説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、揮発性メモリに格納した障害解析時に必要なログを、不揮発性メモリの容量増加を回避しつつ、不揮発性メモリに残すこと。
【解決手段】障害発生時に(S101)、揮発性メモリに格納したログを揮発性メモリから不揮発性メモリに転送する際に、不揮発性メモリに空(領域)がないときは(S102、NO)、転送ログの不揮発性メモリにおける格納位置を決定し(S104)、その上で、不揮発性メモリに格納済みの既格納ログと転送する転送ログのそれぞれの優先度を比較し(S105)、転送ログの優先度が既格納ログのそれよりも高いとき、転送ログの方を不揮発性メモリに格納して(S110)残す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、とくに障害発生時に動作履歴情報を揮発性メモリから不揮発性メモリに転送する機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が稼動中に何らかの障害が発生したときは、機器のログ(動作履歴情報)を基に障害解析を実施するが、ログが揮発性メモリに残った状態で電源がオフされてしまうと、後からログを確認することが不可能になることがある。この問題を解決するため、障害発生時にログを揮発性メモリから不揮発性メモリへ転送することが既に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成装置において、障害発生時に動作履歴情報を揮発性メモリから不揮発性メモリに転送している途中で、電源をオフされた場合でも給電元を切り替えることで、動作履歴情報を最後まで転送することが記載されている。
【0004】
しかし、この従来の転送方法では、不揮発性メモリに空きがないときに、どのログを不揮発性メモリに残す(転送する)のかについてはとくに考慮されていない。そのため、障害解析に必要なログが格納されている領域に他のログが上書きされてしまう虞がある。しかし、この上書きの問題を回避するために不揮発性メモリの容量を大きくすると、コストが高くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、第1の記憶手段に格納されたログを第2の記憶手段に転送する際に生じる、上記従来の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、第2の記憶手段に空きが存在しない場合でも、第2の記憶手段のメモリの容量増加を回避しつつ、障害解析時に必要なログを第2の記憶手段に優先して残せるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は画像形成装置であって、画像形成装置のログを画像形成装置稼動中に一時的に記憶する第1の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶されているログを記憶する第2の記憶手段と、障害発生の検知に基づき、前記ログに優先度を付して前記第1の記憶手段から前記第2の記憶手段に転送するログ転送手段と、前記ログ転送手段がログを転送するとき、第2の記憶手段に転送される転送ログを格納する空き領域の有無を判断する記憶領域判断手段と、前記記憶領域判断手段が第2の記憶手段に空き領域がないと判断したとき、格納位置を決定する格納位置決定手段と、前記決定された格納位置の既格納ログと転送ログのそれぞれの優先度を比較する優先度比較手段と、前記優先度比較手段により、転送ログの優先度が既格納ログよりも高いと判断されたとき、前記転送ログを前記第2の記憶手段に格納するログ格納手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
第2の記憶手段のメモリの容量増加を回避しつつ、障害解析時に必要なログを第1の記憶手段から転送して第2の記憶手段に優先して残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の制御部を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る転送処理を実行するために、RAMに格納されたプログラムにより実現するCPUの各機能実現手段を模式的に示した図である。
【図3】揮発性メモリから不揮発性メモリへのログ転送フローを示した第1の実施形態に係るフロー図である。
【図4】揮発性メモリから不揮発性メモリへのログ転送フローを示した第2の実施形態に係るフロー図である。
【図5】揮発性メモリから不揮発性メモリ、または外部記憶装置へのログ転送フローを示した第3の実施形態に係るフロー図である。
【図6】ログの優先度と種類の対応を表にして示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ログに対して優先度を設け、障害発生時に揮発性メモリから不揮発性メモリにログを転送する際に、不揮発性メモリに空きが存在しない場合に、格納済みのログ(既格納ログという)の優先度と転送されるログ(転送ログという)の優先度とを比較し、優先度が高いログを不揮発性メモリに残すことで障害解析時に必要なログが残るようにしたものである。
【0010】
本発明の画像形成装置の実施形態について、以下、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の制御部10を概略的に示すブロック図である。
制御部10は、用紙の搬送動作及び記録ヘッドの移動動作の制御を含め、この装置全体の制御を行うCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101で実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM102と、画像データ等を一時格納する第1の記憶手段である揮発性メモリとしてのRAM103と、本画像形成装置の電源が遮断されている間もデータを保持できる書き換え可能な第2の記憶手段である不揮発性メモリとしてのNVRAM104と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理及びその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC(Application Specific Integrated Circuit)105とを備えている。
【0011】
この制御部10は、PC(personal Computer)などのホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのホストI/F(インターフェース)106と、キャリッジ22に坦持された記録ヘッド23を駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッド23の圧力発生手段(図示せず)を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ21に出力するヘッド制御部108と、主走査モータ24を駆動するための主走査モータ駆動部109と、副走査モータ27を駆動するための副走査モータ駆動部111と、帯電ローラ26にACバイアスを供給するACバイアス供給部110と、リニアエンコーダ25、ホイールエンコーダ29からの検出パルス、及びその他の各種センサ(図示せず)からの検知信号を入力するためのI/O(入出力部)107、副走査モータ27で駆動される搬送ベルト28などを備えている。
また、この制御部10には、この画像形成装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル11が接続されている。さらに、時刻を取得するためのリアルタイムクロック(RTC)12も接続されている。加えて、外部記憶装置13とも接続することが可能である。
【0012】
ここで、制御部10は、PC等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホストのプリンタドライバ14が生成した印刷データ等を、ケーブル或いはネットを介してホストI/F106で受信する。また、ホストPCの外部ターミナル15からの命令もホストI/F106で受けることができる。
制御部10のCPU101は、ホストI/F106に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC105にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド制御部108に転送し、ヘッド制御部108から所要のタイミングでヘッドドライバ21に画像データ或いは駆動波形を出力する。
【0013】
なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM102にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバ14で画像データをビットマップデータに展開して本画像形成装置に転送するようにしてもよい。本実施形態では、上記ドットパターンデータの生成をプリンタドライバ14で行うようにしている。
【0014】
ヘッド制御部108の駆動波形生成部(図示せず)は、ROM102に格納されてCPU101で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成され、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ21に対して出力する。
ヘッドドライバ21は、シリアルに入力される記録ヘッド23の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて、ヘッド制御部108の上記駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、記録ヘッド23の圧力発生手段(図示せず)に対して選択的に印加し、それによって記録ヘッド23を駆動する。
【0015】
なお、このヘッドドライバ21は、いずれも図示しない、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化させるレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド23の圧力発生手段に印加する。
【0016】
図2は、以下で説明する本発明の各実施形態に係る転送処理を実行するために、RAM103に格納されたプログラムにより実現するCPU101の各機能実現手段を模式的に示した図である。
即ち、CPU101には、上記機能実現手段として、ログを格納する空き領域の存否を判断する記憶領域判断手段101Aと、転送ログの格納位置を決定する格納位置決定手段101Bと、既格納ログと転送ログのそれぞれの優先度を比較する優先度比較手段101Cと、揮発性メモリである第1の記憶手段からログを読み出し、優先度を付与するとともに、RTC12から取得した時刻に基づき当該ログの生成時点情報を付与して不揮発性メモリである第2の記憶手段にログを転送する処理を行うログ転送手段101Dと、転送したログを上記格納位置決定手段101Bが決定した格納位置に格納する処理を行うログ格納手段101Eと、転送ログのサイズと格納位置における格納可能サイズを比較するログサイズ比較手段101Fと、を有している。
なお、RAM103に格納されているプログラムは、コンピュータ読取可能な公知又は周知の任意の記録媒体に記録可能である。
【0017】
第1の実施形態
図3は、揮発性メモリから不揮発性メモリへのログ転送フローを示した第1の実施形態に係るフロー図である。
このフロー図は、障害発生検知時に揮発性メモリ内のログを不揮発性メモリに転送する際の、不揮発性メモリの空きの有無に応じて行う動作の違いを示している。なお、ログには生成時に優先度を付けておき、優先度を付けた状態で不揮発性メモリに転送され格納される。
【0018】
図3において、各種センサ等により障害発生が検知されると(S101)、記憶領域判断手段101Aは不揮発性メモリに空きが存在するか否か判断し(S102)、不揮発性メモリの空きが存在すると判断したときは(S102、YES)、格納位置決定手段101Bは転送ログの格納位置を決定し(S103)、ログ格納手段101Eは、転送ログを決定した格納位置に格納(記憶)する(S110)。
【0019】
ステップS102で、記憶領域判断手段101Aが不揮発性メモリに空きが存在しないと判断したときは(S102、NO)、格納位置決定手段101Bは、転送ログの格納位置(この場合、不揮発性メモリ内で最も優先度が低いログが格納されている格納位置)を決定し(S104)、優先度比較手段101Cは、決定した格納位置にある既格納ログの優先度と、転送するログの優先度とを比較する(S105)。
ステップS105において、優先度比較手段101Cが転送するログの優先度の方が低いと判断したときは(S105、YES)、格納位置決定手段101Bが不揮発性メモリの格納可能位置を全て確認していなければ(S106、NO)、ステップS104に戻り、ステップS104からの手順を繰り返し、不揮発性メモリの格納可能位置を全て確認済みであれば(S106、YES)、当該転送ログの転送処理を終了する。
【0020】
ステップS105で、優先度比較手段101Cが転送するログの優先度の方が高いと判断したときは(S105、NO)、ログサイズ比較手段101Fが、その位置に転送するログ全体が格納可能であると判断したときは(S107、YES)、ログ格納手段101Eは転送ログをその格納位置に格納する(S110)。
【0021】
ステップS107で、ログサイズ比較手段101Fがその位置に転送するログ全体を格納することができないと判断したときは(S107、NO)、格納位置決定手段101Bは、格納しきれない転送ログの格納位置を決定し(S108)、そこで、優先度比較手段101Cは既格納ログの優先度と転送ログの優先度とを比較し(S109)、格納位置のログの優先度が転送ログのそれに等しいか高いときは(S109、YES)、ステップS108に戻って処理を繰り返す。優先度比較手段101Cが格納位置のログの優先度が転送ログのそれよりも低いと判断したときは(S109、NO)、ステップS107に戻って処理動作を繰り返す。
最後に、ログ転送手段101Dが揮発性メモリに他のログが存在するか否か判断し(S111)、存在していないと判断したときは(S111、NO)、そのまま、転送処理を終了し、他のログが存在していると判断したときは(S111、YES)、ステップS102に戻り、再度転送処理を繰り返す。
【0022】
以上説明したように、不揮発性メモリに空きがあれば、転送ログを不揮発性メモリの空いた格納位置に格納する。そうでない場合には、不揮発性メモリに既に格納されているログと転送ログとの優先度を比較して、その優先度の高低にしたがって転送ログを格納するか否か判断される。転送ログの優先度が既格納ログよりも低いときは、当該転送ログを次の格納位置のログと優先度を比較する。この動作を繰り返し、全ての揮発性メモリ内のログを転送する。
【0023】
また、格納位置のログのサイズよりも転送するログのサイズの方が大きい場合には、他の格納位置を決定し、そこに転送ログの格納できなかった分を格納する。これを繰り返すことで、サイズが大きい転送ログを格納する。
ただし、不揮発性メモリ内のすべてのログが転送ログ以上の優先度である場合には、その転送ログは不揮発性メモリに格納されない。
【0024】
第2の実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、図3に示した第1の実施形態において、不揮発性メモリが転送ログの優先度以上のログで満杯だったときの処理が追加されている。
即ち、不揮発性メモリが転送ログの優先度以上のログで満杯だった場合には、転送ログの優先度と等しく、ログ格納手段101Eは、ログに付された生成日時に基づき不揮発性メモリの中で最も古いログが格納されている位置に転送ログを格納する。
この場合においても、格納位置のログのサイズよりも転送するログのサイズの方が大きい場合には、第1の実施形態と同様に他の格納位置を決定し、そこに転送ログの格納できなかった分を格納する。
また、転送ログと同じ優先度のログが不揮発性メモリに存在しない場合には、その転送ログは不揮発性メモリに格納されない。
【0025】
図4は、揮発性メモリから不揮発性メモリへのログ転送フローを示した第2の実施形態に係るフロー図である。
図4において、障害発生が検知されると(S201)、記憶領域判断手段101Aは不揮発性メモリに空きが存在するか否か判断し(S202)、不揮発性メモリに空きが存在すると判断したときは(S202、YES)、格納位置決定手段101Bは転送ログの格納位置を決定し(S203)、ログ格納手段101Eは転送ログをその格納位置に格納(記憶)する(S214)。
【0026】
ステップS202で、記憶領域判断手段101Aが不揮発性メモリに空きが存在しないと判断したときは(S202、NO)、格納位置決定手段101Bは、転送ログの格納位置(不揮発性メモリ内で最も優先度が低いログが格納されている格納位置)を決定し(S204)、優先度比較手段101Cはその格納位置に既にある既格納ログの優先度と転送ログの優先度を比較する(S205)。
優先度の比較した結果、転送ログの優先度の方が既格納ログのそれよりも低いときは(S205、YES)、格納位置決定手段101Bが不揮発性メモリの格納可能位置を全て確認していなければ(S206、NO)、ステップS204に戻り、ステップS204からの手順を繰り返す。
【0027】
ステップS206において、不揮発性メモリの格納可能位置を全て確認済みであれば(S206、YES)、優先度比較手段101Cは転送ログと同じ優先度のログが不揮発性メモリ内に存在するか否か判断し(S207)、存在するときは(S207、YES)、格納位置決定手段101Bは各ログに付された生成日時から、転送ログと優先度が同じで、不揮発性メモリ中で最も古いログの格納位置を決定する(S208)。次に、ログサイズ比較手段101Fは、決定した格納位置に転送ログ全体を格納できるか否か判断し(S209)、格納できると判断したときは(S209、YES)、ログ格納手段101Eは転送ログを当該格納位置に格納する(S214)。
【0028】
ステップS205において、優先度比較手段101Cにより、転送ログの優先度の方が既格納ログのそれよりも低くないと判断されたときは(S205、NO)、ログサイズ比較手段101Fは、転送ログの格納位置において、転送ログ全体を格納することができるか否か判断する(S211)。ログサイズ比較手段101Fが転送ログ全体を格納することができないと判断したときは(S211、NO)、格納位置決定手段101Bは格納しきれない転送ログの格納位置を決定し(S212)、優先度比較手段101Cは、ここで再び、転送ログの優先度と既格納ログの優先度を比較し(S213)、転送ログの優先度が既格納ログの優先度より低いと判断したときは(S213、YES)ステップS212に戻り、逆に、転送ログの優先度が既格納ログの優先度より低くないと判断したときは(S213、NO)、ステップ211に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0029】
ステップS207において優先度比較手段101Cが、転送ログと同じ優先度のログが不揮発性メモリ内に存在しないと判断したときは(S207、NO)、当該転送ログの処理を終了する。又、ステップS209において、ログサイズ比較手段101Fが取得した格納位置に転送ログ全体を格納することができないと判断したときは(S209、NO)、格納位置決定手段101Bは、格納しきれない転送ログの格納位置を決定し(S210)、ステップS209の判断を繰り返す。
最後に、ログ転送手段101Dが揮発性メモリに他のログが存在するか否か判断し(S215)、存在していると判断したとき(S215、YES)、ステップ202に戻り、当該ログについての転送処理を実行する。存在していないと判断したときは(S215、NO)、ログの転送処理を終了する。
【0030】
第3の実施形態
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、図3に示した第1の実施形態において、不揮発性メモリが転送ログの優先度以上のログで満杯だったときの処理を追加したものである。
不揮発性メモリが転送ログの優先度以上の優先度を付したログで満杯だったときには、CPU101は、画像形成装置に外部記憶装置が装着されているかどうかを判断する。外部記憶装置が装着されているときには、転送先を不揮発性メモリから外部記憶装置に変更し、外部記憶装置内での格納位置を決めて格納する。
【0031】
図5は揮発性メモリから不揮発性メモリ、または外部記憶装置へのログ転送フローを示した第3の実施形態に係るフロー図である。
障害発生が検知されると(S301)、記憶領域判定手段101Aは不揮発性メモリに空き領域が存在するか否か判断し(S302)、不揮発性メモリの空きが存在すると判断したときは(S302、YES)、格納位置決定手段101Bは転送ログの格納位置を決定し(S303)、ログ格納手段101Eは、転送ログをその格納位置に格納(記憶)する(S312)。
【0032】
ステップS302で、記憶領域判定手段101Aが不揮発性メモリに空きが存在しないと判断したときは(S302、NO)、格納位置決定手段101Bは転送ログの格納位置(不揮発性メモリ内で最も優先度が低いログが格納されている格納位置)を決定し(S304)、優先度比較手段101Cは、その格納位置にある既格納ログの優先度と転送ログの優先度を比較する(S305)。優先度の比較の結果、転送ログの優先度の方が既格納ログの優先度より低いときは(S305、YES)、格納位置決定手段101Bが不揮発性メモリの格納可能位置を全て確認していなければ(S306、NO)、ステップS304に戻り、ステップS304からの処理を繰り返す。
【0033】
ステップS306において、格納位置決定手段101Bが不揮発性メモリの格納可能位置を全て確認済みであれば(S306、YES)、CPU101(記憶領域判断手段101A)は、本画像形成装置に外部記憶装置が装着されているか否かを判断し(S307)、装着されていると判断したときは(S307、YES)、格納位置決定手段101Bは転送ログの外部格納位置を決定し(S308)、転送ログを当該格納位置に格納する(S312)。ステップS307で、記憶領域判断手段101Aが外部記憶装置が装着されていないと判断したときは(S307、NO)、当該ログの転送処理を終了する。
【0034】
ステップS305で、優先度比較手段101Cが転送ログの優先度の方が低くないと判断したときは(S305、NO)、ログサイズ比較手段101Fがその位置(領域)に転送ログ全体を格納できると判断したときは(S309、YES)、ログ格納手段101Eは転送ログをその格納位置に格納する(S312)。ログサイズ比較手段101Fがその位置に転送ログ全体を格納しきれないと判断したときは(S309、NO)、格納位置決定手段101Bは格納しきれない転送ログの格納位置を決定し(S310)、優先度比較手段101Bが転送ログの優先度がその格納位置の既格納ログの優先度より低いと判断したときは(S311、YES)、ステップS310に戻り、優先度比較手段101Bが転送ログの優先度がその格納位置の既格納ログの優先度より低くないと判断したときは(S311、NO)、ステップS309に戻り、再びその後の処理を繰り返す。
【0035】
最後に、ログ転送手段101Dが揮発性メモリに他のログが存在するか否か判断し(S313)、存在すると判断したときは(S313、YES)、ステップS302に戻り、当該ログについての転送処理を実行する。存在していないと判断したときは(S313、NO)、ログの転送処理を終了する。
【0036】
次に、以上の各実施形態における優先度について説明する。
図6は、ログの優先度と種類の対応を表にして示したものである。
図6に示すように、ログとして最も優先度が高いものとして、ここではシステムダウンとし、続いて、ジャム(JAM)、サービスマンコール(SC)を中とし、その他のログは低に規定している。
つまり、ログの優先度は、本画像形成装置のシステムがダウンした際のものが最も高いため、システムダウンのログは不揮発性メモリに優先的に格納され、次いでJAMやSCの際のログが格納される。その他のログは優先度が最も低く、不揮発性メモリが、優先度が高や中のログで満杯でないときに限り格納される。
また、JAMとは画像形成装置内の紙詰まりなどによってマシンが停止することを指し、SCとはサービスエンジニアによるメンテナンスが必要となるエラーのことを指す。
【0037】
なお、不揮発性メモリ内に格納したログのリセットは、不揮発性メモリのログを障害解析に利用した後、図1において、障害解析者がホストPCの外部ターミナル15からホストI/F106を介して制御部10に対してリセット命令を送ることで、不揮発性メモリ内のログをリセットすることができる。
また、上記実施形態では第2の記憶手段は不揮発性メモリとして説明したが、本画像形成装置の電源が遮断されている間もデータを保持できる書き換え可能な記憶手段であればよく、例えばバックアップ電源を備えた揮発性メモリであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10・・・制御部、11・・・操作パネル、12・・・RTC、13・・・外部記憶装置、14・・・プリンタドライバ、21・・・ヘッドドライバ、22・・・キャリッジ、23・・・記録ヘッド、24・・・主走査モータ、25・・・リニアエンコーダ、26・・・帯電ローラ、27・・・副走査モータ、28・・・搬送ベルト、29・・・ホイールエンコーダ、101・・・CPU、101A・・・記憶領域判断手段、101B・・・格納位置決定手段、101C・・・優先度比較手段、101D・・・ログ転送手段、101E・・・ログ格納手段、101F・・・ログサイズ比較手段、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・NVRAM、105・・・ASIC、107・・・I/O、108・・・ヘッド制御部、109・・・主走査モータ駆動部、110・・・ACバイアス供給部、111・・・副走査モータ駆動部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2005−088466号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置のログを画像形成装置稼動中に一時的に記憶する第1の記憶手段と、
第1の記憶手段に記憶されているログを記憶する第2の記憶手段と、
障害発生の検知に基づき、前記ログに優先度を付して前記第1の記憶手段から前記第2の記憶手段に転送するログ転送手段と、
前記ログ転送手段がログを転送するとき、第2の記憶手段に転送される転送ログを格納する空き領域の有無を判断する記憶領域判断手段と、
前記記憶領域判断手段が第2の記憶手段に空き領域がないと判断したとき、格納位置を決定する格納位置決定手段と、
前記決定された格納位置の既格納ログと転送ログのそれぞれの優先度を比較する優先度比較手段と、
前記優先度比較手段により、転送ログの優先度が既格納ログよりも高いと判断されたとき、前記転送ログを前記第2の記憶手段に格納するログ格納手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記ログ転送手段は転送ログにその生成時点情報を付与し、
前記優先度比較手段の比較結果に基づき、前記記憶領域判断手段が転送ログの優先度以上の優先度の既格納ログで前記第2の記憶手段が満杯と判断したとき、前記格納位置決定手段は、前記優先度比較結果及び前記生成時点情報に基づき、前記第2の記憶手段に格納されている既格納ログの中で、転送ログの優先度と同等でかつ生成時が最も古い既格納ログの格納位置を当該転送ログの格納位置と決定し、前記ログ格納手段は前記決定された格納位置に転送されたログを格納する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
ログサイズ比較手段を有し、
前記ログサイズ比較手段は、前記格納位置決定手段が決定した格納位置が前記転送ログを全て格納可能か否か判断し、全ての転送ログを格納することが不可能と判断したとき、前記格納位置決定手段は格納不可となる転送ログ部分を格納する他の格納位置を決定する画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載された画像形成装置において、
外部記憶手段を有し、
前記優先度比較手段の比較結果に基づき、前記記憶領域判断手段が転送ログの優先度以上の優先度の既格納ログで前記第2の記憶手段が満杯と判断したとき、
前記ログ格納手段は前記外部記憶手段に転送ログを転送する画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載された画像形成装置において、
前記第2の記憶手段又は外部記憶装置に格納された転送ログを消去する手段を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−56230(P2012−56230A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202911(P2010−202911)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】