説明

画像形成装置

【課題】熱容量が小さな加熱ローラの過敏な温度変動を解消して、ニップ部の温度を目標温度に保持でき、したがって確実に定着処理を行なえる画像形成装置を提供する。
【解決手段】加熱ローラおよび加圧ローラと、加圧ローラの表面の温度を検出する温度検出素子と、加熱ローラに設けた熱源に対する通電状態を制御する制御部などで定着装置を構成する。加熱ローラは、薄肉の金属筒体からなる熱容量の小さな外筒体を備えている。制御部は、温度検出素子の検出結果に基づき、熱源に対する通電状態を制御して、加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部の温度を目標温度に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の定着装置に関し、なかでも定着装置を構成する加熱ローラの温度制御形態に関して改良を加えたものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置においては、定着装置を構成する加熱ローラの表面の温度をサーミスタで検出し、その検出信号に基づいて面状発熱体(熱源)への通電状態を制御部でオン・オフして、加熱ローラの表面温度を所定の温度に維持している。多くの場合、制御部は、サーミスタで検出した加熱ローラの表面の温度と、予め設定してある加熱ローラの目標温度とを比較して、両者の温度が一致するように面状発熱体への通電状態をオン・オフする。
【0003】
この種の温度制御に関して、特許文献1の定着装置においては、加熱ローラおよび加圧ローラの表面温度をそれぞれサーミスタで検出し、その検出信号に基づいて面状発熱体への通電状態を制御して、加熱ローラの両端部と中央部との温度むらを解消している。なお、特許文献1の加熱ローラは、アルミニウムで形成した円筒体の外面に、第1の面状発熱体と第2の面状発熱体とを巻装し、その外面を耐熱性を備えた離型層で覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−262900号公報(段落番号0018、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的な定着装置では、サーミスタで検出した加熱ローラの表面の温度と、予め設定してある目標温度とを制御装置で比較して、熱源への通電状態をオン・オフする。このように、加熱ローラの表面温度を一定に保持する定着装置においては、画像形成装置の運転条件或いは、使用環境の温度条件が異なるような場合に、加熱ローラの表面の温度が変動するのを避けられない。たとえば、定着装置を通過する記録紙の厚みの違い或いはサイズの違いによって、加熱ローラから記録紙に伝導する熱量が異なり、さらに、連続して通紙される記録紙の数によって加熱ローラの温度低下の度合が異なるため、ローラ表面の温度が変動する。
【0006】
上記のような加熱ローラの表面温度の変動は、熱容量が小さな加熱ローラにおいて顕著に現われる。この種の加熱ローラは、起動時の待機時間を短縮するために提案されており、たとえば、面状発熱体の外面を覆う金属製の外筒体を薄肉化して熱容量を小さくしている。しかし、熱容量が小さな加熱ローラは速やかに加熱できる反面、加熱ローラから記録紙へ伝導する熱量の違いが、ローラ表面の温度の変動として敏感に反映される。つまり、熱容量が小さな加熱ローラは、熱しやすく冷めやすい熱特性を備えていることになる。そのため、従来の定着装置と同様に、加熱ローラの表面温度を検出して、熱源への通電状態をオン・オフしたとしても、オン状態とオフ状態とが小刻みに繰り返されるだけで、加熱ローラの表面の温度を定着に適した温度に保持できない。
【0007】
特許文献1の加熱ローラによれば、熱源として第1、第2の面状発熱体を備えているので、従来の加熱ローラに比べて起動時の待機時間を短縮でき、しかも加熱ローラのローラ表面の温度むらをある程度は解消できる。しかし、熱容量が小さな加熱ローラの内部に2個の面状発熱体を配置したとしても、加熱ローラの表面の温度を一定に保持することができるとは限らない。2個の面状発熱体を使用することで、加熱ローラが発生する熱量を増強できるものの、加熱ローラから記録紙へ伝導する熱によるローラ表面の過敏な温度変動に伴なう、定着温度のばらつきに対応できないからである。
【0008】
本発明は、熱容量が小さな加熱ローラを使用する定着装置であっても、ニップ部の温度を目標温度に保持することにより、記録紙の定着処理を適正な温度で確実に行なうことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は定着装置3を備えている。定着装置3は、加熱ローラ15および加圧ローラ16と、加圧ローラ16の表面の温度を検出する温度検出素子45と、加熱ローラ15に設けた熱源25に対する通電状態を制御する制御部46とを備えている。加熱ローラ15は、薄肉の金属筒体からなる熱容量の小さな外筒体26を備えている。制御部46は、温度検出素子45の検出結果に基づき、熱源25に対する通電状態を制御して、加熱ローラ15と加圧ローラ16との間のニップ部37の温度を目標温度に保持することを特徴とする。
【0010】
熱源は1個の面状発熱体25で構成する。面状発熱体25は外筒体26に密着する状態で配置する。
【0011】
制御部46は、温度検出素子45で検出した加圧ローラ16の表面の温度と、予め設定された加圧ローラ16の目標温度とを比較して、両温度が一致するように熱源25への通電状態をオン・オフするように構成する。
【0012】
加圧ローラ16は、ゴムまたはプラスチックを素材とする発泡体からなるロール層33と、ロール層33を軸支する金属製のロール軸34とで構成する。ロール層33の厚みを、外筒体26の厚みより大きく設定して、加圧ローラ16の熱容量を外筒体26の熱容量より大きく設定する。
【0013】
制御部46は、熱源25に対する通電状態を制御しているとき、加熱ローラ15と加圧ローラ16を回転駆動するように制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置の定着装置3では、加圧ローラ16の表面の温度を温度検出素子45で検出し、この検出結果に基づき、熱源25に対する通電状態を制御部46で制御するようにした。つまり、加熱ローラ15の外筒体26に比べて、熱容量が十分に大きく温度変動が小さな加圧ローラ16の表面の温度を検出して、熱源25の発熱状態を制御部46で制御して、両ローラ15・16の間のニップ部37の温度を目標温度に保持できるようにした。したがって、本発明の画像形成装置によれば、熱容量が小さな加熱ローラ15を使用する定着装置3であるにもかかわらず、ニップ部37の温度を目標温度に保持して、記録紙の定着処理を適正な温度で確実に行なうことができる。また、外筒体26を熱容量の小さな薄肉の金属筒体で構成するので、起動時の待機時間を短縮しながら、画像形成装置の運転条件或いは使用環境の違いとは無関係に定着処理を確実に行なえる。
【0015】
熱源を1個の面状発熱体25で構成し、これを薄肉の金属筒体からなる外筒体26に密着する状態で配置すると、複数個の面状発熱体を熱源とする従来の装置に比べて、加熱ローラ15の構造を簡素化しながら、起動時の待機時間を短縮できる。また、1個の面状発熱体25を熱源にして、その発熱状態を制御部46で制御すればよいので、ニップ部37の温度制御を的確に行なうことができる。さらに、定着装置3の全体構造を簡素化して、その分だけ製造コストを削減し、しかも消費電力量を削減できる。
【0016】
加圧ローラ16の表面の温度と目標温度とを比較して、両温度が一致するように熱源25への通電状態を制御部46でオン・オフすると、既存の制御部46をそのまま使用して、ニップ部37の温度制御を的確に行なうことができる。つまり、新たな構造の制御部46或いは論理式などを新たに用意する必要もなく、熱源25に対する通電状態の制御を的確に行なうことができ、定着装置3の全体の製造コストを削減することができる。
【0017】
ゴムまたはプラスチックの発泡体からなるロール層33と、ロール層33を軸支するロール軸34とで加圧ローラ16を構成し、ロール層33の厚みを外筒体26の厚みより大きく設定すると、加圧ローラ16の熱容量を外筒体26の熱容量より大きくできる。したがって、加熱ローラ15の表面の温度が外的な要因で大きく変動する場合でも、加圧ローラ16の表面の温度が大きく変動するのを防止して、ニップ部37の温度を定着に適した温度に保持し続けることができる。
【0018】
制御部46が熱源25に対する通電状態を制御しているとき、加熱ローラ15と加圧ローラ16を回転駆動すると、加熱ローラ15の熱を加圧ローラ16に対してむらのない状態で均一に伝導できる。したがって、加熱ローラ15の表面温度やニップ部37の温度を均一に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る定着装置を示す、図3におけるA−A線断面図である。
【図2】本発明に係る定着装置の適用例を示す画像形成装置の概念図である。
【図3】本発明に係る定着装置の平面図である。
【図4】温度制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】温度制御時における加圧ローラの表面の温度変化を示す特性図である。
【図6】厚紙を通紙した場合の加熱ローラと加圧ローラの表面の温度変化を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例) 図1から図6に、本発明に係る画像形成装置をコピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機に適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0021】
図2において、複合機1は、画像形成部2、および定着装置3等が配置された本体部4と、本体部4の上部の画像読取部5などを備えており、本体部4の下側に配置した給紙カセット6と本体部4の上側の排出部7との間に記録紙の搬送路8が設けてある。搬送路8の下部に画像形成部2が、上部に定着装置3が配置してある。定着装置3に臨む本体部4の周囲壁には、サービス開口と、同開口を開閉するカバー10(図3参照)が設けてある。カバー10を開放することにより、定着装置3のメンテナンスを行なうことができ、さらに定着装置3およびその周辺の搬送路8に詰まった記録紙を取り除くことができる。
【0022】
画像形成部2は、感光ドラム11およびトナーカートリッジ12などで構成してあり、給紙カセット6から送給された記録紙に対してトナー像を転写して画像を形成する。画像読取部5の前面には、各種の操作ボタンを備えた操作パネル13が設けてあり、上面側には自動原稿搬送装置(ADF)14が設けてある。本などの綴られた原稿の画像は、画像読取部5の上面のプラテンガラスに載置した状態で読み込むことができ、さらに枚葉状の原稿は自動原稿搬送装置14を通すことにより読み込むことができる。
【0023】
図3において定着装置3は、加熱ローラ15と、加熱ローラ15の周面に外接する加圧ローラ16と、加圧ローラ16を加熱ローラ15に向かって押し付け付勢する前後一対の加圧ばね17・17などで構成する。加熱ローラ15は、ハウジング18の内面に設けた前後一対のブラケット19でベアリング20を介して回転自在に支持することにより、ユニット部品化してある。加圧ローラ16は、先に説明したカバー10で支持してある。画像形成部2でトナー像が形成された記録紙を、加熱ローラ15と加圧ローラ16との間に通すことにより、トナー像を加熱しながら加圧して記録紙に定着することができ、定着された記録紙は排出部7へと送給される。
【0024】
図1に示すように、加熱ローラ15は、円筒状の管軸23を基体にして、その周囲に断熱筒24と、面状発熱体(熱源)25と、外筒体26とを多重筒状に配置して構成してある。管軸23は、アルミニウム合金製の管材を素材にして形成してある。外筒体26は、ステンレス鋼を深絞り成形して得られる薄肉の筒体で形成してあり、その筒壁の肉厚寸法は0.1mmである。断熱筒24は、シリコン発泡体を筒状に成形して形成してあり、面状発熱体25の熱が管軸23の側へ伝導するのを遮断する。図示していないが、外筒体26の外面には、定着された記録紙の剥離を促進するために、ふっ素樹脂製のシートで形成した剥離層が巻装してある。なお、図1に示す加熱ローラ15は、各部材の配置関係および相互関係を明確化するために、各部材の厚みを実際より誇張して表現してある。
【0025】
面状発熱体25は、耐熱性と電気絶縁性を備えたポリイミド製のシート基材30の片面に発熱体31を固定して形成する。発熱体31は、ステンレス製の箔にエッチングを施して、ひと筆書き状に連続するパターンとして形成してあり、通電時にジュール熱を発生する。面状発熱体25は、その発熱体31が断熱筒24の外周面に密着し、外面が熱容量の小さな薄肉の外筒体26に密着する状態で配置してある。したがって、面状発熱体25による外筒体26の加熱を短時間で効果的に行なうことができ、複合機1を起動する時の待機時間を短縮できる。
【0026】
加圧ローラ16は、その大半を占めるロール層33と、ロール層33を軸支するロール軸34とで構成する。ロール層33はゴムまたはプラスチックを素材とする発泡体を素材にして無端筒状に形成してあり、その厚みは3mmである。ロール軸34の両端寄りは軸受35で回転自在に軸支してあり、さらにロール軸34の両端が、カバー10の内面に設けたガイド枠36で往復スライドのみ可能に案内してある。先の加圧ばね17は圧縮コイルばねからなり、カバー10と軸受35との間に配置されて、加圧ローラ16を加熱ローラ15へ向かって押し付け付勢する。カバー10を開放すると、加圧ローラ16がカバー10に同行して本体部4の外方へ揺動するので、加熱ローラ15から分離できる。また、開放されていたカバー10を閉止することにより、加圧ローラ16を加熱ローラ15に密着させて、両ローラ15・16の間に通紙用のニップ部37を構成することができる。
【0027】
図3に示すように、加熱ローラ15の両端には、絶縁ブロック40と、受電軸41と、受電軸41に外接する給電体42とが設けてあり、受電軸41および給電体42を介して発熱体31に対して電力を供給している。受電軸41と発熱体31とは、絶縁ブロック40の内部で接続してある。図3において符号43は片方の受電軸41に固定したギヤであり、このギヤ43を図示していない駆動構造で駆動することにより、加熱ローラ15を図1に矢印で示す向きへ回転駆動できる。
【0028】
先に説明したように、薄肉に形成した外筒体26は熱容量が小さいため面状発熱体25による加熱を遅滞なく行なえる。反面、定着装置3を通過する記録紙の厚みの違い或いはサイズの違い等によって、加熱ローラ15の表面の温度が敏感に変動しやすい。そのため、従来の定着装置と同様に、加熱ローラ15の表面の温度を検出しながら温度制御を行なっても、定着が行なわれるニップ部37の温度を安定させるのが困難となる。
【0029】
そこで本発明においては、外筒体26に比べて熱容量が著しく大きな加圧ローラ16の表面温度を検出対象にして温度制御を行なうことにより、熱しやすく冷めやすい加熱ローラ15の温度制御を行なって、ニップ部37の温度を的確に制御できるようにした。具体的には、図1に示すように、加圧ローラ16の表面の温度をサーミスタ(温度検出素子)45で検出し、サーミスタ45から出力される電圧信号(検出結果)に基づき、面状発熱体25に対する通電状態を制御部46で制御するようにした。サーミスタ45は、片持ち梁状に支持した支持腕47の遊端に固定されて、支持腕47の弾性力で加圧ローラ16の表面に押し付けられている。サーミスタ45は、加圧ローラ16のニップ部37より回転方向上流側において、ローラ表面に密着しており、したがって、加熱ローラ15と接触したのち、300度以上周回した状態のローラ表面の温度をサーミスタ45で検出することになる。図1において符号49は、加熱ローラ15の表面の温度を検出するサーモスタットである。サーモスタット49は、加熱ローラ15が過熱状態に陥っているか否かを監視するために設けてあり、加熱ローラ15が過熱状態に陥るのと同時に、面状発熱体25に対する通電状態を遮断して安全性を確保する。
【0030】
制御部46は、図4に示す処理手順に従って、面状発熱体25に対する通電状態をオン・オフ制御する。ステップ1では、複合機1が稼動状態にあることを確認し、ステップ2において加熱ローラ15が回転していることを確認する。ステップ3において、サーミスタ45から出力される電圧信号を基に加圧ローラ16の表面の温度Tpを確認する。さらに、ステップ4において、予め設定してある目標温度Toと、先のローラ表面の温度Tpとを比較する。比較の結果(Tp≧To)を満たす場合には、ステップ5において面状発熱体25への通電をオフする。また、比較の結果(Tp≧To)を満たさない場合には、ステップ6において面状発熱体25への通電をオンする。
【0031】
ステップ3およびステップ4は、先の不等式を満足するまで繰り返し実行されて、面状発熱体25への通電を連続して行なう。その間にも加熱ローラ15と加圧ローラ16を連続して回転駆動するので、加熱ローラ15の表面の温度がばらつくのを防いで均一化できる。ステップ7では、複合機が連続して稼動されるか否かを判定し、判定結果がNOであれば、ステップ3へ戻って再び面状発熱体25に対する通電状態の制御を行なう。また、判定結果がYESであれば、ステップ8へ移行して加熱ローラ15の駆動を停止して待機モードへ移行する。
【0032】
ステップ4ないしステップ6を繰り返し実行することにより、面状発熱体25に対する通電状態は、図5に示すようにオン状態とオフ状態とに切り換えられる。その結果、加圧ローラ16の表面の温度Tpは、目標温度To(160℃)に対してごく僅かに変動しながら、一定の温度範囲内に保持される。
【0033】
図6は、定着装置3に対して厚紙が通紙される場合の、外筒体26の温度と加圧ローラ16の表面の温度Tpの温度変化を示す。厚紙が通紙される場合には、薄い紙が通紙される場合に比べて、より大量の熱が外筒体26から記録紙へ伝導される。そのため、外筒体26の温度は急激に低下する傾向にあるが、熱容量が大きな加圧ローラ16の表面の温度Tpは安定している。また、加圧ローラ16の表面の温度Tpが目標温度Toと同じか、これよりより大きい場合に限って、面状発熱体25への通電を停止するので、外筒体26の温度は徐々に上昇する傾向にある。そのため、厚紙を通紙することによって低下した外筒体26の温度を、速やかに適温の範囲内に復帰させて、ニップ部37の温度を目標温度に保持することができる。厚紙の通紙が終了すると、加圧ローラ16の表面の温度Tpが目標温度Toと同じか、これよりより大きくなるので、面状発熱体25への通電が停止される(ステップ5)。
【0034】
以上のように、熱容量が大きな加圧ローラ16の表面温度を検出対象にして温度制御を行なうと、加熱ローラ15と加圧ローラ16との間のニップ部37の温度を、安定した状態で目標温度に保持することができる。したがって、記録紙に対する定着処理を確実に行なえる。また、薄肉に形成された外筒体26を1個の面状発熱体25で加熱するので、加熱ローラ15の構造を簡素化しながら温度制御を的確に行なえる。したがって定着装置3の全体コストを削減し、しかも消費電力量を削減できる。
【0035】
上記の実施例では、面状発熱体25を外筒体26の内面に配置したが、その必要はなく、外筒体26の外面に配置することができる。その場合には、面状発熱体25の外面を、電気絶縁性と易剥離性を備えたシートで覆うとよい。また、熱源としては面状発熱体25以外の発熱体を適用することができる。
【0036】
温度検出素子45はサーミスタである必要はなく、サーモスタットなどの温度検出素子を適用することができる。また、温度検出素子45は、加圧ローラ16の表面の任意の位置に配置することができるので、実施例で説明した配置位置には限定しない。必要があれば、複数の温度検出素子45を加圧ローラ16の表面に分散配置することができる。外筒体26は、ステンレス鋼以外の金属を素材とする薄肉の筒体で構成することができる。
【符号の説明】
【0037】
3 定着装置
15 加熱ローラ
16 加圧ローラ
25 熱源(面状発熱体)
26 外筒体
37 ニップ部
45 温度検出素子(サーミスタ)
46 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着装置が、加熱ローラおよび加圧ローラと、
前記加圧ローラの表面の温度を検出する温度検出素子と、
前記加熱ローラに設けた熱源に対する通電状態を制御する制御部とを備えており、
前記加熱ローラが、薄肉の金属筒体からなる熱容量の小さな外筒体を備えており、
前記制御部が、前記温度検出素子の検出結果に基づき、前記熱源に対する通電状態を制御して、前記加熱ローラと前記加圧ローラとの間のニップ部の温度を目標温度に保持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記熱源が1個の面状発熱体で構成されており、
前記面状発熱体が前記外筒体に密着する状態で配置してある請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検出素子で検出した前記加圧ローラの表面の温度と、予め設定された前記加圧ローラの目標温度とを比較して、前記両温度が一致するように前記熱源への通電状態をオン・オフする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加圧ローラが、ゴムまたはプラスチックを素材とする発泡体からなるロール層と、
前記ロール層を軸支する金属製のロール軸とで構成されており、
前記ロール層の厚みを、前記外筒体の厚みより大きく設定して、前記加圧ローラの熱容量が前記外筒体の熱容量より大きく設定してある請求項1、2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記熱源に対する通電状態を制御しているとき、前記加熱ローラと前記加圧ローラを回転駆動する請求項1、2、3または4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53334(P2012−53334A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196661(P2010−196661)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】