画像形成装置
【課題】コストを抑えつつ固定精度の向上を図ることができる構造体を提供する。
【解決手段】押圧部材55、56は、ビス固定穴とは異なる2部材を貫通する第2の貫通孔に嵌合するとともに、一方の部材に設けられた突き当て部が他方の部材に突き当たる突き当て方向における幅が第2の貫通孔への差し込み方向に向かって狭まる形状を有するテーパ形状部を有しており、突き当て部が他方の部材に突き当たり、かつ、テーパ形状部が第2の貫通孔に対して突き当て部の突き当て方向において隙間なく嵌合した状態でビスによって2部材に締め付けられる。
【解決手段】押圧部材55、56は、ビス固定穴とは異なる2部材を貫通する第2の貫通孔に嵌合するとともに、一方の部材に設けられた突き当て部が他方の部材に突き当たる突き当て方向における幅が第2の貫通孔への差し込み方向に向かって狭まる形状を有するテーパ形状部を有しており、突き当て部が他方の部材に突き当たり、かつ、テーパ形状部が第2の貫通孔に対して突き当て部の突き当て方向において隙間なく嵌合した状態でビスによって2部材に締め付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材が固定部材によって互いに結合される構造体を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やFAX、プリンタ等の画像形成装置の構造体は、複数の部材が組合せられ、これら部材が溶接やネジ締結、リベット等の締結手段により相互に留められて、構成されている。
例えば溶接は部材同士を溶かして留める為に、その結合部は高い強度を示すが、溶接に大がかりな設備が必要な為、コストが増大する欠点がある。また、熱変形による精度劣化の問題もある。そこで、溶接に代えて、ネジ締結やリベット締結を使用する場合もある。通常、ネジやリベットを使って二つの部材を相互に締結する場合、ネジやリベットを挿通する穴径をネジやリベットの挿通部分の外径より大きくすることにより、挿通時に挿通部分と穴との間に充分な余裕を確保している。その理由はリベットやネジを入れやすくし、寸法精度の増大によるコスト増を防止する為である。しかしながら、ネジ締結やリベット締結は穴径に余裕を持たせると、締結した後にその余裕に対応した隙間が残る。そのため、結合部に大きな荷重がかかると、この結合部にずれが生じてしまうという問題があった。この問題を解決するために、次のようなブラインドリベットが提案されている。すなわち、ブラインドリベットのマンドレルと該リベットを受け入れるボディ内部のそれぞれに段差を形成し、固定過程でマンドレルの段差部をボディの段差部に向けてその外径を増大させるように膨径させる構成である。この構成によれば、固定後に生じていた両者間の隙間をなくし、ブラインドリベットにより相互に結合される両部材に経時的に相対的な位置の変化の発生しない固定を行うことができる。
そして、この技術の汎用性を高めるために、次のような提案がされている(特許文献1)。すなわち、一方の固定部材に筒状突起、他方の固定部材に穴部を設け、穴部に嵌合した筒状突起の内側(中空部)に、筒状突起の内径よりも大きいネジを圧入する構成である。この構成によれば、ネジを圧入することで筒状突起を膨張させ、筒状突起と穴部との間の隙間をなくすことができる。その他、関連する技術として特許文献2〜5に開示されたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−286072号公報
【特許文献2】特開平10−299735号公報
【特許文献3】特開平10−306813号公報
【特許文献4】特開平10−306814号公報
【特許文献5】特許第4244316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来例では、二つの部品の固定部にガタが発生しないように固定するため、固定前の突起形状、穴形状の位置および、膨張過程で発生する変形により、固定精度が変動する。
二つの部品を一般的なプレス加工で加工することを想定すると、以下のような変動が発生する。筒状突起を形成する場合、打ち抜き工程の一次加工、および突起部を絞る二次加工を行う。一次加工は、位置精度が求められる部分を同時に加工することで、寸法は高精度に仕上がる(例えば±0.1以下)。また、二次加工は絞り形状となるため、寸法精度は
悪化傾向にある(例えば±0.2以下)。一次加工と二次加工により、必要な寸法精度は、合算値に近い位置変動(上記二つの精度ならば、0.3程度)となる。
さらに、固定原理としてガタつめのための膨張過程により変形が必要である。この変形により、2部品の固定位置変動が発生するが、その数値管理は容易ではない。二つの部品固定精度について、高精度が要求されないのであれば問題はない。しかし、画像形成装置における構造体の固定精度は、一次加工の単部品精度をそのまま再現する必要がある。特にベルト機構を用いたカラーLBPにおいては、ベルトの走行安定性を維持し、また4色間の色ずれをある許容値以下にするために、構造体の位置精度は重要なパラメータとなっている。
【0005】
本発明は、コストを抑えつつ固定精度の向上を図ることができる構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、互いに固定される第1フレームと第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームの夫々に設けられた穴に挿入され、前記第1フレームと前記第2フレームとを固定する固定部材と、を有し、前記第1フレームは、前記第2フレームが突き当たることで、前記固定部材の挿入方向に交差する方向に関する前記第1フレームと前記第2フレームの相対位置が決まる突き当て部を備えている画像形成装置において、前記第1フレームの前記突き当て部が前記第2フレームに突き当たるよう前記第1フレームと前記第2フレームの夫々を押圧する押圧部材を有し、前記第1フレームと前記第2フレームは、前記固定部材により付勢される前記押圧部材によって夫々押圧され、前記第1フレームの前記突き当て部に前記第2フレームが突き当たった状態となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コストを抑えつつ固定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る画像形成装置の主断面図。
【図3】本発明の実施例に係る押圧部材の斜視図。
【図4】本発明の実施例に係る構造体の斜視図。
【図5】フロントステーの一部を示す斜視図。
【図6】リアステーの一部を示す斜視図。
【図7】左フレームの斜視図。
【図8】固定穴を詳細に示す模式図。
【図9】固定原理を説明する模式図。
【図10】固定穴を詳細に示す模式図。
【図11】押圧部材のたわみの様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施例>
図1は本実施例のカラー電子写真画像形成装置1の外観斜視図である。図2は画像形成装置1の左側縦断面図(主断面図)である。図3は、本実施例に係る押圧部材の斜視図であ
る。図4は、本実施例に係る構造体の斜視図である。図5は、フロントステーの一部を示す斜視図であり、左右それぞれの図がフロントステーの左側及び右側をそれぞれ部分的に示している。図6は、リアステーの一部を示す斜視図であり、左右それぞれの図がフロントステーの左側及び右側をそれぞれ部分的に示している。図7は、左フレームの斜視図である。図8は、固定穴を詳細に示す模式図である。図9は、固定原理を説明する模式図である。図10は、固定穴を詳細に示す模式図である。図11は、押圧部材のたわみの様子を示す模式図である。
【0011】
以下の説明において、画像形成装置1に関して、前側(正面側)とは、記録媒体のカセット4を挿脱する側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、装置の後側から前側に向う方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは装置を正面から見て左又は右である。左右方向とは右から左に向う方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また、電子写真感光体ドラム8の長手方向(軸線方向)の一端側が駆動側であり、他端側が非駆動側である。また装置本体5とは現像カートリッジ16以外の画像形成装置部分である。
【0012】
画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。尚、本実施例に用いられる画像形成装置1は、前記記録媒体にフルカラー画像を形成することのできるカラーレーザープリンタである。また、記録媒体とは、画像形成装置によって画像を形成されるものであって、例えば、用紙、OHPシート、ラベル等が挙げられる。
【0013】
装置1は、例えば、パソコン・イメージリーダ・ファクシミリ等の外部ホスト装置Hから制御回路部(制御手段:CPU)6に入力する電気的画像信号に基づいて、シート状の記録媒体Pに画像形成を行う。制御回路部6は、ホスト装置Hや装置本体5の上面の前側に配設された操作部7との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、装置1の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。尚、モータMも、回路部6からの電気信号によって制御される。
【0014】
装置本体5の内部には、装置本体5の骨格となる左フレーム(左側板)51と右フレーム(右側板)52との間に電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)8が軸線方向を左右方向にして回転可能に配設されている。また、このドラム8の周囲には、帯電手段9、露光手段10、現像手段11、転写手段(中間転写ベルトユニット)12、ドラムクリーニング手段13が配設されている。
【0015】
帯電手段9は、ドラム8の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する手段であり、本実施例では帯電ローラを用いている。露光手段10は、ドラム8の表面に静電潜像を形成する手段であり、本実施例ではレーザースキャナユニットを用いている。このユニット10は、ホスト装置Hから回路部6に入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光を出力してドラム面を走査露光する。
【0016】
現像手段11は、ドラム8に形成された静電潜像を現像剤像として現像する手段である。本実施例の現像手段11は、ロータリ式の現像装置である。現像手段11は、ロータリ(回転体、回転支持体)15と、ロータリ15の周囲に取り外し可能に装着される複数の現像カートリッジ16と、ロータリ15を電動で割り出し回転させるためのロータリ伝動駆動機構と、を有する。即ち、この現像装置11は、装置本体5の左右のフレーム51・52間に回転可能に軸受け支持させた中央軸14を中心にして割り出し回転可能なロータリ15を有する。そして、ロータリ15の周囲に取り外し可能に装着された複数の現像カートリッジ16(16B・16Y・16M・16C)を有する。本実施例においては、第1から第4の4つの現像カートリッジ16B・16Y・16M・16Cを有する。ロータリ15は、4つの現像カートリッジ16をそれらがまとまって一つの略円柱状をなすように
保持可能である。そして、各カートリッジ16は、ロータリ15の回転方向において、互いに90°の間隔でロータリ15に装着されている。
【0017】
各カートリッジ16は、それぞれ、現像ローラ17と、現像ローラ17に現像剤tを供給する現像剤供給ローラ18、及び、現像剤tを収納している現像剤収納部16B1、16C1、16M1、16Y1を有する。現像ローラ17は、現像剤収納部(16B1、16C1、16M1、16Y1)に収納されている現像剤tを用いて、ドラム8に形成された静電潜像を現像する。各カートリッジ16は、使用者によって、ロータリ15に設けられた対応する収容部44(44B・44Y・44M・44C)に取り外し可能に装着される。即ち、各カートリッジ16は、使用者によって、収容部44に着脱可能である。尚、第1の現像カートリッジ16Bには、ブラック(B)色の現像剤tが現像剤収納部16B1に収納されている。第2の現像カートリッジ16Yには、イエロー(Y)色の現像剤tが現像剤収納部16Y1に収納されている。第3の現像カートリッジ16Mには、マゼンタ(M)色の現像剤tが現像剤収納部16M1に収納されている。第4の現像カートリッジ16Cには、シアン(C)色の現像剤が現像剤収納部16C1に収納されている。ロータリ15は、後述するように、回転することにより、複数個の現像カートリッジの内一つの現像カートリッジをドラム8に形成された静電潜像を現像するための作像位置Yに順次移動させる。
【0018】
転写手段は、ドラム8の表面に形成された現像剤像を記録媒体Pに転写する手段であり、本実施例では中間転写ベルトユニット12(以下転写ユニット)を用いている。ユニット12は、中間転写体としての、誘電体製で可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)19を有する。そして、このベルト19を懸回張設している、一次転写ローラ20、ベルト駆動ローラ21、テンションローラ22を有する。転写ローラ20は、ドラム8に対してベルト19を挟んで圧接している。ドラム8とベルト19の接触部が一次転写ニップ部T1である。
【0019】
ベルト駆動ローラ21のベルト懸回部には、二次転写ローラ24が対向配設されている。二次転写ローラ24は、揺動機構により、ベルト19を挟んでベルト駆動ローラ21に当接した作用位置と、ベルト19の表面から離間した非作用位置とに移動される。尚、二次転写ローラ24は、常時は前記非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて前記作用位置に移動される。二次転写ローラ24が前記作用位置に移動した状態において、二次転写ローラ24とベルト19との接触部が二次転写ニップ部T2である。
【0020】
また、ベルト駆動ローラ21のベルト懸回部において、ローラ24よりもベルト19の移動方向下流側には、ベルト19の表面をクリーニングするベルトクリーナ25が配設されている。ベルトクリーナ25は、揺動機構によりクリーニング部材がベルト19の表面に接触した作用位置と、前記クリーニング部材がベルト19の表面から離間した非作用位置とを移動する。尚、前記クリーニング部材は、常時は非作用位置に保持されている。そして、前記クリーニング部材は、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。
【0021】
ドラムクリーニング手段は、ベルト19に対して、現像剤像を一次転写した後のドラム8の表面から、一次転写残現像剤を除去する手段である。本実施例では、クリーニング手段13としてクリーニングブレード13を用いている。クリーニングブレード13は、ドラム8の表面に接触しており、残留する現像剤を除去する。尚、ドラム8の表面から除去された現像剤は、クリーナ容器26に収容される。
【0022】
ベルトユニット12の下方には、給送ユニット27が配設されている。給送ユニット27は、記録媒体Pを収容したカセット4、給出ローラ28、分離パッド29等を有する。カセット4は、装置本体5の正面側から出し入れ自由である。
【0023】
装置本体5内の後側には下から上に向う搬送路30が配設されている。搬送路30の下から上に沿って、レジストローラユニット31、二次転写ローラ24、定着ユニット32、排出ユニット33が配設されている。定着ユニット32は定着ローラ32aと加圧ローラ32bを有する。排出ユニット33は排出ローラ33aとコロ33bを有する。装置本体5の上面には排出トレイ35が配設されている。また、装置本体5の上面には、ヒンジ軸36を中心にして開閉可能な上面カバー2が配設されている。画像形成済みの記録媒体Pは、排出ユニット33により排出口34から排出トレイ35の上に排出される。
【0024】
装置本体5の上面には、現像装置11の有するロータリ15に対してカートリッジ16の着脱を行うための開口部3が設けられている。使用者が、カートリッジ16をロータリ15(収容部44)に装着する、或いは、ロータリ15(収容部44)から取り外す際に、使用者は、カートリッジ16を把持した状態で、開口部3を通過させる。即ち、開口部3は、カートリッジ16をロータリ15に着脱するためのものである。尚、開口部3は、排出トレイ35よりも手前側に設けられている。上面カバー2はヒンジ軸36を中心に開口部3を閉鎖する閉じ状態と開放する開状態とをとり得る。即ち、カバー2は、開口部3を開閉可能である。カバー2は常時は閉じられており、カートリッジ16を着脱するときに使用者によって開かれる。上面カバー2を開くと装置本体5の上面の開口部3が開放される。そして、この開口部3から装置本体5内の現像装置11へ通じるカートリッジ着脱通路部37が視認できる。通路部37は、開口部3と現像装置11と間に配設された凹弧面状にカーブしているガイド板38を有する。通路部37はドラム8よりも上側に配置されている。
【0025】
装置本体5の詳細を説明する(図4)。前述したとおり、装置本体5の骨格となるものは、左フレーム51、右フレーム52と、左右のフレームをつなぐフロントステー53、リアステー54で構成されている。これらフレームやステーにおいて、互いに固定される2つの部材がそれぞれ本発明における第1フレーム及び第2フレームに対応する。フロントステー53、フロント面と上面部の2面を接続するように取り付けられている。またリアステー54は、リア面と上面部の2面を接続するように取り付けられている。この各ステーと左右フレームとの接続部(板状の部分の重なり部)にそれぞれ押圧部材55、押圧部材56をビス(ネジ)で取り付ける。装置本体5の骨格をなす構造体は、2部材が互いに重なり合う接続部にビス(ネジ(固定部材))が挿通される貫通孔(第1の貫通孔)を有し、ビスで締め付けられることにより2部材が接続部において互いに密着して結合される。
【0026】
二つのステー53、54間の上面部は開口しており、上述したように現像カートリッジの通路部となっている。また、正面部はドラムユニットのアクセスエリアとして開口し、背面側はジャム処理のアクセスエリアとして開口している。
【0027】
押圧部材の詳細図を図3に示す。押圧部材55、56は、ビス固定穴(貫通孔)を有する締付部と、テーパ形状を有する挿入部と、たわみ部と、から構成されている。ここで、図4に図示した押圧部材55L、55Rは、図3上側に図示した押圧部材55と同様の構成を有している。また、押圧部材561L、561R、562L、562R、563Lは、図3下側に図示した押圧部材56と同様の構成を有している。なお、図示を省略しているが、図4において、押圧部材563Lに対して左右対称の位置にも押圧部材56と同様の構成の押圧部材が取り付けられている。
【0028】
フロントステー53の左正面側において、押圧部材561Lを差し込む穴(第2の貫通孔)が、フロントステー突き当て面(突き当て部)531L、532Lの間に配置されている(図8、図11)。この穴は、ビスを締め付ける貫通孔(第1の貫通孔)を中心に上下
2箇所に配置されており、フロントステー53と左フレーム51を貫通している。また、フロントステー固定穴535L、536Lと左フレーム固定穴511、512で作られた貫通穴(第2の貫通孔)は、左右方向にずれており、フロントステー固定穴の左端、左フレーム固定穴の右端によって、貫通穴の幅がきまる。この貫通穴に押圧部材561Lのテーパ形状部(挿入部)を差し込み(2箇所)、ガタがなくなるまで押圧部材561Lをビスで押し込む。押圧部材561Lのテーパ形状部は、突き当て面531L、532Lの突き当て方向における幅が貫通孔への差し込み方向に向かって狭まる形状を有している。また、フロントステー(一方の部材)53に設けられたフロントステー突き当て面531L、532Lは、2部材の当接面に平行な方向において、左フレーム(他方の部材)51に突き当たる。つまり、押圧部材561Lの挿入部のテーパ形状部はビスの挿入方向に交差する方向(2部材の当接面に平行な方向)の幅が広がっていく形状となっている。このため、挿入部を貫通孔に差し込んでいくと、フロントステー53と左フレーム51は、押圧部材561Lによってビスの挿入方向に交差する方向に押圧され、フロントステー突き当て面531L、532Lに左フレーム51が突き当たった状態となる。したがって、突き当て面531L、532Lを左フレーム51に突き当て、かつ挿入部を貫通孔に対して突き当て方向において隙間なく嵌合させた状態で2部材を締め付けることにより、ガタのない固定を行うことができる。その際、寸法公差上発生する穴サイズ変動分を許容する押圧部材テーパが必要となる。押圧部材の最小、最大幅の間に存在する貫通穴幅と同一寸法部において、押し込まれる量がきまる。押圧部材561Lは、たわみ部により、締付部に対してテーパ形状部が差し込み方向に弾性的に変位可能に構成されている。したがって、ガタが無くなった後、たわみ部の変形によって、オーバーストロークを吸収することができる(図11)。また、たわみ部が変形することにより、テーパ形状部は、第2の貫通孔に対して差し込み方向に付勢された状態で嵌合されることになる。
【0029】
左フレーム51とフロントステー53に大きな荷重が入力された場合について述べる。二つの突き当てがより強く接触する場合は、2部品間の位置精度は変化しにくい。その二つの部品の突き当てが離れようとした場合を想定して、その効果を図9を用いて述べる。図9(A)は押圧部材561Lが無い場合の図を示す。図の矢印方向にそれぞれ荷重がかかると、左フレーム51からフロントステー突き当て532は離れる。それは言い換えると、貫通穴の幅が狭くなる動きとなる。貫通穴に押圧部材561Lが無い場合、ビスの固定力で保持するが、その力は密着力と部材間の摩擦係数によりきまるため、不安定であり、かつその保持力は小さい。例えば、M3ビスの場合は、およそ20kgf程度の保持力であり、この値を超える急激にすべりを生じる。図9(B)は、押圧部材561Lがある場合の図を示す。押圧部材があると、狭まる貫通穴部に隙間なく取り付けられているため、ビスの固定力に支配されるのではなく、差し込む部材の機械的物性により支配される。この押圧部材561Lに、鋼板から作られた金属部品を差し込むことで、大きな固定力を得ることができる。例えば、t1の鋼板であれば、80Kgf程度まで入力されたとしても、すべりが見られなかった。押圧部材の一つの飛び込みだけで、ビス4本分以上の保持能力を得られる。本構成においては、押圧部材561Lをビス1本で固定することで、二つの飛び込み分により、160Kgf程度、ビス8本分の保持力を持たせている。
【0030】
フロントステー53の右正面側の構成は、上述した左正面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0031】
フロントステー53の左上面側において、押圧部材55Lを差し込む形状が、フロントステー53突き当て面533L、534Lの間に配置されている(図10)。この形状は、押圧部材55Lを固定する2本のビスをはさんで2箇所構成されており、フロントステーと左フレームを貫通している。フロントステー固定穴537L、538Lの左端、左フレーム固定穴513、514の右端によって、貫通穴の穴幅がきまる。
ここで、本実施例では、フロントステー固定穴537L、538Lを一つの貫通孔で構成
している。すなわち、フロントステーの一つの貫通孔に対して左フレームに設けられた二つの貫通孔(固定穴513、514)がそれぞれ重なる構成となっている。つまり、フロントステーの一つの貫通孔において、左フレーム固定穴513と重なる部分がフロントステー固定穴537Lとなり、左フレーム固定穴514と重なる部分がフロントステー固定穴538Lとなる。なお、この構成に限定されるものではなく、例えば、フロントステーに設ける貫通孔も、左フレームに設けた二つの貫通孔にそれぞれ対応させて二つ設けてもよい。
この貫通穴に押圧部材55Lのテーパ形状部を差し込み(2箇所)、ガタがなくなるまで押圧部材をビスで押し込む。つまり、フロントステー53の突き当て面533L、534Lを左フレーム51に突き当てたまま、ガタのない固定を行うことができる。その際、寸法公差上発生する穴サイズ変動分を許容する押圧部材のテーパが必要なる。また、たわみ部によって、ガタが無くなった後のオーバーストロークを吸収する(図3)。
【0032】
フロントステー53の右上面側の構成は、上述した左上面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0033】
リアステー54の左上面側において、押圧部材562Lを差し込む形状が、リアステー54突き当て面541L、542Lの間に配置されている。この穴は、ビスを中心に前後2箇所構成されており、リアステー54と左フレーム51を貫通している。またリアステー固定穴544L、545Lと左フレーム固定穴515、516で作られた貫通穴は、左右方向にずれており、リアステー固定穴544L、545Lの左端、左フレーム固定穴515、516の右端によって、貫通穴の幅がきまる。この貫通穴に押圧部材562Lのテーパ形状部を差し込み(2箇所)、ガタがなくなるまで押圧部材562Lをビスで押し込む。つまり、リアステー突き当て面541L、542Lを左フレーム51に突き当てたまま、ガタのない固定を行うことができる。特徴的な点として、リアステー突き当て面541L、542Lは、製品同一面の配置ではなく、製品上面部と製品背面部との二つの面にわたっている点である。同一面ではないが、二つの面を近傍に配置することで、同一面に配置した場合と同様の保持効果をえることができる。
【0034】
リアステー54の右上面側の構成は、上述した左上面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0035】
リアステー54の左背面側において、押圧部材563Lを差し込む形状が、リアステー54突き当て面542L、543Lの間に配置されている。この穴は、ビスを中心に上下2箇所構成されており、リアステー54と左フレーム51を貫通している。またリアステー固定穴546L、547Lと左フレーム固定穴517、518で作られた貫通穴は、左右方向にずれており、リアステー固定穴546L、547Lの右端、左フレーム固定穴517、518の左端によって、貫通穴の幅がきまる。この貫通穴に押圧部材563Lのテーパ形状部2箇所を差し込み、ガタがなくなるまで押圧部材563Lをビスで押し込む。つまり、リアステー54の突き当て面542L、543Lを左フレーム51に突き当てたまま、ガタのない固定を行うことができる。特徴的な点としては、リアステー突き当て542L、543Lの間に、別のリアステー突き当て面548Lが配置されていることである。リアステー突き当て面542L、543L間が65mm程度離れているため、その中間付近に位置精度を保障するために配置している。明確に位置保障する場合、この突き当て面548Lは、左フレーム51と多少の隙間を設けることが、必要となるが、本実施例においては、公差上発生する変動分は、性能上影響が少ないため同一面とした。
【0036】
リアステー54の右背面側の構成は、上述した左背面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0037】
図8を参照して、突き当て部と押圧部材の位置について、左正面部を用いて述べる。本構成においては、距離A(突き当て面531Lと押圧部材561Lのビス中心の距離)、距離B(突き当て面532Lと押圧部材561Lのビス中心の距離)は、略同一になっている。挿入部(差し込み部)二つ分の保持力が必要であるため、ビスを中心に挿入部を配置し、ビス中心に対して略同一になるように、すなわち、挿入部を二つの突き当て部の並び方向と平行となるように対称に配置した。挿入部一つ分の保持力が必要ならば、挿入部の位置を二つの突き当て面531L、532Lから、略同一にすることが望ましい。
【0038】
以上説明したように、本実施例によれば、2枚の板材を所定の位置に突き当てて固定する際に、2枚の板材の相対位置を決め、突き当てを保障しながら、ガタなく固定することが可能となる。
2枚の鋼材の固定においては、高精度にかつガタのない固定をすることが重要である。しかし、精度を保障するために、位置決め部と固定部を分離した構成にすると、固定部にガタが必要であり、外力により固定部のガタ分、位置精度が狂う可能性がある。また、固定部を位置決め部とすると、固定部の加工精度や、固定位置精度により、高精度に固定することができない。
本実施例では、2枚の鋼材の2箇所の突き当ての間に、2枚の鋼材にわたる貫通穴を設けた構成としている。この貫通穴は、一方の鋼材の穴端部と、他方の穴端部とによってその幅がきまる。この貫通穴にテーパ形状を有する押圧部材を押し込むことで、2箇所の突き当て部がより強く突き当たる。これにより、2部材間の突き当てを保障しながら、2部材を互いにガタなく固定することができる。また、押圧部材が挿入部を弾性的に変位可能にするたわみ構造を有するので、ガタが詰まった後のオーバーストローク分を容易に吸収することが可能である。
したがって、本実施例によれば、特殊な設備を使うことなく、また特殊な絞り形状を使うことなく、押圧部材を差し込むことで、側板とステーの固定を安価に行うことが可能である。
押圧部材56は、1本のビスでテーパ形状を2箇所穴に差し込むことができ、コストメリットが高い構成である。また、押圧部材56は、ビスと合わせても占有スペースが小さいというメリットがある。近傍部品の制約、すなわち、押圧部材の取付スペースに特に制約がなければ、押圧部材56を配置することが効果的である。
一方、押圧部材55は、2本のビスでテーパ形状を2箇所穴に差し込むことになるため、押圧部材56に比べてコストはかかる。しかし、二つのテーパ形状はさんだ中央部にビスを構成できない近傍部品の構成の場合(例えば、ビスの両側にテーパ形状部を差し込むための貫通孔を配置できるスペースがないような設計の場合)、押圧部材55を用いるとよい。二つの押圧部材56を用いて、一つの押圧部材55と同様の固定効果を得ることもできるが、その場合は押圧部材56の2セット分のコストと組み立て作業が発生するので、押圧部材55を1つ用いて固定した方が効果的である。
また、図3下方に示した押圧部材56の2つのフレームに挿入される挿入部のテーパ形状の部分は、この図3に示すように、ビス挿入方向に対して傾斜したテーパ面が形成されている。また、挿入部のテーパ面の反対側はビス挿入方向に平行なストレート面となっている。そして、このテーパ面、ストレート面は2つの挿入部の夫々に1つずつ設けられており、これらのテーパ面、ストレート面は、ビスの挿入方向から見て、ビス固定孔を中心に点対称となるように設けられている。このようにテーパ面、ストレート面を配置する理由について説明する。
ビス固定穴にビスを挿入して2つのフレームを固定する際に、ビスの回転により押圧部材56が連れ回り、2つの挿入部が2つのフレームの穴の内面に当接する。そして、この状態で挿入部が穴内面を摺擦しながら穴に挿入されていく。このように押圧部材56の挿入部が穴内面を摺擦しながら挿入されていくので、ストレート面が穴内面と摺擦した方が、テーパ面で摺擦するよりも、フレームの穴へ引っ掛かりにくく、挿入部をフレームの穴に挿入し易い。
このため、押圧部材56では、連れ回りによってフレームの穴内面に初めに当接する面がストレート面となるように、ストレート面を配置している。つまり、ビスの挿入方向から見て、挿入部のビス挿入時のビスの回転方向(本実施例では時計回り)下流側に配置される面をストレート面とし、挿入部の該回転方向上流側に配置される面をテーパ面としている。
【符号の説明】
【0039】
51・・・左側板。511〜518・・・左側板固定穴。52・・・右側板。521〜528・・・右側板固定穴。53・・・フロントステー。531〜534・・・側板突き当て部。535〜538・・・フロントステー固定穴。54・・・リアステー。541〜543・・・側板突き当て部。544〜548・・・リアステー固定穴。55、56・・・押圧部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材が固定部材によって互いに結合される構造体を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やFAX、プリンタ等の画像形成装置の構造体は、複数の部材が組合せられ、これら部材が溶接やネジ締結、リベット等の締結手段により相互に留められて、構成されている。
例えば溶接は部材同士を溶かして留める為に、その結合部は高い強度を示すが、溶接に大がかりな設備が必要な為、コストが増大する欠点がある。また、熱変形による精度劣化の問題もある。そこで、溶接に代えて、ネジ締結やリベット締結を使用する場合もある。通常、ネジやリベットを使って二つの部材を相互に締結する場合、ネジやリベットを挿通する穴径をネジやリベットの挿通部分の外径より大きくすることにより、挿通時に挿通部分と穴との間に充分な余裕を確保している。その理由はリベットやネジを入れやすくし、寸法精度の増大によるコスト増を防止する為である。しかしながら、ネジ締結やリベット締結は穴径に余裕を持たせると、締結した後にその余裕に対応した隙間が残る。そのため、結合部に大きな荷重がかかると、この結合部にずれが生じてしまうという問題があった。この問題を解決するために、次のようなブラインドリベットが提案されている。すなわち、ブラインドリベットのマンドレルと該リベットを受け入れるボディ内部のそれぞれに段差を形成し、固定過程でマンドレルの段差部をボディの段差部に向けてその外径を増大させるように膨径させる構成である。この構成によれば、固定後に生じていた両者間の隙間をなくし、ブラインドリベットにより相互に結合される両部材に経時的に相対的な位置の変化の発生しない固定を行うことができる。
そして、この技術の汎用性を高めるために、次のような提案がされている(特許文献1)。すなわち、一方の固定部材に筒状突起、他方の固定部材に穴部を設け、穴部に嵌合した筒状突起の内側(中空部)に、筒状突起の内径よりも大きいネジを圧入する構成である。この構成によれば、ネジを圧入することで筒状突起を膨張させ、筒状突起と穴部との間の隙間をなくすことができる。その他、関連する技術として特許文献2〜5に開示されたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−286072号公報
【特許文献2】特開平10−299735号公報
【特許文献3】特開平10−306813号公報
【特許文献4】特開平10−306814号公報
【特許文献5】特許第4244316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来例では、二つの部品の固定部にガタが発生しないように固定するため、固定前の突起形状、穴形状の位置および、膨張過程で発生する変形により、固定精度が変動する。
二つの部品を一般的なプレス加工で加工することを想定すると、以下のような変動が発生する。筒状突起を形成する場合、打ち抜き工程の一次加工、および突起部を絞る二次加工を行う。一次加工は、位置精度が求められる部分を同時に加工することで、寸法は高精度に仕上がる(例えば±0.1以下)。また、二次加工は絞り形状となるため、寸法精度は
悪化傾向にある(例えば±0.2以下)。一次加工と二次加工により、必要な寸法精度は、合算値に近い位置変動(上記二つの精度ならば、0.3程度)となる。
さらに、固定原理としてガタつめのための膨張過程により変形が必要である。この変形により、2部品の固定位置変動が発生するが、その数値管理は容易ではない。二つの部品固定精度について、高精度が要求されないのであれば問題はない。しかし、画像形成装置における構造体の固定精度は、一次加工の単部品精度をそのまま再現する必要がある。特にベルト機構を用いたカラーLBPにおいては、ベルトの走行安定性を維持し、また4色間の色ずれをある許容値以下にするために、構造体の位置精度は重要なパラメータとなっている。
【0005】
本発明は、コストを抑えつつ固定精度の向上を図ることができる構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、互いに固定される第1フレームと第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームの夫々に設けられた穴に挿入され、前記第1フレームと前記第2フレームとを固定する固定部材と、を有し、前記第1フレームは、前記第2フレームが突き当たることで、前記固定部材の挿入方向に交差する方向に関する前記第1フレームと前記第2フレームの相対位置が決まる突き当て部を備えている画像形成装置において、前記第1フレームの前記突き当て部が前記第2フレームに突き当たるよう前記第1フレームと前記第2フレームの夫々を押圧する押圧部材を有し、前記第1フレームと前記第2フレームは、前記固定部材により付勢される前記押圧部材によって夫々押圧され、前記第1フレームの前記突き当て部に前記第2フレームが突き当たった状態となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コストを抑えつつ固定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る画像形成装置の主断面図。
【図3】本発明の実施例に係る押圧部材の斜視図。
【図4】本発明の実施例に係る構造体の斜視図。
【図5】フロントステーの一部を示す斜視図。
【図6】リアステーの一部を示す斜視図。
【図7】左フレームの斜視図。
【図8】固定穴を詳細に示す模式図。
【図9】固定原理を説明する模式図。
【図10】固定穴を詳細に示す模式図。
【図11】押圧部材のたわみの様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施例>
図1は本実施例のカラー電子写真画像形成装置1の外観斜視図である。図2は画像形成装置1の左側縦断面図(主断面図)である。図3は、本実施例に係る押圧部材の斜視図であ
る。図4は、本実施例に係る構造体の斜視図である。図5は、フロントステーの一部を示す斜視図であり、左右それぞれの図がフロントステーの左側及び右側をそれぞれ部分的に示している。図6は、リアステーの一部を示す斜視図であり、左右それぞれの図がフロントステーの左側及び右側をそれぞれ部分的に示している。図7は、左フレームの斜視図である。図8は、固定穴を詳細に示す模式図である。図9は、固定原理を説明する模式図である。図10は、固定穴を詳細に示す模式図である。図11は、押圧部材のたわみの様子を示す模式図である。
【0011】
以下の説明において、画像形成装置1に関して、前側(正面側)とは、記録媒体のカセット4を挿脱する側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、装置の後側から前側に向う方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは装置を正面から見て左又は右である。左右方向とは右から左に向う方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また、電子写真感光体ドラム8の長手方向(軸線方向)の一端側が駆動側であり、他端側が非駆動側である。また装置本体5とは現像カートリッジ16以外の画像形成装置部分である。
【0012】
画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。尚、本実施例に用いられる画像形成装置1は、前記記録媒体にフルカラー画像を形成することのできるカラーレーザープリンタである。また、記録媒体とは、画像形成装置によって画像を形成されるものであって、例えば、用紙、OHPシート、ラベル等が挙げられる。
【0013】
装置1は、例えば、パソコン・イメージリーダ・ファクシミリ等の外部ホスト装置Hから制御回路部(制御手段:CPU)6に入力する電気的画像信号に基づいて、シート状の記録媒体Pに画像形成を行う。制御回路部6は、ホスト装置Hや装置本体5の上面の前側に配設された操作部7との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、装置1の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。尚、モータMも、回路部6からの電気信号によって制御される。
【0014】
装置本体5の内部には、装置本体5の骨格となる左フレーム(左側板)51と右フレーム(右側板)52との間に電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)8が軸線方向を左右方向にして回転可能に配設されている。また、このドラム8の周囲には、帯電手段9、露光手段10、現像手段11、転写手段(中間転写ベルトユニット)12、ドラムクリーニング手段13が配設されている。
【0015】
帯電手段9は、ドラム8の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する手段であり、本実施例では帯電ローラを用いている。露光手段10は、ドラム8の表面に静電潜像を形成する手段であり、本実施例ではレーザースキャナユニットを用いている。このユニット10は、ホスト装置Hから回路部6に入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光を出力してドラム面を走査露光する。
【0016】
現像手段11は、ドラム8に形成された静電潜像を現像剤像として現像する手段である。本実施例の現像手段11は、ロータリ式の現像装置である。現像手段11は、ロータリ(回転体、回転支持体)15と、ロータリ15の周囲に取り外し可能に装着される複数の現像カートリッジ16と、ロータリ15を電動で割り出し回転させるためのロータリ伝動駆動機構と、を有する。即ち、この現像装置11は、装置本体5の左右のフレーム51・52間に回転可能に軸受け支持させた中央軸14を中心にして割り出し回転可能なロータリ15を有する。そして、ロータリ15の周囲に取り外し可能に装着された複数の現像カートリッジ16(16B・16Y・16M・16C)を有する。本実施例においては、第1から第4の4つの現像カートリッジ16B・16Y・16M・16Cを有する。ロータリ15は、4つの現像カートリッジ16をそれらがまとまって一つの略円柱状をなすように
保持可能である。そして、各カートリッジ16は、ロータリ15の回転方向において、互いに90°の間隔でロータリ15に装着されている。
【0017】
各カートリッジ16は、それぞれ、現像ローラ17と、現像ローラ17に現像剤tを供給する現像剤供給ローラ18、及び、現像剤tを収納している現像剤収納部16B1、16C1、16M1、16Y1を有する。現像ローラ17は、現像剤収納部(16B1、16C1、16M1、16Y1)に収納されている現像剤tを用いて、ドラム8に形成された静電潜像を現像する。各カートリッジ16は、使用者によって、ロータリ15に設けられた対応する収容部44(44B・44Y・44M・44C)に取り外し可能に装着される。即ち、各カートリッジ16は、使用者によって、収容部44に着脱可能である。尚、第1の現像カートリッジ16Bには、ブラック(B)色の現像剤tが現像剤収納部16B1に収納されている。第2の現像カートリッジ16Yには、イエロー(Y)色の現像剤tが現像剤収納部16Y1に収納されている。第3の現像カートリッジ16Mには、マゼンタ(M)色の現像剤tが現像剤収納部16M1に収納されている。第4の現像カートリッジ16Cには、シアン(C)色の現像剤が現像剤収納部16C1に収納されている。ロータリ15は、後述するように、回転することにより、複数個の現像カートリッジの内一つの現像カートリッジをドラム8に形成された静電潜像を現像するための作像位置Yに順次移動させる。
【0018】
転写手段は、ドラム8の表面に形成された現像剤像を記録媒体Pに転写する手段であり、本実施例では中間転写ベルトユニット12(以下転写ユニット)を用いている。ユニット12は、中間転写体としての、誘電体製で可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)19を有する。そして、このベルト19を懸回張設している、一次転写ローラ20、ベルト駆動ローラ21、テンションローラ22を有する。転写ローラ20は、ドラム8に対してベルト19を挟んで圧接している。ドラム8とベルト19の接触部が一次転写ニップ部T1である。
【0019】
ベルト駆動ローラ21のベルト懸回部には、二次転写ローラ24が対向配設されている。二次転写ローラ24は、揺動機構により、ベルト19を挟んでベルト駆動ローラ21に当接した作用位置と、ベルト19の表面から離間した非作用位置とに移動される。尚、二次転写ローラ24は、常時は前記非作用位置に保持されている。そして、所定の制御タイミングにて前記作用位置に移動される。二次転写ローラ24が前記作用位置に移動した状態において、二次転写ローラ24とベルト19との接触部が二次転写ニップ部T2である。
【0020】
また、ベルト駆動ローラ21のベルト懸回部において、ローラ24よりもベルト19の移動方向下流側には、ベルト19の表面をクリーニングするベルトクリーナ25が配設されている。ベルトクリーナ25は、揺動機構によりクリーニング部材がベルト19の表面に接触した作用位置と、前記クリーニング部材がベルト19の表面から離間した非作用位置とを移動する。尚、前記クリーニング部材は、常時は非作用位置に保持されている。そして、前記クリーニング部材は、所定の制御タイミングにて作用位置に移動される。
【0021】
ドラムクリーニング手段は、ベルト19に対して、現像剤像を一次転写した後のドラム8の表面から、一次転写残現像剤を除去する手段である。本実施例では、クリーニング手段13としてクリーニングブレード13を用いている。クリーニングブレード13は、ドラム8の表面に接触しており、残留する現像剤を除去する。尚、ドラム8の表面から除去された現像剤は、クリーナ容器26に収容される。
【0022】
ベルトユニット12の下方には、給送ユニット27が配設されている。給送ユニット27は、記録媒体Pを収容したカセット4、給出ローラ28、分離パッド29等を有する。カセット4は、装置本体5の正面側から出し入れ自由である。
【0023】
装置本体5内の後側には下から上に向う搬送路30が配設されている。搬送路30の下から上に沿って、レジストローラユニット31、二次転写ローラ24、定着ユニット32、排出ユニット33が配設されている。定着ユニット32は定着ローラ32aと加圧ローラ32bを有する。排出ユニット33は排出ローラ33aとコロ33bを有する。装置本体5の上面には排出トレイ35が配設されている。また、装置本体5の上面には、ヒンジ軸36を中心にして開閉可能な上面カバー2が配設されている。画像形成済みの記録媒体Pは、排出ユニット33により排出口34から排出トレイ35の上に排出される。
【0024】
装置本体5の上面には、現像装置11の有するロータリ15に対してカートリッジ16の着脱を行うための開口部3が設けられている。使用者が、カートリッジ16をロータリ15(収容部44)に装着する、或いは、ロータリ15(収容部44)から取り外す際に、使用者は、カートリッジ16を把持した状態で、開口部3を通過させる。即ち、開口部3は、カートリッジ16をロータリ15に着脱するためのものである。尚、開口部3は、排出トレイ35よりも手前側に設けられている。上面カバー2はヒンジ軸36を中心に開口部3を閉鎖する閉じ状態と開放する開状態とをとり得る。即ち、カバー2は、開口部3を開閉可能である。カバー2は常時は閉じられており、カートリッジ16を着脱するときに使用者によって開かれる。上面カバー2を開くと装置本体5の上面の開口部3が開放される。そして、この開口部3から装置本体5内の現像装置11へ通じるカートリッジ着脱通路部37が視認できる。通路部37は、開口部3と現像装置11と間に配設された凹弧面状にカーブしているガイド板38を有する。通路部37はドラム8よりも上側に配置されている。
【0025】
装置本体5の詳細を説明する(図4)。前述したとおり、装置本体5の骨格となるものは、左フレーム51、右フレーム52と、左右のフレームをつなぐフロントステー53、リアステー54で構成されている。これらフレームやステーにおいて、互いに固定される2つの部材がそれぞれ本発明における第1フレーム及び第2フレームに対応する。フロントステー53、フロント面と上面部の2面を接続するように取り付けられている。またリアステー54は、リア面と上面部の2面を接続するように取り付けられている。この各ステーと左右フレームとの接続部(板状の部分の重なり部)にそれぞれ押圧部材55、押圧部材56をビス(ネジ)で取り付ける。装置本体5の骨格をなす構造体は、2部材が互いに重なり合う接続部にビス(ネジ(固定部材))が挿通される貫通孔(第1の貫通孔)を有し、ビスで締め付けられることにより2部材が接続部において互いに密着して結合される。
【0026】
二つのステー53、54間の上面部は開口しており、上述したように現像カートリッジの通路部となっている。また、正面部はドラムユニットのアクセスエリアとして開口し、背面側はジャム処理のアクセスエリアとして開口している。
【0027】
押圧部材の詳細図を図3に示す。押圧部材55、56は、ビス固定穴(貫通孔)を有する締付部と、テーパ形状を有する挿入部と、たわみ部と、から構成されている。ここで、図4に図示した押圧部材55L、55Rは、図3上側に図示した押圧部材55と同様の構成を有している。また、押圧部材561L、561R、562L、562R、563Lは、図3下側に図示した押圧部材56と同様の構成を有している。なお、図示を省略しているが、図4において、押圧部材563Lに対して左右対称の位置にも押圧部材56と同様の構成の押圧部材が取り付けられている。
【0028】
フロントステー53の左正面側において、押圧部材561Lを差し込む穴(第2の貫通孔)が、フロントステー突き当て面(突き当て部)531L、532Lの間に配置されている(図8、図11)。この穴は、ビスを締め付ける貫通孔(第1の貫通孔)を中心に上下
2箇所に配置されており、フロントステー53と左フレーム51を貫通している。また、フロントステー固定穴535L、536Lと左フレーム固定穴511、512で作られた貫通穴(第2の貫通孔)は、左右方向にずれており、フロントステー固定穴の左端、左フレーム固定穴の右端によって、貫通穴の幅がきまる。この貫通穴に押圧部材561Lのテーパ形状部(挿入部)を差し込み(2箇所)、ガタがなくなるまで押圧部材561Lをビスで押し込む。押圧部材561Lのテーパ形状部は、突き当て面531L、532Lの突き当て方向における幅が貫通孔への差し込み方向に向かって狭まる形状を有している。また、フロントステー(一方の部材)53に設けられたフロントステー突き当て面531L、532Lは、2部材の当接面に平行な方向において、左フレーム(他方の部材)51に突き当たる。つまり、押圧部材561Lの挿入部のテーパ形状部はビスの挿入方向に交差する方向(2部材の当接面に平行な方向)の幅が広がっていく形状となっている。このため、挿入部を貫通孔に差し込んでいくと、フロントステー53と左フレーム51は、押圧部材561Lによってビスの挿入方向に交差する方向に押圧され、フロントステー突き当て面531L、532Lに左フレーム51が突き当たった状態となる。したがって、突き当て面531L、532Lを左フレーム51に突き当て、かつ挿入部を貫通孔に対して突き当て方向において隙間なく嵌合させた状態で2部材を締め付けることにより、ガタのない固定を行うことができる。その際、寸法公差上発生する穴サイズ変動分を許容する押圧部材テーパが必要となる。押圧部材の最小、最大幅の間に存在する貫通穴幅と同一寸法部において、押し込まれる量がきまる。押圧部材561Lは、たわみ部により、締付部に対してテーパ形状部が差し込み方向に弾性的に変位可能に構成されている。したがって、ガタが無くなった後、たわみ部の変形によって、オーバーストロークを吸収することができる(図11)。また、たわみ部が変形することにより、テーパ形状部は、第2の貫通孔に対して差し込み方向に付勢された状態で嵌合されることになる。
【0029】
左フレーム51とフロントステー53に大きな荷重が入力された場合について述べる。二つの突き当てがより強く接触する場合は、2部品間の位置精度は変化しにくい。その二つの部品の突き当てが離れようとした場合を想定して、その効果を図9を用いて述べる。図9(A)は押圧部材561Lが無い場合の図を示す。図の矢印方向にそれぞれ荷重がかかると、左フレーム51からフロントステー突き当て532は離れる。それは言い換えると、貫通穴の幅が狭くなる動きとなる。貫通穴に押圧部材561Lが無い場合、ビスの固定力で保持するが、その力は密着力と部材間の摩擦係数によりきまるため、不安定であり、かつその保持力は小さい。例えば、M3ビスの場合は、およそ20kgf程度の保持力であり、この値を超える急激にすべりを生じる。図9(B)は、押圧部材561Lがある場合の図を示す。押圧部材があると、狭まる貫通穴部に隙間なく取り付けられているため、ビスの固定力に支配されるのではなく、差し込む部材の機械的物性により支配される。この押圧部材561Lに、鋼板から作られた金属部品を差し込むことで、大きな固定力を得ることができる。例えば、t1の鋼板であれば、80Kgf程度まで入力されたとしても、すべりが見られなかった。押圧部材の一つの飛び込みだけで、ビス4本分以上の保持能力を得られる。本構成においては、押圧部材561Lをビス1本で固定することで、二つの飛び込み分により、160Kgf程度、ビス8本分の保持力を持たせている。
【0030】
フロントステー53の右正面側の構成は、上述した左正面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0031】
フロントステー53の左上面側において、押圧部材55Lを差し込む形状が、フロントステー53突き当て面533L、534Lの間に配置されている(図10)。この形状は、押圧部材55Lを固定する2本のビスをはさんで2箇所構成されており、フロントステーと左フレームを貫通している。フロントステー固定穴537L、538Lの左端、左フレーム固定穴513、514の右端によって、貫通穴の穴幅がきまる。
ここで、本実施例では、フロントステー固定穴537L、538Lを一つの貫通孔で構成
している。すなわち、フロントステーの一つの貫通孔に対して左フレームに設けられた二つの貫通孔(固定穴513、514)がそれぞれ重なる構成となっている。つまり、フロントステーの一つの貫通孔において、左フレーム固定穴513と重なる部分がフロントステー固定穴537Lとなり、左フレーム固定穴514と重なる部分がフロントステー固定穴538Lとなる。なお、この構成に限定されるものではなく、例えば、フロントステーに設ける貫通孔も、左フレームに設けた二つの貫通孔にそれぞれ対応させて二つ設けてもよい。
この貫通穴に押圧部材55Lのテーパ形状部を差し込み(2箇所)、ガタがなくなるまで押圧部材をビスで押し込む。つまり、フロントステー53の突き当て面533L、534Lを左フレーム51に突き当てたまま、ガタのない固定を行うことができる。その際、寸法公差上発生する穴サイズ変動分を許容する押圧部材のテーパが必要なる。また、たわみ部によって、ガタが無くなった後のオーバーストロークを吸収する(図3)。
【0032】
フロントステー53の右上面側の構成は、上述した左上面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0033】
リアステー54の左上面側において、押圧部材562Lを差し込む形状が、リアステー54突き当て面541L、542Lの間に配置されている。この穴は、ビスを中心に前後2箇所構成されており、リアステー54と左フレーム51を貫通している。またリアステー固定穴544L、545Lと左フレーム固定穴515、516で作られた貫通穴は、左右方向にずれており、リアステー固定穴544L、545Lの左端、左フレーム固定穴515、516の右端によって、貫通穴の幅がきまる。この貫通穴に押圧部材562Lのテーパ形状部を差し込み(2箇所)、ガタがなくなるまで押圧部材562Lをビスで押し込む。つまり、リアステー突き当て面541L、542Lを左フレーム51に突き当てたまま、ガタのない固定を行うことができる。特徴的な点として、リアステー突き当て面541L、542Lは、製品同一面の配置ではなく、製品上面部と製品背面部との二つの面にわたっている点である。同一面ではないが、二つの面を近傍に配置することで、同一面に配置した場合と同様の保持効果をえることができる。
【0034】
リアステー54の右上面側の構成は、上述した左上面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0035】
リアステー54の左背面側において、押圧部材563Lを差し込む形状が、リアステー54突き当て面542L、543Lの間に配置されている。この穴は、ビスを中心に上下2箇所構成されており、リアステー54と左フレーム51を貫通している。またリアステー固定穴546L、547Lと左フレーム固定穴517、518で作られた貫通穴は、左右方向にずれており、リアステー固定穴546L、547Lの右端、左フレーム固定穴517、518の左端によって、貫通穴の幅がきまる。この貫通穴に押圧部材563Lのテーパ形状部2箇所を差し込み、ガタがなくなるまで押圧部材563Lをビスで押し込む。つまり、リアステー54の突き当て面542L、543Lを左フレーム51に突き当てたまま、ガタのない固定を行うことができる。特徴的な点としては、リアステー突き当て542L、543Lの間に、別のリアステー突き当て面548Lが配置されていることである。リアステー突き当て面542L、543L間が65mm程度離れているため、その中間付近に位置精度を保障するために配置している。明確に位置保障する場合、この突き当て面548Lは、左フレーム51と多少の隙間を設けることが、必要となるが、本実施例においては、公差上発生する変動分は、性能上影響が少ないため同一面とした。
【0036】
リアステー54の右背面側の構成は、上述した左背面側と同様(左右対称の構成)であり、説明は省略する。
【0037】
図8を参照して、突き当て部と押圧部材の位置について、左正面部を用いて述べる。本構成においては、距離A(突き当て面531Lと押圧部材561Lのビス中心の距離)、距離B(突き当て面532Lと押圧部材561Lのビス中心の距離)は、略同一になっている。挿入部(差し込み部)二つ分の保持力が必要であるため、ビスを中心に挿入部を配置し、ビス中心に対して略同一になるように、すなわち、挿入部を二つの突き当て部の並び方向と平行となるように対称に配置した。挿入部一つ分の保持力が必要ならば、挿入部の位置を二つの突き当て面531L、532Lから、略同一にすることが望ましい。
【0038】
以上説明したように、本実施例によれば、2枚の板材を所定の位置に突き当てて固定する際に、2枚の板材の相対位置を決め、突き当てを保障しながら、ガタなく固定することが可能となる。
2枚の鋼材の固定においては、高精度にかつガタのない固定をすることが重要である。しかし、精度を保障するために、位置決め部と固定部を分離した構成にすると、固定部にガタが必要であり、外力により固定部のガタ分、位置精度が狂う可能性がある。また、固定部を位置決め部とすると、固定部の加工精度や、固定位置精度により、高精度に固定することができない。
本実施例では、2枚の鋼材の2箇所の突き当ての間に、2枚の鋼材にわたる貫通穴を設けた構成としている。この貫通穴は、一方の鋼材の穴端部と、他方の穴端部とによってその幅がきまる。この貫通穴にテーパ形状を有する押圧部材を押し込むことで、2箇所の突き当て部がより強く突き当たる。これにより、2部材間の突き当てを保障しながら、2部材を互いにガタなく固定することができる。また、押圧部材が挿入部を弾性的に変位可能にするたわみ構造を有するので、ガタが詰まった後のオーバーストローク分を容易に吸収することが可能である。
したがって、本実施例によれば、特殊な設備を使うことなく、また特殊な絞り形状を使うことなく、押圧部材を差し込むことで、側板とステーの固定を安価に行うことが可能である。
押圧部材56は、1本のビスでテーパ形状を2箇所穴に差し込むことができ、コストメリットが高い構成である。また、押圧部材56は、ビスと合わせても占有スペースが小さいというメリットがある。近傍部品の制約、すなわち、押圧部材の取付スペースに特に制約がなければ、押圧部材56を配置することが効果的である。
一方、押圧部材55は、2本のビスでテーパ形状を2箇所穴に差し込むことになるため、押圧部材56に比べてコストはかかる。しかし、二つのテーパ形状はさんだ中央部にビスを構成できない近傍部品の構成の場合(例えば、ビスの両側にテーパ形状部を差し込むための貫通孔を配置できるスペースがないような設計の場合)、押圧部材55を用いるとよい。二つの押圧部材56を用いて、一つの押圧部材55と同様の固定効果を得ることもできるが、その場合は押圧部材56の2セット分のコストと組み立て作業が発生するので、押圧部材55を1つ用いて固定した方が効果的である。
また、図3下方に示した押圧部材56の2つのフレームに挿入される挿入部のテーパ形状の部分は、この図3に示すように、ビス挿入方向に対して傾斜したテーパ面が形成されている。また、挿入部のテーパ面の反対側はビス挿入方向に平行なストレート面となっている。そして、このテーパ面、ストレート面は2つの挿入部の夫々に1つずつ設けられており、これらのテーパ面、ストレート面は、ビスの挿入方向から見て、ビス固定孔を中心に点対称となるように設けられている。このようにテーパ面、ストレート面を配置する理由について説明する。
ビス固定穴にビスを挿入して2つのフレームを固定する際に、ビスの回転により押圧部材56が連れ回り、2つの挿入部が2つのフレームの穴の内面に当接する。そして、この状態で挿入部が穴内面を摺擦しながら穴に挿入されていく。このように押圧部材56の挿入部が穴内面を摺擦しながら挿入されていくので、ストレート面が穴内面と摺擦した方が、テーパ面で摺擦するよりも、フレームの穴へ引っ掛かりにくく、挿入部をフレームの穴に挿入し易い。
このため、押圧部材56では、連れ回りによってフレームの穴内面に初めに当接する面がストレート面となるように、ストレート面を配置している。つまり、ビスの挿入方向から見て、挿入部のビス挿入時のビスの回転方向(本実施例では時計回り)下流側に配置される面をストレート面とし、挿入部の該回転方向上流側に配置される面をテーパ面としている。
【符号の説明】
【0039】
51・・・左側板。511〜518・・・左側板固定穴。52・・・右側板。521〜528・・・右側板固定穴。53・・・フロントステー。531〜534・・・側板突き当て部。535〜538・・・フロントステー固定穴。54・・・リアステー。541〜543・・・側板突き当て部。544〜548・・・リアステー固定穴。55、56・・・押圧部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに固定される第1フレームと第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームの夫々に設けられた穴に挿入され、前記第1フレームと前記第2フレームとを固定する固定部材と、を有し、
前記第1フレームは、前記第2フレームが突き当たることで、前記固定部材の挿入方向に交差する方向に関する前記第1フレームと前記第2フレームの相対位置が決まる突き当て部を備えている画像形成装置において、
前記第1フレームの前記突き当て部が前記第2フレームに突き当たるよう前記第1フレームと前記第2フレームの夫々を押圧する押圧部材を有し、
前記第1フレームと前記第2フレームは、前記固定部材により付勢される前記押圧部材によって夫々押圧され、前記第1フレームの前記突き当て部に前記第2フレームが突き当たった状態となっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1フレームと前記第2フレームの夫々には前記穴とは別の穴が設けられ、前記押圧部材には前記別の穴に挿入される挿入部が設けられており、
前記挿入部は、前記挿入部が前記別の穴に挿入されていくにつれて前記挿入部の前記固定部材の挿入方向に交差する方向の幅が広がっていく形状であり、前記固定部材を前記穴に挿入していくにつれて前記挿入部が前記別の穴に挿入されていく構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記挿入部が前記別の穴に挿入されていくと、前記挿入部は、前記第1フレームは前記突き当て部を前記第2フレームに突き当てるように押圧し、前記第2フレームを前記突き当て部に向かって突き当てるように押圧することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記挿入部は、前記押圧部材の前記固定部材に押圧される部分に対して弾性的に変位可能に構成され、前記固定部材により前記押圧部材が押圧されることで前記挿入部は前記別の穴への挿入方向に付勢されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記固定部材はネジであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記押圧部材には前記固定部材が挿入される穴が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1フレームと前記第2フレームの前記固定部材が挿入する穴が形成された部分は夫々板状であり、前記第1フレームと前記第2フレームは前記板状の部分が重なって当接した状態で固定され、
前記固定部材の挿入方向に交差する方向は、前記板状の部分が重なって当接した当接面に平行な方向であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
互いに固定される第1フレームと第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームの夫々に設けられた穴に挿入され、前記第1フレームと前記第2フレームとを固定する固定部材と、を有し、
前記第1フレームは、前記第2フレームが突き当たることで、前記固定部材の挿入方向に交差する方向に関する前記第1フレームと前記第2フレームの相対位置が決まる突き当て部を備えている画像形成装置において、
前記第1フレームの前記突き当て部が前記第2フレームに突き当たるよう前記第1フレームと前記第2フレームの夫々を押圧する押圧部材を有し、
前記第1フレームと前記第2フレームは、前記固定部材により付勢される前記押圧部材によって夫々押圧され、前記第1フレームの前記突き当て部に前記第2フレームが突き当たった状態となっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1フレームと前記第2フレームの夫々には前記穴とは別の穴が設けられ、前記押圧部材には前記別の穴に挿入される挿入部が設けられており、
前記挿入部は、前記挿入部が前記別の穴に挿入されていくにつれて前記挿入部の前記固定部材の挿入方向に交差する方向の幅が広がっていく形状であり、前記固定部材を前記穴に挿入していくにつれて前記挿入部が前記別の穴に挿入されていく構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記挿入部が前記別の穴に挿入されていくと、前記挿入部は、前記第1フレームは前記突き当て部を前記第2フレームに突き当てるように押圧し、前記第2フレームを前記突き当て部に向かって突き当てるように押圧することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記挿入部は、前記押圧部材の前記固定部材に押圧される部分に対して弾性的に変位可能に構成され、前記固定部材により前記押圧部材が押圧されることで前記挿入部は前記別の穴への挿入方向に付勢されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記固定部材はネジであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記押圧部材には前記固定部材が挿入される穴が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1フレームと前記第2フレームの前記固定部材が挿入する穴が形成された部分は夫々板状であり、前記第1フレームと前記第2フレームは前記板状の部分が重なって当接した状態で固定され、
前記固定部材の挿入方向に交差する方向は、前記板状の部分が重なって当接した当接面に平行な方向であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−52656(P2012−52656A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162024(P2011−162024)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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