説明

画像形成装置

【課題】スリープ状態に移行する前に主電源がオフとされた後、電源がオンされて画像形成を実行する際、画像流れが生じることがないようにする。
【解決手段】感光ドラム32帯電器50から遮蔽するための遮蔽部材60は、感光ドラム帯電器から遮蔽する遮蔽位置と、感光ドラムと帯電器との間を開放する退避位置との間で移動する。電源が投入された際、CPUは定着器による加熱を開始して、遮蔽部材が遮蔽位置にあると感光ドラムを予め規定された第1の時間だけ回転する。一方、遮蔽部材が遮蔽位置にないと、CPUは感光ドラムを第1の時間よりも長い第2の時間だけ回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、又はプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、感光体などの像担持体の表面を一様に帯電した後、画像データに応じて像担持体を露光して、像担持体上に静電潜像を形成している。
【0003】
このような画像形成装置では、像担持体を帯電する際、主にコロナ帯電器が用いられている。コロナ帯電器は、金属ワイヤに高電圧を印加してコロナ放電を発生させることで、像担持体を帯電させている。
【0004】
一方、コロナ放電によって、不可避的に金属ワイヤ自体に汚れが吸着するので、定期的に金属ワイヤを清掃する必要がある。さらには、金属ワイヤの交換が必要となることもある。また、コロナ放電に伴ってオゾンが大量に発生する。
【0005】
ところで、電子写真感光体は、帯電器から発生するオゾンと空気中の水分との反応によって生成されるオゾン生成物(放電又は帯電生成物)の影響を受けて、繰り返し使用すると感光体の表面が次第に湿度に敏感となって水分を吸着しやすくなる。
【0006】
上述のように、湿度に敏感となった感光体の表面にオゾン生成物が付着すると、オゾン生成物によって感光体の表面抵抗が低下して、静電潜像が欠落する所謂画像流れが発生する。
【0007】
上記のような画像流れを防止するため、画像形成装置が画像形成可能なスタンバイ状態から省電力モードであるスリープ状態に移行する際、遮蔽部材によって感光体を帯電器から遮蔽するようにしたものがある(特許文献1参照)。ここでは、スリープ状態に移行する際、感光体と帯電器とを遮蔽してオゾン生成物が感光体に付着して感光体の耐久性の低下および画像流れの発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−72212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1においては、スタンバイ状態からスリープ状態に移行する前に、例えば、ユーザが画像形成装置の主電源をオフしてしまうと、感光体と帯電器との間を遮蔽することができない。
【0010】
そして、感光体と帯電器とが遮蔽されていない状態で長時間放置すると、感光体にオゾン生成物が付着してしまう。このような状態で、主電源がオンされて印刷ジョブが実行されると、感光体にオゾン生成物が付着している関係上、印刷ジョブ実行の際に画像流れが発生してしまうことになる。
【0011】
従って、本発明の目的は、スリープ状態に移行する前に主電源がオフとされた後、電源がオンされて画像形成を実行する際、画像流れが生じることのない画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明による画像形成装置は、感光体の表面を放電によって一様に帯電させる帯電手段と、前記感光体を回転駆動する回転駆動手段と、画像データに応じて前記感光体を露光して前記感光体に静電潜像を形成する露光手段と、前記感光体に形成された静電潜像を現像してトナー画像とする現像手段と、前記トナー画像が転写された記録材を加熱して前記トナー画像を前記記録材に定着させる定着手段とを有し、前記記録材に画像形成を行う画像形成装置において、前記感光体を前記帯電手段から遮蔽するための遮蔽部材と、前記遮蔽部材を、前記感光体を前記帯電手段から遮蔽する遮蔽位置と、前記感光体と前記帯電手段との間を開放する退避位置との間で移動させる移動手段と、電源が投入された際、前記定着手段による加熱を開始する第1の制御手段と、前記電源が投入された際、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にあると前記回転駆動手段を制御して前記感光体を予め規定された第1の時間だけ回転させ、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にないと前記回転駆動手段を制御して前記感光体を前記第1の時間よりも長い第2の時間だけ回転させる第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遮蔽部材が感光体と帯電器とを遮蔽しない位置に位置する際に電源をオフされて、感光体に帯電生成物が付着した場合においても、次の電源オンの際には、感光体を定着手段からの熱によって加熱するとともに、通常の回転時間(第1の時間)よりも長い第2の時間だけ回転させるようにしたから、感光体を乾燥させて感光体に付着した放電生成物を容易に剥離・除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態による画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示す一次帯電器の構成を説明するためその内部を透視して示す図である。
【図4】図1に示す画像形成装置における帯電生成物(オゾン生成物)の除去制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による画像形成装置の一例について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態による画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。
【0017】
図1を参照すると、画像形成装置101は、イメージリーダ20およびプリンタ30を有しており、イメージリーダ20によって原稿上の画像を読み取って画像データを得る。そして、画像形成部であるプリンタ30は画像データに応じて画像形成を行う。
【0018】
この画像形成装置は、画像形成(印刷)を直ちに実行可能なスタンバイ状態と、当該スタンバイ状態よりも消費電力が少ないスリープ状態とを有している。
【0019】
イメージリーダ20上には、原稿給送装置5が搭載されている。原稿給送装置5は、原稿トレイ上に上向きにセットされた原稿を先頭ページから順に1枚ずつ搬送して、原稿を湾曲したパスを介してプラテンガラス6上に送る。そして、原稿はプラテンガラス6において読み取り位置を経て右側に搬送され、外部の排紙トレイ7に排出される。原稿はプラテンガラス6上の流し読み取り位置を通過する際にイメージリーダ20によって読み取られる。
【0020】
例えば、イメージリーダ20は、スキャナユニット21、ミラー22a、22b、および22c、レンズ23、およびイメージセンサ24を有している。スキャナユニット21は、流し読み取り位置に対応する位置に保持されており、原稿は流し読み取り位置を通過する際スキャナユニット21によって読み取られる。この読み取り手法は、一般的に、原稿流し読みと呼ばれる手法である。
【0021】
具体的には、原稿が流し読み取り位置を通過する際に、原稿の読み取り面がスキャナユニット21のランプ(図示せず)の光で照射される。そして、原稿からの反射光がミラー22a、22b、および22cを介してレンズ23に導かれる。レンズ23を通過した光は、イメージセンサ24の撮像面に結像する。
【0022】
このように流し読み取り位置を通過するように原稿を搬送することによって、原稿の搬送方向に対して直交する方向を主走査方向とし、搬送方向を副走査方向とする原稿読み取り走査が行われる。つまり、原稿が流し読み取り位置を通過する際に主走査方向に原稿画像を1ライン毎にイメージセンサ24で読み取りつつ、原稿を副走査方向に搬送することによって原稿画像全体の読み取りが行われる。
【0023】
光学的に読み取られた画像はイメージセンサ24によって画像信号に変換されて出力される。イメージセンサ24から出力された画像信号は、後述する画像信号制御部において所定の処理が施された後、プリンタ30に備えられた露光制御部31にビデオ信号(画像データともいう)として与えられる。
【0024】
なお、原稿を連続的に読み取る際、原稿給送装置5によって原稿をプラテンガラス6上に搬送して所定位置に停止させ、この状態でスキャナユニット21を、図中左から右へ走査させて原稿を読み取るようにしてもよい。この読み取り手法は所謂原稿固定読みと呼ばれる手法である。
【0025】
原稿給送装置5を用いないで原稿を読み取る場合には、ユーザは原稿給送装置5を持ち上げ、プラテンガラス6上に原稿を載置する。そして、スキャナユニット21を、図中左から右へ走査させて原稿の読み取りを行う。つまり、原稿給送装置5を用いることなく原稿を読み取る場合にも、原稿固定読みが行われる。
【0026】
プリンタ30に備えられた露光制御部31は、ビデオ信号(画像データ)に基づいてレーザ光を変調して出力する。このレーザ光はポリゴンミラー(図示せず)によって走査されつつ、像担持体である感光ドラム32に照射される。そして、感光ドラム32には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。ここで、露光制御部31は、原稿固定読みの際には、鏡像でない画像が形成されるようにレーザ光を出力する。
【0027】
プリンタ30は、画像を形成するためのシートが収納された複数の給紙カセット33を備えている。これら複数の給紙カセット33は、図中手前方向に引き出し可能となっている。
【0028】
画像形成の際には、給紙カセット33に対応して設けられた分離給紙部33aによって給紙カセット33から画像形成位置にシートが一枚ずつ供給される。また、また、プリンタ30には所謂両面複写を行うための反転パス34が設けられており、一面に画像が形成されたシートの裏面に画像を形成する際、シートは反転パス34に送られる。そして、シートは反転パス34で反転されて、両面搬送パス35によって再度画像形成位置に供給される。
【0029】
感光ドラム32の周囲には、一次帯電器50(帯電手段:帯電部、現像ユニット40(現像手段:現像部)、転写装置36、および遮蔽部材60が配置されている。図示の例では、感光ドラム32は、材料としてアモルファスシリコンが用いられている。まず、一次帯電器50に電圧が印加されて感光ドラム32の表面を所定の帯電部電位で一様に帯電させる。一次帯電器50はコロナ放電によって感光ドラム32の表面を一様に帯電させる。
【0030】
続いて、帯電された感光ドラム32上の画像部分が所定の露光部電位になるように、露光制御部31(露光手段:露光部)で露光を行って感光ドラム32上に静電潜像を形成する。露光制御部31は画像データに基づいて、例えば、半導体レーザをオン・オフ制御して、画像データに対応した静電潜像を感光ドラム32上に形成する。
【0031】
現像ユニット40は現像ローラ41を有しており、この現像ローラ41は常に感光体ドラム32に接した常態となっている。現像の際には、現像ローラ41に高圧バイアスが印加されて、感光ドラム32上の静電潜像をトナーによって現像し、トナー画像とする。
【0032】
レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、給紙カセット33又は両面搬送パス35から画像形成位置(転写位置)にシートが給送される。この転写位置は感光ドラム32と転写装置36とのニップ部である。そして、転写位置において、感光ドラム32に形成されたトナー画像は、転写装置36によってシートに転写される。
【0033】
トナー画像が転写されたシート(記録材)は、後述する定着制御部によって制御される定着部37(定着手段:定着部)に搬送される。定着部37はシートを加熱加圧することによってトナー画像をシートに定着させる。定着部37を通過したシートは排出ローラ38を経て、プリンタ30から排紙トレイ90に排出される。
【0034】
シートをその画像形成面(印刷面)が下向きになる状態(フェイスダウン)で排出する際には、定着部37を通過したシートを、反転パス34との分岐部に設けられているフラッパ(図示せず)を切り替えて、一旦反転パス34内に導く。そして、シートの後端がフラッパを通過した後、シートをスイッチバックさせて排出ローラ38によりプリンタ30から排紙トレイ90に排出する。以下、この排紙形態を反転排紙と呼ぶ。
【0035】
この反転排紙は、原稿給送装置5を用いて原稿を読み取った結果得られた画像データに応じた画像形成を行う際又はコンピュータ(図示せず)から出力された画像データに応じた画像形成を行う際など先頭頁から順に画像形成するときに行われ、その排紙後のシート順序は頁順となる。
【0036】
図1に示す手差給紙部39からOHPシートなどの硬いシートが供給され、当該シートに画像を形成する際には、シートを反転パス34に導くことなく、画像形成面を上向きにした状態(フェイスアップ)で排出ローラ38により排紙トレイ90に排出する。これによって、硬いシートなどのジャムし易いシートについてはフェイスアップで排紙が行われる。
【0037】
シートの両面に画像形成を行う両面記録(両面複写)が設定されている際には、前述のように、反転パス34の分岐部に設けられているフラッパの切り替えによって一旦シートを反転パス34に導いた後に両面搬送パス35に搬送する。そして、両面搬送パス35に導かれたシートを所定のタイミングで感光ドラム32と転写装置36とのニップ部(転写位置)に再度給送する。
【0038】
図2は、図1に示す画像形成装置101の制御系を説明するためのブロック図である。
【0039】
図2を参照すると、画像形成装置101はコントローラ部3000およびプリンタ制御部3100を備えている。そして、コントローラ部3000は、印刷ジョブなどのジョブの管理を行い、プリンタ制御部3100はプリンタ30を制御する。つまり、プリンタ制御部3100は画像データに応じたトナー画像をシートに形成するとともに、シートの搬送制御を行う。
【0040】
コントローラ部3000は、CPU301、RAM302、ROM303、外部インタフェース(I/F)部304、PDL(page description language:ページ記述言語)制御部305、内部I/F部306、および操作部307を有している。ROM303にはCPU301上で動作する制御プログラムが格納されており、RAM302はCPU301のワーク領域として用いられ、CPU301で処理されるデータ(画像データ)などが格納される。これらROM303およびRAM302はアドレスバスおよびデータバスによってCPU301に接続されている。
【0041】
外部I/F部304は、PCなどの外部機器と通信を行うためのインタフェースである。PDL制御部305は受信したデータの加工、蓄積、および画像処理を行う。内部I/F306はプリンタ制御部3100との通信を行うためのインタフェースである。
【0042】
CPU301は操作部307に対して各種情報を表示するとともに、操作部307におけるキー入力を受け付ける。ユーザは操作部307の操作(キー入力)によって操作部307における表示の切り替えをCPU301に指示する。CPU301は操作部307に画像形成装置101の動作状態およびキー入力によって設定された動作モードに係る情報の表示を行う。
【0043】
プリンタ制御部3100は、CPU311、RAM312、ROM313、デバイス制御部314、および内部I/F部315を有しており、内部I/F315によってコントローラ部3000に接続されている。
【0044】
CPU311はROM313に格納された制御プログラムに応じて画像形成に係る基本制御を行う。RAM312はCPU311のワーク領域として用いられ、画像形成を行うためのデータ(画像データ)が格納される。これらROM313およびRAM312はアドレスバスおよびデータバスを介してCPU311に接続されている。なお、ROM313には、後述する制御手順等が記憶されている。
【0045】
デバイス制御部314は、遮蔽モータ制御部320、位置検出部321、定着制御部322、および時間計測部323を有している。そして、デバイス制御部314はプリンタ30を制御する。内部I/F部315はコントローラ部3000と画像データおよびタイミング信号の送受を行う。つまり、デバイス制御部314はコントローラ部3000から画像信号を受け、制御プログラムに応じてプリンタ30を制御して画像形成を実行する。
【0046】
なお、遮蔽モータ制御部320は感光ドラム32を一次帯電器50から遮蔽するための遮蔽部材(図示せず)を駆動する遮蔽モータ(図示せず)を制御する。位置検出部321は遮蔽部材の位置を検出する。定着制御部322は定着部37を制御する。
【0047】
図3は、図1に示す一次帯電器50の構成を説明するためその内部を透視して示す図である。
【0048】
図3を参照すると、一次帯電器50には、帯電器筐体50aを有しており、この帯電器筐体50aは感光ドラム32側の1面が開口されている。帯電器筐体50a内には帯電ワイヤ(金属ワイヤ)51、遮蔽部材60、可動部材61、および遮蔽モータ62が収納されている。
【0049】
可動部材61の一端面には遮蔽部材60の一端が取り付けられている。図示の例では、遮蔽部材60はシート状であり、可動部材61の移動に応じて巻き枠から引き出されて、前述の帯電器筐体50aの開口面を塞ぐ。図示のように、帯電器筐体50aの内部空間は仕切り板50cによって第1および第2の室に仕切られており、第1の室に巻き枠および遮蔽モータ62が配置されている。
【0050】
遮蔽部材60は仕切り板50cの下端から第2の室に延びている。なお、図示のように、帯電ワイヤ51は第2の室に配置され、その長さ(帯電器筐体50aの長手方向長さ)は感光ドラム32の軸方向長さよりも長い。また、帯電ワイヤ51は可動部材61を貫通しており、可動部材61の移動が帯電ワイヤ51によって妨げられることはない。
【0051】
遮蔽モータ62の回転軸には、帯電器筐体50aの長手方向に延びるネジ軸体50bが取り付けられており、ネジ軸体50bは可動部材61を貫通して螺合している。この結果、遮蔽モータ62の回転駆動によって、ネジ軸体50bに螺合する可動部材61が帯電器筐体50aの長手方向に沿って移動して、それに伴って遮蔽部材60が巻き枠から引き出されて開口を塞ぐ。これによって、遮蔽部材60によって感光ドラム32が帯電ワイヤ51から遮蔽されることになる。
【0052】
帯電器筐体50aには、可動部材61の位置を検出するための可動部材検出センサ63(位置検出手段)が取り付けられている。可動部材61は予め規定された退避位置と遮蔽位置との間で移動し、可動部材検出センサ63は、可動部材61が退避位置に位置する際に可動部材61を検出する位置に配置されている。
【0053】
なお、可動部材検出センサ63は可動部材61が遮蔽位置に位置する際に可動部材61を検出する位置に配置するようにしてもよい。いずれにしても、可動部材検出センサ63は可動部材61が遮蔽位置又は退避位置に位置する際に可動部材61を検出する位置に配置するようにすればよい。
【0054】
ここでは、可動部材61が遮蔽位置にある際に、感光ドラム32が帯電ワイヤ51から遮蔽され、可動部材61が予め定められた退避位置にある際には、帯電ワイヤ51と感光ドラム32との間は開放されるものとする。
【0055】
図4は、図1に示す画像形成装置101における帯電生成物(オゾン生成物)の除去制御を説明するためのフローチャートである。
【0056】
図1〜図4を参照して、いま、画像形成装置101において、電源がオンされると(電源が投入されると)、CPU311は定着制御部322を制御して定着制御部322によってヒータ(図示せず)を動作させる。つまり、定着制御部322は定着部37の加熱を開始して定着部37の温調制御を実行する(ステップS401)。
【0057】
続いて、CPU311は位置検出部321を介して可動部材検出センサ63によって可動部材61が検出されているか否かについて判定する(ステップS402)。可動部材検出センサ63によって可動部材61が検出されていない場合には(ステップS402において、NO)、つまり、可動部材61が遮蔽位置に位置して遮蔽部材60によって感光ドラム32が帯電ワイヤ51から遮蔽されている場合には、CPU311は遮蔽モータ制御部320によって遮蔽モータ62を回転制御する(ステップS403)。これによって、CPU311は可動部材61を遮蔽位置から退避位置に向って移動させる。
【0058】
さらに、ステップS403においては、CPU311は可動部材61の移動開始と同時に時間計測部323を起動して計時を開始する。そして、CPU311は可動部材検出センサ63によって可動部材61が検出されたか否かを判定する(ステップS404)。つまり、CPU311は可動部材61が退避位置に達したか否かについて判定する。
【0059】
可動部材61が退避位置に達しないと(ステップS404において、NO)、CPU311は待機する。一方、可動部材61が退避位置に達すると(ステップS404において、YES)、つまり、可動部材検出センサ63が可動部材61を検出すると、CPU311は遮蔽モータ制御部320によって遮蔽モータ62の回転を停止する(ステップS405)。
【0060】
この際、CPU311は時間計測部323で計時された時間を読込む。この時間は、可動部材61の移動を開始してから可動部材検出センサ63が可動部材61を検出するまでの時間(移動時間)、つまり、可動部材61が退避位置に移動するまでの時間である。そして、CPU311は時間計測部323をリセットする。
【0061】
続いて、CPU311は、上記の移動時間が予め設定された設定時間以上(例えば、15秒以上)であるか否かについて判定する(ステップS406)。なお、この設定時間は可動部材61が遮蔽位置から退避位置に移動するために要する時間に設定される。
【0062】
移動時間が設定時間以上であると(S406において、YES)、CPU311は可動部材61を移動させる前において、可動部材61の位置は遮蔽位置にあり感光ドラム32が帯電ワイヤ51から完全に遮蔽されていたと判断する。そして、CPU311は通常のドラム回転時間(第1の時間、例えば、10秒)の間だけ感光ドラム32を回転駆動して(ステップS407:回転駆動手段又は回転駆動部)、画像形成装置101をスタンバイ状態とする。
【0063】
ステップS402において、可動部材検出センサ63によって可動部材61が検出されていると(ステップS402において、YES)、つまり、可動部材61が退避位置に位置して遮蔽部材60によって感光ドラム32が帯電ワイヤ51から遮蔽していないと、CPU311は遮蔽部材60によって感光ドラム32が帯電ワイヤ51から遮蔽される前に電源がオフされたと判断する。
【0064】
この場合、CPU311は内部I/F315を介してコントローラ部3000にその旨通知する。これによって、CPU301は操作部307に調整中である旨を示すメッセージを表示する(ステップS408)。
【0065】
続いて、CPU311は通常のドラム回転時間よりも長い所定の回転時間(第2の時間、例えば、5分)だけ感光ドラム32を回転駆動して(ステップS409)、画像形成装置101をスタンバイ状態とする。なお、ステップS406において、移動時間が設定時間未満であると(S406において、NO)、CPU311は可動部材61を移動させる前において可動部材61は遮蔽位置と退避位置の途中位置に位置していたと判断して、ステップS408の処理に移行する。
【0066】
このようにして、電源がオンされた際、可動部材61が遮蔽位置に位置していないと、つまり、感光ドラム32が遮蔽部材60によって帯電ワイヤ51から完全に遮蔽されていない状態であると、通常のドラム回転時間よりも長い時間、感光ドラム32を回転させる。これによって、スタンバイ状態となる前に、定着部37の熱を、感光ドラム32を与えて感光ドラム32を乾燥させつつ、感光ドラム32を通常よりも長い時間、回転させるので、感光ドラム32に付着した帯電生成物を感光ドラム32から容易に剥離・除去することができる。これによって、画像形成の際の画像流れを防止することができる。
【0067】
上述のように、主電源をオンした際の可動部材61、つまり、遮蔽部材60の位置および遮蔽部材60の移動時間に応じて、感光ドラム32の回転時間を制御するようにする。これによって、遮蔽部材60が感光ドラム32を帯電ワイヤ51(つまり、帯電器)から遮蔽しない位置に位置する際に主電源がオフとされて、感光ドラム32に帯電生成物が付着した場合においても、主電源がオンされた際に感光ドラム32に付着した帯電性生物を剥離・除去することできる。この結果、印刷ジョブを実行した際の画像流れを確実に防止することができる。
【0068】
上述の説明から明らかなように、図2において、CPU311、遮蔽モータ制御部320、および遮蔽モータが移動手段又は移動機構として機能する。また、CPU311および定着制御部322が第1の制御手段として機能し、CPU311、位置検出部321、および時間計測部323が第2の制御手段として機能する。さらに、CPU301および操作部307は表示制御手段として機能する。
【0069】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
32 感光ドラム
50 一次帯電器
51 帯電ワイヤ
60 遮蔽部材
61 可動部材
62 遮蔽モータ
63 可動部材検出センサ
3000 コントローラ部
3100 プリンタ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の表面を放電によって一様に帯電させる帯電手段と、前記感光体を回転駆動する回転駆動手段と、画像データに応じて前記感光体を露光して前記感光体に静電潜像を形成する露光手段と、前記感光体に形成された静電潜像を現像してトナー画像とする現像手段と、前記トナー画像が転写された記録材を加熱して前記トナー画像を前記記録材に定着させる定着手段とを有し、前記記録材に画像形成を行う画像形成装置において、
前記感光体を前記帯電手段から遮蔽するための遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を、前記感光体を前記帯電手段から遮蔽する遮蔽位置と、前記感光体と前記帯電手段との間を開放する退避位置との間で移動させる移動手段と、
電源が投入された際、前記定着手段による加熱を開始する第1の制御手段と、
前記電源が投入された際、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にあると前記回転駆動手段を制御して前記感光体を予め規定された第1の時間だけ回転させ、前記遮蔽部材が前記遮蔽位置にないと前記回転駆動手段を制御して前記感光体を前記第1の時間よりも長い第2の時間だけ回転させる第2の制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材が前記退避位置および前記遮蔽位置のいずれか一方に位置することを検出する位置検出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記画像形成が可能な状態であるスタンバイ状態と、該スタンバイ状態よりも消費電力の少ないスリープ状態とを有し、
前記第2の制御手段は前記感光体を前記第1の時間又は前記第2の時間だけ回転駆動した後、前記画像形成装置を前記スタンバイ状態とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源がオンされた際、前記遮蔽部材が前記退避位置に移動するまでの移動時間を計測する時間計測手段を備え、
前記第2の制御手段は、前記電源がオンされた際、前記遮蔽部材が前記退避位置に位置しないと前記移動手段を制御して前記遮蔽部材を前記退避位置に移動させるとともに、前記時間計測手段を起動して前記移動時間を計測して、前記移動時間が予め設定された設定時間未満であると、前記回転駆動手段を制御して第2の時間だけ前記感光体を回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の制御手段による前記感光体の回転が行われる前に、前記画像形成装置の調整を行う旨のメッセージを表示する表示制御手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−163759(P2012−163759A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23866(P2011−23866)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】