説明

画像形成装置

【課題】タイマで時間を計測して、主走査起動開始時間に到達したところで主走査の起動を行うと、余裕を持たせてタイマ値を設定しなければならず、印刷速度が遅くなる。
【解決手段】先行スキャンにおける画像領域201の印字が終了したタイミングで、副走査駆動を開始し、次の副走査位置までの用紙10の搬送を開始して所定搬送量Aだけ搬送し、所定搬送量Aだけ搬送した位置で副走査駆動を終了し、副走査の駆動開始から次の主走査におけるキャリッジ3の移動開始までの副走査駆動量Aを算出し、次の主走査におけるキャリッジ3の移動開始から記録ヘッド4による印字開始までの時間X[ms]を算出し、副走査終了位置から時間X[ms]前の距離B[mm]し、副走査駆動を開始してから用紙10を(A−B)[mm]搬送したタイミングで次スキャンの主走査を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に画像形成手段を搭載したキャリッジを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。なお、以下では液滴を吐出する液体吐出ヘッドを画像形成手段(以下「記録ヘッド」という。)として備えるもので説明するが、画像形成手段は液体吐出ヘッドに限るものではない。
【0004】
シリアル型画像形成装置においては、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向に移動走査し、被記録媒体である用紙を間歇的に搬送することで、用紙上に画像を形成する。このようなシリアル型画像形成装置では、キャリッジを主走査方向に移動して印字区間(キャリッジの駆動開始から駆動停止までの区間)の画像領域(印字区間の内の記録ヘッドから液滴を吐出して画像を形成する区間)の画像形成が終了した後、次の画像データが決定されて、かつ、副走査の改行幅(用紙搬送量)が決定する場合、副走査を起動(用紙搬送を開始)して、次の印字行に改行する。
【0005】
この場合、副走査を起動する前に、計算式に基づき主走査の起動タイミングを算出しておき、副走査の起動後、タイマで時間を計測して、主走査起動開始時間に到達したときに主走査の起動(キャリッジの駆動)を開始するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−202713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、タイマで時間を計測して、主走査起動開始時間に到達したところで主走査の起動を行う構成にあっては、タイマの精度によっては目標通りのタイミングで主走査の起動を開始できないため、余裕を持たせてタイマ値を設定しなければならず、理想的な起動タイミングに対し遅れが生じ、印刷速度が理論値より遅くなるという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、タイマによる計測を不要とし、印刷速度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
画像を形成する画像形成手段が搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
被記録媒体を主走査方向と直交する副走査方向に搬送する搬送手段と、
前記キャリッジの主走査方向への移動と、前記搬送手段による前記被記録媒体の副走査方向への移動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
次の主走査における前記キャリッジの移動開始から前記画像形成手段による印字開始までの時間を算出する時間算出手段と、
先行の主走査における前記画像形成手段による印字終了時から次の副走査位置までの前記被記録媒体の搬送を開始して所定搬送量だけ前記被記録媒体を搬送させる手段と、
前記次の副走査位置への前記被記録媒体の搬送が停止する時より前記時間算出手段で算出された時間前までに搬送される前記被記録媒体の搬送距離を算出する距離算出手段と、
前記次の副走査位置への前記被記録媒体の搬送を開始した時から前記距離算出手段で算出された搬送距離分前記被記録媒体の搬送が行われた時に、次の主走査における前記キャリッジの移動を開始させる手段と、を備えている
構成とした。
【0010】
ここで、前記被記録媒体の所定搬送量が前記被記録媒体の搬送距離よりも短いときには、先行する主走査における前記キャリッジの移動が終了したときに次の主走査における前記キャリッジの移動を開始させる構成とできる。
【0011】
また、次の主走査における前記キャリッジの移動開始後印字開始前には印字時の速度よりも速い速度で前記キャリッジを移動させる構成とできる。
【0012】
また、先行の主走査における印字終了後次の主走査における前記キャリッジの移動開始前には印字時の速度よりも速い速度で前記キャリッジを移動させる構成とできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像形成装置によれば、次の主走査におけるキャリッジの移動開始から画像形成手段による印字開始までの時間を算出する時間算出手段と、先行の主走査における画像形成手段による印字終了時から次の副走査位置までの被記録媒体の搬送を開始して所定搬送量だけ被記録媒体を搬送させる手段と、次の副走査位置への被記録媒体の搬送が停止する時より時間算出手段で算出された時間前までに搬送される被記録媒体の搬送距離を算出する距離算出手段と、次の副走査位置への被記録媒体の搬送を開始した時から距離算出手段で算出された搬送距離分被記録媒体の搬送が行われた時に、次の主走査におけるキャリッジの移動を開始させる手段と、を備えている構成としたので、タイマによる計測が不要となり、タイマ精度分余分に待ち時間を持たせる必要がなくなり、印刷速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の要部平面説明図である。
【図2】同機構部の要部正面説明図である。
【図3】同装置の制御部の概要を示すブロック説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
【図6】同実施形態の適用が必要な例の説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
【図9】同実施形態の適用が必要な例の説明図である。
【図10】図9の例に前記第1実施形態を適用した場合の主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明を適用した画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の要部平面説明図、図2は同機構部の要部正面説明図である。
【0016】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、左右の側板100L,100R間に横架した主ガイドロッド1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を摺動自在に保持し、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に渡したタイミングベルト8を介して主走査方向に移動走査する。
【0017】
キャリッジ3には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド4y、4m、4c、4k(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0018】
記録ヘッド4を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0019】
一方、用紙を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ15によって帯電(電荷付与)される。
【0020】
また、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0021】
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。
【0022】
なお、維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする4個のキャップ部材31、ノズル面を払拭するワイパ部材32、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける空吐出受け33などで構成されている。
【0023】
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターン(位置識別部、目盛り、スリットなどともいう。以下「スリット」という。)を形成したエンコーダスケール23を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール23のスリットを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24を設け、これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)27を構成している。
【0024】
また、搬送ローラ13の軸には高分解能のエンコーダスケール(コードホイール)25を取り付け、このエンコーダスケール25に形成したパターン(スリット)を検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26を設けて、これらのエンコーダスケール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)28を構成している。
【0025】
このように構成したこの画像形成装置においては、図示しない給紙トレイから用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイ103に排紙する。
【0026】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係るキャリッジ移動、用紙搬送に係わる制御(処理)を実行させるプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0027】
また、記録ヘッド4を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ3を移動走査する主走査モータ5、搬送ベルト12を周回移動させる副走査モータ16を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ15にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0028】
また、I/O部513は、主走査エンコーダ27のエンコーダセンサ24、副走査エンコーダ28のエンコーダセンサ26、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0029】
ここで、CPU501は、主走査エンコーダ27を構成するエンコーダセンサ24からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ5に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ5を駆動する。同様に、副走査エンコーダ28を構成するエンコーダセンサ25からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ16対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ16を駆動する。
【0030】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。さらに、この制御部500には、現在時刻(年月日時刻)を計時する計時手段であるリアルタイムクロック(RTC)520を備えている。
【0031】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0032】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0033】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0034】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド4の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0035】
また、CPU501は、ROM502に格納されたプログラムによって、各部を制御して、次の主走査におけるキャリッジの移動開始から画像形成手段による印字開始までの時間を算出する時間算出処理と、先行の主走査における画像形成手段による印字終了時から次の副走査位置までの被記録媒体の搬送を開始して所定搬送量だけ被記録媒体を搬送させる処理と、次の副走査位置への被記録媒体の搬送が停止する時より時間算出手段で算出された時間前までに搬送される被記録媒体の搬送距離を算出する距離算出処理と、次の副走査位置への被記録媒体の搬送を開始した時から距離算出手段で算出された搬送距離分被記録媒体の搬送が行われた時に、次の主走査におけるキャリッジの移動を開始させる処理とを行う。
【0036】
次に、本発明の第1実施形態について図4を参照して説明する。なお、図4は同実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。図4中、横軸は時間、縦軸は主走査ではキャリッジ速度、副走査では用紙搬送速度を表している(以下の図でも同じ)。
まず、先行スキャン(先行する主走査)における画像領域201の印字が終了したタイミングで、副走査駆動を開始し、次の副走査位置までの用紙10の搬送を開始して所定搬送量Aだけ搬送し、所定搬送量Aだけ搬送した位置で副走査駆動を終了する。
【0037】
このとき、副走査の駆動開始から次の主走査におけるキャリッジ3の移動開始(次スキャン主走査駆動開始)までの副走査駆動量(用紙搬送量:改行量)Aを算出する。ここで、副走査駆動量は、次の画像書き出し位置までであり、ホスト側から転送された印刷データ算出することができる。
【0038】
また、次の主走査におけるキャリッジ3の移動開始(次スキャンの主走査駆動開始)から記録ヘッド4による印字開始(次スキャン印字開始)までの時間X[ms]を算出する。この時間X[ms]は、先行スキャン停止目標位置、次スキャン印字開始位置、主走査加速度、主走査目標速度より、物理法則に基づき算出することができる(なお、ここでいう物理法則とは等加速度運動のこととする。)。
【0039】
そして、副走査終了位置から時間X[ms]前の距離B[mm]を算出する。つまり、次の副走査位置への用紙の搬送が停止する時(副走査駆動終了位置)より算出された時間X前までに搬送される用紙10の搬送距離Bを算出する。このときの時間X[ms]に対応する距離B[mm]は、副走査の減速度、副走査の目標速度をもとに算出することができる。
【0040】
以上より、副走査駆動を開始してから用紙10を(A−B)[mm]搬送したタイミングで次スキャンの主走査を開始する。なお、距離(A−B)[mm]の搬送を行ったか否かは、副走査エンコーダ28からの検出パルスをカウントして、距離(A−B)[mm]と比較することによって判別することができる。
【0041】
このようにして、タイマを用いる必要がなく、タイマ精度分余分に待ち時間を持たせる必要がなくなるので、生産性(印刷速度)を向上させることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図、図6は同実施形態の適用が必要な例の説明図である。
例えば、図6に示すように、先行スキャンの画像領域201が先行スキャンの終了側の領域で、次スキャンの画像領域202が次スキャンの終了側の領域である場合、先行スキャン印字終了位置から次スキャン印字開始位置までの距離が長くなる。
【0043】
そこで、先行スキャン印字終了位置から次スキャン印字開始位置までの距離が長い場合には、図5に示すように、副走査駆動終了のタイミングで次スキャンの印字開始を行おうとすると、先行スキャンの主走査駆動が停止する前に次スキャンの主走査駆動を開始しなければならならず不可能である。
【0044】
そこで、本実施形態では、先行スキャンの主走査駆動が停止した時に次スキャンの主走査駆動を開始するようにしている。つまり、被記録媒体の所定搬送量が被記録媒体の搬送距離よりも短いときには、先行する主走査におけるキャリッジの移動が終了したときに次の主走査におけるキャリッジの移動を開始させる構成としている。
【0045】
これにより、次スキャンを実施可能な最短のタイミングで主走査駆動を開始でき、印刷速度の向上を図れる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して説明する。なお、図7は同実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
上記第2実施形態では、先行スキャンの主走査駆動停止後、次スキャンの主走査駆動を開始しているが、副走査の停止と同時に次スキャンの印字を開始できないので待機時間が生じることになる。
【0047】
そこで、本実施形態では、副走査駆動終了のタイミングで次スキャン印字ができるように、次スキャン主走査駆動開始から印刷開始位置までの主走査速度(キャリッジ速度)を、印刷時(画像形成時)のキャリッジ速度より速くし、次スキャン印字開始までに印刷時の速度まで減速させるようにしている。
【0048】
このようにすることで、副走査駆動終了のタイミングで次スキャンにおける印字を開始でき、無駄な待ち時間がなくなり、印刷速度を向上させることができる。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態について図8ないし図10を参照して説明する。なお、図8は同実施形態における主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図、図9は同実施形態の適用が必要な例の説明図、図10は図9の例に前記第1実施形態を適用した場合の主走査及び副走査の駆動タイミングを説明する説明図である。
例えば、図9に示すように、先行スキャンの画像領域201が先行スキャンの開始側の領域で、次スキャンの画像領域202が次スキャンの開始側の領域である場合、先行スキャン印字終了位置から次スキャンの主走査終了位置までの距離が長くなる。
【0050】
このように、先行スキャンの印字終了位置から先行スキャンの主走査終了位置までの距離が長い場合にも、図10に示すように、副走査駆動終了のタイミングで次スキャンの印字を開始できない。
【0051】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、副走査駆動終了のタイミングで次スキャン印字ができるように、先行スキャンにおける印字終了から主走査駆動終了までのキャリッジ速度を印刷時のキャリッジ速度よりも速くし、副走査駆動終了までに次スキャン主走査駆動開始位置を早めている。
【0052】
このように構成することで、副走査駆動終了のタイミングで次スキャンの印字を開始でき、無駄な待ち時間がなくなって、印刷速度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ガイドロッド
3 キャリッジ
4、4k、4c、4m、4y 記録ヘッド
5 主走査モータ
16 副走査モータ
27 主走査エンコーダ
28 副走査エンコーダ
500 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段が搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
被記録媒体を主走査方向と直交する副走査方向に搬送する搬送手段と、
前記キャリッジの主走査方向への移動と、前記搬送手段による前記被記録媒体の副走査方向への移動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
次の主走査における前記キャリッジの移動開始から前記画像形成手段による印字開始までの時間を算出する時間算出手段と、
先行の主走査における前記画像形成手段による印字終了時から次の副走査位置までの前記被記録媒体の搬送を開始して所定搬送量だけ前記被記録媒体を搬送させる手段と、
前記次の副走査位置への前記被記録媒体の搬送が停止する時より前記時間算出手段で算出された時間前までに搬送される前記被記録媒体の搬送距離を算出する距離算出手段と、
前記次の副走査位置への前記被記録媒体の搬送を開始した時から前記距離算出手段で算出された搬送距離分前記被記録媒体の搬送が行われた時に、次の主走査における前記キャリッジの移動を開始させる手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被記録媒体の所定搬送量が前記被記録媒体の搬送距離よりも短いときには、先行する主走査における前記キャリッジの移動が終了したときに次の主走査における前記キャリッジの移動を開始させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
次の主走査における前記キャリッジの移動開始後印字開始前には印字時の速度よりも速い速度で前記キャリッジを移動させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
先行の主走査における印字終了後次の主走査における前記キャリッジの移動開始前には印字時の速度よりも速い速度で前記キャリッジを移動させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−171264(P2012−171264A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36791(P2011−36791)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】