画像形成装置
【課題】 画像形成速度を変更した際に発生する可能性のある感光ドラムや中間転写体の摩耗による劣化を低減する。
【解決手段】 感光ドラム1と中間転写体の間にトナーが存在する状態において、画像形成速度を変更することで、感光ドラム1と中間転写体の速度差が発生しても駆動トルクを抑えることができ、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減させることができる。
【解決手段】 感光ドラム1と中間転写体の間にトナーが存在する状態において、画像形成速度を変更することで、感光ドラム1と中間転写体の速度差が発生しても駆動トルクを抑えることができ、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置において、例えば記録材の種類や形成される画像に応じて、画像形成速度を変更して画像形成を行うような制御が行われている。適切な画像形成速度にすることによって、高画質な画像を形成することが可能となるが、画像形成速度を切り換える際に、感光ドラムと中間転写体の間で速度差が発生してしまうと、夫々の部材の摩耗による劣化につながっていた。そこで、例えば特許文献1ように、エンコーダを用いて感光ドラムと中間転写体の速度を検知することにより、感光ドラムと中間転写体の速度差を一定の範囲内に収まるように制御することが知られている。これにより、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−207981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように制御した場合においても、感光ドラムと中間転写体の間の周速差をまったく無くすことは難しく、感光ドラムや中間転写体の摩耗による劣化は若干ではあるが発生する可能性があった。そこで、画像形成速度を変更する際には、感光ドラムと中間転写体を停止した後、再び変更したい速度で駆動することにより、周速差の発生を抑えるような制御方法も考えられる。しかし、このような制御を行うと画像形成速度を変更して、画像形成を行うまでの時間が長くなってしまうという課題があった。
【0005】
本出願に係る発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、潜像が形成される像担持体と、前記像担持体の潜像を現像する現像手段と、前記像担持体と接触しており、像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記像担持体と前記中間転写体の速度を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記現像手段から供給された前記像担持体上のトナーが前記像担持体と前記中間転写体とが接触しているニップ部にある状態で前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制する
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】現像ローラ3と感光ドラム1の当接と離間を切り替える機構を示した図
【図3】カムの位相を検知する機構を示した図
【図4】感光ドラムと現像ローラの当接状態を示すカム線図
【図5】記録材判別装置43の概略構成図
【図6】記録材判別装置43の動作制御を示すブロック図
【図7】記録材判別装置43の撮像素子49で撮像した表面画像
【図8】記録材判別装置43の撮像素子49で撮像した表面画像から記録材Sの種類を判別する方法を示したフローチャート
【図9】各画像形成ステーションの現像ローラ3と感光ドラム1の当接状態及び、感光ドラム1に現像されたトナー像の位置及び、感光ドラム1と現像ローラ3と中間転写体としての中間転写ベルト8の駆動速度を示した図
【図10】現像ローラ3と感光ドラム1が当接している状態又は当接していない状態で速度変更を行った際の状況を示すグラフ
【図11】中間転写体と感光ドラムに周速差がある際の中間転写体の駆動トルクを示したグラフ
【図12】画像形成速度の変更制御の方法について示したフローチャート
【図13】ジャンピング現像方式を用いた現像装置
【図14】現像バイアスを印加した状態と印加していない状態の中間転写体の駆動トルクを示したグラフ
【図15】第3の実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図16】クリーニングローラを用いた際の中間転写体の駆動トルクを示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、画像形成装置の概略構成図である。ここでは、画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した画像形成装置のうち中間転写ベルトを用いた4ドラムのフルカラー画像形成装置を示している。図1に示すフルカラーの画像形成装置(以下、本体とも呼ぶ)は、着脱自在なプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)を備えている。これら4個のプロセスカートリッジPY、PM、PC、PKは、同一構造である。異なる点は、プロセスカートリッジが収容しているトナーの色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーによる画像を形成することである。プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれトナー容器23Y、23M、23C、23Kを有している。さらに、像担持体である感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを有している。さらに、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kと、現像ローラ3Y、3M、3C、3Kと、ドラムクリーニングブレード4Y、4M、4C、4Kと、廃トナー容器24Y、24M、24C、24Kを有している。
【0011】
プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKの下方にはレーザユニット7Y、7M、7C、7Kが配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対して行う。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kは、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kによって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7Y、7M、7C、7Kによってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3Y、3M、3C、3Kによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成される。
【0012】
中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、従動ローラ10から構成されている。また、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kが配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。また、光学センサである色ずれ検知センサ27により、中間転写ベルト上に形成されたキャリブレーション用のトナーパターンを検知する。色ずれ検知センサ27は、駆動ローラ9の近傍に設置される。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kすなわち像担持体上に形成されたトナー像は、各感光ドラムが矢印方向に回転し、中間転写ベルト8が矢印A方向に回転し、さらに一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kに正極性のバイアスを印加することにより転写される。感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。
【0013】
給搬送装置12は、記録材Sを収納する給紙カセット13内から記録材Sを給紙する給紙ローラ14と、給紙された記録材Sを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置12から搬送された記録材Sはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。記録材判別装置43は、レジストローラ対16に挟持されている記録材Sの種類を判別するために、記録材Sに光を照射する。記録材Sを撮像した結果に基づき、記録材Sの判別を行う。記録材判別装置43については、後に詳しく説明する。なお、ここでは記録材Sを判別する一例として、撮像方式のセンサを説明したが、これに限られるものではなく、光量検知方式のセンサを用いてもよく、また超音波方式のセンサを用いてもよい。
【0014】
中間転写ベルト8から記録材Sへトナー像を転写するために、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加する。これにより、搬送されている記録材Sに、中間転写ベルト8上のトナー像を二次転写する。トナー像が転写された記録材Sは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された記録材Sは排紙ローラ対20によって排出される。
【0015】
トナー像が記録材Sに転写された後、感光ドラム1Y、1M、1C、1K表面に残ったトナーは、クリーニングブレード4Y、4M、4C、4Kによって除去される。また、記録材Sへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、クリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー回収容器22へと回収される。また、25は本体の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板であり、制御基板25には制御部としてのCPU26が搭載されている。CPU26は記録材Sの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジPY、PM、PC、PKの駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、更には故障検知に関する制御など、本体の動作を一括して制御している。
【0016】
[感光ドラム1と現像ローラ3の当接又は離間の切り替え動作について]
図2を用いて、現像ローラ3と感光ドラム1の当接と離間を切り替える機構について説明する。現像ローラ3と感光ドラム1の当接と離間を切り替えるための駆動源である当接離間モータ31はステッピングモータを使用しており、ピニオンギアを介して駆動切り替えシャフト32と接続されている。なお、本実施形態では当接離間モータ31の一例としてステッピングモータを挙げているが、それに限るものではなく、同様の駆動源として使用可能なDCブラシモータやDCブラシレスモータ等を用いてもよい。駆動切り替えシャフト32には各色のカムギア34を駆動するためのウォームギア33が設けられており、駆動切り替えシャフト32が回転する。すると、カムギア34のカム35の位相が変化し、プロセスカートリッジPの側面を押圧又は押圧を解除することで、ひとつの当接離間モータ31によって感光ドラム1と現像ローラ3の当接と離間を切り替えることができる。
【0017】
図2(a)は、カム35(35Y、35M、35C、35K)が最大半径でプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の側面を押圧している。よって、全ての現像ローラ3(3Y、3M、3C、3K)と全ての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)とが離間する待機状態(全離間状態)である。図2(b)は、すべてのカム35(35Y、35M、35C、35K)がプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の側面の押圧を解除している。よって、全ての現像ローラ3(3Y、3M、3C、3K)と全ての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)とが当接するフルカラーでの当接状態である。図2(c)は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のカム35(35Y、35M、35C)が最大半径でイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のプロセスカートリッジPの(PY、PM、PC)の側面を押圧している。そして、ブラック(K)のカム35KのみプロセスカートリッジPKの側面の押圧を解除し、ブラックの現像ローラ3Kのみが感光ドラム1Kと当接するモノカラーでの当接状態である。
【0018】
次に図2(a)の待機状態から図2(b)のフルカラーでの当接状態への状態変化と、図2(a)の待機状態から図2(c)のモノカラーでの当接状態への状態変化について説明する。図2(a)の待機状態において、当接離間モータ31を正回転させると、カム35Y、35M、35C、35Kは夫々時計回りの方向に回転する。カム35Y、35M、35C、35Kは、カム35Yを基準に、カム35M、カム35C、カム35Kの順番で反時計回りの方向に位相がずれている。
【0019】
この位相のずれにより、カム35Y、35M、35C、35Kは夫々時計回りの方向に回転すると、まずカム35YがプロセスカートリッジPYの側面の押圧を解除する。続いて、位相のズレにしたがって、カム35M、カム35C、カム35Kの順番でプロセスカートリッジの側面の押圧を解除する。これにより、図2(a)の待機状態から当接離間モータ31を正回転させることにより、Y→M→C→Kの順番で現像ローラ3と感光ドラム1が当接し、図2(b)のフルカラーでの当接状態へと移行する。フルカラーでの当接状態から待機状態へと状態変化するときは、さらに当接離間モータ31を正回転させることにより、Y→M→C→Kの順番で現像ローラ3と感光ドラム1が離間する。
【0020】
図2(a)の待機状態において、当接離間モータ31を逆回転させると、カム35Y、35M、35C、35Kは夫々反時計回りの方向に回転する。当接離間モータ31を逆回転させると、まずカム35KがプロセスカートリッジPKの側面の押圧を解除する。この状態で当接離間モータ31の駆動を停止することにより、図2(c)のモノカラーでの当接状態となる。モノカラーでの当接状態から待機状態へと状態変化するときは、当接離間モータ31を正回転させることにより、再びカム35KがプロセスカートリッジPKの側面の押圧し、待機状態となる。このように当接離間モータ31の回転駆動の向きと回転量を制御することによって、この図2(a)乃至(c)の3つの状態として、現像ローラ3と感光ドラム1の当接及び離間状態を制御できる。
【0021】
なお、このような制御を行うことが可能であるのは、図3に示すようにY(イエロー)のカムギア34Yに部分的にリブ41が設けられているからである。カムギア34Yの回転によりリブ41も回転し、フォトインタラプタ42を遮光する構成となっている。これにより、フォトインタラプタ42の出力信号に基づきカムギア34と共に回転するカム35Yの位相を検知することができる。フォトインタラプタ42が遮光される位置を基準位置とし、その位置から当接離間モータ31の駆動ステップ数を管理することによって、カム35の位相(待機状態、フルカラーでの当接状態、モノカラーでの当接状態)を制御している。
【0022】
カムギア34の位相変化と制御可能な3つの状態の関係を図4のカム線図に示す。図4のカム線図に示すように、カム35Y、35M、35C、35Kの位相をずらして駆動を制御することで、当接離間状態の切り替えが可能となる。なお、図4に示すカム線図は、設計中心値を示したものであり、図2に示す構成部品の寸法ばらつき等によって、カム線図にもばらつきが発生する。
【0023】
現像ローラ3の当接離間は、通常の印字動作を行う場合、画像形成を開始するタイミングに合わせて待機状態からフルカラーでの当接状態、又は待機状態からモノカラーでの当接状態へ切り替えられる。
【0024】
まず、フルカラープリントを行う場合の当接離間状態の切り替えについて説明する。なお、以降は現像ローラ3と感光ドラム1から成る構成を画像形成ステーションと定義し、イエローのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション1(1stとも表記する)と定義する。同様に、マゼンタのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション2(2st)と定義する。同様に、シアンのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション3(3st)、ブラックのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション4(4st)と定義する。
【0025】
フルカラープリントを行う場合は、画像形成を開始するタイミングに合わせて当接離間モータ31を所定ステップだけ正回転させる。当接離間モータ31を正回転で駆動を開始すると、各画像形成ステーションの現像ローラ3と感光ドラム1は、当接及び離間のどちらの状態もあり得る不定期間を経由する。そして、図3で説明したように、画像形成ステーション1(イエロー)⇒画像形成ステーション2(マゼンタ)⇒画像形成ステーション3(シアン)⇒画像形成ステーション4(ブラック)の順に当接する。そして、当接が完了した画像形成ステーションから画像形成を開始する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、全ての画像形成ステーションの当接が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。画像形成が終了すると、再び当接離間モータ31を所定ステップだけ正回転駆動する。当接離間モータ31を正回転で駆動を開始すると、現像ローラ3と感光ドラム1は、不定期間を経由する。そして、画像形成ステーション1(イエロー)⇒画像形成ステーション2(マゼンタ)⇒画像形成ステーション3(シアン)⇒画像形成ステーション4(ブラック)の順に離間し、印字を終了する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、全ての画像形成ステーションの離間が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。
【0026】
次に、モノカラープリントを行う場合の当接離間状態の切り替え制御について説明する。モノカラープリントを行う場合は、画像形成を開始するタイミングに合わせて当接離間モータ31を所定の駆動ステップ数だけ逆回転で駆動する。当接離間モータ31を逆回転で駆動を開始すると、不定期間を経由して先の図2で説明したように画像形成ステーション4(ブラック)のみ現像ローラ3Kを感光ドラム1Kに当接し、画像形成ステーション4(ブラック)の画像形成を開始する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、画像形成ステーション4(ブラック)のみ当接が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。画像形成が終了すると、当接離間モータ31を所定の駆動ステップ数だけ正回転で駆動する。当接離間モータ31を正回転で駆動を開始すると、ステーション4(ブラック)の現像ローラ3Kと感光ドラム1Kは、離間して印字を終了する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、全ての画像形成ステーションの離間が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。
【0027】
[メディアセンサの動作の説明]
図5に記録材判別装置43の概略構成図の一例を示す。図5(a)は記録材判別装置を搬送方向の横から見た断面図である。図5(b)は記録材判別装置を上から見た図である。なお、光源等の位置を分かり易くするために上部のフタを一部透視図として示している。記録材判別装置43は、基板44に設置されたチップLEDを光源として、折り返し反射部46を介した光路47にてカバー部材C内部に光を照射する。そして、図中の矢印方向に移動する記録材Sに向けてカバー部材Cを透過させ、10°〜15°程度の浅い角度で光を照射する。折り返し反射部46は、ガラスやアクリルのような板材表面に反射膜等を形成したものでも良いし、反射率が高いシート材、例えば東レ社のPET基材にアルミ蒸着を施したメタルミー(商標)等を両面テープ等で接着する等してもよい。
【0028】
記録材Sの表面から乱反射した光は、集光素子(ロッドレンズアレイ)48で集光され、基板44に設置された撮像素子(CMOSラインセンサ)49にて記録材Sの表面画像として撮像される。また、記録材Sの表面から正反射した光は、光トラップ部50へ入射し、光トラップ部50の中で自己減衰する。これにより撮像素子49への迷光を防止する。対向部材51は記録材Sの搬送性を向上させるとともに、記録材Sの搬送ばたつきを抑制する。なお、本実施形態の光トラップ部50は単純な溝として図示しているが、より減衰率の高くなる形状やさらに吸収光となる材質を追加変更し実現しても良い。
【0029】
図6は、記録材判別装置43の動作制御を示すブロック図の一例を示したものである。搬送されている記録材Sの表面に対して照射手段45から光を照射する。記録材Sからの反射光を集光素子48を介して撮像素子49で表面画像を撮像する。撮像素子49で撮像した記録材Sの表面画像を記録材判別部450へ出力する。
【0030】
記録材判別部450は、受け取った記録材Sの表面画像をA−D変換部451においてAD変換し、記録材Sの搬送方向と直交する同一直線上の画像を得る。本実施形態では、12ビットA−D変換ICを使用し、A−D変換部451は0〜4095の値を出力する。画像抽出部452及び記憶領域部455において、受け取った記録材Sの表面画像を搬送方向へつなぎ合わせ、2次元の表面画像を取得する。本実施形態では、記録材Sの搬送速度を180mm/秒とし、撮像素子49の解像度を1ラインの600dpi(1ドットあたり約42μm)とした。そのため、記録材Sの10mm×5mmの領域を撮像すると、画像サイズは236ドット×118ドットとなる。撮像素子49の撮像は、42μm/(180mm/秒)で行い、撮像素子49の光蓄積時間は約220μsec間隔で行う。これにより、搬送されてくる記録材S上の撮像エリアが重複せずに撮像することができる。また、記録材Sが搬送されていない場合においては、対向部材51の表面画像を撮像することもできる。
【0031】
得られた2次元の表面画像から記憶領域部455に記憶されている光軸や有効画像範囲等の情報に基づき、記録材Sの種類の判別に用いる表面画像の抽出を行う。このとき、表面画像に対しシェーディング補正を行う。これは特徴量算出部453で、抽出された表面画像から特徴量算出を行うために必要な処理である。記録材Sが搬送されていない場合においては、記録材先端検知部457において記録材Sの先端検知を行う。記録材先端検知部457で記録材Sの先端を検知した後、記録材Sは搬送されていると判断し、記録材先端検知部457から記録材種類判別部454へ記録材Sの先端到達を通知する。そして、記録材種類判別部454において特徴量算出部453で算出された結果に基づき記録材Sの種類についての判別を行う。
【0032】
記録材種類判別部454の結果を画像形成制御部100の画像形成条件制御部101に出力し、判別した結果に基づいて画像形成条件を制御する。画像形成条件とは、転写電圧や記録材Sの搬送速度、定着器の温度等の条件である。例えば、記録材種類判別の結果、ボンド紙と判別された場合、普通紙の画像形成条件では定着性が必ずしも良好ではないので、記録材Sの搬送速度を遅くして定着装置17での非図示の定着ニップ部での加熱時間を延長し定着性を向上させる。記憶領域部455には、照射手段45を発光制御する電流値や必要な光量目標値、さらに後述する光量ムラを補正するために使用される照射手段45のOFF時の暗電流データと照射手段45のON時の光量分布データを記憶している。また、照射制御部102は前記光量分布データ取得時の情報を元に照射手段45の光量を制御している。
【0033】
図7、図8を用いて記録材判別装置43の撮像素子49で撮像した表面画像から記録材Sの種類を判別する一例を説明する。S100において、CPU26は記録材判別制御を開始する。S101において、CPU26は記録材判別装置43へ記録材Sの搬送を開始し、記録材Sの先端が検知されると、撮像範囲内の記録材Sの表面画像を撮像する。表面画像の撮像は記録材Sの判別に必要な領域分となるまで繰り返し行う。図7(a)は記録材Sの先端検知前に取得した暗電流補正データの一例を示すグラフである。図7(b)は記録材Sの先端検知前に取得する、又は不図示の記憶部に格納されているシェーディング補正データの一例を示すグラフである。シェーディング補正データは、毎回の印字毎に基準シートを搬送させなくとも、不図示の記憶部にシェーディング補正データを保持させることで、検知を省略することができる。図7(c)は撮像した記録材S(商品名:Neenah Bond 60)画像データの一例である。
【0034】
S102において、CPU26は記録材Sの表面画像から図7(c)の白点線で囲まれた記録材判別領域の全体光量を確認する。この処理は記録材Sの明度を確認するために行い、本実施形態では記録材表面の特徴量のひとつとして記録材判別用情報に用いている。S103において、CPU26は記録材Sの表面粗さを検知するために、撮像した表面画像をシェーディング補正データによりシェーディング補正する。シェーディング補正を行うことで、表面画像の光量ムラを補正し、記録材Sの表面粗さを精度良く検知することができる。図7(d)は撮像した記録材Sの表面画像をシェーディング補正したものである。図7(c)の表面画像に比べて、光量ムラが解消されていることがわかる。
【0035】
S104において、CPU26はシェーディング補正した図7(d)の白点線で囲まれた記録材判別領域の表面画像に基づき、記録材Sの表面粗さの特徴量の抽出を行う。特徴量としては、シェーディング補正後の画像明度分布範囲(記録材表面のコントラスト)を特徴量とする方法と、撮像時の1ライン分の最大値と最小値をピーク値として連続取得画像毎に算出しその積算を特徴量とする方法等がある。本実施形態においては、画像明度分布範囲を特徴量として用いた。S105において、CPU26はS102で算出した記録材判別領域の全体光量と、S104で算出した記録材判別領域内の特徴量に基づき、記録材Sの判別を行う。図7(e)はPPC用紙(一般的なプリンタやコピー機等で使用する記録材)、コート紙(記録材表面に各種塗工を施し、平滑性を高めた記録材)、ボンド紙(表面性の粗い記録材)、加色PPC用紙(加色されたPPC用紙)を分類するための参照表の一例である。これを、記録材判別参照表とする。縦軸が光量を示し、横軸が記録材Sの表面粗さを示している。それぞれの値の交点をグラフ上にプロットすることにより、記録材Sの判別を行う。
【0036】
S106において、CPU26は画像形成を継続するかの判断を行う。画像形成を継続する場合は、S101へ戻る。画像形成を終了する場合はS107において、CPU26は撮像素子49への駆動を停止し、照射手段45を消灯する。S108において、CPU26は記録材判別装置の動作を停止させる。
【0037】
[画像形成装置の動作の説明]
1/1速で画像形成装置を起動後、記録材判別装置43によって記録材Sが低速モードを適用するボンド紙やコート紙であると判断された場合に、画像形成装置を停止する事無く、画像形成装置の速度を1/2速の低速モードに変更する動作を説明する。図9は、各画像形成ステーションの現像ローラ3と感光ドラム1の当接状態及び、感光ドラム1に現像されたトナー像の位置及び、感光ドラム1と現像ローラ3と中間転写体としての中間転写ベルト8の駆動速度を示したものである。本実施形態においては、画像形成ステーション4(ブラック)の現像ローラ3から感光ドラム1上に転移したトナーが転写位置に到達するまで、他の画像形成ステーション1(イエロー)、2(マゼンタ)、3(シアン)のそれぞれを1/1速で駆動を続ける。なお、ここでは現像ローラ3から感光ドラム1へのトナーの転移には、通常の画像形成の際の現像条件とは異なり、現像バイアスを印加することなく発生するものを想定している。つまり、通常の画像形成として形成されるトナー像とは異なり、感光ドラム1と中間転写体の潤滑剤として機能するトナー量であれば、どのようなトナー像でも構わない。よって、例えば通常の現像バイアスよりも低い現像バイアスを印加することにより、速度変更用のトナー像として所定量のトナーを感光ドラム1に供給することも可能である。その後、現像ローラ3と感光ドラム1と中間転写体の速度を同時に1/1速に対応するαから1/2速に対応するβまで減速する。なお、αを1/1速の速度(180mm/秒)、βを1/2速の速度(90mm/秒)とする。
【0038】
記録材Sの検知の実行タイミングとしては、通常速度で搬送される記録材Sに対してFPOTに影響を与えないようにする。すなわち、記録材Sが記録材判別装置43に到達後、図9における1/1速Topで表わされる画像の書き出しタイミングに対して、1/1速で画像形成する場合の判別結果を通知するのに十分間に合うタイミングとする。判別結果の通知が間に合えば、記録材Sの検知タイミングは各色の現像ローラ3の当接タイミングの前後でも途中であっても良い。1/2速に減速が完了すると、画像形成ステーション1(イエロー)から1/2速で画像形成を開始する。従来、記録材Sの判別を行った後、直ちに感光ドラム1と中間転写体を当接させたまま速度を変更すると、周速差によって感光ドラム1又は中間転写体が摩耗する可能性があった。本実施形態においては、全ての画像形成ステーションにおいて、感光ドラム1と中間転写体の間にトナーが介在する状態になってから速度変更を開始するため、トナーの潤滑効果によって感光ドラム1と中間転写体が摩耗する可能性を低減できるという効果がある。
【0039】
図10に現像ローラ3と感光ドラム1が当接している状態又は当接していない状態で速度変更を行った際の状況を示すグラフである。横軸は速度変更の繰り返し回数であり、縦軸は画像のランクを示す。ここでいう画像ランクとは、形成する画像の画質を示しており、数値が上がるほど精度良く画像形成を行えない状態であることを示している。ランク1は正常な画像を形成できる状態である。ランク3は、本発明者が主観的に評価した形成された画像が問題ないと判断できる状態である。ランク4以上は、形成された画像が問題ないと判断できない状態である。図10の破線で示しているのが、現像ローラ3と感光ドラム1が非当接の状態で速度変更を繰り返した結果である。100回程度から画像ランクが3を超える状態となり、形成された画像に問題がないと判断できない状態となっている。一方、図10の実線で示しているのが、本実施形態の構成である、現像ローラ3と感光ドラム1が当接した状態で、トナーが感光ドラム1と中間転写体の間に介在する状態において速度変更を繰り返した結果である。10000回程度、速度変更を繰り返しても画像ランクは2となっており、形成した画像に問題がないと判断できる状態となっている。そのため、感光ドラム1の寿命が10000枚相当であれば、その全ての画像形成において、速度切り替えが発生したとしても、感光ドラム1や中間転写体の摩耗による劣化を低減できることがわかった。
【0040】
図11に中間転写体と感光ドラムに周速差がある際の中間転写体の駆動トルクを示す。横軸は感光ドラム1上のカブリトナー量を測定した数値である。なお、カブリトナーとは、現像ローラ3を当接させたことにより、感光ドラム1上に現像されるトナーとする。カブリトナー量は非常に少なく重量の測定が困難であるため、カブリトナー量を反射率で定義している。具体的には、感光ドラム1上のトナーを、市販のニチバン製セロハンテープ、日東電工製ポリエステルテープ、住友スリーエム製メンディングテープのような透明な粘着テープで採取する。そして、そのテープをコピー用紙のような白色の紙に貼り付け、トナーの有り部とトナー無し部の反射率測定値の差をカブリ反射率(%)と定義した。反射光量の測定器としては、DENSITOMETER TC−6DS(東京デンショクテクニカルセンター製)を用いた。縦軸は中間転写体の駆動軸上で測定した駆動トルクを表している。本実施形態における画像形成装置においては、通常使用時の駆動トルクは0.2〜0.4N・m程度であるとする。そして、トルクが0.6N・mを超えるとギア列に対する負担が大きくなり、その状態で画像形成を行うと異音が発生したり、ギアが摩耗して駆動トルクがかからなくなったりする可能性があるとする。
【0041】
図11は、感光ドラム1の表面速度に対し、中間転写体の表面速度が5.0%速い状態を示している。この状態を周速差5.0%と定義している。感光ドラム1上のカブリ反射率が0%の状態は、現像ローラ3が感光ドラム1に当接しておらず、カブリトナーが感光ドラム1上に付着していない状態である。この状態で周速差が5.0%有ると、中間転写体の駆動トルクは0.8N・m以上という高い数値となってしまう。一方、現像ローラ3が感光ドラム1に当接しており、カブリトナーが感光ドラム1上に付着していると、カブリ反射率が1%程度の微量であっても、中間転写体の駆動トルクを0.3N・m程度まで下げることができている。トナーや現像ローラ3や感光ドラム1等の各構成が新品状態においても感光ドラム1上のカブリ反射率は1%以下にならないため、トナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができる。また、感光ドラム1上のカブリトナーの量を1%以上に増やした場合においても、同様に駆動トルクを低下させることができ、トナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができる。
【0042】
このように、図11より、1/1速から1/2速への速度切り替え時にように、感光ドラム1と中間転写体の速度差が大きくなっても、感光ドラム1と中間転写体の間にトナーが存在すれば、中間転写体の駆動トルクを抑え且つ安定させることができる。よって、感光ドラム1や中間転写体の摩耗による劣化の発生を低減できる。
【0043】
図12のフローチャートを用いて、画像形成速度の変更制御の方法について説明する。なお、ここでは画像形成速度の一例として、1/1速と1/2速を用いて説明するが、画像形成速度はこれに限られるものではない。
【0044】
S201において、CPU26は1/1速での画像形成命令を受け取ると、1/1速で画像形成を開始する。S202において、CPU26は感光ドラム1、中間転写体を1/1速で駆動開始する。S203において、CPU26は当接離間モータの駆動を開始する。S204において、CPU26は記録材判別装置43により記録材Sの判別を開始する。S205において、CPU26は記録材Sの判別結果より画像形成速度に変更があるかを判断する。画像形成速度に変更が無い場合には、S206において、CPU26は現像ローラ3Yが感光ドラム1Yに当接したかを判断する。現像ローラ3Yが感光ドラム1Yに当接すると、Yステーションの画像形成が開始可能となるためS207において、CPU26は画像形成ステーション1(Y)から順次画像形成を開始する。S208において、CPU26は全ての色の現像ローラが感光ドラムに当接して、フルカラー当接状態になったかを判断する。全ての現像ローラが当接すると、S209において、CPUは当接離間モータ31の駆動を停止する。S210において、CPU26は現像ローラと感光ドラムの当接処理を終了する。
【0045】
一方、S205において、記録材Sの判別結果より画像形成速度に変更がある場合、S211に進む。なお、本実施形態では、1/2速への画像形成速度を変更する場合で説明するが、画像形成速度はこれ以外の速度を設定することも可能である。S211において、CPU26は現像ローラが感光ドラムに当接して、フルカラー当接状態になるまで当接離間モータ31を駆動する。当接離間状態となったら、S212において、CPU26は当接離間モータ31の駆動を停止する。S213において、CPU26は現像ローラと感光ドラムの当接処理を終了する。S214において、CPU26は当接処理が終了した後、全ての画像形成ステーションのトナーが転写位置に搬送されるまで、所定時間待機する。S215において、CPU26は全ての画像形成ステーションのトナーが転写位置に搬送されると、画像形成スピードを1/1速から1/2速に変更する。ここで使用されたトナーは、クリーニングブレードによりクリーニングされる。画像形成速度の変更が完了したら、S216において、CPU26は画像形成ステーション1(Y)から順次画像形成を開始する。
【0046】
なお、通常の1/1速で画像形成が完了して記録材Sが排出されるまでの時間が10秒であった画像形成装置において、従来の制御と本実施形態の制御を行ってみた。従来の、画像形成速度を1/1速で起動した後、記録材Sの種類の判別結果により速度変更を行う場合は、後回転を行った後、再度画像形成速度を1/2速で起動するという制御を行うと、画像形成が完了して記録材Sが排出されるまでの時間は25秒となった。一方、本実施形態の制御は、画像形成速度を1/1速で起動した後、記録材Sの種類の判別結果により速度変更を行う場合は、後回転を行わずトナーが転写位置に搬送された後、画像形成速度を1/2速に変更する。これにより、画像形成が完了して記録材Sが排出されるまでの時間は13秒となった。つまり、従来の制御より本実施形態の制御の方が、画像形成速度の変更にかかる時間を短縮することができていることがわかる。
【0047】
このように、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の間にトナーがある状態で速度を変更するように制御した。これにより、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するするとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することが可能となった。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、接触式の現像方式を用いて説明を行った。本実施形態においては、非接触式の現像方式である、ジャンピング現像方式を用いて説明を行う。
【0049】
ジャンピング現像方式とは、現像ローラ3と感光ドラム1とを非接触の状態で、それらの最接近部である現像領域で、現像ローラ3と感光ドラム1との間に印加された直流バイアスを重畳した交流バイアス電圧によりトナーが現像されるものである。図13に、ジャンピング現像方式を用いた現像装置の一例を示す。ジャンピング現像方式の現像装置は、現像位置における現像ローラ3と感光ドラム1との間にギャップD(以下、「SDギャップ」とも呼ぶ)を有している。SDギャップは、現像ローラ軸に回転可能に支持された感光ドラム突き当てコロによって、100〜500μmに設定されることが好ましく、より好ましくは300μm以下である。SDギャップが100μm未満であると電界が現像ローラ3から感光ドラム1へリークし易くなり、潜像を現像することが難しくなる。また、500μm以上であるとトナーが感光ドラム1に飛翔し難くなる傾向がある。本実施形態においては、SDギャップを250μmに設定し、現像ローラ3には直流と交流の重畳電圧をかけ、ジャンピング現像を行った。また、そのときの交番電界はピーク間の電圧で1900V、周波数3000Hzで行った。また、現像ローラ3は十点平均表面粗さRz=8.3μm、中心線表面粗さRa=0.8μmの、アルミ素管に樹脂コートしたものを使用した。
【0050】
図14は、現像バイアスを印加した状態と印加していない状態で、感光ドラム1の表面速度に対し、中間転写体の表面速度が5.0%速い状態を示している。この状態を周速差5.0%と定義している。現像バイアスを印加せず、カブリトナーが感光ドラムに現像されない状態である0%においては、先の第1の実施形態と同様に中間転写体の駆動トルクは0.8N・m以上という高い数値となってしまう。一方、現像バイアスを印加した状態では、中間転写体の駆動トルクを0.2〜0.3N・m程度まで下げることができていることがわかる。よって、ジャンピング現像方式においても、接触現像方式と同様にカブリトナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができることがわかった。
【0051】
このように、ジャンピング現像方式を用いた画像形成装置においても、先の第1の実施形態と同様に、カブリトナーが中間転写体と感光ドラムの間にある状態で画像形成速度を変更する。これにより、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化の発生を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することが可能となった。
【0052】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、中間転写体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを用いる方法を説明した。本実施形態においては、中間転写体のクリーニング手段としてクリーニングローラを用いる方法を説明する。
【0053】
図15は、本実施形態における画像形成装置の概略構成図である。なお、先の図1との違いは、クリーニングローラ55のみであるので、これ以外の構成の説明については省略する。クリーニングローラ55は、中間転写体上に残留した残トナーを現像ローラ3で帯電される極性と逆極性に帯電する。このように残トナーを逆極性に帯電することで、通常は転写ローラによって感光ドラム1から中間転写体にトナーを転写する1次転写部において、中間転写体から感光ドラム1に残トナーを逆転写させることができる。このように、中間転写体上の残トナーを感光ドラム1に逆転写することで、中間転写体をクリーニングする。
【0054】
なお、クリーニングローラ55は、10E5〜10E9Ωに抵抗調整されたソリッドゴムローラである。クリーニングローラ55には、高圧電源(不図示)から0.3〜+1.0kVの電圧が印加される構成となっている。また、画像形成時のトナーは負極性に帯電され、一次転写ローラ6、二次転写ローラ11に正バイアスを印加することで、静電的に転写を行っている。このため、二次転写で記録材に転写されず中間転写体上に残留した残トナーの多くは負極性に帯電されたままとなっている。そこで、クリーニングローラ55により中間転写体上の残トナーを適正な正極性の電荷量に帯電する。その後、残トナーは感光ドラム1の一次転写部において、逆転写される。
【0055】
本実施形態においては、この中間転写体上の残トナーを感光ドラム1と中間転写体の間に搬送し、残トナーが有る状態で速度の切り替えを行うように制御する。中間転写体上の残トナーによって、中間転写体と感光ドラム1に周速差を付けた時のトルク低減効果を調べた結果が図16である。感光ドラム1の表面速度に対し、中間転写体の表面速度が5.0%速い状態を示している。この状態を周速差5.0%と定義している。感光ドラム1上のカブリ反射率が0%の状態において、中間転写体の駆動トルクは0.65N・m程度となっている。これは、クリーニングブレードを用いた第1の実施形態の0.85N・m程度に比べると、クリーニングローラを用いたことにより、0.2N・m程度のトルクの軽減効果が発生している。しかしながら、0.65N・m程度の駆動トルクで駆動させると、中間転写体や感光ドラムが摩耗してしまう。一方、本実施形態においても、現像ローラ3が感光ドラム1に当接しており、カブリトナーが感光ドラム1上に付着していると、中間転写体の駆動トルクを0.3N・m程度まで下げることができている。これにより、カブリトナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができる。
【0056】
このように、クリーニングローラを用いた画像形成装置においても、先の第1の実施形態と同様に、カブリトナーが中間転写体と感光ドラムの間にある状態で画像形成速度を変更する。これにより、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化の発生を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することが可能となった。
【符号の説明】
【0057】
1 感光ドラム
3 現像ローラ
8 中間転写ベルト
26 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置において、例えば記録材の種類や形成される画像に応じて、画像形成速度を変更して画像形成を行うような制御が行われている。適切な画像形成速度にすることによって、高画質な画像を形成することが可能となるが、画像形成速度を切り換える際に、感光ドラムと中間転写体の間で速度差が発生してしまうと、夫々の部材の摩耗による劣化につながっていた。そこで、例えば特許文献1ように、エンコーダを用いて感光ドラムと中間転写体の速度を検知することにより、感光ドラムと中間転写体の速度差を一定の範囲内に収まるように制御することが知られている。これにより、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−207981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように制御した場合においても、感光ドラムと中間転写体の間の周速差をまったく無くすことは難しく、感光ドラムや中間転写体の摩耗による劣化は若干ではあるが発生する可能性があった。そこで、画像形成速度を変更する際には、感光ドラムと中間転写体を停止した後、再び変更したい速度で駆動することにより、周速差の発生を抑えるような制御方法も考えられる。しかし、このような制御を行うと画像形成速度を変更して、画像形成を行うまでの時間が長くなってしまうという課題があった。
【0005】
本出願に係る発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、潜像が形成される像担持体と、前記像担持体の潜像を現像する現像手段と、前記像担持体と接触しており、像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記像担持体と前記中間転写体の速度を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記現像手段から供給された前記像担持体上のトナーが前記像担持体と前記中間転写体とが接触しているニップ部にある状態で前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成によれば、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制する
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】現像ローラ3と感光ドラム1の当接と離間を切り替える機構を示した図
【図3】カムの位相を検知する機構を示した図
【図4】感光ドラムと現像ローラの当接状態を示すカム線図
【図5】記録材判別装置43の概略構成図
【図6】記録材判別装置43の動作制御を示すブロック図
【図7】記録材判別装置43の撮像素子49で撮像した表面画像
【図8】記録材判別装置43の撮像素子49で撮像した表面画像から記録材Sの種類を判別する方法を示したフローチャート
【図9】各画像形成ステーションの現像ローラ3と感光ドラム1の当接状態及び、感光ドラム1に現像されたトナー像の位置及び、感光ドラム1と現像ローラ3と中間転写体としての中間転写ベルト8の駆動速度を示した図
【図10】現像ローラ3と感光ドラム1が当接している状態又は当接していない状態で速度変更を行った際の状況を示すグラフ
【図11】中間転写体と感光ドラムに周速差がある際の中間転写体の駆動トルクを示したグラフ
【図12】画像形成速度の変更制御の方法について示したフローチャート
【図13】ジャンピング現像方式を用いた現像装置
【図14】現像バイアスを印加した状態と印加していない状態の中間転写体の駆動トルクを示したグラフ
【図15】第3の実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図16】クリーニングローラを用いた際の中間転写体の駆動トルクを示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、画像形成装置の概略構成図である。ここでは、画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した画像形成装置のうち中間転写ベルトを用いた4ドラムのフルカラー画像形成装置を示している。図1に示すフルカラーの画像形成装置(以下、本体とも呼ぶ)は、着脱自在なプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)を備えている。これら4個のプロセスカートリッジPY、PM、PC、PKは、同一構造である。異なる点は、プロセスカートリッジが収容しているトナーの色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーによる画像を形成することである。プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれトナー容器23Y、23M、23C、23Kを有している。さらに、像担持体である感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを有している。さらに、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kと、現像ローラ3Y、3M、3C、3Kと、ドラムクリーニングブレード4Y、4M、4C、4Kと、廃トナー容器24Y、24M、24C、24Kを有している。
【0011】
プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKの下方にはレーザユニット7Y、7M、7C、7Kが配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対して行う。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kは、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kによって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7Y、7M、7C、7Kによってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3Y、3M、3C、3Kによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Kのトナー像が形成される。
【0012】
中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、従動ローラ10から構成されている。また、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kが配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。また、光学センサである色ずれ検知センサ27により、中間転写ベルト上に形成されたキャリブレーション用のトナーパターンを検知する。色ずれ検知センサ27は、駆動ローラ9の近傍に設置される。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kすなわち像担持体上に形成されたトナー像は、各感光ドラムが矢印方向に回転し、中間転写ベルト8が矢印A方向に回転し、さらに一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kに正極性のバイアスを印加することにより転写される。感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。
【0013】
給搬送装置12は、記録材Sを収納する給紙カセット13内から記録材Sを給紙する給紙ローラ14と、給紙された記録材Sを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置12から搬送された記録材Sはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。記録材判別装置43は、レジストローラ対16に挟持されている記録材Sの種類を判別するために、記録材Sに光を照射する。記録材Sを撮像した結果に基づき、記録材Sの判別を行う。記録材判別装置43については、後に詳しく説明する。なお、ここでは記録材Sを判別する一例として、撮像方式のセンサを説明したが、これに限られるものではなく、光量検知方式のセンサを用いてもよく、また超音波方式のセンサを用いてもよい。
【0014】
中間転写ベルト8から記録材Sへトナー像を転写するために、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加する。これにより、搬送されている記録材Sに、中間転写ベルト8上のトナー像を二次転写する。トナー像が転写された記録材Sは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された記録材Sは排紙ローラ対20によって排出される。
【0015】
トナー像が記録材Sに転写された後、感光ドラム1Y、1M、1C、1K表面に残ったトナーは、クリーニングブレード4Y、4M、4C、4Kによって除去される。また、記録材Sへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、クリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー回収容器22へと回収される。また、25は本体の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板であり、制御基板25には制御部としてのCPU26が搭載されている。CPU26は記録材Sの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジPY、PM、PC、PKの駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、更には故障検知に関する制御など、本体の動作を一括して制御している。
【0016】
[感光ドラム1と現像ローラ3の当接又は離間の切り替え動作について]
図2を用いて、現像ローラ3と感光ドラム1の当接と離間を切り替える機構について説明する。現像ローラ3と感光ドラム1の当接と離間を切り替えるための駆動源である当接離間モータ31はステッピングモータを使用しており、ピニオンギアを介して駆動切り替えシャフト32と接続されている。なお、本実施形態では当接離間モータ31の一例としてステッピングモータを挙げているが、それに限るものではなく、同様の駆動源として使用可能なDCブラシモータやDCブラシレスモータ等を用いてもよい。駆動切り替えシャフト32には各色のカムギア34を駆動するためのウォームギア33が設けられており、駆動切り替えシャフト32が回転する。すると、カムギア34のカム35の位相が変化し、プロセスカートリッジPの側面を押圧又は押圧を解除することで、ひとつの当接離間モータ31によって感光ドラム1と現像ローラ3の当接と離間を切り替えることができる。
【0017】
図2(a)は、カム35(35Y、35M、35C、35K)が最大半径でプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の側面を押圧している。よって、全ての現像ローラ3(3Y、3M、3C、3K)と全ての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)とが離間する待機状態(全離間状態)である。図2(b)は、すべてのカム35(35Y、35M、35C、35K)がプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)の側面の押圧を解除している。よって、全ての現像ローラ3(3Y、3M、3C、3K)と全ての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)とが当接するフルカラーでの当接状態である。図2(c)は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のカム35(35Y、35M、35C)が最大半径でイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のプロセスカートリッジPの(PY、PM、PC)の側面を押圧している。そして、ブラック(K)のカム35KのみプロセスカートリッジPKの側面の押圧を解除し、ブラックの現像ローラ3Kのみが感光ドラム1Kと当接するモノカラーでの当接状態である。
【0018】
次に図2(a)の待機状態から図2(b)のフルカラーでの当接状態への状態変化と、図2(a)の待機状態から図2(c)のモノカラーでの当接状態への状態変化について説明する。図2(a)の待機状態において、当接離間モータ31を正回転させると、カム35Y、35M、35C、35Kは夫々時計回りの方向に回転する。カム35Y、35M、35C、35Kは、カム35Yを基準に、カム35M、カム35C、カム35Kの順番で反時計回りの方向に位相がずれている。
【0019】
この位相のずれにより、カム35Y、35M、35C、35Kは夫々時計回りの方向に回転すると、まずカム35YがプロセスカートリッジPYの側面の押圧を解除する。続いて、位相のズレにしたがって、カム35M、カム35C、カム35Kの順番でプロセスカートリッジの側面の押圧を解除する。これにより、図2(a)の待機状態から当接離間モータ31を正回転させることにより、Y→M→C→Kの順番で現像ローラ3と感光ドラム1が当接し、図2(b)のフルカラーでの当接状態へと移行する。フルカラーでの当接状態から待機状態へと状態変化するときは、さらに当接離間モータ31を正回転させることにより、Y→M→C→Kの順番で現像ローラ3と感光ドラム1が離間する。
【0020】
図2(a)の待機状態において、当接離間モータ31を逆回転させると、カム35Y、35M、35C、35Kは夫々反時計回りの方向に回転する。当接離間モータ31を逆回転させると、まずカム35KがプロセスカートリッジPKの側面の押圧を解除する。この状態で当接離間モータ31の駆動を停止することにより、図2(c)のモノカラーでの当接状態となる。モノカラーでの当接状態から待機状態へと状態変化するときは、当接離間モータ31を正回転させることにより、再びカム35KがプロセスカートリッジPKの側面の押圧し、待機状態となる。このように当接離間モータ31の回転駆動の向きと回転量を制御することによって、この図2(a)乃至(c)の3つの状態として、現像ローラ3と感光ドラム1の当接及び離間状態を制御できる。
【0021】
なお、このような制御を行うことが可能であるのは、図3に示すようにY(イエロー)のカムギア34Yに部分的にリブ41が設けられているからである。カムギア34Yの回転によりリブ41も回転し、フォトインタラプタ42を遮光する構成となっている。これにより、フォトインタラプタ42の出力信号に基づきカムギア34と共に回転するカム35Yの位相を検知することができる。フォトインタラプタ42が遮光される位置を基準位置とし、その位置から当接離間モータ31の駆動ステップ数を管理することによって、カム35の位相(待機状態、フルカラーでの当接状態、モノカラーでの当接状態)を制御している。
【0022】
カムギア34の位相変化と制御可能な3つの状態の関係を図4のカム線図に示す。図4のカム線図に示すように、カム35Y、35M、35C、35Kの位相をずらして駆動を制御することで、当接離間状態の切り替えが可能となる。なお、図4に示すカム線図は、設計中心値を示したものであり、図2に示す構成部品の寸法ばらつき等によって、カム線図にもばらつきが発生する。
【0023】
現像ローラ3の当接離間は、通常の印字動作を行う場合、画像形成を開始するタイミングに合わせて待機状態からフルカラーでの当接状態、又は待機状態からモノカラーでの当接状態へ切り替えられる。
【0024】
まず、フルカラープリントを行う場合の当接離間状態の切り替えについて説明する。なお、以降は現像ローラ3と感光ドラム1から成る構成を画像形成ステーションと定義し、イエローのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション1(1stとも表記する)と定義する。同様に、マゼンタのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション2(2st)と定義する。同様に、シアンのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション3(3st)、ブラックのトナーで画像形成を行う画像形成ステーションを画像形成ステーション4(4st)と定義する。
【0025】
フルカラープリントを行う場合は、画像形成を開始するタイミングに合わせて当接離間モータ31を所定ステップだけ正回転させる。当接離間モータ31を正回転で駆動を開始すると、各画像形成ステーションの現像ローラ3と感光ドラム1は、当接及び離間のどちらの状態もあり得る不定期間を経由する。そして、図3で説明したように、画像形成ステーション1(イエロー)⇒画像形成ステーション2(マゼンタ)⇒画像形成ステーション3(シアン)⇒画像形成ステーション4(ブラック)の順に当接する。そして、当接が完了した画像形成ステーションから画像形成を開始する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、全ての画像形成ステーションの当接が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。画像形成が終了すると、再び当接離間モータ31を所定ステップだけ正回転駆動する。当接離間モータ31を正回転で駆動を開始すると、現像ローラ3と感光ドラム1は、不定期間を経由する。そして、画像形成ステーション1(イエロー)⇒画像形成ステーション2(マゼンタ)⇒画像形成ステーション3(シアン)⇒画像形成ステーション4(ブラック)の順に離間し、印字を終了する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、全ての画像形成ステーションの離間が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。
【0026】
次に、モノカラープリントを行う場合の当接離間状態の切り替え制御について説明する。モノカラープリントを行う場合は、画像形成を開始するタイミングに合わせて当接離間モータ31を所定の駆動ステップ数だけ逆回転で駆動する。当接離間モータ31を逆回転で駆動を開始すると、不定期間を経由して先の図2で説明したように画像形成ステーション4(ブラック)のみ現像ローラ3Kを感光ドラム1Kに当接し、画像形成ステーション4(ブラック)の画像形成を開始する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、画像形成ステーション4(ブラック)のみ当接が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。画像形成が終了すると、当接離間モータ31を所定の駆動ステップ数だけ正回転で駆動する。当接離間モータ31を正回転で駆動を開始すると、ステーション4(ブラック)の現像ローラ3Kと感光ドラム1Kは、離間して印字を終了する。当接離間モータ31の駆動ステップ数は、全ての画像形成ステーションの離間が完了すると停止するような駆動ステップ数とする。
【0027】
[メディアセンサの動作の説明]
図5に記録材判別装置43の概略構成図の一例を示す。図5(a)は記録材判別装置を搬送方向の横から見た断面図である。図5(b)は記録材判別装置を上から見た図である。なお、光源等の位置を分かり易くするために上部のフタを一部透視図として示している。記録材判別装置43は、基板44に設置されたチップLEDを光源として、折り返し反射部46を介した光路47にてカバー部材C内部に光を照射する。そして、図中の矢印方向に移動する記録材Sに向けてカバー部材Cを透過させ、10°〜15°程度の浅い角度で光を照射する。折り返し反射部46は、ガラスやアクリルのような板材表面に反射膜等を形成したものでも良いし、反射率が高いシート材、例えば東レ社のPET基材にアルミ蒸着を施したメタルミー(商標)等を両面テープ等で接着する等してもよい。
【0028】
記録材Sの表面から乱反射した光は、集光素子(ロッドレンズアレイ)48で集光され、基板44に設置された撮像素子(CMOSラインセンサ)49にて記録材Sの表面画像として撮像される。また、記録材Sの表面から正反射した光は、光トラップ部50へ入射し、光トラップ部50の中で自己減衰する。これにより撮像素子49への迷光を防止する。対向部材51は記録材Sの搬送性を向上させるとともに、記録材Sの搬送ばたつきを抑制する。なお、本実施形態の光トラップ部50は単純な溝として図示しているが、より減衰率の高くなる形状やさらに吸収光となる材質を追加変更し実現しても良い。
【0029】
図6は、記録材判別装置43の動作制御を示すブロック図の一例を示したものである。搬送されている記録材Sの表面に対して照射手段45から光を照射する。記録材Sからの反射光を集光素子48を介して撮像素子49で表面画像を撮像する。撮像素子49で撮像した記録材Sの表面画像を記録材判別部450へ出力する。
【0030】
記録材判別部450は、受け取った記録材Sの表面画像をA−D変換部451においてAD変換し、記録材Sの搬送方向と直交する同一直線上の画像を得る。本実施形態では、12ビットA−D変換ICを使用し、A−D変換部451は0〜4095の値を出力する。画像抽出部452及び記憶領域部455において、受け取った記録材Sの表面画像を搬送方向へつなぎ合わせ、2次元の表面画像を取得する。本実施形態では、記録材Sの搬送速度を180mm/秒とし、撮像素子49の解像度を1ラインの600dpi(1ドットあたり約42μm)とした。そのため、記録材Sの10mm×5mmの領域を撮像すると、画像サイズは236ドット×118ドットとなる。撮像素子49の撮像は、42μm/(180mm/秒)で行い、撮像素子49の光蓄積時間は約220μsec間隔で行う。これにより、搬送されてくる記録材S上の撮像エリアが重複せずに撮像することができる。また、記録材Sが搬送されていない場合においては、対向部材51の表面画像を撮像することもできる。
【0031】
得られた2次元の表面画像から記憶領域部455に記憶されている光軸や有効画像範囲等の情報に基づき、記録材Sの種類の判別に用いる表面画像の抽出を行う。このとき、表面画像に対しシェーディング補正を行う。これは特徴量算出部453で、抽出された表面画像から特徴量算出を行うために必要な処理である。記録材Sが搬送されていない場合においては、記録材先端検知部457において記録材Sの先端検知を行う。記録材先端検知部457で記録材Sの先端を検知した後、記録材Sは搬送されていると判断し、記録材先端検知部457から記録材種類判別部454へ記録材Sの先端到達を通知する。そして、記録材種類判別部454において特徴量算出部453で算出された結果に基づき記録材Sの種類についての判別を行う。
【0032】
記録材種類判別部454の結果を画像形成制御部100の画像形成条件制御部101に出力し、判別した結果に基づいて画像形成条件を制御する。画像形成条件とは、転写電圧や記録材Sの搬送速度、定着器の温度等の条件である。例えば、記録材種類判別の結果、ボンド紙と判別された場合、普通紙の画像形成条件では定着性が必ずしも良好ではないので、記録材Sの搬送速度を遅くして定着装置17での非図示の定着ニップ部での加熱時間を延長し定着性を向上させる。記憶領域部455には、照射手段45を発光制御する電流値や必要な光量目標値、さらに後述する光量ムラを補正するために使用される照射手段45のOFF時の暗電流データと照射手段45のON時の光量分布データを記憶している。また、照射制御部102は前記光量分布データ取得時の情報を元に照射手段45の光量を制御している。
【0033】
図7、図8を用いて記録材判別装置43の撮像素子49で撮像した表面画像から記録材Sの種類を判別する一例を説明する。S100において、CPU26は記録材判別制御を開始する。S101において、CPU26は記録材判別装置43へ記録材Sの搬送を開始し、記録材Sの先端が検知されると、撮像範囲内の記録材Sの表面画像を撮像する。表面画像の撮像は記録材Sの判別に必要な領域分となるまで繰り返し行う。図7(a)は記録材Sの先端検知前に取得した暗電流補正データの一例を示すグラフである。図7(b)は記録材Sの先端検知前に取得する、又は不図示の記憶部に格納されているシェーディング補正データの一例を示すグラフである。シェーディング補正データは、毎回の印字毎に基準シートを搬送させなくとも、不図示の記憶部にシェーディング補正データを保持させることで、検知を省略することができる。図7(c)は撮像した記録材S(商品名:Neenah Bond 60)画像データの一例である。
【0034】
S102において、CPU26は記録材Sの表面画像から図7(c)の白点線で囲まれた記録材判別領域の全体光量を確認する。この処理は記録材Sの明度を確認するために行い、本実施形態では記録材表面の特徴量のひとつとして記録材判別用情報に用いている。S103において、CPU26は記録材Sの表面粗さを検知するために、撮像した表面画像をシェーディング補正データによりシェーディング補正する。シェーディング補正を行うことで、表面画像の光量ムラを補正し、記録材Sの表面粗さを精度良く検知することができる。図7(d)は撮像した記録材Sの表面画像をシェーディング補正したものである。図7(c)の表面画像に比べて、光量ムラが解消されていることがわかる。
【0035】
S104において、CPU26はシェーディング補正した図7(d)の白点線で囲まれた記録材判別領域の表面画像に基づき、記録材Sの表面粗さの特徴量の抽出を行う。特徴量としては、シェーディング補正後の画像明度分布範囲(記録材表面のコントラスト)を特徴量とする方法と、撮像時の1ライン分の最大値と最小値をピーク値として連続取得画像毎に算出しその積算を特徴量とする方法等がある。本実施形態においては、画像明度分布範囲を特徴量として用いた。S105において、CPU26はS102で算出した記録材判別領域の全体光量と、S104で算出した記録材判別領域内の特徴量に基づき、記録材Sの判別を行う。図7(e)はPPC用紙(一般的なプリンタやコピー機等で使用する記録材)、コート紙(記録材表面に各種塗工を施し、平滑性を高めた記録材)、ボンド紙(表面性の粗い記録材)、加色PPC用紙(加色されたPPC用紙)を分類するための参照表の一例である。これを、記録材判別参照表とする。縦軸が光量を示し、横軸が記録材Sの表面粗さを示している。それぞれの値の交点をグラフ上にプロットすることにより、記録材Sの判別を行う。
【0036】
S106において、CPU26は画像形成を継続するかの判断を行う。画像形成を継続する場合は、S101へ戻る。画像形成を終了する場合はS107において、CPU26は撮像素子49への駆動を停止し、照射手段45を消灯する。S108において、CPU26は記録材判別装置の動作を停止させる。
【0037】
[画像形成装置の動作の説明]
1/1速で画像形成装置を起動後、記録材判別装置43によって記録材Sが低速モードを適用するボンド紙やコート紙であると判断された場合に、画像形成装置を停止する事無く、画像形成装置の速度を1/2速の低速モードに変更する動作を説明する。図9は、各画像形成ステーションの現像ローラ3と感光ドラム1の当接状態及び、感光ドラム1に現像されたトナー像の位置及び、感光ドラム1と現像ローラ3と中間転写体としての中間転写ベルト8の駆動速度を示したものである。本実施形態においては、画像形成ステーション4(ブラック)の現像ローラ3から感光ドラム1上に転移したトナーが転写位置に到達するまで、他の画像形成ステーション1(イエロー)、2(マゼンタ)、3(シアン)のそれぞれを1/1速で駆動を続ける。なお、ここでは現像ローラ3から感光ドラム1へのトナーの転移には、通常の画像形成の際の現像条件とは異なり、現像バイアスを印加することなく発生するものを想定している。つまり、通常の画像形成として形成されるトナー像とは異なり、感光ドラム1と中間転写体の潤滑剤として機能するトナー量であれば、どのようなトナー像でも構わない。よって、例えば通常の現像バイアスよりも低い現像バイアスを印加することにより、速度変更用のトナー像として所定量のトナーを感光ドラム1に供給することも可能である。その後、現像ローラ3と感光ドラム1と中間転写体の速度を同時に1/1速に対応するαから1/2速に対応するβまで減速する。なお、αを1/1速の速度(180mm/秒)、βを1/2速の速度(90mm/秒)とする。
【0038】
記録材Sの検知の実行タイミングとしては、通常速度で搬送される記録材Sに対してFPOTに影響を与えないようにする。すなわち、記録材Sが記録材判別装置43に到達後、図9における1/1速Topで表わされる画像の書き出しタイミングに対して、1/1速で画像形成する場合の判別結果を通知するのに十分間に合うタイミングとする。判別結果の通知が間に合えば、記録材Sの検知タイミングは各色の現像ローラ3の当接タイミングの前後でも途中であっても良い。1/2速に減速が完了すると、画像形成ステーション1(イエロー)から1/2速で画像形成を開始する。従来、記録材Sの判別を行った後、直ちに感光ドラム1と中間転写体を当接させたまま速度を変更すると、周速差によって感光ドラム1又は中間転写体が摩耗する可能性があった。本実施形態においては、全ての画像形成ステーションにおいて、感光ドラム1と中間転写体の間にトナーが介在する状態になってから速度変更を開始するため、トナーの潤滑効果によって感光ドラム1と中間転写体が摩耗する可能性を低減できるという効果がある。
【0039】
図10に現像ローラ3と感光ドラム1が当接している状態又は当接していない状態で速度変更を行った際の状況を示すグラフである。横軸は速度変更の繰り返し回数であり、縦軸は画像のランクを示す。ここでいう画像ランクとは、形成する画像の画質を示しており、数値が上がるほど精度良く画像形成を行えない状態であることを示している。ランク1は正常な画像を形成できる状態である。ランク3は、本発明者が主観的に評価した形成された画像が問題ないと判断できる状態である。ランク4以上は、形成された画像が問題ないと判断できない状態である。図10の破線で示しているのが、現像ローラ3と感光ドラム1が非当接の状態で速度変更を繰り返した結果である。100回程度から画像ランクが3を超える状態となり、形成された画像に問題がないと判断できない状態となっている。一方、図10の実線で示しているのが、本実施形態の構成である、現像ローラ3と感光ドラム1が当接した状態で、トナーが感光ドラム1と中間転写体の間に介在する状態において速度変更を繰り返した結果である。10000回程度、速度変更を繰り返しても画像ランクは2となっており、形成した画像に問題がないと判断できる状態となっている。そのため、感光ドラム1の寿命が10000枚相当であれば、その全ての画像形成において、速度切り替えが発生したとしても、感光ドラム1や中間転写体の摩耗による劣化を低減できることがわかった。
【0040】
図11に中間転写体と感光ドラムに周速差がある際の中間転写体の駆動トルクを示す。横軸は感光ドラム1上のカブリトナー量を測定した数値である。なお、カブリトナーとは、現像ローラ3を当接させたことにより、感光ドラム1上に現像されるトナーとする。カブリトナー量は非常に少なく重量の測定が困難であるため、カブリトナー量を反射率で定義している。具体的には、感光ドラム1上のトナーを、市販のニチバン製セロハンテープ、日東電工製ポリエステルテープ、住友スリーエム製メンディングテープのような透明な粘着テープで採取する。そして、そのテープをコピー用紙のような白色の紙に貼り付け、トナーの有り部とトナー無し部の反射率測定値の差をカブリ反射率(%)と定義した。反射光量の測定器としては、DENSITOMETER TC−6DS(東京デンショクテクニカルセンター製)を用いた。縦軸は中間転写体の駆動軸上で測定した駆動トルクを表している。本実施形態における画像形成装置においては、通常使用時の駆動トルクは0.2〜0.4N・m程度であるとする。そして、トルクが0.6N・mを超えるとギア列に対する負担が大きくなり、その状態で画像形成を行うと異音が発生したり、ギアが摩耗して駆動トルクがかからなくなったりする可能性があるとする。
【0041】
図11は、感光ドラム1の表面速度に対し、中間転写体の表面速度が5.0%速い状態を示している。この状態を周速差5.0%と定義している。感光ドラム1上のカブリ反射率が0%の状態は、現像ローラ3が感光ドラム1に当接しておらず、カブリトナーが感光ドラム1上に付着していない状態である。この状態で周速差が5.0%有ると、中間転写体の駆動トルクは0.8N・m以上という高い数値となってしまう。一方、現像ローラ3が感光ドラム1に当接しており、カブリトナーが感光ドラム1上に付着していると、カブリ反射率が1%程度の微量であっても、中間転写体の駆動トルクを0.3N・m程度まで下げることができている。トナーや現像ローラ3や感光ドラム1等の各構成が新品状態においても感光ドラム1上のカブリ反射率は1%以下にならないため、トナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができる。また、感光ドラム1上のカブリトナーの量を1%以上に増やした場合においても、同様に駆動トルクを低下させることができ、トナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができる。
【0042】
このように、図11より、1/1速から1/2速への速度切り替え時にように、感光ドラム1と中間転写体の速度差が大きくなっても、感光ドラム1と中間転写体の間にトナーが存在すれば、中間転写体の駆動トルクを抑え且つ安定させることができる。よって、感光ドラム1や中間転写体の摩耗による劣化の発生を低減できる。
【0043】
図12のフローチャートを用いて、画像形成速度の変更制御の方法について説明する。なお、ここでは画像形成速度の一例として、1/1速と1/2速を用いて説明するが、画像形成速度はこれに限られるものではない。
【0044】
S201において、CPU26は1/1速での画像形成命令を受け取ると、1/1速で画像形成を開始する。S202において、CPU26は感光ドラム1、中間転写体を1/1速で駆動開始する。S203において、CPU26は当接離間モータの駆動を開始する。S204において、CPU26は記録材判別装置43により記録材Sの判別を開始する。S205において、CPU26は記録材Sの判別結果より画像形成速度に変更があるかを判断する。画像形成速度に変更が無い場合には、S206において、CPU26は現像ローラ3Yが感光ドラム1Yに当接したかを判断する。現像ローラ3Yが感光ドラム1Yに当接すると、Yステーションの画像形成が開始可能となるためS207において、CPU26は画像形成ステーション1(Y)から順次画像形成を開始する。S208において、CPU26は全ての色の現像ローラが感光ドラムに当接して、フルカラー当接状態になったかを判断する。全ての現像ローラが当接すると、S209において、CPUは当接離間モータ31の駆動を停止する。S210において、CPU26は現像ローラと感光ドラムの当接処理を終了する。
【0045】
一方、S205において、記録材Sの判別結果より画像形成速度に変更がある場合、S211に進む。なお、本実施形態では、1/2速への画像形成速度を変更する場合で説明するが、画像形成速度はこれ以外の速度を設定することも可能である。S211において、CPU26は現像ローラが感光ドラムに当接して、フルカラー当接状態になるまで当接離間モータ31を駆動する。当接離間状態となったら、S212において、CPU26は当接離間モータ31の駆動を停止する。S213において、CPU26は現像ローラと感光ドラムの当接処理を終了する。S214において、CPU26は当接処理が終了した後、全ての画像形成ステーションのトナーが転写位置に搬送されるまで、所定時間待機する。S215において、CPU26は全ての画像形成ステーションのトナーが転写位置に搬送されると、画像形成スピードを1/1速から1/2速に変更する。ここで使用されたトナーは、クリーニングブレードによりクリーニングされる。画像形成速度の変更が完了したら、S216において、CPU26は画像形成ステーション1(Y)から順次画像形成を開始する。
【0046】
なお、通常の1/1速で画像形成が完了して記録材Sが排出されるまでの時間が10秒であった画像形成装置において、従来の制御と本実施形態の制御を行ってみた。従来の、画像形成速度を1/1速で起動した後、記録材Sの種類の判別結果により速度変更を行う場合は、後回転を行った後、再度画像形成速度を1/2速で起動するという制御を行うと、画像形成が完了して記録材Sが排出されるまでの時間は25秒となった。一方、本実施形態の制御は、画像形成速度を1/1速で起動した後、記録材Sの種類の判別結果により速度変更を行う場合は、後回転を行わずトナーが転写位置に搬送された後、画像形成速度を1/2速に変更する。これにより、画像形成が完了して記録材Sが排出されるまでの時間は13秒となった。つまり、従来の制御より本実施形態の制御の方が、画像形成速度の変更にかかる時間を短縮することができていることがわかる。
【0047】
このように、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の間にトナーがある状態で速度を変更するように制御した。これにより、画像形成速度を変更する際に、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化を低減するするとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することが可能となった。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、接触式の現像方式を用いて説明を行った。本実施形態においては、非接触式の現像方式である、ジャンピング現像方式を用いて説明を行う。
【0049】
ジャンピング現像方式とは、現像ローラ3と感光ドラム1とを非接触の状態で、それらの最接近部である現像領域で、現像ローラ3と感光ドラム1との間に印加された直流バイアスを重畳した交流バイアス電圧によりトナーが現像されるものである。図13に、ジャンピング現像方式を用いた現像装置の一例を示す。ジャンピング現像方式の現像装置は、現像位置における現像ローラ3と感光ドラム1との間にギャップD(以下、「SDギャップ」とも呼ぶ)を有している。SDギャップは、現像ローラ軸に回転可能に支持された感光ドラム突き当てコロによって、100〜500μmに設定されることが好ましく、より好ましくは300μm以下である。SDギャップが100μm未満であると電界が現像ローラ3から感光ドラム1へリークし易くなり、潜像を現像することが難しくなる。また、500μm以上であるとトナーが感光ドラム1に飛翔し難くなる傾向がある。本実施形態においては、SDギャップを250μmに設定し、現像ローラ3には直流と交流の重畳電圧をかけ、ジャンピング現像を行った。また、そのときの交番電界はピーク間の電圧で1900V、周波数3000Hzで行った。また、現像ローラ3は十点平均表面粗さRz=8.3μm、中心線表面粗さRa=0.8μmの、アルミ素管に樹脂コートしたものを使用した。
【0050】
図14は、現像バイアスを印加した状態と印加していない状態で、感光ドラム1の表面速度に対し、中間転写体の表面速度が5.0%速い状態を示している。この状態を周速差5.0%と定義している。現像バイアスを印加せず、カブリトナーが感光ドラムに現像されない状態である0%においては、先の第1の実施形態と同様に中間転写体の駆動トルクは0.8N・m以上という高い数値となってしまう。一方、現像バイアスを印加した状態では、中間転写体の駆動トルクを0.2〜0.3N・m程度まで下げることができていることがわかる。よって、ジャンピング現像方式においても、接触現像方式と同様にカブリトナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができることがわかった。
【0051】
このように、ジャンピング現像方式を用いた画像形成装置においても、先の第1の実施形態と同様に、カブリトナーが中間転写体と感光ドラムの間にある状態で画像形成速度を変更する。これにより、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化の発生を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することが可能となった。
【0052】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、中間転写体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを用いる方法を説明した。本実施形態においては、中間転写体のクリーニング手段としてクリーニングローラを用いる方法を説明する。
【0053】
図15は、本実施形態における画像形成装置の概略構成図である。なお、先の図1との違いは、クリーニングローラ55のみであるので、これ以外の構成の説明については省略する。クリーニングローラ55は、中間転写体上に残留した残トナーを現像ローラ3で帯電される極性と逆極性に帯電する。このように残トナーを逆極性に帯電することで、通常は転写ローラによって感光ドラム1から中間転写体にトナーを転写する1次転写部において、中間転写体から感光ドラム1に残トナーを逆転写させることができる。このように、中間転写体上の残トナーを感光ドラム1に逆転写することで、中間転写体をクリーニングする。
【0054】
なお、クリーニングローラ55は、10E5〜10E9Ωに抵抗調整されたソリッドゴムローラである。クリーニングローラ55には、高圧電源(不図示)から0.3〜+1.0kVの電圧が印加される構成となっている。また、画像形成時のトナーは負極性に帯電され、一次転写ローラ6、二次転写ローラ11に正バイアスを印加することで、静電的に転写を行っている。このため、二次転写で記録材に転写されず中間転写体上に残留した残トナーの多くは負極性に帯電されたままとなっている。そこで、クリーニングローラ55により中間転写体上の残トナーを適正な正極性の電荷量に帯電する。その後、残トナーは感光ドラム1の一次転写部において、逆転写される。
【0055】
本実施形態においては、この中間転写体上の残トナーを感光ドラム1と中間転写体の間に搬送し、残トナーが有る状態で速度の切り替えを行うように制御する。中間転写体上の残トナーによって、中間転写体と感光ドラム1に周速差を付けた時のトルク低減効果を調べた結果が図16である。感光ドラム1の表面速度に対し、中間転写体の表面速度が5.0%速い状態を示している。この状態を周速差5.0%と定義している。感光ドラム1上のカブリ反射率が0%の状態において、中間転写体の駆動トルクは0.65N・m程度となっている。これは、クリーニングブレードを用いた第1の実施形態の0.85N・m程度に比べると、クリーニングローラを用いたことにより、0.2N・m程度のトルクの軽減効果が発生している。しかしながら、0.65N・m程度の駆動トルクで駆動させると、中間転写体や感光ドラムが摩耗してしまう。一方、本実施形態においても、現像ローラ3が感光ドラム1に当接しており、カブリトナーが感光ドラム1上に付着していると、中間転写体の駆動トルクを0.3N・m程度まで下げることができている。これにより、カブリトナーが感光ドラム1と中間転写体の間にあれば、駆動トルクを十分に低下させ、安定させることができる。
【0056】
このように、クリーニングローラを用いた画像形成装置においても、先の第1の実施形態と同様に、カブリトナーが中間転写体と感光ドラムの間にある状態で画像形成速度を変更する。これにより、感光ドラムと中間転写体の摩耗による劣化の発生を低減するとともに、画像形成速度の変更にかかる時間を抑制することが可能となった。
【符号の説明】
【0057】
1 感光ドラム
3 現像ローラ
8 中間転写ベルト
26 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体の潜像を現像する現像手段と、
前記像担持体と接触しており、像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記像担持体と前記中間転写体の速度を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更する前に前記現像手段を駆動させることによって供給された前記像担持体上のトナーが、前記像担持体と前記中間転写体とが接触しているニップ部にある状態で前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材の種類を判別する記録材判別手段を有し、
前記制御手段は、前記記録材判別手段の判別結果に応じて前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、前記像担持体に接触して前記潜像を現像することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像手段は、前記像担持体に接触せず前記潜像を現像することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写体上のトナー像をクリーニングするクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段は、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間転写体上のトナー像をクリーニングするクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段は、クリーニングローラであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更する際にニップ部に供給する前記トナーは、前記現像手段により通常の画像を形成する際の現像条件と異なる現像条件で現像されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体の潜像を現像する現像手段と、
前記像担持体と接触しており、像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記像担持体と前記中間転写体の速度を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更する前に前記現像手段を駆動させることによって供給された前記像担持体上のトナーが、前記像担持体と前記中間転写体とが接触しているニップ部にある状態で前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材の種類を判別する記録材判別手段を有し、
前記制御手段は、前記記録材判別手段の判別結果に応じて前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、前記像担持体に接触して前記潜像を現像することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像手段は、前記像担持体に接触せず前記潜像を現像することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写体上のトナー像をクリーニングするクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段は、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間転写体上のトナー像をクリーニングするクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段は、クリーニングローラであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体と前記中間転写体の速度を変更する際にニップ部に供給する前記トナーは、前記現像手段により通常の画像を形成する際の現像条件と異なる現像条件で現像されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−19946(P2013−19946A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150905(P2011−150905)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]