画像形成装置
【課題】液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドの気泡排出性を向上し、安定した画像形成を行えるようにする。
【解決手段】個別液室202と共通液室203との間には、共通液室203に通じて共通液室203を外部(ヘッドの外)に連通する気泡排出流路221が設けられている。この気泡排出流路221内には、気泡排出流路221を開閉する開位置と閉位置との間で移動可能な弁体222と、弁体222を、気泡排出経路221を閉じる方向に付勢するばね223とを含む弁手段224が設けられ、ばね223の付勢力は、共通液室203に対して液体供給口部204からインクを所定の圧力で加圧して供給したときに弁体222が開く力に設定されている。
【解決手段】個別液室202と共通液室203との間には、共通液室203に通じて共通液室203を外部(ヘッドの外)に連通する気泡排出流路221が設けられている。この気泡排出流路221内には、気泡排出流路221を開閉する開位置と閉位置との間で移動可能な弁体222と、弁体222を、気泡排出経路221を閉じる方向に付勢するばね223とを含む弁手段224が設けられ、ばね223の付勢力は、共通液室203に対して液体供給口部204からインクを所定の圧力で加圧して供給したときに弁体222が開く力に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置として例えばインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
従来の画像形成装置として、ノズルからインク滴を重力に逆らって上向きに吐出して被記録媒体の下面に画像記録を行う記録ヘッドを備えるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−341321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドの流路内に気泡が混入した場合、吐出された滴の噴射曲がりや吐出不能などの吐出不良が生じ、安定した滴吐出を行うことができなくなり、画像品質が低下することになる。
【0006】
特に、上述したように垂直方向上方向に向けて液滴を吐出させる状態で液体吐出ヘッドを配置した場合、複数のノズルが連通する個別液室にインクを供給する共通液室内に進入した気泡は、浮力によって個別液室側に移動して、共通液室より下流側の流路を塞ぎ、吐出不能が発生し易くなるという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドの気泡排出性を向上し、安定した画像形成を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を垂直方向上方に向けて吐出させる状態で配置された記録ヘッドを備え、
被記録媒体を前記記録ヘッドの上方位置で搬送して前記記録ヘッドによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルがそれぞれ連通する複数の個別液室と、前記複数の個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に液体を供給する液体供給口部と、を有し、
前記共通液室には外部に通じる気泡排出流路が連通し、
前記気泡排出流路には開閉可能な弁手段が設けられている
構成とした。
【0009】
ここで、前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段とを有し、
前記付勢手段の付勢力は、前記共通液室に対して前記液体供給口部から前記液体を加圧して供給したときに前記弁体が開く力に設定されている
構成とできる。
【0010】
また、前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を開位置と閉位置との間で移動させる駆動手段と、を有している構成とできる。
【0011】
また、前記弁手段を含む前記気泡排出流路の抵抗値は前記共通液室より下流側流路の流体抵抗値よりも小さい構成とできる。
【0012】
また、前記共通液室は、前記気泡排出流路に向けて上方に傾斜している構成とできる。
【0013】
また、前記気泡排出流路にはフィルタ部材が設けられている構成とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置によれば、前記記録ヘッドの共通液室には外部に通じる気泡排出流路が連通し、気泡排出流路には開閉可能な弁手段が設けられている構成としたので、弁手段を開くことで共通液室から液体とともに気泡を排出させることができ、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドの気泡排出性が向上し、安定した画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の説明に供する要部側面説明図である。
【図2】同じく装置底面側から見た要部底面説明図である。
【図3】同装置の制御部の概要の説明に供するブロック説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態における記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【図5】図4のX平面(ノズル配列方向と直交する方向)に沿う要部模式的断面説明図である。
【図6】図4のY平面(ノズル配列方向)に沿う模式的断面説明図である。
【図7】同実施形態における気泡排出動作の説明に供するフロー図である。
【図8】同じく要部模式的説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図10】同実施形態における気泡排出動作の説明に供するフロー図である。
【図11】同じく要部模式的説明図である。
【図12】同じく他の気泡排出動作の説明に供するフロー図である。
【図13】同じく要部模式的説明図である。
【図14】同じく要部模式的説明図である。
【図15】本発明の第3実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図16】本発明の第4実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図18】本発明の第6実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図19】本発明の第7実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図20】本発明の第8実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の要部側面説明図、図2は同じく装置底面側から見た要部底面説明図である。
【0017】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側の給紙部4から被記録媒体である用紙10を給紙し、搬送機構5によって用紙10を水平方向に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって垂直方向上方に向けて液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6の排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0018】
ここで、画像形成部2は、左右の側板11L、11R間に横架した主ガイド部材21及び従ガイド部材22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0019】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を垂直方向上方に向けて装着している。
【0020】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0021】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24の各ノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される図示しない各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。なお、記録ヘッド24は滴吐出方向を垂直方向上方向としているので、液垂れを防止するために負圧を形成する必要は必ずしもなく、ここではヘッドタンク29は単なるバッファタンクとしている。
【0022】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板11L、11R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0023】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、記録ヘッド24の各ノズル面をキャピングするための各キャップ92a、92b(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面をワイピングするワイパ部材(ワイパブレード)93と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。
【0024】
給紙部4は、給紙トレイ41の用紙10を、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙し、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の上流側のレジストローラ対46、47間に送り込まれた後、搬送機構部5の搬送ベルト51に吸着されて搬送される。なお、レジストローラ対46,47の上流側には用紙10を検知する用紙検知センサ49が配置されている。
【0025】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持する図示しないプラテン部材などを有している。
【0026】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。
【0027】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0028】
排紙部6は、搬送ベルト51から画像が記録された用紙10を分離する分離爪61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63を有し、画像が形成された用紙10を排紙ローラ62及び拍車63間から排紙トレイ7上に排紙する。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙部4の給紙トレイ41から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が水平方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10に対して下方から上方に向けてインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0030】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズルからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0031】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図3のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係る制御(処理)を実行させるプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0032】
また、記録ヘッド24を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ23側に設けた記録ヘッド24を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ23を移動走査する主走査モータ25、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ151を駆動するためのモータ駆動部510、511と、帯電ローラ54にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0033】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0034】
そして、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0035】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0036】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0037】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド24の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド24の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0038】
I/O部513は、主走査エンコーダ123、副走査エンコーダ156、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、511、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するためのキャリッジ23に設けられた光学センサ(用紙センサ)521や、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0039】
例えば、CPU501は、主走査エンコーダ123を構成するエンコーダセンサ122からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ25に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ25を駆動する。同様に、副走査エンコーダ156を構成するエンコーダセンサ155からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ151対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ151を駆動する。
【0040】
また、制御部500は、維持回復駆動部534を介して、維持回復機構9を駆動して、キャップ92を記録ヘッド24のノズル面に対して進退移動させ、ワイパ部材94を移動させ、吸引ポンプを駆動する。また、ポンプ駆動部535を介して供給ポンプ13を駆動することで、図示しないメインタクからヘッドタンク29へのインクの送液、あるいは、ヘッドタンク29からメインタンクへのインクの逆送を行う。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態における記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドについて図4ないし図6を参照して説明する。なお、図4は同ヘッドの外観斜視説明図、図5は図4のX−X面(ノズル配列方向と直交する方向:短手方向)に沿う要部模式的断面説明図、図6は図4のY面(ノズル配列方向:長手方向)模式的断面説明図である。
【0042】
この液体吐出ヘッド200は、液滴を吐出する複数のノズル201と、各ノズル201が連通する個別液室202とを形成する流路部材211と、各個別液室202にインクを供給する共通液室203と、共通液室203にヘッドタンク29からインクが供給される液体供給口部204とを形成した共通液室部材212とを有している。なお、個別液室202に対して液滴を吐出させる圧力を発生させるアクチュエータ手段としては、例えば圧電素子を使用しているが、これに限るものではない。また、「液室」は流路と称されるものを含み、「個別液室」は、例えば加圧室、加圧液室、圧力室、圧力発生室などと称されるものを含む。
【0043】
そして、図5に示すように、個別液室202と共通液室10との間には、共通液室10に通じて共通液室10を外部(ヘッド200の外)に連通する気泡排出流路221が設けられている。この気泡排出流路221内には、気泡排出流路221を開閉する開位置と閉位置との間で移動可能な弁体222と、弁体222を、気泡排出経路221を閉じる方向に付勢する付勢手段としてのばね223とを含む弁手段224が設けられている。
【0044】
ここで、付勢手段としてのばね223の付勢力は、共通液室203に対して液体供給口部204からインクを所定の圧力で加圧して供給したときに弁体222が開く力に設定されている。言い換えれば、弁手段224を含む気泡排出流路221の抵抗値は共通液室203より下流側流路の流体抵抗値よりも小さい構成としている。
【0045】
次に、本実施形態における気泡排出動作について図7のフロー図及び図8の説明図を参照して説明する。なお、図7のステップAないしGと図8(a)ないし(g)とが対応する。
【0046】
この気泡排出動作では、図7に示すように、ヘッド200の流路内にインクが充填された状態(ステップA)で、共通液室203内に気泡が流入した(ステップB)ときに、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップC)。
【0047】
このインクの供給圧力により、弁手段224の弁体222がばね223の付勢力に抗して開位置に移動して弁手段224が開き(ステップD)、気泡排出流路221が開放されるので、気泡は気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される(ステップE)。そこで、インクの加圧供給を停止する(ステップF)ことで、弁手段224の弁体222が閉じる(ステップG)。
【0048】
具体的には、図8(a)に示すように液体吐出ヘッド200の流路内にインク300が充填された状態で、同図(b1)、(b2)に示すように供給口部204側から共通液室203内に気泡301が流入したとする。
【0049】
ここで、同図(c)に示すように、供給ポンプ13を駆動して供給口部204側から共通液室203にインクを加圧供給する。このとき、上述したように、弁手段224のばね223の付勢力は、共通液室203に対して液体供給口部204からインクを所定の圧力で加圧して供給したときに弁体222が開く力に設定されている、つまり、弁手段224を含む気泡排出流路221の抵抗値は共通液室203より下流側流路の流体抵抗値よりも小さい構成としているので、同図(d)に示すように弁体222が開く。
【0050】
これにより、同図(e1)、(e2)に示すように、気泡排出流路221が開放されるので、気泡は気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される。そこで、同図(f)に示すように、インクの加圧供給を停止することで、同図(g)に示すように、弁手段224のばね223の付勢力によって弁体222が閉じ、正常な充填状態に戻る。
【0051】
なお、上記の動作は、例えば、予め定めた一定のタイミングで実行することができる。また、ヘッド200内部に気泡検知センサを設けて、共通液室内に気泡が混入したときに実行することもできる。さらに、ヘッド200からの吐出滴をレーザー光などを用いて滴吐出状態検知手段で検知し、吐出不良が検知されたときに実行するようにすることもできる。また、加圧供給の制御は制御部500によって行われる(以下同様である。)。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。なお、図9は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【0053】
本実施形態では、弁手段234は、気泡排出流路221を開閉する弁体232と、弁体232をレバー233を介して開閉させる駆動手段としてのソレノイド235とを有している。
【0054】
次に、本実施形態における気泡排出動作について図10のフロー図及び図11の説明図を参照して説明する。なお、図10のステップAないしDと図11(a)ないし(d)とが対応する。
【0055】
この気泡排出動作では、図10に示すように、ヘッド200の流路内にインクが充填された状態(ステップA)で、共通液室203から個別液室202内に気泡が流入した(ステップB)ときに、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップC)。
【0056】
このとき、弁手段224を閉じたままの状態にすることで、気泡排出経路221へのインクが流れは発生せず、気泡は個別液室202からノズル201を通じて排出される(ステップD)。そこで、インクの加圧供給を停止する(ステップE)。
【0057】
具体的には、図10(a)に示すように液体吐出ヘッド200の流路内にインク300が充填された状態で、同図(b1)、(b2)に示すように供給口部204側から共通液室203内に気泡301が流入し、共通液室203から個別液室202に気泡301が移動したとする。
【0058】
ここで、同図(c)に示すように、供給ポンプ13を駆動して供給口部204側から共通液室203にインクを加圧供給する。このとき、気泡排出流路221は閉じている。これにより、加圧供給されたインクによって、同図(d1)ないし(d3)に示すように、個別液室202に侵入した気泡301はノズル201を経てヘッド200外部に排出される。
【0059】
その後、図示しないが、同図(d3)に示すように、ヘッド200のノズル201の近傍にはインクが排出されるので、ワイパ部材93によってノズル面を払拭して清浄化する。
【0060】
なお、この気泡排出動作を行うタイミングなどは前記第1実施形態で説明したと同様である。
【0061】
次に、本実施形態における共通液室内及び個別液室内に流入した気泡の気泡排出動作について図12のフロー図並びに図13及び図14の説明図を参照して説明する。なお、図12のステップAないしIと図13及び図14の(a)ないし(i)とが対応する。
【0062】
この気泡排出動作では、図12に示すように、ヘッド200の流路内にインクが充填された状態(ステップA)で、ヘッド200内に気泡が流入した(ステップB)ときに、ソレノイド235を駆動してレバー234を介して弁体232を開いて共通液室203の気泡排出流路221を開放し(ステップC)、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップD)。
【0063】
このインクの供給圧力により、共通液室203内に侵入した気泡は、気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される(ステップE)。
【0064】
その後、ソレノイド235を非駆動にすることで、弁体232を閉じて、気泡排出流路221を閉じる(ステップF)。
【0065】
次いで、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップG)。このとき、上述したように、気泡排出流路221は閉じている。これにより、加圧供給されたインクによって、個別液室202内に侵入した気泡はノズル201を経てヘッド200外部に排出される(ステップH)。そこで、インクの加圧供給を停止する(ステップI)。
【0066】
具体的には、図13(a)に示すように液体吐出ヘッド200の流路内にインク300が充填された状態で、同図(b1)に示すように供給口部204側から共通液室203内に気泡301が流入して滞留し、共通液室203から個別液室202にも気泡301が侵入したとする。
【0067】
そこで、同図(c1)、(c2)に示すように、弁手段234のソレノイド235を駆動して弁体232を開放位置に移動させることで共通液室203の気泡排出流路221を開放する。その後、同図(d)に示すように、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する。
【0068】
このインクの供給圧力により、同図(e1)、(e2)に示すように、共通液室203内に侵入した気泡は、気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される。
【0069】
次いで、図14(f1)、(f2)に示すように、弁手段234のソレノイド235を非駆動にして弁体232を閉位置に移動させることで共通液室203の気泡排出流路221を閉じる。
【0070】
そして、同図(g)に示すように、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する。
【0071】
このとき、上述したように、気泡排出流路221は閉じている。これにより、加圧供給されたインクによって、同図(h1)ないし(h3)に示すように、個別液室202に侵入した気泡301はノズル201を経てヘッド200外部に排出される。
【0072】
そこで、同図(i)に示すように、インクの加圧供給を停止する。
【0073】
その後、同図(i)に示すように、ヘッド200のノズル201の近傍にはインクが排出されるので、ワイパ部材93によってノズル面を払拭して清浄化する。
【0074】
なお、この気泡排出動作を行うタイミングなどは前記第1実施形態で説明したと同様である。
【0075】
次に、本発明の第3実施形態について図15を参照して説明する。なお、図15は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0076】
本実施形態では、気泡排出流路221を、共通液室203側の入口からヘッド200外部側の出口に向かって高さ方向で高くなるように傾斜して設けている。
【0077】
これにより、気泡は浮力でも気泡排出流路221から排出され易くなる。
【0078】
次に、本発明の第4実施形態について図16を参照して説明する。なお、図16は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0079】
本実施形態では、気泡排出流路221を、共通液室203側の入口からヘッド200外部側の出口に向かって絞られた形状としている。
【0080】
これにより、気泡排出性が向上する。
【0081】
次に、本発明の第5実施形態について図17を参照して説明する。なお、図17は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0082】
本実施形態は、前記第4、第5実施形態を組み合わせたもので、これにより、気泡排出性が向上する。
【0083】
次に、本発明の第6実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0084】
本実施形態では、気泡排出流路221の途中に異物を捕捉するフィルタ部材240を設けている。
【0085】
これにより、外部から気泡排出流路221を通じて共通液室203に異物が侵入して、ノズルの目詰まりなどによる吐出不良が発生することを防止できる。
【0086】
次に、本発明の第7実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0087】
本実施形態では、共通液室203内に、個別液室202に対向する壁部241を設けている。この壁部241の上流側壁面241aは気泡排出流路221に向かって傾斜する傾斜面としている。
【0088】
これにより、気泡を積極的に気泡排出流路221に向けて案内することができ、気泡排出性が向上する。
【0089】
次に、本発明の第8実施形態について図20を参照して説明する。なお、図20は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
本実施形態では、気泡排出経路221を開閉する弁手段244として、揺動可能な弁部材242と、この弁部材242を閉じる方向に付勢する付勢手段としてのばね243を設けている。
【0090】
本実施形態でも前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0092】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0093】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0094】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0095】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0096】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構部
7 維持回復機構
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
51 搬送ベルト
200 液体吐出ヘッド
201 ノズル
202 個別液室
203 共通液室
221 気泡排出流路
222,232 弁体
223 ばね(付勢手段)
224、234 弁手段
235 ソレノイド(駆動手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置として例えばインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
従来の画像形成装置として、ノズルからインク滴を重力に逆らって上向きに吐出して被記録媒体の下面に画像記録を行う記録ヘッドを備えるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−341321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドの流路内に気泡が混入した場合、吐出された滴の噴射曲がりや吐出不能などの吐出不良が生じ、安定した滴吐出を行うことができなくなり、画像品質が低下することになる。
【0006】
特に、上述したように垂直方向上方向に向けて液滴を吐出させる状態で液体吐出ヘッドを配置した場合、複数のノズルが連通する個別液室にインクを供給する共通液室内に進入した気泡は、浮力によって個別液室側に移動して、共通液室より下流側の流路を塞ぎ、吐出不能が発生し易くなるという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドの気泡排出性を向上し、安定した画像形成を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を垂直方向上方に向けて吐出させる状態で配置された記録ヘッドを備え、
被記録媒体を前記記録ヘッドの上方位置で搬送して前記記録ヘッドによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルがそれぞれ連通する複数の個別液室と、前記複数の個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に液体を供給する液体供給口部と、を有し、
前記共通液室には外部に通じる気泡排出流路が連通し、
前記気泡排出流路には開閉可能な弁手段が設けられている
構成とした。
【0009】
ここで、前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段とを有し、
前記付勢手段の付勢力は、前記共通液室に対して前記液体供給口部から前記液体を加圧して供給したときに前記弁体が開く力に設定されている
構成とできる。
【0010】
また、前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を開位置と閉位置との間で移動させる駆動手段と、を有している構成とできる。
【0011】
また、前記弁手段を含む前記気泡排出流路の抵抗値は前記共通液室より下流側流路の流体抵抗値よりも小さい構成とできる。
【0012】
また、前記共通液室は、前記気泡排出流路に向けて上方に傾斜している構成とできる。
【0013】
また、前記気泡排出流路にはフィルタ部材が設けられている構成とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置によれば、前記記録ヘッドの共通液室には外部に通じる気泡排出流路が連通し、気泡排出流路には開閉可能な弁手段が設けられている構成としたので、弁手段を開くことで共通液室から液体とともに気泡を排出させることができ、液滴を垂直方向上方に向けて吐出する記録ヘッドの気泡排出性が向上し、安定した画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の説明に供する要部側面説明図である。
【図2】同じく装置底面側から見た要部底面説明図である。
【図3】同装置の制御部の概要の説明に供するブロック説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態における記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【図5】図4のX平面(ノズル配列方向と直交する方向)に沿う要部模式的断面説明図である。
【図6】図4のY平面(ノズル配列方向)に沿う模式的断面説明図である。
【図7】同実施形態における気泡排出動作の説明に供するフロー図である。
【図8】同じく要部模式的説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図10】同実施形態における気泡排出動作の説明に供するフロー図である。
【図11】同じく要部模式的説明図である。
【図12】同じく他の気泡排出動作の説明に供するフロー図である。
【図13】同じく要部模式的説明図である。
【図14】同じく要部模式的説明図である。
【図15】本発明の第3実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図16】本発明の第4実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図18】本発明の第6実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図19】本発明の第7実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【図20】本発明の第8実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の要部側面説明図、図2は同じく装置底面側から見た要部底面説明図である。
【0017】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側の給紙部4から被記録媒体である用紙10を給紙し、搬送機構5によって用紙10を水平方向に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって垂直方向上方に向けて液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6の排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0018】
ここで、画像形成部2は、左右の側板11L、11R間に横架した主ガイド部材21及び従ガイド部材22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0019】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を垂直方向上方に向けて装着している。
【0020】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0021】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24の各ノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される図示しない各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。なお、記録ヘッド24は滴吐出方向を垂直方向上方向としているので、液垂れを防止するために負圧を形成する必要は必ずしもなく、ここではヘッドタンク29は単なるバッファタンクとしている。
【0022】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板11L、11R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0023】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、記録ヘッド24の各ノズル面をキャピングするための各キャップ92a、92b(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面をワイピングするワイパ部材(ワイパブレード)93と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。
【0024】
給紙部4は、給紙トレイ41の用紙10を、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙し、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の上流側のレジストローラ対46、47間に送り込まれた後、搬送機構部5の搬送ベルト51に吸着されて搬送される。なお、レジストローラ対46,47の上流側には用紙10を検知する用紙検知センサ49が配置されている。
【0025】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持する図示しないプラテン部材などを有している。
【0026】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。
【0027】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0028】
排紙部6は、搬送ベルト51から画像が記録された用紙10を分離する分離爪61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63を有し、画像が形成された用紙10を排紙ローラ62及び拍車63間から排紙トレイ7上に排紙する。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙部4の給紙トレイ41から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が水平方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10に対して下方から上方に向けてインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0030】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズルからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0031】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図3のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係る制御(処理)を実行させるプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0032】
また、記録ヘッド24を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ23側に設けた記録ヘッド24を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ23を移動走査する主走査モータ25、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ151を駆動するためのモータ駆動部510、511と、帯電ローラ54にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0033】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0034】
そして、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0035】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0036】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0037】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド24の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド24の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0038】
I/O部513は、主走査エンコーダ123、副走査エンコーダ156、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、511、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するためのキャリッジ23に設けられた光学センサ(用紙センサ)521や、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0039】
例えば、CPU501は、主走査エンコーダ123を構成するエンコーダセンサ122からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ25に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ25を駆動する。同様に、副走査エンコーダ156を構成するエンコーダセンサ155からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ151対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ151を駆動する。
【0040】
また、制御部500は、維持回復駆動部534を介して、維持回復機構9を駆動して、キャップ92を記録ヘッド24のノズル面に対して進退移動させ、ワイパ部材94を移動させ、吸引ポンプを駆動する。また、ポンプ駆動部535を介して供給ポンプ13を駆動することで、図示しないメインタクからヘッドタンク29へのインクの送液、あるいは、ヘッドタンク29からメインタンクへのインクの逆送を行う。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態における記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドについて図4ないし図6を参照して説明する。なお、図4は同ヘッドの外観斜視説明図、図5は図4のX−X面(ノズル配列方向と直交する方向:短手方向)に沿う要部模式的断面説明図、図6は図4のY面(ノズル配列方向:長手方向)模式的断面説明図である。
【0042】
この液体吐出ヘッド200は、液滴を吐出する複数のノズル201と、各ノズル201が連通する個別液室202とを形成する流路部材211と、各個別液室202にインクを供給する共通液室203と、共通液室203にヘッドタンク29からインクが供給される液体供給口部204とを形成した共通液室部材212とを有している。なお、個別液室202に対して液滴を吐出させる圧力を発生させるアクチュエータ手段としては、例えば圧電素子を使用しているが、これに限るものではない。また、「液室」は流路と称されるものを含み、「個別液室」は、例えば加圧室、加圧液室、圧力室、圧力発生室などと称されるものを含む。
【0043】
そして、図5に示すように、個別液室202と共通液室10との間には、共通液室10に通じて共通液室10を外部(ヘッド200の外)に連通する気泡排出流路221が設けられている。この気泡排出流路221内には、気泡排出流路221を開閉する開位置と閉位置との間で移動可能な弁体222と、弁体222を、気泡排出経路221を閉じる方向に付勢する付勢手段としてのばね223とを含む弁手段224が設けられている。
【0044】
ここで、付勢手段としてのばね223の付勢力は、共通液室203に対して液体供給口部204からインクを所定の圧力で加圧して供給したときに弁体222が開く力に設定されている。言い換えれば、弁手段224を含む気泡排出流路221の抵抗値は共通液室203より下流側流路の流体抵抗値よりも小さい構成としている。
【0045】
次に、本実施形態における気泡排出動作について図7のフロー図及び図8の説明図を参照して説明する。なお、図7のステップAないしGと図8(a)ないし(g)とが対応する。
【0046】
この気泡排出動作では、図7に示すように、ヘッド200の流路内にインクが充填された状態(ステップA)で、共通液室203内に気泡が流入した(ステップB)ときに、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップC)。
【0047】
このインクの供給圧力により、弁手段224の弁体222がばね223の付勢力に抗して開位置に移動して弁手段224が開き(ステップD)、気泡排出流路221が開放されるので、気泡は気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される(ステップE)。そこで、インクの加圧供給を停止する(ステップF)ことで、弁手段224の弁体222が閉じる(ステップG)。
【0048】
具体的には、図8(a)に示すように液体吐出ヘッド200の流路内にインク300が充填された状態で、同図(b1)、(b2)に示すように供給口部204側から共通液室203内に気泡301が流入したとする。
【0049】
ここで、同図(c)に示すように、供給ポンプ13を駆動して供給口部204側から共通液室203にインクを加圧供給する。このとき、上述したように、弁手段224のばね223の付勢力は、共通液室203に対して液体供給口部204からインクを所定の圧力で加圧して供給したときに弁体222が開く力に設定されている、つまり、弁手段224を含む気泡排出流路221の抵抗値は共通液室203より下流側流路の流体抵抗値よりも小さい構成としているので、同図(d)に示すように弁体222が開く。
【0050】
これにより、同図(e1)、(e2)に示すように、気泡排出流路221が開放されるので、気泡は気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される。そこで、同図(f)に示すように、インクの加圧供給を停止することで、同図(g)に示すように、弁手段224のばね223の付勢力によって弁体222が閉じ、正常な充填状態に戻る。
【0051】
なお、上記の動作は、例えば、予め定めた一定のタイミングで実行することができる。また、ヘッド200内部に気泡検知センサを設けて、共通液室内に気泡が混入したときに実行することもできる。さらに、ヘッド200からの吐出滴をレーザー光などを用いて滴吐出状態検知手段で検知し、吐出不良が検知されたときに実行するようにすることもできる。また、加圧供給の制御は制御部500によって行われる(以下同様である。)。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。なお、図9は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
【0053】
本実施形態では、弁手段234は、気泡排出流路221を開閉する弁体232と、弁体232をレバー233を介して開閉させる駆動手段としてのソレノイド235とを有している。
【0054】
次に、本実施形態における気泡排出動作について図10のフロー図及び図11の説明図を参照して説明する。なお、図10のステップAないしDと図11(a)ないし(d)とが対応する。
【0055】
この気泡排出動作では、図10に示すように、ヘッド200の流路内にインクが充填された状態(ステップA)で、共通液室203から個別液室202内に気泡が流入した(ステップB)ときに、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップC)。
【0056】
このとき、弁手段224を閉じたままの状態にすることで、気泡排出経路221へのインクが流れは発生せず、気泡は個別液室202からノズル201を通じて排出される(ステップD)。そこで、インクの加圧供給を停止する(ステップE)。
【0057】
具体的には、図10(a)に示すように液体吐出ヘッド200の流路内にインク300が充填された状態で、同図(b1)、(b2)に示すように供給口部204側から共通液室203内に気泡301が流入し、共通液室203から個別液室202に気泡301が移動したとする。
【0058】
ここで、同図(c)に示すように、供給ポンプ13を駆動して供給口部204側から共通液室203にインクを加圧供給する。このとき、気泡排出流路221は閉じている。これにより、加圧供給されたインクによって、同図(d1)ないし(d3)に示すように、個別液室202に侵入した気泡301はノズル201を経てヘッド200外部に排出される。
【0059】
その後、図示しないが、同図(d3)に示すように、ヘッド200のノズル201の近傍にはインクが排出されるので、ワイパ部材93によってノズル面を払拭して清浄化する。
【0060】
なお、この気泡排出動作を行うタイミングなどは前記第1実施形態で説明したと同様である。
【0061】
次に、本実施形態における共通液室内及び個別液室内に流入した気泡の気泡排出動作について図12のフロー図並びに図13及び図14の説明図を参照して説明する。なお、図12のステップAないしIと図13及び図14の(a)ないし(i)とが対応する。
【0062】
この気泡排出動作では、図12に示すように、ヘッド200の流路内にインクが充填された状態(ステップA)で、ヘッド200内に気泡が流入した(ステップB)ときに、ソレノイド235を駆動してレバー234を介して弁体232を開いて共通液室203の気泡排出流路221を開放し(ステップC)、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップD)。
【0063】
このインクの供給圧力により、共通液室203内に侵入した気泡は、気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される(ステップE)。
【0064】
その後、ソレノイド235を非駆動にすることで、弁体232を閉じて、気泡排出流路221を閉じる(ステップF)。
【0065】
次いで、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する(ステップG)。このとき、上述したように、気泡排出流路221は閉じている。これにより、加圧供給されたインクによって、個別液室202内に侵入した気泡はノズル201を経てヘッド200外部に排出される(ステップH)。そこで、インクの加圧供給を停止する(ステップI)。
【0066】
具体的には、図13(a)に示すように液体吐出ヘッド200の流路内にインク300が充填された状態で、同図(b1)に示すように供給口部204側から共通液室203内に気泡301が流入して滞留し、共通液室203から個別液室202にも気泡301が侵入したとする。
【0067】
そこで、同図(c1)、(c2)に示すように、弁手段234のソレノイド235を駆動して弁体232を開放位置に移動させることで共通液室203の気泡排出流路221を開放する。その後、同図(d)に示すように、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する。
【0068】
このインクの供給圧力により、同図(e1)、(e2)に示すように、共通液室203内に侵入した気泡は、気泡排出流路221からヘッド200の外部に排出される。
【0069】
次いで、図14(f1)、(f2)に示すように、弁手段234のソレノイド235を非駆動にして弁体232を閉位置に移動させることで共通液室203の気泡排出流路221を閉じる。
【0070】
そして、同図(g)に示すように、液体供給口部204から共通液室203にインクを加圧供給する。
【0071】
このとき、上述したように、気泡排出流路221は閉じている。これにより、加圧供給されたインクによって、同図(h1)ないし(h3)に示すように、個別液室202に侵入した気泡301はノズル201を経てヘッド200外部に排出される。
【0072】
そこで、同図(i)に示すように、インクの加圧供給を停止する。
【0073】
その後、同図(i)に示すように、ヘッド200のノズル201の近傍にはインクが排出されるので、ワイパ部材93によってノズル面を払拭して清浄化する。
【0074】
なお、この気泡排出動作を行うタイミングなどは前記第1実施形態で説明したと同様である。
【0075】
次に、本発明の第3実施形態について図15を参照して説明する。なお、図15は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0076】
本実施形態では、気泡排出流路221を、共通液室203側の入口からヘッド200外部側の出口に向かって高さ方向で高くなるように傾斜して設けている。
【0077】
これにより、気泡は浮力でも気泡排出流路221から排出され易くなる。
【0078】
次に、本発明の第4実施形態について図16を参照して説明する。なお、図16は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0079】
本実施形態では、気泡排出流路221を、共通液室203側の入口からヘッド200外部側の出口に向かって絞られた形状としている。
【0080】
これにより、気泡排出性が向上する。
【0081】
次に、本発明の第5実施形態について図17を参照して説明する。なお、図17は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0082】
本実施形態は、前記第4、第5実施形態を組み合わせたもので、これにより、気泡排出性が向上する。
【0083】
次に、本発明の第6実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0084】
本実施形態では、気泡排出流路221の途中に異物を捕捉するフィルタ部材240を設けている。
【0085】
これにより、外部から気泡排出流路221を通じて共通液室203に異物が侵入して、ノズルの目詰まりなどによる吐出不良が発生することを防止できる。
【0086】
次に、本発明の第7実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。また、弁手段については図示を省略する。
【0087】
本実施形態では、共通液室203内に、個別液室202に対向する壁部241を設けている。この壁部241の上流側壁面241aは気泡排出流路221に向かって傾斜する傾斜面としている。
【0088】
これにより、気泡を積極的に気泡排出流路221に向けて案内することができ、気泡排出性が向上する。
【0089】
次に、本発明の第8実施形態について図20を参照して説明する。なお、図20は同実施形態の説明に供する要部模式的断面説明図である。
本実施形態では、気泡排出経路221を開閉する弁手段244として、揺動可能な弁部材242と、この弁部材242を閉じる方向に付勢する付勢手段としてのばね243を設けている。
【0090】
本実施形態でも前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0092】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0093】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0094】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0095】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0096】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構部
7 維持回復機構
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
51 搬送ベルト
200 液体吐出ヘッド
201 ノズル
202 個別液室
203 共通液室
221 気泡排出流路
222,232 弁体
223 ばね(付勢手段)
224、234 弁手段
235 ソレノイド(駆動手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を垂直方向上方に向けて吐出させる状態で配置された記録ヘッドを備え、
被記録媒体を前記記録ヘッドの上方位置で搬送して前記記録ヘッドによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルがそれぞれ連通する複数の個別液室と、前記複数の個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に液体を供給する液体供給口部と、を有し、
前記共通液室には外部に通じる気泡排出流路が連通し、
前記気泡排出流路には開閉可能な弁手段が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段とを有し、
前記付勢手段の付勢力は、前記共通液室に対して前記液体供給口部から前記液体を加圧して供給したときに前記弁体が開く力に設定されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を開位置と閉位置との間で移動させる駆動手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記弁手段を含む前記気泡排出流路の抵抗値は前記共通液室より下流側流路の流体抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記共通液室は、前記気泡排出流路に向けて上方に傾斜していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記気泡排出流路にはフィルタ部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
液滴を垂直方向上方に向けて吐出させる状態で配置された記録ヘッドを備え、
被記録媒体を前記記録ヘッドの上方位置で搬送して前記記録ヘッドによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルがそれぞれ連通する複数の個別液室と、前記複数の個別液室に液体を供給する共通液室と、前記共通液室に液体を供給する液体供給口部と、を有し、
前記共通液室には外部に通じる気泡排出流路が連通し、
前記気泡排出流路には開閉可能な弁手段が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を閉じる方向に付勢する付勢手段とを有し、
前記付勢手段の付勢力は、前記共通液室に対して前記液体供給口部から前記液体を加圧して供給したときに前記弁体が開く力に設定されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記弁手段は、前記気泡排出流路を開閉する弁体と、前記弁体を開位置と閉位置との間で移動させる駆動手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記弁手段を含む前記気泡排出流路の抵抗値は前記共通液室より下流側流路の流体抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記共通液室は、前記気泡排出流路に向けて上方に傾斜していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記気泡排出流路にはフィルタ部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−10223(P2013−10223A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143543(P2011−143543)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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