外周面の一部に第1ギヤ320と噛み合うギヤ部311が形成されている。第1ギヤ320と第2ギヤ330は、ドロワ100の側壁110に回転可能に設けられている。
【0044】
そして、このように連動機構300が構成されることで、図2,3に示すように、フロントカバー12を開閉すると、その動力が、円弧状ギヤ部310、第1ギヤ320および第2ギヤ330を介してラックギヤ部230に伝達されて、直動カム200が前後方向に動くようになっている。そのため、ユーザがフロントカバー12を開閉するだけで、LEDアレイ40が自動的に上下動するので、LEDアレイ40を手動で移動させる構造に比べ、ドロワ100の操作性を向上させることが可能となっている。
【0045】
また、ドロワ100の各側壁110の上端部には、左右方向外側に突出する被ガイド部114が形成されている。被ガイド部114は、装置本体10に設けられたガイド部材400によって前後に移動可能に支持される部位であり、前後方向に延びる長尺状部115と、長尺状部115の後端に一体に設けられ、長尺状部115よりも下方に突出する突出部116と、突出部116に回転可能に設けられる車輪117とを有している。そして、突出部116の下面と長尺状部115の下面との間に形成される段差面118と、長尺状部115の前端部の下面119は、前斜め上方に向かう傾斜面となっている。
【0046】
また、ガイド部材400は、被ガイド部114の下面の形状に倣う形状に形成される下壁部410と、ドロワ100を収納位置に位置決めするために被ガイド部114の後端と当接する後壁部420と、被ガイド部114の上面に対面する上壁部430と、下壁部410の前端部に回転可能に設けられる車輪440とを有している。
【0047】
これにより、図3,4に示すように、ドロワ100を収納位置から移動位置に引き出す場合には、ユーザがドロワ100を引っ張ると、車輪117が下壁部410の段差に乗り上げるとともに、被ガイド部114の前端部が車輪440に乗り上げる。これにより、ドロワ100が前斜め上方に移動して、各感光ドラム61が搬送ベルト71から離間する。
【0048】
その後は、被ガイド部114の車輪117が下壁部410の上面を転動するとともに、被ガイド部114の長尺状部115が車輪440で支持されることで、ドロワ100を真っ直ぐ前方に引き出すことが可能となっている。そして、被ガイド部114の突出部116が下壁部410の前端部411(上方に突出した部分)に当接することで、その位置(移動位置)でドロワ100が止められる。
【0049】
また、ドロワ100を収納位置に戻す場合には、ユーザがドロワ100を押すと、被ガイド部114の突出部116が下壁部410の後側の凹んだ部分に嵌り込んで後壁部420に当接することで、その位置(収納位置)でドロワ100が止められる。
【0050】
そして、このように構成されるガイド部材400の後側部分と、当該部分で支持されるドロワ100の被ガイド部114の後側部分と、前述した直動カム200の後側部分は、前述した排出トレイ部13の左右両側のスペースに入り込んでいる。詳しくは、ガイド部材400の後側部分と、ドロワ100の後側部分(略三角形状の部分)と、直動カム200の後側部分は、フロントカバー12を閉めて印字が可能になった状態において、左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されている。
【0051】
詳しく述べると、ドロワ100が収納された状態においては、ドロワ100の後側部分(略三角形状の部分)が、第1壁131及び第2壁132によって形成される凹形状付近から後側に向かって突出するような位置に配置されている(図1参照)。さらに、第2壁132付近から前側に向かって複数のプロセスカートリッジ50が配置され、かつ、略水平方向において、第1壁131及び第2壁132とプロセスカートリッジ50とが重なるように配置されている。このように配置することで、排出トレイ部13の傾斜部分(第2壁132)にプロセスカートリッジ50が干渉することなく、さらに、排出トレイ部13の左右両側スペースを利用して、ドロワ100の後端部を配置することができる。なお、ドロワ100の後端部に三角形状の突出部分が設けられているのは、ドロワ100を最大に引き出したときにドロワ100の後端部を一部装置本体10の中に残し、ドロワ100を装置本体10で支持するためである(図4参照)。
【0052】
これにより、排出トレイ部13の深さを変えずに、装置本体10の上壁14を下げることが可能となり、装置本体10を上下に小型化することが可能となっている。また、このように排出トレイ部13の左右のスペースにドロワ100等の一部を入れることで、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースには、ガイド部材400の前側部分や、ドロワ100の前側上部(プロセスカートリッジ50の上部)や、直動カム200の前側上部が配置される。これにより、排出トレイ部13の第2壁132および上壁14の下側のスペースを有効活用することが可能となっている。
【0053】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
LEDアレイ40が露光位置および退避位置のいずれの位置であってもドロワ100内に収容されているので、LEDアレイ40と他の部材との干渉を抑えることができるとともに、LEDアレイ40をユーザが誤って触ってしまうのを防止することができる。
【0054】
直動カム200を一対の側壁110の外側に設けたので、側壁の内側に直動カムを設ける構成に比べ、構造を簡易化することができる。また、円弧状の溝111に沿って着脱されるプロセスカートリッジ50と直動カム200とが干渉することを防止することができる。
【0055】
被作用部43Aが貫通するとともに、LEDアレイ40を露光位置と退避位置との間で案内するために被作用部43Aに係合する長孔112を側壁110に設けたので、被作用部を突出させる穴と被作用部をガイドする部材を別々に設ける構造に比べ、構成を簡易化することができる。
【0056】
被作用部43Aが貫通する貫通部として孔(長孔112)を採用したので、例えば側壁の端まで開口した貫通部を形成する構成に比べ、側壁110の強度を上げることができる。
【0057】
作用部材として直動カム200を採用したので、例えばリンク機構によってLEDアレイを上下動させる構造に比べ、構造を簡易化することができる。
【0058】
フロントカバー12と直動カム200とを連動させたので、ドロワ100の操作性を向上させることができる。
【0059】
ドロワ100の一部が左右方向から見て排出トレイ部13と重なる位置に配置されているので、排出トレイ部13の深さを浅くすることなく、装置本体10を上下に小型化することができる。
【0060】
ガイド部材400の一部と直動カム200の一部が排出トレイ部13の左右のスペースに配置されるので、スペースをより有効活用することができる。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明で参照する図面においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0062】
前記実施形態では、直動カム200をフロントカバー12の開閉に連動させたが、本発明はこれに限定されず、直動カムは手動で動かすようにしてもよい。例えば、図7(a),(b)に示すように、一対の側壁110に操作レバー500を揺動可能に設け、この操作レバー500に連動させて直動カム200を動かすようにしてもよい。
【0063】
具体的に、操作レバー500は、当該操作レバー500の揺動中心を中心とする扇状に形成された左右一対の扇状ギヤ部510と、各扇状ギヤ部510を連結するコ字状の取手部520とを備えている。そして、扇状ギヤ部510のギヤ部511がラックギヤ部230に噛み合っており、これにより、操作レバー500を下に下げると直動カム200が前方に移動して各LEDアレイ40が退避位置に移動し、操作レバー500を上に上げると直動カム200が後方に移動して各LEDアレイ40が露光位置に移動する。
【0064】
前記実施形態では、露光部材としてLEDアレイ40を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などの発光素子を多数配列し、これら発光素子を画像データに応じて選択的に発光させるものであってもよい。あるいは、1つの光源に対して、液晶素子、PLZTなどからなる光シャッタを多数配列し、これら光シャッタの開閉時間を画像データに応じて選択的に制御することにより、光源からの光を制御するものなどを採用してもよい。
【0065】
前記実施形態では、露光部材を退避位置に位置させるための係止部として、側壁110に形成した長孔112を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば側壁とは別の部材で露光部材を係止するようにしてもよい。また、連動機構を、例えばリンク機構を利用して構成してもよい。
【0066】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0067】
前記実施形態では、ドロワ100の後端部分は略三角形状に突出しているが、形状はこれに限らず、後方に突出してれば良い。
【符号の説明】
【0068】
1 カラープリンタ
10 装置本体
11 開口部
40 LEDアレイ
43A 被作用部
50 プロセスカートリッジ
61 感光ドラム
100 ドロワ
110 側壁
112 長孔
200 直動カム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムをそれぞれ露光して静電潜像を形成する複数の露光部材と、
前記感光ドラムの軸方向に対向する一対の側壁を有し、当該一対の側壁の間において前記複数の感光ドラムを支持する感光ドラム支持体と、を備え、
前記感光ドラム支持体が、装置本体内に収納された収納位置と、収納位置から装置本体の開口部を通して装置本体外へ移動した移動位置とに移動可能な画像形成装置であって、
前記複数の露光部材は、
前記感光ドラムに接近した露光位置と、前記感光ドラムから退避して係止部で係止される退避位置とに移動可能となるように前記感光ドラム支持体に設けられ、かつ、前記露光位置および前記退避位置のいずれの位置においても、前記感光ドラム支持体内に収容され、
前記感光ドラム支持体には、前記露光部材の被作用部に当接して、当該露光部材を前記露光位置または前記退避位置に移動させる作用部材が移動可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光部材の被作用部は、前記一対の側壁から前記軸方向外側に突出し、
前記作用部材は、前記一対の側壁の外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一対の側壁には、前記被作用部が貫通するとともに、前記露光部材を前記露光位置と前記退避位置との間で案内するために前記被作用部に係合する貫通部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記貫通部は、孔であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作用部材は、前記感光ドラム支持体の移動方向に沿って動く直動カムであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体には、前記開口部を閉じる閉位置と開放する開位置とに変位可能なカバーとが設けられ、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に変位するときに前記露光部材が前記露光位置から前記退避位置に移動するように、前記作用部材と前記カバーとを連動させる連動機構を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
現像剤を収容する現像剤収容器と、当該現像剤収容器内の現像剤を前記感光ドラムに供給する現像ローラと、前記感光ドラムとを有するプロセスカートリッジをさらに備え、
前記プロセスカートリッジは、前記感光ドラム支持体に対して円弧状に移動して着脱可能となっていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−145882(P2012−145882A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5937(P2011−5937)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】