画像形成装置
【課題】連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制可能とする。
【解決手段】トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体上に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段27と、前記転写手段27に通電される転写電流を検知する電流検知手段111と、前記記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、前記転写手段27に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に前記転写手段27に通電される転写電流を前記電流検知手段111によって検知し、第2の画像形成時に、前記転写手段27に印加する転写電圧を前記電流検知手段111によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段110とを備えるように構成した。
【解決手段】トナー像を保持する像保持体と、前記像保持体上に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段27と、前記転写手段27に通電される転写電流を検知する電流検知手段111と、前記記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、前記転写手段27に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に前記転写手段27に通電される転写電流を前記電流検知手段111によって検知し、第2の画像形成時に、前記転写手段27に印加する転写電圧を前記電流検知手段111によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段110とを備えるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置においては、連続した画像形成時に、転写不良が発生するのを防止し得る技術として、例えば、特開2008−225271号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
上記特開2008−225271号公報に係る画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、
該像担持体上のトナー像を被転写材へ転写させるため、上記像担持体と共に上記被転写材を挟圧する転写部材と、
該転写部材に転写バイアスを印加する転写バイアス印加装置と、
該転写部材に流れる電流を検知する電流検知装置と、
上記転写バイアスの電流の波形を決定するための転写電流決定制御を行う制御部とを備えた画像形成装置であって、
上記転写電流決定制御は、連続プリントの際、
第1の画像を形成する際の上記転写バイアスを定電圧制御し、
該定電圧制御時に上記転写部材に流れる第1の電流の波形を、上記電流検知装置により検知し、
該検知された上記第1の電流の波形に基づき、上記第1の画像の次の第2の画像を形成する際に上記転写部材に印加する第2の電流の波形を決定する制御であり、
上記制御部は、上記転写電流決定制御により上記第2の電流の波形を決定し、上記第2の画像を形成する際の上記転写バイアスについて、上記第2の電流の波形が上記の決定した波形となるような電流制御を行うように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−225271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制可能とした画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載された発明は、トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段に通電される転写電流を検知する電流検知手段と、
前記記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に前記転写手段に通電される転写電流を前記電流検知手段によって検知し、
第2の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を前記電流検知手段によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、請求項2に記載された発明は、前記像保持体は、単一又は複数の感光体ドラム上に順次形成される複数のトナー像が多重に転写される中間転写体からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制することができる。
【0009】
また、請求項2に記載された発明によれば、中間転写体から記録媒体に単色画像や多重色画像が転写される場合に、連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4は中間転写ベルト上に保持されたトナー像を示す模式図である。
【図5】図5は記録用紙上に形成されたトナー像を示す模式図である。
【図6】図6は記録用紙に連続して形成される画像を示す模式図である。
【図7】図7は従来の画像形成装置における定電圧制御と定電流制御の特定を示すグラフである。
【図8】図8は従来の画像形成装置における転写電圧及び転写電流の変化を示すグラフである。
【図9】図9は従来の画像形成装置における画像濃度の変化を示すグラフである。
【図10】図10はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置における転写電圧及び転写電流の変化を示すグラフである。
【図11】図11はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置における画像濃度の変化を示すグラフである。
【図12】図12は画質欠陥の発生状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としての4サイクル方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。また、このカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとして機能するとともに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するプリンタとしても機能する。
【0013】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部には、原稿2を1枚ずつ分離した状態で画像読取装置4へと自動的に搬送する自動原稿搬送装置3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配置されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に配置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像をフルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
【0014】
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の画像データに対して、必要に応じてシェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換される。
【0015】
そして、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色に対応した画像データとして画像露光装置13に順次送られ、この画像露光装置13では、画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。なお、上記画像形成装置は、プリンタとしても機能するように構成されており、当該画像形成装置がプリンタとして機能する場合には、画像処理装置12にパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ(図示せず)から画像データが入力され、必要に応じて画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された後、画像露光装置13に4色に対応した画像データが順次出力される。
【0016】
上記画像形成装置本体1の内部には、色の異なる複数のトナー像を順次形成することが可能な画像形成手段としての画像形成部50が配置されている。この画像形成部50は、大別として、トナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム17と、感光体ドラム17の表面を予め定められた電位に帯電する帯電手段の一例としてのグリッド電極を有するコロナ帯電装置であるスコロトロン帯電装置18と、感光体ドラム17の表面に画像露光を施すことにより画像データに応じた静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての画像露光装置13と、前記感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像を互いに色の異なる複数のトナーによって順次現像して互いに色の異なる複数のトナー像を形成可能な現像手段としての回転式の現像装置19と、感光体ドラム17の表面を清掃する清掃手段としてのクリーニング装置20とを備えている。なお、上記帯電手段18としては、コロナ帯電装置に限らずロール状の帯電部材を用いても良い。
【0017】
上記画像露光装置13は、図3に示すように、図示しない半導体レーザーを画像データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡14によって偏向走査され、f・θレンズ15及び反射ミラー16を介して像保持体としての感光体ドラム17の表面に走査露光される。
【0018】
上記画像露光装置13によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム17は、図2に示すように、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って予め定められた速度(例えば、270mm/secや110mm/secなどの複数の速度)で回転駆動される。
【0019】
この感光体ドラム17の表面は、一次帯電用のスコロトロン帯電装置18によって予め定められた極性(例えば、負極性)及び電位に帯電された後、画像データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の現像器(現像手段)19Y、19M、19C、19Kを回転可能に備えた回転式の現像装置19のうち、いずれか1つの現像器19Y、19M、19C、19Kが感光体ドラム17と対向する現像位置に移動することによって、例えば、感光体ドラム17の帯電極性と同極性の負極性に帯電したトナーによって反転現像され、予め定められた色のトナー像となる。なお、上記回転式の現像装置19としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の現像器19Y、19M、19C、19K以外に、例えば、透明トナー(CT)や濃度の淡いマゼンタ(LM)、濃度の淡いシアン(LC)などに対応した現像器19#1、19#2が、2つまで予備として装着可能となっている。その際、これらの透明トナー(CT)や濃度の淡いマゼンタ(LM)、濃度の淡いシアン(LC)などに対応した画像データは、画像処理装置12によって生成される。
【0020】
上記感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像は、図2に示すように、当該感光体ドラム17の下部に配置された中間転写体としての無端状のベルトからなる中間転写ベルト21上に、一次転写手段としての一次転写ロール22によって多重に一次転写される。中間転写ベルト21は、感光体ドラムから転写されたトナー像を保持する像保持体として機能するものである。この中間転写ベルト21は、駆動ロール23、第1の従動ロール24a、第2の従動ロール24b、張力付与ロール24c、第3の従動ロール24d及び二次転写手段の一部を構成する対向ロール25によって張り渡されており、感光体ドラム17の回転速度と略等しい速度で矢印方向に沿って循環駆動される。
【0021】
上記中間転写ベルト21上には、最終的に形成する画像の色に応じて、感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のすべて又は一部の色のトナー像が、一次転写ロール22によって順次重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト21上に転写されたトナー像は、予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送される記録媒体としての記録用紙26上に、中間転写ベルト21を支持する対向ロール25と、当該対向ロール25に中間転写ベルト21を介して圧接する二次転写手段としての二次転写ロール27によって一括して二次転写される。上記記録用紙26は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の下部に配置された複数の給紙カセット28、29、30のうちの何れかから、所望のサイズ及び材質のものが給紙ロール28a、29a、30aによって給紙される。上記複数の給紙カセット28、29、30からは、普通紙以外にも、厚紙、コート紙、薄紙等の所望の材質のものが給紙可能となっている。なお、普通紙や厚紙、コート紙、薄紙等の記録用紙26は、坪量によって分類される。給紙された記録用紙26は、複数の搬送ロール31、32及びレジストロール33によって、予め定められたタイミングで中間転写ベルト21の二次転写位置まで搬送される。そして、上記記録用紙26には、上述したように、対向ロール25及び二次転写ロール27によって、中間転写ベルト21上から予め定められた数色のトナー像が一括して二次転写される。
【0022】
また、上記中間転写ベルト21上から予め定められた数色のトナー像が二次転写された記録用紙26は、中間転写ベルト21から分離された後、搬送ベルト34によって定着装置35へと搬送され、この定着装置35によって熱及び圧力で未定着トナー像が記録用紙26上に定着され、片面複写の場合には、排出ロール36によってそのまま排紙トレイ37上に排出されてカラー画像やモノクロ画像等の画像形成工程が終了する。
【0023】
上記画像形成装置は、記録用紙26の第1面及び第2面からなる表裏両面に画像を形成することが可能に構成されており、定着装置35によって第1面にトナー像が定着された記録用紙26を、記録用紙26の表裏を反転して再度二次転写部へと搬送する両面用の搬送手段を備えている。
【0024】
即ち、上記画像形成装置において記録用紙26の両面に画像を形成する場合には、図2に示すように、第1面(表面)にカラー画像等が形成された記録用紙26を、そのまま排紙トレイ37上に排出せずに、図示しない反転ゲートによって下向きに搬送方向が変更され、搬送ロール38及び反転ロール39によって反転用通路40へと一旦搬送される。そして、上記記録用紙26は、今度は逆転する反転ロール39によって両面用通路41へと搬送され、この両面用通路41に設けられた搬送ロール42によってレジストロール33まで一旦搬送される。そして、上記記録用紙26は、中間転写ベルト21上のトナー像と同期してレジストロール33によって再度搬送され、当該記録用紙26の第2面(裏面)に対してトナー像の転写及び定着工程が行われた後、排出トレイ37上に排出される。
【0025】
この実施の形態では、これらの搬送ロール38及び反転ロール39、反転用通路40、両面用通路41及び搬送ロール42によって、両面用の搬送手段が構成されているが、両面用の搬送手段としては、これに限定されず、定着手段によって第1面にトナー像が定着された記録媒体を、記録媒体の表裏を反転して再度前記転写手段へと搬送するものであれば良い。
【0026】
なお、図2中、43は所望のサイズ及び材質の記録用紙26を手差しで給紙する手差しトレイを示している。
【0027】
図3は上記画像形成装置の画像形成部50を示す構成図である。
【0028】
この画像形成装置では、上述したように、感光体ドラム17の表面が一次帯電用のスコロトロン帯電装置18によって予め定められた極性及び電位に一様に帯電された後、当該感光体ドラム17の表面には、画像露光装置13によって順次予め定められた色に対応した画像が露光され、静電潜像が形成される。
【0029】
そして、上記の如く感光体ドラム17の表面に各色に対応して順次形成される静電潜像は、図3に示すように、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19Kによって現像され、当該感光体ドラム17の表面には、予め定められた色のトナー像Tが形成される。
【0030】
上記回転式の現像装置19には、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器19Y、19M、19C、19Kが周方向に沿って配置されており、回転軸197を中心にして矢印方向に沿って回転することにより、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19Kの現像ロール196が感光体ドラム17と対向する現像位置へと移動して停止し、所望の色のトナーによって感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像を現像するように構成されている。
【0031】
上記現像器19Y、19M、19C、19Kとしては、図3に示すように、例えば、現像器本体191の内部にトナーとキャリアとからなる二成分の現像剤192を収容した二成分方式の現像器が用いられる。上記現像器本体191の内部には、予め定められたタイミングでトナーカートリッジ193Y〜193K(図2参照)からトナーが補給され、現像器本体191内のトナー濃度を予め定められた範囲内に維持するように構成されている。また、上記現像器本体191の内部に供給されたトナーは、2本の現像剤攪拌搬送用のオーガ194、195によって現像器本体191内の現像剤192と攪拌されて摩擦帯電され、循環移動する間に現像ロール196へ供給されるとともに、当該現像ロール196の表面に形成された現像剤192の磁気ブラシとして感光体ドラム17の表面と対向する現像領域へと搬送され、感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像の現像に供される。
【0032】
例えば、上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像がイエロー色に対応したものであれば、この静電潜像は、イエロー色の現像器19Yによって現像され、感光体ドラム17上には、イエロー色のトナー像Tが形成される。また、他のマゼンタ色、シアン色、ブラック色についても、同様のプロセスによって対応する色のトナー像Tが、感光体ドラム17上に順次形成される。
【0033】
上記感光体ドラム17上に順次形成された各色のトナー像Tは、感光体ドラム17と中間転写ベルト21とが接触する一次転写位置において、感光体ドラム17上から中間転写ベルト21の表面に一次転写される。この一次転写位置には、中間転写ベルト21の裏面側に一次転写ロール22が配置されており、中間転写ベルト21は、一次転写ロール22によって感光体ドラム17の表面に接触するようになっている。一次転写ロール22には、トナーの帯電極性と逆極性(正極性)の電圧が印加され、感光体ドラム17上に形成されたトナー像Tは、中間転写ベルト21上に一次転写される。
【0034】
単色の画像を形成する場合は、中間転写ベルト21上に一次転写された予め定められた色のトナー像Tが、二次転写位置において直ちに記録用紙26上に二次転写されるが、複数色のトナー像Tを重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム17上への予め定められた色のトナー像Tの形成、並びにトナー像Tの中間転写ベルト21上への多重な一次転写の工程が、予め定められた色数分だけ繰り返される。
【0035】
例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー像Tを重ね合わせたフルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム17上には、その一回転毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像Tが順次形成され、これらの4色のトナー像は、中間転写ベルト21上に重ね合わせた状態で順次一次転写される。
【0036】
また、感光体ドラム17から中間転写ベルト21上に一次転写されずに残留したトナーやトナーの外添剤等は、図3に示すように、クリーニング前徐電装置44によって徐電された後、クリーニング装置20によって清掃される。クリーニング装置20は、感光体ドラム17の表面に残留したトナーやトナーの外添剤等の付着物を、クリーニングブラシ201及びクリーニングブレード202によって除去するとともに、除去されたトナー等の付着物が搬送オーガ203によって予め定められたタイミングでクリーニング装置20の外部に排出されるように構成されている。さらに、クリーニング装置20によって清掃された感光体ドラム17の表面は、徐電ランプ46によって一様に露光されて徐電され、次の画像形成工程に備える。
【0037】
また、上記中間転写ベルト21は、最初に一次転写された例えばイエロー色の未定着トナー像Tを保持したまま、感光体ドラム17と同期した周期で回転し、当該中間転写ベルト21上には、図4に示すように、その一回転毎にマゼンタ色、シアン色及び黒色の未定着トナー像TM、TC、TKが、単独又はイエロー色の未定着トナー像TYに順次重ね合わされた状態で転写される。
【0038】
このようにして中間転写ベルト21に一次転写された未定着トナー像Tは、中間転写ベルト21の回転に伴って、記録用紙26の搬送経路に面した二次転写位置へと搬送される。
【0039】
そして、この記録用紙26は、図2に示す如く、前述したように、所望の給紙カセット28、29、30から給紙ロール28a、29a、30aによって給紙され、搬送ロール31、32によってレジストロール33まで搬送され、レジストロール33によって所定のタイミングで、二次転写ロール27と中間転写ベルト21との圧接部間に給送される。
【0040】
また、二次転写位置における中間転写ベルト21の裏面側には、図3に示すように、二次転写ロール27の対向電極をなす対向ロール25が配設されている。二次転写位置では、二次転写ロール27が常時中間転写ベルト21に圧接するか、又は、予め定められたタイミングで二次転写ロール27が中間転写ベルト21に圧接し、二次転写ロール27にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加するか、又は対向ロール25にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加することにより、トナー像保持体としての中間転写ベルト21上に転写された未定着トナー像Tは、前記二次転写位置において記録用紙26上に一括して二次転写される。
【0041】
なお、図3中、符号49は、中間転写ベルト21の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置を示しており、このベルトクリーニング装置49は、通常は中間転写ベルト21の表面から離間しているとともに、中間転写ベルト21の表面に予め定められたタイミングで接触するように構成されている。
【0042】
また、上記画像形成装置の画像形成部50としては、単一の感光体ドラム17を備えたものに限らず、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色等に対応した複数(例えば、4つ)の感光体ドラムを備え、これらの各感光体ドラム17上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト21上に多重に一次転写するものであっても良い。
【0043】
そして、未定着トナー像Tが転写された記録用紙26は、図3に示すように、中間転写ベルト21から剥離され、二次転写部の下流に配置された電極部材47、案内板48および搬送ベルト34によって定着装置35(図2に参照)に送り込まれ、未定着トナー像Tの定着処理がなされる。
【0044】
上記中間転写ベルト21は、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電化剤を適当量分散させて、その体積抵抗率が106 〜1014Ω・cmとなるように調整したフィルム状のベルトによって形成されている。この中間転写ベルト21の厚さは、例えば、0.1mmに設定される。なお、上記中間転写ベルト21の周長は、感光体ドラム17の周長の整数倍(例えば、2〜3倍)に設定されている。
【0045】
また、上記二次転写ロール27は、必要に応じて、中間転写ベルト21と接離可能に配設されており、カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像Tが中間転写ベルト21上に一次転写されるまで、中間転写ベルト21から離間している。なお、上記二次転写ロール27は、中間転写ベルト21に接触したままの状態であっても良い。
【0046】
さらに、上記二次転写ロール27は、例えば、イオン導電性の導電材料を分散したウレタンゴム等からなる弾性体層を備えており、当該二次転写ロール27は、例えば、その体積抵抗率が103 〜1010Ω・cmに設定され、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカーC硬度)に設定される。
【0047】
一方、上記背面支持ロール25は、イオン導電性の導電材料を分散したEPDMのゴムからなる弾性体層を備えており、例えば、その表面抵抗率が107 〜1010Ω/□で、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC硬度)に設定される。
【0048】
また、二次転写位置の当接部下流に配置された電極部材47は、導電性の板状部材として板金が好ましく、この実施の形態では厚さ0.5mmのスレンレス鋼板を使用しており、記録用紙26側を針状としたものが用いられている。さらに、上記電極部材47の2次転写領域側の先端は、例えば、背面支持ロール25と二次転写ロール27のニップ部が成す線より1mmだけ二次転写ロール27側で、かつニップ部の出口より7mmだけ離れて配置されている。
【0049】
ところで、上記の如く構成される画像形成装置では、図2及び図3に示すように、最終的に形成する画像の色に応じて、感光体ドラム17上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像Tが順次形成され、これらのトナー像が図4に示すように中間転写ベルト21上に単独又は互いに重ね合わされた状態で一次転写された後、中間転写ベルト21上から記録用紙26に一括して二次転写され定着されて、所望の色の画像が形成される。
【0050】
例えば、赤色(レッド)の画像を形成する場合には、図4に示すように、イエロー(Y)色のトナー像TYとマゼンタ(M)色のトナー像TMを重ね合わせた二重色のトナー像が形成され、緑色(グリーン)の画像を形成する場合には、イエロー(Y)色のトナー像TYとシアン(C)色のトナー像TCを重ね合わせた二重色のトナー像が形成され、青色(ブルー)の画像を形成する場合には、マゼンタ(M)色のトナー像TMとシアン(C)色のトナー像TCを重ね合わせた二重色のトナー像が形成される。
【0051】
また、黒色(K)の画像を形成する場合であっても、図4に示すように、ユーザの指定や画像によって黒(K)の単色のトナー像TKからなる単一色の画像が形成される場合以外に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のトナー像TY、TM、TCを重ね合わせた3重色のトナー像(いわゆるプロセス黒:PK)が形成される場合がある。
【0052】
このように像保持体としての中間転写ベルト21上に保持される画像は、図4に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の単色(単一)のトナー像Tからなる画像や、イエロー(Y)、マゼンタ(M)を重ね合わせた二重色、イエロー(Y)、マゼンタ(M)を重ね合わせた二重色、マゼンタ(M)とシアン(C)を重ね合わせた二重色、あるいはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のトナー像Tを重ね合わせた3重色の多重トナー像など、種々のトナー像が形成され、これら中間転写ベルト21上に保持されたトナー像が一括して二次転写ロール27によって記録媒体26上に一括して二次転写され、定着装置35によって定着される。
【0053】
なお、図4は、中間転写ベルト21上に多重に一次転写されたトナー像を示しており、中間転写ベルト21から記録媒体26上に一括して二次転写されたトナー像は、図5に示すように、各色のトナー像の積層状態が上下逆となる。
【0054】
ところで、上記画像形成装置では、図2に示すように、複数枚の記録用紙26上に同一の画像又は異なる画像を連続して形成する際に、複数枚の記録用紙26に形成される画像の濃度を略一定に制御する必要がある。
【0055】
ここで、記録用紙26に連続して画像を形成する場合としては、例えば、図6(a)に示すように、1ページの同一の画像を複数枚の記録用紙261 、262、263 、264 、264 、・・・26nにわたって連続して画像を形成する場合がある。このとき、1枚目の記録用紙261 の画像を第1の画像、2枚目の記録用紙262の画像を第2の画像、3枚目の記録用紙263 の画像第3の画像と称する。
【0056】
また、記録用紙26に連続して画像を形成する場合としては、例えば、図6(a)に示すように、複数ページ(図示例では、2ぺージ)からなる画像を1組として、複数組にわたって連続して画像を形成する場合がある。この場合には、1組目の複数ページからなる画像を第1の画像と称し、2組目の複数ページからなる画像を第2の画像と称し、3組目の複数ページからなる画像を第3の画像と称する。
【0057】
従来の画像形成装置では、像保持体としての中間転写ベルト21上に保持された単色又は複数色のトナー像を二次転写ロール27によって記録媒体26上に一括して二次転写するにあたり、第1の画像を形成する際の二次転写ロール27に印加する転写バイアスを定電圧制御し、定電圧制御時に二次転写ロール27に流れる第1の電流の波形を、電流検知装置により検知し、検知された第1の電流の波形に基づいて、第1の画像の次の第2の画像を形成する際に二次転写ロール27に印加する第2の電流の波形を決定するように制御されていた。
【0058】
かかる従来の画像形成装置のように、第1の画像を形成する際の二次転写ロール27に印加する転写バイアスを定電圧制御し、第1の画像の次の第2の画像を形成する際に二次転写ロール27に印加する第2の電流を定電流制御するように構成した場合には、第2の画像形成時に、二次転写ロール27の抵抗値が低下することに伴って電流値が上昇することに対応することが可能である。
【0059】
しかしながら、上記従来の画像形成装置の場合には、第1の画像形成時の定電圧制御から第2の画像形成時の定電流制御に切り替わることにより、定電圧制御と定電流制御における電圧と電流との特性が図7に示すような関係にあるため、例えば、二次転写電圧が1500Vとなるように定電圧制御した場合、そのときの電流値は、40μAとなるが、当該40μAの電流値を定電流制御で通電するための電圧値は、図8に示すように、約2050Vとなって二次転写の電圧値が大きく変化してしまい、図9に示すように、1枚目の記録用紙と2枚目の記録用紙とで画像濃度が大きく変動してしまい、連続した画像形成時に画像濃度の変動を抑制することができなかった。
【0060】
なお、定電圧電源としては、理想的には内部インピーダンスが“0”である必要があるが、実際の定電圧電源回路では、ある程度の内部インピーダンスが存在する。また、定電流電源としては、理想的には内部インピーダンスが無限大である必要があるが、実際の定電流電源回路では、内部インピーダンスが有限の値となる。
【0061】
また、上記従来の画像形成装置では、定電圧制御から定電流制御に切り替えられた際に、図7に示すように、二次転写ロールに約2050Vという大幅に高い二次転写電圧値が印加されるため、特に低温低湿環境下において、ハーフトーンの画像などにMWS(マイクロホワイトスポット)と呼ばれる数10〜数100μmレベルの白抜けが発生する虞れを有していた。
【0062】
そこで、この実施の形態に係る画像形成装置では、図1に示すように、記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、二次転写ロールに印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に二次転写ロールに通電される転写電流を電流検知手段によって検知し、第2の画像形成時に、二次転写ロールに印加する転写電圧を電流検知手段によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段としての高圧電源回路110を備えるように構成されている。
【0063】
図1はこの実施の形態に係る画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【0064】
図1において、200は画像形成装置の動作を制御する制御装置を示すものであり、この制御装置200は、画像形成装置の動作を制御するCPU等からなる制御回路201と、画像形成装置の動作を制御するためのプログラムやパラメータ等を記憶する記憶部202と、信号の入出力を制御する入出力制御部203とを備えている。
【0065】
また、上記制御回路201は、図1に示すように、入出力制御部203を介して画像形成部50を制御するとともに、定電圧制御手段としての高圧電源回路110を介して二次転写ロール27に印加する転写電圧又は転写電流を予め定められた値に制御するように構成されている。高圧電源回路110は、例えば、定電圧制御回路を含むうように構成される。上記高圧電源回路110と二次転写ロール27との間には、二次転写ロール27に通電される電流値を検知する電流検知回路111が設けられている。そして、上記制御回路201は、第1の画像形成時に二次転写ロール27に通電される転写電流を電流検知回路111によって検知し、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行うように定電圧電源としての高圧電源回路110を制御する。
【0066】
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、二次転写ロール27に二次転写バイアスを印加する高圧電源回路110を備えており、この高圧電源回路110は、二次転写ロール27に印加する二次転写バイアスを制御装置201からの制御信号に基づいて予め定められた一定の電圧値に制御する定電圧制御を行うようになっている。
【0067】
そして、上記制御回路201は、図1に示すように、記録用紙26に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を高圧電源回路110によって定電圧制御するとともに、この第1の画像形成時に二次転写ロール27に通電される転写電流Iを電流検知回路111によって検知し、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値Iとなる電圧値を用いて高圧電源回路110によって定電圧制御を行う。
【0068】
その際、上記高圧電源回路110は、第1の画像形成時及び第2の画像形成時に、基本的に定電圧制御を行うが、第1の画像形成時には、予め定められた電圧値、例えば、1500Vとなるように定電圧制御を行う。このとき、二次転写ロール27に流れる転写電流Iは、環境条件や二次転写ロール27の抵抗値、対向ロール25の抵抗値、記録用紙26の材質、中間転写ベルト21の抵抗値など種々の要因によって変化するが、予め定められた電圧値、例えば、1500Vの二次転写バイアスを印加したときにある電流値Iとなり、この電流値Iが電流検知回路111によって検知される。
【0069】
そして、上記高圧電源回路110は、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって電流値Iを検知しながら、第1の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値Iと等しくなる電圧値を用いて定電圧制御を行うが、この第2の画像形成時に、電流検知回路111によって検知された電流値Iとなる電圧値、つまり電流値がIとなる電圧値を用いて定電圧制御が行われる。
【0070】
ここで、定電流制御を行う場合と、電流値がIとなる電圧値を用いて定電圧制御を行う場合の相違は、定電流制御が理想的には内部インピーダンスが無限大、実際には有限の内部インピーダンスを有する回路を用いて電流が一定となる制御が行われるのに対して、電流値がIとなる電圧値を用いて定電圧制御を行う場合は、理想的には内部インピーダンスが“0”、実際にはある程度の小さな内部インピーダンスが存在する回路を用いて、電流値がIとなる電圧値となるように定電圧制御が行われる。
【0071】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、連続した画像形成時に、定電流制御に起因した画質低下が発生するのを抑制することが可能となっている。
【0072】
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置では、図2に示すように、画像処理装置12に入力される画像データに基づいて、感光体ドラム17上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像が順次形成され、これらの感光体ドラム17上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト21上に互いに重ね合わせた状態で順次一次転写された後、当該中間転写ベルト21上から記録用紙26上に二次転写ロール27に印加される二次転写バイアスによって一括して二次転写され、記録用紙26が定着装置35によって定着処理を受けて、フルカラーやモノクロ等の画像が形成される。
【0073】
そして、上記画像形成装置では、図6に示すように、複数枚の記録用紙26に同一の画像又は異なる画像を連続して形成する際に、図1に示すように、第1の画像形成時に、高圧電源回路110によって二次転写ロール27に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に二次転写ロール27に通電される転写電流Iが電流検知回路111によって検知される。
【0074】
次に、上記画像形成装置では、図1に示すように、制御回路201によって、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値Iと等しい電圧値となるように、高圧電源回路110によって定電圧制御を行うようになっている。
【0075】
そのため、この実施の形態に係る画像形成装置では、図1に示すように、第1の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写バイアスを定電圧制御し、第1の画像形成の次に実行される第2の画像形成時に二次転写ロール27に印加する第2の転写電圧を、電流値Iと等しい電圧値となるように定電圧制御するので、第2の画像形成時に、二次転写ロール27の抵抗値が低下した場合などであっても、第2の転写電圧が異常に上昇したり、転写電流が上昇するのを抑制することが可能となる。
【0076】
しかも、この実施の形態では、第1の画像形成時に定電圧制御することにより、例えば、二次転写電圧が1500Vとなるように定電圧制御した場合、図7に示すように、そのときの電流値は、40μAとなる。
【0077】
ところで、この実施の形態では、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値40μAとなる電圧値、つまり、当該40μAの電流値を定電圧制御で通電するための電圧値は、図10に示すように、1497V程度となって二次転写の電圧値が略一定となり、1枚目の記録用紙と2枚目以降の記録用紙の画像濃度を略一定に制御すること可能となる。
【0078】
実験例
本発明者らは、図2及び図3に示すような画像形成装置のベンチモデルを使用し、A4サイズの普通紙にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のトナー像を重ね合わせた三重色のトナー像であるプロセス黒(K)の濃度100%のベタ画像と、マゼンタ(M)色のトナー像TMとシアン(C)色のトナー像TCを重ね合わせた二重色のトナー像である青色(ブルー)の濃度100%のベタ画像を、それぞれA4サイズの普通紙からなる記録用紙26に連続して30枚にわたって画像を形成した場合において、記録用紙26の表面に位置するイエロー(Y)色のトナー像の濃度と、マゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度とを、手動操作型の測色器314を用いてL*a*b*の表色系で読み取り、トナー像の濃度がどのように変化するか確認する実験を行った。
【0079】
ここで、記録用紙26の表面に位置するイエロー(Y)色のトナー像の濃度と、マゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度を測定したのは、図 に示すように、これらのプロセス黒(K)の画像におけるイエロー(Y)色のトナー像、及び青色(ブルー)の画像におけるマゼンタ(M)色のトナー像TMは、中間転写ベルト21の表面に接触した状態で形成されるため、当該イエロー(Y)色のトナー像及びマゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度を測定することで、二次転写位置における転写性を評価することができるからである。
【0080】
図11は上記実験の結果を示すものである。
【0081】
この図11から明らかなように、本実施の形態に係る画像形成装置では、1枚目から30枚目にわたってイエロー(Y)色のトナー像及びマゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度が略一定であり、特に1枚目と2枚目のトナー像の間で図8に示すような従来技術のように大幅な濃度変動がなく、転写性を良好に維持することができることが判った。
【0082】
また、図12は上記画像形成装置において二次転写電圧を変化させた場合に、低温低湿環境下においてハーフトーンの画像などにMWS(マイクロホワイトスポット)と呼ばれる数10〜数100μmレベルの白抜けが発生する度合い(グレード)を評価した結果を示すグラフである。
【0083】
この図12から明らかなように、第1の画像形成時に定電圧制御を行い、第2の画像形成時に定電流制御を行う従来の画像形成装置にように、第1の画像形成時と第2の画像形成時に二次転写電圧が2.1KV以上にわたって変化すると、マイクロホワイトスポットがうっすら見える程度(グレード1)を越えて、マイクロホワイトスポットが見える(グレード3)或いはマイクロホワイトスポットがはっきり見える程度(グレード5)に近い程度(グレード4)となり、画質欠陥が発生するのに対して、本発明では、第1の画像形成時と、第2の画像形成時の転写電圧が2.0KVに抑えることができ、画像の転写性を満足しつつ、マイクロホワイトスポットと呼ばれる画質欠陥が発生するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
17:感光体ドラム、27:二次転写ロール、110:高圧電源回路、111:電流検出回路、201:制御回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置においては、連続した画像形成時に、転写不良が発生するのを防止し得る技術として、例えば、特開2008−225271号公報等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
上記特開2008−225271号公報に係る画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、
該像担持体上のトナー像を被転写材へ転写させるため、上記像担持体と共に上記被転写材を挟圧する転写部材と、
該転写部材に転写バイアスを印加する転写バイアス印加装置と、
該転写部材に流れる電流を検知する電流検知装置と、
上記転写バイアスの電流の波形を決定するための転写電流決定制御を行う制御部とを備えた画像形成装置であって、
上記転写電流決定制御は、連続プリントの際、
第1の画像を形成する際の上記転写バイアスを定電圧制御し、
該定電圧制御時に上記転写部材に流れる第1の電流の波形を、上記電流検知装置により検知し、
該検知された上記第1の電流の波形に基づき、上記第1の画像の次の第2の画像を形成する際に上記転写部材に印加する第2の電流の波形を決定する制御であり、
上記制御部は、上記転写電流決定制御により上記第2の電流の波形を決定し、上記第2の画像を形成する際の上記転写バイアスについて、上記第2の電流の波形が上記の決定した波形となるような電流制御を行うように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−225271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制可能とした画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載された発明は、トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段に通電される転写電流を検知する電流検知手段と、
前記記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に前記転写手段に通電される転写電流を前記電流検知手段によって検知し、
第2の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を前記電流検知手段によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
また、請求項2に記載された発明は、前記像保持体は、単一又は複数の感光体ドラム上に順次形成される複数のトナー像が多重に転写される中間転写体からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制することができる。
【0009】
また、請求項2に記載された発明によれば、中間転写体から記録媒体に単色画像や多重色画像が転写される場合に、連続した画像形成時に、定電圧制御から定電流制御に切り替わることに起因した画質低下が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4は中間転写ベルト上に保持されたトナー像を示す模式図である。
【図5】図5は記録用紙上に形成されたトナー像を示す模式図である。
【図6】図6は記録用紙に連続して形成される画像を示す模式図である。
【図7】図7は従来の画像形成装置における定電圧制御と定電流制御の特定を示すグラフである。
【図8】図8は従来の画像形成装置における転写電圧及び転写電流の変化を示すグラフである。
【図9】図9は従来の画像形成装置における画像濃度の変化を示すグラフである。
【図10】図10はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置における転写電圧及び転写電流の変化を示すグラフである。
【図11】図11はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置における画像濃度の変化を示すグラフである。
【図12】図12は画質欠陥の発生状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としての4サイクル方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。また、このカラー画像形成装置は、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとして機能するとともに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するプリンタとしても機能する。
【0013】
図2において、1は画像形成装置の本体を示すものであり、この画像形成装置本体1の上部には、原稿2を1枚ずつ分離した状態で画像読取装置4へと自動的に搬送する自動原稿搬送装置3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る画像読取装置4が配置されている。この画像読取装置4は、プラテンガラス5上に配置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像をフルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
【0014】
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の画像データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の画像データに対して、必要に応じてシェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換される。
【0015】
そして、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色に対応した画像データとして画像露光装置13に順次送られ、この画像露光装置13では、画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。なお、上記画像形成装置は、プリンタとしても機能するように構成されており、当該画像形成装置がプリンタとして機能する場合には、画像処理装置12にパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ(図示せず)から画像データが入力され、必要に応じて画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された後、画像露光装置13に4色に対応した画像データが順次出力される。
【0016】
上記画像形成装置本体1の内部には、色の異なる複数のトナー像を順次形成することが可能な画像形成手段としての画像形成部50が配置されている。この画像形成部50は、大別として、トナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム17と、感光体ドラム17の表面を予め定められた電位に帯電する帯電手段の一例としてのグリッド電極を有するコロナ帯電装置であるスコロトロン帯電装置18と、感光体ドラム17の表面に画像露光を施すことにより画像データに応じた静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての画像露光装置13と、前記感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像を互いに色の異なる複数のトナーによって順次現像して互いに色の異なる複数のトナー像を形成可能な現像手段としての回転式の現像装置19と、感光体ドラム17の表面を清掃する清掃手段としてのクリーニング装置20とを備えている。なお、上記帯電手段18としては、コロナ帯電装置に限らずロール状の帯電部材を用いても良い。
【0017】
上記画像露光装置13は、図3に示すように、図示しない半導体レーザーを画像データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡14によって偏向走査され、f・θレンズ15及び反射ミラー16を介して像保持体としての感光体ドラム17の表面に走査露光される。
【0018】
上記画像露光装置13によってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム17は、図2に示すように、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って予め定められた速度(例えば、270mm/secや110mm/secなどの複数の速度)で回転駆動される。
【0019】
この感光体ドラム17の表面は、一次帯電用のスコロトロン帯電装置18によって予め定められた極性(例えば、負極性)及び電位に帯電された後、画像データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の現像器(現像手段)19Y、19M、19C、19Kを回転可能に備えた回転式の現像装置19のうち、いずれか1つの現像器19Y、19M、19C、19Kが感光体ドラム17と対向する現像位置に移動することによって、例えば、感光体ドラム17の帯電極性と同極性の負極性に帯電したトナーによって反転現像され、予め定められた色のトナー像となる。なお、上記回転式の現像装置19としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の現像器19Y、19M、19C、19K以外に、例えば、透明トナー(CT)や濃度の淡いマゼンタ(LM)、濃度の淡いシアン(LC)などに対応した現像器19#1、19#2が、2つまで予備として装着可能となっている。その際、これらの透明トナー(CT)や濃度の淡いマゼンタ(LM)、濃度の淡いシアン(LC)などに対応した画像データは、画像処理装置12によって生成される。
【0020】
上記感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像は、図2に示すように、当該感光体ドラム17の下部に配置された中間転写体としての無端状のベルトからなる中間転写ベルト21上に、一次転写手段としての一次転写ロール22によって多重に一次転写される。中間転写ベルト21は、感光体ドラムから転写されたトナー像を保持する像保持体として機能するものである。この中間転写ベルト21は、駆動ロール23、第1の従動ロール24a、第2の従動ロール24b、張力付与ロール24c、第3の従動ロール24d及び二次転写手段の一部を構成する対向ロール25によって張り渡されており、感光体ドラム17の回転速度と略等しい速度で矢印方向に沿って循環駆動される。
【0021】
上記中間転写ベルト21上には、最終的に形成する画像の色に応じて、感光体ドラム17上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のすべて又は一部の色のトナー像が、一次転写ロール22によって順次重ね合わせた状態で転写される。この中間転写ベルト21上に転写されたトナー像は、予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送される記録媒体としての記録用紙26上に、中間転写ベルト21を支持する対向ロール25と、当該対向ロール25に中間転写ベルト21を介して圧接する二次転写手段としての二次転写ロール27によって一括して二次転写される。上記記録用紙26は、図2に示すように、画像形成装置本体1内の下部に配置された複数の給紙カセット28、29、30のうちの何れかから、所望のサイズ及び材質のものが給紙ロール28a、29a、30aによって給紙される。上記複数の給紙カセット28、29、30からは、普通紙以外にも、厚紙、コート紙、薄紙等の所望の材質のものが給紙可能となっている。なお、普通紙や厚紙、コート紙、薄紙等の記録用紙26は、坪量によって分類される。給紙された記録用紙26は、複数の搬送ロール31、32及びレジストロール33によって、予め定められたタイミングで中間転写ベルト21の二次転写位置まで搬送される。そして、上記記録用紙26には、上述したように、対向ロール25及び二次転写ロール27によって、中間転写ベルト21上から予め定められた数色のトナー像が一括して二次転写される。
【0022】
また、上記中間転写ベルト21上から予め定められた数色のトナー像が二次転写された記録用紙26は、中間転写ベルト21から分離された後、搬送ベルト34によって定着装置35へと搬送され、この定着装置35によって熱及び圧力で未定着トナー像が記録用紙26上に定着され、片面複写の場合には、排出ロール36によってそのまま排紙トレイ37上に排出されてカラー画像やモノクロ画像等の画像形成工程が終了する。
【0023】
上記画像形成装置は、記録用紙26の第1面及び第2面からなる表裏両面に画像を形成することが可能に構成されており、定着装置35によって第1面にトナー像が定着された記録用紙26を、記録用紙26の表裏を反転して再度二次転写部へと搬送する両面用の搬送手段を備えている。
【0024】
即ち、上記画像形成装置において記録用紙26の両面に画像を形成する場合には、図2に示すように、第1面(表面)にカラー画像等が形成された記録用紙26を、そのまま排紙トレイ37上に排出せずに、図示しない反転ゲートによって下向きに搬送方向が変更され、搬送ロール38及び反転ロール39によって反転用通路40へと一旦搬送される。そして、上記記録用紙26は、今度は逆転する反転ロール39によって両面用通路41へと搬送され、この両面用通路41に設けられた搬送ロール42によってレジストロール33まで一旦搬送される。そして、上記記録用紙26は、中間転写ベルト21上のトナー像と同期してレジストロール33によって再度搬送され、当該記録用紙26の第2面(裏面)に対してトナー像の転写及び定着工程が行われた後、排出トレイ37上に排出される。
【0025】
この実施の形態では、これらの搬送ロール38及び反転ロール39、反転用通路40、両面用通路41及び搬送ロール42によって、両面用の搬送手段が構成されているが、両面用の搬送手段としては、これに限定されず、定着手段によって第1面にトナー像が定着された記録媒体を、記録媒体の表裏を反転して再度前記転写手段へと搬送するものであれば良い。
【0026】
なお、図2中、43は所望のサイズ及び材質の記録用紙26を手差しで給紙する手差しトレイを示している。
【0027】
図3は上記画像形成装置の画像形成部50を示す構成図である。
【0028】
この画像形成装置では、上述したように、感光体ドラム17の表面が一次帯電用のスコロトロン帯電装置18によって予め定められた極性及び電位に一様に帯電された後、当該感光体ドラム17の表面には、画像露光装置13によって順次予め定められた色に対応した画像が露光され、静電潜像が形成される。
【0029】
そして、上記の如く感光体ドラム17の表面に各色に対応して順次形成される静電潜像は、図3に示すように、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19Kによって現像され、当該感光体ドラム17の表面には、予め定められた色のトナー像Tが形成される。
【0030】
上記回転式の現像装置19には、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器19Y、19M、19C、19Kが周方向に沿って配置されており、回転軸197を中心にして矢印方向に沿って回転することにより、対応する色の現像器19Y、19M、19C、19Kの現像ロール196が感光体ドラム17と対向する現像位置へと移動して停止し、所望の色のトナーによって感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像を現像するように構成されている。
【0031】
上記現像器19Y、19M、19C、19Kとしては、図3に示すように、例えば、現像器本体191の内部にトナーとキャリアとからなる二成分の現像剤192を収容した二成分方式の現像器が用いられる。上記現像器本体191の内部には、予め定められたタイミングでトナーカートリッジ193Y〜193K(図2参照)からトナーが補給され、現像器本体191内のトナー濃度を予め定められた範囲内に維持するように構成されている。また、上記現像器本体191の内部に供給されたトナーは、2本の現像剤攪拌搬送用のオーガ194、195によって現像器本体191内の現像剤192と攪拌されて摩擦帯電され、循環移動する間に現像ロール196へ供給されるとともに、当該現像ロール196の表面に形成された現像剤192の磁気ブラシとして感光体ドラム17の表面と対向する現像領域へと搬送され、感光体ドラム17の表面に形成された静電潜像の現像に供される。
【0032】
例えば、上記感光体ドラム17上に形成された静電潜像がイエロー色に対応したものであれば、この静電潜像は、イエロー色の現像器19Yによって現像され、感光体ドラム17上には、イエロー色のトナー像Tが形成される。また、他のマゼンタ色、シアン色、ブラック色についても、同様のプロセスによって対応する色のトナー像Tが、感光体ドラム17上に順次形成される。
【0033】
上記感光体ドラム17上に順次形成された各色のトナー像Tは、感光体ドラム17と中間転写ベルト21とが接触する一次転写位置において、感光体ドラム17上から中間転写ベルト21の表面に一次転写される。この一次転写位置には、中間転写ベルト21の裏面側に一次転写ロール22が配置されており、中間転写ベルト21は、一次転写ロール22によって感光体ドラム17の表面に接触するようになっている。一次転写ロール22には、トナーの帯電極性と逆極性(正極性)の電圧が印加され、感光体ドラム17上に形成されたトナー像Tは、中間転写ベルト21上に一次転写される。
【0034】
単色の画像を形成する場合は、中間転写ベルト21上に一次転写された予め定められた色のトナー像Tが、二次転写位置において直ちに記録用紙26上に二次転写されるが、複数色のトナー像Tを重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム17上への予め定められた色のトナー像Tの形成、並びにトナー像Tの中間転写ベルト21上への多重な一次転写の工程が、予め定められた色数分だけ繰り返される。
【0035】
例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー像Tを重ね合わせたフルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム17上には、その一回転毎にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像Tが順次形成され、これらの4色のトナー像は、中間転写ベルト21上に重ね合わせた状態で順次一次転写される。
【0036】
また、感光体ドラム17から中間転写ベルト21上に一次転写されずに残留したトナーやトナーの外添剤等は、図3に示すように、クリーニング前徐電装置44によって徐電された後、クリーニング装置20によって清掃される。クリーニング装置20は、感光体ドラム17の表面に残留したトナーやトナーの外添剤等の付着物を、クリーニングブラシ201及びクリーニングブレード202によって除去するとともに、除去されたトナー等の付着物が搬送オーガ203によって予め定められたタイミングでクリーニング装置20の外部に排出されるように構成されている。さらに、クリーニング装置20によって清掃された感光体ドラム17の表面は、徐電ランプ46によって一様に露光されて徐電され、次の画像形成工程に備える。
【0037】
また、上記中間転写ベルト21は、最初に一次転写された例えばイエロー色の未定着トナー像Tを保持したまま、感光体ドラム17と同期した周期で回転し、当該中間転写ベルト21上には、図4に示すように、その一回転毎にマゼンタ色、シアン色及び黒色の未定着トナー像TM、TC、TKが、単独又はイエロー色の未定着トナー像TYに順次重ね合わされた状態で転写される。
【0038】
このようにして中間転写ベルト21に一次転写された未定着トナー像Tは、中間転写ベルト21の回転に伴って、記録用紙26の搬送経路に面した二次転写位置へと搬送される。
【0039】
そして、この記録用紙26は、図2に示す如く、前述したように、所望の給紙カセット28、29、30から給紙ロール28a、29a、30aによって給紙され、搬送ロール31、32によってレジストロール33まで搬送され、レジストロール33によって所定のタイミングで、二次転写ロール27と中間転写ベルト21との圧接部間に給送される。
【0040】
また、二次転写位置における中間転写ベルト21の裏面側には、図3に示すように、二次転写ロール27の対向電極をなす対向ロール25が配設されている。二次転写位置では、二次転写ロール27が常時中間転写ベルト21に圧接するか、又は、予め定められたタイミングで二次転写ロール27が中間転写ベルト21に圧接し、二次転写ロール27にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加するか、又は対向ロール25にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加することにより、トナー像保持体としての中間転写ベルト21上に転写された未定着トナー像Tは、前記二次転写位置において記録用紙26上に一括して二次転写される。
【0041】
なお、図3中、符号49は、中間転写ベルト21の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置を示しており、このベルトクリーニング装置49は、通常は中間転写ベルト21の表面から離間しているとともに、中間転写ベルト21の表面に予め定められたタイミングで接触するように構成されている。
【0042】
また、上記画像形成装置の画像形成部50としては、単一の感光体ドラム17を備えたものに限らず、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色等に対応した複数(例えば、4つ)の感光体ドラムを備え、これらの各感光体ドラム17上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト21上に多重に一次転写するものであっても良い。
【0043】
そして、未定着トナー像Tが転写された記録用紙26は、図3に示すように、中間転写ベルト21から剥離され、二次転写部の下流に配置された電極部材47、案内板48および搬送ベルト34によって定着装置35(図2に参照)に送り込まれ、未定着トナー像Tの定着処理がなされる。
【0044】
上記中間転写ベルト21は、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電化剤を適当量分散させて、その体積抵抗率が106 〜1014Ω・cmとなるように調整したフィルム状のベルトによって形成されている。この中間転写ベルト21の厚さは、例えば、0.1mmに設定される。なお、上記中間転写ベルト21の周長は、感光体ドラム17の周長の整数倍(例えば、2〜3倍)に設定されている。
【0045】
また、上記二次転写ロール27は、必要に応じて、中間転写ベルト21と接離可能に配設されており、カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像Tが中間転写ベルト21上に一次転写されるまで、中間転写ベルト21から離間している。なお、上記二次転写ロール27は、中間転写ベルト21に接触したままの状態であっても良い。
【0046】
さらに、上記二次転写ロール27は、例えば、イオン導電性の導電材料を分散したウレタンゴム等からなる弾性体層を備えており、当該二次転写ロール27は、例えば、その体積抵抗率が103 〜1010Ω・cmに設定され、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカーC硬度)に設定される。
【0047】
一方、上記背面支持ロール25は、イオン導電性の導電材料を分散したEPDMのゴムからなる弾性体層を備えており、例えば、その表面抵抗率が107 〜1010Ω/□で、ロール径がφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC硬度)に設定される。
【0048】
また、二次転写位置の当接部下流に配置された電極部材47は、導電性の板状部材として板金が好ましく、この実施の形態では厚さ0.5mmのスレンレス鋼板を使用しており、記録用紙26側を針状としたものが用いられている。さらに、上記電極部材47の2次転写領域側の先端は、例えば、背面支持ロール25と二次転写ロール27のニップ部が成す線より1mmだけ二次転写ロール27側で、かつニップ部の出口より7mmだけ離れて配置されている。
【0049】
ところで、上記の如く構成される画像形成装置では、図2及び図3に示すように、最終的に形成する画像の色に応じて、感光体ドラム17上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像Tが順次形成され、これらのトナー像が図4に示すように中間転写ベルト21上に単独又は互いに重ね合わされた状態で一次転写された後、中間転写ベルト21上から記録用紙26に一括して二次転写され定着されて、所望の色の画像が形成される。
【0050】
例えば、赤色(レッド)の画像を形成する場合には、図4に示すように、イエロー(Y)色のトナー像TYとマゼンタ(M)色のトナー像TMを重ね合わせた二重色のトナー像が形成され、緑色(グリーン)の画像を形成する場合には、イエロー(Y)色のトナー像TYとシアン(C)色のトナー像TCを重ね合わせた二重色のトナー像が形成され、青色(ブルー)の画像を形成する場合には、マゼンタ(M)色のトナー像TMとシアン(C)色のトナー像TCを重ね合わせた二重色のトナー像が形成される。
【0051】
また、黒色(K)の画像を形成する場合であっても、図4に示すように、ユーザの指定や画像によって黒(K)の単色のトナー像TKからなる単一色の画像が形成される場合以外に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のトナー像TY、TM、TCを重ね合わせた3重色のトナー像(いわゆるプロセス黒:PK)が形成される場合がある。
【0052】
このように像保持体としての中間転写ベルト21上に保持される画像は、図4に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の単色(単一)のトナー像Tからなる画像や、イエロー(Y)、マゼンタ(M)を重ね合わせた二重色、イエロー(Y)、マゼンタ(M)を重ね合わせた二重色、マゼンタ(M)とシアン(C)を重ね合わせた二重色、あるいはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のトナー像Tを重ね合わせた3重色の多重トナー像など、種々のトナー像が形成され、これら中間転写ベルト21上に保持されたトナー像が一括して二次転写ロール27によって記録媒体26上に一括して二次転写され、定着装置35によって定着される。
【0053】
なお、図4は、中間転写ベルト21上に多重に一次転写されたトナー像を示しており、中間転写ベルト21から記録媒体26上に一括して二次転写されたトナー像は、図5に示すように、各色のトナー像の積層状態が上下逆となる。
【0054】
ところで、上記画像形成装置では、図2に示すように、複数枚の記録用紙26上に同一の画像又は異なる画像を連続して形成する際に、複数枚の記録用紙26に形成される画像の濃度を略一定に制御する必要がある。
【0055】
ここで、記録用紙26に連続して画像を形成する場合としては、例えば、図6(a)に示すように、1ページの同一の画像を複数枚の記録用紙261 、262、263 、264 、264 、・・・26nにわたって連続して画像を形成する場合がある。このとき、1枚目の記録用紙261 の画像を第1の画像、2枚目の記録用紙262の画像を第2の画像、3枚目の記録用紙263 の画像第3の画像と称する。
【0056】
また、記録用紙26に連続して画像を形成する場合としては、例えば、図6(a)に示すように、複数ページ(図示例では、2ぺージ)からなる画像を1組として、複数組にわたって連続して画像を形成する場合がある。この場合には、1組目の複数ページからなる画像を第1の画像と称し、2組目の複数ページからなる画像を第2の画像と称し、3組目の複数ページからなる画像を第3の画像と称する。
【0057】
従来の画像形成装置では、像保持体としての中間転写ベルト21上に保持された単色又は複数色のトナー像を二次転写ロール27によって記録媒体26上に一括して二次転写するにあたり、第1の画像を形成する際の二次転写ロール27に印加する転写バイアスを定電圧制御し、定電圧制御時に二次転写ロール27に流れる第1の電流の波形を、電流検知装置により検知し、検知された第1の電流の波形に基づいて、第1の画像の次の第2の画像を形成する際に二次転写ロール27に印加する第2の電流の波形を決定するように制御されていた。
【0058】
かかる従来の画像形成装置のように、第1の画像を形成する際の二次転写ロール27に印加する転写バイアスを定電圧制御し、第1の画像の次の第2の画像を形成する際に二次転写ロール27に印加する第2の電流を定電流制御するように構成した場合には、第2の画像形成時に、二次転写ロール27の抵抗値が低下することに伴って電流値が上昇することに対応することが可能である。
【0059】
しかしながら、上記従来の画像形成装置の場合には、第1の画像形成時の定電圧制御から第2の画像形成時の定電流制御に切り替わることにより、定電圧制御と定電流制御における電圧と電流との特性が図7に示すような関係にあるため、例えば、二次転写電圧が1500Vとなるように定電圧制御した場合、そのときの電流値は、40μAとなるが、当該40μAの電流値を定電流制御で通電するための電圧値は、図8に示すように、約2050Vとなって二次転写の電圧値が大きく変化してしまい、図9に示すように、1枚目の記録用紙と2枚目の記録用紙とで画像濃度が大きく変動してしまい、連続した画像形成時に画像濃度の変動を抑制することができなかった。
【0060】
なお、定電圧電源としては、理想的には内部インピーダンスが“0”である必要があるが、実際の定電圧電源回路では、ある程度の内部インピーダンスが存在する。また、定電流電源としては、理想的には内部インピーダンスが無限大である必要があるが、実際の定電流電源回路では、内部インピーダンスが有限の値となる。
【0061】
また、上記従来の画像形成装置では、定電圧制御から定電流制御に切り替えられた際に、図7に示すように、二次転写ロールに約2050Vという大幅に高い二次転写電圧値が印加されるため、特に低温低湿環境下において、ハーフトーンの画像などにMWS(マイクロホワイトスポット)と呼ばれる数10〜数100μmレベルの白抜けが発生する虞れを有していた。
【0062】
そこで、この実施の形態に係る画像形成装置では、図1に示すように、記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、二次転写ロールに印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に二次転写ロールに通電される転写電流を電流検知手段によって検知し、第2の画像形成時に、二次転写ロールに印加する転写電圧を電流検知手段によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段としての高圧電源回路110を備えるように構成されている。
【0063】
図1はこの実施の形態に係る画像形成装置の制御回路を示すブロック図である。
【0064】
図1において、200は画像形成装置の動作を制御する制御装置を示すものであり、この制御装置200は、画像形成装置の動作を制御するCPU等からなる制御回路201と、画像形成装置の動作を制御するためのプログラムやパラメータ等を記憶する記憶部202と、信号の入出力を制御する入出力制御部203とを備えている。
【0065】
また、上記制御回路201は、図1に示すように、入出力制御部203を介して画像形成部50を制御するとともに、定電圧制御手段としての高圧電源回路110を介して二次転写ロール27に印加する転写電圧又は転写電流を予め定められた値に制御するように構成されている。高圧電源回路110は、例えば、定電圧制御回路を含むうように構成される。上記高圧電源回路110と二次転写ロール27との間には、二次転写ロール27に通電される電流値を検知する電流検知回路111が設けられている。そして、上記制御回路201は、第1の画像形成時に二次転写ロール27に通電される転写電流を電流検知回路111によって検知し、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行うように定電圧電源としての高圧電源回路110を制御する。
【0066】
すなわち、この実施の形態では、図1に示すように、二次転写ロール27に二次転写バイアスを印加する高圧電源回路110を備えており、この高圧電源回路110は、二次転写ロール27に印加する二次転写バイアスを制御装置201からの制御信号に基づいて予め定められた一定の電圧値に制御する定電圧制御を行うようになっている。
【0067】
そして、上記制御回路201は、図1に示すように、記録用紙26に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を高圧電源回路110によって定電圧制御するとともに、この第1の画像形成時に二次転写ロール27に通電される転写電流Iを電流検知回路111によって検知し、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値Iとなる電圧値を用いて高圧電源回路110によって定電圧制御を行う。
【0068】
その際、上記高圧電源回路110は、第1の画像形成時及び第2の画像形成時に、基本的に定電圧制御を行うが、第1の画像形成時には、予め定められた電圧値、例えば、1500Vとなるように定電圧制御を行う。このとき、二次転写ロール27に流れる転写電流Iは、環境条件や二次転写ロール27の抵抗値、対向ロール25の抵抗値、記録用紙26の材質、中間転写ベルト21の抵抗値など種々の要因によって変化するが、予め定められた電圧値、例えば、1500Vの二次転写バイアスを印加したときにある電流値Iとなり、この電流値Iが電流検知回路111によって検知される。
【0069】
そして、上記高圧電源回路110は、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって電流値Iを検知しながら、第1の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値Iと等しくなる電圧値を用いて定電圧制御を行うが、この第2の画像形成時に、電流検知回路111によって検知された電流値Iとなる電圧値、つまり電流値がIとなる電圧値を用いて定電圧制御が行われる。
【0070】
ここで、定電流制御を行う場合と、電流値がIとなる電圧値を用いて定電圧制御を行う場合の相違は、定電流制御が理想的には内部インピーダンスが無限大、実際には有限の内部インピーダンスを有する回路を用いて電流が一定となる制御が行われるのに対して、電流値がIとなる電圧値を用いて定電圧制御を行う場合は、理想的には内部インピーダンスが“0”、実際にはある程度の小さな内部インピーダンスが存在する回路を用いて、電流値がIとなる電圧値となるように定電圧制御が行われる。
【0071】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、連続した画像形成時に、定電流制御に起因した画質低下が発生するのを抑制することが可能となっている。
【0072】
すなわち、この実施の形態に係る画像形成装置では、図2に示すように、画像処理装置12に入力される画像データに基づいて、感光体ドラム17上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色のトナー像が順次形成され、これらの感光体ドラム17上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト21上に互いに重ね合わせた状態で順次一次転写された後、当該中間転写ベルト21上から記録用紙26上に二次転写ロール27に印加される二次転写バイアスによって一括して二次転写され、記録用紙26が定着装置35によって定着処理を受けて、フルカラーやモノクロ等の画像が形成される。
【0073】
そして、上記画像形成装置では、図6に示すように、複数枚の記録用紙26に同一の画像又は異なる画像を連続して形成する際に、図1に示すように、第1の画像形成時に、高圧電源回路110によって二次転写ロール27に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に二次転写ロール27に通電される転写電流Iが電流検知回路111によって検知される。
【0074】
次に、上記画像形成装置では、図1に示すように、制御回路201によって、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値Iと等しい電圧値となるように、高圧電源回路110によって定電圧制御を行うようになっている。
【0075】
そのため、この実施の形態に係る画像形成装置では、図1に示すように、第1の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写バイアスを定電圧制御し、第1の画像形成の次に実行される第2の画像形成時に二次転写ロール27に印加する第2の転写電圧を、電流値Iと等しい電圧値となるように定電圧制御するので、第2の画像形成時に、二次転写ロール27の抵抗値が低下した場合などであっても、第2の転写電圧が異常に上昇したり、転写電流が上昇するのを抑制することが可能となる。
【0076】
しかも、この実施の形態では、第1の画像形成時に定電圧制御することにより、例えば、二次転写電圧が1500Vとなるように定電圧制御した場合、図7に示すように、そのときの電流値は、40μAとなる。
【0077】
ところで、この実施の形態では、第2の画像形成時に、二次転写ロール27に印加する転写電圧を電流検知回路111によって検知された電流値40μAとなる電圧値、つまり、当該40μAの電流値を定電圧制御で通電するための電圧値は、図10に示すように、1497V程度となって二次転写の電圧値が略一定となり、1枚目の記録用紙と2枚目以降の記録用紙の画像濃度を略一定に制御すること可能となる。
【0078】
実験例
本発明者らは、図2及び図3に示すような画像形成装置のベンチモデルを使用し、A4サイズの普通紙にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のトナー像を重ね合わせた三重色のトナー像であるプロセス黒(K)の濃度100%のベタ画像と、マゼンタ(M)色のトナー像TMとシアン(C)色のトナー像TCを重ね合わせた二重色のトナー像である青色(ブルー)の濃度100%のベタ画像を、それぞれA4サイズの普通紙からなる記録用紙26に連続して30枚にわたって画像を形成した場合において、記録用紙26の表面に位置するイエロー(Y)色のトナー像の濃度と、マゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度とを、手動操作型の測色器314を用いてL*a*b*の表色系で読み取り、トナー像の濃度がどのように変化するか確認する実験を行った。
【0079】
ここで、記録用紙26の表面に位置するイエロー(Y)色のトナー像の濃度と、マゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度を測定したのは、図 に示すように、これらのプロセス黒(K)の画像におけるイエロー(Y)色のトナー像、及び青色(ブルー)の画像におけるマゼンタ(M)色のトナー像TMは、中間転写ベルト21の表面に接触した状態で形成されるため、当該イエロー(Y)色のトナー像及びマゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度を測定することで、二次転写位置における転写性を評価することができるからである。
【0080】
図11は上記実験の結果を示すものである。
【0081】
この図11から明らかなように、本実施の形態に係る画像形成装置では、1枚目から30枚目にわたってイエロー(Y)色のトナー像及びマゼンタ(M)色のトナー像TMの濃度が略一定であり、特に1枚目と2枚目のトナー像の間で図8に示すような従来技術のように大幅な濃度変動がなく、転写性を良好に維持することができることが判った。
【0082】
また、図12は上記画像形成装置において二次転写電圧を変化させた場合に、低温低湿環境下においてハーフトーンの画像などにMWS(マイクロホワイトスポット)と呼ばれる数10〜数100μmレベルの白抜けが発生する度合い(グレード)を評価した結果を示すグラフである。
【0083】
この図12から明らかなように、第1の画像形成時に定電圧制御を行い、第2の画像形成時に定電流制御を行う従来の画像形成装置にように、第1の画像形成時と第2の画像形成時に二次転写電圧が2.1KV以上にわたって変化すると、マイクロホワイトスポットがうっすら見える程度(グレード1)を越えて、マイクロホワイトスポットが見える(グレード3)或いはマイクロホワイトスポットがはっきり見える程度(グレード5)に近い程度(グレード4)となり、画質欠陥が発生するのに対して、本発明では、第1の画像形成時と、第2の画像形成時の転写電圧が2.0KVに抑えることができ、画像の転写性を満足しつつ、マイクロホワイトスポットと呼ばれる画質欠陥が発生するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
17:感光体ドラム、27:二次転写ロール、110:高圧電源回路、111:電流検出回路、201:制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段に通電される転写電流を検知する電流検知手段と、
前記記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に前記転写手段に通電される転写電流を前記電流検知手段によって検知し、
第2の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を前記電流検知手段によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像保持体は、単一又は複数の感光体ドラム上に順次形成される複数のトナー像が多重に転写される中間転写体からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記転写手段に通電される転写電流を検知する電流検知手段と、
前記記録媒体に連続して画像を形成する際に、第1の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を定電圧制御するとともに、当該第1の画像形成時に前記転写手段に通電される転写電流を前記電流検知手段によって検知し、
第2の画像形成時に、前記転写手段に印加する転写電圧を前記電流検知手段によって検知された電流値となる電圧値を用いて定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像保持体は、単一又は複数の感光体ドラム上に順次形成される複数のトナー像が多重に転写される中間転写体からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−54182(P2013−54182A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191747(P2011−191747)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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