説明

画像形成装置

【課題】帯電部材がトナー、外添剤等の付着により不均一な帯電状態を形成する条件になっても帯電電位を長期的に安定して維持できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1と接触して帯電する第1の帯電部材21と、像担持体1の回転方向に沿って第1の帯電部材21の下流側において、像担持体1と接触して帯電する第2の帯電部材22と、を備え、第1の帯電部材21に直流電圧を印加しつつ、第2の帯電部材22に交流電圧と直流電圧とを印加したときに第2の帯電部材22の直流電流値の絶対値が小さくなるように、第2の帯電部材22に印加する直流電圧値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に関し、像担持体に接触して像担持体を帯電する複数の帯電部材を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、導電性のローラ型帯電部材を感光体などの像担持体に直接接触或いは近接させて、像担持体を帯電する帯電方式を採用した画像形成装置が製品化されている。また近年、単位時間当たりに多くの印刷物を出力することが画像形成装置に求められている。そのため、感光ドラムの回転速度を速くし、例えば、帯電ローラを像担持体である感光ドラムに接触させる。そして、感光ドラムの回転とともに従動回転させる構成とし、帯電ローラに電圧を供給することにより感光ドラムを一様に帯電する。
【0003】
しかしながら、高速に回転している感光ドラムに対しては、帯電ローラと感光ドラムとの当接部が不安定となりがちで、そのために帯電ムラが生じやすくなる。従って、このような帯電ローラを、例えば高信頼性が要求され且つコピーボリュームの大きい高速複写機等の高級機種の画像形成装置における、感光ドラム等の帯電処理装置として用いることは困難であった。
【0004】
そこで、特許文献1、2に記載されているように、接触帯電手段における表面電位を初期から長期に渡って安定させ高画質化を図るために、接触帯電手段は、独立した2つ以上の接触帯電部材を有している。そして、像担持体表面と最初に当接する第1の接触帯電部材よりも下流側に設けられ、像担持体の表面に当接する第2の接触帯電部材に、直流に交流を重畳したバイアスを印加することが知られている。
【0005】
帯電ローラを用いた接触帯電方式では、導電性の部材を感光ドラムに加圧当接させ、これに電圧を印加することによって放電により感光ドラムへの帯電を行う。具体的には、放電開始電圧(OPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、約600V)に、必要とされる感光ドラムの表面電位Vdを足した直流電圧(DC電圧)を印加することで帯電を行うDC帯電方式がある。さらに、環境・耐久変動による電位の変動を改善する目的として、AC帯電方式がある。AC帯電方式では、必要とされる感光ドラムの表面電位Vdに相当するDC電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を持つ交流成分(AC成分)を重畳した電圧を帯電ローラに印加することで帯電を行う。
【0006】
DC帯電方式は、AC帯電方式に比較して一般的に消費電力が少量で安価であり、装置も小型で省スペース化を図ることができるという利点がある。
【0007】
しかし、非接触帯電方式であるコロナ帯電方式に比べて、帯電ローラを用いた接触帯電方式では、経時変化、及び作像画像種に伴い、接触帯電部材が、トナー、外添剤等の飛散物の付着により帯電ローラが汚染されてしまう現状がある。
【0008】
この課題に対して特許文献3では、接触帯電部材を均一に帯電を行うために帯電部材清掃部材を付与する構成を持つことにより付着物を清掃部材により除去し、均一帯電を図る構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−272194号公報
【特許文献2】特開2001−312125号公報
【特許文献3】特開平7−199604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、帯電ローラ清掃部材を有する構成においては以下の課題が残されていた。
【0011】
つまり、帯電清掃部材で帯電ローラを清掃しても経時的に清掃能力は劣り除去しきれないトナー、外添剤等の飛散物が帯電ローラ上に残留してしまう。その結果、残留した飛散物により帯電ローラ表層の抵抗分布が変動する為、一定の帯電高圧を印加している装置においては、感光ドラムへの均一な帯電を形成することができなくなる。
【0012】
この状態において画像形成された複写物には、印刷方向に対して並行に帯電斑と呼ばれる画像不良を発生させてしまう。
【0013】
本発明は、帯電部材がトナー、外添剤等の付着により不均一な帯電状態を形成する条件になっても帯電電位を長期的に安定して維持できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
回転可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して帯電する第1の帯電部材と、
前記像担持体の回転方向に沿って前記第1の帯電部材の下流側において、前記像担持体と接触して帯電する第2の帯電部材と、
前記第1の帯電部材と第2の帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記第2の帯電部材に流れる直流電流を検知する電流検知手段と、
前記第1の帯電部材に直流電圧を印加しつつ、前記第2の帯電部材に交流電圧と直流電圧とを印加したときに前記電流検知手段が検知した直流電流値の絶対値が小さくなるように、前記第2の帯電部材に印加する直流電圧値を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の接触帯電部材を有する画像形成装置において、帯電部材がトナー、外添剤等の付着により不均一な帯電状態を形成する条件になっても帯電電位を長期的に安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に係る帯電ローラの概略構成図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の動作シーケンス図である。
【図4】帯電ローラに対する直流電圧印加系の電源回路図である。
【図5】帯電ローラに対する交流電圧印加系の電源回路図である。
【図6】第1の実施例の帯電制御実行時における感光ドラムの表面電位を示した図である。
【図7】帯電ローラに印加したDC電圧と感光体表面電位との関係を示す図である。
【図8】第1の実施例の制御フローチャートである。
【図9】画像形成装置各部とCPU(制御手段)との関係を示すブロック図である。
【図10】直流電流値に対しする電位収束性を示した図である。
【図11】突入電位と印加DC電圧差に対する電位収束性を示した図である。
【図12】突入電位に対する印加DC電圧一定時における火花放電分布量を示した図である。
【図13】表層抵抗を系列に火花放電分布量を示した図である。
【図14】第2の実施例の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、接触帯電方式を採用した電位写真式のレーザビームプリンタである。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置100は、像担持体として、回転ドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)1を有する。
【0020】
本実施例において、感光ドラム1は、帯電特性が負帯電性の有機感光体(OPC)であり、外径30mm、中心支軸を中心に130mm/sのプロセススピード(周速度)を持って矢印方向(反時計回り)R1に回転駆動される。
【0021】
感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)の表面に、光電荷発生層と、電荷輸送層(厚さ約20μm)とを下から順に塗り重ねた構成をしている。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム表面を一様に帯電処理する接触式帯電手段2として、第1の帯電部材(帯電ローラ)21と第1の帯電ローラ21よりも感光ドラム移動方向にて下流側に配設した第2の帯電部材(帯電ローラ)22とを有する。帯電ローラ21及び22は、感光ドラム1との間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して帯電する。
【0023】
ここで、第1の帯電ローラ21及び第2の帯電ローラ22について説明する。
【0024】
本実施例では、第1の帯電ローラ21及び第2の帯電ローラ22は同様の寸法、材質のものを用いた。ここでは、第1の帯電ローラ21について説明するが、特に記載しない部分に関しては第2の帯電ローラ22においても同様の構成である。
【0025】
図2に示すように、帯電ローラ21は、芯金(支持部材)21aの両端部をそれぞれ軸受け部材21eにより回転自在に保持される。また、帯電ローラ21は、押圧バネ21fによって感光ドラム1に向かって付勢して、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させている。
【0026】
これにより、帯電ローラ21は、感光ドラム1の回転に従動して図中曲線矢印の方向(時計周り)R2に回転する。感光ドラム1と帯電ローラ21との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)a1である。また、感光ドラム1と帯電ローラ22との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)a2である。
【0027】
帯電ローラ21は、長手長さ330mm、直径14mmである。また、図2の層構成模型図に示すように、芯金21aの外周に下層21b、中間層21c、表層21dとを下から順次積層した3層構成である。
【0028】
芯金21aは、直径6mmのステンレス丸棒である。下層21bは、カーボン分散の発泡EPDM(エチレンープロピレンージエンゴム)、比重0.5g/cm3、体積抵抗値107〜109Ω・cmであり、層厚は約3.5mmである。
【0029】
中間層21cは、カーボン分散のNBR(ニトリルゴム)、体積抵抗値102〜105Ω・cmであり、層厚は約500μmである。
【0030】
表層21dは、フッ素化合物のアルコール可溶性ナイロン樹脂に酸化錫、カーボンを分散した構成で、体積抵抗値は107〜1010Ω・cm、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRz)は1.5μm、層厚は約5μmである。
【0031】
尚、本実施例では、電源S11はDC電源のみからなる構成であり、電源S12はDC及びAC電源を有する構成である。これにより、回転する感光ドラム1表面は、所定の極性、電位に接触帯電処理される。
【0032】
本実施例では、感光ドラム1は、−500vに一様に帯電処理されるが、具体的な帯電バイアス制御については後述する。
【0033】
図1に示すように、画像形成装置100は、帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段として露光手段である露光装置3を有する。
【0034】
本実施例において、露光装置3は、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。レーザビームスキャナ3は、画像読み取り装置(図示せず)などのホスト処理装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力する。そして、一様に帯電処理された回転する感光ドラム1の表面を、露光部(露光位置)bにおいてレーザ走査露光(イメージ露光)する。
【0035】
このレーザ走査露光により、感光ドラム1の表面のレーザ光Lで照射されたところの電位が低下し、回転する感光ドラム1の表面には、画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0036】
図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム1上の静電潜像に従ってトナーを供給し、静電潜像をトナー画像(現像剤像)として反転現像する現像手段として現像装置4を有する。
【0037】
本実施例においては、現像装置4は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤による磁気ブラシを、感光ドラム1に接触させながら現像を行う二成分接触現像方式を採用した現像装置である。
【0038】
現像装置4は、現像容器4a、現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ4bを備えている。現像スリーブ4bは、その外周面の一部を現像装置4の外部に露呈させて、現像容器4a内に回転可能に配置してある。
【0039】
現像スリーブ4b内には、非回転に固定してマグネットローラ4cが挿設されている。現像スリーブ4bに対向して、現像剤コーティングブレード4dが設けられている。現像容器4aは、現像剤として二成分現像剤4eを収容しており、現像容器4a内の底部側には現像剤攪拌部材4fが配設されている。また、補給用トナーが不図示のトナーホッパーに収容されている。
【0040】
現像容器4a内の二成分現像剤4eは、主に非磁性トナーと磁性キャリアとの混合物であり、現像剤攪拌部材4fにより攪拌される。本実施例において磁性キャリアの体積抵抗は、約1013Ω・cmである。キャリアの粒径(体積平均粒径:レーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、0.5〜350μmの範囲を32対数分割して測定し、体積50%メジアン径をもって体積平均粒径とする)は、約40μmである。トナーは、磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。
【0041】
現像スリーブ4bは、感光ドラム1との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保持して感光ドラム1に近接対向配設される。この感光ドラム1と現像スリーブ4bとの対向部が現像部cである。
【0042】
現像スリーブ4bは、現像部cにおいて感光ドラム1の進行方向(R1方向)とは逆方向(R3方向)に回転駆動される。現像スリーブ4b内のマグネットローラ4cの磁気により、現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が現像スリーブ4bの外周面に磁気ブラシ層として吸着保持される。この磁気ブラシ層は、現像スリーブ4bの回転に伴い回転搬送され、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、現像部cにおいて感光ドラム1の面に対して接触して感光ドラム1の表面を適度に摺擦する。
【0043】
現像スリーブ4bには、電源S2から所定の現像バイアスが印加される。本実施例において、現像スリーブ4bに対する現像バイアス電圧は、直流電圧(VDC)と交流電圧(VAC)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、−350Vの直流電圧と、周波数8.0kHz、ピーク間電圧1.8kV、矩形波の交流電圧とを重畳した振動電圧である。
【0044】
そして、回転する現像スリーブ4bの面に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された現像剤4e中のトナーが、現像バイアスによる電界によって感光ドラム1の表面に静電潜像に対応して選択的に付着し、静電潜像がトナー画像として現像される。本実施例の場合、感光ドラム1の表面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。このとき、感光ドラム1上に現像されたトナーの帯電量は、温度23℃、絶対水分量10.6g/m3の環境下では、凡そ−25μC/gである。
【0045】
現像部cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は、引き続く現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
【0046】
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を、略一定の範囲内に維持するために、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を、例えば、光学式トナー濃度センサによって検知する。そして、その検知情報に応じて不図示のトナーホッパーを駆動制御して、トナーホッパー内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは、攪拌部材4fにより攪拌される。
【0047】
図1に示すように、画像形成装置100は、転写手段として転写装置5を有する。本実施例においては、転写装置5は転写ローラである。転写ローラ5は、感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接され、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに絵紙機構部(図示せず)から所定の制御タイミングにて記録材Pが給送される。
【0048】
転写部dに給送された記録材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5には電源S3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス、本実施例では+600Vが印加される。これにより、転写部dを挟持搬送されていく記録材Pの表面に感光ドラム1の表面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
【0049】
なお、画像形成装置100の構成は、必ずしも感光ドラムからトナー像を直接記録材Pに転写する構成ではなく、感光ドラムからトナー像を一時的に保持し搬送する中間転写体に転写し、中間転写体から記録材に転写する構成であってもよい。
【0050】
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた記録材Pは、感光ドラム1の表面から順次に分離されて定着装置6へ搬送される。本実施例では、定着装置6は熱ローラ定着装置であり、この定着装置6により記録材Pはトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0051】
転写部dにおける記録材Pへのトナー画像転写後に、感光ドラム1の表面に若干量残留する転写残トナーは、クリーニング部eにおいて、クリーニング装置7によって感光ドラム1の表面から除去される。
【0052】
ここでは、転写残トナーの除去手段としてクリーニング装置7を用いる画像形成装置の例を挙げたが、転写残トナーの電荷適正化手段を有し、現像装置4にて現像同時回収するクリーナレス方式の画像形成装置においても、本発明の適用が可能である。
【0053】
次に、本実施例における画像形成装置の動作シーケンスについて説明する。図3は、上記プリンタの動作シーケンス図である。
【0054】
(1)初期回転動作(前多回転工程)
プリンタの起動時の始動動作期間(起動動作期間、ウォーミング期間)である。電源スイッチ−オンにより、感光ドラム1を回転駆動させ、また定着装置6の所定温度への立ち上げ等、所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。
【0055】
(2)印字準備回転動作(前回転工程)
プリント信号−オンから実際に画像形成(印字)工程動作がなされるまでの間の画像形成前の準備回転動作期間であり、初期回転動作中にプリント信号が入力したときには初期回転動作に引き続いて実行される。
【0056】
プリント信号の入力がないときには初期回転動作の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて感光ドラムの回転駆動が停止され、プリンタはプリント信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保たれる。プリント信号が入力すると印字準備回転動作が実行される。
【0057】
(3)印字工程(画像形成工程、作像工程)
所定の印字準備回転動作が終了すると、引き続いて回転感光ドラムに対する作像プロセスが実行され、回転感光ドラム面に形成されたトナー画像の記録材への転写、定着装置によるトナー画像の定着処理がなされて画像形成物がプリントアウトされる。
【0058】
連続印字(連続プリント)モードの場合は上記の印字工程が所定の設定プリント枚数n枚分繰り返して実行される。
【0059】
(4)紙間工程
連続印字モードにおいて、記録材の後端部が転写位置dを通過した後、次の記録材の先端部が転写位置dに到達するまでの間の、転写位置における記録材の非通紙状態期間である。
【0060】
(5)後回転動作
最後の記録材の印字工程が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させて感光ドラムを回転駆動させ、所定の後動作を実行させる期間である。
【0061】
(6)スタンバイ
所定の後回転動作が終了すると、メインモータの駆動が停止されて感光ドラムの回転駆動が停止され、プリンタは次のプリントスタ−ト信号が入力するまでスタンバイ状態に保たれる。
【0062】
1枚だけのプリントの場合は、そのプリント終了後、プリンタは後回転動作を経てスタンバイ状態になる。
【0063】
スタンバイ状態において、プリントスタート信号が入力すると、プリンタは前回転工程に移行する。
【0064】
上記(3)の印字工程時が画像形成時であり、そして、上記(1)の初期回転動作、上記(2)の前回転動作、上記(4)の紙間工程、上記(5)の後回転動作が非画像形成時である。
【0065】
次に、第1の帯電ローラ21及び第2の帯電ローラ22に対する帯電バイアス印加系について説明する。
【0066】
図4及び図5は、それぞれ第1の帯電ローラ21及び第2の帯電ローラ22に対する帯電バイアス印加系の電源回路図である。
【0067】
図4に示すように、第1の帯電ローラ21においては、電圧印加手段である電源S11が直流(DC)電源を有している。直流電圧は、スイッチング回路15−1、トランスT1を含む直流電圧発生部から定電圧出力される。電源制御手段である制御回路14は、抵抗R1を介して直流電圧を電圧検出回路16−1で検出し、その出力情報をもとに直流電圧出力を安定させる。
【0068】
電源S11から直流電圧(バイアス電圧Vdc)が芯金21aを介して帯電ローラ21に印加されることで、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。
【0069】
一方、図5に示すように、第2の帯電ローラ22においては、電圧印加手段である電源S12が直流(DC)電源(直流電圧発生部)と交流(AC)電源(交流電圧発生部)を有している。
【0070】
直流電圧は、スイッチング回路15−2、トランスT1を含む直流電圧発生部から定電圧出力される。制御回路14は、抵抗R1を介して直流電圧を電圧検出回路16−2で検出し、その出力情報をもとに高圧直流電圧出力を安定させる。
【0071】
交流電圧は、トランスT2を含む交流電圧発生部から定電流出力される。制御回路14は、コンデンサC2を介して交流電流を電流検出回路19で検出し、その出力情報をもとに、正弦波発振回路17に接続された増幅回路18のゲインを制御する。最後に両者が抵抗R3を介して重畳される。AC成分の波形としては、正弦波、矩形波、三角波、など適宜である。直流電源を周期的にオン・オフすることによって形成される矩形波電圧であってもよい。
【0072】
電源S12から直流電圧に周波数fの交流電圧を重畳した所定の振動電圧(バイアス電圧Vdc+Vac)が芯金22aを介して帯電ローラ22に印加されることで、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。
【0073】
本実施例にて、感光ドラム1を介して第2の帯電ローラ22に流れる直流電流値を測定する電流検知手段としての直流電流値測定回路13が設けられており、この直流電流値測定回路13から制御回路14に、測定された直流電流値の情報が入力される。
【0074】
制御回路14は、DC電源S11から第1の帯電ローラ21に印加する直流電圧値と、電源S12から第2の帯電ローラ22に印加する直流電圧値と、電源S12から帯電ローラ22に印加する交流電圧のピーク間電圧値或いは交流電流値と、を制御する機能を有する。
【0075】
そして、制御回路14は、直流電流値測定回路13から入力された直流電流値情報から、印字工程の帯電工程における帯電ローラ21及び帯電ローラ22に対する印加直流バイアスの演算・決定プログラムを実行する機能を有する。
【0076】
次に、帯電ローラ22に印加する帯電バイアスの制御方法について、詳細に説明する。なお、本実施例の制御は、温度23℃、湿度50%の環境で行われた。
【0077】
本実施例では、第1の帯電ローラ21に印加する帯電DCバイアスを−1100V、第2の帯電ローラ22に帯電ACバイアスを1500Vpp、現像DCバイアスを−350V、転写バイアスを+600V、で一定とし、画像を作成せずに画像形成装置を動作させた。
【0078】
第2の帯電ローラ22に印加する帯電DCバイアスは、第2の帯電ローラ22の直流電流測定回路13に流れるDC電流値が0となるように、所謂、定電流制御で出力した。
【0079】
ここでは、説明のために、画像を作成せずに画像形成装置を動作させたときの感光ドラム電位を例示するが、実際には、帯電バイアス制御は画像形成中(画像形成工程時)に同時に行われる。
【0080】
図6は、本実施例の帯電バイアス制御を行う際の感光ドラム1の各位置における表面電位を示した図である。
【0081】
図6中、位置(A)にて示すように、第1の帯電ローラ21の直前における感光ドラム1の表面電位は0Vである。
【0082】
ここで、先ず、第1の帯電ローラ21通過後の感光ドラム1の表面電位について考察する。帯電ローラ21に印加する帯電DCバイアスはDC帯電方式における放電開始電圧以上の電圧を印加することにより、作像時における暗部電位に設定、電位を収束することができる。
【0083】
図7は、上記環境において本実施例で使用した帯電ローラ21におけるDC電圧と感光ドラム表面電位との関係を示すグラフである。本実施例では図6に示すように、図6の位置(B)に示す感光ドラム面上の表面電位を−500vに帯電するようにDC電圧を−1100vとした。
【0084】
従って、帯電ローラ21を通過した感光ドラム1の表面電位は、帯電ローラ21に印加されたDCバイアスによって、0V(図6中、位置(A))から−500V(図6中、位置(B))に変化していることが分かる。
【0085】
次に、第2の帯電ローラ22通過前後の感光ドラム表面電位について考察する。
【0086】
第2の帯電ローラ22に印加する帯電ACバイアスは、DC帯電方式における放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。このような条件のとき、帯電ローラ22を通過した感光ドラムの表面電位は印加したDCバイアスと同電位に収束することが知られている。
【0087】
図7に示すように、放電開始電圧Vthは約600Vであることから、印加するACバイアスは、Vthの2倍である1200Vpp以上であればよい。本実施例においては、第2の帯電ローラ22に印加したAC電圧は安全係数を見越して1500Vppとなっており、帯電ローラ22を通過した後の感光ドラム表面電位を−500Vに均一帯電させる(図6中、位置(C))。
【0088】
一方、第2の帯電ローラ22の直流電流測定回路13に流れるDC電流値が0となる際には、第2の帯電ローラ22通過前後の感光ドラム電位が変化していないということである。従って、第1の帯電ローラ21を通過後のドラム電位は−500Vとして設定することが最も好ましいことから第2の帯電ローラ22に印加されるDC電圧は−500vに設定される(図6中、位置(B))。
【0089】
従って、第2の帯電ローラ22を通過した感光ドラム1の表面電位は、第1の帯電ローラ21により帯電された感光ドラム1表面電位をさらに収束させ均一化した電位として収束させる。
【0090】
帯電された感光ドラム1表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転に伴って現像部cに到達するが、表面電位(−500V)と現像DCバイアス(−350V)との電位差が小さいために現像部通過後でもドラム電位は変化せず、−500Vを維持する(図6中、位置(D))。
【0091】
次に、感光ドラム表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転に伴って転写部dに到達し、表面電位(−500V)と転写バイアス(+600V)との電位差による放電で表面電位が0Vとなり(図6中、位置(E))、再び帯電部に到達する。
【0092】
このように制御を行いながら第2の帯電ローラ22におけるDCバイアスを可変制御することにより、帯電ローラ22通過後の感光ドラム電位を均一帯電させることができる。
【0093】
実際に、画像形成と同時に帯電バイアス制御を行う場合においては、各種バイアスは、第1の帯電ローラ21に印加する帯電DCバイアスを−1100v、第2の帯電ローラ22に印加する帯電ACバイアスを1250Vpp、現像DCバイアスを−350V、転写バイアスを+600V、で一定とした。
【0094】
バイアス制御時と同様、第2の帯電ローラ22に印加するDCバイアスは、第2の帯電ローラ22の直流電流測定回路13に流れるDC電流値が0となるように、所謂、定電流制御で出力される。
【0095】
このとき、帯電ローラ22に印加する帯電ACバイアス以外は、画像形成時におけるバイアス設定と同様である。ここで、帯電ACバイアスは、放電開始電圧である1200Vppより僅かに大きい値となっており、AC放電電流量は約10μAである。
【0096】
帯電ローラ22に印加する帯電ACバイアスが異なっているが、1200Vpp以上のACバイアスを印加してAC放電を行っているという点は変わらないため、画像形成中における感光ドラム1の各位置における電位は、図6と同様となる。
【0097】
図8は、上記の帯電バイアス制御におけるフローチャートを示したものである。図9は、画像形成装置の各プロセス手段と、画像形成装置の全体を統合して制御するCPU(装置本体制御手段)301とを示すブロック図である。制御手段301は、メモリ303に格納されたプログラムに従い、画像形成装置の各部を制御する。図3をも参照して、バイアス制御動作について説明する。
START:電源スイッチをオンとする。
S101:電源スイッチがオンされると、制御手段301は、初期回転動作(前多回転工程)を実行するべく、感光ドラム1を回転駆動させ、また定着装置6の所定温度への立ち上げ等、所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。その後、待機状態とする(S102)。
S103〜S104:待機状態において、プリント信号がオンされると、実際に画像形成(印字)工程動作がなされるまでの間の画像形成前の準備回転動作が実行される。勿論、初期回転動作中にプリント信号が入力したときにおいても、初期回転動作終了後において、準備回転動作が実行される。プリント信号がオンされない場合は、制御手段301は、初期回転動作の終了後にメインモータの駆動を一旦停止して、感光ドラムの回転駆動を停止し、プリント信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に維持する。
S105:所定の印字準備回転動作が終了すると、引き続いて、画像形成工程がスタートし、感光ドラム1に対する作像プロセスが実行される。
S106:画像形成工程がスタートすると、制御手段301は、帯電制御を開始し、先ず、帯電制御タイミングの判断を行う。制御手段301は、帯電制御タイミングであると判断(確認)すると、帯電制御工程を実行する。帯電制御タイミングでない場合は、帯電制御タイミング信号の入力を待って、帯電制御工程を実行する。勿論、帯電制御タイミングでないと判断した場合に、帯電制御工程を行わず、S115へと進み、画像形成処理を続けることも可能である。
S108:制御タイミングであると判断した場合、制御手段301は、制御回路(電源制御手段)14を作動させ、第1の帯電ローラ21にDC電圧を逐次印加、放電電流制御を実行し所望の電位となるDCバイアス設定を行う。
S109:上記放電電流制御中において電圧検出回路16−1は、第1の帯電ローラ21における放電開始電圧Vthを検出する。
S110:制御回路14は、上記検出結果Vthから第2の帯電ローラ22におけるAC電圧(Vth×2)を決定する。
S111:第1の帯電ローラ21によるバイアス印加状態において第2の帯電ローラ22の直流電流検知回路13にて電流値Idcmaxを測定する。
S112:電流値が、5>Idcmax>−5の判断処理を制御回路14にて実行する。
S113:Idcmaxが所望の範囲外である場合、規定値範囲内に収束するよう第2の帯電ローラ22のDC電圧値を変化させる。変化後S111に戻りループ処理を実行する。
S114:実行結果が規定値範囲内にある場合、帯電制御を終了し、制御手段301は、レーザ露光手段3、現像手段4、転写手段15等を作動させ、画像形成を開始する(S115)。必要に応じて、規定枚数Nの画像形成を行い(S116)、画像形成を終了する。
【0098】
本実施例では、S112における規定電流Idcmaxを以下のように求めた。
【0099】
図10は、本実施例において第2の帯電ローラ22に対して別途局所的に外添剤(本実施例ではSiを使用)を放電しながら塗布し、付着させたものを本実施構成に配設したときの状態を示す。第2の帯電ローラ22に流れ込むDC電流値を横軸に、縦軸を非汚染時における通過後の電位と汚染箇所における電位の電位差を示す。
【0100】
図10中内系列は、Siを各箇所に塗布した際におけるX線分析顕微鏡(HORIBA社製)にて測定した際における強度(cps/mA)を示し、値が大きいほど汚染量が大きいことを示す。
【0101】
尚、本実施例では、比誘電率ε=3、膜厚d=2.50×10-5[m]、周速度P=0.130[m/s]、前記感光ドラム長手長さL=0.33[m]、真空時における空間の誘電率をε0=8.85×10-12[F/m]、第2の帯電ローラ22による帯電後の感光ドラム1の表面電位をV=−500[V]とした。
【0102】
ここで、図10の縦軸(非汚染時における通過後の電位と汚染時における電位の電位差)の画像上許容される範囲を実際の画像から判断したところ28Vであった。図10より28Vを許容する電流値は±5μA(5>Idcmax>−5)以下であり、即ち、本実施例の規定電流Idcmaxが±5μAとなる。
【0103】
次に、上述にて得られた本実施例での規定電流Idcmaxである±5μAを使い、一般的な条件下での規定電流Idcmaxを求める。
【0104】
ここで、感光ドラム1の比誘電率ε、膜厚d[m]、周速度P[m/s]、感光ドラム1の長手長さL[m]、真空時における空間の誘電率をε0[F/m]、第2の帯電ローラ22による帯電後の感光ドラム1の表面電位をV[V]とした場合に、
I=V×ε×ε0×P×L/d
である。
【0105】
本実施例では、上記の設定条件を適用したので、本実施例の感光ドラム1を帯電するために必要な電流I=V×ε×ε0×P×L/d=−22.8μAとなる。
【0106】
以下の表1を参照すると、一般的な条件下での規定電流Idcmaxは、Idcmax=0.22×V×ε×ε0×P×L/dとなることが分かる。
【0107】
つまり、本実施例によると、第2の帯電ローラ22による帯電後の感光ドラム1の表面電位をV[V]としたとき、第2の帯電ローラ22に流れる電流値Idc[A]が|Idc|≦|0.22×V×ε×ε0×P×L/d|なる関係を満たすように構成される。
【0108】
【表1】

【0109】
次に、第2の帯電ローラ22に突入する電位に対する効果について説明する。
【0110】
図11は、第2の帯電ローラ22に対して、横軸を突入電位(図6中、位置(B))と第2の帯電ローラ22に印加するDC電圧との差とし、縦軸を非汚染時における通過後の電位と、各汚染箇所における電位の電位差を示したものである。
【0111】
図11中(A)は、帯電ローラ1本構成において各汚染部における通過後の電位差を示したものであり、図11中(B)は、本実施構成における各汚染部における通過後の電位差を示したものである。図より電位差が最も少ないポイント、即ち、電位差が0V近傍において最も汚れにより発生した電位斑を均一化する効果を有することが分かる。
【0112】
このポイントは、第2の帯電ローラ22に突入する感光ドラム上電位と、第2の帯電ローラ22に印加する直流電圧値とが一致している箇所であることから電位差が0V、即ち直流電流値においても0μAとなる。
【0113】
以上より、1本構成において解決できなかった電位斑に対して本構成及び制御を適用することにより本課題を解決できる。
【0114】
さらに、本実施例における効果を電位分布にて説明するために、実機条件に近いモデルを作製し、時間変化に対する電位分布をシミュレーションにより算出した。
【0115】
算出方法としては、有限要素法を採用し、電位分布においては一般座標系でのポアソン方程式及びパッシェン則を基に、電荷移動量、ギャップ放電(火花放電)、沿面放電モデルを取り入れ算出した。
【0116】
上記実施例において使用した高圧条件等をパラメータとして設定し、図6、位置(B)上の電位を各種設定し計算実行を行った。
【0117】
図12は、本実施例における計算値を基に感光体表面上のギャップ放電、即ち、火花放電量の分布を横軸に位置、縦軸に分布量の規格化値を示したものである。各種の線は、図6位置(B)上の電位を系列として定義したものである。
【0118】
尚、横軸0(mm)が第2の帯電ローラ22と感光ドラム1との接するニップ部分の中心となり、正の領域が感光ドラム1の回転方向に対して上流領域、負の領域が下流領域となる。
【0119】
図12より図6位置(B)上の電位、即ち帯電ローラ22に突入する電位が第2の帯電ローラ22のDC印加電圧に近くなるにつれ、ある領域における火花放電分布が小さくなる傾向にあることが分かる。
【0120】
これは突入部におけるパッシェン則において第1の領域(ニップ近傍ではない)箇所での火花放電による順放電による汚れを助長する放電が本実施例の条件では発生していないことを示す。
【0121】
尚、ここでの順放電とは帯電ローラ22から感光ドラム1への放電を指す。
【0122】
それ以外の放電領域では、AC帯電による順逆放電による電位均一化が起きていることから第2の帯電ローラ22通過後の電位は目標電位に対して収束された値にて帯電されることになる。
【0123】
本実施例では帯電ローラ22表層が均一な抵抗層を有する構造にて計算実行したが、現実的には現像剤(トナー、外添剤)等により汚染されるため、局所的に抵抗が変化する。
【0124】
これを想定し、帯電ローラ22の表層抵抗条件を振っても本実施例の効果が適用できるかどうか計算実行した。結果として、図13に示すように、表層抵抗値に係らず、同様の効果をもたらすことが分かった。
【0125】
図13中、9.28×10-6Ωcmの表層抵抗値の系列において、一点鎖線は本発明を実施しないときの放電分布量を示し、この状態において画像出しを行うと帯電ローラ汚れによる画像不良が発生した。
【0126】
上記実施例の制御を実行することにより、帯電ローラ21及び22が現像剤(トナー、外添剤)等により汚染されて表層抵抗に変化が生じ、不均一な帯電状態を形成する条件になっても帯電電位を均一に維持できる制御手段として提供することができる。
【0127】
本実施例では、画像形成時に、AC放電電流量が10μAになるようにVppを1250Vppとして画像形成を行っている。AC放電電流量を最小限に抑えることによって、感光体の劣化や画像流れの発生を大幅に軽減させることができる。
【0128】
上記実施例より、AC放電電流による均し効果が得られるため、均一な帯電(除電)処理をすることが可能であり、高画質化を達成することができる。上述の通り、これらの動作は、すべて画像形成中に同時に行われる。
【0129】
また、本実施例における帯電バイアス制御は、画像形成と同時に実行することができ、制御時間が不要となるため、生産性に影響しないという利点がある。
【0130】
上述にて理解されるように、本発明では、上流の第1の帯電ローラ21に直流電圧を印加させながら下流の第2の帯電ローラ21に交流電圧と直流電圧とを印加する。そして、この時に、第2の帯電ローラ22に流入する直流電流値の絶対値が小さくなるように、第2の帯電ローラ22に印加する直流電圧値を繰り返し制御する。
【0131】
尚、実施例1では、帯電前における感光ドラム1の表面電位(残電位)が0Vの際の帯電バイアス制御について記載した。
【0132】
実際の画像形成装置においては、各高圧電源のバイアス設定や、使用環境、使用履歴、使用される現像剤の種類などによって様々な残電位となる。
【0133】
しかし、本実施例においては第2の帯電ローラ22の制御においてなんら支障なく制御を実行でき且つ課題に対して有効な手段として提案できる。
【0134】
さらに、本実施例では第1の帯電ローラ21の帯電手段をDC帯電として制御したが、AC帯電として制御しても何ら問題はない。
【0135】
実施例2
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例2の画像形成装置(プリンタ)の基本構成は実施例1のものと同様である。従って、実施例1と同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0136】
実施例1では、帯電バイアス制御は画像形成中に同時に行われたが、非画像形成時に行うこともできる。
【0137】
本実施例2においては、帯電バイアス制御は、画像形成ジョブの後(後回転動作)に割り込み制御として行われる。
【0138】
図14は、上記の帯電バイアス制御をフローチャートで表現したものである。ここで、帯電バイアス制御は画像形成ジョブの間に割り込み制御として行われた場合の例である。上述した図3及び図9をも参照して、本実施例のバイアス制御動作について説明する。
【0139】
実施例1における「START」〜S105までの、電源スイッチオン、初期回転動作(前多回転動作)、プリント信号オン、印字準備回転動作開始(前回転工程)、画像形成工程スタートは、同じであるので省略する。
S201:制御手段301は、印字準備回転動作開始(前回転工程)が終了し、画像形成工程スタートにより、画像形成を開始し、画像形成装置の各部を制御して、規定枚数の画像形成を実行させる。
S202:制御手段301は、1枚の画像形成が終了するごとに枚数カウンタ304をインクリメントし、規定枚数Nに達しているかどうかの判断処理を実行する。規定に達していない場合、画像形成を維持する。規定枚数に達した場合には、カウンタ304をリセットし、帯電制御工程へと移行する(S203)。
S204:制御手段301は、帯電制御自体の機能が有効/非有効の判断処理を実行する。有効の場合、帯電制御工程を実行する。非有効の場合、S212へと進み、画像形成を維持する。
S205〜S211:図8を参照して説明した実施例1におけるS108〜S114と同等の処理のため説明は省略する。
【0140】
本実施例2の制御を行うことにより、非画像形成時であっても、実施例1と同様の効果が得られる。且つ、画像形成中に実行することにより耐久中に現像剤(トナー、外添剤等)により汚染された帯電ローラに対しても規定枚数毎に制御が入ることにより、ロバスト性を有した制御となる。
【0141】
(その他)
上記実施例においては、転写後の残電位に対して特に処置を行わず、その電位がそのまま帯電部に到達する構成であるが、感光ドラム1の転写部dと帯電部a1の間に除電装置を設け、残電位をキャンセルして0Vにする構成であってもよい。
【0142】
除電装置により、残電位を均一にコントロールすることができるため、本実施例の制御を安定的に行う上で有効である。また、感光ドラム1の画像形成部と非画像形成部において、残存する電荷量の違いによるゴーストの発生を抑えることができる。
【0143】
印字工程の帯電工程における適切な印加直流値の演算・決定プログラムの実行は実施例のプリンタのように画像形成時や後回転動作時に限られるものではない。他の非画像形成時、即ち、初期回転動作時や印字準備回転動作時、紙間工程時とすることもできるし、複数の工程に実行させるようにすることもできる。
【0144】
また、上記した各実施例における感光ドラム1において、その表面抵抗が109〜1014Ωの電荷注入層を設けた直接注入帯電性のものであってもよい。電荷注入層を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層が上記の抵抗範囲にある場合も同等の効果を得る事ができる。
【0145】
更に、上記した各実施例における感光ドラム1として、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体を用いてもよい。
【0146】
上記した各実施例では、可撓性の接触帯電部材として帯電ローラを用いた構成であったが、これ以外にも、例えばファーブラシ、フェルト、布などの形状・材質のものも使用可能である。
【0147】
更に、各種材質のものを組み合わせることによって、より適切な弾性、導電性、表面性、耐久性のものを得ることができる。
【0148】
以上説明したように、画像形成時において、第2の帯電ローラ22でDCにACを重畳したバイアスを印加しながらDC電流を検出する。そして、DC電流値の絶対値が小さくなるように、好ましくは、DC電流値が0μAになるように第2の帯電ローラで感光ドラムの電位を均一化させる。これによって、高画質化を達成しつつ、帯電ローラ汚れによる帯電不良の発生を抑えることができる。
【0149】
また、上記の帯電バイアス制御を画像形成と同時に実行することによって、制御時間が不要となるため、生産性に影響せずに行うことができる。
【符号の説明】
【0150】
1 感光ドラム(像担持体)
21 第1の帯電ローラ(第1の帯電部材)
22 第2の帯電ローラ(第2の帯電部材)
S11、S12 電源(電圧印加手段)
13 直流電流値測定回路(電流検知手段)
14 制御回路(電源制御手段)
19 電流検出回路(電流検知手段)
301 CPU(装置本体制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して帯電する第1の帯電部材と、
前記像担持体の回転方向に沿って前記第1の帯電部材の下流側において、前記像担持体と接触して帯電する第2の帯電部材と、
前記第1の帯電部材と第2の帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記第2の帯電部材に流れる直流電流を検知する電流検知手段と、
前記第1の帯電部材に直流電圧を印加しつつ、前記第2の帯電部材に交流電圧と直流電圧とを印加したときに前記電流検知手段が検知した直流電流値の絶対値が小さくなるように、前記第2の帯電部材に印加する直流電圧値を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置において前記像担持体の比誘電率ε、膜厚d[m]、周速度P[m/s]、前記像担持体の長手長さL[m]、真空時における空間の誘電率をε0[F/m]、前記第2の帯電部材による帯電後の前記像担持体の表面電位をV[V]としたとき、前記第2の帯電部材に流れる電流値Idc[A]が、|Idc|≦|0.22×V×ε×ε0×P×L/d|なる関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−163600(P2012−163600A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21572(P2011−21572)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】