説明

画像形成装置

【課題】無端状ベルト部材を駆動させたり、信号処理が複雑となることなく、無端状ベルト部材の有無を検知することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数本の支持ロールによって回動可能に支持される無端状ベルト部材21と、前記複数本の支持ロールのうち、いずれかの支持ロール24bによって背面側が支持された無端状ベルト部材21の表面において、当該無端状ベルト部材21上の被検知部材を光学的に検知する検知手段60と、前記検知手段60が少なくとも前記無端状ベルト部材21又は前記支持ロール24bのいずれかを検知した場合における当該検知手段60の出力に基づいて前記無端状ベルト部材21の有無を判定する判定手段とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置としては、例えば、感光体ドラム上に順次形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、黒等のトナー像を重ね合わせた状態で転写する中間転写ベルトを備えたものがある。かかる画像形成装置においては、中間転写ベルトと、当該中間転写ベルトを回動可能に支持する複数本の支持ロールとが中間転写ベルトユニットとして一体的に構成されており、中間転写ベルトユニットのメンテナンス等のために、中間転写ベルトユニットを画像形成装置本体から取り外すとともに、中間転写ベルトユニットから中間転写ベルトを取り外す場合がある。
【0003】
このとき、上記画像形成装置において、中間転写ベルトユニットを画像形成装置本体に装着する際に、中間転写ベルト等の装着忘れを防止し得る技術としては、例えば、特開2002−356944号公報や特開2005−164645号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0004】
上記特開2002−356944号公報に係る画像形成装置は、トナー像を記録媒体へ最終的に転写する取り外し可能な最終転写体を備える画像形成装置において、当該最終転写体の有無を検知する検知手段を備えるように構成したものである。
【0005】
また、上記特開2005−164645号公報に係る画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体に現像剤を付与することにより前記潜像をトナー像として可視化する現像ユニットと、
前記トナー像を転写された状態で保持するための中間転写体を含み、装置本体に着脱可能な中間転写ユニットと、
転写電界を形成して前記トナー像を前記中間転写体に転写する一次転写手段と、
転写電界を形成して前記中間転写体上に保持された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写手段と、を有する電子写真方式の画像形成装置であって、
前記画像形成装置に設けられた複数の検知手段のうち、前記中間転写ユニットの有無に応じて検知結果が変化する検知手段の少なくとも2つの検知結果に応じて、前記中間転写ユニットの有無を判定する判定手段と、を備えるように構成したものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−356944号公報
【特許文献2】特開2005−164645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、無端状ベルト部材を駆動させたり、信号処理が複雑となることなく、無端状ベルト部材の有無を検知することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に記載された発明は、複数本の支持ロールによって回動可能に支持される無端状ベルト部材と、
前記複数本の支持ロールのうち、いずれかの支持ロールによって背面側が支持された無端状ベルト部材の表面において、当該無端状ベルト部材上の被検知部材を光学的に検知する検知手段と、
前記検知手段が少なくとも前記無端状ベルト部材又は前記支持ロールのいずれかを検知した場合における当該検知手段の出力に基づいて前記無端状ベルト部材の有無を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
また、請求項2に記載された発明は、前記判定手段は、前記無端状ベルト部材を回動させることなく、前記検知手段の出力のみに基づいて前記無端状ベルト部材の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、無端状ベルト部材を駆動したり、複雑な信号処理を要することなく、無端状ベルト部材の有無を検知することができる。
【0011】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、装置の電源を投入するだけで、無端状ベルト部材の有無を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの要部を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す構成図である。
【図3】画像形成部を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す構成図である。
【図5】基準位置センサの出力を示すグラフである。
【図6】制御回路を示すブロック図である。
【図7】中間転写ユニットを取り外した状態を示す構成図である。
【図8】中間転写ベルトを装着し忘れた状態を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの要部を示す構成図である。
【図10】基準位置センサの出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る転写ロールを適用した画像形成装置としての4サイクル方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。また、このカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとしても機能するようになっている。なお、上記画像形成装置としては、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するものであっても勿論よい。
【0015】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部には、原稿2を1枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配置されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に配置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0016】
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、必要に応じてシェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換される。
【0017】
そして、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データとして画像露光装置13に送られ、この画像露光装置13では、画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。なお、上記画像形成装置は、プリンターとしても機能するように構成されており、当該画像形成装置がプリンターとして機能する場合には、画像処理装置12にパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータから画像データが入力され、当該画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された後、画像露光装置13に4色の画像データが出力される。
【0018】
上記画像形成装置本体1の内部には、色の異なる複数のトナー像を形成可能な画像形成手段Aが配置されている。この画像形成手段Aは、主として、トナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム17と、前記感光体ドラム17上に形成された静電潜像を順次現像して色の異なる複数のトナー像を形成可能な現像手段としての回転式の現像装置19とから構成されている。
【0019】
上記画像露光装置13は、図2に示すように、図示しない半導体レーザーを画像データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡14によって偏向走査され、f・θレンズ15及び反射ミラー16を介して像保持体としての感光体ドラム17上に走査露光される。
【0020】
上記画像露光装置13によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム17は、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って予め定められた速度で回転駆動されるようになっている。この感光体ドラム17の表面は、一次帯電用のスコロトロン18によって予め定められた極性(例えば、マイナス極性)及び電位に帯電された後、画像データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって静電潜像が形成される。上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の現像器19Y、19M、19C、19Kを回転可能に備えた回転式の現像装置19によって、例えば、感光体ドラム17の帯電極性と同極性のマイナス極性に帯電したトナーによって反転現像され、予め定められた色のトナー像となる。尚、上記感光体ドラム17上に形成されたトナー像は、必要に応じて転写前帯電器20によってマイナス極性等の帯電を受け、電荷量が調整される。
【0021】
上記感光体ドラム17上に形成された各色のトナー像は、当該感光体ドラム17の下部に配置された無端状ベルト部材(像保持体)としての中間転写ベルト21上に、転写ロールとしての一次転写ロール22によって多重に転写される。この中間転写ベルト21は、駆動ロール23、張力付与ロール24a、従動ロール24b、従動ロール24c、従動ロール24d及び二次転写手段の一部を構成する対向ロール25によって張り渡されており、矢印方向に沿って回転駆動される。
【0022】
ところで、この実施の形態では、図2に示すように、中間転写ベルト21が、当該中間転写ベルト21を予め定められた張力で張り渡らせる複数本のロールとしての駆動ロール23、張力付与ロール24a、従動ロール24b、従動ロール24c、従動ロール24d及び対向ロール25とともに一体的に中間転写ユニット50としてユニット化されており、この中間転写ユニット50は、メンテナンス等のために、図示しないガイドレールを介して画像形成装置本体1から装置の手前側にスライドさせて引き出した状態で、画像形成装置本体1から着脱可能に構成されている。
【0023】
上記中間転写ユニット50は、画像形成装置本体1のフロントカバー(図示せず)を開けて、図示しないレバーを回動操作することにより、張力付与ロール24aを中間転写ベルト21の内周側に移動させて中間転写ベルト21の張力を解除するとともに、感光体ドラムと一次転写ロール22とのニップ状態、及び対向ロール25と二次転写ロール27とのニップ状態を解除することにより、当該中間転写ユニット50を中間転写ベルト21や各ロールが画像形成装置本体1側の部材と接触することなく、画像形成装置本体1の手前側に引き出し可能となっており、引き出した状態で画像形成装置本体1から着脱することができるように構成されている。
【0024】
こうすることによって、画像形成装置本体1側のメンテナンスや、中間転写ユニット50のメンテナンス、あるいは中間転写ベルト21の交換等を行うように構成されている。そして、メンテナンスや中間転写ベルト21の交換作業などが終了した後に、今度は、着脱したときと逆の手順で中間転写ユニット50を画像形成装置本体1に装着するようになっている。
【0025】
上記中間転写ベルト21上には、形成する画像の色に応じて、感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のすべて又は一部の色のトナー像が、一次転写ロール22によって順次重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト21上に転写されたトナー像は、予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送される記録媒体としての記録用紙26上に、中間転写ベルト21を支持する対向ロール25と、当該対向ロール25に圧接する転写ロールとしての二次転写ロール27によって転写される。上記記録用紙26は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の下部に配置された複数の給紙カセット28、29、30、31の何れかから、所望のサイズのものが給紙ロール28a、29a、30a、31aによって給紙される。給紙された記録用紙26は、複数の搬送ロール32及びレジストロール33によって、予め定められたタイミングで中間転写ベルト21の二次転写位置まで搬送される。そして、上記記録用紙26には、上述したように、二次転写手段としての対向ロール25と二次転写ロール27によって、中間転写ベルト21上から予め定められた色のトナー像が一括して転写される。なお、上記給紙カセット28、29、30、31からは、通常の最大サイズであるA3サイズの記録用紙以外に、A3サイズの記録用紙よりも一回り大きい所謂A3ノビサイズの記録用紙も給紙可能となっている。
【0026】
また、上記中間転写ベルト21上から予め定められた色のトナー像が転写された記録用紙26は、中間転写ベルト21から分離された後、搬送ベルト34によって定着装置35へと搬送され、この定着装置35によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙26上に定着され、片面複写の場合には、そのまま排紙トレイ36上に排出されてカラー画像の形成工程が終了する。
【0027】
一方、両面複写の場合には、第1面(表面)にカラー画像が形成された記録用紙26を、そのまま排紙トレイ36上に排出せずに、図示しない反転ゲートによって下向きに搬送方向が変更され、3つのロールが圧接されたトリロール37及び反転ロール38によって、反転通路39へと一旦搬送される。そして、上記記録用紙26は、今度は逆転する反転ロール38によって両面用通路40へと搬送され、この両面用通路40に設けられた搬送ロール41によってレジストロール33まで一旦搬送されて停止する。記録用紙26は、中間転写ベルト21上のトナー像と同期して、再度レジストロール33によって搬送が開始され、当該記録用紙26の第2面(裏面)に対してトナー像の転写・定着工程が行われた後、排出トレイ36上に排出される。
【0028】
なお、図2中、42は転写工程が終了した後の感光体ドラム17の表面から残留トナーや紙粉等を除去するためのクリーニング装置、43は手差しトレイをそれぞれ示している。
【0029】
図3は上記画像形成装置の画像形成手段Aを示す構成図である。
【0030】
この画像形成装置では、上述したように、感光体ドラム17の表面が一次帯電用のスコロトロン18によって所定の電位に一様に帯電された後、当該感光体ドラム17の表面には、画像露光装置13によって予め定められた色に対応した画像が露光され、静電潜像が形成される。上記感光体ドラム17の表面に各色に対応して形成された静電潜像は、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19BKによって現像され、当該感光体ドラム17の表面には、予め定められた色のトナー像Tが形成される。
【0031】
上記回転式の現像装置19には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器19Y、19M、19C、19BKが周方向に沿って配置されており、回転軸44を中心にして矢印方向に沿って回転することにより、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19BKの現像ロール45が感光体ドラム17と対向する現像位置へと移動して、所望の色のトナーによって感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像を現像するように構成されている。
【0032】
例えば、上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像がイエロー色に対応したものであれば、この静電潜像は、イエロー色の現像器19Yによって現像され、感光体ドラム17上には、イエロー色のトナー像Tが形成される。また、他のマゼンタ色、シアン色、ブラック色についても、同様のプロセスによって対応する色のトナー像Tが、感光体ドラム17上に順次形成される。
【0033】
上記感光体ドラム17上に順次形成された各色のトナー像Tは、感光体ドラム17と中間転写ベルト21とが接触する一次転写位置において、感光体ドラム17上から中間転写ベルト21の表面に一次転写される。この一次転写位置には、中間転写ベルト21の裏面側に半導電性の一次転写ロール22が配置されており、中間転写ベルト21は、一次転写ロール22によって感光体ドラム17の表面に接触するようになっている。一次転写ロール22には、トナーの帯電極性と逆極性(正極性)の電圧が印加され、感光体ドラム17上に形成されたトナー像Tは、中間転写ベルト21上に一次転写される。
【0034】
単色の画像を形成する場合は、中間転写ベルト21上に一次転写された予め定められた色のトナー像Tが、直ちに記録用紙26上に二次転写されるが、複数色のトナー像Tを重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム17上への予め定められた色のトナー像Tの形成、並びにトナー像Tの中間転写ベルト21上への一次転写の工程が、予め定められた色数分だけ繰り返される。
【0035】
例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色のトナー像Tを重ね合わせたフルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム17上には、その一回転毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナー像Tが順次形成され、これらの4色のトナー像は、順次中間転写ベルト21上に重ね合わせた状態で一次転写される。
【0036】
その際、上記中間転写ベルト21は、最初に一次転写されたイエロー色の未定着トナー像Tを保持したまま、感光体ドラム17と同期した周期で回転し、当該中間転写ベルト21上には、その一回転毎にマゼンタ色、シアン色及びブラック色の未定着トナー像Tが、イエロー色の未定着トナー像Tに順次重ね合わされた状態で転写される。
【0037】
このようにして中間転写ベルト21に一次転写された未定着トナー像Tは、中間転写ベルト21の回転に伴って、記録用紙26の搬送経路に面した二次転写位置へと搬送される。
【0038】
そして、この記録用紙26は、前述したように、所望の給紙カセット28、29、30、31から給紙ロール28a、29a、30a、31aによって給紙され、搬送ロール32によってレジストロール33まで搬送され、レジストロール33によって所定のタイミングで、二次転写ロール27と中間転写ベルト21とのニップ部間に給送される。
【0039】
また、二次転写位置における中間転写ベルト21の裏面側には、二次転写ロール27の対向電極をなす対向ロール25が配設されている。二次転写位置では、予め定められたタイミングで半導電性の二次転写ロール27が中間転写ベルト21に圧接し、当該対向ロール25にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することにより、中間転写ベルト21上に転写された未定着トナー像Tは、前記二次転写位置において記録用紙26上に二次転写される。
【0040】
なお、図3中、符号49は、中間転写ベルト21の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置を示しており、このベルトクリーニング装置49は、中間転写ベルト21の表面に対して接離するように構成されている。
【0041】
この実施の形態では、図3に示すように、二次転写ロール27にトナーの帯電極性と同極性の電圧を直接印加するのではなく、当該二次転写ロール27に中間転写ベルト21を介して圧接する対向ロール25に、バイアスロール46によって転写バイアス電圧印加手段としての図示しない転写バイアス用高圧電源から、トナーの帯電極性と同極性の電圧を印加するように構成されている。しかし、二次転写ロール27にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を直接印加するように構成しても勿論よい。
【0042】
そして、未定着トナー像Tが転写された記録用紙26は、中間転写ベルト21から剥離され、二次転写部の下流に配置された電極部材47、案内板48および搬送ベルト34によって定着装置35に送り込まれ、未定着トナー像Tの定着処理がなされる。
【0043】
上記中間転写ベルト21は、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電化剤を適当量分散させて、その体積抵抗率が106 〜1014Ω・cmとなるように調整したフィルム状のベルトによって形成されている。この中間転写ベルト21の厚さは、例えば、0.1mmに設定される。なお、上記中間転写ベルト21の周長は、感光体ドラム17の周長の整数倍(例えば、3倍)に設定されている。
【0044】
また、上記二次転写ロール27は、必要に応じて、中間転写ベルト21と接離可能に配設されており、カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像Tが中間転写ベルト21上に一次転写されるまで、中間転写ベルト21から離間している。
上記一次転写ロール22は、例えば、ステンレス等の金属からなる回転軸の外周に、予め定められた厚さに被覆されたカーボンブラック等の導電性材料を分散した発泡ウレタンゴムなどからなる弾性体層を備えている。また、上記一次転写ロール22は、その体積抵抗率が103 〜1010Ω・cmに設定され、ロール径がφ28mmとなるように形成され、弾性体層222の硬度は、例えば35°(アスカーC硬度)に設定されている。
【0045】
さらに、上記二次転写ロール27は、カーボンを分散したウレタンゴムのチューブからなる表面層と、カーボンを分散した発泡ウレタンゴムからなる内部層とを備えており、当該二次転写ロール27の表面には、フッ素コートが施されている。この二次転写ロール27は、その体積抵抗率が103 〜1010Ω・cmに設定され、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカーC硬度)に設定される。
【0046】
一方、上記バックアップロール25は、カーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブからなる表面層と、EPDMのゴムからなる内部層とを備えており、その表面抵抗率が107 〜1010Ω/□で、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC硬度)に設定される。
【0047】
また、二次転写位置のニップ部下流に配置された電極部材45は、導電性の板状部材として板金が好ましく、この実施の形態では厚さ0.5mmのスレンレス鋼板を使用しており、転写用紙26側を針状としたものが用いられている。さらに、上記電極部材45の2次転写領域側の先端は、バックアップロール25と2次転写ロール27のニップ部が成す線より1mmだけ二次転写ロール27側で、かつニップ部の出口より7mmだけ離れて配置されている。
【0048】
ところで、この実施の形態では、図1及び図4に示すように、中間転写ベルト21の回転方向に沿った基準位置を検知するための基準位置(TR0)センサ60を備えており、この基準位置センサ60によって中間転写ベルト21表面の移動方向と交差する方向であって、当該中間転写ベルト21の表面に沿った方向の一方の端部に設けられた基準位置を示すシール部材61を検知するように構成されている。このシール部材61としては、例えば、鏡面仕上げされた金属色など反射率が比較的高く設定された表面を有する合成樹脂製のシールなどが用いられ、中間転写ベルト21の表面に粘着テープ等などによって装着される。
【0049】
また、上記基準位置センサ60としては、例えば、LED等からなる発光素子から光を出射し、中間転写ベルト21の表面に設けられたシール部材61からの正反射光をフォトトランジタ等からなる受光素子によって受光することによって、中間転写ベルト21上のシール部材61の位置を検知するものが用いられる。そして、この基準位置センサ60は、例えば、受光素子からの出力電圧を必要に応じて増幅したものを、予め定められた閾値と比較することによって、当該受光素子からの出力電圧が予め定められた第1の閾値を超えた場合に、シール部材61を検知したと判定することができる。
【0050】
また、上記基準位置センサ60は、図4に示すように、中間転写ベルト21を張り渡らせるロールのうち、いずれか1つの従動ロール24bの表面に対向する位置に配置されている。しかも、上記従動ロール24bを金属製のロールによって構成するとともに、当該従動ロール24bの表面をシール部材61の反射率よりも高い鏡面仕上げを施すことにより、従動ロール24bの表面を検知した場合に、図5に示すように、受光素子からの出力電圧がシール部材61を検知した場合よりも大きくなるように設定し、当該基準位置センサ60によって従動ロール24bの表面を検知した場合と、シール部材61を検知した場合とで判別可能に構成しても良い。
【0051】
また、中間転写ベルト21は、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電化剤を適当量分散させて、その表面の反射率が最も小さくなるように設定されている。
【0052】
図6はこの実施の形態に係る画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【0053】
図において、100は画像形成装置の動作を制御するとともに、基準位置センサ60が中間転写ベルト21又は従動ロール24b、あるいはシール部材61のうちの少なくとも中間転写ベルト21又は従動ロール24bのいずれかを検知した場合における当該基準位置センサ60の出力に基づいて中間転写ベルト21の有無を判定する判定手段としても機能するCPU、101はユーザインターフェース、102はユーザにアラームを知らせる表示パネルや警告音などを発生するアラーム手段をそれぞれ示すものである。CPU100は、中間転写ベルト21、従動ロール24b、あるいはシール部材61のいずれかを検知した場合に、中間転写ベルト21の有無を判定しても良いが、少なくとも中間転写ベルト21又は従動ロール24bのいずれかを検知した場合に中間転写ベルト21の有無を判定するように構成しても良い。なお、CPU100は、中間転写ベルト21又はシール部材61を検知して場合に、中間転写ベルト21有りと判定し、従動ロール24bを検知した場合には、中間転写ベルト21無しと判定する。
【0054】
このように構成した場合には、基準位置センサ60の出力電圧をCPU100によってモニターすることによって、当該基準位置センサ60が従動ロール24bの表面、シール部材61の表面、中間転写ベルト21の表面のいずれを検知しているかを判定することができる。
【0055】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、無端状ベルト部材を駆動させたり、信号処理が複雑となることなく、無端状ベルト部材の有無を検知することができる。
【0056】
すなわち、上記画像形成装置では、図2に示すように、必要に応じて、サービスエンジニア等によって中間転写ユニット50を画像形成装置本体1から着脱する作業や、中間転写ユニット50の中間転写ベルト21を交換する作業などが行われる場合がある。
【0057】
その際、中間転写ユニット50を画像形成装置本体1から取り外すには、画像形成装置本体1のフロントカバーを開けて、図示しないレバーを回動操作することにより、張力付与ロール24 aを中間転写ベルト21の内周側に移動させて中間転写ベルト21の張力を解除するとともに、感光体ドラム17と一次転写ロール22とのニップ状態、及び対向ロール25と二次転写ロール27とのニップ状態を解除することにより、当該中間転写ユニット50を中間転写ベルトや各ロールが画像形成装置本体側の部材と接触させることなく、画像形成装置本体1の手前側に引き出した状態で、図7に示すように、中間転写ユニット50を画像形成装置本体1から取り外すようになっている。
【0058】
そして、画像形成装置本体1の内部のメンテナンス作業や、中間転写ユニット50のメンテナンス作業、あるいは中間転写ベルト21の交換作業などが行われる。その後、メンテナンスや中間転写ベルト21の交換作業などが終了した場合には、中間転写ユニット50を取り外したときと逆の手順で当該中間転写ユニット50を画像形成装置本体1に装着する。
【0059】
その際、極稀にサービスエンジニア等によって中間転写ベルト21を中間転写ユニット50に装着し忘れて、図8に示すように、中間転写ユニット50を画像形成装置本体1に装着してしまう場合がある。この場合には、画像形成時に画像形成装置の電源を入れてプリントボタン等を押しても、中間転写ベルト21が存在しないため、画像形成動作を実行することができない。
【0060】
そこで、この実施の形態では、図5及び図6に示すように、中間転写ベルト21の基準位置を検知する基準位置センサ60の出力信号を利用して、画像形成装置のCPU100は、図5に示すように、基準位置センサ60が正常時のように中間転写ベルト21の表面又はシール部材61の表面を検知しているか、中間転写ベルト21を張り渡らせる従動ロール24bの表面を検知しているかを判別する。
【0061】
そして、CPU100は、図6に示すように、基準位置センサ60からの出力信号に基づいて、当該基準位置センサ60が中間転写ベルト21を張り渡らせる従動ロール24bの表面を検知していると判別した場合には、中間転写ベルト21が装着されていないと判定して、画像形成装置の動作を停止させるとともに、当該画像形成装置のユーザーインターフェース101を介してアラーム手段102に「中間転写ベルトが装着されていません。」といったメッセージや、「中間転写ベルトを装着してください。」、あるいは「サービスエンジニアを呼んでください。」といったメッセージを表示したり、警告音を発するなどして、ユーザーに中間転写ベルト21が装着されていないことを通知し警告する。
【0062】
こうすることによって、この実施の形態によれば、中間転写ベルト21を回転駆動させたり、複数のセンサからの出力信号に基づいて論理判断するなどの複雑な信号処理を行うことなく、基準位置センサ60の出力信号のみによって中間転写ベルト21の有無を容易に且つ確実に検知することができる。
【0063】
実施の形態2
図9及び図10はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、中間転写ベルト21の表面、シール部材61の表面、及び中間転写ベルト21を張り渡らせる従動ロール24bの表面の反射率の大小関係が前記実施の形態1と異なるように設定されている。
【0064】
すなわち、この実施の形態2では、図9及び図10に示すように、シール部材61表面の反射率が最も大きく、次に中間転写ベルト21表面の反射率が大きく、中間転写ベルト21を張り渡らせる従動ロール24bの表面の反射率が最も小さく設定されている。この場合、例えば、中間転写ベルト21を張り渡らせる従動ロール24bの表面を黒色などに着色するか、又は従動ロール24bの表面に黒色などの被覆部材を被覆するか表面の反射率を低下させる処理を施すことによって可能である。
【0065】
なお、この実施の形態2では、中間転写ベルト21を張り渡らせる従動ロール24bの表面の反射率が最も小さく設定されているため、中間転写ベルト21表面の反射率との差を比較的大きく設定することが容易であり、誤検知をより確実に防止することが可能となる。
【0066】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置として所謂4サイクル方式の画像形成装置について説明したが、感光体ドラムを複数並列的に備えた所謂タンデム方式の画像形成装置であっても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
21:中間転写ベルト、23:駆動ロール、24a:張力付与ロール、24b〜24d:従動ロール、25:対向ロール、50:中間転写ユニット、60:基準位置センサ、61:シール部材、100:CPU、101:ユーザインターフェース、102:アラーム手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の支持ロールによって回動可能に支持される無端状ベルト部材と、
前記複数本の支持ロールのうち、いずれかの支持ロールによって背面側が支持された無端状ベルト部材の表面において、当該無端状ベルト部材上の被検知部材を光学的に検知する検知手段と、
前記検知手段が少なくとも前記無端状ベルト部材又は前記支持ロールのいずれかを検知した場合における当該検知手段の出力に基づいて前記無端状ベルト部材の有無を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記無端状ベルト部材を回動させることなく、前記検知手段の出力のみに基づいて前記無端状ベルト部材の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−47992(P2012−47992A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190372(P2010−190372)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】