説明

画像形成装置

【課題】印刷ヘッド制御信号による信号ノイズを抑制する手段を提供する。
【解決手段】印刷ヘッドによって印刷媒体に画像を形成する画像形成装置が、画像を構成する1ラインのデータを複数に分割した分割ラインのデータが全て白データであることを識別する識別手段と、識別手段で分割ラインが全て白データと識別された場合に、当該分割ラインのデータ信号およびクロック信号をオフ状態とした印刷ヘッド制御信号を印刷ヘッドに送信する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ヘッドによって印刷媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドットインパクト方式の画像形成装置は、印刷ヘッドと、印刷ヘッドを駆動する制御信号を生成する駆動信号生成回路とを備え、駆動信号生成回路から出力するピン駆動用信号、駆動タイミング信号等の複数の制御信号を組合せた印刷ヘッド制御信号を、印刷ヘッドに送信して印刷を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−301841号公報(段落0013、0020、0025、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、印刷ヘッド制御信号を複数の制御信号で構成しているため、印刷ヘッド制御信号を構成する複数の制御信号間で、一つの制御信号が他の制御信号に影響を与え、この制御信号間の干渉によって他の制御信号に信号ノイズが発生するという問題がある。
本発明は、上記の問題点を軽減するためになされたもので、印刷ヘッド制御信号による信号ノイズを抑制する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を軽減するために、印刷ヘッドによって印刷媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記画像を構成する1ラインのデータを複数に分割した分割ラインのデータが全て白データであることを識別する識別手段と、前記識別手段で前記分割ラインが全て白データと識別された場合に、当該分割ラインのデータ信号およびクロック信号をオフ状態とした印刷ヘッド制御信号を、前記印刷ヘッドに送信する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
これにより、本発明は、白データと識別された分割ラインの制御信号の値を一定に保つことができ、印刷ヘッド制御信号の信号変化を低減して、他の制御信号への干渉による信号ノイズを抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の画像形成装置の構成を示すブロック図
【図2】実施例1の印刷ヘッドの構成を示す説明図
【図3】実施例1の白データ識別部の構成を示すブロック図
【図4】実施例1のライン識別情報を示す説明図
【図5】実施例1の印刷ヘッド制御信号の構成例を示す説明図
【図6】実施例1の印刷処理を示すフローチャート
【図7】実施例1の画像の原稿データを示す説明図
【図8】実施例1のラインバッファの格納データを示す説明図
【図9】実施例1の印刷ヘッド制御信号を示す説明図
【図10】実施例2の白データ識別部の構成を示すブロック図
【図11】実施例2の印刷処理を示すフローチャート
【図12】実施例2の画像の原稿データを示す説明図
【図13】実施例2のN×Nバッファの格納データを示す説明図
【図14】実施例2のラインバッファの格納データを示す説明図
【図15】実施例2のライン識別情報を示す説明図
【図16】実施例1の印刷ヘッド制御信号を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1において、1は画像形成装置であり、ホストパーソナルコンピュータ等の外部装置2に接続する通信部3と、スキャナ等の読取装置4に接続する読取制御部5と、原稿データを格納する格納部6と、印刷ヘッド7に接続する印刷ヘッド制御部8と、印刷ヘッド制御部8に接続する白データ識別部9と、画像形成装置1の全体の動作を制御する制御部11と、これらの各部を接続する共通バス12とで構成される。
【0010】
本実施例の画像形成装置1は特に限定されないが、以下の説明においては、LED(Light Emitting Diode)の発光を利用して印刷媒体としての用紙に画像を形成するLED方式の印刷ヘッド7を備えたモノクロ印刷用の複写機として説明する。
【0011】
通信部3は、外部装置2から画像形成装置1へ送信された制御情報を共通バス12に出力する機能を有する。
読取制御部5は、読取装置4によって原稿の画像のデータである原稿データを読取り、その原稿データを共通バス12に出力する機能を有する。
【0012】
格納部6は、共通バス12を介して通信部3または読取制御部5から送信された原稿データを受信して、その原稿データを格納する機能、および制御部11が実行するプログラムやプログラムの実行に用いる各種のデータおよび制御部11による処理結果等を格納する機能を有する。
【0013】
印刷ヘッド7は、図2に示すように、複数のLED21を一列に配列した複数のLEDアレイ22と、各LEDアレイ22に対応して設けられた、印刷ヘッド制御信号に応じて対応するLEDアレイ22の発光を駆動するドライバIC23とで構成され、これらドライバIC23とLEDアレイ22のセットを複数並べて1ラインが構成される。
本実施例の印刷ヘッド7は、4つのLEDアレイ22a〜22dと、それぞれのLEDアレイ22a〜22dを駆動するドライバIC23a〜23dとで構成されている。
【0014】
白データ識別部9は、図3に示すように、共通バス12に接続する入力インタフェース25と、原稿データの1ラインのデータを格納するラインバッファ26と、1ライン中の白データ部分を識別してライン識別情報を出力するライン識別部27等で構成され、格納部6に格納されている原稿データから入力インタフェース25、共通バス12を介して読取った1ラインのデータをラインバッファ26に格納し、格納された1ラインのデータ中に存在する白データ部分をライン識別部27によって識別し、その識別結果をライン識別情報として印刷ヘッド制御部8に出力する機能を有する。
【0015】
本実施例のライン識別情報は、図4に示すように、原稿データの1ラインのデータを複数に分割したデータ領域(分割ラインという。)毎に、分割ライン中の全てのデータが白であるか、もしくは白以外のデータを含むかを識別する情報のことをいい、分割ラインの識別情報が「1」のときは、その分割ラインは全てのデータが白であることを示し、「0」のときは、その分割ラインは白以外のデータを含んでいることを示す。
【0016】
なお、本実施例では、分割ラインの数は、上記した印刷ヘッド7のドライバIC23の数によって決定しており、図4に示すように、ライン識別情報は、第1分割ライン、第2分割ライン、第3分割ライン、第4分割ラインの各識別情報からなる4つの分割ライン識別情報で構成している。
【0017】
印刷ヘッド制御部8は、共通バス12を介して格納部6から読出した原稿データと、白データ識別部9から入力されたライン識別情報とを基に、印刷ヘッド7を駆動するための印刷ヘッド制御信号を生成する機能を有する。
【0018】
本実施例の印刷ヘッド制御信号は、図5に示すように、印刷ヘッド7に対してライン周期の始期を示すライン同期信号と、印刷ヘッド7に対してデータの取込みタイミングを示すクロック信号と、印刷ヘッド7のドライバIC23の別を示すドライバIC選択信号と、印刷ヘッド7に対してデータの取込みを許可するデータラッチ信号と、当該分割ラインの印刷用のデータを送信するデータ信号と、LED21の発光タイミングを示すLED発光信号とで構成され、この印刷ヘッド制御信号は、印刷ヘッド制御部8から印刷ヘッド7に送信される。
【0019】
印刷ヘッド制御信号を受信した印刷ヘッド7のドライバIC23は、ドライバIC選択信号が自己の番号に該当し、かつデータラッチ信号がオン状態であるときに、データ信号によって送信される印刷用のデータをクロック信号の示すタイミングで読取り、これを内部の記憶手段に格納し、LED発光信号がオン状態になったときに記憶手段に格納した印刷用のデータに応じて対応するLEDアレイ22中のLED21を発光させる。
【0020】
以下に、図6にSで示すステップに従って本実施例の画像形成装置1による印刷処理の動作について説明する。
ステップS1:印刷処理を開始すると、制御部11は読取制御部5に読取り指令を送信し、読取制御部5は読取装置4にセットされた原稿の原稿データを読取り、この原稿データを共通バス12を介して格納部6に格納する。
【0021】
ステップS2:原稿データを格納した制御部11は、白データ識別部9にデータ識別指令を送信し、白データ識別部9は、格納部6に格納されている原稿データを1ライン毎に読出し、ラインバッファ26に格納する。
例えば、図7に示す原稿データが格納されている場合に、図7に2点鎖線で示す1ラインの印刷用のデータを読取ったとすると、ラインバッファ26には、図8に示す1ラインのデータが格納される。
【0022】
そして、白ライン識別部27は、ラインバッファ26に格納した1ラインのデータを分割ライン毎に分割し、ライン識別部27によって、分割ライン中のデータが白であるか否かを識別して、その識別結果をライン識別情報として印刷ヘッド制御部8に送信する。
この場合の白データの識別アルゴリズムは特に限定されないが、分割ライン中の全てのデータが白に一致した場合、もしくは分割ライン中の全てのデータが、ある一定の閥値以下である場合に白であると識別する。
【0023】
図8に示すラインバッファ26に格納された1ラインのデータの場合は、第2分割ラインと第3分割ラインが全て白データであり、第1分割ラインと第4分割ラインには白データ以外のデータが含まれているので、ライン識別情報は、図4に示すように、第1分割ラインの識別情報が「0」、第2分割ラインの識別情報が「1」、第3分割ラインの識別情報が「1」、第4分割ラインの識別情報が「0」となる。
【0024】
ステップS3:制御部11は、印刷ヘッド制御部8に印刷ヘッド制御信号生成指令を送信し、印刷ヘッド制御部8は、白データ識別部9で読取ったラインと同じ1ラインのデータを共通バス12を介して格納部6から読取り、白ライン識別部27から受信したライン識別情報に応じて1ラインの印刷ヘッド制御信号を生成する。
【0025】
この場合の印刷ヘッド制御信号は、図9に示すように、1ラインの印刷ヘッド制御信号の始期をオン状態として、印刷ヘッド7にラインが更新されたことを通知するライン同期信号と、このライン同期信号に対応する、印刷ヘッド7の各ドライバIC23の動作を制御する制御信号とで構成される。
【0026】
具体的には、第1分割ラインは、その分割ラインの識別情報が「0」(図4参照)、つまり白以外のデータが含まれているので、ドライバIC23aに対する制御信号は、第1分割ラインのLEDアレイ22aを発光させるように構成され、通常の制御信号と同様に、ドライバIC選択信号をドライバIC23aの番号である「1」として、当該分割ラインの印刷用のデータを送信するデータ信号と、そのデータの取込み区間を示すデータラッチ信号と、取込み区間内におけるデータの取込みタイミングを示すクロック信号と、LEDアレイ22aのLED21の発光タイミングを示すLED発光信号とで構成される。
【0027】
第2分割ラインは、その分割ラインの識別情報が「1」、つまり全てが白データであるので、ドライバIC23bに対する制御信号は、第2分割ラインのLEDアレイ22bを発光させないように構成され、ドライバIC選択信号をドライバIC23bの番号である「2」として、当該分割ラインのデータ信号をオフ状態、データラッチ信号をオフ状態、クロック信号をオフ状態、LED発光信号をオフ状態にして構成される。
【0028】
このクロック信号やデータ信号をオフ状態にすることによって、クロック信号やデータ信号による他の制御信号(データラッチ信号、LED発光信号、ライン同期信号等)への干渉が防止され、各制御信号に発生するノイズが抑制される。
第3分割ラインは、その分割ラインの識別情報が「1」、つまり全てが白データであるので、ドライバIC23cに対する制御信号は、第3分割ラインのLEDアレイ22cを発光させないように構成され、ドライバIC選択信号をドライバIC23cの番号である「3」として、前記第2分割ラインの制御信号と同様に構成される。
【0029】
第4分割ラインは、その分割ラインの識別情報が「0」、つまり白以外のデータが含まれているので、ドライバIC23dに対する制御信号は、第4分割ラインのLEDアレイ22dを発光させるように構成され、ドライバIC選択信号をドライバIC23dの番号である「4」として、前記第1分割ラインの制御信号と同様に構成される。
上記した構成の各分割ラインの制御信号は、第1〜第4の順で時系列に組込まれて1ラインの印刷ヘッド制御信号が生成され、生成された印刷ヘッド制御信号は印刷ヘッド制御部8から印刷ヘッド7に送信される。
【0030】
ステップS4:印刷ヘッド制御信号を受信した印刷ヘッド7は、受信した印刷ヘッド制御信号のライン同期信号がオン状態となったことによって、ラインが更新されたことを認識し、各分割ラインのドライバIC23が、該当する制御信号に従って順次に動作して用紙上に1ラインの印刷を行う。
【0031】
第1分割ラインのドライバIC23aは、ドライバIC選択信号が「1」であることによって自己の制御信号を認識し、図9に「第1分割ライン」と記載した区間で示される制御信号に従って、用紙上への第1分割ラインのデータの印刷を行う。
この場合に、第1分割ラインは、白データ以外のデータが含まれるので、ドライバIC23aは、データラッチ信号がオン状態となったときに、クロック信号で指示されたタイミングでデータ信号の印刷用のデータを読取り、これを内部の記憶手段に一旦格納し、LED発光信号がオン状態となったときに、記憶手段に格納したデータに応じて対応するLEDアレイ22aの各LED21を発光させ、用紙上への第1分割ラインのデータ信号のデータに応じた画像の印刷を行う。
【0032】
第1分割ラインのドライバIC23aによる印刷が終了すると、第2分割ラインのドライバIC23bは、ドライバIC選択信号が「2」であることによって自己の制御信号を認識し、図9に「第2分割ライン」と記載した区間で示される制御信号に従って、用紙上への第2分割ラインのデータの印刷を行う。
この場合に、第2分割ラインは、全て白データであるので、クロック信号、データラッチ信号、データ信号、LED発光信号はオフ状態となっており、第2分割ラインのLEDアレイ22bの各LED21は発光せず、用紙上へは、白(用紙の地色)の印刷が行われる。
【0033】
第2分割ラインのドライバIC23bによる印刷が終了すると、第3分割ラインのドライバIC23cは、ドライバIC選択信号が「3」であることによって自己の制御信号を認識し、図9に「第3分割ライン」と記載した区間で示される制御信号に従って、前記第2分割ラインのドライバIC23bと同様にして用紙上への第2分割ラインのデータの印刷を行い、用紙上へは白の印刷が行われる。
【0034】
第3分割ラインのドライバIC23cによる印刷が終了すると、第4分割ラインのドライバIC23dは、ドライバIC選択信号が「4」であることによって自己の制御信号を認識し、図9に「第4分割ライン」と記載した区間で示される制御信号に従って、前記第1分割ラインのドライバIC23aと同様にして用紙上への第4分割ラインのデータの印刷を行い、用紙上へはデータ信号の印刷用のデータに応じた画像の印刷が行われる。
【0035】
ステップS5:印刷ヘッド制御部8は、格納部6に格納されている現在印刷中の原稿データがなくなったこと、つまり原稿データに設定されたライン数の最後のラインの印刷ヘッド制御信号の印刷ヘッド7による印刷を終えたことによって、全ラインの印刷終了を判定し、印刷処理を終了させる。
印刷すべき原稿データが残っている場合は、ステップS1へ戻って、印刷ヘッド7に次のラインの印刷動作を実行させる。
【0036】
このようにして、本実施例の原稿データの印刷処理が行われ、原稿データの画像が用紙上に形成される。
以上説明したように、本実施例では、白データ識別部によって分割ラインが全て白データと識別された場合には、当該分割ラインの印刷ヘッド7へ、データ信号およびクロック信号をオフ状態とした印刷ヘッド制御信号を送信するので、白データと識別された分割ラインの制御信号の値を一定に保つことができ、印刷ヘッド制御信号の信号変化を低減して、他の制御信号への干渉による信号ノイズを抑制することができる。
【実施例2】
【0037】
以下に、図10ないし図16を用いて本実施例の画像形成装置について説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の画像形成装置1は、図1に示した画像形成装置1と同様に構成されているが、白データ識別部9の構成が異なる。
【0038】
本実施例の白データ識別部9は、図10に示すように、上記実施例1と同様の入力インタフェース25と、ラインバッファ26と、ライン識別部27に加えて、原稿データの1ライン中の注目画素T毎に、その周囲N×N(Nは任意に設定された自然数)の画素からなる検査領域のデータを格納するN×Nバッファ31と、検査領域の中心に存在する注目画素Tが孤立画素か否かを検出して孤立画素を除去する機能を有する孤立画素除去部32等で構成され、格納部6に格納されている原稿データから入力インタフェース25、共通バス12を介して読取った1ラインのデータ中に存在する孤立画素を孤立画素除去部32により除去してラインバッファ26に格納し、格納された1ラインのデータ中に存在する白データ部分をライン識別部27によって識別し、その識別結果をライン識別情報として印刷ヘッド制御部8に出力する機能を有する。
【0039】
本実施例のN×Nバッファ31は、注目画素Tの周囲に隣接する3×3の9つの画素からなる検査領域のデータを格納するように設定されている。
以下に、図11にSAで示すステップに従って本実施例の画像形成装置1による印刷処理の動作について説明する。
【0040】
ステップSA1:印刷処理を開始すると、制御部11は、上記実施例1のステップS1と同様にして、読取制御部5によって読取装置4で読取った原稿データを格納部6に格納する。
ステップSA2:原稿データを格納した制御部11は、白データ識別部9にデータ識別指令を送信し、白データ識別部9は、格納部6に格納されている原稿データの読出すべき1ラインの先頭の画素を注目画素Tとして、注目画素Tを中心とした3×3の画素からなる検査領域のデータを原稿データから抽出し、抽出した検査領域のデータをN×Nバッファ31に格納する。
【0041】
ステップSA3:抽出した検査領域のデータを格納した白データ識別部9は、孤立画素除去部32によって、N×Nバッファ31に格納された検査領域のデータの注目画素Tが白データであるか否かを判定し、注目画素Tが白データである場合はステップSA6へ移行する。注目画素Tが白以外のデータである場合はステップSA4へ移行する。
この場合の白データの判定アルゴリズムは特に限定されないが、注目画素Tのデータが白に一致した場合、もしくは注目画素Tのデータが、ある一定の閥値以下である場合に白であると判定する。
【0042】
ステップSA4:注目画素Tが白以外のデータであると判定した孤立画素除去部32は、検査領域の注目画素Tを除く全ての画素が、白データであるか否かを判定し、注目画素T以外の画素の少なくとも1つが白以外のデータである場合はステップSA6へ移行する。注目画素T以外の画素が白データである場合、つまり注目画素Tのみが白以外のデータである場合はステップSA5へ移行する。
【0043】
例えば、図12に示す原稿データが格納されている場合に、図12に2点鎖線で示す1ラインの印刷用のデータの第3分割ラインに白以外の画素が存在したとすると、N×Nバッファ31には、当該画素を中心とした図13に示す検査領域のデータが格納され、本ステップにおいて、注目画素T以外の画素が白データであると判定され、ステップSA5へ移行する。
【0044】
ステップSA5:注目画素T以外の画素が白データであると判定した孤立画素除去部32は、注目画素Tを孤立画素と判定し、注目画素Tの代わりに白データを格納して孤立画素を除去し、ステップSA6へ移行する。
ステップSA6:一つの注目画素Tの判定を終えた白データ識別部9は、当該注目画素Tのデータ(ステップSA5において白データに書替えられた注目画素Tを含む。)をラインバッファ26に格納し、次の画素が存在する場合は、ステップSA2へ戻って次の注目画素Tに対する判定を継続する。1ラインの全ての画素について判定を終えた場合は、ステップSA7へ移行する。
【0045】
ステップSA7:ラインバッファ26に孤立画素を除去した1ラインのデータを格納した白ライン識別部27は、ラインバッファ26に格納した1ラインのデータを分割ライン毎に分割し、ライン識別部27によって、分割ライン中のデータが白であるか否かを識別識別して、その識別結果をライン識別情報として印刷ヘッド制御部8に送信する。
【0046】
この場合に、ラインバッファ26に格納された1ラインのデータは、上記ステップSA5において、第3分割ラインに存在した孤立画素が白データに書替えられて除去されているので、図14に示すように、上記実施例1の図8に示した格納データと同様のデータが格納され、そのライン識別情報は、図15に示すように、上記実施例1の図4に示したライン識別情報と同様の構成になる。
【0047】
その後のステップSA8〜SA10の動作は、上記実施例1のステップS3〜S5の動作と同様であるので、その説明を省略する。
この場合に、ステップSA8において生成される印刷ヘッド制御信号は、図16に示すように、上記実施例1の図9に示した印刷ヘッド制御信号と同様の構成になる。
このようにして、本実施例の、孤立画素を除去しながら実行される原稿データの印刷処理が行われ、原稿データの画像が用紙上に形成される。
【0048】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、原稿データの読取りの際にごみ等が原因で白データにならなかった孤立画素を含む分割ラインを、当該孤立画素を除去して白データの分割ラインとするので、印刷ヘッド制御信号の信号変化を更に低減して、他の制御信号への干渉による信号ノイズをより効果的に抑制することができる。
【0049】
なお、上記各実施例においては、印刷ヘッドの方式は、LED方式であるとして説明したが、印刷ヘッドの方式は前記に限らず、インクジェット方式またはレーザー方式の印刷ヘッドであってもよい。このような方式の印刷ヘッドに本願発明を適用しても上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施例においては、原稿データは、読取装置に接続する読取制御部よって読取った原稿の画像のデータであるとして説明したが、外部装置から送信された原稿データを通信部によって受信した場合も同様である。
【0050】
更に、上記各実施例においては、画像形成装置は、モノクロ印刷用の複写機であるとして説明したが、画像形成装置は、カラー印刷用の複写機や、モノクロもしくはカラー印刷用のFAX装置であってもよい。これら画像形成装置に本願発明を適用しても上記と同様の効果を得ることができる。
この場合に、カラー複写機のように、各色に対応した印刷ヘッドを備えた画像形成装置の場合は、各色の印刷ヘッドに送信される印刷ヘッド制御信号による相互干渉を低減して、各色の印刷ヘッド間における信号ノイズの発生も抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
2 外部装置
3 通信部
4 読取装置
5 読取制御部
6 格納部
7 印刷ヘッド
8 印刷ヘッド制御部
9 白データ識別部
11 制御部
12 共通バス
21 LED
22、22a〜22d LEDアレイ
23、23a〜23d ドライバIC
25 入力インタフェース
26 ラインバッファ
27 ライン識別部
31 N×Nバッファ
32 孤立画素除去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドによって印刷媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記画像を構成する1ラインのデータを複数に分割した分割ラインのデータが全て白データであることを識別する識別手段と、
前記識別手段で前記分割ラインが全て白データと識別された場合に、当該分割ラインのデータ信号およびクロック信号をオフ状態とした印刷ヘッド制御信号を、前記印刷ヘッドに送信する制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記分割ラインは、1ラインを前記印刷ヘッドが有するドライバICの数で分割したデータ領域であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記分割ラインのデータに含まれる孤立画素を検出する孤立画素検出手段と、
前記孤立画素検出手段で検出された孤立画素を当該データから除去する孤立画素除去手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−171349(P2012−171349A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39083(P2011−39083)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】