説明

画像形成装置

【課題】コピーを行う印刷ジョブの実行中に印刷ジョブを中断し、中断した印刷ジョブを再開することができる技術を提供する。
【解決手段】印刷中断処理部15は、画像読取部10により読み取られた原稿の画像データを用いて画像形成部11による画像形成が行われるコピーの印刷ジョブの実行中に、操作表示部13を介して印刷ジョブの中断が指示されると、印刷ジョブを中断させ、中断させた印刷ジョブの再開に必要な印刷中断ジョブ情報を印刷中断ジョブ記憶部18に記憶させる。印刷再開処理部16は、操作表示部13を介してユーザーにより選択された印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された印刷ジョブを再開させ、画像読取部10に原稿の読み取りを再開させ、画像形成部11に画像の形成を再開させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に、コピー機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他人に見られると不都合な機密文書等を大量に印刷するとき、ユーザーが画像形成装置の前で印刷ジョブの実行完了を待っていることがある。このようなときに、例えば他のユーザーが急ぎのコピー(複写印刷)を行うため割り込んで画像形成装置を使用する等、使用中のユーザーがなんらかの理由で画像形成装置の前から離れなければならないことがある。
【0003】
これについて、特許文献1の技術では、ユーザーが、ネットワークを介して端末装置から画像形成装置に印刷ジョブを送信し、画像形成装置の操作部でその印刷ジョブの実行を指示して印刷を開始させる。画像形成装置は、印刷中にユーザーによって一時中断キーが押下されると、実行中の印刷処理を中断し、中断した時点の印刷ジョブの進行状況(印刷したページ数や設定情報)等を示すプリント状態情報をジョブデータベースに記憶する。そして、画像形成装置は、ユーザー認証により認証されたユーザーの操作によりジョブデータベースに記憶されたプリント状態情報を読み出して、中断中の印刷ジョブのプリント状況を復元して印刷を再開することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−203735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置の中にはコピー機能を有するものがある。しかしながら、特許文献1の技術では、例えばコピー処理のように、原稿を読み取りながら複写印刷を行っている途中で印刷ジョブを中断して、中断した印刷ジョブを再開することができなかった。
【0006】
画像形成装置は、コピーを行う場合、原稿トレイに載置された原稿をスキャナ等の画像読取部で読み取って印刷用の画像データを生成し、この画像データを用いて印刷を行う。このとき、途中でコピーを中止させると、印刷処理だけでなく原稿の読み取り処理も中止される。
【0007】
そのため、ユーザーが、例えば急ぎのコピーを行う他のユーザーのために、画像形成装置のコピー処理を途中で中止させて、原稿及び印刷物を回収すると、どこまで原稿が読み込まれたのか確認できないため、再びコピーを初めからやり直さなければならなかった。そのため、途中まで出力された印刷物が無駄になる上に、時間の無駄であった。特に、機密文書をコピーするユーザーは、コピーを途中で中止すると、途中まで出力された印刷物の廃棄に気を使わなければならない上、前回のコピー中断に至るまでに要した時間だけ画像形成装置の前で再度待っていなければならなかった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、コピーを行う印刷ジョブの実行中に印刷ジョブを中断し、中断した印刷ジョブを再開することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、原稿を読み取りながら複写印刷を行うコピー印刷ジョブに従って、前記原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記画像データを用いて印刷用紙に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置であって、ユーザーの印刷中断する旨の操作指示を受け付けて、前記コピー印刷ジョブを中断させ、中断させた前記コピー印刷ジョブの再開に必要な印刷中断ジョブ情報を印刷中断ジョブ記憶部に記憶させる印刷中断処理手段と、ユーザーの印刷再開する旨の操作指示を受け付けて、記憶された前記印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された前記コピー印刷ジョブを再開させ、前記読取手段に前記原稿の読み取りを再開させると共に、前記画像形成手段に画像の形成を再開させる印刷再開処理手段とを備えることを特徴とする。
また、前記印刷中断処理手段は、前記コピー印刷ジョブを中断させたときに、ログインユーザーのログアウト処理を行ってもよい。
また、前記印刷中断処理手段は、前記コピー印刷ジョブを中断させたときに、ログインユーザーのユーザー情報と前記印刷中断ジョブ情報とを関連付けて記憶させ、前記印刷再開処理手段は、ユーザーがログインしているときに、ログインユーザーの前記ユーザー情報と関連付けられた前記印刷中断ジョブ情報を表示させ、前記ユーザーがログインしていないときに、前記ユーザー情報と関連付けられていない前記印刷中断ジョブ情報を表示させ、前記ユーザーの前記印刷再開する旨の操作指示に対応する前記印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された前記コピー印刷ジョブを再開させてもよい。
また、前記印刷再開処理手段は、記憶された前記印刷中断ジョブ情報を表示させるときに、前記印刷中断ジョブ情報における前記コピー印刷ジョブの実行中断時刻を表示させてもよい。
また、前記印刷中断処理手段は、中断時点までの読取済み画像データを前記中断ジョブ情報と関連付けて記憶させてもよい。
また、前記印刷再開処理手段は、記憶された前記印刷中断ジョブ情報を表示させるときに、前記印刷中断ジョブ情報に関連付けられた前記読取済み画像データをプレビュー表示させてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コピーを行う印刷ジョブの実行中に印刷ジョブを中断し、中断した印刷ジョブを再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態の画像形成装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す操作表示部の表示画面例である。
【図3】図1に示す操作表示部の表示画面例である。
【図4】図1に示す印刷中断処理部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1に示す印刷再開処理部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図1に示す印刷再開処理部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図1に示す操作表示部の表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、画像読取部10と画像形成部11と搬送部12と操作表示部13とシステム制御部14と印刷中断処理部15と印刷再開処理部16と認証記憶部17と印刷中断ジョブ記憶部18とを備えている。画像形成装置1は、印刷機能やスキャナ機能、コピー機能、FAX機能等の複数の機能を備えたMFP(Multifunction Peripheral)であってもよい。
【0014】
画像読取部10は、スキャナ等で構成され、システム制御部14の制御により、不図示の原稿トレイに載置された原稿を1枚ずつ順に画像読取位置まで搬送して、画像読取位置に搬送した原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0015】
画像形成部11は、システム制御部14の制御により、搬送部12により搬送された印刷用紙に、画像データに基づいて印刷(画像形成)を行う。
【0016】
搬送部12は、複数のローラー等で構成される搬送機構を有している。搬送部12は、システム制御部14の制御により、不図示の給紙トレイに格納された印刷用紙を画像形成部11の画像形成に合わせて搬送する。
【0017】
印刷中断ジョブ記憶部18は、操作表示部13を介して、ユーザーの操作によりコピーの印刷ジョブの中断が指示された場合に、印刷を中断した時点での印刷ジョブ設定情報と印刷ジョブ実行状況情報(例えば、画像形成部11による印刷済み枚数、画像読取部10による読取済み枚数等のように、印刷ジョブ設定情報に従って実行されている印刷ジョブのリアルタイムの実行状態)とを印刷中断ジョブ情報として記憶する。印刷中断ジョブ記憶部18は、ユーザーがログイン済みの場合、ユーザー情報に関連付けて印刷中断ジョブ情報を記憶する。
【0018】
認証記憶部17は、ユーザーを識別するユーザー情報を記憶する。ユーザー情報は、例えば、パスワード、生体情報、ICカード情報等であり、ユーザー毎に割り当てられたユーザーIDと関連付けられて記憶される。
【0019】
システム制御部14は、CPU等であり、不図示のROMに記憶された制御プログラムを不図示のRAMに展開して実行して、画像読取部10と画像形成部11と搬送部12と操作表示部13と印刷中断処理部15と印刷再開処理部16と認証記憶部17と印刷中断ジョブ記憶部18等の各部を制御する。例えば、システム制御部14は、投入されたコピーの印刷ジョブを実行することにより、画像読取部10に原稿を読み取らせて画像データを生成させ、画像形成部11に画像データを用いた画像の形成を行わせる。また、システム制御部14は、不図示のユーザー情報読取部よりユーザー情報を取得し、認証記憶部17に記憶されたユーザー情報と照合してユーザー認証を行い、認証に成功したユーザーを画像形成装置1にログインさせる。システム制御部14は、ユーザー認証を行うことで、ログインユーザーの画像形成装置1の使用履歴をログに残したり、ログインユーザーによって画像形成装置1の機能の使用権限を変えたりすることができる。
【0020】
操作表示部13は、例えばタッチパネル等で構成され、システム制御部14の制御により、種々の印刷情報を表示したり、ユーザーの操作による印刷ジョブをシステム制御部14に出力したりする。ユーザーは、操作表示部13を操作することにより、印刷枚数、印刷用紙サイズ、濃度や画質等の印刷条件に関する印刷ジョブ設定情報の設定を行うことができる。ユーザーによって設定された印刷ジョブ設定情報は、ユーザー情報と関連付けられて記憶されていてもよい。これにより、ユーザーは、画像形成装置1にログインした際に、予め設定した好みの印刷を行うための印刷ジョブ設定情報を読み出して設定することができる。また、ユーザーは、印刷ジョブの実行を指示する開始ボタン等を押下することで、例えば、画像読取部10にセットした原稿のコピーを行う印刷ジョブを生成させて、システム制御部14に実行させることができる。この印刷ジョブがシステム制御部14によって実行されると、設定された印刷ジョブ設定情報に従って、画像読取部10により読み取られた原稿の画像データが生成され、画像形成部11により画像データに基づいて印刷用紙に画像が形成される。
【0021】
また、操作表示部13は、実行中の印刷ジョブを中断させる「印刷中断ボタン」と中断された印刷ジョブを再開させる「印刷再開ボタン」とを有している。図2は、コピーを行うジョブを実行中に操作表示部13に表示される表示画面例である。印刷中断ボタンBT11は、印刷ジョブが実行されている間、操作表示部13に表示される。また、図3は、印刷ジョブの受け付けを行う表示画面例である。印刷再開ボタンBT12は、印刷中断ジョブ記憶部18に印刷中断ジョブ情報が記憶されているときに操作表示部13に表示される。例えば、図3に示すように、新規に印刷ジョブを受け付ける画面が操作表示部13に表示される際に、印刷再開処理部16は、印刷再開ボタンBT12を操作表示部13に表示させてもよい。
【0022】
印刷中断処理部15は、実行中の印刷ジョブを中断させるとともに、中断した時点までに出力された印刷物の続きから印刷が再開されるように、中断した印刷の再開に必要な印刷中断ジョブ情報を記憶させる処理を行う。具体的には、印刷中断処理部15は、操作表示部13を介して印刷中断ボタンBT11が押下されたことを検知すると、システム制御部14によって実行されている印刷ジョブを中断させる。印刷中断処理部15は、印刷ジョブを中断させると、印刷ジョブ実行状況情報(例えば、印刷ジョブの中断時点までに画像読取部10で読み取られた原稿の読取済み枚数や、画像形成部11で印刷された印刷済み枚数)と印刷ジョブ設定情報とを印刷中断ジョブ情報として印刷中断ジョブ記憶部18に記憶させる。また、印刷中断処理部15は、ログインユーザーの印刷ジョブの中断処理を行うときに、印刷中断ジョブ情報をログインユーザーのユーザー情報と関連付けて記憶させるとともに、ユーザーのログアウト処理を実行する。これにより、ユーザーがログアウトしそびれて、後から使用するユーザーのユーザー認証が確保されないことを防ぐことができる。
【0023】
印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された印刷ジョブを中断時点までに出力された印刷物の続きから印刷を再開させる処理を行う。具体的には、印刷再開処理部16は、操作表示部13を介して印刷再開ボタンBT12が押下されたことを検知すると、印刷中断ジョブ記憶部18に記憶された印刷中断ジョブ情報を読み出して、印刷中断ジョブ情報の一覧を操作表示部13に表示させる。このとき、ユーザーがログインしている場合、ログインユーザーのユーザー情報に関連付けられた印刷中断ジョブ情報が表示される。印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ情報を表示させる際に、再開させる印刷中断ジョブ情報を判断しやすいように、印刷ジョブの実行中断時刻や、中断時点の印刷済み枚数、中断後にログインしたユーザー名等を併せて表示させてもよい。印刷再開処理部16は、操作表示部13を介してユーザーにより選択された印刷中断ジョブ情報の実行が指示されると、選択された印刷中断ジョブ情報に基づいて、システム制御部14に中断された印刷ジョブを再開させる。
【0024】
具体的には、印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ情報から印刷ジョブ実行状況情報と印刷ジョブ設定情報とを取得して、原稿トレイに載置された原稿の1枚目から読取済み枚数目まで空送りさせる。つまり、ユーザーは、前回の中断時点で原稿がどこまで読み取られたのか気にせずに、全ての原稿を不図示の原稿トレイに載置すればよい。印刷再開処理部16は、読取済み枚数目の次の原稿が画像読取部10の画像読取位置にセットされると、印刷設定ジョブに従って、画像読取部10に原稿を読み取らせて画像データを生成させ、画像形成部11に画像データに基づいて印刷させる。これにより、印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された印刷ジョブを中断時点から再開させて、画像読取部10に画像読取を再開させると共に、画像形成部11に画像の形成を再開させて、中断された印刷ジョブの実行を完了させる。
【0025】
次に、図4〜図6を参照して、具体的に、印刷中断処理部15と印刷再開処理部16の処理の流れを説明する。ここでは、説明を分かりやすくするために、100枚の原稿を10部コピーする場合に、読取済み枚数が50枚であって印刷済み枚数が495枚である時、すなわち、50枚目の原稿を5部印刷し終わった時に、印刷中断ボタンBT11が押下された場合を例に説明する。
【0026】
図4は、印刷中断処理部15の処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップA10で、システム制御部14は、印刷ジョブの実行を開始する。ステップA11で、印刷中断処理部15は、印刷ジョブの実行開始と同時に、印刷中断ボタンBT11を操作表示部13に表示させる。ステップA12で、印刷中断処理部15は、印刷ジョブの実行中か判定する。ステップA12でNoの場合、すなわち、印刷ジョブの実行中でなければ、本処理が終了する。一方、ステップA12でYesの場合、印刷中断処理部15は、ステップA13に進み、印刷中断ボタンが押下されたか判定する。ステップA13でNoの場合、印刷中断処理部15は、ステップA12に戻る。
【0027】
一方、ステップA13でYesの場合、すなわち、印刷中断処理部15は、印刷ジョブの実行中に印刷中断ボタンBT11の押下を検知すると、ステップA14に進み、実行中の印刷ジョブの処理を中断させる。これにより、画像読取部10、画像形成部11、及び搬送部12による各処理が中断される。
【0028】
ステップA15で、印刷中断処理部15は、印刷ジョブの中断時点までの印刷ジョブ実行状況情報(画像読取部10による読取済み枚数、画像形成部11による印刷済み枚数)及び印刷ジョブ設定情報を印刷中断ジョブ情報として取得する。
【0029】
ステップA16で、印刷中断処理部15は、ユーザーがログイン済みであるか判定する。ステップA16でYesの場合、すなわち、印刷中断処理部15は、ユーザーがログイン済みであると判定すると、ステップA17に進み、取得した印刷中断ジョブ情報をログインユーザーのユーザー情報と関連付けて印刷中断ジョブ記憶部18に記憶させる。そして、ステップA18に進み、印刷中断処理部15は、ログインユーザーのログアウト処理を行って、ステップA20に進む。
【0030】
一方、ステップA16でNoの場合、すなわち、印刷中断処理部15は、ユーザーがログイン済みでないと判定すると、ステップA19に進み、ユーザー情報なしの印刷中断ジョブ情報として印刷中断ジョブ記憶部18に記憶させ、ステップA20に進む。ステップA20で、印刷中断処理部15は、画像読取部10で読み取られなかった原稿を全て排出させ、本処理を終了する。
【0031】
図5は、印刷再開処理部16の処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
まず、ステップB10で、印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ記憶部に18に印刷中断情報が記憶されているか判定する。ステップB10でNoの場合、印刷再開処理部16は、本処理を終了する。一方、ステップB10でYesの場合、印刷再開処理部は、ステップB11に進み、操作表示部13に印刷再開ボタンBT12を表示させる。
【0033】
ステップB12で、印刷再開処理部16は、操作表示部13を介して印刷再開ボタンBT12が押下されたか判定する。ステップB12でNoの場合、印刷再開処理部16は、本処理を終了する。一方、ステップB12でYesの場合、ステップB13に進み、印刷再開処理部16は、ログインユーザーがいるか判定する。ステップB13でYesの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、ログインユーザーがいると判定すると、ステップB15に進み、ログインユーザーのユーザー情報に関連付けられた印刷中断ジョブ情報が印刷中断ジョブ記憶部18にあるか判定する。
【0034】
ステップB15でNoの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、ログインユーザーのユーザー情報に関連付けられた印刷中断ジョブ情報が印刷中断ジョブ記憶部18にないと判定すると、ステップB14に進む。
一方、ステップB15でYesの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、ログインユーザーのユーザー情報に関連付けられた印刷中断ジョブ情報が印刷中断ジョブ記憶部18にあると判定すると、ステップB16に進み、ログインユーザーのユーザー情報に関連付けられた印刷中断ジョブ情報を印刷中断ジョブ記憶部18から取得して、操作表示部13に印刷中断ジョブ情報の一覧を表示させる。
【0035】
一方、ステップB13及びステップB15でNoの場合、印刷再開処理部16は、ステップB14に進み、ユーザー情報のない印刷中断ジョブ情報を印刷中断ジョブ記憶部18から取得して、操作表示部13に印刷中断ジョブ情報の一覧を表示させる。
【0036】
ステップB17で、印刷再開処理部16は、操作表示部13を介して表示された印刷中断ジョブ情報がユーザーによって選択されたことを検知すると、ステップB18に進み、選択された印刷中断ジョブ情報に基づいて印刷を再開するか否かを、例えばダイアログメッセージ等を操作表示部13に表示させてユーザーに確認のために問い合わせる。
【0037】
ステップB18でNoの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、操作表示部13を介して印刷再開する旨の指示が出されなかったと判定すると、ステップB13に戻る。
一方、ステップB18でYesの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、操作表示部13を介して印刷再開する旨の指示が出されたと判定すると、ステップB30(図6)に進む。
【0038】
図6は、中断された印刷ジョブが各原稿の画像を設定印刷部数ずつ順次出力する部単位印刷なしのコピーである場合の印刷再開処理部16の処理の流れを示すフローチャートの一例である。つまり、本例の場合、100枚の原稿について、各原稿を10部ずつコピーする処理について、50枚の原稿が読み取り済みで495枚印刷済みである印刷中断ジョブ情報に基づいて印刷ジョブを再開する場合を例に説明する。
【0039】
図6を参照して、ステップB30で、印刷再開処理部16は、選択された印刷中断ジョブ情報から印刷ジョブ実行状況情報と印刷ジョブ設定情報とを取得する。これにより、印刷再開処理部16は、印刷ジョブ設定情報から、中断された印刷ジョブの内容(例えば、原稿トレイに載置された原稿を10部コピーすること)を取得して、印刷中断状態情報から、中断された印刷ジョブの再開に必要な情報(この場合、印刷済み部数、読取済み枚数、印刷ジョブ設定情報の設定印刷部数等)を取得する。なお、印刷再開処理部16は、印刷済み枚数÷設定印刷部数を算出した商を印刷済み部数として取得してもよい。
【0040】
ステップB31に進み、印刷再開処理部16は、画像読取部10の画像読取位置に1枚目の原稿を搬送させてセットさせ、ステップB32で、原稿枚数の値を1にセットする。
【0041】
ステップB33で、印刷再開処理部16は、現在読み込んでいる原稿枚数が印刷ジョブ実行状況情報から取得した読取済み枚数以上であるか比較する。これは、印刷ジョブを実行してすぐに印刷ジョブが中断された場合、すなわち、画像読取部10により原稿が読み取られる前に印刷ジョブが中断されると、読取済み枚数が0になっているためである。本処理により、ユーザーは、印刷ジョブが実行されてすぐに印刷を中断した場合でも、再び印刷ジョブ設定情報を設定することなく、印刷ジョブ中断情報により印刷を再開することができる。
【0042】
ステップB33でNoの場合、印刷再開処理部16は、ステップB34に進み、画像読取部10に画像読取を行わせないまま、画像読取部10により画像読取位置の原稿を排出させる(空送りさせる)。ステップB35で、印刷再開処理部16は、画像読取部10を介して次原稿があるか判定する。ステップB35でNoの場合、印刷再開処理部16は、本処理を終了する。一方、ステップB35でYesの場合、印刷再開処理部16は、ステップB36に進み、画像読取部10により画像読取位置に次原稿をセットさせる。ステップB37で、印刷再開処理部16は、原稿枚数の値をインクリメントして、ステップB33に戻り、読取済み枚数目の原稿が画像読取位置にセットされるまでステップB33からステップB37までの処理を繰り返して原稿を空送りさせる。
【0043】
ステップB33でYesの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、原稿枚数が読取済み枚数以上になった(本例の場合、50枚目の原稿が画像読取位置にセットされた)と判定すると、ステップB38に進み、印刷済み部数が印刷ジョブ設定情報の設定印刷部数と等しいか判定する。ステップB38でYesの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、印刷済み部数と設定印刷部数が等しい(本例の場合、印刷済み部数が10部であり、設定印刷部数が10部である)と判定すると、ステップB44に進み、印刷済み部数の値をクリアして、ステップB34に戻る。つまり、印刷済み部数が10部で設定印刷部数が10部であるとき、この枚数目の原稿のコピーが完了しているので、その原稿を空送りして次の原稿がセットされる。
【0044】
ステップB38でNoの場合、すなわち、印刷再開処理部16は、印刷済み部数と設定印刷部数が等しくないと判定すると、ステップB39に進み、原稿読取部により原稿読取位置の原稿を読み取らせて画像データを生成させる。ステップB40で、印刷再開処理部16は、読取済み枚数の値をインクリメントする。ステップB41で、印刷再開処理部16は、読み取らせた画像データを用いて画像形成部11により画像形成させる。ステップB42で、印刷再開処理部16は、印刷済み部数の値をインクリメントする。そして、ステップB43で、印刷再開処理部16は、印刷済み部数が設定印刷部数と等しいか判定する。
【0045】
ステップB43でNoの場合、印刷再開処理部16は、印刷済み部数が設定印刷部数と等しくなるまで、ステップB41からステップB43を繰り返して、同じ画像データを用いた印刷を繰り返す。
一方、ステップB43でNoの場合、印刷再開処理部16は、印刷済み部数が設定印刷部数と等しいと判定すると、この画像データを用いた印刷を中止させて、ステップB44に進んで印刷済み部数の値をクリアする。そして、印刷再開処理部16は、ステップB34に戻り、画像読取位置の原稿を排出させる。そして、印刷再開処理部16は、ステップB35でYesの間、すなわち、次原稿があると判定される間、上記処理を繰り返し、ステップB35でNoになると、すなわち、次原稿がないと判定されると、本処理を終了する。
【0046】
このように、本実施形態によれば、ユーザーがコピーの印刷ジョブの実行を途中で中断しなければならない場合に、印刷中断処理部15は、印刷中断ボタンBT11により印刷ジョブの実行を中断させて、中断時点の印刷中断ジョブ情報を記憶させることができる。その後、ユーザーは、原稿を全てセットして、記憶された印刷中断ジョブ情報の一覧から所望の印刷中断ジョブ情報を選択して、印刷再開処理部16により中断した印刷ジョブを再開させることにより、中断した続きの印刷物を得ることができる。そのため、ユーザーは、例えば大量の原稿をコピーしなければならないとき等に、どこまで原稿が読み取られたのかや、どこまで印刷されたのかを気にすることなく簡便にコピーを再開させることができ、印刷物を無駄にせずに済む。また、本実施形態では、印刷中断ジョブ情報に読取済みの画像データを含めていないので、設置された記憶容量の少ないローエンドの画像形成装置にも適用することができる。
【0047】
なお、印刷中断処理部15は、印刷中断ジョブ情報に読取済みの画像データを含めてもよい。この読取済みの画像データは、例えば、A4サイズの原稿1枚を600dpiで読み取られるとすると、一般的に、1枚当たり約100MBになるので、圧縮しても50MB程度のサイズを有する。そのため、例えば100枚の原稿を読み取るならば、5GBの大容量の記憶部が必要になる。このことから、印刷中断処理部15は、読取済みの画像データを記憶する場合、別途設けたHDD等の画像記憶部に印刷中断ジョブ情報と関連付けて読取済みの画像データを記憶するとよい。
【0048】
このように、中断時点までの読取済みの画像データが記憶されている場合、印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ情報の一覧を操作表示部13に表示させる際に、読取済みの画像データのプレビュー表示を行わせてもよい。例えば、図7は、印刷再開ボタンBT12が押下されたときに操作表示部13に表示される印刷中断ジョブ情報の一覧画面例である。図7に示すように、印刷再開処理部16は、印刷中断ジョブ情報の一覧として、例えば、印刷ジョブ番号、印刷ジョブ実行時のログインの有無、印刷ジョブの中断時刻、印刷済み枚数、読取済み画像データのプレビュー表示(コピーイメージ)等を表示させてもよい。なお、図7では、ユーザーのログインの有無に関係なく、印刷中断ジョブ記憶部18に記憶された全ての印刷中断ジョブ情報の一覧を表示させる例を示しているが、ユーザーがログインしているときは、そのログインユーザーのユーザー情報に関連付けられた印刷中断ジョブ情報だけを表示させ、ユーザーがログインしていないときは、ユーザー情報に関連付けられていない印刷中断ジョブ情報だけを表示させてもよい。
【0049】
また、印刷再開処理部16は、中断時点までの読取済みの画像データが記憶されている場合、中断された印刷ジョブを再開させたときに、原稿トレイに載置された原稿を読み取らせた画像データとそれに対応する中断時点までの読取済みの画像データとを比較して、例えば、原稿が上下逆さまにセットされていることや、原稿の内容が違うことを検出して、ユーザーに警告を出すようにしてもよい。また、この場合、中断時点までの読取済みの画像データは、原稿の一枚目の画像データだけが比較用に記憶されるようにしてもよい。
【0050】
また、この場合、中断時点までの読取済みの画像データは、画像データの全体ではなく特徴部分だけが記憶されてもよい。印刷中断処理部15は、例えば、特徴部分として、縦書きの文書であれば、文面全体のいずれか横一列を取得させ、横書きの文書であれば、文面全体のいずれか縦一列を取得させるようにして、文章の流れを横断する形で特徴部分を抽出して読取済みの画像データとして記憶させてもよい。これによれば、書き出しが同じであったり、文面の途中に文章が追加されて一見して同じに見える文書についても、文字の加除により行末の字が次行になったり行頭の字が前行になったりする字送り等による違いが出やすいため、画像データ全体を比較するよりも少ないデータ量で効率的に比較を行うことができる。そのため、大容量の記憶部を設けることができないローエンドの画像形成装置においても適用することができ、また画像データ全体を記憶しないため、文書の機密性を確保することができる。なお、抽出される特徴部分の形状は、一列や一行等の直線に限らず、文字や図形、記号であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、印刷中断ジョブ記憶部18は、例えば、画像形成装置1に接続されたコンピューターの記憶部やUSBメモリ等の外部メディアにより構成されてもよい。この場合、画像形成装置1に印刷中断ジョブ記憶部18が内蔵されていてもされていなくてもよい。この場合、印刷中断ジョブ情報は、画像形成装置1に内蔵された印刷中断ジョブ記憶部18又は画像形成装置1の外部に設けられた印刷中断ジョブ記憶部18のいずれかに記憶されてもよいし、両方に記憶されてもよい。
【0052】
なお、本実施形態では、中断時点の画像読取部10の読取済み枚数を、中断された印刷ジョブを再開するときの言わば原稿の読取開始位置として用いている。この読取済み枚数(読取開始位置)は、中断時点の画像形成部11による印刷済み枚数と印刷ジョブ設定情報の設定印刷部数とから算出されてもよい。例えば、印刷再開処理部16は、印刷済み枚数÷設定印刷部数を算出して、印刷済み読取画像枚数と(印刷済み読取画像枚数+1)枚目の原稿の印刷済み部数とを取得する(印刷済み枚数÷設定印刷部数=設定印刷部数×印刷済み読取画像枚数+<印刷済み読取画像枚数+1>枚目の原稿の印刷済み部数)。この場合、読み取りを再開すべき画像読取開始位置(読取済み枚数)は、印刷済み読取画像枚数+1になる。これにより、印刷再開処理部16は、画像読取部10を制御して(印刷済み読み取り画像枚数+1)枚目の原稿から画像の読み取りを開始させればよい。これによれば、例えば、画像読取部10が、画像形成部11の印刷速度と関係なく原稿を読み取って画像データを順次生成して蓄積するような場合等に、印刷ジョブの中断時点において、画像形成部11が画像読取部10の読取済みの画像データを印刷しきれていなくても、印刷ジョブを再開するときに実際に読み取りを開始すべき原稿の読取済み枚数(読取開始位置)から印刷を再開させることができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、印刷再開処理部16が、各原稿の画像を設定印刷部数ずつ順次出力する部単位印刷なしのコピーを行う場合の一例を説明したが、全ての原稿の画像を設定印刷部数ずつ出力する部単位印刷ありのコピーを行うことも勿論できる。この場合、印刷再開処理部16は、原稿トレイに載置された原稿を1枚目から最後まで全て読み取らせて画像データを生成させるとともに、生成させた画像データを用いて、中断された印刷物の続きから画像形成部11による印刷を再開させるようにすればよい。なお、印刷再開処理部16は、中断時点までの読取済み画像データが記憶されている場合、読取済み画像データの続きから画像読取部10に原稿を読み取らせて画像データを生成させ、記憶された読取済みの画像データと併せて印刷に用いてもよい。なお、印刷済みの画像データ、すなわち、中断された印刷ジョブが再開されるときに使用されない画像データは、記憶されなくてもよいことは言うまでもない。
【0054】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。なお、上記実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【符号の説明】
【0055】
1:画像形成装置
10:画像読取部
11:画像形成部
12:搬送部
13:操作表示部
14:システム制御部
15:印刷中断処理部
16:印刷再開処理部
17:認証記憶部
18:印刷中断ジョブ記憶部
BT11:印刷中断ボタン
BT12:印刷再開ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取りながら複写印刷を行うコピー印刷ジョブに従って、前記原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記画像データを用いて印刷用紙に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置であって、
ユーザーの印刷中断する旨の操作指示を受け付けて、前記コピー印刷ジョブを中断させ、中断させた前記コピー印刷ジョブの再開に必要な印刷中断ジョブ情報を印刷中断ジョブ記憶部に記憶させる印刷中断処理手段と、
ユーザーの印刷再開する旨の操作指示を受け付けて、記憶された前記印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された前記コピー印刷ジョブを再開させ、前記読取手段に前記原稿の読み取りを再開させると共に、前記画像形成手段に画像の形成を再開させる印刷再開処理手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷中断処理手段は、前記コピー印刷ジョブを中断させたときに、ログインユーザーのログアウト処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷中断処理手段は、前記コピー印刷ジョブを中断させたときに、ログインユーザーのユーザー情報と前記印刷中断ジョブ情報とを関連付けて記憶させ、
前記印刷再開処理手段は、ユーザーがログインしているときに、ログインユーザーの前記ユーザー情報と関連付けられた前記印刷中断ジョブ情報を表示させ、前記ユーザーがログインしていないときに、前記ユーザー情報と関連付けられていない前記印刷中断ジョブ情報を表示させ、前記ユーザーの前記印刷再開する旨の操作指示に対応する前記印刷中断ジョブ情報に基づいて、中断された前記コピー印刷ジョブを再開させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷再開処理手段は、記憶された前記印刷中断ジョブ情報を表示させるときに、前記印刷中断ジョブ情報における前記コピー印刷ジョブの実行中断時刻を表示させることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷中断処理手段は、中断時点までの読取済み画像データを前記中断ジョブ情報と関連付けて記憶させることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷再開処理手段は、記憶された前記印刷中断ジョブ情報を表示させるときに、前記印刷中断ジョブ情報に関連付けられた前記読取済み画像データをプレビュー表示させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31101(P2013−31101A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167152(P2011−167152)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】