説明

画像形成装置

【課題】転写部材に設けられた高抵抗層が帯電することで生じるトナー画像の転写不良を抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】向部60の高抵抗層54では、高抵抗層54が高抵抗部材で形成されるために放電が抑制され、対向部60の高抵抗層54はプラス電圧に帯電する。高抵抗層54の帯電部分は、二次転写ロール36の回転に伴なって、二次転写ロール36の回転方向下流側に移動する。そして、接触部62では、導電性部材58から二次転写ロール36に電流が流れているため、高抵抗層54に生じた帯電は除電される。これにより、転写電流は一定となりトナー画像の転写不良が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置着に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の帯電ロールには、芯金の外周面上に、基層と、少なくとも一層の下層と、表面層とが順次設けられてなる。そして、下層は、1010〜1016Ω・cmの範囲内の抵抗値を有する高抵抗層を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−245933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、転写部材が高抵抗層を備える画像形成装置における転写電流の変動を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、芯金と、高抵抗層とを備えると共に、回転可能に支持され、トナー画像を被転写物に転写させる転写部材と、回転可能に支持され、前記転写部材との間で被転写物を挟み込むように、前記転写部材に対して対向して配置される対向部材と、前記転写部材に接触可能に配置された接触部材と、前記芯金が電気的にフロートとされるように、前記接触部材と前記対向部材との間に電圧を印加して前記転写部材と前記対向部材との間に転写電流を流す電圧印加手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載において、前記転写部材は、弾性変形可能な弾性層を備え、前記高抵抗層は、前記弾性層の表面に設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載において、前記接触部材は、前記転写部材と従動回転すると共に導電性を有する円柱状の導電性部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1の画像形成装置によれば、電圧印加手段が転写部材と対向部材との間に電圧を印加して転写部材と対向部材との間に転写電流を流す場合と比して、転写電流の変動を抑制することができる。
【0009】
本発明の請求項2の画像形成装置によれば、転写部材に弾性変形可能な弾性層が設けられていない場合と比して、対向部材と転写部材と間で生じる被転写物を挟み込む挟持力を安定させることができる。
【0010】
本発明の請求項3の画像形成装置によれば、導電性部材が固定されている場合と比して、転写部材と導電性部材との間で生じる抵抗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置に備えられた二次転写ロール近傍を示した側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に備えられた二次転写ロール近傍を示した側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置及び比較形態に係る画像形成装置の転写電流をグラフで示した図面である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の印加電圧及び電流をグラフで示した図面である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置と比較するための比較形態に係る画像形成装置に備えられた二次転写ロール近傍を示した側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置と比較するための比較形態に係る画像形成装置に備えられた二次転写ロール近傍を示した側面図である。
【図8】本発明の比較形態に係る画像形成装置の印加電圧及び電流をグラフで示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例について図1〜図8に従って説明する。
【0013】
(全体構成)
図5に示されるように、画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付して説明し、YMCKを区別する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略する。
【0014】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、対向部材の一例としてのバックアップロール34と複数の張架ロール32とに巻き掛けられた無端状の中間転写ベルト30の進行方向に対して、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの順番で直列に配列されている。
【0015】
そして、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kに備えられた像保持体12Y,12M,12C,12Kに対して中間転写ベルト30を挟んで反対側には、像保持体12の表面に形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト30に転写する一次転写ロール16Y、16M,16C,16Kが設けられている。詳細には、一次転写ロール16Y、16M,16C,16Kに転写バイアス電圧が印加され、静電吸引力によって、各色のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次一次転写されるようになっている。
【0016】
次に、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの構成を代表してイエロートナー画像を形成する画像形成ユニット10Yについて説明する。なお、各画像形成ユニット10は同様の構成とされている。
【0017】
中間転写ベルト30に対して像保持体12Yを挟んで反対側には、像保持体12Yの表面と接して像保持体12Yの表面を一様に帯電させると共に、像保持体12Yの回転に伴なって従動回転する帯電ロール13Yが設けられている。
【0018】
さらに、帯電ロール13Yに対して帯電した像保持体12Yの表面を露光光により露光してイエロー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置14Yが設けられている。
【0019】
また、帯電ロール13Yに対して像保持体12Yの回転方向下流側には、露光装置14が形成した静電潜像をイエロートナー画像として可視化(現像)する現像装置15Yが設けられている。詳細には、現像装置15Yには、像保持体12Yの回転に伴なって従動回転する現像ロール18Yが設けられている。そして、マイナス電圧に帯電したトナーが現像ロール18Yの外周面から像保持体12Yの表面に形成された静電潜像に転移して、静電潜像がイエロートナー画像として可視化(現像)されるようになっている。そして、前述したように、各像保持体12の表面に形成されたトナー画像が、各一次転写ロール16によって、中間転写ベルト30に順次転写されるようになっている。
【0020】
さらに、帯電ロール13Yに対して像保持体12Yの回転方向上流側には、像保持体12Yの表面から中間転写ベルト30に転写されずに残留した残留トナーを像保持体12Yの表面から掻き落とすブレード19Yが設けられている。
【0021】
一方、バックアップロール34に対して中間転写ベルト30を挟んで反対側には、転写部材の一例としての二次転写ロール36が設けられている。そして、二次転写ロール36は、被転写物としてのシート部材Pが積載される給紙部38から搬送されるシート部材Pを中間転写ベルト30との間で挟持搬送し、シート部材Pには、中間転写ベルト30に形成されたトナー画像が転写されるようになっている。なお、二次転写ロール36については、転写バイアス電圧の印加方法等を含めて詳細を後述する。
【0022】
さらに、二次転写ロール36に対してシート部材Pの搬送方向下流側には、シート部材Pに転写されたトナー画像を熱と圧力でシート部材Pに定着させる定着装置31が設けられている。
【0023】
一方、バックアップロール34に対して中間転写ベルト30を挟んで反対側には、中間転写ベルト30からシート部材Pに転写されなかった残留トナーを清掃する清掃ロール33が設けられている。
【0024】
以上の構成により、図5に示されるように、画像形成装置100を作動させると、各色の像保持体12の表面は、帯電ロール13により一様に帯電される。次に、各色の露光装置14により、露光光が帯電した像保持体12に照射され、像保持体12の表面には、各色のトナー画像に対応した静電潜像が形成される。
【0025】
さらに、各色の像保持体12の表面に形成された静電潜像には、現像バイアスが印加された各色のトナーが現像ロール18の外周面から転移し、各色の静電潜像がトナー画像として可視化(現像)される。
【0026】
また、各色の像保持体12の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール16の圧接力と、一次転写ロール16に印加された転写バイアス電圧による静電吸引力によって、中間転写ベルト30上に順次一次転写される。つまり、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー画像が重ねられ、多重のトナー画像(例えばカラートナー画像)が形成される。
【0027】
そして、中間転写ベルト30上に形成された多重のトナー画像は、周回する中間転写ベルト30により、二次転写ロール36と対向する位置に搬送される。
【0028】
二次転写ロール36は、シート部材Pが積載される給紙部38から搬送されるシート部材Pを中間転写ベルト30との間で挟持搬送し、シート部材Pには、二次転写ロール36と対向する位置に搬送されたトナー画像が転写される。
【0029】
トナー画像が転写されたシート部材Pは、中間転写ベルト30から離れた後、定着装置31へと搬送され、トナー画像は、熱と圧力とによりシート部材Pに定着され、図示せぬ排出部に排出される。
【0030】
(要部構成)
次に、二次転写ロール36及び転写バイアス電圧の印加方法等について説明する。
【0031】
図1に示されるように、図示せぬモータから駆動力が伝達されて回転する二次転写ロール36は、回転軸となるφ14mmの円柱状の芯金50と、芯金50の外周面にもうけられた弾性変形可能な弾性層52と、この弾性層の表面に設けられた高抵抗層54とを備えている。高抵抗層54は、バックアップロール34との間を通過するトナー画像やシート部材Pの抵抗により、転写電流が、二次転写ロール36の回転軸方向の外側に流れるのを抑制するために用いられる高抵抗部材で形成された層である。一例として、本実施形態では、厚みが、0.05mmで抵抗が100V計測で13.7LogΩ・cmのポリイミド層(PI層)が用いられている。そして、二次転写ロール36の外径は、φ28mmとされている。さらに、中間転写ベルト30の周速度との関係から 二次転写ロール36の周速度は、900mm/sとされている。
【0032】
なお、本実施形態としては、一例として芯金50の材質はSUSとされ、弾性層52としては、低抵抗、低硬度なウレタン発泡層が用いられている。
【0033】
さらに、中間転写ベルト30に対して二次転写ロール36を挟んで反対側には、二次転写ロール36の回転に伴なって従動回転すると共に、導電性を有する円柱状の導電性部材58が設けられている。
【0034】
また、二次転写ロール36とバックアップロール34とが対向する対向部60に対して二次転写ロール36の回転方向下流側であって、二次転写ロール36と導電性部材58との接触部62に対して二次転写ロール36の回転方向上流側には、二次転写ロール36の外表面と接して二次転写ロール36の外表面を清掃する清掃ブレード66が設けられている。
【0035】
さらに、芯金50が電気的にフロートとされるように、導電性部材58とバックアップロール34との間に電圧を印加して二次転写ロール36とバックアップロール34との間に転写電流を流す電圧印加手段の一例としての電源68が設けられている。
【0036】
ここで電気的にフロートとは、電圧が印加されなく、電圧が逃げもしない状態(接地されていない状態)を言う。
【0037】
(要部構成の作用)
次に、中間転写ベルト30上に形成されたトナー画像が、シート部材Pに転写される作用について説明する。
【0038】
図1に示されるように、先ず、導電性部材58とバックアップロール34との間に電源68によって、芯金50が電気的にフロートとされるように、電圧が印加される(本実施形態では、導電性部材58側にプラスの電圧が印加される)。
【0039】
これにより、図中矢印に示されるように、接触部62では、導電性部材58から二次転写ロール36に電流が流れる。さらに、対向部60では、二次転写ロール36からシート部材P及び中間転写ベルト30を通ってバックアップロール34に電流(転写電流)が流れる。
【0040】
二次転写ロール36からバックアップロール34に転写電流が流れることで、中間転写ベルト30上に形成されたマイナス電圧に帯電したトナー画像は、静電吸引力によってシート部材Pに転写される。
【0041】
ここで、図2に示されるように、対向部60の高抵抗層54では、高抵抗層54が高抵抗部材で形成されるために放電が抑制され、対向部60の高抵抗層54はプラス電圧に帯電する。高抵抗層54の帯電部分は、二次転写ロール36の回転に伴なって、二次転写ロール36の回転方向下流側に移動する。そして、接触部62では、導電性部材58から二次転写ロール36に電流が流れているため、高抵抗層54に生じた帯電は除電される。
【0042】
さらに、高抵抗層54において除電された除電部分は、二次転写ロール36の回転に伴なって、二次転写ロール36の回転方向下流側に移動する。そして、対向部60では、前述したように、対向部60の高抵抗層54はプラス電圧に帯電する。
【0043】
このように、二次転写ロール36の回転に伴なって対向部60に移動する高抵抗層54は、接触部62で除電されているため(帯電していないため)、二次転写ロール36とバックアップロール34との間に一定電圧の印加により流れる転写電流は一定となっている。
【0044】
図3には、縦軸を電流とし、横軸を二次転写ロールの回転数(時間)としたグラフが示されている。このグラフに、本実施形態の転写電流を記載すると、時間の経過に関わらず転写電流の変動は抑制される。
【0045】
ここで、対向部60に流れる電流と時間について評価を行った。評価方法は、対向部60に±200μAの電流を流すように、電源68により+2200Vの電圧を一定時間印加し、その後に一定時間電圧を0Vし、その後に−2200Vの電圧を一定時間印加して、対向部60に流れる電流を評価した。
【0046】
図4には、縦軸を電圧(V)及び電流(μA)とし、横軸を時間としたグラフが示されている。このグラフに、評価結果の電圧を実線で示し、電流を点線で示す。このグラフに示される評価結果から分かるように、電源68により+2200Vの電圧を印加した場合は、+200μAの電流がほぼ一定に流れ、電圧を0Vとした場合は、電流が0μAとなり、−2200Vの電圧を印加した場合は、−200μAの電流がほぼ一定に流れることが分かる。つまり、印加される電圧水準を振っても電流の変動が抑制されていることが分かる。
【0047】
一方、本実施形態の比較例として、導電性部材58を用いない構成について評価を行った。
【0048】
図6、図7に示されるように、比較形態では、導電性部材58(図1参照)を用いず、高抵抗層54を表面に備える二次転写ロール80とバックアップロール34との間に電圧を印加して二次転写ロール80とバックアップロール34との間に転写電流を流す電源82が設けられている。
【0049】
この比較形態では、電源82により電圧が印加されると、二次転写ロール80とバックアップロール34とが対向する対向部84では、二次転写ロール80からシート部材P及び中間転写ベルト30を通ってバックアップロール34に電流(転写電流)が流れる(図中矢印参照)。
【0050】
二次転写ロール80からバックアップロール34に転写電流が流れることで、中間転写ベルト30上に形成されたマイナス電圧に帯電したトナー画像は、静電吸引力によってシート部材Pに転写される。
【0051】
ここで、対向部84の高抵抗層54では、高抵抗層54が高抵抗部材で形成れるため、放電が抑制されており、対向部84の高抵抗層54はプラス電圧に帯電する。高抵抗層54の帯電部分は、二次転写ロール36の回転に伴なって二次転写ロール36の回転方向下流側に移動し、除電されることなく帯電した状態で対向部84に達する。
【0052】
そして、前述と同様に、対向部84の高抵抗層54はプラス電圧に帯電する。つまり、時間(回転)と共に、高抵抗層54の帯電量が増える。このため、図3に示されるように、比較形態の転写電流は、時間が経過する毎に少なくなってしまう。
【0053】
図8には、図4と同様に、縦軸を電圧(V)及び電流(μA)とし、横軸を時間としたグラフが示されている。このグラフに、比較形態における評価結果の電圧を実線で示し、電流を点線で示す。
【0054】
このグラフに示される評価結果から分かるように、電源82により+1500Vの電圧を印加した場合には、最初の一定時間(図中G)の電流は、時間の経過と伴に変化率が少なくなりながら減少し、次の一定時間(図中H)では200μAの電流が一定に流れる。また、電圧を0Vとした場合は、電流が0μAとなり、−1500Vの電圧を印加した場合は、最初の一定時間(図中K)の電流は、時間の経過と伴に変化率が少なくなりながら減少し、次の一定時間(図中L)では−200μAの電流が一定に流れる。
【0055】
何故このように、電流が時間の経過と伴に変化率が少なくなりながら減少し、次の一定時間では電流が一定に流れるかについて説明する(推定メカニズム)。
【0056】
本実施形態及び比較形態で用いられた高抵抗層54は、前述したように、ポリイミド層(PI層)が用いられており、カーボンブラック(CB)により抵抗調整が行なわれる。このため、高抵抗層54の抵抗は、電圧依存性を有する。
【0057】
前述したように、高抵抗層54の抵抗は、100V計測では13.7LogΩ・cmであった。しかし、高抵抗層54の抵抗は、500V計測では13.2LogΩ・cm、750V計測では12.2LogΩ・cm、1000V計測では10.0LogΩ・cmと高電圧では低下する特性が顕著である。
【0058】
帯電体の除電時間は時定数として一般に扱われ、抵抗に比例して時定数が大きく、除電に時間がかかるようになる。この例では高抵抗層54が大きく帯電している時には除電が進み、除電によって帯電が小さくなると除電に時間を要するようになる。このため、比較形態では、二次転写ロール80の回転によって帯電が積算されるが、高帯電となることによって除電が進みほぼ一定の帯電量で平衡(サチュレート)に達したものと考えられる。
【0059】
以上の説明からも分かるように、本実施形態及び比較形態で用いられた高抵抗層54とは、二次転写ロール36、80が1回転する間に、高抵抗層54の表面と内面の電荷が結合できない抵抗を備える層である。すなわち、高抵抗層54とは、本実施形態のように導電性部材58を用いなければ、二次転写ロール36、80が一周しても除電されない抵抗特性を備える層であり、回転数やロールの大きさ等にも依存する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る二次転写ロール36では、接触部62で導電性部材58から二次転写ロール36に電流が流れているため、高抵抗層54の帯電部分は除電される。このため、二次転写ロール36とバックアップロール34との間に流れる転写電流の変動が抑制される。
【0061】
また、転写電流の変動が抑制されるため、トナー画像のシート部材Pへの転写不良が抑制される。
【0062】
また、二次転写ロール36には、弾性変形可能な弾性層52が設けられているため、弾性層52がない場合と比して、バックアップロール34と二次転写ロール36との間で生じる中間転写ベルト30及びシート部材Pを挟み込む挟持力が安定する。
【0063】
また、対向部60に対して二次転写ロール36の回転方向下流側であって、接触部62に対して二次転写ロール36の回転方向上流側に、清掃ブレード66が設けられている。このため、導電性部材58の汚れが抑制される。
【0064】
また、導電性部材58は、二次転写ロール36の回転に伴なって従動回転するため、従動回転しない場合と比して、二次転写ロール36と導電性部材58との間で生じる抵抗が抑制される。
【0065】
また、高抵抗層54の抵抗は、電圧依存性を有するため、必要な電流を流すために印加される電圧が小さくされる。
【0066】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト30を挟んで、バックアップロール34と二次転写ロール36とを設けたが、特に中間転写ベルトを挟まなくてもよく、例えば、感光体と従動回転する転写ロール等に本実施形態の構成を用いてもよい(直接転写、一次転写)。
【0067】
また、上記実施形態では、導電性部材58とバックアップロール34とに電圧を印加したが、例えば、清掃ブレード66とバックアップロール34とに電圧を印加してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、二次転写ロール36の表面に高抵抗層54を設けたが、特に表面に限定されることなく、電流の回転軸方向への流れを抑制することができる位置であればよい。
【符号の説明】
【0069】
34 バックアップロール(対向部材の一例)
36 二次転写ロール(転写部材の一例)
50 芯金
52 弾性層
54 高抵抗層
58 導電性部材(接触部材の一例)
68 電源(電圧印加手段の一例)
100 画像形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と、高抵抗層とを備えると共に、回転可能に支持され、トナー画像を被転写物に転写させる転写部材と、
回転可能に支持され、前記転写部材との間で被転写物を挟み込むように、前記転写部材に対して対向して配置される対向部材と、
前記転写部材に接触可能に配置された接触部材と、
前記芯金が電気的にフロートとされるように、前記接触部材と前記対向部材との間に電圧を印加して前記転写部材と前記対向部材との間に転写電流を流す電圧印加手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記転写部材は、弾性変形可能な弾性層を備え、
前記高抵抗層は、前記弾性層の表面に設けられる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接触部材は、前記転写部材と従動回転すると共に導電性を有する円柱状の導電性部材である請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−177792(P2012−177792A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40546(P2011−40546)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】