説明

画像形成装置

【課題】像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を形成できない場合であっても、中間転写体や二次転写手段に潤滑剤としてのトナーを供給することを可能とする。
【解決手段】感光体ドラムの非画像領域43に形成されるトナーバンドが一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロールを通過可能か否かを判別し、通過不可であると判別した場合には、トナーバンドを形成せずに、感光体ドラムの非画像領域43に付着した被りトナー45を中間転写ベルトに一次転写するとともに、中間転写ベルトに転写された被りトナーを二次転写ロールに二次転写するように、一次転写バイアス電圧及び二次転写バイアス電圧を制御するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置としては、例えば、互いに色の異なるトナー像が形成される複数の感光体ドラムを備え、これら複数の感光体ドラム上に形成された各色のトナー像を一次転写ロールによって中間転写ベルトに多重に一次転写した後、中間転写ベルト上に転写された各色のトナー像を二次転写ロールによって記録用紙に一括して二次転写することによりフルカラーの画像を形成するように構成したものがある。
【0003】
かかる画像形成装置では、感光体ドラムのクリーニングブレードや、二次転写ロールのクリーニングブレード、あるいは中間転写ベルトのクリーニングブレードに潤滑剤としてのトナーを供給すべく、感光体ドラムの隣接する画像間に位置する非画像領域にトナーバンドが必要に応じて形成される。
【0004】
画像形成装置においてトナーバンドを形成する技術としては、例えば、特開2000−231274号公報や特開2007−65007号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0005】
上記特開2000−231274号公報に係る画像形成装置は、クリーニング用の弾性ブレードに欠けや反転(めくれ)等の損傷が発生するのを抑制するため、中間転写体表面の二次転写位置における転写部材の非通過領域に、トナー層を形成するトナー層形成手段と、前記中間転写体の表面に所定のタイミングで圧接して、当該中間転写体の表面に付着した付着物を除去するクリーニング手段とを備えるように構成したものである。
【0006】
また、上記特開2007−65007号公報に係る画像形成装置は、表面平滑性の良い転写紙、紙粉が発生しやすい再生紙等転写紙の種類及びプロセス速度に応じた適量のトナーを潤滑剤としてクリーニングブレードに送り込み、感光体との摩擦によりクリーニングブレードの損傷等を防止するため、制御手段が、転写材の種類と画像を形成するプロセス速度の少なくとも一つ以上に応じて、転写材に転写しない非転写トナー像を感光体の非画像部にトナー量を変化させて形成するように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−231274号公報
【特許文献2】特開2007−065007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を形成できない場合であっても、中間転写体や二次転写手段に潤滑剤としてのトナーを供給することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1に記載された発明は、トナー像を保持する単一又は複数の像保持体と、
前記像保持体からトナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体から前記中間転写体にトナー像を転写するため一次転写バイアス電圧が印加される一次転写手段と、
前記中間転写体から記録媒体にトナー像を転写するため二次転写バイアス電圧が印加される二次転写手段と、
前記像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を形成する帯状トナー像形成手段と、
前記像保持体の非画像領域に形成される前記帯状のトナー像が前記一次転写バイアス電圧を遮断又は通常の値よりも低いバイアス電圧を印加した状態で前記一次転写手段を通過可能か否かを判別し、通過不可であると判別した場合には、前記帯状トナー像形成手段によって帯状のトナー像を形成せずに、前記像保持体の非画像領域に付着した被りトナー又は前記像保持体の非画像領域に付着させた前記帯状のトナー像よりも低濃度のトナーを前記中間転写体に一次転写するとともに、前記中間転写体に転写された前記被りトナー又は前記低濃度のトナーを前記二次転写手段に二次転写するように、前記一次転写バイアス電圧及び前記二次転写バイアス電圧を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記制御手段は、通過可能であると判別した場合、前記帯状トナー像形成手段によって前記像保持体の非画像領域に帯状のトナー像を形成し、前記像保持体に形成された帯状のトナー像を前記中間転写体に転写しないように前記一次転写バイアス電圧を制御するとともに、前記中間転写体に転写されてしまった転写トナーを前記二次転写手段に転写しないように前記二次転写バイアス電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項3に記載された発明は、前記制御手段は、通過可能であると判別した場合、前記像保持体の非画像領域の長さ、前記一次転写バイアス電圧の応答時間、及び前記像保持体の移動速度に基づいて決定された長さの帯状のトナー像を、前記帯状トナー像形成手段によって形成するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項4に記載された発明は、前記制御手段は、通過可能であると判別した場合、前記二次転写手段に印加する二次転写バイアス電圧を、通常の画像形成時と同極性であって且つ絶対値の小さい電圧に制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を形成することができない場合であっても、中間転写体や二次転写手段に潤滑剤としてのトナーを供給することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、帯状のトナー像によって中間転写体及び二次転写手段が汚損されるのを回避することができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を確実に形成することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、中間転写体への放電生成物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【図4】一次転写バイアス電圧と二次転写バイアス電圧の制御を示すタイミングチャートである。
【図5】画像形成装置の生産性と非画像領域の長さとの関係を示すグラフである。
【図6】形成可能なトナーバンドの長さを示す図表である。
【図7】一次転写バイアス電圧と二次転写バイアス電圧の制御を示す図表である。
【図8】一次転写バイアス電圧と二次転写バイアス電圧の制御を示すタイミングチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム方式のフルカラー画像形成装置を示すものである。ただし、この発明は、タンデム方式の画像形成装置に限定されるものではないことは勿論であり、単一の感光体ドラムを備えた所謂4サイクル方式のフルカラー画像形成装置にも適用可能である。
【0020】
この実施の形態に係る画像形成装置本体の内部には、図2に示すように、複数の画像形成手段として、例えば、透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した5つの画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kが、水平方向に沿って一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。透明トナー(CT)は、例えば、カラートナーから顔料を除いたものであり、必要に応じて画像領域の表面に一様に形成されることで光沢性を向上させるために用いられる。なお、画像形成装置としては、透明トナー(CT)の画像形成部1CTを設けずに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した4つの画像形成部1Y、1M、1C、1Kを備えたものであっても、あるいはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に、高彩度シアン(HC)や高彩度マゼンタ(HM)などを加えた5つ以上(例えば6つ)の画像形成部などを備えたものであっても勿論良い。また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部1Y、1M、1C、1Kなどの配列順序も、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に限定されるものではない。
【0021】
なお、上記透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kは、帯状のトナー像(以下、「トナーバンド」という。)を形成するトナーバンド形成手段としても機能する。
【0022】
また、上記透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)色の各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kは、それぞれが個別に一体的にユニット化されており、各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kが単独で画像形成装置本体に対して交換可能に装着されている。
【0023】
これら5つの画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kは、図2に示すように、使用するトナーの種類を除いて、基本的にすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kと、これらの感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの表面を例えば負極性に一様に帯電する一次帯電手段としての帯電ロール3CT、3Y、3M、3C、3Kと、当該感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段としての画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kと、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2K上に形成された静電潜像を対応する色の負極性に帯電したトナーで反転現像する現像手段としての現像装置5CT、5Y、5M、5C、5Kと、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2K上に残留した転写残トナー等を除去するクリーニング装置6CT、6Y、6M、6C、6Kとを備えるように構成されている。
【0024】
上記画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kとしては、例えば、透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)色の各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kに対応して設けられた図示しない半導体レーザから画像データに応じてレーザ光LB−CT、LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを出射し、当該レーザ光LB−CT、LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを対応する感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2K表面の軸方向に沿って偏向走査させることによって画像露光を行うものが用いられる。なお、上記画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kとしては、レーザ光LB−CT、LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを偏向走査させて画像露光を行う装置に限らず、例えば、LED発光素子を各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの軸方向に沿って多数配列したLEDアイレ等を用いた装置を使用しても良い。LEDアイレを用いた画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kの場合には、レーザ光LB−CT、LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを偏向走査させて画像露光を行う画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kと比較して、画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kの大幅な小型化が可能となり、画像形成装置全体を小型化することができ望ましい。
【0025】
上記透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kには、図示しない画像処理装置から各色に対応した画像データが順次出力される。画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kから画像データに応じて出射されたレーザ光LB−CT、LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2K表面の画像領域に主走査方向(感光体ドラムの軸方向)に沿って走査露光され、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの表面には静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置5CT、5Y、5M、5C、5Kによって、それぞれ透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として反転現像される。
【0026】
上記各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2K上に、順次形成された透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの下方に配置された中間転写体としての中間転写ベルト7上に、一次転写電圧が印加される一次転写手段としての一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kによって互いに重ね合わせた状態で一次転写される。
【0027】
上記中間転写ベルト7は、駆動ロール10と、従動ロール11と、センサーロール12と、張力付与ロール13と、二次転写部の背面支持ロール14からなる複数のロール間に予め定められた張力で架け渡されている。そして、中間転写ベルト7は、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動される駆動ロール10により、矢印B方向に沿って感光体ドラム1CT、1Y、1M、1C、1Kの回転速度(周速)と略等しい予め定められた速度で循環移動するように駆動される。上記中間転写ベルト7としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0028】
上記中間転写ベルト7上に多重に転写された透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、背面支持ロール14に中間転写ベルト7を介して圧接する二次転写手段としての二次転写ロール15に印加される二次転写バイアス電圧によって記録媒体としての記録用紙16上に一括して二次転写される。これらの各色のトナー像が転写された記録用紙16は、剥離徐電装置17によって中間転写ベルト7から剥離された後、ガイド部材18を介して搬送ベルト19によって定着手段としての定着装置20へと搬送される。そして、上記各色の未定着トナー像が転写された記録用紙16は、定着装置20の加熱ロール21及び加圧ロール22によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、画像形成装置本体の外部に設けられた図示しない排出トレイ上に排出される。
【0029】
上記記録用紙16は、図2に示すように、例えば、複数の給紙トレイ23、24のうちの何れかから予め定められたサイズや材質のものが、給紙ロール25及び用紙搬送用のロール対26からなる用紙搬送経路27を介して1枚ずつ分離された状態で、レジストロール28まで一旦搬送される。上記給紙トレイ23、24のうちの何れかから供給された記録用紙16は、予め定められたタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト7上のトナー像と同期をとって二次転写位置29へと送り出される。
【0030】
なお、トナー像の一次転写が終了した後の感光体ドラム2は、その表面がクリーニング装置6のクリーニングブレード6aによって残留トナーが除去される。また、トナー像の二次転写が終了した後の中間転写ベルト7は、その表面が駆動ロール10に対向する位置に配置されたベルトクリーニング装置30のクリーニングブレード30aによって残留トナーや紙粉等が除去される。また、二次転写ロール15の表面は、クリーニング装置31のクリーニングブレード31a及びクリーニングブラシ31bによって残留トナーや紙粉等が除去される。
【0031】
ところで、上記画像形成装置は、透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)色の各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの回転速度であるプロセススピードが、普通紙や厚紙などの記録媒体16の種類や画像形成モードなどに応じて308mm/sec、255mm/sec、200mm/sec、103mm/secの4段階に設定されている。
【0032】
また、上記画像形成装置では、記録用紙16に低濃度の画像が連続して形成される場合など画像の種類によっては、各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kのクリーニング装置6CT、6Y、6M、6C、6Kや、中間転写ベルト7のクリーニング装置30、及び二次転写ロール15のクリーニング装置31に転写残トナーが殆ど供給されない場合がある。感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kのクリーニング装置6CT、6Y、6M、6C、6Kや、中間転写ベルト7のクリーニング装置30、及び二次転写ロール15のクリーニング装置31に転写残トナーが殆ど供給されない状態が継続した場合には、クリーニング装置6のクリーニングブレード6aと感光体ドラム2や、クリーニング装置30のクリーニングブレード30aと中間転写ベルト7、あるいはクリーニング装置31のクリーニングブレード31aと二次転写ロール15との摺摩力が過大となり、クリーニングブレード6a、30a、31aに摩耗や欠け、あるいはめくれ等が発生する虞れがある。
【0033】
そこで、この実施の形態では、図3に示すように、各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの隣接する先行する記録用紙に対応した画像41と後続の記録用紙に対応した画像42との間に位置する非画像領域43に、予め定められた枚数の記録用紙16にプリントした後や、低濃度の画像が予め定められた枚数だけ連続した場合などの予め定められたタイミングで、トナーバンド44を形成するように構成されている。このトナーバンド44は、例えば、予め定められた濃度(例えば、Cin=25%)で、感光体ドラム2の回転方向に沿って予め定められた長さLにわたって画像領域の全幅(感光体ドラム2の軸方向)に形成される。
【0034】
その際、上記画像形成装置では、各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に形成されるトナーバンド44が、中間転写ベルト7や二次転写ロール15に通常の画像と同様に転写されてしまうと、中間転写ベルト7や二次転写ロール15の表面がトナーバンド44のトナーで汚損され、記録用紙16の裏面汚れ等が発生する虞れがある。
【0035】
そのため、上記画像形成装置では、図3及び図4に示すように、感光体ドラム2の表面にトナーバンド44を形成する場合には、一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kに一次転写バイアス電圧を印加する高圧電源回路を制御して、一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kに印加する一次転写バイアス電圧をオフ(遮断)するとともに、二次転写ロール15に印加する二次転写バイアス電圧を通常の画像形成時と逆極性又はオフ(遮断)するように設定されている。なお、図4では、便宜上、一次転写バイアス電圧と二次転写バイアス電圧とが上下に対応して図示されているが、一次転写バイアス電圧は、感光体ドラム2の非画像領域43が一次転写ロール8の位置に移動した状態を、二次転写バイアス電圧は、感光体ドラム2の非画像領域43に対応した中間転写ベルト7の領域が二次転写ロール15の位置に移動した場合をそれぞれ示している。
【0036】
こうすることで、感光体ドラム2表面のトナーバンド44の大部分を中間転写ベルト7に転写させずに感光体ドラム2の表面に供給し、感光体ドラム2の表面に供給されたトナーバンド44のトナーは、クリーニング装置6のクリーニングブレード6aで除去される。また、感光体ドラム2の表面から中間転写ベルト7に転写されてしまったトナーバンド44の転写トナーは、二次転写ロール15に転写せずに中間転写ベルト7上に残して、クリーニング装置30のクリーニングブレード30aで除去し、二次転写ロール15に転写されたトナーバンド44の転写トナーをクリーニング装置31のクリーニングブレード31aで除去されるように構成されている。
【0037】
二次転写ロール15のクリーニングブレード31aには、常に微量のトナーが供給されるのが望ましく、トナーの供給量が少なすぎるとクリーニングブレード31aのめくれが発生する虞れがあり、トナーの供給量が多すぎると記録用紙16の裏面汚れの原因となる。
【0038】
このように、上記画像形成装置では、感光体ドラム2の非画像領域43にトナーバンド44を形成するとともに、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されたトナーバンド44が中間転写ベルト7や二次転写ロール15に転写され、記録用紙16の裏面汚れの発生等を防止するように構成されている。
【0039】
その際、上記画像形成装置では、トナーバンド44を形成するシステムを、単位時間当たりにプリント可能な記録用紙16の枚数で決まる生産性が異なる複数の機種の間で共通化したり、同一の機種であっても画像形成モードの違いやユーザのニーズ等によって、単位時間当たりにプリント可能な記録用紙16の枚数で決まる生産性を異ならせる必要性が生じる場合がある。
【0040】
いま、上記画像形成装置においてプロセススピードを最高速度の308mm/secで一定としたまま、単位時間当たりにプリント可能な記録用紙16の枚数で決まる生産性を向上させようとした場合には、最小サイズの記録用紙16として搬送方向の長さが8.5インチ(=215.9mm)の記録用紙16を最も生産性の高い搬送状態で搬送すると、感光体ドラム2の回転方向に沿った非画像領域43の長さLが、図5に示すように、生産性が高くなる従って短くなる。
【0041】
上記画像形成装置では、例えば、プロセススピードを最高速度の308mm/secで一定としたまま、フルカラー画像の生産性を70(Paper Per Minuit:以下、「PPM」と略す。)とした場合、モノクロ画像の生産性が75(PPM)に設定される。
【0042】
その際、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されたトナーバンド44が中間転写ベルト7に一次転写されるのを防止するためには、トナーバンド44が一次転写ロール8を通過する際に、図3及び図4に示すように、先行する画像41が通過した直後に一次転写ロール8に印加する一次転写バイアス電圧をオフ(遮断)し、次の画像42が一次転写ロール8を通過するまでに一次転写バイアス電圧をオン(印加)する必要があるが、一次転写バイアス電圧のオン・オフには、ある程度の応答時間を必要とする。なお、この実施の形態では、一次転写ロール8に印加する一次転写バイアス電圧をオフ(遮断)する場合について説明するが、必ずしも一次転写ロール8に印加する一次転写バイアス電圧をオフ(遮断)する必要はなく、例えば、一次転写ロール8に印加する一次転写バイアス電圧を通常の値よりも低いバイアス電圧に切り替えて印加するように構成した場合でも、本発明は適用可能である。
【0043】
一次転写バイアス電圧をオン・オフするのに要する応答時間は、一次転写バイアス電圧の電源としての高圧電源回路を構成するトランジスタ等のスイッチング素子や抵抗あるいはコンデンサ等の回路素子によって決まり、これらのスイッチング素子や回路素子として時定数の短いものを使用することで、例えば、200msec程度と大幅に長い応答時間を、必要に応じて20msec刻みで1/10の20msec程度にまで短縮することは可能であるが、応答時間の短縮に伴ってその分だけ高コスト化を招く。
【0044】
画像形成装置で使用される高圧電源回路の応答時間は、既知であるが、トナーバンドの形成システムを複数の機種で共通化した場合など、単位時間当たりの生産性とともに、高圧電源回路の応答時間が異なる機種にも対応可能とすることが望ましい。
【0045】
そのため、一次転写バイアス電圧をオン・オフするのに要する応答時間によっては、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されたトナーバンド44が一次転写ロール8を通過する間に、一次転写バイアス電圧をオン・オフ制御することができなくなる場合が生じる。
【0046】
いま、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの回転速度であるプロセススピードを308mm/sec、単位時間当たりにプリント可能な記録用紙16の枚数で決まる生産性を、搬送方向の長さが8.5インチの記録用紙16で70PPMとした場合、感光体ドラム2の回転方向に沿った非画像領域43の長さLは、図5に示すように、48.1mmとなる。一方、一次転写バイアス電圧をオン・オフするのに合わせて要する応答時間が100msecである高圧電源回路を使用した場合、プロセススピードが308mm/secであるため、一次転写バイアス電圧をオン・オフするのに要する100(msec)×308(mm/sec)=30.8mmの長さの領域には、図3に示すように、トナーバンド44を形成することができない。その結果、理論的に形成可能なトナーバンド44の長さLは、感光体ドラム2の非画像領域43の長さL’(48.1mm)から一次転写バイアス電圧の応答時間によりトナーバンド44を形成することができない長さ(30.8mm)を減算した値である48.1−30.8=17.3mmとなる。
【0047】
これに対して、プロセススピードを308mm/secのまま、単位時間当たりにプリント可能な記録用紙16の枚数で決まる生産性を75PPMまで向上させようとした場合には、図5に示すように、感光体ドラム2の回転方向に沿った非画像領域43の長さL’が30.5mmとなり、理論的に形成可能なトナーバンド44の長さLは、感光体ドラム2の非画像領域43の長さL’(30.5mm)から一次転写バイアス電圧の応答時間によりトナーバンド40を形成することができない長さ(30.8mm)を減算した値である30.5−30.8=−0.3mmとなり、感光体ドラム2の非画像領域43にトナーバンド44を形成することができないことになる。
【0048】
そのため、生産性が70PPMに対応した制御のまま感光体ドラム2の非画像領域43にトナーバンド44を形成してしまうと、感光体ドラム2表面のトナーバンド44が中間転写ベルト7に一次転写されてしまう虞れがあり、中間転写ベルト7から二次転写ロール15が位置する二次転写部29に到達するトナー量が想定された量よりも増加することになる。この場合には、中間転写ベルト7から二次転写ロール15に付着するトナー量が予め想定された量よりも多くなり、記録用紙16の裏面汚れを招く虞れが高くなる。
【0049】
かかる不具合を解消するためには、図6に示すように、一次転写バイアス電圧をオン・オフするのに要する応答時間が短い高圧電源回路を使用することが考えられるが、この場合には、高圧電源回路として高価なものを用いる必要があり、高コスト化に繋がるという新たな課題が生じる。
【0050】
また、記録用紙16の裏面汚れを回避するため感光体ドラム2の非画像領域43にトナーバンド44を形成しない場合には、プロセススピードが308mm/sec、高圧電源回路の応答時間が100msecで、生産性を75PPMに向上させると、二次転写部29にトナーが供給されず、二次転写ロール15の表面をクリーニングするクリーニング装置31のクリーニングブレード31aに負荷がかかり、クリーニングブレード31aにブレードめくれ等が発生する虞れが高くなる。
【0051】
そこで、この実施の形態では、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されるトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8を通過することが可能か否か、つまり記録用紙16の裏面汚れが発生するのを回避しつつトナーバンド44を形成することが可能か否かを判別し、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されるトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8を通過することが可能であり、トナーバンド44を形成することが可能であると判別した場合には、通常通りの制御が行われ、感光体ドラム2の非画像領域43にトナーバンド44が形成される。
【0052】
一方、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されるトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8を通過することが不可能であり、トナーバンド44を形成することが不可であると判別した場合には、図7及び図8に示すように、一次転写バイアス電圧をオン・オフする制御を行わず、一次転写バイアス電圧をオンにしたままの状態で、感光体ドラム2の非画像領域43にトナーバンド44を形成せずに、感光体ドラム2の非画像領域43が現像装置5を通過する際に、感光体ドラム2の非画像領域43に所謂被りトナー45を付着させ、この被りトナー45を中間転写ベルト7に一次転写するとともに、二次転写バイアス電圧も通常の画像形成時と同じ正規バイアス電圧のままの状態で、中間転写ベルト7に転写された被りトナー45を積極的に二次転写ロール15に転写させるように構成したものである。
【0053】
なお、感光体ドラム2の表面に付着する被りトナー45は、例えば、その濃度が1〜2%程度であり、トナーバンド44と比較して大幅に濃度が低いため、中間転写ベルト7に転写しても記録用紙16の裏面汚れ等が発生する虞れはない。
【0054】
図2はこの実施の形態に係る画像形成装置の制御回路をブロック図で併せて示す構成図である。
【0055】
図2において、100は画像形成装置の動作を制御する制御手段としてのCPU等からなる制御回路であり、この制御回路100は、ROM101に予め記憶されたプログラムや、RAM102に記憶されたパラメータ等に基づいて、画像形成装置の動作を制御するものである。なお、RAM102には、図5及び図6に示すパラメータがルックアップテーブル(LUT)等からなる不揮発性のデータとして予め記憶されている。また、103は、透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kに一次転写バイアス電圧を印加するとともに、二次転写ロール15に二次転写バイアス電圧を印加する高圧電源回路であり、制御回路100からの制御信号に基づいて一次転写バイアス電圧及び二次転写バイアス電圧のオン・オフや電圧値を切り替える。
【0056】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を形成できない場合であっても、中間転写体や二次転写手段に潤滑剤としてのトナーを供給することが可能となっている。
【0057】
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置では、図2に示すように、透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kにおいて感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの表面に対応する色のトナー像が形成される。これらの各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの表面に形成された透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kに印加される一次転写バイアス電圧によって中間転写ベルト7上に順次多重に一次転写された後、二次転写位置29において二次転写ロール15に印加される二次転写バイアス電圧によって中間転写ベルト7上から記録用紙16上に一括して二次転写される。
【0058】
上記透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像が一括して二次転写された記録用紙16は、図2に示すように、中間転写ベルト7から分離された後、ガイド部材18を介して搬送ベルト19によって定着装置20へと搬送され、定着装置20によって加熱・加圧されて、未定着トナー像が定着され、画像形成装置の外部に設けられた図示しない排出トレイ上に排出される。
【0059】
ところで、上記画像形成装置では、記録用紙16に低濃度の画像が連続して形成される場合など画像の種類によっては、各画像形成部1CT、1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kのクリーニング装置6CT、6Y、6M、6C、6Kや、中間転写ベルト7のクリーニング装置30、及び二次転写ロール15のクリーニング装置31に転写残トナーが殆ど供給されない場合がある。
【0060】
そこで、この実施の形態では、図3に示すように、各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの隣接する先行する記録用紙に対応した画像41と後続の記録用紙に対応した画像42との間に位置する非画像領域43に、予め定められた枚数の記録用紙16にプリントした後や、低濃度の画像が予め定められた枚数だけ連続した場合などの予め定められたタイミングで、トナーバンド44が形成される。
【0061】
上記各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に形成されたトナーバンド44は、図3及び図4に示すように、当該トナーバンド44が一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kを通過する際に、一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kに印加される一次転写バイアス電圧がオフされ、中間転写ベルト7に一次転写されることなく、各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kのクリーニング装置6CT、6Y、6M、6C、6Kによってクリーニングされる。
【0062】
また、上記の如く一次転写バイアス電圧をオフした場合であっても、各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kから中間転写ベルト7に一次転写されてしまった微量のトナーは、二次転写ロール15を通過する際に、二次転写ロール15に印加される二次転写バイアス電圧がオフされ、二次転写ロール15に二次転写されることなく、中間転写ベルト7のクリーニング装置30によってクリーニングされる。
【0063】
そして、最終的に、二次転写バイアス電圧をオフした場合であっても、中間転写ベルト7から二次転写ロール15に二次転写されてしまった極微量のトナーのみが、二次転写ロール15のクリーニング装置31によってクリーニングされる。
【0064】
一方、上記画像形成装置では、例えば、プロセススピードとして最高速度である308mm/secに設定し、応答時間が100msecの高圧電源回路103を使用し、生産性を70PPMから75PPMに挙げた場合、図5及び図6に示すように、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44を形成することができない場合が生じる。
【0065】
そこで、制御回路100は、図5に示すように、プロセススピードが308mm/secである場合における感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43の長さL、一次転写バイアス電圧の応答時間、及び感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの回転速度であるプロセススピード308mm/secの値に基づいて、図6に示すテーブルを参照して、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44を形成することか可能か否かを判別する。
【0066】
そして、制御回路100は、プロセススピードが308mm/sec、高圧電源回路103の応答時間が100msec、生産性を70PPMから75PPMとした場合、図6に示すテーブルを参照して形成可能なトナーバンド44の長さLを求め、トナーバンド44の長さLが−0.3mmとなり、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kを通過することができないと判別すると、次のような制御を行う。
【0067】
制御回路100は、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kを通過することができないと判別すると、図7及び図8に示すように、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44を形成せず、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2K表面の非画像領域43を帯電ロール3CT、3Y、3M、3C、3Kによって通常の画像形成時と同様の帯電電位に帯電させるとともに、現像装置5CT、5Y、5M、5C、5Kに通常の画像形成時と同様の現像バイアス電圧を印加することで、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に被りトナー45を付着させる。
【0068】
次に、制御回路100は、図7及び図8に示すように、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に付着した被りトナーが一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kを通過する際に、高圧電源回路103によって一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kに通常の画像形成時と同様の一次転写バイアス電圧を印加し、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に付着した被りトナー45を中間転写ベルト7上に一次転写する。
【0069】
なお、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に残った転写残の被りトナー45は、各感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kのクリーニング装置6CT、6Y、6M、6C、6Kによってクリーニングされる。
【0070】
更に、制御回路100は、図7及び図8に示すように、中間転写ベルト7上に一次転写された被りトナー45が二次転写ロール15を通過する際に、高圧電源回路103によって二次転写ロール15に正規の二次転写バイアス電圧を印加し、中間転写ベルト7上に一次転写された被りトナーを二次転写ロール15に転写させる。
【0071】
その際、上記高圧電源回路103によって二次転写ロール15に印加される二次転写バイアス電圧は、正規の二次転写バイアス電圧のままでも良いが、図8に破線で示すように、通常の画像形成時と同極性であって且つ絶対値の小さい電圧(例えば、数100V程度)に制御するのが望ましい。このように、二次転写ロール15に印加される二次転写バイアス電圧を通常の画像形成時と同極性であって且つ絶対値の小さい電圧に切り替えるように制御した場合には、二次転写ロール15に通常印加される2〜8KVといった高電圧印加時に発生する窒素酸化物(NOx)の発生を抑制することができ、窒素酸化物(NOx)が中間転写ベルト7の表面に付着することに起因した画像ディフェクトの発生を低減することができる。
【0072】
以上の如く、制御回路100は、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8CT、8Y、8M、8C、8Kを通過することができないと判別した場合、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に被りトナー45を付着させ、当該被りトナー45を中間転写ベルト7上に一次転写するとともに、二次転写ロール15に二次転写することで、二次転写ロール15のクリーニング装置31のクリーニングブレード31aにトナーを供給することができ、クリーニングブレード31aにめくれ等が発生するのを抑制することができる。
【0073】
また、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に付着する被りトナー45は、1〜2%のトナー濃度であるため、被りトナーが中間転写ベルト7上を介して二次転写ロール15に二次転写されても、記録用紙16の裏面汚れ等が発生する虞れも回避することができる。
【0074】
なお、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43にトナーバンド44を形成する場合であっても、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に各色の透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーバンド44を常に形成する必要はなく、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの1つ又は複数の非画像領域43置きに、トナーバンド44を形成するよに構成しても勿論良い。
【0075】
また、感光体ドラム2CT、2Y、2M、2C、2Kの非画像領域43に被りトナー45を付着させる代わりに、画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kによってトナーバンド44よりも濃度が低い、例えば3〜4%程度のハイライトの画像露光を施した後に、現像装置5CT、5Y、5M、5C、5Kによって現像することで、トナーバンド44よりも濃度が低い3〜4%程度の濃度のトナーを一様に付着させるように構成しても良い。
【0076】
この場合には、非画像領域43に被りトナーを付着させる場合と比較して、画像露光装置4CT、4Y、4M、4C、4Kによる画像露光量を制御することで、二次転写ロール15に供給されるトナー量を制御することが可能となる。
【0077】
実施の形態2
図9はこの発明の実施の形態を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、単一の像保持体を備えるように構成されており、当該単一の像保持体の非画像領域に帯状のトナー像を形成可能か否かを判別して制御するように構成されている。
【0078】
すなわち、この実施の形態2では、図9に示すように、単一の感光体ドラム2を備えており、感光体ドラム2の一側には、感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーで現像する回転方式の現像装置5Y、5M、5C、5Kが配置されている。この回転方式の現像装置5Y、5M、5C、5Kは、感光体ドラム2の表面に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した静電潜像を、対応する色の現像装置5Y、5M、5C、5Kが感光体ドラム2と対向する現像位置に回転して移動することで現像するように構成されている。
【0079】
上記感光体ドラム2の表面には、図10に示すように、例えば、最も生産性の高いモードにおいて2つの画像41、42が連続して形成され、当該感光体ドラム2の表面に形成された2つの画像41、42が一次転写ロール8によって中間転写ベルト7上に順次一次転写される。
【0080】
感光体ドラム2の表面には、例えば、画像41、42の第1色目のイエロー色に対応したトナー像が形成され、当該イエロー色のトナー像は、一次転写ロール8によって中間転写ベルト7上に一次転写される。次いで、感光体ドラム2の表面には、画像41、42の第2色目のマゼンタ色に対応したトナー像が形成され、当該マゼンタ色のトナー像は、一次転写ロール8によって中間転写ベルト7上に一次転写される。同様にして、感光体ドラム2の表面に形成される第3色目のシアン色及び第4色目の黒色のトナー像が一次転写ロール8によって中間転写ベルト7上に順次一次転写される。
【0081】
そして、上記中間転写ベルト7上に多重に一次転写された画像41、42のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、最終色の一次転写に同期して給紙される記録用紙16上に、二次転写ロール15によって一括して二次転写され、2枚の記録用紙16上に画像41、42が連続して形成される。
【0082】
その際、この実施の形態2では、前記実施の形態1と同様に、感光体ドラム2の隣接する画像41、42間の非画像領域43にトナーバンド44を形成可能かを判別し、感光体ドラム2の非画像領域43に形成されるトナーバンド44が一次転写バイアス電圧を遮断した状態で一次転写ロール8を通過可能であると判別した場合には、トナーバンド44を形成し、通過不可であると判別した場合には、トナーバンド44を形成せずに、感光体ドラム2の非画像領域43に被りトナーを付着させ、当該被りトナーを二次転写ロール15に転写するように構成されている。
【0083】
なお、この実施の形態2では、中間転写ベルト7のクリーニング装置30は、二次転写が完了するまでは中間転写ベルト7の表面から離間した位置に移動するように構成されている。
【0084】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0085】
1CT、1Y、1M、1C、1K:透明トナー(CT)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像形成部、2CT、2Y、2M、2C、2K:感光体ドラム、41、42:画像、43:非画像領域、44:トナーバンド、45:被りトナー、100:制御回路、103:高圧電源回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する単一又は複数の像保持体と、
前記像保持体からトナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体から前記中間転写体にトナー像を転写するため一次転写バイアス電圧が印加される一次転写手段と、
前記中間転写体から記録媒体にトナー像を転写するため二次転写バイアス電圧が印加される二次転写手段と、
前記像保持体の隣接する画像間に位置する非画像領域に帯状のトナー像を形成する帯状トナー像形成手段と、
前記像保持体の非画像領域に形成される前記帯状のトナー像が前記一次転写バイアス電圧を遮断又は通常の値よりも低いバイアス電圧を印加した状態で前記一次転写手段を通過可能か否かを判別し、通過不可であると判別した場合には、前記帯状トナー像形成手段によって帯状のトナー像を形成せずに、前記像保持体の非画像領域に付着した被りトナー又は前記像保持体の非画像領域に付着させた前記帯状のトナー像よりも低濃度のトナーを前記中間転写体に一次転写するとともに、前記中間転写体に転写された前記被りトナー又は前記低濃度のトナーを前記二次転写手段に二次転写するように、前記一次転写バイアス電圧及び前記二次転写バイアス電圧を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、通過可能であると判別した場合、前記帯状トナー像形成手段によって前記像保持体の非画像領域に帯状のトナー像を形成し、前記像保持体に形成された帯状のトナー像を前記中間転写体に転写しないように前記一次転写バイアス電圧を制御するとともに、前記中間転写体に転写されてしまった転写トナーを前記二次転写手段に転写しないように前記二次転写バイアス電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、通過可能であると判別した場合、前記像保持体の非画像領域の長さ、前記一次転写バイアス電圧の応答時間、及び前記像保持体の移動速度に基づいて決定された長さの帯状のトナー像を、前記帯状トナー像形成手段によって形成するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、通過可能であると判別した場合、前記二次転写手段に印加する二次転写バイアス電圧を、通常の画像形成時と同極性であって且つ絶対値の小さい電圧に制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−113879(P2013−113879A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257312(P2011−257312)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】