画像形成装置
【課題】
様々な種類の記録媒体を使用した場合でも、転写部と像担持体との距離を適正に調整することを課題とする。
【解決手段】
画像形成の開始時に、記録媒体を像担持体に接近させるため、リンク機構は、モータの回転駆動により、リンク部材を介して、揺動軸を回転中心に転写器ハウジングを揺動する。その結果、転写器ハウジングに取り付けられた案内ガイド等が、像担持体に接近し、案内ガイド等により搬送経路を案内される記録媒体が、像担持体に接近する。このとき、リンク機構は、記録媒体の剛性等に基づいて、転写部と像担持体との離間距離を調整する。
様々な種類の記録媒体を使用した場合でも、転写部と像担持体との距離を適正に調整することを課題とする。
【解決手段】
画像形成の開始時に、記録媒体を像担持体に接近させるため、リンク機構は、モータの回転駆動により、リンク部材を介して、揺動軸を回転中心に転写器ハウジングを揺動する。その結果、転写器ハウジングに取り付けられた案内ガイド等が、像担持体に接近し、案内ガイド等により搬送経路を案内される記録媒体が、像担持体に接近する。このとき、リンク機構は、記録媒体の剛性等に基づいて、転写部と像担持体との離間距離を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、供給部から記録媒体を搬送する搬送手段と、像担持体(例えば感光ドラム)上のトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上のトナーを固定し、画像形成された記録媒体を排出する排出手段とを備えるものが知られている。
【0003】
従来、画像形成装置において、記録媒体に薄い用紙を使用したいというニーズがあり、記録媒体と感光ドラムとを当接させる観点から、感光ドラムと記録媒体とが近接するように、記録媒体を搬送している。
【0004】
他方、被画像形成媒体の付加価値を高めるため、様々な種類の媒体に画像を形成できる画像形成装置が開発されている。媒体厚さが厚い記録媒体は、通常、その剛性が高く、搬送時に感光ドラムに接触する力が強くなる。そのため、感光ドラムの機械的摩耗が増加し、感光ドラムの寿命が短くなる場合があった。
【0005】
特許文献1に係る画像形成装置は、搬送方向の上流側と下流側とに設けられた記録媒体を案内する一対のガイドの間隔を可変させ、記録媒体と感光ドラムとの静電的吸着力を増大させる技術を開示している。特許文献2に係る画像形成装置は、感光ドラムと除電器との離間距離を狭め、除電効率を上げている技術を開示している。特許文献3に係る画像形成装置は、用紙を装填する際に、用紙搬送機構部を感光ドラムから離脱・開放する技術を開示している。特許文献4に係る画像形成装置は、画像形成開始時及び終了時の記録媒体を案内するガイドの接近及び後退に伴い発生する記録媒体の弛みを防止する技術を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1乃至4は、いずれも、様々な種類の記録媒体に画像を形成すること及び記録媒体の種類に基づく、感光ドラムの機械的摩耗の増加を防止することについては考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明は、様々な種類の記録媒体を使用した場合でも、記録媒体による像担持体の摩耗の増加を抑制することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー像が現像される像担持体と、前記記録媒体に前記像担持体上の前記トナー像を転写する転写部と、前記記録媒体の剛性に基づき、前記転写部と前記像担持体とのギャップを調整する調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、様々な種類の記録媒体を使用した場合でも、像担持体の磨耗の増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である第1の実施例の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である第1の実施例の転写部の要部を示す拡大図である。図(a)は画像形成時(転写時)の拡大図である。図(b)は画像形成の待機時(転写待機時)の拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態である第1の実施例の第1の調整手段によって調整される案内手段の位置を説明する説明図である。図(a)及び(d)は、案内手段と感光ドラムとのギャップを説明する説明図である。図(b)は、記録媒体の厚さが薄く、その剛性が低い場合の記録媒体の膨らみ量(感光ドラムは配置していない場合)を説明する説明図である。図(e)は、図(b)より記録媒体の厚さが厚く、その剛性が高い場合の記録媒体の膨らみ量(感光ドラムは配置していない場合)を説明する説明図である。図(c)は、図(b)と記録媒体の厚さ及び剛性が同程度で、感光ドラムを配置した場合の、実際の記録媒体の搬送経路を説明する説明図である。図(f)は、図(e)と記録媒体の厚さ及び剛性が同程度で、感光ドラムを配置した場合の、実際の記録媒体の搬送経路を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態である第1の実施例の第1の調整手段によって調整される案内手段の位置を説明する説明図である。図(a)はギャップを調整する前の状態であり、図(b)はギャップを調整後の状態である。
【図5】本発明の一実施形態である第1の実施例の記録媒体の剛性と記録媒体の転写部での膨らみ量との関係を説明する図である。図(a)は、記録媒体の曲げ剛度と膨らみ量との関係を説明するグラフである。図(b)は、記録媒体の紙厚と膨らみ量との関係を説明するグラフである。
【図6】本発明の一実施形態である第1の実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態である第2の実施例の画像形成装置の転写部の回転動作を説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施形態である第2の実施例の画像形成装置の転写部と印写フレームとの結合部を説明する説明図である。図(a)は従来のカム機構を有さない結合部である。図(b)は、本実施例のカム機構を有する結合部である。
【図9】本発明の一実施形態である第2の実施例の転写部と印写フレームとの結合部のレバー操作を説明する説明図である。図(a)及び図(b)は2段階の操作の説明図である。図(c)はプレートを有する複数段階の操作の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態である第3の実施例のローラ搬送手段を示す概略構成図である。
【図11】本発明の一実施形態である第3の実施例のトラクタ搬送手段の要部を示す概略構成図である。図(a)は、ロール紙の場合の概略構成図である。図(b)は、折り畳み用紙の場合の概略構成図である。
【図12】本発明の一実施形態である第4の実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【図13】本発明の一実施形態である第5の実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【図14】本発明の一実施形態である第5の実施例の転写部の第1のギャップセンサを説明する説明図である。
【図15】本発明の一実施形態である第5の実施例の転写部の第2のギャップセンサを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
転写コロトロンを用いた非接触の転写手段を有する画像形成装置の実施例を用いて、本発明を説明する。なお、本発明はプリンタ、被写機又はファックス等の像担持体を用いてトナー像を記録媒体に転写する画像形成装置であれば、いずれの装置にも適用しうる。
【実施例1】
【0012】
第1の実施例の画像形成装置について説明する。
【0013】
図1は、本実施例の一実施形態の一例を示す概略構成図である。図1において、画像形成装置10は転写手段20、搬送手段30、排送手段40及び像担持体としての感光ドラム23に関する構成23'を備える。
【0014】
転写手段20は、記録媒体にトナー像を転写する手段であり、転写部21と第1の調整手段22とを備える。
【0015】
転写部21は、感光ドラム23上に現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写器24を備える。転写器としては、転写コロトロン、転写ブラシ又は転写ローラなどがある。本実施例は、グリッド電極を持たないコロナ帯電器でコロナ放電を行う転写コロトロンを用いる。
【0016】
第1の調整手段22は、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する手段である。第1の調整手段22は、記録媒体の剛性に基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する。また、本実施例の第1の調整手段22は、記録媒体の剛性と媒体厚さに基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整することを含む。さらに、第1の調整手段22は、記録媒体の剛性、媒体厚さ及びその他の条件(例えば、記録媒体にかかる張力、ロール紙の場合はロール状に収納されているロール紙の外側のロール紙と内側のロール紙との吸湿の差又は外側のロール紙と内側のロール紙との曲率の違いによる巻きグセの差の条件等)に基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整してもよい。
【0017】
搬送手段30は、記録媒体を転写部21と感光ドラム23との間隙に搬送する手段である。搬送手段30としては、ローラ、ベルト、ガイド又はトラクタ等があり、媒体供給部31、記録媒体バッファ部32及び張力付与部33等を備える。
【0018】
媒体供給部31は、記録媒体を画像形成装置10内に取り込むものである。記録媒体バッファ部32は、転写部21の上流に位置し、画像形成前に記録媒体を画像形成装置10内に一時的に待避させるものである。張力付与部33は、記録媒体の搬送時に、記録媒体の蛇行やシワが発生するのを防止するため、適度な張力を記録媒体に付与するものである。
【0019】
媒体供給部31から供給された記録媒体は、記録媒体バッファ部32に保持され、張力付与部33等を介して、記録媒体搬送方向(以下「下流方向」という。)に搬送される。
【0020】
排送手段40は、トナー像が転写された記録媒体を下流方向に排送する手段である。本実施例では、排送手段40は、吸引排送部41、定着部42及び排送部43等を備える。
【0021】
吸引排送部41は、転写された記録媒体を排送するために、記録媒体を吸引固定しながら、下流方向に送り出すものである。定着部42は、記録媒体上に転写されたトナー像を溶融固定し、そのトナーを定着させるものである。排送部43の記録媒体は、後段のプリンタや後処理機などに搬送される。
【0022】
本実施例においては、記録媒体は長尺の媒体であり、その媒体上に画像が形成されるものである。媒体の種類としては、紙媒体、OHPシート、樹脂性フィルム、金属性薄膜等が可能となる。本実施例は連続紙(以下「ウエブ」という。)を対象とする。連続紙の種類としては、薄紙、厚紙、上質紙及び粗面紙等が可能となる。
【0023】
なお、感光ドラム23に関連する構成23'は、感光ドラム23上に電荷を付与する帯電部、露光光源を照射し、感光ドラム23上に静電潜像を形成する露光部、感光ドラム23上にトナー像を現像する現像部及び感光ドラム23上の電荷を除去する除電部等を備える。その基本的な構成及び工程(帯電、静電潜像、現像、除電等)は従来技術と同様のため、説明を省略する。
【0024】
次に、画像形成装置10の転写手段20を、図2を用いて説明する。図2は、転写手段20の転写部21の要部を示す拡大図である。図2(a)は画像形成時(転写時)の拡大図である。図2(b)は画像形成の待機時(転写待機時)の拡大図である。
【0025】
転写手段20は転写部21及び第1の調整手段22を備える。転写部21は、本実施例では、転写器24、転写器ハウジング25及び案内手段26等を備える。
【0026】
転写器24は、感光ドラム23上に現像されたトナー像を記録媒体上に転写するものである。転写器24は、感光ドラム23に対向する位置に配置されている。転写器ハウジング25は転写器24を支持するものである。本実施例では、転写器ハウジング25はC字状の断面形状で、内部空間で転写器24を支持している。また、転写器ハウジング25は揺動軸25Rで揺動可能に軸支されている。
【0027】
案内手段26は、ウエブ51を転写器24と感光ドラム23との間隙に搬送するときに、搬送経路を決定づける手段である。本実施例では、案内手段26として、案内ガイドを用いる。案内ガイドは、断面形状がC字状の転写器ハウジング25の開口部に感光ドラム23と略平行で対向するように配設され、上流側案内ガイド26a及び下流側案内ガイド26bを含む。上流側案内ガイド26a及び下流側案内ガイド26bは、感光ドラム23と略対称となる略曲面の表面形状を有する曲板である。
【0028】
ウエブ51は案内ガイド26a、26bの曲面形状の曲率に沿うように搬送される。なお、案内手段26は、本実施例の案内ガイド26a、26b以外の、例えば、平板、曲板、ピン、ローラ、ベルト等の搬送経路を案内する手段であれば、いずれの手段も適用しうる。
【0029】
第1の調整手段22は、転写部21と感光ドラム23との離間距離を拡げたり、及び狭めたりする手段である。本実施例では、第1の調整手段22は、モータ22M、リンク部材22L及び回転連結部22Rを有するリンク機構22aを備える。
【0030】
リンク部材22Lは、回転連結部22Rの位置で転写器ハウジング25と回転可能に連結されている。また、リンク部材22Lは、モータ22Mの回転子に偏心して軸支されている。
【0031】
モータ22M及びリンク部材22Lは、モータ22Mの回転運動をリンク部材22Lの直線往復運動に変換するカム機構を構成する。リンク部材22Lの直線往復運動により、転写器ハウジング25を感光ドラム23から離間又は接近させる。
【0032】
なお、本実施例の第1の調整手段22は、リンク機構22a以外の例えばステッピングモータ若しくは電磁力等の直線又は回転駆動により転写部21の前進及び後退を行う手段であれば、いずれの手段も適用しうる。また、転写部21の位置を検出するセンサを設け、モータ等の駆動を制御する方法を組み合わせてもよい。
【0033】
パス調整ガイド22gは、転写器ハウジング25と搬送レールガイド22hと連結する屈曲フレーム22fの屈曲部に取り付けられている。パス調整ガイド22gは、リンク機構22aが転写器ハウジング25を揺動する際に、転写部21内のウエブ51の搬送区間(以下「パス長Lp」という。)及びウエブ51にかかる張力を保つように調整するものである。リンク機構22aが転写器ハウジング25を揺動すると、屈曲フレーム22fが屈曲し、屈曲フレーム22fに取り付けられたパス調整ガイド22gが突出し、パス調整ガイド22gに当接しているウエブ51の張力を一定に保つ。パス調整ガイド22gは偏心ローラ等でもよい。
【0034】
次に、転写手段20の第1の調整手段22の動作を、図2乃至5を用いて説明する。
【0035】
画像形成の待機時には、ウエブ51を感光ドラム23から離間させるため、リンク機構22aは、転写器ハウジング25を感光ドラム23に対して離れる方向に退避する(図2(b))。
【0036】
画像形成の開始時には、ウエブ51を感光ドラム23に接近させるため、リンク機構22aは、モータ22Mを回転駆動し、カム機構によりリンク部材22Lを直線運動させる。これによって、リンク機構22aは、リンク部材22Lに連結した転写器ハウジング25を揺動軸25Rを回転中心に揺動し、転写器ハウジング25を感光ドラム23に接近させる。その結果、転写器ハウジング25に取り付けられた案内ガイド26a、26bが、感光ドラム23に接近する。
【0037】
また、案内ガイド26a、26bにより搬送経路を案内されるウエブ51が、感光ドラム23に接近する(図2(a))。このとき、ウエブ51は、案内ガイド26a、26bのウエブ51に接する側の曲面の曲率と感光ドラム23の外形とに沿うように、感光ドラム23と転写器24との間隙に配置される。この状態で、転写器24は、感光ドラム23上に現像されたトナー像をウエブ51上に転写する。
【0038】
画像形成の終了時には、リンク機構22aは、モータ22Mの回転駆動(画像形成の開始時とは逆の回転方向)により、転写器ハウジング25を感光ドラム23から離間する。その結果、転写器ハウジング25に取り付けられた案内ガイド26a、26bが、感光ドラム23から離間する(図2(b))。このとき、リンク機構22aは、ウエブ51が感光ドラム23から確実に離間する距離まで、案内ガイド26aを退避する。
【0039】
なお、予め実験等により、記録媒体に応じた必要な退避距離を測定しておき、測定した退避距離に基づいて、ウエブ51と感光ドラム23とが接触することを防止してもよい。
【0040】
リンク機構22aは、ウエブ51の剛性等が異なる場合に、その剛性等に基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する。
【0041】
図3に、リンク機構22aが、ウエブ51の剛性等に基づいて、転写部21(案内ガイド26a、26b)と感光ドラム23との離間距離を調整することを説明する説明図を示す。
【0042】
図3(a)及び(d)は、案内手段と感光ドラムとのギャップを説明する説明図である。図(a)及び(d)のG1は、上流側案内ガイド26aと下流側案内ガイド26bとのウエブ51に接する側の曲面に対し、共通して接する接線である。また、図中のG2は、G1と平行な線で、感光ドラム23の外形に接する接線である。これらの平行線(G1及びG2)の距離を以下「ギャップ」という。図(a)より図(d)の方がギャップGが大きい。
【0043】
図3(b)及び(e)は、記録媒体の膨らみ量(感光ドラムは配置していない場合)を説明する説明図である。図中の二点鎖線(図中のT1及びT2)は搬送経路に感光ドラム23を配置していないと仮定した場合の(ウエブ51と感光ドラム23とが干渉しないと仮定した場合の)ウエブ51の断面の形状である。図(e)は、図(b)より記録媒体の厚さが厚く、その剛性が高い場合の記録媒体の膨らみ量Lb(図(b)及び(e)で、上流側案内ガイド26aと下流側案内ガイド26bの中間の位置におけるG1とT2との距離。)である。
【0044】
図3(b)のウエブ51の剛性が低い場合、ウエブ51は、案内ガイド26a、26bの曲面の曲率に沿うように、感光ドラム23と案内ガイド26a、26bとの間隙に搬送される。一方、図(e)のウエブ51の剛性が高い場合、ウエブ51が感光ドラム23の方向に膨らむ搬送経路で搬送される。
【0045】
図3(c)及び(f)は、図(b)及び(e)において、感光ドラムを配置した場合の実際の記録媒体の搬送経路を説明する説明図である。
【0046】
転写部21の搬送経路でのウエブ51の膨らみ量Lbは、ウエブ51の記録媒体の剛性だけでなく、媒体厚さ、パス長の形状、及びウエブ51にかかる張力等に影響される。また、ウエブ51の剛性の大きさは、媒体厚さ、ウエブ51の繊維の方向、ロール紙の場合はロール状に収納されたロール紙の直径がより大きい状態の外側に位置するロール紙とそれよりもよりロール紙の直径が小さい内側に位置するロール紙との吸湿の差若しくは外側と内側との曲率の違いによる巻きグセの差等に影響される。
【0047】
また、一般的に、ロール紙の場合は、繊維縦目方向が繊維横目方向より剛性が高い。薄紙(媒体厚さ90μm)のロール紙の場合は、繊維縦目方向の曲げ剛度は90〜100mN程度、厚紙(媒体厚さ250μm)のロール紙の場合は、1000〜1200mN程度である。通常、繊維縦目方向を搬送方向として、ロール紙は搬送される。
【0048】
本実施例では、記録媒体の剛性等とギャップGの値との関係は、予め実験結果等により対応付けている。リンク機構22aは、図示しない入力手段または検出手段により得られた記録媒体の剛性等の情報から、予め実験結果等により対応付けられたギャップGの値を選択し、モータ22M等の回転駆動により、ギャップGを調整する。
【0049】
図4及び図5を用いて、リンク機構22aのギャップGを調整する動作を具体的に説明する。図4(a)はギャップGを調整していない場合であり、図4(b)はギャップGを調整した場合である。
【0050】
図4(a)の場合、ウエブ51の剛性が高いため、ウエブ51が感光ドラム23に強く押し付けられ、感光ドラム23表面がウエブ51に擦れて、感光ドラム23表面の機械的摩耗がしやすくなる。この場合、図2のリンク機構22aは、モータ22Mを回転駆動し、カム機構によりリンク部材22Lを直線運動させ、リンク部材22Lに連結した転写器ハウジング25を揺動し、転写器ハウジング25を感光ドラム23から離間させる。その結果、転写器ハウジング25に取り付けられた案内ガイド26a、26bが感光ドラム23から離間し、案内ガイド26a、26bと感光ドラム23とのギャップGが拡大する(図4(b))。
【0051】
このように、本発明によれば、案内ガイド26a、26bと感光ドラム23とのギャップGを調整することで、ウエブ51と感光ドラム23とが強く押し付けられることを防止することができる。また、本発明によれば、ウエブ51と感光ドラム23とが強く押し付けられることを防止することができるので、ウエブ51による感光ドラム23表面の機械的摩耗を抑制することができる。更に、本発明によれば、ウエブ51による感光ドラム23表面の機械的摩耗を抑制することができるので、感光ドラム23の寿命の短縮を防止することができる。
【0052】
図5に、記録媒体の膨らみ量Lbの実験結果の一例を示す。図5(a)はウエブ51の曲げ剛度と膨らみ量Lbとの関係、図5(b)は媒体厚さと膨らみ量Lbとの関係の実験結果である。
【0053】
図5(a)に示すように、ウエブ51の膨らみ量Lbは、ウエブ51の曲げ剛度に略比例して、増加する。そのため、ウエブ51の膨らみ量Lbは、入力手段等により得られた記録媒体の剛性の値に、所定の係数を乗算することで得られ、対応付けが容易である。なお、ウエブ51の曲げ剛度1000mNである場合、転写部21でのウエブ51の膨らみ量Lbは1000μm程度となる。
【0054】
図5(b)に示すように、ウエブ51の膨らみ量Lbは、紙厚が略200μmを超えると、紙厚の略3乗に比例する。
【0055】
表1は、本実施例に用いられるウエブ(ロール紙)について、紙(A)乃至紙(H)の紙厚、密度、曲げ剛度、膨らみ量、及び、紙厚(60μmとの差)の実験結果の一例を示す表である。
【0056】
表1において、本実施例では、紙(C)と紙(D)との比較から、紙厚が同程度の場合でも、曲げ剛度が異なる結果となる。具体的には、紙厚が、紙(C)で234μm、紙(D)で239μmである場合、その曲げ剛度は、紙(C)で644mN、紙(D)で1276mNである。
【0057】
従って、膨らみ量と紙厚との関係は、一対一(線形)の関係とならない(図5(b))。
【0058】
一方、曲げ剛度と膨らみ量との関係は、略一対一(線形)の関係となる(図5(a))。曲げ剛度と膨らみ量との関係は、紙厚と膨らみ量との関係と比較して、より相関性がある結果となる。
【0059】
以上より、ギャップの値を設定する方法は、紙厚に基づいて、ギャップの値を設定する方法と比較して、ウエブの剛性(曲げ剛度)に基づいて、ギャップの値を設定する方法がより好ましい。また、ウエブの剛性に基づいて、ギャップの値を変更することで、感光ドラムの磨耗を抑制する効果を得ることができる。さらに、ウエブの剛性に基づいて、ギャップの値を複数段に変更することも可能である。
【0060】
【表1】
表1に示すように、ウエブの紙厚250μmの場合、ウエブの膨らみ量は1000μm程度となる。
【0061】
リンク機構22aは、入力手段または検出手段により得られた記録媒体の曲げ剛度(更に好ましくは、曲げ剛度及び媒体厚さ)から、図5より、対応する膨らみ量Lbを算出し、その膨らみ量Lbに基づいて、ギャップGを調整する。
【0062】
リンク機構22aは、画像形成の開始時、画像形成中、及び画像形成の待機時等のいずれにおいて、ギャップGを調整することが可能である。
【0063】
次に、画像形成装置10の搬送手段30及び排送手段40を図6を用いて説明する。
【0064】
図6は、本実施例の画像形成装置10を示す正面図である。
【0065】
搬送手段30は、媒体供給部31、記録媒体バッファ部32、張力付与部33等を備える。
【0066】
媒体供給部31は、媒体供給ローラ31a、引き込みローラ31b、転写部案内ローラ31c、エッジガイド31d等を備える。記録媒体バッファ部32は、バッファ機構32a、及び記録媒体バッファセンサ32b等を備える。張力付与部33は、押し付けローラ33a及びテンションガイド33b等を備える。
【0067】
引き込みローラ31bに面接触したウエブ51は、引き込みローラ31bの回転駆動によって、記録媒体バッファ部32のバッファ機構32aに引き込まれ、一時的に待機される。バッファ機構32aは、記録媒体バッファセンサ32b〜32eによって、ウエブ51の有無を検知し、ウエブ51のたるみ量を計測する。このとき、記録媒体バッファ部32は、ウエブ51のたるみ量に応じて、引き込みローラ31aの引き込み速度を調整し、ウエブ51のたるみ量を所定の量に維持する。
【0068】
次に、搬送手段3は、記録媒体バッファ部32の下流方向に配置されたエッジガイド31dによりウエブ51の蛇行を補正し、押し付けローラ33aにより蛇行やシワの発生を抑制する適度な張力を付与する。
【0069】
本実施例では、ロール紙のうち送り穴を有さないウエブ51を対象としているが、ロール紙で送り穴を有してトラクタ機構により搬送される場合は、押し付けローラ33aを含むユニットをリトラクトさせる。また、折り畳みウエブ(BOX紙;送り穴有り)では、トラクタ機構のピン部材をウエブの送り穴に係合させて搬送するため、ウエブは張力付与部33の外部に搬送される。なお、この点については、第3の実施例として詳細を記載する。
【0070】
その後、転写部案内ローラ31cは、ウエブ51を下流方向の案内ガイド26a等へ搬送する。(その後、転写手段2は、感光ドラム23と転写器24との間隙に搬送されたウエブ51上にトナー像を転写する。)
【0071】
次に、排送手段40について、説明する。排送手段40は、吸引排送部41、定着部42、及び排送部43等を備える。吸引排送部41は、吸引排送ベルト41aを備える。定着部42は、図示しない加熱部42a及び加圧部42bを備える。
【0072】
吸引排送部41は、吸引排送ベルト41aを用いて、ウエブ51のトナー像が転写された面の反対側の面を吸引固定する。その状態で、吸引排送部41は、吸引排送ベルト41aの下流方向への移動を介して、ウエブ51を下流方向に排送する。
【0073】
更に下流方向にある定着部42は、ウエブ51を加熱する加熱部42aでトナー像のトナーの転移温度まで加熱し、ウエブ51上のトナーを溶融する。次に、加圧部42bの加圧等により、ウエブ51上のトナーを固定する。
【0074】
その後、ウエブ51を画像形成装置10外の排送部43に排送し、画像形成は終了となる。
【実施例2】
【0075】
第2の実施例として、第1の実施例に第2の調整手段27を備える画像形成装置について説明する。第2の調整手段27以外の構成は第1の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0076】
図7は、第2の調整手段27による転写部21の回転動作を説明する説明図である。本実施例の第2の調整手段27は、カムシャフト71a、偏心カム71b及びモータ73等を備えるカム機構27aである。第2の調整手段27は、カム機構27a以外の例えばステッピングモータ若しくは電磁力等の直線又は回転駆動によって転写部21を回転させる手段であれば、いずれの手段も適用しうる。
【0077】
カムシャフト71aは、感光ドラム23を有する印写フレームに回転可能に軸支されている。偏心カム71bは、カムシャフト71aに取り付けられる。偏心カム71bは、カムシャフト71aの回転角度に対応して、その径を変化させる。すなわち、偏心カム71bは、径の異なる曲面の外形を有し、その曲面が転写部21の突き当てブロック72に当接している。偏心カム71aは、カムシャフト71bに被せるように取り付けるため、装置の設計変更を最小限にし、フィールドアップグレードも可能である。
【0078】
モータ73は、カムシャフト71aを回転駆動する動力源である。モータ73は、ベルト73bを介して、カムシャフト71aを回転する。本実施例は、モータ73にステッピングモータを用いる。カムシャフト71aを回転できる動力源であれば、モータ73以外の動力源も使用可能である。
【0079】
通常、画像形成装置は、用紙詰まりなどの修復時、転写部21を感光ドラム23に対して離間する方向に回転開閉できるように設計されている。カム機構27aは、偏心カム71bを回転し、転写部21の突き当てブロック72に当接する偏心カム71bの曲面の位置を変え、突き当てブロック72の位置を変える。その結果、突き当てブロック72を備える転写部21は回転し、転写部21と感光ドラム23とのギャップGが調整される。
【0080】
図8及び図7を用いて、カム機構27aを詳細に説明する。図8(a)はカム機構を有さない結合部である。図8(b)は、本実施例のカム機構27aを有する結合部である。
【0081】
カム機構27aは、モータ73を駆動し、ベルト73bを介してカムシャフト71aを回転し、偏心カム71bを回転する。このとき、偏心カム71bに当接する転写部21の突き当てブロック72は、偏心カム71bの位相に従い、その位置を変える。その結果、転写部21は、回転軸21Rを回転中心として、その取り付け角度を変え、転写部21と感光ドラム23とのギャップGが変化する。カム機構27aは、ウエブ51の剛性等に応じた膨らみ量Lbに基づいて、偏心カム71bの位相を変化させ、ギャップGを適正値に調整する。
【0082】
第1の調整手段22は、第2の調整手段27よりギャップGを調整するための回転半径が小さいため、ギャップGの値を微調整することが可能であり、高精度のギャップGの調整に好ましい。また、第1の調整手段22は、転写器ハウジング25のみを回転するため、消費エネルギーも少ない。
【0083】
第2の調整手段27は、第1の調整手段22と比較して回転半径が大きいため、ギャップGの値を大きく変化させたい場合に、より好ましい調整が可能である。また、第2の調整手段27は、転写部21内の搬送経路全体を回転させるため、転写部21内のパス長Lpの変化がなく、ウエブ51の搬送時の安定性が高い。さらに、第2の調整手段27の回転動作による転写部21の傾き角度は、0.1〜0.5度程度であるため、転写部21の上流及び下流のウエブ51の搬送に与える影響も少ない。
【0084】
第1の調整手段22と第2の調整手段27とを同時に用い、ギャップGを調整することも可能である。
【0085】
画像形成装置10は、画像形成の待機時にウエブ51を感光ドラム23から退避する。剛性が高いウエブ51を搬送するとき、画像形成の待機時のギャップGより膨らみ量Lbが大きい場合は、ウエブ51が感光ドラム23に接触した状態が維持される。この場合、ウエブ51が感光ドラム23上の残トナーにより汚損、又は、ウエブ51との接触で感光ドラムが損傷する。
【0086】
第2の調整手段27は、画像形成の待機時にギャップGを調整し、ウエブ51を感光ドラム23から離間させることが可能である。また、第2の調整手段27は、搬送経路を変更して膨らみ量Lbを小さくする設計変更を必要としないため、既存装置に対して、開発コストが少なくてすむ効果がある。
【0087】
図9は、本実施例のカムシャフト71aに手動レバー73cを取り付けた場合の手動レバー73cの操作を説明する説明図である。なお、本実施例は、モータ73(図7)によりカムシャフト71aを駆動する場合は、手動レバー73cによる操作は要しない。
【0088】
図9(a)及び(b)は、手動レバー73cに取り付けられたバネ71cのバネ力により、手動レバー73cがCW方向に引っ張られる構成である。カムシャフト71aを備える印写フレーム100はストッパ71dを備える。手動レバー73cをCW方向に回転してストッパ71dに突き当たった場合(図9(a))と、CCW方向に回転してストッパ71dに突き当たった場合(図9(b))との2段階で、カム71aの位相を固定でき、ギャップGも2段階で設定可能となる。印写フレーム100には、現像機、光学部、除電器、清掃機などが搭載されている。
【0089】
図9(c)は、手動レバー73cの後方に、複数穴の開いたプレート71eを備えた場合である。手動レバー73cに備えた穴とプレート71eに備えた穴とをピン71fで係合し、固定する。この場合、プレート71eに備えた穴の数だけ手動レバー73cの位相を固定でき、ギャップGもその数だけ設定可能となる。
【実施例3】
【0090】
第3の実施例である搬送手段30の種類に基づいて、ギャップGを調整する画像形成装置について説明する。基本的な構成は第1の実施例及び第2の実施例と同様のため、説明を省略する。搬送手段の種類は、送り穴を有さないウエブを搬送するローラ搬送手段と送り穴を有するウエブを搬送するトラクタ搬送手段等がある。
【0091】
一般的に、トラクタ搬送手段は、ローラ搬送手段を用いて、ウエブ51に負荷できる張力が大きい。そのため、ローラ搬送手段と比較して、トラクタ搬送手段は、膨らみ量Lbが小さくなる。これにより、ローラ搬送手段におけるギャップと同様とした場合、感光ドラム23とウエブ51との接触性が低下し、転写性が悪化する。そのため、ローラ搬送手段の際のギャップよりも、トラクタ搬送のギャップGは小さく設定する。このように、本実施例は、搬送手段の種類に基づいて、トラクタ搬送手段では、ローラ搬送手段の場合より、ギャップGの値を小さくすることを特徴する。
【0092】
図10及び図11を用いて、本実施例を説明する。
【0093】
図10は、ローラ搬送手段により、送り穴を有しないロール状のウエブ51を搬送する場合である。図11は、トラクタ搬送手段により、送り穴を有するロール状のウエブ51を搬送する場合である。
【0094】
図10において、ローラ搬送手段は、転写器24の記録媒体搬送方向に対して上流に位置する転写部案内ローラ31c、及び下流に位置する吸引排送ベルト41aにより、ウエブ51を搬送する手段である。転写部のウエブ51にかかる張力は、吸引排送ベルト41aの外周速度を転写部案内ローラ31cの外周速度よりも僅かに速く(103パーセント程度に)することで発生させる。このとき、局所的には、吸引排送ベルト41aとウエブ51との間で、スリップが繰り返し発生している。そのスリップが発生していないときにかかる最大力が、転写部のウエブ51にかかる張力となる。
【0095】
なお、ウエブ51の膨らみ量Lbを抑制する方法として、例えば、吸引排送ベルト41aの排送力を増加し、ウエブ51にかかる張力を増加させることも考えられる。しかしながら、張力を大きくすると、送り穴に負荷が掛かり、送り穴が変形する。また、ローラ搬送手段(ピンレス搬送)の場合、排送力を増加させるには、吸引排送ベルト41aの吸引力を増加させることになるが、この場合も用紙の変形(凹み)が発生する。
【0096】
いずれの場合も、印刷品質低下の影響を考慮する必要があるため、本発明においては、ウエブの剛性等に基き、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する。
【0097】
図11(a)において、トラクタ搬送手段は、搬送方向に対して直交方向(幅方向)にウエブの両端に送り穴を有するロール状のウエブ51を搬送する場合に、上流トラクタ31ct及び下流トラクタ41atが有するピン36aとウエブ51の送り穴を嵌合させて、ウエブ51を搬送する手段である。
【0098】
図11(b)は、トラクタ搬送手段が、折り畳みウエブ51f(BOX紙)を搬送する場合を示す。折り畳みウエブ51fを搬送する場合は、押し付けローラ33aが閉じられる。折り畳みウエブ51fは、押し付けローラ33aの外側に搬送される。
【0099】
図10のローラ搬送手段の転写部案内ローラ31c及び吸引排送ベルト41aは、ウエブの用紙幅方向の両端を除く、ウエブの搬送路の中央部分に配置される。図11(a)及び(b)のトラクタ搬送手段の上流トラクタ31ct及び下流トラクタ41atは、ウエブの搬送路の両端部に配置される。
【実施例4】
【0100】
第4の実施例である検出手段80を備える第1の実施例乃至第3の実施例の画像形成装置について説明する。検出手段80以外の基本的な構成は第1の実施例乃至第3の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0101】
図12は、本実施例の画像形成装置10を示す正面図である。
【0102】
図12に示すように、本実施例はウエブ51の剛性を検出する検出手段80を備える。
【0103】
検出手段80は、ウエブ51が撓んでいる箇所(例えば、転写器ハウジング25の上流の位置)に配設され、ウエブ51までの距離を測定し、その測定値と所定の値との差により、ウエブ51の剛性を検出する手段である。具体的には、ウエブ51までの距離が遠いほど、ウエブ51の剛性が高いと判断する。
【0104】
検出手段80は、渦電流式、静電容量式、超音波式、光学式等の、対象物までの距離を測定できる装置であれば、適用することができる。また、検出手段80は、記録媒体の剛性の大きさに比例して撓んでいる箇所(例えば記録媒体バッファ部32又は張力付与部33等)であれば、配設することが可能である。
【0105】
第1の調整手段及び第2の調整手段は、検出した値に基づいて、ギャップGを調整する。また、画像形成中に、所定の期間でウエブ51の剛性を検出し、検出した値に基づいて、ギャップGを調整することも可能である。さらに、検出手段80が所定の期間後に検出した値に基づくギャップGの値と、前回検出した値に基づくギャップGの値との差が所定の閾値以上になったときに、第1の調整手段及び第2の調整手段が、ギャップGを調整することも可能である。
【0106】
これにより、ロール紙のウエブ51を使用する場合、ロール状に収納されたロール紙の外側のロール紙と内側のロール紙との吸湿の差による剛性の差及び外側と内側の曲率の違いによる巻きグセに起因する剛性の差等の連続画像形成中にウエブ51の剛性が変化する場合でも、ギャップGを適正に調整することが可能となる。
【0107】
また、ウエブ51の剛性だけでなく、ウエブ51の媒体厚さを検出する手段(図示しない)を併用し、ギャップGの値を決定することも可能である。
【実施例5】
【0108】
第5の実施例である入力手段90を備える第1の実施例乃至第4の実施例の画像形成装置について説明する。入力手段90以外の基本的な構成は第1の実施例乃至第4の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0109】
図13は、本実施例の画像形成装置10を示す正面図である。
【0110】
図13に示すように、本実施例は、記録媒体に関する情報を入力する入力手段90を備える。第1の調整手段及び第2の調整手段は、入力手段90に入力された情報に基づき、ギャップGを調整する。
【0111】
入力手段90に入力する情報は、記録媒体の媒体厚さ、その剛性、カムシャフト71aの回転角度、ギャップGの値、第1の調整手段と第2の調整手段との組合せ制御パターン、予め入力していた記録媒体の種類の選択情報、及び、事前評価等の結果に基づく割り当てられた数値や記号の選択情報等の画像形成に必要な情報であれば、入力することが可能である。したがって、様々な仕様の記録媒体を使用する顧客先においても、オペレータ自身が最適なギャップGを選択及び設定することが可能となる。
【0112】
図14に、第1の調整手段22が調整したギャップGの値を検出する第1のギャップセンサ91を示す。第1のギャップセンサ91は、転写器ハウジング25の位置を検出することで、感光ドラム23と案内手段26のギャップGを検出する。
【0113】
図15に、第2の調整手段27が調整した偏心カム71bの回転位置を検出する第2のギャップセンサ92を示す。第2のギャップセンサ92は偏心カム71bの回転位置を検出することで、転写部21の回転角度を検出する。
【0114】
入力手段90は、検出手段80により検出した剛性の値と入力手段90により入力された情報に基づく剛性の値とを比較し、入力された情報が適正でないと判断した場合は、エラーを警告し、オペレータの操作ミスによる画像形成の不良を未然に防止する。具体的には、検出手段80により検出された剛性の値と入力手段90により入力された情報に基づく剛性の値との差が所定の閾値以上のときは、ユーザーが認識しうる手段によりエラーを警告する。このように、様々な仕様のウエブを使用した場合でも、オペレータの操作ミスなどを防止できる。
【0115】
また、手動レバーによるギャップの調整において、検出手段80により検出した剛性の値に基づくギャップの値と第1のギャップセンサ91が検出した値に基づくギャップの値とを比較し、画像形成装置10が適正なギャップの値に設定されていないと判断した場合は、エラーを警告する。また、第2のギャップセンサ92が検出した値に基づくギャップの値とも比較し、画像形成装置10が適正なギャップの値に設定されていないと判断した場合は、同様にエラーを警告する。このことにより、オペレータの操作ミスによる画像形成の不良を未然に防止することができる。
【0116】
以上、画像形成装置の実施形態及び実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。また、上述の説明における像担持体は、例えばドラム若しくはベルトなどを用いた感光ドラム若しくは感光ベルト、又は、ドラム若しくはベルトなどを用いた中間転写体(二次転写体など)を含んでもよい。更に、上記実施形態に挙げた構成等にその他の要素を組み合わせるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0117】
10 : 画像形成装置
20 : 転写手段
21 : 転写部
21R: 転写部の回転軸
22 : 第1の調整手段
23 : 感光ドラム
23' : 感光ドラムに関する構成
24 : 転写器
25 : 転写器ハウジング
25R: 転写器ハウジングの揺動軸
26 : 案内手段
27 : 第2の調整手段
30 : 搬送手段
50 : 記録媒体
80 : 検出手段
90 : 入力手段
G : ギャップ
Lb: 膨らみ量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【特許文献1】特開2000−172090号公報
【特許文献2】特開平09−146429号公報
【特許文献3】特開平07−330186号公報
【特許文献4】特開2007−308269号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、供給部から記録媒体を搬送する搬送手段と、像担持体(例えば感光ドラム)上のトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上のトナーを固定し、画像形成された記録媒体を排出する排出手段とを備えるものが知られている。
【0003】
従来、画像形成装置において、記録媒体に薄い用紙を使用したいというニーズがあり、記録媒体と感光ドラムとを当接させる観点から、感光ドラムと記録媒体とが近接するように、記録媒体を搬送している。
【0004】
他方、被画像形成媒体の付加価値を高めるため、様々な種類の媒体に画像を形成できる画像形成装置が開発されている。媒体厚さが厚い記録媒体は、通常、その剛性が高く、搬送時に感光ドラムに接触する力が強くなる。そのため、感光ドラムの機械的摩耗が増加し、感光ドラムの寿命が短くなる場合があった。
【0005】
特許文献1に係る画像形成装置は、搬送方向の上流側と下流側とに設けられた記録媒体を案内する一対のガイドの間隔を可変させ、記録媒体と感光ドラムとの静電的吸着力を増大させる技術を開示している。特許文献2に係る画像形成装置は、感光ドラムと除電器との離間距離を狭め、除電効率を上げている技術を開示している。特許文献3に係る画像形成装置は、用紙を装填する際に、用紙搬送機構部を感光ドラムから離脱・開放する技術を開示している。特許文献4に係る画像形成装置は、画像形成開始時及び終了時の記録媒体を案内するガイドの接近及び後退に伴い発生する記録媒体の弛みを防止する技術を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1乃至4は、いずれも、様々な種類の記録媒体に画像を形成すること及び記録媒体の種類に基づく、感光ドラムの機械的摩耗の増加を防止することについては考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明は、様々な種類の記録媒体を使用した場合でも、記録媒体による像担持体の摩耗の増加を抑制することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、トナー像が現像される像担持体と、前記記録媒体に前記像担持体上の前記トナー像を転写する転写部と、前記記録媒体の剛性に基づき、前記転写部と前記像担持体とのギャップを調整する調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、様々な種類の記録媒体を使用した場合でも、像担持体の磨耗の増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である第1の実施例の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である第1の実施例の転写部の要部を示す拡大図である。図(a)は画像形成時(転写時)の拡大図である。図(b)は画像形成の待機時(転写待機時)の拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態である第1の実施例の第1の調整手段によって調整される案内手段の位置を説明する説明図である。図(a)及び(d)は、案内手段と感光ドラムとのギャップを説明する説明図である。図(b)は、記録媒体の厚さが薄く、その剛性が低い場合の記録媒体の膨らみ量(感光ドラムは配置していない場合)を説明する説明図である。図(e)は、図(b)より記録媒体の厚さが厚く、その剛性が高い場合の記録媒体の膨らみ量(感光ドラムは配置していない場合)を説明する説明図である。図(c)は、図(b)と記録媒体の厚さ及び剛性が同程度で、感光ドラムを配置した場合の、実際の記録媒体の搬送経路を説明する説明図である。図(f)は、図(e)と記録媒体の厚さ及び剛性が同程度で、感光ドラムを配置した場合の、実際の記録媒体の搬送経路を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態である第1の実施例の第1の調整手段によって調整される案内手段の位置を説明する説明図である。図(a)はギャップを調整する前の状態であり、図(b)はギャップを調整後の状態である。
【図5】本発明の一実施形態である第1の実施例の記録媒体の剛性と記録媒体の転写部での膨らみ量との関係を説明する図である。図(a)は、記録媒体の曲げ剛度と膨らみ量との関係を説明するグラフである。図(b)は、記録媒体の紙厚と膨らみ量との関係を説明するグラフである。
【図6】本発明の一実施形態である第1の実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態である第2の実施例の画像形成装置の転写部の回転動作を説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施形態である第2の実施例の画像形成装置の転写部と印写フレームとの結合部を説明する説明図である。図(a)は従来のカム機構を有さない結合部である。図(b)は、本実施例のカム機構を有する結合部である。
【図9】本発明の一実施形態である第2の実施例の転写部と印写フレームとの結合部のレバー操作を説明する説明図である。図(a)及び図(b)は2段階の操作の説明図である。図(c)はプレートを有する複数段階の操作の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態である第3の実施例のローラ搬送手段を示す概略構成図である。
【図11】本発明の一実施形態である第3の実施例のトラクタ搬送手段の要部を示す概略構成図である。図(a)は、ロール紙の場合の概略構成図である。図(b)は、折り畳み用紙の場合の概略構成図である。
【図12】本発明の一実施形態である第4の実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【図13】本発明の一実施形態である第5の実施例の画像形成装置を示す正面図である。
【図14】本発明の一実施形態である第5の実施例の転写部の第1のギャップセンサを説明する説明図である。
【図15】本発明の一実施形態である第5の実施例の転写部の第2のギャップセンサを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
転写コロトロンを用いた非接触の転写手段を有する画像形成装置の実施例を用いて、本発明を説明する。なお、本発明はプリンタ、被写機又はファックス等の像担持体を用いてトナー像を記録媒体に転写する画像形成装置であれば、いずれの装置にも適用しうる。
【実施例1】
【0012】
第1の実施例の画像形成装置について説明する。
【0013】
図1は、本実施例の一実施形態の一例を示す概略構成図である。図1において、画像形成装置10は転写手段20、搬送手段30、排送手段40及び像担持体としての感光ドラム23に関する構成23'を備える。
【0014】
転写手段20は、記録媒体にトナー像を転写する手段であり、転写部21と第1の調整手段22とを備える。
【0015】
転写部21は、感光ドラム23上に現像されたトナー像を記録媒体上に転写する転写器24を備える。転写器としては、転写コロトロン、転写ブラシ又は転写ローラなどがある。本実施例は、グリッド電極を持たないコロナ帯電器でコロナ放電を行う転写コロトロンを用いる。
【0016】
第1の調整手段22は、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する手段である。第1の調整手段22は、記録媒体の剛性に基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する。また、本実施例の第1の調整手段22は、記録媒体の剛性と媒体厚さに基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整することを含む。さらに、第1の調整手段22は、記録媒体の剛性、媒体厚さ及びその他の条件(例えば、記録媒体にかかる張力、ロール紙の場合はロール状に収納されているロール紙の外側のロール紙と内側のロール紙との吸湿の差又は外側のロール紙と内側のロール紙との曲率の違いによる巻きグセの差の条件等)に基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整してもよい。
【0017】
搬送手段30は、記録媒体を転写部21と感光ドラム23との間隙に搬送する手段である。搬送手段30としては、ローラ、ベルト、ガイド又はトラクタ等があり、媒体供給部31、記録媒体バッファ部32及び張力付与部33等を備える。
【0018】
媒体供給部31は、記録媒体を画像形成装置10内に取り込むものである。記録媒体バッファ部32は、転写部21の上流に位置し、画像形成前に記録媒体を画像形成装置10内に一時的に待避させるものである。張力付与部33は、記録媒体の搬送時に、記録媒体の蛇行やシワが発生するのを防止するため、適度な張力を記録媒体に付与するものである。
【0019】
媒体供給部31から供給された記録媒体は、記録媒体バッファ部32に保持され、張力付与部33等を介して、記録媒体搬送方向(以下「下流方向」という。)に搬送される。
【0020】
排送手段40は、トナー像が転写された記録媒体を下流方向に排送する手段である。本実施例では、排送手段40は、吸引排送部41、定着部42及び排送部43等を備える。
【0021】
吸引排送部41は、転写された記録媒体を排送するために、記録媒体を吸引固定しながら、下流方向に送り出すものである。定着部42は、記録媒体上に転写されたトナー像を溶融固定し、そのトナーを定着させるものである。排送部43の記録媒体は、後段のプリンタや後処理機などに搬送される。
【0022】
本実施例においては、記録媒体は長尺の媒体であり、その媒体上に画像が形成されるものである。媒体の種類としては、紙媒体、OHPシート、樹脂性フィルム、金属性薄膜等が可能となる。本実施例は連続紙(以下「ウエブ」という。)を対象とする。連続紙の種類としては、薄紙、厚紙、上質紙及び粗面紙等が可能となる。
【0023】
なお、感光ドラム23に関連する構成23'は、感光ドラム23上に電荷を付与する帯電部、露光光源を照射し、感光ドラム23上に静電潜像を形成する露光部、感光ドラム23上にトナー像を現像する現像部及び感光ドラム23上の電荷を除去する除電部等を備える。その基本的な構成及び工程(帯電、静電潜像、現像、除電等)は従来技術と同様のため、説明を省略する。
【0024】
次に、画像形成装置10の転写手段20を、図2を用いて説明する。図2は、転写手段20の転写部21の要部を示す拡大図である。図2(a)は画像形成時(転写時)の拡大図である。図2(b)は画像形成の待機時(転写待機時)の拡大図である。
【0025】
転写手段20は転写部21及び第1の調整手段22を備える。転写部21は、本実施例では、転写器24、転写器ハウジング25及び案内手段26等を備える。
【0026】
転写器24は、感光ドラム23上に現像されたトナー像を記録媒体上に転写するものである。転写器24は、感光ドラム23に対向する位置に配置されている。転写器ハウジング25は転写器24を支持するものである。本実施例では、転写器ハウジング25はC字状の断面形状で、内部空間で転写器24を支持している。また、転写器ハウジング25は揺動軸25Rで揺動可能に軸支されている。
【0027】
案内手段26は、ウエブ51を転写器24と感光ドラム23との間隙に搬送するときに、搬送経路を決定づける手段である。本実施例では、案内手段26として、案内ガイドを用いる。案内ガイドは、断面形状がC字状の転写器ハウジング25の開口部に感光ドラム23と略平行で対向するように配設され、上流側案内ガイド26a及び下流側案内ガイド26bを含む。上流側案内ガイド26a及び下流側案内ガイド26bは、感光ドラム23と略対称となる略曲面の表面形状を有する曲板である。
【0028】
ウエブ51は案内ガイド26a、26bの曲面形状の曲率に沿うように搬送される。なお、案内手段26は、本実施例の案内ガイド26a、26b以外の、例えば、平板、曲板、ピン、ローラ、ベルト等の搬送経路を案内する手段であれば、いずれの手段も適用しうる。
【0029】
第1の調整手段22は、転写部21と感光ドラム23との離間距離を拡げたり、及び狭めたりする手段である。本実施例では、第1の調整手段22は、モータ22M、リンク部材22L及び回転連結部22Rを有するリンク機構22aを備える。
【0030】
リンク部材22Lは、回転連結部22Rの位置で転写器ハウジング25と回転可能に連結されている。また、リンク部材22Lは、モータ22Mの回転子に偏心して軸支されている。
【0031】
モータ22M及びリンク部材22Lは、モータ22Mの回転運動をリンク部材22Lの直線往復運動に変換するカム機構を構成する。リンク部材22Lの直線往復運動により、転写器ハウジング25を感光ドラム23から離間又は接近させる。
【0032】
なお、本実施例の第1の調整手段22は、リンク機構22a以外の例えばステッピングモータ若しくは電磁力等の直線又は回転駆動により転写部21の前進及び後退を行う手段であれば、いずれの手段も適用しうる。また、転写部21の位置を検出するセンサを設け、モータ等の駆動を制御する方法を組み合わせてもよい。
【0033】
パス調整ガイド22gは、転写器ハウジング25と搬送レールガイド22hと連結する屈曲フレーム22fの屈曲部に取り付けられている。パス調整ガイド22gは、リンク機構22aが転写器ハウジング25を揺動する際に、転写部21内のウエブ51の搬送区間(以下「パス長Lp」という。)及びウエブ51にかかる張力を保つように調整するものである。リンク機構22aが転写器ハウジング25を揺動すると、屈曲フレーム22fが屈曲し、屈曲フレーム22fに取り付けられたパス調整ガイド22gが突出し、パス調整ガイド22gに当接しているウエブ51の張力を一定に保つ。パス調整ガイド22gは偏心ローラ等でもよい。
【0034】
次に、転写手段20の第1の調整手段22の動作を、図2乃至5を用いて説明する。
【0035】
画像形成の待機時には、ウエブ51を感光ドラム23から離間させるため、リンク機構22aは、転写器ハウジング25を感光ドラム23に対して離れる方向に退避する(図2(b))。
【0036】
画像形成の開始時には、ウエブ51を感光ドラム23に接近させるため、リンク機構22aは、モータ22Mを回転駆動し、カム機構によりリンク部材22Lを直線運動させる。これによって、リンク機構22aは、リンク部材22Lに連結した転写器ハウジング25を揺動軸25Rを回転中心に揺動し、転写器ハウジング25を感光ドラム23に接近させる。その結果、転写器ハウジング25に取り付けられた案内ガイド26a、26bが、感光ドラム23に接近する。
【0037】
また、案内ガイド26a、26bにより搬送経路を案内されるウエブ51が、感光ドラム23に接近する(図2(a))。このとき、ウエブ51は、案内ガイド26a、26bのウエブ51に接する側の曲面の曲率と感光ドラム23の外形とに沿うように、感光ドラム23と転写器24との間隙に配置される。この状態で、転写器24は、感光ドラム23上に現像されたトナー像をウエブ51上に転写する。
【0038】
画像形成の終了時には、リンク機構22aは、モータ22Mの回転駆動(画像形成の開始時とは逆の回転方向)により、転写器ハウジング25を感光ドラム23から離間する。その結果、転写器ハウジング25に取り付けられた案内ガイド26a、26bが、感光ドラム23から離間する(図2(b))。このとき、リンク機構22aは、ウエブ51が感光ドラム23から確実に離間する距離まで、案内ガイド26aを退避する。
【0039】
なお、予め実験等により、記録媒体に応じた必要な退避距離を測定しておき、測定した退避距離に基づいて、ウエブ51と感光ドラム23とが接触することを防止してもよい。
【0040】
リンク機構22aは、ウエブ51の剛性等が異なる場合に、その剛性等に基づいて、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する。
【0041】
図3に、リンク機構22aが、ウエブ51の剛性等に基づいて、転写部21(案内ガイド26a、26b)と感光ドラム23との離間距離を調整することを説明する説明図を示す。
【0042】
図3(a)及び(d)は、案内手段と感光ドラムとのギャップを説明する説明図である。図(a)及び(d)のG1は、上流側案内ガイド26aと下流側案内ガイド26bとのウエブ51に接する側の曲面に対し、共通して接する接線である。また、図中のG2は、G1と平行な線で、感光ドラム23の外形に接する接線である。これらの平行線(G1及びG2)の距離を以下「ギャップ」という。図(a)より図(d)の方がギャップGが大きい。
【0043】
図3(b)及び(e)は、記録媒体の膨らみ量(感光ドラムは配置していない場合)を説明する説明図である。図中の二点鎖線(図中のT1及びT2)は搬送経路に感光ドラム23を配置していないと仮定した場合の(ウエブ51と感光ドラム23とが干渉しないと仮定した場合の)ウエブ51の断面の形状である。図(e)は、図(b)より記録媒体の厚さが厚く、その剛性が高い場合の記録媒体の膨らみ量Lb(図(b)及び(e)で、上流側案内ガイド26aと下流側案内ガイド26bの中間の位置におけるG1とT2との距離。)である。
【0044】
図3(b)のウエブ51の剛性が低い場合、ウエブ51は、案内ガイド26a、26bの曲面の曲率に沿うように、感光ドラム23と案内ガイド26a、26bとの間隙に搬送される。一方、図(e)のウエブ51の剛性が高い場合、ウエブ51が感光ドラム23の方向に膨らむ搬送経路で搬送される。
【0045】
図3(c)及び(f)は、図(b)及び(e)において、感光ドラムを配置した場合の実際の記録媒体の搬送経路を説明する説明図である。
【0046】
転写部21の搬送経路でのウエブ51の膨らみ量Lbは、ウエブ51の記録媒体の剛性だけでなく、媒体厚さ、パス長の形状、及びウエブ51にかかる張力等に影響される。また、ウエブ51の剛性の大きさは、媒体厚さ、ウエブ51の繊維の方向、ロール紙の場合はロール状に収納されたロール紙の直径がより大きい状態の外側に位置するロール紙とそれよりもよりロール紙の直径が小さい内側に位置するロール紙との吸湿の差若しくは外側と内側との曲率の違いによる巻きグセの差等に影響される。
【0047】
また、一般的に、ロール紙の場合は、繊維縦目方向が繊維横目方向より剛性が高い。薄紙(媒体厚さ90μm)のロール紙の場合は、繊維縦目方向の曲げ剛度は90〜100mN程度、厚紙(媒体厚さ250μm)のロール紙の場合は、1000〜1200mN程度である。通常、繊維縦目方向を搬送方向として、ロール紙は搬送される。
【0048】
本実施例では、記録媒体の剛性等とギャップGの値との関係は、予め実験結果等により対応付けている。リンク機構22aは、図示しない入力手段または検出手段により得られた記録媒体の剛性等の情報から、予め実験結果等により対応付けられたギャップGの値を選択し、モータ22M等の回転駆動により、ギャップGを調整する。
【0049】
図4及び図5を用いて、リンク機構22aのギャップGを調整する動作を具体的に説明する。図4(a)はギャップGを調整していない場合であり、図4(b)はギャップGを調整した場合である。
【0050】
図4(a)の場合、ウエブ51の剛性が高いため、ウエブ51が感光ドラム23に強く押し付けられ、感光ドラム23表面がウエブ51に擦れて、感光ドラム23表面の機械的摩耗がしやすくなる。この場合、図2のリンク機構22aは、モータ22Mを回転駆動し、カム機構によりリンク部材22Lを直線運動させ、リンク部材22Lに連結した転写器ハウジング25を揺動し、転写器ハウジング25を感光ドラム23から離間させる。その結果、転写器ハウジング25に取り付けられた案内ガイド26a、26bが感光ドラム23から離間し、案内ガイド26a、26bと感光ドラム23とのギャップGが拡大する(図4(b))。
【0051】
このように、本発明によれば、案内ガイド26a、26bと感光ドラム23とのギャップGを調整することで、ウエブ51と感光ドラム23とが強く押し付けられることを防止することができる。また、本発明によれば、ウエブ51と感光ドラム23とが強く押し付けられることを防止することができるので、ウエブ51による感光ドラム23表面の機械的摩耗を抑制することができる。更に、本発明によれば、ウエブ51による感光ドラム23表面の機械的摩耗を抑制することができるので、感光ドラム23の寿命の短縮を防止することができる。
【0052】
図5に、記録媒体の膨らみ量Lbの実験結果の一例を示す。図5(a)はウエブ51の曲げ剛度と膨らみ量Lbとの関係、図5(b)は媒体厚さと膨らみ量Lbとの関係の実験結果である。
【0053】
図5(a)に示すように、ウエブ51の膨らみ量Lbは、ウエブ51の曲げ剛度に略比例して、増加する。そのため、ウエブ51の膨らみ量Lbは、入力手段等により得られた記録媒体の剛性の値に、所定の係数を乗算することで得られ、対応付けが容易である。なお、ウエブ51の曲げ剛度1000mNである場合、転写部21でのウエブ51の膨らみ量Lbは1000μm程度となる。
【0054】
図5(b)に示すように、ウエブ51の膨らみ量Lbは、紙厚が略200μmを超えると、紙厚の略3乗に比例する。
【0055】
表1は、本実施例に用いられるウエブ(ロール紙)について、紙(A)乃至紙(H)の紙厚、密度、曲げ剛度、膨らみ量、及び、紙厚(60μmとの差)の実験結果の一例を示す表である。
【0056】
表1において、本実施例では、紙(C)と紙(D)との比較から、紙厚が同程度の場合でも、曲げ剛度が異なる結果となる。具体的には、紙厚が、紙(C)で234μm、紙(D)で239μmである場合、その曲げ剛度は、紙(C)で644mN、紙(D)で1276mNである。
【0057】
従って、膨らみ量と紙厚との関係は、一対一(線形)の関係とならない(図5(b))。
【0058】
一方、曲げ剛度と膨らみ量との関係は、略一対一(線形)の関係となる(図5(a))。曲げ剛度と膨らみ量との関係は、紙厚と膨らみ量との関係と比較して、より相関性がある結果となる。
【0059】
以上より、ギャップの値を設定する方法は、紙厚に基づいて、ギャップの値を設定する方法と比較して、ウエブの剛性(曲げ剛度)に基づいて、ギャップの値を設定する方法がより好ましい。また、ウエブの剛性に基づいて、ギャップの値を変更することで、感光ドラムの磨耗を抑制する効果を得ることができる。さらに、ウエブの剛性に基づいて、ギャップの値を複数段に変更することも可能である。
【0060】
【表1】
表1に示すように、ウエブの紙厚250μmの場合、ウエブの膨らみ量は1000μm程度となる。
【0061】
リンク機構22aは、入力手段または検出手段により得られた記録媒体の曲げ剛度(更に好ましくは、曲げ剛度及び媒体厚さ)から、図5より、対応する膨らみ量Lbを算出し、その膨らみ量Lbに基づいて、ギャップGを調整する。
【0062】
リンク機構22aは、画像形成の開始時、画像形成中、及び画像形成の待機時等のいずれにおいて、ギャップGを調整することが可能である。
【0063】
次に、画像形成装置10の搬送手段30及び排送手段40を図6を用いて説明する。
【0064】
図6は、本実施例の画像形成装置10を示す正面図である。
【0065】
搬送手段30は、媒体供給部31、記録媒体バッファ部32、張力付与部33等を備える。
【0066】
媒体供給部31は、媒体供給ローラ31a、引き込みローラ31b、転写部案内ローラ31c、エッジガイド31d等を備える。記録媒体バッファ部32は、バッファ機構32a、及び記録媒体バッファセンサ32b等を備える。張力付与部33は、押し付けローラ33a及びテンションガイド33b等を備える。
【0067】
引き込みローラ31bに面接触したウエブ51は、引き込みローラ31bの回転駆動によって、記録媒体バッファ部32のバッファ機構32aに引き込まれ、一時的に待機される。バッファ機構32aは、記録媒体バッファセンサ32b〜32eによって、ウエブ51の有無を検知し、ウエブ51のたるみ量を計測する。このとき、記録媒体バッファ部32は、ウエブ51のたるみ量に応じて、引き込みローラ31aの引き込み速度を調整し、ウエブ51のたるみ量を所定の量に維持する。
【0068】
次に、搬送手段3は、記録媒体バッファ部32の下流方向に配置されたエッジガイド31dによりウエブ51の蛇行を補正し、押し付けローラ33aにより蛇行やシワの発生を抑制する適度な張力を付与する。
【0069】
本実施例では、ロール紙のうち送り穴を有さないウエブ51を対象としているが、ロール紙で送り穴を有してトラクタ機構により搬送される場合は、押し付けローラ33aを含むユニットをリトラクトさせる。また、折り畳みウエブ(BOX紙;送り穴有り)では、トラクタ機構のピン部材をウエブの送り穴に係合させて搬送するため、ウエブは張力付与部33の外部に搬送される。なお、この点については、第3の実施例として詳細を記載する。
【0070】
その後、転写部案内ローラ31cは、ウエブ51を下流方向の案内ガイド26a等へ搬送する。(その後、転写手段2は、感光ドラム23と転写器24との間隙に搬送されたウエブ51上にトナー像を転写する。)
【0071】
次に、排送手段40について、説明する。排送手段40は、吸引排送部41、定着部42、及び排送部43等を備える。吸引排送部41は、吸引排送ベルト41aを備える。定着部42は、図示しない加熱部42a及び加圧部42bを備える。
【0072】
吸引排送部41は、吸引排送ベルト41aを用いて、ウエブ51のトナー像が転写された面の反対側の面を吸引固定する。その状態で、吸引排送部41は、吸引排送ベルト41aの下流方向への移動を介して、ウエブ51を下流方向に排送する。
【0073】
更に下流方向にある定着部42は、ウエブ51を加熱する加熱部42aでトナー像のトナーの転移温度まで加熱し、ウエブ51上のトナーを溶融する。次に、加圧部42bの加圧等により、ウエブ51上のトナーを固定する。
【0074】
その後、ウエブ51を画像形成装置10外の排送部43に排送し、画像形成は終了となる。
【実施例2】
【0075】
第2の実施例として、第1の実施例に第2の調整手段27を備える画像形成装置について説明する。第2の調整手段27以外の構成は第1の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0076】
図7は、第2の調整手段27による転写部21の回転動作を説明する説明図である。本実施例の第2の調整手段27は、カムシャフト71a、偏心カム71b及びモータ73等を備えるカム機構27aである。第2の調整手段27は、カム機構27a以外の例えばステッピングモータ若しくは電磁力等の直線又は回転駆動によって転写部21を回転させる手段であれば、いずれの手段も適用しうる。
【0077】
カムシャフト71aは、感光ドラム23を有する印写フレームに回転可能に軸支されている。偏心カム71bは、カムシャフト71aに取り付けられる。偏心カム71bは、カムシャフト71aの回転角度に対応して、その径を変化させる。すなわち、偏心カム71bは、径の異なる曲面の外形を有し、その曲面が転写部21の突き当てブロック72に当接している。偏心カム71aは、カムシャフト71bに被せるように取り付けるため、装置の設計変更を最小限にし、フィールドアップグレードも可能である。
【0078】
モータ73は、カムシャフト71aを回転駆動する動力源である。モータ73は、ベルト73bを介して、カムシャフト71aを回転する。本実施例は、モータ73にステッピングモータを用いる。カムシャフト71aを回転できる動力源であれば、モータ73以外の動力源も使用可能である。
【0079】
通常、画像形成装置は、用紙詰まりなどの修復時、転写部21を感光ドラム23に対して離間する方向に回転開閉できるように設計されている。カム機構27aは、偏心カム71bを回転し、転写部21の突き当てブロック72に当接する偏心カム71bの曲面の位置を変え、突き当てブロック72の位置を変える。その結果、突き当てブロック72を備える転写部21は回転し、転写部21と感光ドラム23とのギャップGが調整される。
【0080】
図8及び図7を用いて、カム機構27aを詳細に説明する。図8(a)はカム機構を有さない結合部である。図8(b)は、本実施例のカム機構27aを有する結合部である。
【0081】
カム機構27aは、モータ73を駆動し、ベルト73bを介してカムシャフト71aを回転し、偏心カム71bを回転する。このとき、偏心カム71bに当接する転写部21の突き当てブロック72は、偏心カム71bの位相に従い、その位置を変える。その結果、転写部21は、回転軸21Rを回転中心として、その取り付け角度を変え、転写部21と感光ドラム23とのギャップGが変化する。カム機構27aは、ウエブ51の剛性等に応じた膨らみ量Lbに基づいて、偏心カム71bの位相を変化させ、ギャップGを適正値に調整する。
【0082】
第1の調整手段22は、第2の調整手段27よりギャップGを調整するための回転半径が小さいため、ギャップGの値を微調整することが可能であり、高精度のギャップGの調整に好ましい。また、第1の調整手段22は、転写器ハウジング25のみを回転するため、消費エネルギーも少ない。
【0083】
第2の調整手段27は、第1の調整手段22と比較して回転半径が大きいため、ギャップGの値を大きく変化させたい場合に、より好ましい調整が可能である。また、第2の調整手段27は、転写部21内の搬送経路全体を回転させるため、転写部21内のパス長Lpの変化がなく、ウエブ51の搬送時の安定性が高い。さらに、第2の調整手段27の回転動作による転写部21の傾き角度は、0.1〜0.5度程度であるため、転写部21の上流及び下流のウエブ51の搬送に与える影響も少ない。
【0084】
第1の調整手段22と第2の調整手段27とを同時に用い、ギャップGを調整することも可能である。
【0085】
画像形成装置10は、画像形成の待機時にウエブ51を感光ドラム23から退避する。剛性が高いウエブ51を搬送するとき、画像形成の待機時のギャップGより膨らみ量Lbが大きい場合は、ウエブ51が感光ドラム23に接触した状態が維持される。この場合、ウエブ51が感光ドラム23上の残トナーにより汚損、又は、ウエブ51との接触で感光ドラムが損傷する。
【0086】
第2の調整手段27は、画像形成の待機時にギャップGを調整し、ウエブ51を感光ドラム23から離間させることが可能である。また、第2の調整手段27は、搬送経路を変更して膨らみ量Lbを小さくする設計変更を必要としないため、既存装置に対して、開発コストが少なくてすむ効果がある。
【0087】
図9は、本実施例のカムシャフト71aに手動レバー73cを取り付けた場合の手動レバー73cの操作を説明する説明図である。なお、本実施例は、モータ73(図7)によりカムシャフト71aを駆動する場合は、手動レバー73cによる操作は要しない。
【0088】
図9(a)及び(b)は、手動レバー73cに取り付けられたバネ71cのバネ力により、手動レバー73cがCW方向に引っ張られる構成である。カムシャフト71aを備える印写フレーム100はストッパ71dを備える。手動レバー73cをCW方向に回転してストッパ71dに突き当たった場合(図9(a))と、CCW方向に回転してストッパ71dに突き当たった場合(図9(b))との2段階で、カム71aの位相を固定でき、ギャップGも2段階で設定可能となる。印写フレーム100には、現像機、光学部、除電器、清掃機などが搭載されている。
【0089】
図9(c)は、手動レバー73cの後方に、複数穴の開いたプレート71eを備えた場合である。手動レバー73cに備えた穴とプレート71eに備えた穴とをピン71fで係合し、固定する。この場合、プレート71eに備えた穴の数だけ手動レバー73cの位相を固定でき、ギャップGもその数だけ設定可能となる。
【実施例3】
【0090】
第3の実施例である搬送手段30の種類に基づいて、ギャップGを調整する画像形成装置について説明する。基本的な構成は第1の実施例及び第2の実施例と同様のため、説明を省略する。搬送手段の種類は、送り穴を有さないウエブを搬送するローラ搬送手段と送り穴を有するウエブを搬送するトラクタ搬送手段等がある。
【0091】
一般的に、トラクタ搬送手段は、ローラ搬送手段を用いて、ウエブ51に負荷できる張力が大きい。そのため、ローラ搬送手段と比較して、トラクタ搬送手段は、膨らみ量Lbが小さくなる。これにより、ローラ搬送手段におけるギャップと同様とした場合、感光ドラム23とウエブ51との接触性が低下し、転写性が悪化する。そのため、ローラ搬送手段の際のギャップよりも、トラクタ搬送のギャップGは小さく設定する。このように、本実施例は、搬送手段の種類に基づいて、トラクタ搬送手段では、ローラ搬送手段の場合より、ギャップGの値を小さくすることを特徴する。
【0092】
図10及び図11を用いて、本実施例を説明する。
【0093】
図10は、ローラ搬送手段により、送り穴を有しないロール状のウエブ51を搬送する場合である。図11は、トラクタ搬送手段により、送り穴を有するロール状のウエブ51を搬送する場合である。
【0094】
図10において、ローラ搬送手段は、転写器24の記録媒体搬送方向に対して上流に位置する転写部案内ローラ31c、及び下流に位置する吸引排送ベルト41aにより、ウエブ51を搬送する手段である。転写部のウエブ51にかかる張力は、吸引排送ベルト41aの外周速度を転写部案内ローラ31cの外周速度よりも僅かに速く(103パーセント程度に)することで発生させる。このとき、局所的には、吸引排送ベルト41aとウエブ51との間で、スリップが繰り返し発生している。そのスリップが発生していないときにかかる最大力が、転写部のウエブ51にかかる張力となる。
【0095】
なお、ウエブ51の膨らみ量Lbを抑制する方法として、例えば、吸引排送ベルト41aの排送力を増加し、ウエブ51にかかる張力を増加させることも考えられる。しかしながら、張力を大きくすると、送り穴に負荷が掛かり、送り穴が変形する。また、ローラ搬送手段(ピンレス搬送)の場合、排送力を増加させるには、吸引排送ベルト41aの吸引力を増加させることになるが、この場合も用紙の変形(凹み)が発生する。
【0096】
いずれの場合も、印刷品質低下の影響を考慮する必要があるため、本発明においては、ウエブの剛性等に基き、転写部21と感光ドラム23との離間距離を調整する。
【0097】
図11(a)において、トラクタ搬送手段は、搬送方向に対して直交方向(幅方向)にウエブの両端に送り穴を有するロール状のウエブ51を搬送する場合に、上流トラクタ31ct及び下流トラクタ41atが有するピン36aとウエブ51の送り穴を嵌合させて、ウエブ51を搬送する手段である。
【0098】
図11(b)は、トラクタ搬送手段が、折り畳みウエブ51f(BOX紙)を搬送する場合を示す。折り畳みウエブ51fを搬送する場合は、押し付けローラ33aが閉じられる。折り畳みウエブ51fは、押し付けローラ33aの外側に搬送される。
【0099】
図10のローラ搬送手段の転写部案内ローラ31c及び吸引排送ベルト41aは、ウエブの用紙幅方向の両端を除く、ウエブの搬送路の中央部分に配置される。図11(a)及び(b)のトラクタ搬送手段の上流トラクタ31ct及び下流トラクタ41atは、ウエブの搬送路の両端部に配置される。
【実施例4】
【0100】
第4の実施例である検出手段80を備える第1の実施例乃至第3の実施例の画像形成装置について説明する。検出手段80以外の基本的な構成は第1の実施例乃至第3の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0101】
図12は、本実施例の画像形成装置10を示す正面図である。
【0102】
図12に示すように、本実施例はウエブ51の剛性を検出する検出手段80を備える。
【0103】
検出手段80は、ウエブ51が撓んでいる箇所(例えば、転写器ハウジング25の上流の位置)に配設され、ウエブ51までの距離を測定し、その測定値と所定の値との差により、ウエブ51の剛性を検出する手段である。具体的には、ウエブ51までの距離が遠いほど、ウエブ51の剛性が高いと判断する。
【0104】
検出手段80は、渦電流式、静電容量式、超音波式、光学式等の、対象物までの距離を測定できる装置であれば、適用することができる。また、検出手段80は、記録媒体の剛性の大きさに比例して撓んでいる箇所(例えば記録媒体バッファ部32又は張力付与部33等)であれば、配設することが可能である。
【0105】
第1の調整手段及び第2の調整手段は、検出した値に基づいて、ギャップGを調整する。また、画像形成中に、所定の期間でウエブ51の剛性を検出し、検出した値に基づいて、ギャップGを調整することも可能である。さらに、検出手段80が所定の期間後に検出した値に基づくギャップGの値と、前回検出した値に基づくギャップGの値との差が所定の閾値以上になったときに、第1の調整手段及び第2の調整手段が、ギャップGを調整することも可能である。
【0106】
これにより、ロール紙のウエブ51を使用する場合、ロール状に収納されたロール紙の外側のロール紙と内側のロール紙との吸湿の差による剛性の差及び外側と内側の曲率の違いによる巻きグセに起因する剛性の差等の連続画像形成中にウエブ51の剛性が変化する場合でも、ギャップGを適正に調整することが可能となる。
【0107】
また、ウエブ51の剛性だけでなく、ウエブ51の媒体厚さを検出する手段(図示しない)を併用し、ギャップGの値を決定することも可能である。
【実施例5】
【0108】
第5の実施例である入力手段90を備える第1の実施例乃至第4の実施例の画像形成装置について説明する。入力手段90以外の基本的な構成は第1の実施例乃至第4の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0109】
図13は、本実施例の画像形成装置10を示す正面図である。
【0110】
図13に示すように、本実施例は、記録媒体に関する情報を入力する入力手段90を備える。第1の調整手段及び第2の調整手段は、入力手段90に入力された情報に基づき、ギャップGを調整する。
【0111】
入力手段90に入力する情報は、記録媒体の媒体厚さ、その剛性、カムシャフト71aの回転角度、ギャップGの値、第1の調整手段と第2の調整手段との組合せ制御パターン、予め入力していた記録媒体の種類の選択情報、及び、事前評価等の結果に基づく割り当てられた数値や記号の選択情報等の画像形成に必要な情報であれば、入力することが可能である。したがって、様々な仕様の記録媒体を使用する顧客先においても、オペレータ自身が最適なギャップGを選択及び設定することが可能となる。
【0112】
図14に、第1の調整手段22が調整したギャップGの値を検出する第1のギャップセンサ91を示す。第1のギャップセンサ91は、転写器ハウジング25の位置を検出することで、感光ドラム23と案内手段26のギャップGを検出する。
【0113】
図15に、第2の調整手段27が調整した偏心カム71bの回転位置を検出する第2のギャップセンサ92を示す。第2のギャップセンサ92は偏心カム71bの回転位置を検出することで、転写部21の回転角度を検出する。
【0114】
入力手段90は、検出手段80により検出した剛性の値と入力手段90により入力された情報に基づく剛性の値とを比較し、入力された情報が適正でないと判断した場合は、エラーを警告し、オペレータの操作ミスによる画像形成の不良を未然に防止する。具体的には、検出手段80により検出された剛性の値と入力手段90により入力された情報に基づく剛性の値との差が所定の閾値以上のときは、ユーザーが認識しうる手段によりエラーを警告する。このように、様々な仕様のウエブを使用した場合でも、オペレータの操作ミスなどを防止できる。
【0115】
また、手動レバーによるギャップの調整において、検出手段80により検出した剛性の値に基づくギャップの値と第1のギャップセンサ91が検出した値に基づくギャップの値とを比較し、画像形成装置10が適正なギャップの値に設定されていないと判断した場合は、エラーを警告する。また、第2のギャップセンサ92が検出した値に基づくギャップの値とも比較し、画像形成装置10が適正なギャップの値に設定されていないと判断した場合は、同様にエラーを警告する。このことにより、オペレータの操作ミスによる画像形成の不良を未然に防止することができる。
【0116】
以上、画像形成装置の実施形態及び実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。また、上述の説明における像担持体は、例えばドラム若しくはベルトなどを用いた感光ドラム若しくは感光ベルト、又は、ドラム若しくはベルトなどを用いた中間転写体(二次転写体など)を含んでもよい。更に、上記実施形態に挙げた構成等にその他の要素を組み合わせるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0117】
10 : 画像形成装置
20 : 転写手段
21 : 転写部
21R: 転写部の回転軸
22 : 第1の調整手段
23 : 感光ドラム
23' : 感光ドラムに関する構成
24 : 転写器
25 : 転写器ハウジング
25R: 転写器ハウジングの揺動軸
26 : 案内手段
27 : 第2の調整手段
30 : 搬送手段
50 : 記録媒体
80 : 検出手段
90 : 入力手段
G : ギャップ
Lb: 膨らみ量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【特許文献1】特開2000−172090号公報
【特許文献2】特開平09−146429号公報
【特許文献3】特開平07−330186号公報
【特許文献4】特開2007−308269号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
トナー像が現像される像担持体と、
前記記録媒体に前記像担持体上の前記トナー像を転写する転写部と、
前記記録媒体の剛性に基づき、前記転写部と前記像担持体とのギャップを調整する調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写部は、転写器を有する転写器ハウジングを備え、
前記調整手段は、前記転写器ハウジングを揺動することにより、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部は回転可能に軸支され、
前記調整手段が、前記転写部を回転することにより、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体を搬送する搬送手段を有し、
前記搬送手段の種類に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体の剛性を検出する検出手段を有し、
前記検出手段が検出した値に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段は、所定の期間で、前記記録媒体の剛性を検出し、
前記検出手段が所定の期間に検出した値に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検出手段が所定の期間後に検出した値に基づくギャップの値と前回検出した値に基づくギャップの値との差が所定の閾値以上になったときに、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録媒体に関する情報を入力する入力手段を有し、
前記入力手段に入力した情報に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記入力手段に入力する情報は、前記記録媒体の媒体厚さを含み、
前記媒体厚さと前記記録媒体の剛性に基づき、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
転写部で記録媒体上に像担持体上のトナー像を転写する画像形成方法であって、
前記転写部と前記像担持体とのギャップを、前記記録媒体の剛性に基づき、調整することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
トナー像が現像される像担持体と、
前記記録媒体に前記像担持体上の前記トナー像を転写する転写部と、
前記記録媒体の剛性に基づき、前記転写部と前記像担持体とのギャップを調整する調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写部は、転写器を有する転写器ハウジングを備え、
前記調整手段は、前記転写器ハウジングを揺動することにより、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部は回転可能に軸支され、
前記調整手段が、前記転写部を回転することにより、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体を搬送する搬送手段を有し、
前記搬送手段の種類に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体の剛性を検出する検出手段を有し、
前記検出手段が検出した値に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段は、所定の期間で、前記記録媒体の剛性を検出し、
前記検出手段が所定の期間に検出した値に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検出手段が所定の期間後に検出した値に基づくギャップの値と前回検出した値に基づくギャップの値との差が所定の閾値以上になったときに、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録媒体に関する情報を入力する入力手段を有し、
前記入力手段に入力した情報に基づいて、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記入力手段に入力する情報は、前記記録媒体の媒体厚さを含み、
前記媒体厚さと前記記録媒体の剛性に基づき、前記ギャップを調整することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
転写部で記録媒体上に像担持体上のトナー像を転写する画像形成方法であって、
前記転写部と前記像担持体とのギャップを、前記記録媒体の剛性に基づき、調整することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−11868(P2013−11868A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116969(P2012−116969)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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