説明

画像形成装置

【課題】交換ユニットの置き場所を確保して該交換ユニットの交換作業性を高めるとともに、飛散したトナーによる汚染を防ぐことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】開閉可能なフロントカバー21を備えた装置本体に交換可能な交換ユニットを内蔵して成る画像形成装置において、前記装置本体から前記交換ユニットを取り出す際、前記フロントカバー21を開け、該フロントカバー21を、取り出した前記交換ユニットを仮置きしておくための作業台として使用する。又、前記フロントカバー21の内面に、前記交換ユニットを位置決め又は支持するためのリブ24〜28を一体に形成する。更に、前記フロントカバー21の内面に、飛散したトナーを受けるためのポケット部30を幅方向に長く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なフロントカバーを備えた装置本体に交換可能な交換ユニットを内蔵して成る画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙等の記録材に画像を形成する複写機やプリンター等の画像形成装置においては、帯電器によって表面が一様に帯電された感光ドラム等の像担持体が光走査装置によって露光走査され、その表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。そして、像担持体上に形成された静電潜像は、現像装置によって現像剤であるトナーを用いて現像されてトナー像として顕像化され、このトナー像が記録材上に転写される。このようにトナー像が転写された記録材は、定着装置へと搬送され、該定着装置によって加熱及び加圧されてトナー像の定着を受け後に機外に排出され、これによって一連の画像形成動作が完了する。
【0003】
ところで、斯かる画像形成装置では、ジャムした用紙を取り除いたり、消耗部品を交換する等のメンテナンスの容易化を図るために、感光ドラムと帯電器及びクリーニング装置をドラムユニットとして、現像装置を現像ユニットとして、定着装置を定着ユニットとしてそれぞれ装置本体に対して交換可能に構成することが行われている。
【0004】
交換ユニットの取り出しに関して、特許文献1には、画像読取ユニットが画像形成ユニットの上方に配置され、交換ユニットを上方からアクセスして交換する方式を採用する画像形成装置において、交換ユニットを交換する際には画像読取装置を画像形成ユニットに対して略水平方向に移動させる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−052045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1において提案された画像形成装置を含む従来の画像形成装置においては、交換ユニットの交換に際して装置本体から取り出した交換ユニットの置き場所が無かったり、交換ユニットを置いたときに該交換ユニットに付着していたトナー飛散して周囲を汚染する等の問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、交換ユニットの置き場所を確保して該交換ユニットの交換作業性を高めるとともに、飛散したトナーによる汚染を防ぐことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、開閉可能なフロントカバーを備えた装置本体に交換可能な交換ユニットを内蔵して成る画像形成装置において、前記装置本体から前記交換ユニットを取り出す際、前記フロントカバーを開け、該フロントカバーを、取り出した前記交換ユニットを仮置きしておくための作業台として使用することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記フロントカバーの内面に、前記交換ユニットを位置決め又は支持するためのリブを一体に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記フロントカバーの内面に、飛散したトナーを受けるためのポケット部を幅方向に長く形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、交換ユニットの交換に際して装置本体から交換ユニットを取り出すときには、フロントカバーを開けてこれを作業台として使用し、該フロントカバーの上に交換ユニットを仮置きしておくことができるため、交換ユニットの置き場所を確保して該交換ユニットの交換作業性が高められる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、フロントカバーの作業台として利用される内面に交換ユニットを位置決め又は支持するためのリブを一体に形成したため、取り出された交換ユニットがフロントカバー上に位置決め又は支持された状態で仮置きされ、その落下や損傷が防がれる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、装置本体から取り出した交換ユニットをフロントフロントカバー上に仮置きしたときに該交換ユニットに付着していたトナーがフロントカバー上に落下しても、このトナーは、交換作業が終了してフロントカバーを閉じると、該フロントカバーの内面に幅方向に長く形成されたポケット部に落下して回収されるため、トナーが周囲に飛散することがなく、トナーによる周囲の汚染が防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の外観図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の断面図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置のフロントカバーを内面側から見た斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置のフロントカバーを内面側から見た斜視図である。
【図5】図4のA部拡大詳細図である。
【図6】ドラムユニットをフロントカバーに仮置きした状態を示す斜視図である。
【図7】図6のB部を別方向から見た部分斜視図である。
【図8】図6のC部拡大詳細図である。
【図9】図6のC部を別方向から見た部分斜視図である。
【図10】定着ユニットをフロントカバーに仮置きした状態を示す斜視図である。
【図11】図10のD部拡大詳細図である。
【図12】図10のE部拡大詳細図である。
【図13】図10のF部拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る画像形成装置の外観図、図2は同画像形成装置の縦断面図である。図示の画像形成装置1はレーザープリンターであって、装置本体1Aの内部上方には、画像形成部2が配され、装置本体1A内の下半部には用紙収納部3が配されている。そして、装置本体1Aの前面には開閉可能なフロントカバー21が設けられている。尚、図示しないが、装置本体1Aの前面にはメンテナンス用の矩形の開口部画形成されており、この開口部は前記フロントカバー21によって開閉される。
【0017】
上記画像形成部2は、電子写真方式によって画像を形成するものであって、回転可能に配された像担持体としての感光ドラム4と、その周囲に配された帯電器5、現像装置6、転写ローラー7及びクリーニング装置8の他、現像装置6に現像剤であるトナーを補給するためのトナーホッパー9を備えている。そして、画像形成部2の横には、本発明に係る光走査装置(レーザースキャナーユニット(LSU))10が配置されている。又、装置本体1Aの上部には画像読取装置11が配置されている。
【0018】
前記用紙収納部3は、複数枚の用紙が積層収容された着脱可能な上下2段の給紙カセット11,12を備えており、各給紙カセット11,12の近傍には、各給紙カセット11,12内の用紙を上位のものから順次取り出すピックローラー13と、取り出された用紙を1枚ずつ分離して送り出すフィードローラー14及びリタードローラー15がそれぞれ配設されている。
【0019】
又、装置本体1A内には、用紙収納部3から画像形成部2に至る第1搬送経路S1と、画像形成部2から排紙トレイ16に至る第2搬送路S2が配置されており、第1搬送路S1にはレジストローラー17と前記転写ローラー7が設けられ、第2搬送路S2には定着装置18と搬送ローラー19及び排紙ローラー20が設けられている。ここで、定着装置18は、圧接状態で互いに回転する定着ローラー18aと加圧ローラー18bを備えている。
【0020】
尚、本実施の形態では、感光ドラム4と帯電器5及びクリーニング装置8はドラムユニットU1として、現像装置6は現像ユニットU2として、定着装置18は定着ユニットU3としてそれぞれユニット化されており、これらは交換ユニットとして装置本体1Aに対して着脱されることによって交換可能である。
【0021】
次に、以上のように構成された画像形成装置1の画像形成動作について説明する。
【0022】
画像形成動作が開始されると、画像形成部2においては感光ドラム4が不図示の駆動手段によって図2の反時計方向に回転駆動され、その表面が帯電器5によって所定の電位に一様に帯電される。そして、パソコン等から送信される電気信号に基づくレーザービームが光走査装置10から出力されて感光ドラム4の表面が露光走査されると、該感光ドラム4上に画像情報に応じた静電潜像が形成される。そして、この感光ドラム4上に形成された静電潜像は、現像装置6によって現像剤であるトナーを用いて現像されてトナー像として可視像化される。
【0023】
ところで、カセット給紙を行う場合、用紙収納部3の例えば給紙カセット12内に収容された用紙は、ピックローラー13によって最上位のものからピックアップされ、フィードローラー14とリタードローラー15によって1枚ずつ分離されて第1搬送経路路S1をレジストローラー17へと搬送される。そして、レジストローラー17においては、用紙は、一時待機状態とされた後、感光ドラム4上のトナー像に同期する所定のタイミングで画像形成部2へと供給される。
【0024】
画像形成部2においては、感光ドラム4と転写ローラー7との間の転写ニップへと供給された用紙は、転写ローラー7によって感光ドラム4に押し付けられながら搬送されることによって、その表面に感光ドラム4上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された用紙は、定着装置18へと搬送され、この定着装置18の定着ローラー18aと加圧ローラー18b間の定着ニップを通過する過程で加熱及び加圧されてトナー像の定着を受ける。尚、用紙へのトナー像の転写後に感光ドラム4の表面に残留するトナー(転写残トナー)はクリーニング装置8によって除去され、表面が清掃された感光ドラム4は次の画像形成動作に備えられる。
【0025】
而して、定着装置18にて表面にトナー像が定着された用紙は、第2搬送経路S2を搬送ローラー19によって排紙ローラー20に向かって搬送され、排紙ローラー20によって排紙トレイ16へと排出され、これによって一連の画像形成動作が終了する。
【0026】
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、前述のようにドラムユニットU1と現像ユニットU2及び定着ユニットU3は、交換ユニットとして交換可能であって、これらは装置本体1Aに対して着脱可能に構成されている。
【0027】
而して、本実施の形態では、交換ユニットとしてのドラムユニットU1、現像ユニットU2又は定着ユニットU3の交換に際して、これらを装置本体1Aから取り外す場合には、フロントカバー21を開き、このフロントカバー21を作業台として使用し、取り外したドラムユニットU1、現像ユニットU2又は定着ユニットU3をフロントカバー21上に仮置きするようにしている。
【0028】
ここで、フロントカバー21の構成の詳細を図3〜図5に基づいて説明する。
【0029】
図3及び図4はフロントカバーを内面側から見た斜視図、図5は図4のA部拡大詳細図であり、フロントカバー21は、その左右両端下部に設けられたコの字状のヒンジアーム22の先端に向けられたヒンジ軸23によって図1に示すように装置本体1Aの前面に回動可能に支持されており、装置本体1Aの前面に開口する不図示の開口部を開閉する。フロントカバー21は全開すると、給紙カセット12の中間あたりの高さに水平状態で保持される。
【0030】
そして、図2に示すように、フロントカバー21の内面の上部左右にはL字状の位置決めリブ24が一体に形成され、各位置決めリブ24の外側にはブロック状の位置決めリブ25が一体に立設されている。又、フロントカバー21の内面上部の幅方向中間部にはブロック状の位置決めリブ26が一体に立設され、同フロントカバー21の内面の右側下部には矩形筒状の位置決めリブ27が一体に立設されている。更に、フロントカバー21の内面の左側の中間高さ位置には支えリブ28が一体に立設されている。
【0031】
又、フロントカバー21の内面下部には、幅方向に延びる水平なリブ29によってフロントカバー21の内面との間にポケット部30が幅方向に長く形成されており、このポケット部30は、フロントカバー21を図4に示すように閉じたために該フロントカバー21が垂直に起立した状態では、上方が開口するポケットとしての機能を発揮する。
【0032】
次に、ドラムユニットU1の交換作業を図6〜図9に基づいて以下に説明する。尚、図6はドラムユニットをフロントカバーに仮置きした状態を示す斜視図、図7は図6のB部を別方向から見た部分斜視図、図8は図6のC部拡大詳細図、図9は図6のC部を別方向から見た部分斜視図である。
【0033】
ドラムユニットU1を交換する際には、フロントカバー21を全開にしてこれを略水平状態に保ち、装置本体1Aの前面に開口する開口部からドラムユニットU1を取り出し、このドラムユニットU1を図6に示すようにフロントカバー21の内面上に載置して仮置きし、フロントカバー21を作業台として使用する。具体的には、装置本体1Aから取り出されたドラムユニットU1は、そのドラム軸31が図7に示すようにフロントカバー21の内面の左側に立設された支えリブ28によって受けられ、右側の前後が図8及び図9に示すようにフロントカバー21の内面に右側上下に立設された位置決めリブ25,27に当接して位置決めされた状態で、フロントカバー21の内面上に仮置きされる。
【0034】
そして、上述のようにドラムユニットU1がフロントカバー21上に仮置きされた状態で、新しいドラムユニットU1が装置本体1A内に組み込まれてドラムユニットU1の交換がなされる。
【0035】
次に、定着ユニットU3の交換作業を図10〜図13に基づいて以下に説明する。尚、図10は定着ユニットをフロントカバーに仮置きした状態を示す斜視図、図11は図10のD部拡大詳細図、図12は図10のE部拡大詳細図、図13は図10のF部拡大詳細図である。
【0036】
定着ユニットU3を交換する際にも、装置本体1Aの前面に開口する開口部から定着ユニットU3を取り出し、全開されて水平状態を維持するがフロントカバー21を作業台として使用し、取り出した定着ユニットU3を図10に示すようにフロントカバー21の内面上に載置して仮置きする。具体的には、装置本体1Aから取り出された定着ユニットU3は、その左右及び幅方向中央部が図11〜図13に示すようにフロントカバー21の内面に形成された位置決めリブ24,26に当接して位置決めされた状態で、フロントカバー21の内面上に仮置きされる。
【0037】
そして、上述のように定着ユニットU3がフロントカバー21上に仮置きされた状態で、新しい定着ユニットU3が装置本体1A内に組み込まれて定着ユニットU3の交換がなされる。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、交換ユニットであるドラムユニットU1や定着ユニットU3の交換に際して装置本体1AからこれらのドラムユニットU1や定着ユニットU3を取り出すときには、フロントカバー21を開けてこれを作業台として使用し、該フロントカバー21の上にドラムユニットU1や定着ユニットU3を仮置きしておくことができるため、これらのドラムユニットU1や定着ユニットU3の置き場所を確保することができ、それらの交換作業性が高められる。そして、この場合、フロントカバー21の作業台として利用される内面に、ドラムユニットU1のドラム軸31を支える支えリブ28と同ドラムユニットU1を位置決めする位置決めリブ25,27及び定着ユニットU3を位置決めする位置決めリブ24,26を一体に形成したため、取り出されたドラムユニットU1や定着ユニットU3がフロントカバー21上に位置決め又は支持された状態で仮置きされ、その落下や損傷が防がれる。
【0039】
又、本実施の形態では、装置本体1Aから取り出したドラムユニットU1や定着ユニットU3をフロントカバー21上に仮置きしたときにドラムユニットU1や定着ユニットU3に付着していたトナーがフロントカバー21の内面上に落下しても、このトナーは、交換作業が終了してフロントカバー21を閉じると、該フロントカバー21の内面に幅方向に長く形成されたポケット部30へと落下して回収されるため、トナーが周囲に飛散することがなく、トナーによる周囲の汚染が防がれるという効果が得られる。
【0040】
尚、以上は交換ユニットのうちのドラムユニットU1と定着ユニットU3の交換作業について説明したが、現像ユニットU2の交換作業も同様に行うことができる。又、以上は本発明をモノクロのレーザープリンターに対して適用した形態について説明したが、本発明は、モノクロ、カラーを問わず、プリンター以外の他の任意の画像形成装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 画像形成装置
1A 画像形成装置本体
2 画像形成部
3 用紙収納部
4 感光ドラム
5 帯電器
6 現像装置
7 転写ローラー
8 クリーニング装置
9 トナーホッパー
10 光走査装置
11 画像読取装置
12 給紙カセット
13 ピックローラー
14 フィードローラー
15 リタードローラー
16 排紙トレイ
17 レジストローラー
18 定着装置
18a 定着ローラー
18b 加圧ローラー
19 搬送ローラー
20 排紙ローラー
21 フロントカバー
22 ヒンジアーム
23 ヒンジ軸
24〜27 位置決めリブ
28 支えリブ
29 リブ
30 ポケット部
31 ドラム軸
S1 第1搬送路
S2 第2搬送路
U1 ドラムユニット(交換ユニット)
U2 現像ユニット(交換ユニット)
U3 定着ユニット(交換ユニット)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なフロントカバーを備えた装置本体に交換可能な交換ユニットを内蔵して成る画像形成装置において、
前記装置本体から前記交換ユニットを取り出す際、前記フロントカバーを開け、該フロントカバーを、取り出した前記交換ユニットを仮置きしておくための作業台として使用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記フロントカバーの内面に、前記交換ユニットを位置決め又は支持するためのリブを一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フロントカバーの内面に、飛散したトナーを受けるためのポケット部を幅方向に長く形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−11775(P2013−11775A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145067(P2011−145067)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】