説明

画像形成装置

【課題】センサにおける消費電力を低減させる。
【解決手段】タイミング決定部51aは、用紙の搬送開始の起点であるピックアップローラから、搬送路上に設置された複数の各センサ16a,16b,16cに、用紙Pの先端又は後端が到達する時刻tを予め決定する。電源制御部40は、タイミング指示部51bの指示により、その時刻tで、例えば、センサ16aに電源電力を通電し、センサ16aが用紙Pの先端又は後端を検出したときには、センサ16aへの電源電力を遮断する。これにより、消費電力を削減する効果がある。更に、用紙Pが到着する予測時間Eを計算し、この予測時間Eを補正値αで補正して時刻tを求めている。これにより、用紙Pの搬送の誤差により予測値Eよりも早く用紙の先端又は後端がセンサ16aに到達しても、確実に用紙を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を形成する画像形成装置に係り、特に、各種センサのへの通電制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1等に記載された画像形成装置においては、カバーの開閉の検出及び搬送路における用紙検出のために光センサが用いられている。光センサとして、例えば、フォトインタラプタ等が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−228858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、例えば、用紙搬送中において、常にセンサへの電力供給を行っている。このため、搬送中の用紙を検出するタイミングでないときにもセンサへ電力が供給される。その結果、無駄な電力を消費するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、記録媒体を搬送路に沿って搬送し、検出信号に基づき、画像形成処理を行って前記記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記搬送路上に設置され、電源電力の通電により、前記搬送路上における前記記録媒体の移動位置を検出して前記検出信号を出力するセンサと、前記記録媒体の先端又は後端が前記センサに到達する時刻を予測し、前記予測結果に基づき、前記センサへの前記電源電力の通電を行う通電手段とを備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像形成装置によれば、センサが記録媒体の移動位置を検出するタイミングに合わせ、電源電力が通電される。このため、消費電力が低減されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2の画像形成装置を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図3】図3は図1中の電源制御モジュール及びセンサを示す回路図である。
【図4】図4は図1中のセンサの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は本発明の実施例2におけるセンサの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は本発明の実施例3におけるセンサの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0009】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置10の概略を示す構成図である。
【0010】
この画像形成装置10は、例えば、電子写真プリンタであって、記録媒体(例えば、用紙)Pが積層される用紙トレイ11を有している。用紙トレイ11の繰出し側には、用紙Pを1枚ずつ繰出すピックアップローラ12と、トレイ検知センサ13とが設けられている。トレイ検知センサ13は、用紙トレイ11の有無を検出するセンサである。印刷開始時には、図示しないホッピングクラッチにより用紙Pが上昇してピックアップローラ12に圧接するように構成されている。ピックアップローラ12の用紙搬送方向下流には、給紙ローラ14及び搬送ローラ15が設けられている。
【0011】
搬送ローラ15の下流で、且つ画像形成装置10のほぼ中央には、画像を形成する画像形成ユニット17及び露光装置18が設けられている。画像形成ユニット17の入口付近の搬送路上には、用紙Pの先端を検出して画像形成ユニット17を起動するための光センサ、近接センサ等のセンサ16aが配置されている。センサ16aの下流の搬送路上には、用紙Pの通過を検出する光センサ、近接センサ等のセンサ16bが配置されている。
【0012】
画像形成ユニット17の下方には、転写ベルト19を挟んで転写ローラ20が設けられ、更に、この転写ローラ20の近傍には、メインモータ21が設けられている。転写ローラ20は、画像形成ユニット17において形成されたトナー像を用紙Pに転写する機能を有している。メインモータ21は、画像形成ユニット17内の図示しない感光体ドラム、現像ローラ、トナー供給ローラ等の各種ローラや、転写ローラ20及び搬送ベルト19等を駆動する直流(Direct Current、以下「DC」という。)モータである。
【0013】
画像形成ユニット17の下流には、用紙P上に転写されたトナー像を、熱と圧力を加えて定着する定着器22が設けられている。定着器22は、トナー像を加熱するヒートローラ22aと、このヒートローラ22aと共に用紙Pを挟持して加圧するバックアップローラ22bとを有している。
【0014】
定着器22の下流には、トナー像が定着された用紙Pを外部に排出する複数の排出ローラ対23,24と、排出モータ25とが設けられている。排出モータ25は、パルスモータであって、排出ローラ対23,24を駆動する機能を有している。画像形成装置10の上部には、印刷された用紙Pを堆積するスタッカ26が設けられている。
【0015】
転写ローラ20と用紙トレイ11との間には、両面印刷用の両面印刷用スタッカ27が設けられている。両面印刷用スタッカ27の内部には、両面印刷用搬送ローラ27a,27b,27cが配置されている。更に、その下流には、両面印刷用搬送ローラ27dが配置されている。
【0016】
定着器22と排出ローラ対23との間の搬送路上には、用紙Pの通過を検出する光センサ、近接センサ等のセンサ16cが設けられている。センサ16cは、例えば、両面印刷時において、用紙Pをスイッチバックさせるタイミングを検出するときに使用される。画像形成装置10の上部には、カバー開閉センサ28が設けられている。カバー開閉センサ28は、カバー29の開閉を検出するセンサである。
【0017】
図1は、本発明の実施例1における図2の画像形成装置10を示す機能ブロック図である。
【0018】
画像形成装置10は、例えば、ローカルエリアネットワーク(以下「LAN」という。)等のネットワークを介して上位装置であるパーソナルコンピュータ等の画像処理装置60と接続されている。画像形成装置10は、画像処理装置60から印刷ジョブデータを受信し、画像形成処理を行って用紙Pに画像を形成するように構成されている。
【0019】
画像形成装置10は、装置全体を制御する中央処理装置(以下「CPU」という。)31と、このCPU31に接続された制御部32と、制御部32に接続されたリードオンリメモリ(以下「ROM」という。)33とを有している。CPU31の指示を受けて制御部32は、ROM33に格納されているプログラムを実行することにより、画像処理装置60から受信した印刷ジョブデータの処理を行うように構成されている。
【0020】
制御部32には、ランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)34と、操作パネル部35と、送受信部36と、センサ部37、印刷部38及び電源制御部40に接続されたエンジン制御部50とが接続されている。RAM34は、制御部32が各種処理を行うときのワーキングエリアやデータを受信するときのバッファとして使用される。操作パネル部35は、利用者に画像形成装置10の状態を通知する図示しないランプ及び表示部と、利用者が画像形成装置10に対する指示を入力するための図示しないタッチパネル等の操作部とを有している。送受信部36は、画像処理装置60に対して送受信を行う機能を有している。
【0021】
センサ部37は、トレイ検知センサ13と、センサ16a,16b,16cと、カバー開閉センサ28とを有している。
【0022】
印刷部38は、エンジン制御部50の制御により帯電、感光、現像、転写、及び定着の各工程の制御や用紙搬送のための各種の制御を行う機能を有している。電源制御部40は、トレイ検知センサ13と、センサ16a,16b,16cと、カバー開閉センサ28とに、それぞれ電源電力を供給する電源制御モジュール(M)40a,40b,40c,40d,40eを有している。
【0023】
エンジン制御部50は、制御部32と通信を行い、センサ部37からの用紙Pの検出信号に基づき、所定のタイミングで印刷部38を制御して画像形成処理を行う機能を有している。更に、エンジン制御部50は、タイミング制御部51と、時間を計時する計時部52とを有している。
【0024】
タイミング制御部51は、用紙Pの先端又は後端がセンサ16a,16b,16cに到達する時刻tを予測し、各時刻において、各センサ16a,16b,16cに対応する電源制御モジュール40a,40b,40cに対し、通電(ON)を指示する指示信号Sinを出力する機能を有している。これらの電源制御部40、タイミング制御部51、及び計時部52により、通電手段が構成されている。
【0025】
タイミング制御部51は、タイミング決定部51aと、タイミング指示部51bとを有している。タイミング決定部51aは、搬送路の最上流点であるピックアップローラ12から各センサ16a,16b,16cまでの搬送路の距離、用紙Pの搬送速度、及び用紙Pの搬送方向のサイズSに基づき、用紙Pの先端又は後端がピックアップローラ12から各センサ16a,16b,16cに到達する予測時間を計算する。更に、この予測時間を所定の補正値αで補正して時刻tを決定する機能を有している。
【0026】
タイミング指示部51bは、ピックアップローラ12において、用紙Pの搬送が開始された時点からの経過時間を計時部52に依頼して計時するようになっている。タイミング指定部51bは、前記経過時間が各時刻tになったとき、各センサ16a,16b,16cに対応する電源制御モジュール40a,40b,40cに対し、電源電圧のONを指示する第1論理(例えば、ローレベル、以下「Lレベル」という。)の指示信号Sinを出力する機能を有している。
【0027】
更に、タイミング指示部51bは、電源制御モジュール40a,40b,40cから電源電力が導通されている状態のセンサ16a,16b,16cにより、用紙Pの先端又は後端が検出されたときに、電源制御モジュール40a,40b,40cに対し、電源電力の導通の遮断(OFF)を指示する第2論理(例えば、ハイレベル、以下「Hレベル」という。)の指示信号Sinを出力する機能を有している。
【0028】
図3は、図1中の電源モジュール40a及びセンサ16aを示す回路図である。
【0029】
図1において説明したように、電源制御部40は、トレイ検知センサ13と、センサ16a,16b,16cと、カバー開閉センサ28とに、それぞれ電力を供給する電源制御モジュール40a,40b,40c,40d,40eを有している。これらの電源制御モジュール40a,40b,40c,40d,40eは、それぞれ同一の構成であり、各センサ16a,16b,16cもそれぞれ同一の構成であるので、電源制御モジュール40a及びセンサ16aの回路構成例について説明する。
【0030】
電源制御モジュール40aは、定電源41に接続されたPNPトランジスタ42と、このPNPトランジスタ42に接続された抵抗43とを有している。定電源41は、トランジスタ42のエミッタに接続され、このトランジスタ42のコレクタに抵抗43が接続されている。PNPトランジスタ42のベースには、タイミング指示部51bからの指示信号Sinが入力される。
【0031】
センサ16aは、フォトダイオード44と、フォトトランジスタ45とを有している。フォトダイオード44のアノードは、抵抗43を介してトランジスタ42のコレクタに接続され、カソードが、グランドGNDに接続されている。フォトトランジスタ45のコレクタは、バイアス抵抗46を介して、エンジン制御部50内の定電源47接続され、エミッタが、グランドGNDに接続されている。フォトトランジスタ45のベースは、フォトダイオード44が発光した光を受光するように構成されている。このフォトトランジスタ45のコレクタ電圧が、検出信号(例えば、センサ出力信号)Soutとなる。
【0032】
(実施例1における画像形成装置全体の動作)
図1及び図2を用いて、画像形成装置10全体の動作について説明する。
画像形成装置10内のCPU31は、画像処理装置60から印刷ジョブデータを受信し、制御部32に対して画像形成動作を指示する。
【0033】
DCモータ21により、図示しないホッピングクラッチが駆動されて用紙トレイ11内の用紙Pが上昇してピックアップローラ12に圧接する。DCモータ21によりピックアップローラ12が駆動されて回転し、用紙トレイ11から用紙Pを繰り出す。ピックアップローラ12により繰出された用紙Pは、給紙ローラ14まで搬送され、1枚ずつに分離される。
【0034】
給紙ローラ14により1枚に捌いて繰出された用紙Pは、搬送ローラ15により画像形成ユニット17付近に送られる。画像形成ユニット17の入口付近には、センサ16aが設置されている。用紙Pがセンサ16aの近傍まで搬送されると、タイミング指示部51bは、電源電力のONを指示する指示信号Sinを電源制御部40に対して出力する。電源制御部40内の電源制御モジュール40aは、センサ16aに電源電力を通電させる。
【0035】
用紙Pの先端がセンサ16aを通過すると、センサ16aは、これを検出して、検出信号をエンジン制御部50に送信する。エンジン制御部50は、検出信号を受信すると、印刷制御部38を制御して、画像形成ユニット17内の図示しない感光体ドラム、及び現像ローラ等を駆動するように制御する。用紙Pは、転写ベルト19により、画像形成ユニット17の下方に搬送され、感光体ドラムと転写ローラ20に挟持されてトナー像が用紙Pに転写される。
【0036】
トナー像が転写された用紙Pは、更に搬送され、定着器22において熱と圧力が加えられ、トナーが融解して用紙Pに定着する。その後、用紙Pは、複数の排出ローラ対23,24によりスタッカ26へと排出される。
【0037】
両面印刷時においては、用紙Pは、排出ローラ対23において、一旦画像形成装置10の外部に送り出され、センサ16cが用紙Pの後端の通過を検出すと、用紙Pがスイッチバックする。これにより、用紙Pは、両面印刷用スタッカ27まで搬送される。用紙Pは、両面印刷用搬送ローラ27a,27b,27c,27dによって画像形成ユニット17まで搬送され、用紙Pの裏面に印刷が行われる。
【0038】
(実施例1における電源及びセンサの回路動作)
図3を用いて、電源制御モジュール40a及びセンサ16aの動作について説明する。電源制御モジュール40b,40cの動作は、電源制御モジュール40aと同様であり、センサ16b,16cの動作は、センサ16aと同様である。
【0039】
タイミング指示部51bからの指示信号SinがLレベルとなって電源電力のONを指示しているとき、フォトトランジスタ42が、導通状態となる。この結果、抵抗43を介してフォトダイオード44に電流が流れ、このフォトダイオード44が発光する。フォトダイオード44が発光すると、フォトトランジスタ45のベースがこれを受光し、フォトトランジスタ45を導通させる。その結果、フォトトランジスタ45のコレクタ電圧であるセンサ出力信号Soutが、Lレベルになる。
【0040】
センサ16aは、フォトダイオード44とフォトトランジスタ45との間を用紙Pが通過するようになっている。用紙Pがフォトダイオード44とフォトトランジスタ45との間を用紙Pが通過すると、フォトダイオード44が発光した光は、用紙Pにより遮光されるので、フォトトランジスタ45のベースには光が届かない。このため、フォトトランジスタ45は、非導通状態となり、フォトトランジスタ45のコレクタ電圧であるセンサ出力信号SoutがHレベルになる。
【0041】
タイミング指示部51bからの指示信号SinがHレベルとなり、電源電力の遮断を指示しているときには、フォトトランジスタ42は、非導通状態となり、フォトダイオード44には電源電圧が供給されない。
【0042】
(実施例1におけるセンサのタイミング動作)
図4は、図1中のセンサ16a,16b,16cの動作を示すタイミングチャートである。
【0043】
画像形成装置10内のCPU31が画像処理装置60から印刷ジョブデータを受信すると、制御部32は、CPU31の指示に従い、受信した印刷ジョブデータをイメージデータに展開する等の処理を行う。同時に、制御部32は、エンジン制御部50と通信を行い、このエンジン制御部50に対し、画像形成処理の実行を指示する。
【0044】
エンジン制御部50は、制御部32と通信を行い、センサ部37からの用紙Pの検出信号に基づき、所定の時刻tで印刷部38を制御して画像形成処理を行う。時刻tは、起点(例えば、搬送路上のピックアップローラ12の位置)において、用紙Pの搬送が開始された時点を時刻t0=0としたときの経過時間Tによって計時される時刻である。
【0045】
エンジン制御部50中のタイミング決定部51aは、画像形成装置10が印刷ジョブデータを受信すると、用紙Pの先端又は後端がピックアップローラ12からセンサ16a,16b,16cに到達する予測時間Eを計算する。この予測時間Eの計算は、ピックアップローラ12付近からセンサ16a,16b,16cまでの搬送路の距離L、用紙Pの搬送速度v、及び用紙PのサイズSに基いて行われる。更に、この予測時間Eを所定の補正値αで補正して各時刻tを決定する。
【0046】
例えば、印刷ジョブデータ中の用紙Pの指定がA4(297mm×210mm)、用紙搬送速度vが20枚/分、及びピックアップローラ12からセンサ16aまでの距離Lが10cmの場合、横置きのA4サイズSの用紙Pがピックアップローラ12で搬送開始されてセンサ16aに到達する予測時間Eは、
E=L/v
なので、約1429[ms]となる。
【0047】
ここで、補正値αを例えば、200[mm]とすれば、求めるタイミミングtは、
t=E−α
なので、求める時刻tは、約1200[ms]となる。
【0048】
このタイミングtにおいて、電源電力がセンサ16aに導通される。このとき、何らかの理由で、タイミングtよりも早く用紙Pの先端又は後端がセンサ16aに到達した場合、この時点ではセンサ16aに電源電力が供給されていないので、センサ16aは、用紙Pの先端又は後端を検出できなくなる。このような事態を回避するために、補正値αによりマージンを設け、予測時間Eよりも微小時間だけ早く電源電力をONとするようにしている。
【0049】
ここで、用紙PのサイズSは、印刷ジョブデータで指定され、用紙搬送速度v及びピックアップローラ12からセンサ16aまでの距離Lは、設計事項であり、例えば、図示しない不揮発性メモリに記憶されている。
【0050】
時刻t0において、CPU31の指示に従い制御部32は、画像処理装置60から印刷ジョブデータを受信してイメージデータを作成すると、エンジン制御部50に画像形成処理の実行を指示する。エンジン制御部50の制御により、印刷部38は、用紙トレイ11から用紙Pを給紙するために図示しないホッピングクラッチをスタートさせる。この時点で、タイミング指示部51bは、計時部52に対し、計時を依頼する。
【0051】
時刻t1において、タイミング指示部51aは、計時部52の計時が時刻t1(=経過時間T1)になったときには、電源制御部40内の電源制御モジュール40aへ電源電力のONを指示するLレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40aは、Lレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16aへの電源電力をONにする。このときは、用紙Pは、未着であるので、センサ出力信号Soutは、Lレベルとなる。用紙Pの先端が到着すると、センサ出力信号Soutは、Hレベルとなる。
【0052】
時刻t2において、センサ出力信号SoutがLレベルからHレベルに変化したときには、タイミング指示部51bは、電源制御部40の電源制御モジュール40aへ電源電力もOFFを指示するHレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40aは、Hレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16aへの電源電力をOFFする。
【0053】
時刻t2〜t7において、センサ出力信号Soutは、Lレベルとなるが、タイミング指示部51bは、Hレベルが継続しているものとみなして用紙有りと認識する。
【0054】
時刻t3において、タイミング指示部52bは、計時部51による計時がタイミング決定部51aによって決定された時刻t3(=経過時間T2)になったときには、電源制御部40内の電源制御モジュール40bへ電源電力のONを指示するLレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40bは、Lレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16bへの電源電力をONとする。このときは、用紙Pは、未着であるので、センサ出力信号Soutは、Lレベルとなる。用紙Pの先端が到着すると、センサ出力信号Soutは、Hレベルとなる。
【0055】
時刻t4において、センサ出力信号SoutがLレベルからHレベルに変化したときには、タイミング指示部51bは、電源制御部40内の電源制御モジュール40aへ電源電力のOFFを指示するHレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40aは、Hレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16aへの電源電力をOFFにする。
【0056】
時刻t4〜t9において、センサ出力信号Soutは、Lレベルとなるが、タイミング指示部51bは、Hレベルが継続しているものとみなして用紙有りと認識する。
【0057】
時刻t5において、タイミング指示部51bは、計時部52の計時がタイミング決定部51aによって決定された時刻t5(=経過時間T3)になったときには、電源制御部40内の電源制御モジュール40cへ電源電力のONを指示するLレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40cは、Lレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16cへの電源電力をONにする。このときは、用紙Pが、未着であるので、センサ出力信号Soutは、Lレベルとなる。用紙Pの先端が到着すると、センサ出力信号Soutは、Hレベルとなる。
【0058】
時刻t6において、センサ出力信号SoutがLレベルからHレベルに変化したときには、タイミング指示部51bは、電源制御部40内の電源制御モジュール40cへ電源電力のOFFを指示するHレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40cは、Hレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16cへの電源電力をOFFにする。
【0059】
時刻t6〜t10において、センサ出力信号Soutは、Lレベルとなるが、タイミング指示部51bは、Hレベルが継続しているものとみなして用紙有りと認識する。
【0060】
時刻t7において、タイミング指示部51bは、計時部52の計時がタイミング決定部51aによって決定された時刻t7(=経過時間T4)になったときには、電源制御モジュール40aへ電源電力のONを指示するLレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40aは、Lレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16cへの電源電力をONとする。このときは、用紙Pが存在しているので、センサ出力信号SoutはHレベルとなる。用紙Pの後端がセンサ16aを通過すると、センサ出力はLレベルとなる。
【0061】
時刻t8において、センサ出力信号SoutがHレベルからLレベルに変化したときには、タイミング指示部51bは、電源制御部40内の電源制御モジュール40cへ電源電力のOFFを指示するHレベルの指示信号Sinを出力する。電源制御モジュール40cは、Hレベルの指示信号Sinを入力し、センサ16cへの電源電力をOFFする。
【0062】
時刻T9におけるセンサ16b及び時刻t10における搬送センサ16cについても、センサ16aと同様の動作をする。
【0063】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像形成装置によれば、次の(a)〜(c)のような効果がある。
【0064】
(a) 用紙Pの搬送開始の起点であるピックアップローラ12から,搬送路上に設置された複数の各センサ16a,16b,16cに,用紙Pの先端又は後端が到達する時刻tを予め決定し、この時刻tで、例えば、センサ16aへの電源電力をONとし、センサ16aが用紙Pの後端を検出したときには、センサ16aへの電源電力をOFFにするようにしたので、消費電力を削減する効果がある。
【0065】
(b) 用紙Pが到着する予測時間Eを計算し、この予測時間Eを補正値αで補正して時刻tを求めているので、用紙Pの搬送速度の誤差により予測値Eよりも早く用紙Pがセンサ16a,16b,16cに到達しても、確実に用紙Pを検出することができる。
【0066】
(c) 用紙Pの先端又は後端の到達を検出してから、センサ16aへの電源電力をOFFするようにしたので、用紙Pの先端又は後端の到達を確実に検出することができる。
【実施例2】
【0067】
(実施例2の構成)
本発明の実施例2における画像形成装置10の構成は、実施例1と同様であが、その動作が以下のように実施例1と異なる。
【0068】
(実施例2の動作)
図5は、本発明の実施例2におけるセンサ16a,16b,16cの動作を示すタイミングチャートであり、実施例1を示す図3中の時刻と共通の時刻には共通の符号が付されている。
【0069】
本実施例2の動作は、実施例1とほぼ同様であるが、本実施例2のタイミング決定部(以下、符号「51aA」を付す。)の動作が、実施例1のタイミング決定部51aと異なっている。
【0070】
実施例1と同様の動作が時刻t0,t1において実行される。
実施例1と異なる時刻t21において、タイミング決定部51aAは、センサ16aのセンサ出力信号SoutにおけるLレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、センサ16aからセンサ16bまでの搬送路の距離L、及び用紙Pの搬送速度vに基づき、用紙Pの先端がセンサ16aからセンサ16bに到達する予測時間Eを計算する。この予測時間Eを所定の補正値αで補正して、時刻t3(=経過時間T2)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t2,t3において実行される。
【0071】
実施例1と異なる時刻t22において、タイミング決定部51aAは、センサ16bのセンサ出力信号SoutにおけるLレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、センサ16bからセンサ16cまでの搬送路の距離L、及び用紙Pの搬送速度vに基づき、用紙Pの先端がセンサ16bからセンサ16cに到達する予測時間Eを計算する。この予測時間Eを所定の補正値αで補正して、時刻t5(=経過時間T3)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t4、t5において実行される。
【0072】
実施例1と異なる時刻21において、タイミング決定部51aAは、センサ16aのセンサ出力信号SoutにおけるLレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、用紙PのサイズS及び用紙Pの搬送速度vに基づき、用紙Pの後端がセンサ16aを通過する予測時間Eを計算する。この予測時間Eを所定の補正値αで補正して、時刻t7(=経過時間T4)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t6,t7において実行される。
【0073】
実施例1と異なるステップ22において、タイミング決定部51aAは、センサ16bのセンサ出力信号Soutが、LレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、用紙PのサイズS及び用紙Pの搬送速度vに基づき、用紙Pの後端がセンサ16bを通過する予測時間Eを計算し、この予測時間Eを所定の補正値αで補正して時刻t9(=経過時間T5)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t8,t9において実行される。時刻t10(=経過時間T6)についても同様に決定される。
【0074】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、例えば、センサ16bの上流側に設置されたセンサ16aの出力信号Soutを検出した時点を起点として、センサ16bに電源電力を通電させるタイミングを決定するので、搬送路上においてすべり等により、実効搬送速度に誤差が生じても、実施例1に比べ、より精度の高い電源制御が可能となる。このため、実施例1に比べ、より高い省電力効果が得られる。
【実施例3】
【0075】
(実施例3の構成)
本発明の実施例3における画像形成装置10の構成は、実施例1と同様であるが、その動作が以下のように実施例1と異なる。
【0076】
(実施例3の動作)
図6は、本発明の実施例3におけるセンサ16a,16b,16cの動作を示すタイミングチャートであり、実施例1を示す図3中の時刻と共通の時刻には共通の符号が付されている。
【0077】
本実施例3の動作は、実施例1とほぼ同様であるが、本実施例3のタイミング決定部(以下、符号「51aB」を付す。)の動作が実施例1のタイミング決定部51aと異なっている。
【0078】
実施例1と同様の動作が時刻t0,t1において実行される。
実施例1と異なる時刻31において、タイミング決定部51aBは、センサ16aのセンサ出力信号SoutにおけるLレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、センサ16aからセンサ16bまでの搬送路の距離L、及び用紙Pの搬送速度vに基づき、用紙Pの先端がセンサ16aからセンサ16bに到達する予測時間Eを計算する。この予測時間Eを所定の補正値αで補正して、時刻t3(=経過時間T2)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t2,t3において実行される。
【0079】
実施例1と異なるステップ32において、タイミング決定部51aBは、センサ16bのセンサ出力信号SoutにおけるLレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、センサ16bからセンサ16cまでの搬送路の距離L、及び用紙Pの搬送速度vに基づき、用紙Pの先端がセンサ16bからセンサ16cに到達する予測時間Eを計算する。この予測時間Eを所定の補正値αで補正して、時刻t5(=経過時間T3)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t4、t5において実行される。
【0080】
実施例1と異なる時刻33において、タイミング決定部51aは、センサ16cのセンサ出力信号SoutにおけるLレベルからHレベルへの変化を検出した時点を起点として、用紙Pの搬送方向のサイズS、用紙Pの搬送速度v、及びセンサ16aとセンサ16cとの距離Lに基づき、用紙Pの後端がセンサ16aに到達する予測時間Eを計算する。予測時間Eは次の式で計算される。
E=(S−L)/v
【0081】
この予測時間Eを所定の補正値αで補正して、時刻t7(経過時間T4)を決定する。実施例1と同様の動作が時刻t6,t7において実行される。
【0082】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、実施例2の効果に加え、例えば、センサ16aを用紙Pが通過中に、センサ16cが用紙Pの先端を検出した時点を起点として、用紙Pの後端がセンサ16aに到達するタイミングT4を求めているので、搬送路上において、すべり等により実効搬送速度に誤差が生じても実施例1、2に比べ、より精度の高い電源制御が可能となる。このため、実施例1、2に比べより高い省電力効果が得られる。
【0083】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0084】
(a) 実施例1、2では、画像形成装置10として電子写真プリンタを例に説明したが、電子写真方式を利用して記録媒体P上に画像を形成する複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0085】
(b) 実施例1、2では、センサ16a,16b,16cを光センサの例で説明したが、高周波発信型、磁気型、又は静電容量型の近接センサであってもよい。
【0086】
(c) 本発明は、画像形成装置10に限定されず、媒体搬送機構を有する装置であれば、広く適用が可能である。例えば、現金自動預け払い機における紙幣の搬送機構に適用することができる。
【0087】
(d) 本発明は、画像形成装置等の装置以外においても適用が可能である。例えば、ベルトコンベアに近接し、所定の間隔でセンサを配置した生産ライン等にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 画像形成装置
31 CPU
32 制御部
16a,16b,16c センサ
38 印刷部
40 電源制御部
40a,40b,40c 電源制御モジュール
50 エンジン制御部
51 タイミング制御部
51a タイミング決定部
51b タイミング指示部
Sin 指示信号
Sout センサ出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送路に沿って搬送し、検出信号に基づき、画像形成処理を行って前記記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記搬送路上に設置され、電源電力の通電により、前記搬送路上における前記記録媒体の移動位置を検出して前記検出信号を出力するセンサと、
前記記録媒体の先端又は後端が前記センサに到達する時刻を予測し、前記予測結果に基づき、前記センサへの前記電源電力の通電を行う通電手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通電手段は、
前記記録媒体の先端又は後端が前記センサに到達する時刻を予測し、前記予測結果に基づき、前記センサへの前記電源電力の通電を指示する第1論理の指示信号を出力するタイミング制御部と、
前記第1論理の指示信号に基づき、前記センサへの前記電源電力の通電を制御する電源制御部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記タイミング制御部は、
前記記録媒体の搬送条件に基づき、前記記録媒体の先端又は後端が、起点から前記センサに到達する予測時間を計算し、前記予測時間を所定の補正値で補正して前記時刻を決定するタイミング決定部と、
前記起点において前記記録媒体の搬送が開始された時点からの経過時間を計時し、前記経過時間が前記時刻になったときには、前記電源制御部に対し、前記第1論理の指示信号を出力し、前記電源電力が通電状態である前記センサにより前記記録媒体の先端又は後端の到達が検出されたときには、前記電源制御部に対して前記電源電力を遮断する第2論理の指示信号を出力するタイミング指示部と、
を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送条件は、
前記起点から前記センサまでの前記搬送路の距離、前記記録媒体の搬送速度、及び前記記録媒体のサイズを含むことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記起点は、
前記搬送路の最上流点であることを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記センサは、
前記搬送路上に設置された第1のセンサと、
前記第1のセンサに対し所定の距離を隔てて設置された第2のセンサとを有し、
前記第2のセンサにおける前記起点は、前記第1のセンサが設置されている前記搬送路上の位置であることを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記タイミング決定部は、
前記予測時間から前記補正値を差し引いて前記タイミングを決定することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記補正値は、
100[ms]〜300[ms]であることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−52995(P2013−52995A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194263(P2011−194263)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】