説明

画像形成装置

【課題】記録シートに形成する画像のドット量が多い場合であっても画像の濃度ムラを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送される用紙S(記録シート)に画像を形成する画像形成装置であって、静電潜像が形成される感光体と、現像剤を担持し、現像バイアスが印加されることで現像剤を静電潜像に供給する現像を行う現像ローラと、現像ローラに印加する現像バイアスを制御する制御装置とを備える。制御装置は、用紙Sに形成する画像のドット量が所定の基準未満である場合、現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される用紙Sの先端から後端に対応させて、第1の値Vb1に維持し、用紙Sに形成する画像のドット量が所定の基準以上である場合、現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される用紙Sの先端から後端に対応させて、第1の値Vb1よりも小さい第2の値Vb2から、第1の値Vb1に向けて増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される記録シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置では、感光体(感光体ドラム)に形成された静電潜像に対し、所定の現像バイアスが印加された現像ローラから現像剤が供給される現像が行われることで、感光体に現像剤像が形成され、この現像剤像が、搬送される記録シート(用紙)に転写されて熱定着されることで、記録シートに画像を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子写真方式の画像形成装置では、いわゆる黒ベタ印刷のように、ドット量が多い画像(現像ローラから感光体に供給される現像剤の量が多い画像)を記録シートに形成する場合に、記録シートの搬送方向先端から後端に向けて画像の濃度が次第に薄くなる濃度ムラが生じることがあった。これは、現像ローラから感光体に供給される現像剤の量に対して、現像ローラに供給される現像剤の量が次第に追いつかなくなることに起因する。
【0005】
このような濃度ムラを抑制するため、従来、現像ローラに供給される現像剤の量を増やすことを目的として、現像ローラに現像剤を供給する供給ローラに対し、現像バイアスよりも絶対値が大きいバイアスを印加する構成があった。しかしながら、このような構成では、現像ローラと供給ローラの間に電流が流れることになるので、この電流により現像剤の劣化(帯電性能の低下など)が進む可能性がある。
【0006】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、記録シートに形成する画像のドット量が多い場合であっても画像の濃度ムラを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するための本発明は、搬送される記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、静電潜像が形成される感光体と、現像剤を担持し、現像バイアスが印加されることで現像剤を静電潜像に供給する現像を行う現像ローラと、前記現像ローラに印加する現像バイアスを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準未満である場合、前記現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される記録シートの先端から後端に対応させて、第1の値に維持し、記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準以上である場合、前記現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される記録シートの先端から後端に対応させて、前記第1の値よりも小さい第2の値から、前記第1の値または前記第1の値よりも大きい値に向けて増加させることを特徴とする。
【0008】
このように構成された画像形成装置によれば、記録シートにドット量が多い画像を形成する場合、記録シートの先端付近に対応する画像を現像するとき(現像の初期)には、現像バイアスの絶対値を小さくするので、現像ローラから感光体に移動する現像剤の量を抑えることができ、現像ローラ上に現像剤を温存することができる。その後、現像ローラへの現像剤の供給が次第に追いつかなくなる現像の終盤に向けて、現像バイアスの絶対値を大きくしていくので、現像ローラから感光体に移動する現像剤の量を増加させていくことができる。これにより、1枚の記録シートに形成する画像の現像の開始から終了までに、現像ローラから感光体に供給される現像剤の量を略均一に保つことができるので、記録シートの先端から後端に向けて濃度が次第に薄くなるような画像の濃度ムラを抑制することが可能となる。
【0009】
なお、本発明の画像形成装置によれば、現像ローラに現像剤を供給する供給ローラなどに対して、現像バイアスよりも絶対値が大きいバイアスを印加しなくてもすむ。そのため、現像ローラに現像剤を供給する部材に対しては、例えば、現像バイアスと同極性で同電位以下(0を含む)のバイアスを印加すれば足りる。このような構成とすることで、現像ローラと、現像ローラに現像剤を供給する部材との間に流れる電流を抑制することができるので、現像剤の劣化を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準以上である場合、現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される記録シートの先端から後端に対応させて、小さい値から大きい値に向けて増加させるので、記録シートに形成する画像のドット量が多い場合であっても画像の濃度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】現像バイアスの制御に関連する構成を示す図である。
【図3】現像バイアスの制御を示すタイムチャート(a),(b)である。
【図4】制御装置による現像バイアスの制御を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る現像バイアスの制御を示すタイムチャートである。
【図6】変形例に係る現像バイアスの制御を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1の概略構成を簡単に説明した後に、本発明の特徴部分に係る現像バイアスの制御について詳細に説明する。
【0013】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0014】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0015】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33と、レジストローラ34とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5に向けて供給され、レジストローラ34を通って感光体ドラム61と転写ローラ63との間に搬送される。
【0016】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、帯電後の感光体ドラム61の表面を露光する。
【0017】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0018】
ドラムユニット6は、感光体の一例としての感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、現像剤の一例としての正帯電性のトナーを収容するトナー収容部74と、アジテータ75とを主に備えている。
【0019】
このプロセスカートリッジ5では、まず、感光体ドラム61の表面が、帯電器62によって現像バイアスよりも大きい正の電位に一様に帯電される。その後、感光体ドラム61の表面が、露光装置4からの画像データに基づくレーザ光によって露光されることで、感光体ドラム61上に表面電位が現像バイアスよりも小さくなる部分(静電潜像)が形成される。
【0020】
また、トナー収容部74内のトナーは、アジテータ75によって撹拌されながら供給ローラ72に供給された後、供給ローラ72と現像ローラ71の回転に伴って、供給ローラ72から現像ローラ71に供給される。現像ローラ71上に供給されたトナーは、現像ローラの回転に伴って、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。なお、以上の過程において、トナーは、現像ローラ71と、供給ローラ72や層厚規制ブレード73などとの間で正に摩擦帯電される。
【0021】
そして、現像ローラ71上に担持されたトナーが、正の現像バイアスが印加された現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される現像が行われることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0022】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。プロセスカートリッジ5でトナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着され、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。これによって、用紙Sに画像が形成されることとなる。
【0023】
<現像バイアスの制御>
図2に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、現像バイアス印加回路90と、制御装置100とをさらに備えている。
【0024】
現像バイアス印加回路90は、現像ローラ71に現像バイアスを印加する回路であり、現像ローラ71に印加する現像バイアスを調整可能に構成されている。このような現像バイアス印加回路90としては、広く公知の構成を採用することができるので、本明細書においては詳細な説明を省略する。なお、本実施形態においては、供給ローラ72には、バイアス(供給バイアス)は印加されていない。
【0025】
制御装置100は、現像バイアス印加回路90を介して現像ローラ71に印加する現像バイアスを制御する装置であり、図示しないCPU、RAM、ROM、入出力インターフェースなどを備えて構成されている。この制御装置100は、本発明に関連する機能部として、画像判定手段110と、現像バイアス制御手段120とを主に備えている。
【0026】
画像判定手段110は、図示しないパーソナルコンピュータなど、レーザプリンタ1の外部の装置から入力された印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて、用紙S(1枚の用紙S)に形成する画像のドット量が所定の基準以上であるか否かを判定する機能部である。
【0027】
具体的に、画像判定手段110は、例えば、画像データに含まれるドット(画素)の数の情報に基づいて、各用紙Sに形成される画像のドットの数をカウントし、各用紙Sごとに、カウント値が予め設定された基準値(所定の基準)以上であるか否かを判定するように構成することができる。そして、画像判定手段110は、カウント値が基準値以上である場合は、用紙Sに形成する画像のドット量が所定の基準以上である(画像のドット量が多い)と判定し、カウント値が基準値未満である場合は、用紙Sに形成する画像のドット量が所定の基準未満である(画像のドット量が少ない)と判定する。
【0028】
また、他の例として、画像判定手段110は、画像データに基づいて、各用紙Sの画像が形成される領域(レーザプリンタ1でトナー像を転写可能な最大領域)に占める、実際に形成される画像の面積率を算出し、各用紙Sごとに、面積率が予め設定された基準値(所定の基準)以上であるか否かを判定するように構成することもできる。そして、画像判定手段110は、画像の面積率が基準値以上である場合は、画像のドット量が多いと判定し、画像の面積率が基準値未満である場合は、画像のドット量が少ないと判定する。
【0029】
さらに、別の例として、画像判定手段110は、入力される画像データの種類に基づいて、画像のドット量が多いか少ないかを判定するように構成してもよい。例えば、画像データが主に文字から構成されるいわゆる文書データであれば、画像のドット量が少ないと判定し、画像データが写真データあれば、画像のドット量が多いと判定するように構成してもよい。
【0030】
なお、画像判定手段110は、入力された印刷ジョブが、2枚以上の用紙Sに画像を形成する画像データを含んでいる場合は、直前の用紙Snに形成する画像の現像が終了するまでに、次の用紙Sn+1に形成する画像のドット量が所定の基準以上である否かを判定する。
画像判定手段110での判定結果は、現像バイアス制御手段120に出力される。
【0031】
現像バイアス制御手段120は、用紙Sに形成する画像のドット量が少ない場合は、図3(b)の左側に示すように、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、搬送される用紙Snの搬送方向(白抜きの矢印で示す方向)における先端から後端(図3の左端から右端)に対応させて、この用紙Snに形成する画像の現像が終了するまで、第1の値Vb1に維持する。
【0032】
一方、現像バイアス制御手段120は、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合は、図3(a)の左側に示すように、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、搬送される用紙Snの先端から後端に対応させて、第1の値Vb1よりも小さい第2の値Vb2から、第1の値Vb1に向けて徐々に増加させる。より詳細に、現像バイアス制御手段120は、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合、少なくとも当該用紙Snに形成する画像の現像の開始(時刻t1)から、現像ローラ71が1回転する時間TDが経過するまでは現像バイアスを第2の値Vb2に維持し、その後(時間t2以後)に現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させる。
【0033】
なお、念のために説明しておくと、図2に示すように、感光体ドラム61と現像ローラ71が対面する現像位置DPにおいて、上記したような現像バイアスが印加された現像ローラ71により現像された感光体ドラム61上のトナー像は、感光体ドラム61の回転に伴って移動し、感光体ドラム61と転写ローラ63が対面する転写位置TPにおいて、搬送される用紙Sに転写されることとなる。
【0034】
したがって、現像バイアスを、搬送される用紙Sの先端から後端に対応させて、第2の値Vb2から第1の値Vb1に向けて増加させるとは、具体的には、用紙Sの先端に転写される画像の現像が行われる現像位置DPにおいて現像バイアスとして第2の値Vb2を印加し、その後、同じ用紙Sの後端に転写される画像の現像が行われる現像位置DPまで現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させることを意味している。
【0035】
現像バイアス制御手段120は、入力された印刷ジョブが、2枚以上の用紙Sに画像を形成する画像データを含んでいる場合は、画像判定手段110での各用紙Sについての判定結果に基づいて、各用紙Sに形成する画像の現像ごとに現像ローラ71に印加する現像バイアスを制御する。
【0036】
例えば、図3(a),(b)に実線で示すように、次の用紙Sn+1に形成する画像のドット量が多い場合は、用紙Snに形成する画像の現像の終了後、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、第1の値Vb1から第2の値Vb2に変更し(時刻t3)、その後は、図3(a)の用紙Snの場合と同様に、用紙Sn+1に形成する画像の現像の開始から時間TDが経過するまでは現像バイアスを第2の値Vb2に維持し、その後に現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させる。
【0037】
また、図3(a),(b)に鎖線で示すように、次の用紙Sn+1に形成する画像のドット量が少ない場合は、用紙Snに形成する画像の現像の終了後も、現像ローラ71に現像バイアスとして第1の値Vb1を印加し続ける。この場合においては、感光体ドラム61と現像ローラ71の間に流れる電流によりトナーが劣化することを抑制するため、用紙Snと用紙Sn+1の間(紙間)に相当する時間は、一旦、現像バイアスを第1の値Vb1よりも小さくするようにしてもよいし、現像バイアスを停止してもよい。
【0038】
なお、本実施形態において、印刷ジョブが入力された後の現像バイアスの印加を開始するタイミング、および、すべての現像を終了した後の現像バイアスの印加を停止するタイミングは、特に問わない。例えば、用紙Sの先端がレジストローラ34(図1参照)の上流側に設けられた図示しない用紙センサに到達したときに現像バイアスの印加を開始し、用紙Sの後端が前記した用紙センサを通過して所定時間(用紙Sが定着装置8を通過したものと推定できる時間)経過した後に現像バイアスの印加を停止するように構成することができる。
【0039】
以上の現像バイアスの制御の流れについて、図4のフローチャートを参照しながら説明する(適宜図3(b)も参照)。
図4に示すように、印刷ジョブ(画像データ)が入力されると、制御装置100は、まず、用紙Sに形成する画像のドット量が所定の基準以上であるか否か(画像のドット量が多いか否か)を判定する(S10)。
【0040】
用紙S(Sn)に形成する画像のドット量が少ない場合(S10,No)、制御装置100は、現像バイアス印加回路90を介して、現像ローラ71に第1の値Vb1の現像バイアスを印加する(S20、図3(b)の時刻t3まで参照)。これにより、プロセスカートリッジ5では、用紙Snに形成するドット量の少ない画像の現像が行われ、用紙Snに現像された画像(トナー像)が転写される。
【0041】
この過程において、制御装置100は、入力された印刷ジョブに2枚目の用紙S(Sn+1)に形成する画像データが含まれている(次の用紙Sに形成する画像がある)か否かを判定し(S60)、次の用紙Sに形成する画像がある場合(S60,Yes)、制御装置100は、用紙Snに形成する画像の現像の終了後、ステップS10に進む。
【0042】
ステップS10において、用紙S(Sn+1)に形成する画像のドット量が多い場合(S10,Yes)、制御装置100は、現像バイアス印加回路90を介して、現像ローラ71に第2の値Vb2の現像バイアスを印加する(S30、図3(b)の時刻t3参照)。
【0043】
その後、制御装置100は、現像ローラ71が1回転する時間TDが経過するまで現像バイアスを第2の値Vb2に維持する(S40,No→S30)。そして、現像ローラ71が1回転する時間TDが経過したら(S40,Yes)、制御装置100は、現像バイアスを第2の値Vb2から第1の値Vb1に向けて増加させる(S50、図3(b)の時刻t4〜t5参照)。
【0044】
この一連の過程において、プロセスカートリッジ5では、用紙Sn+1に形成するドット量の多い画像の現像が行われ、用紙Sn+1に現像された画像が転写される。また、このとき、制御装置100は、次(3枚目)の用紙Sに形成する画像があるか否かを判定する(S60)。
【0045】
次の用紙Sに形成する画像がある場合(S60,Yes)、制御装置100は、用紙Sn+1に形成する画像の現像の終了後、ステップS10に進み、すべての用紙Sに形成する画像の現像が終了するまで、ステップS10以降の処理を繰り返す。
【0046】
一方、次の用紙Sに形成する画像がない場合(S60,No)、制御装置100は、用紙Sn+1に形成する画像の現像の終了後、現像バイアスの印加を停止して(S70)、処理を終了する。
【0047】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
用紙Sにドット量が多い画像を形成する場合、用紙Sの先端付近に対応する画像を現像するとき(現像の初期)には、現像バイアスを第2の値Vb2とする(小さくする)ので、現像ローラ71から感光体ドラム61に移動するトナーの量を抑えることができ、現像ローラ71上にトナーを温存することができる。その後、現像ローラ71へのトナーの供給が次第に追いつかなくなる、現像の終盤に向けて、現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させる(大きくしていく)ので、現像ローラ71から感光体ドラム61に移動するトナーの量を増加させていくことができる。
【0048】
これにより、1枚の用紙Sに形成する画像の現像の開始から終了までに、現像ローラ71から感光体ドラム61に供給されるトナーの量を略均一に保つことができるので、このとき現像されたトナー像が転写された用紙S上の画像は、先端から後端に向けて濃度が次第に薄くなるような濃度ムラの発生が抑制されることとなる。
以上より、本実施形態のレーザプリンタ1によれば、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合であっても画像の濃度ムラを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、画像のドット量が多い場合、用紙Sに形成する画像の現像の開始から、現像ローラ71が1回転する時間TDが経過するまでは現像バイアスを小さい値(第2の値Vb2)に維持し、その後に現像バイアスを増加させるので、現像ローラ71が1回転する間のトナーの供給量を均一に保つことができる。これにより、現像ローラ71が1回転する間に現像されたトナー像(画像)の濃度ムラの発生を抑制でき、画像全体としての濃度ムラをより確実に抑制することができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、供給ローラ72にはバイアスが印加されていないので、現像ローラ71と供給ローラ72の間には電流が流れることはない。これにより、現像ローラ71と供給ローラ72の間でのトナーの劣化(帯電性能の低下など)を防止することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0052】
本実施形態においても、制御装置100(図2参照)は、用紙Sに形成する画像のドット量が少ない場合、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、搬送される用紙Sの先端から後端に対応させて、第1の値Vb1に維持し、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、搬送される用紙Snの先端から後端に対応させて、第2の値Vb2から第1の値Vb1に向けて増加させるように構成されている。
【0053】
そして、本実施形態の制御装置100は、図5に示すように、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合、少なくとも当該用紙Sに形成する画像の現像の開始(時刻t1)から、現像ローラ71が1回転する時間TDと供給ローラ72が1回転する時間TSの合計時間(TD+TS)が経過するまでは、現像バイアスを第2の値Vb2に維持し、その後に現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させる。
【0054】
ここで、ドット量の多い画像の現像が開始されてから現像ローラ71が1回転する間、現像ローラ71上のトナーは感光体ドラム61に供給されて減ることになる。しかしながら、供給ローラ72の表面に十分な量のトナーがある場合には、現像ローラ71上のトナーが減った部分に、供給ローラ72から十分な量のトナーが供給されることになるので、現像ローラ71のトナーが減った面と供給ローラ72が対面してから、供給ローラ72が1回転する間は、現像ローラ71へトナーの供給が追いつかなくなるという現象は生じにくい。
【0055】
そこで、本実施形態では、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合において、合計時間(TD+TS)が経過するまでは、現像バイアスを第2の値Vb2に維持することで、現像ローラ71上に十分な量のトナーが担持され、さらに供給されるときは、現像ローラ71から感光体ドラム61に移動するトナーの量を抑えつつ、現像ローラ71上にトナーを温存するようにしている。
【0056】
そして、合計時間(TD+TS)が経過した後は、現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させることで、現像ローラ71へのトナーの供給が次第に追いつかなくなる、現像の終盤に向けて、現像ローラ71から感光体ドラム61に移動するトナーの量を増加させている。
【0057】
これにより、1枚の用紙Sに形成する画像の現像の開始から終了までに、現像ローラ71から感光体ドラム61に供給されるトナーの量を略均一に保つことができるので、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合であっても画像の濃度ムラを抑制することができるようになっている。さらに、現像バイアスの小さい時間が長くなることで、感光体ドラム61と現像ローラ71の間に流れる電流によりトナーが劣化することを抑制することが可能となる。
【0058】
なお、特に、1枚目の用紙Sに形成する画像を現像する前には、供給ローラ72の表面に十分な量のトナーがあるので、1枚目の用紙Sに形成するドット量が多い画像を現像する場合に、本実施形態によって現像バイアスを制御し、2枚目以降の用紙Sに形成するドット量が多い画像を現像する場合には、前記した第1実施形態によって現像バイアスを制御するように構成してもよい。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0060】
前記実施形態では、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合において、用紙Sに形成する画像の現像の開始から、一定の時間(現像ローラ71が1回転する時間TDなど)が経過するまでは現像バイアスを第2の値Vb2に維持し、その後に現像バイアスを増加させるように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に実線で示すように、現像の開始(第2の値Vb2の印加の開始)から、現像バイアスを第1の値Vb1に向けて増加させるように構成してもよい。
【0061】
前記実施形態では、用紙Sに形成する画像のドット量が多い場合において、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、搬送される用紙Snの先端から後端に対応させて第2の値Vb2から第1の値Vb1に向けて増加させるように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6に鎖線で示すように、現像ローラ71に印加する現像バイアスを、第2の値Vb2から、第1の値Vb1よりも大きい値(例えば、第3の値Vb3)に向けて増加させるように構成してもよい。
【0062】
前記実施形態では、図3などに示したように、現像バイアスを第2の値Vb2から第1の値Vb1に向けて直線的に増加させていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、現像バイアスの増加の傾向は特に限定されるものではなく、画像形成装置の具体的な構成や現像剤の帯電特性などに応じて設定することが望ましい。例えば、現像バイアスを段階的に増加させてもよいし、放物線状に増加させてもよいし、1枚の用紙の形成する画像の現像の開始から終了までの途中で急に立ち上がるように増加させてもよい。
【0063】
前記実施形態では、供給ローラ72に供給バイアスが印加されていなかったが、本発明はこれに限定されず、例えば、供給ローラには、現像バイアスと同極性かつ同電位の供給バイアスが印加されていてもよい。これによっても、現像ローラ71と供給ローラ72の間に電流が流れることによるトナーの劣化を防止することができる。
【0064】
前記実施形態では、感光体として感光体ドラム61を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、感光体ベルトなどであってもよい。
【0065】
前記実施形態では、画像形成装置として、モノクロの画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カラーの画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。なお、複写機能を備える画像形成装置では、原稿読取装置での読み取りによっても画像データが入力される。
【0066】
前記実施形態では、正帯電性のトナー(現像剤)を使用して現像を行う画像形成装置を例示したが、本発明は、負帯電性の現像剤を使用して現像を行う画像形成装置にも適用することができる。この場合、現像バイアスとしての第1の値および第2の値は負の値となり、第2の値は、その絶対値が第1の値の絶対値よりも小さい値となる。
【0067】
前記実施形態では、記録シートの一例として、いわゆる普通紙やはがきなどの用紙Sを示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 レーザプリンタ
61 感光体ドラム
71 現像ローラ
72 供給ローラ
100 制御装置
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
静電潜像が形成される感光体と、
現像剤を担持し、現像バイアスが印加されることで現像剤を静電潜像に供給する現像を行う現像ローラと、
前記現像ローラに印加する現像バイアスを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準未満である場合、前記現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される記録シートの先端から後端に対応させて、第1の値に維持し、
記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準以上である場合、前記現像ローラに印加する現像バイアスの絶対値を、搬送される記録シートの先端から後端に対応させて、前記第1の値よりも小さい第2の値から、前記第1の値または前記第1の値よりも大きい値に向けて増加させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準以上である場合、少なくとも当該記録シートに形成する画像の現像の開始から、前記現像ローラが1回転する時間が経過するまでは現像バイアスを前記第2の値に維持し、その後に現像バイアスを増加させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像ローラに現像剤を供給する供給ローラを備え、
前記制御装置は、記録シートに形成する画像のドット量が所定の基準以上である場合、少なくとも当該記録シートに形成する画像の現像の開始から、前記現像ローラが1回転する時間と前記供給ローラが1回転する時間の合計時間が経過するまでは現像バイアスを前記第2の値に維持し、その後に現像バイアスを増加させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像ローラに現像剤を供給する供給ローラを備え、
前記供給ローラには、供給バイアスが印加されていない、または、現像バイアスと同極性かつ同電位の供給バイアスが印加されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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