説明

画像形成装置

【課題】固有の物理的機構によって、付加機能部の使用を制限することができ、プログラムの書き換えといった不正な改造を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、特定の付加機能を実現するための付加機能部40と、筐体に設けられた固有の物理的機構を読み取る読取部41と、読取部41の読取結果に基づいて、付加機能部40が使用可能または使用不可かを判断する付加機能制限手段42とを備える。付加機能制限手段42は、読取結果との比較に用いる付加機能許可情報42dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、ファクシミリ、およびプリンタなどの機能を組み合わせた画像形成装置が普及している。このような画像形成装置では、購入時の機能に加えて新たな機能を必要とするユーザもいる。そこで、画像形成装置において、機能バージョンアップが許可または禁止された機種など、複数の機種が用意され、新たな機能に対応する回路基板を後から装着して機能バージョンアップをすることがある。しかしながら、現在、悪意のある改造が問題となっており、例えば、機種にかかわらず、機能バージョンアップを可能にするといったことが行われている。
【0003】
また、複製が禁止されるべきもの(例えば、有価証券など)の複写を防止する不正複写防止手段を備えた複写装置においては、不正複写防止手段を取り外したことを検知したとき、複写を禁止する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、画像形成装置の複数の機種に対して非互換性をもたせるため、プロセスカートリッジの被駆動ギヤを機種毎に異なる仕様とし、不適正なプロセスカートリッジを装着不可能にする技術が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−261163号公報
【特許文献2】特開平9−185254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された複写装置では、改造検知手段を無効化することで、容易に改造される懸念がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された画像形成装置では、被駆動ギヤを加工するなどといった改造が行われる懸念がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、固有の物理的機構によって、付加機能部の使用を制限することができ、プログラムの書き換えといった不正な改造を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、特定の付加機能を実現するための付加機能部を備える画像形成装置であって、筐体に設けられた固有の物理的機構を読み取る読取部と、前記読取部の読取結果に基づいて、前記付加機能部が使用可能または使用不可かを判断する付加機能制限手段とを備え、前記付加機能制限手段は、前記読取結果との比較に用いる付加機能許可情報を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によると、固有の物理的機構によって、付加機能部の使用を制限することができ、プログラムの書き換えといった不正な改造を防止することができる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置では、前記付加機能制限手段は、書き換え不可能なメモリ領域に前記付加機能許可情報を格納していることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、不正な改造を確実に防止することができる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、前記物理的機構として、前記筐体の内部に符号が形成され、前記読取部は、前記符号を読み取って数値化することを特徴とする。
【0014】
この構成によると、外部から目視できない位置に符号を形成することによって、符号の偽造などを防止することができる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置では、前記読取部は、前記符号の個数または濃度を読み取ることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、符号の形態を多様化することができる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、予め設定された走査時間に基づいて被走査体を走査する光を照射する光走査部と、前記光走査部から照射された光を検知する光検知センサとを備え、前記読取部は、前記光検知センサの検知結果に基づいて前記走査時間を検出し、読取結果とすることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、画像形成装置として必要不可欠な部分を固有の物理的機構とすることによって、偽造や置換などの不正な改造を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、固有の物理的機構によって、付加機能部の使用を制限することができ、プログラムの書き換えといった不正な改造を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の筐体を示す側面図である。
【図3】図2における画像形成装置の原稿載置台を示す平面図である。
【図4】図3の符号形成部に適用される符号の具体例1を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【図5】図3の符号形成部に適用される符号の具体例2を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【図6】図3の符号形成部に適用される符号の具体例3を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【図7】図3の符号形成部に適用される符号の具体例4を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【図8】図2における画像形成装置の光走査部の構造の一部を示す概略説明図であって、(a)は、光検知センサの配置間隔が広い場合(具体例5)であり、(b)は、光検知センサの配置間隔が狭い場合(具体例6)である。
【図9】図8における光検知センサの検出結果を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で、付加機能部が使用可能または使用不可かを判断する場合の処理(付加機能判断処理)フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略を示す概略構成図である。
【0023】
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、特定の付加機能を実現するための付加機能部40と、筐体10(後述する図2参照)に設けられた固有の物理的機構を読み取る読取部41と、読取部41の読取結果に基づいて、付加機能部40が使用可能または使用不可かを判断する付加機能制限手段42とを備える。付加機能制限手段42は、読取結果との比較に用いる付加機能許可情報42dを有する。
【0024】
この構成によると、固有の物理的機構によって、付加機能部40の使用を制限することができ、プログラムの書き換えといった不正な改造を防止することができる。
【0025】
本実施の形態において、物理的機構とは、画像形成装置1が備える固有の構成であって、特徴的な構造である。筐体10および物理的機構の詳細については、後述する図2、図3、および図8で説明する。
【0026】
画像形成装置1は、さらに、CPU(Central Processing Unit)43、RAM(Random Access Memory)44、ROM(Read Only Memory)47、画像形成部4、および拡張ボード接続部46を備える。
【0027】
画像形成部4は、用紙に画像を形成するものであって、後述する図2で説明する。
【0028】
読取部41は、読取結果を筐体情報44dとして出力する。筐体情報44dは、RAM44に記憶される。読取部41は、物理的機構に応じて適宜選択することができ、詳細については、後述する。
【0029】
拡張ボード接続部46には、付加機能制御手段101を備えた拡張ボード100を取り付けることができる。なお、拡張ボード100を取り付けるかどうかは、ユーザが適宜選択すればよい。
【0030】
付加機能部40は、取り付けられた拡張ボード100の付加機能制御手段101に応じて特定の付加機能を実現する。本実施の形態において、付加機能とは、例えば、プリンタ機能、ファックス機能、および印字速度の向上などであって、拡張ボード100を取り付けることによって実現できる機能である。
【0031】
ROM47は、付加機能制限手段42および画像形成制御手段45を記憶している。画像形成部4は、画像形成制御手段45によって制御される。
【0032】
付加機能制限手段42は、書き換え不可能なメモリ領域に付加機能許可情報42dを格納している。この構成によると、不正な改造を確実に防止することができる。
【0033】
付加機能許可情報42dは、筐体情報44dに応じて適宜選択することができ、詳細については、後述する。
【0034】
CPU43は、付加機能制限手段42、画像形成制御手段45、および付加機能制御手段101を読み出して実行する。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の筐体を示す側面図である。
【0036】
画像形成装置1の筐体10は、原稿搬送部2、原稿読取部3、画像形成部4、用紙搬送部5、給紙部6、および排紙トレイ7を備える。
【0037】
原稿搬送部2は、セットされた原稿を搬送して読み取り窓8aを通過させる。
【0038】
原稿読取部3は、上面に原稿載置台8bおよび読み取り窓8aを備え、さらに、第1走査ユニット15、第2走査ユニット16、結像レンズ17、およびCCD(光電変換素子)18を備える。
【0039】
第1走査ユニット15は、原稿載置台8bの下側に設けられ、第1走査ユニット15および第2走査ユニット16は、読み取り窓8aを通過する原稿を露光する。また、第1走査ユニット15および第2走査ユニット16は、相互に所定の速度関係を維持しながら移動し、原稿載置台8bの上の原稿を露光する。原稿からの反射光は、第1走査ユニット15および第2走査ユニット16によって、結像レンズ17に導かれ、結像レンズ17は、原稿の画像をCCD18に結像する。
【0040】
CCD18は、原稿に基づいた画像データを画像形成部4に出力する。ここで、画像形成制御手段45によって、画像データに各種の画像処理を施してから出力してもよい。
【0041】
画像形成部4は、感光体ドラム21、帯電装置22、光走査部23、現像装置24、転写ローラ25、クリーニング装置26、除電装置(図示せず)、および定着装置27を備える。
【0042】
感光体ドラム21は、一方向に回転しており、表面をクリーニング装置26と除電装置とによってクリーニングされてから、帯電装置22によって表面を均一に帯電される。
【0043】
光走査部23は、入力された画像データに応じてレーザ光を変調し、感光体ドラム21の表面を走査する光を照射する。照射された光によって、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。また、光走査部23の近傍には、光検知センサ23d(後述する図8参照)が設けられている。
【0044】
現像装置24は、現像ローラ24aの表面に付着したトナーを感光体ドラム21の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム21の表面に形成する。
【0045】
転写ローラ25は、感光体ドラム21の表面のトナー像を用紙搬送部5によって搬送された用紙に転写する。
【0046】
定着装置27は、用紙を加熱および加圧して、用紙にトナー像を定着される。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送部5によって、排紙トレイ7へと搬送される。
【0047】
用紙搬送部5では、搬送経路31に沿って、PSローラ28、搬送ローラ29、および排紙ローラ33が設けられている。
【0048】
PSローラ28は、用紙を給紙部6から受け取り、受け取った用紙を転写ローラ25へ搬送する。
【0049】
搬送ローラ29は、定着装置27から用紙を受け取り、受け取った用紙は、排紙ローラ33から排紙トレイ7へ導かれる。
【0050】
次に、物理的機構として、筐体10に符号を設けた場合について説明する。
【0051】
図3は、図2における画像形成装置の原稿載置台を示す平面図である。
【0052】
原稿載置台8bは、矩形状であって、透光性の材料で形成されている。
【0053】
二点鎖線で示す読取領域YRは、第1走査ユニット15が露光する領域である。第1走査ユニット15は、原稿載置台8bの一端から他端に向かって(図では、矢符A方向)移動する。読取領域YRは、矢符Aと直交する方向において、原稿載置台8bより広く設定され、矢符A方向において、原稿載置台8bより長い距離移動する。原稿読取部3は、第1走査ユニット15に露光された領域を画像データとして読み取る。つまり、原稿読取部3は、原稿載置台8bより広い領域を画像データとして読み取る。なお、画像処理を施すことによって、原稿載置台8bに載置された原稿だけを、画像形成部4に出力する画像データとして特定することができる。
【0054】
点線で示す符号形成部50には、符号Dt(後述する図4ないし図7参照)が形成される。符号形成部50は、原稿載置台8bの外側であって、第1走査ユニット15が露光する領域に設けられている。なお、符号Dtは、筐体の内部に形成されており、外部から目視することはできない。
【0055】
図4は、図3の符号形成部に適用される符号の具体例1を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【0056】
具体例1では、円形で黒色の符号Dtが3つ形成されている。符号Dtの周囲は、符号Dtと異なる色とされ、本実施の形態では白色である。原稿読取部3は、符号Dtと周囲との色の違いを数値化し、例えば、符号Dtを「5」とし、周囲を「200」として出力する。図4(b)に示す読み取り波形では、「5」が3回出力されている。原稿読取部3は、「5」の出力される回数によって、符号Dtの個数を読み取り、読み取り波形に基づく筐体情報44dを出力する。
【0057】
図5は、図3の符号形成部に適用される符号の具体例2を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【0058】
具体例2は、具体例1と異なり、黒色の符号Dtが1つ形成されている。図5(b)に示す読み取り波形では、「5」が1回出力されている。したがって、具体例1と具体例2とでは、「5」が出力される回数が異なっている。
【0059】
図6は、図3の符号形成部に適用される符号の具体例3を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【0060】
具体例3は、具体例2と略同じで、高濃度の符号Dtが1つ形成されている。原稿読取部3は、符号Dtを「5」とし、周囲を「200」として出力する。
【0061】
図7は、図3の符号形成部に適用される符号の具体例4を示す説明図であって、(a)は、符号の外観であり、(b)は、符号の読み取り波形である。
【0062】
具体例4は、具体例3と異なり、低濃度の符号Dtが1つ形成されている。原稿読取部3は、符号Dtを「50」とし、周囲を「200」として出力する。したがって、具体例3と具体例4とでは、符号Dtに応じて出力される数値が異なっている。原稿読取部3は、符号Dtの出力される数値によって、符号Dtの濃度を読み取る。
【0063】
なお、本実施の形態では、符号Dtを黒色として濃度を変化させているが、本発明はこれに限定されず、濃度が異なっていれば他の色でも構わない。
【0064】
筐体10に符号を設けた場合、原稿読取部3は、図4ないし図7に示す読み取り波形に基づく筐体情報44dを出力する。なお、符号Dtが形成されていない場合は、符号Dtが検出されなかったことを筐体情報44dとして出力する。付加機能許可情報42dは、筐体情報44dに応じて適宜選択すればよい。例えば、符号Dtの個数で比較する場合、付加機能許可情報42dは、符号Dtの個数が3つのときに付加機能部40を使用可能とし、符号Dtの個数が1つのときに付加機能部40を使用不可とする設定を含む。また、符号Dtの濃度で比較する場合、付加機能許可情報42dは、符号Dtが高濃度のときに付加機能部40を使用可能とし、符号Dtが低濃度のときに付加機能部40を使用不可とする設定を含む。
【0065】
付加機能制限手段42は、出力された筐体情報44dと付加機能許可情報42dとを比較して、付加機能部40が使用可能または使用不可かを判断する。ここで、筐体情報44dと付加機能許可情報42dとが一致しない場合、例えば、符号Dtが形成されていない場合は、付加機能部40が使用不可であると判断される。
【0066】
上述したように、物理的機構として、筐体10の内部に符号Dtが形成されている。読取部41(原稿読取部3)は、符号Dtを読み取って数値化する。この構成によると、外部から目視できない位置に符号Dtを形成することによって、符号Dtの偽造などを防止することができる。
【0067】
また、上述したように、読取部41(原稿読取部3)は、符号Dtの個数または濃度を読み取る。この構成によると、符号の形態を多様化することができる。
【0068】
次に、物理的機構として、光検知センサの配置間隔を変化させた場合について説明する。
【0069】
図8は、図2における画像形成装置の光走査部の構造の一部を示す概略説明図であって、(a)は、光検知センサの配置間隔が広い場合(具体例5)であり、(b)は、光検知センサの配置間隔が狭い場合(具体例6)である。
【0070】
画像形成装置1は、予め設定された走査時間Tsに基づいて被走査体(感光体ドラム21)を走査する光を照射する光走査部23と、光走査部23から照射された光を検知する光検知センサ23dとを備える。読取部41は、光検知センサ23dの検知結果に基づいて走査時間Tsを検出し、読取結果とする。この構成によると、画像形成装置1として必要不可欠な部分を固有の物理的機構とすることによって、偽造や置換などの不正な改造を防止することができる。
【0071】
光走査部23は、光源23a、ミラー23b、および折り返しミラー23cを備える。
【0072】
光源23aは、例えば、レーザダイオードなどであって、光をミラー23bに照射する。
【0073】
ミラー23bは、反射した光が感光体ドラム21を走査されるように回転駆動する。ミラー23bの回転駆動する範囲は、予め設定されており、具体例5は具体例6より大きく駆動する。なお、本実施の形態では、感光体ドラム21を走査する際にミラー23bの駆動する速度は、具体例5および具体例6ともに一定とされている。
【0074】
折り返しミラー23cは、光反射部材であり、ミラー23bから照射された光を反射して感光体ドラム21の表面へ導く。
【0075】
光検知センサ23dは、2つ配置されており、ミラー23bの回転駆動する範囲の両端から照射される光をそれぞれ検出する。以下では、2つの光検知センサ23dの間の距離を配置間隔と呼ぶ。具体例5の配置間隔Ls1と、具体例6の配置間隔Ls2とでは、配置間隔Ls1の方が広く設定されている。
【0076】
図9は、図8における光検知センサの検出結果を示す説明図である。Case5は、具体例5の検出結果を示す。Case6は、具体例6の検出結果を示す。横軸は時間の変化を示す。
【0077】
光検知センサ23dは、通常、「Low」を出力し、ミラー23bからの光を検知したときに「High」を出力する。なお、一方の光検知センサ23dが光を検知してから、他方の光検知センサ23dが光を検知するまでの時間を走査時間Tsと呼ぶ。走査時間Tsは、ミラー23bの回転駆動する範囲、つまり、配置間隔によって決定される。配置間隔が広くなると、走査時間Tsが長くなる。本実施の形態では、具体例5の走査時間Tsは、「500μsec」であって、具体例6の走査時間Tsは、「400μsec」である。
【0078】
光検知センサ23dの配置間隔を変化させた場合、読取部41は、光検知センサ23dの検知結果に基づいて、走査時間Tsを筐体情報44dとして出力する。付加機能許可情報42dは、走査時間Tsが「500μsec」のときに付加機能部40を使用可能とし、走査時間Tsが「400μsec」のときに付加機能部40を使用不可とする設定を含む。
【0079】
付加機能制限手段42は、出力された筐体情報44dと付加機能許可情報42dとを比較して、付加機能部40が使用可能または使用不可かを判断する。ここで、筐体情報44dと付加機能許可情報42dとが一致しない場合は、付加機能部40が使用不可であると判断される。例えば、異なる機種の筐体10にROM47を取り付けたことによって、走査時間Tsが付加機能許可情報42dに登録されていない設定となったときに、使用不可であると判断できる。
【0080】
図10は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置で、付加機能部が使用可能または使用不可かを判断する場合の処理(付加機能判断処理)フローを示すフロー図である。
【0081】
本実施の形態では、付加機能判断動作を画像形成装置の起動時に行っているが、例えば、画像形成の実行を指示されたときに行ってもよい。
【0082】
ステップS1では、読取部41によって、筐体情報44dの読取を行う。
【0083】
ステップS2では、付加機能制限手段42によって、付加機能部40を使用可能かどうかが判断される。付加機能許可情報42dと筐体情報44dとを比較して、付加機能部40が使用可能であるとき(ステップS2:Yes)、ステップS3へ進む。付加機能部40が使用可能でないとき(ステップS2:No)、ステップS5へ進む。
【0084】
ステップS3では、「拡張許可モデル」であると判定される。「拡張許可モデル」とは、拡張ボード100を取り付けることによって、付加機能を実現できる機種を示す。
【0085】
ステップS4では、付加機能制限手段42によって、拡張機能での動作が指示され、付加機能判断処理を終了する。その後、ユーザの指示に基づいて、画像形成を行うことができる。ここで、拡張機能での動作とは、画像形成機能に付加機能を加えた動作のことである。例えば、プリンタ機能を実現する拡張ボード100を取り付けたとき、画像形成装置1は、複写機およびプリンタとして使用することができる。なお、拡張ボード100が取り付けられていなければ、付加機能を実現することはできない。
【0086】
ステップS5では、付加機能制限手段42によって、付加機能部40を使用不可かどうかが判断される。つまり、ステップS2とステップS5とを行うことで、筐体情報44dが付加機能許可情報42dに含まれていない設定である場合を特定する。付加機能許可情報42dと筐体情報44dとを比較して、付加機能部40が使用不可であるとき(ステップS5:Yes)、ステップS6へ進む。付加機能部40が使用不可でないとき(ステップS5:No)、ステップS9へ進む。
【0087】
ステップS6では、「拡張禁止モデル」であると判定される。「拡張禁止モデル」とは、拡張ボード100の有無にかかわらず、付加機能部40が使用できない機種を示す。
【0088】
ステップS7では、拡張ボード100の有無を判断される。拡張ボード100が有るとき(ステップS7:Yes)、ステップS9へ進む。拡張ボード100がないとき(ステップS7:No)、ステップS8へ進む。
【0089】
ステップS8では、付加機能制限手段42によって、最小機能での動作が指示され、付加機能判断処理を終了する。ここで、最小機能での動作とは、画像形成機能のみでの動作のことである。その後、ユーザの指示に基づいて、画像形成を行うことができる。
【0090】
ステップS9では、付加機能制限手段42によって、動作の停止が指示される。つまり、筐体情報44dと付加機能許可情報42dとが一致しない場合や、「拡張禁止モデル」に拡張ボード100が取り付けられている場合は、画像形成装置1を使用不可能であると判断される。その後、筐体10に設けられた表示部(図示しない)にエラーを表示して、付加機能判断処理を終了する。
【0091】
上述したように、本実施の形態では、機種ごとに設けた固有の物理的機構に応じて、付加機能許可情報42dに設定を登録している。このようにすれば、例えば、ROM47を異なる機種のROM47と入れ替えるといった改造を防止することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置
4 画像形成部
10 筐体
23 光走査部
23d 光検知センサ
40 付加機能部
41 読取部
42 付加機能制限手段
42d 付加機能許可情報
43 CPU
44 RAM
44d 筐体情報
45 画像形成制御手段
46 拡張ボード接続部
Dt 符号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の付加機能を実現するための付加機能部を備える画像形成装置であって、
筐体に設けられた固有の物理的機構を読み取る読取部と、
前記読取部の読取結果に基づいて、前記付加機能部が使用可能または使用不可かを判断する付加機能制限手段とを備え、
前記付加機能制限手段は、前記読取結果との比較に用いる付加機能許可情報を有すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記付加機能制限手段は、書き換え不可能なメモリ領域に前記付加機能許可情報を格納していること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記物理的機構として、前記筐体の内部に符号が形成され、
前記読取部は、前記符号を読み取って数値化すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記読取部は、前記符号の個数または濃度を読み取ること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
予め設定された走査時間に基づいて被走査体を走査する光を照射する光走査部と、
前記光走査部から照射された光を検知する光検知センサとを備え、
前記読取部は、前記光検知センサの検知結果に基づいて前記走査時間を検出し、読取結果とすること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−78557(P2012−78557A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223617(P2010−223617)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】