説明

画像形成装置

【課題】経済性を損なうことなく、トラブル等が生じたことをユーザーに対して音声によって適切に伝えることができる。
【解決手段】音声振動発生器32から出力される機械的振動が、伝搬経路34a〜34iを介して振動伝達遮断機構71〜79のそれぞれに伝達されて、振動伝達状態になった振動伝達遮断機構71〜79によって、面状部材である原稿ガラス13、排紙トレイ20a、前扉20b、右扉64、手差し給紙台65、給紙カセット61A〜61Dのそれぞれの音声出力部に伝達される。音声出力部または音声出力部の近傍の所定部材に設けられたいずれかのセンサーによって状態変化が検出されると、その状態変化を検出したセンサーの近傍の音声出力部からは、その状態変化に対応した音声が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーに対して各種情報を音声によって伝えることができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、MFP装置等の画像形成装置では、操作パネルの近傍にスピーカーを設けて、トラブルの発生、トラブル処理のガイダンス等を音声により出力することが知られている。
例えば特許文献1には、画像形成装置の正面に設けられた操作パネルにスピーカーを設けて、紙詰まり、トナー切れ等のトラブルが発生したときに、トラブルを解消するための手順を音声ガイダンスとしてスピーカーから出力する構成が開示されている。このような構成により、トラブルが発生した場合に、画像形成装置を操作するユーザーは、スピーカーから出力される音声ガイダンスに従って、トラブルを解消するための処理を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−122197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、スピーカーから出力される音声は、画像形成装置の前方へ向かって球面波として出力されるために、トラブルの処理を実行するユーザーだけでなく、画像形成装置の周囲の人にも聞こえることになる。この場合、スピーカーから出力される音声は、トラブルの処理を実行するユーザー以外の人にとって必要のない内容であるために、周囲の人は、スピーカーからの音声を騒音と捉えて不快に感じるおそれがある。
【0005】
また、ユーザーがトラブル解消のために、画像形成装置の側方に位置している場合には、スピーカーから前方に向けて出力される音声を明確に聞き取ることができないおそれがある。
ユーザーがスピーカーから出力される音声を明確に聞き取ることができるようにするためには、トラブルが生じる可能性のある複数個所のそれぞれの近傍にスピーカーを配置して、それぞれのスピーカーから、各スピーカーの近傍において発生したトラブルに関する情報を出力する構成とすればよい。しかし、このような構成とする場合には、複数のスピーカーが必要であるために、経済性が損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、経済性を損なうことなく、また、周囲の人に不快感を与えることを抑制することができて、トラブル等の状態変化が生じたことを音声によってユーザーに適切に伝えることができ、しかも、ユーザーがトラブル等の状態変化に対して迅速に対処することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、ユーザー操作により上面が開放される原稿台、ユーザー操作が可能なように外部に露出した手差し給紙台、給紙カセット、開閉部材等の、機械的振動を音声として出力が可能な面状部材を複数備え、記録シートにトナー画像を形成する画像形成装置であって、音声信号によって駆動されて機械的振動を出力する音声振動発生手段と、前記音声振動発生手段が出力する機械的振動を、前記複数の面状部材のそれぞれに伝搬する複数の帯板状の伝搬経路と、前記伝搬経路のそれぞれと、前記面状部材のそれぞれとの間に介在され、前記各面状部材への前記機械的振動の伝達と遮断とを切り替える振動伝達遮断機構と、画像形成に係る機能を有する前記面状部材、または前記面状部材の近傍において画像形成に係る機能を有する所定部材が、音声による警報またはガイダンスを必要とする所定状態であるかを検出する複数の状態検出手段と、前記状態検出手段によって所定状態であることが検出され、かつ、所定状態であることが検出された面状部材または所定部材の近傍の面状部材に対して、前記振動伝達遮断機構が振動伝達状態になっている場合に、必要とされる機械的振動が出力されるように前記音声振動発生手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置では、音声振動発生手段から出力される機械的振動が、複数の面状部材から選択される1つに、伝搬経路および振動伝達遮断機構のそれぞれを介して伝達されて、その面状部材またはその近傍の所定部材の状態変化に対応した所定の音声が、当該面状部材から出力されるために、新たな部材を配置する必要がなく、ユーザーは、状態変化が生じている部分および状態変化の内容を適切に知ることができる。また、状態変化が生じた部分またはその近傍部分から音声が出力されるために、その状態変化に対して迅速に対処することができる。しかも、複数の箇所の状態変化に関する音声を1つの音声振動発生手段から出力するできるために、経済性が向上する。
【0009】
好ましくは、前記面状部材の1つが原稿台であり、当該原稿台に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該原稿台の上面が開放されることによって振動伝達状態になり、前記状態検出手段の1つが、当該原稿台における原稿の載置状態を検出することを特徴とする。
好ましくは、前記面状部材の1つが、ユーザー操作によって、内部が開放状態とされる開閉部材であり、当該開閉部材に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該開閉部材が通紙経路を開放状態とすることによって振動伝達状態になり、前記状態検出手段の1つが、当該通紙経路の紙詰まりを検出することを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記開閉部材が、ユーザー操作により記録シートが載置可能な給紙状態に開放される手差し給紙台であることを特徴とする。
好ましくは、前記面状部材の1つが、ユーザー操作によって消耗品を着脱できる状態に内部を開放状態とする開閉部材であり、当該開閉部材に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該開閉部材が内部を開放することによって振動伝達状態になり、前記状態検出手段の1つが、当該消耗品の交換時期を検出することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記面状部材の1つが、ユーザー操作により記録シートが載置可能な給紙状態に開放される手差し給紙台であり、当該手差し給紙台に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該手差し給紙台が給紙状態に開放されることによって振動伝達状態になり、前記状態検出手段の1つが、当該原稿台における載置された原稿を検出することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記面状部材の1つが、ユーザー操作によって装置本体から引き出された状態とされる給紙カセットに配置されており、当該面状部材に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該給紙カセットが装置本体から引き出されることによって振動伝達状態になり、前記状態検出手段の1つが、当該給紙カセットから繰り出される通紙経路の紙詰まり、または当該給紙カセット内に記録シートがないことを検出することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記面状部材の1つが、画像が形成された記録シートが積載されるように、露出状態で配置された排紙トレイであり、当該排紙トレイに対して機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構が、前記制御手段によって機械的振動の伝達および遮断状態に切り替えられる構成であり、前記状態検出手段の1つが、当該排紙トレイ上に積載される記録シートの高さ、または、当該排紙トレイ上に記録シートを排出する通紙経路の紙詰まりを検出することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるMFP装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】(a)は、図1のMFP装置に設けられた音声振動発生器の構成を説明するための断面図、(b)は、音声振動発生器に設けられた振動板と一体的に振動可能になった伝搬経路を説明するための模式図である。
【図3】複数の伝搬経路、および、それぞれの伝搬経路によって機械的振動が伝達される音声出力部の構成を説明するための模式図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれ、第1伝搬経路と第1音声出力部である原稿ガラスとの間に設けられた第1振動伝達遮断機構を説明するための模式図である。
【図5】(a)および(b)は、第2伝搬経路と第2音声出力部である排紙トレイとの間に設けられた第2振動伝達遮断機構を説明するための模式図である。
【図6】第3伝搬経路と第3音声出力部である前扉との間に設けられた第3振動伝達遮断機構を説明するための模式図である。
【図7】第6伝搬経路と第6音声出力部である第1給紙カセットとの間に設けられた第6振動伝達遮断機構の構成を説明するための模式図である。
【図8】本実施形態のMFP装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】制御部によって実行される音声出力制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】両面コピー音声ガイダンス制御のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図9のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図13のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図14のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図13のフローチャートに示されたサブルーチンの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図17】第2伝搬経路と第2音声出力部である排紙トレイとの間に設けられた第2振動伝達遮断機構の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<画像形成装置>
図1は、本発明の実施形態に係る多機能複写機であるMFP装置(Multiple Function Peripheral)の構成を説明するための模式図である。MFP装置は、プリント(印刷)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいて、周知の電子写真方式により、カラーまたは単色の画像を、記録用紙、OHPシート等の記録シートに形成する。プリントジョブには、記録シートの片面に画像を形成する片面プリント、両面に画像を形成する両面プリント等がある。
【0016】
本実施形態のMFP装置は、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによるトナー画像を形成する画像形成部20と、画像形成部20に記録シートSを供給する給紙部60とが設けられた装置本体Aと、原稿の画像を読み取るために装置本体A上に設けられた画像読取部Bと、原稿を画像読取部Bに搬送するために画像読取部B上に設けられたADFユニット(自動原稿搬送装置)Cと、を有している。
【0017】
なお、図1は、MFP装置の正面側から見た模式図であり、以下においては、正面側から向って右側および左側を、それぞれ、単に右側および左側と称する。
画像読取部Bの上面には、画像を読み取る原稿が載置される原稿台としての原稿ガラス(原稿台)13が設けられている。画像読取部Bでは、原稿ガラス13上に載置された原稿の画像面、または、ADFユニットCによって搬送される原稿の画像面に、線状光源11の光を照射し、原稿の画像面から反射された光を縮小光学系によってラインセンサー12に縮小して投射するようになっている。ラインセンサー12は、原稿の画像面からの反射光が投射されることにより、原稿画像に対応した画像データを生成する。
【0018】
なお、原稿ガラス13には、原稿ガラス13上における所定位置に原稿が所定の状態で載置されたことを検出する光学式の原稿センサー80が設けられている。原稿センサー80は、原稿ガラス13上において原稿が所定位置に所定の状態で載置されることによってオン状態になり、所定位置に所定の状態で載置されない場合(原稿が載置されていない場合を含む)にはオフ状態になる。
【0019】
画像読取部Bにおける正面側の側面には、片面プリント、両面プリント等のジョブ実行の指示、各種データ入力等のためにユーザーによって操作される操作パネル14が設けられている。なお、操作パネル14には、原稿ガラス13上に載置された原稿の両面の画像をコピーする場合にユーザーによって操作される両面コピーモードスイッチ14bが設けられている。
【0020】
ADFユニットCは、画像読取部Bに対して、ヒンジ機構によって上下方向への回動自在に取り付けられている。ADFユニットCは、下方に回動されると、画像読取部Bの上面を閉鎖した状態になり、このような状態で、原稿台16上に載置された原稿を、画像読取部Bにおける原稿画像の読取位置にまで自動搬送して、原稿排出トレイ17上に排出する。画像読取部Bは、ADFユニットCによって搬送される原稿の画像を光学的に読み取ってラインセンサー12に縮小して投射する。
【0021】
なお、画像読取部Bには、ADFユニットCが上方に回動されて原稿ガラス13の上面が開放された状態になったことを検出するADF開閉センサー81が設けられている。
画像読取部Bの下方である装置本体Aの上面には、トナー画像が形成された記録シートSが排出される平板状の排紙トレイ20aが固定的に設けられている。排紙トレイ20aの上面は、上方の画像読取部Bとは適当な間隔をあけた状態になっており、装置本体Aの外部に露出している。
【0022】
画像形成部20には、装置本体Aの上下方向のほぼ中央部に、一対のローラー21aおよび21bに水平状態に張架された中間転写ベルト21が設けられている。中間転写ベルト21は、矢印Xで示す方向に周回移動する。
中間転写ベルト21の下方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによって中間転写ベルト21上にトナー画像を形成するためのプロセスユニット22Y、22M、22C、22Kが、中間転写ベルト21の周回移動方向の上流側(左側)から下流側(右側)に沿ってその順番で配置されている。
【0023】
各プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kは、それぞれ、装置本体Aに対して着脱可能になっており、装置本体Aの正面側に設けられた平板状の前扉(開閉部材)20bが開放されることによって、各プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kは装置本体Aに対して着脱される。
面状部材である前扉20bは、装置本体の正面側側面に沿った垂直な状態(閉状態)で、下側の側縁を中心として、上側の側縁が前側下方に回動されることによって水平な状態(開状態)になり、これによって、画像形成部20の内部が開放される。装置本体Aには、前扉20bが開放されたことを検出する前扉開閉センサー83が設けられている。
【0024】
なお、装置本体Aの画像形成部20には、各プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kのそれぞれが装置本体Aに装着されたことをそれぞれ検出するYユニット着脱センサー85a、Mユニット着脱センサー85b、Cユニット着脱センサー85c、Kユニット着脱センサー85dが設けられている。
Y色のトナー画像を形成するプロセスユニット22Yには、中間転写ベルト21に対向して配置された感光体ドラム23Yと、この感光体ドラム23Yの表面を帯電させる帯電装置24Yと、帯電装置24Yにて帯電された後に感光体ドラム23Yの表面に形成された静電潜像をY色のトナーによって現像する現像器25Yとが設けられている。
【0025】
感光体ドラム23Yの表面の静電潜像は、露光装置27から照射されるレーザー光によって形成されるようになっている。現像器25Yにて現像された感光体ドラム23Yの表面上のY色のトナー画像は、1次転写ローラー26Yの静電作用によって中間転写ベルト21上に転写される。
M、C、Kの各色トナー用のそれぞれのプロセスユニット22M、22C、22Kも、Y色トナー用のプロセスユニット22Yと同様の構成になっており、露光装置27からそれぞれの感光体ドラムの表面に照射されるレーザー光によって形成された静電潜像が、それぞれの現像器によって、M、C、Kの各色のトナーによって現像される。各感光体ドラム上に形成されたM、C、Kの各色のトナー像は、プロセスユニット22M、22C、22Kとは中間転写ベルト21を挟んで配置された1次転写ローラーによって、中間転写ベルト21上におけるY色のトナー画像が転写された領域と同一の領域上に、順次、重ねて転写される。
【0026】
プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kのそれぞれに設けられた現像器(25Y等)には、排紙トレイ20aの下方に設けられたトナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kから、Y、M、C、Kのトナーがそれぞれ供給されるようになっている。各現像器(25Y等)には、現像器内のトナー濃度を検出するトナー濃度センサー98a、98b、98c、98dがそれぞれ設けられており、各トナー濃度センサー98a〜98dの出力に基づいて、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29K内のトナーが、Y、M、C、Kの各現像器に供給される。
【0027】
なお、Y、M、C、Kの各トナー濃度センサー98a〜98dの出力に基づいて、各トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29K内のトナーがなくなったことが検出される。
各トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kのそれぞれは、装置本体Aの画像形成部20に着脱可能になっており、前扉20bが開状態になることによって、各トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kは、画像形成部20に対して着脱可能になる。画像形成部20には、各トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kのそれぞれが画像形成部20に装着されたことを検出するYトナーカートリッジセンサー99a、Mトナーカートリッジセンサー99b、Cトナーカートリッジセンサー99c、Kトナーカートリッジセンサー99dが設けられている。
【0028】
矢印Xで示す中間転写ベルト21の移動方向の下流側端部(右側の端部)には、転写ローラー27が圧接されており、その圧接部分に、給紙部60から搬送される記録シートSが通過する転写ニップNtが形成されている。中間転写ベルト21上に転写されたトナー画像は、転写ニップNtを通過する記録シートSに、転写ローラー27と中間転写ベルト21との間に形成された電界の作用によって転写される。
【0029】
画像形成部20の下方に設けられた給紙部60には、それぞれが水平状態であって、上下方向に並んで配置された第1給紙カセット61A、第2給紙カセット61B、第3給紙カセット61C、第4給紙カセット61Dが上側からその順番で設けられている。第1〜第4の各給紙カセット61A〜61Dの内部には、それぞれ所定サイズの記録シートSが収容されるようになっている。
【0030】
第1〜第4の給紙カセット61A〜61D内に収容された記録シートSは、それぞれの右側に設けられた第1〜第4の繰り出し経路62A〜62Dへ繰り出される。第1〜第4の繰り出し経路62A〜62Dへそれぞれ繰り出された記録シートSは、給紙経路63を通って、レジストローラー67にまで搬送される。レジストローラー67は、給紙経路63を搬送された記録シートSを、中間転写ベルト21の周回移動に合わせた所定のタイミングで搬送経路66へ供給する。搬送経路66へ供給された記録シートSは、転写ニップNtへ搬送される。
【0031】
第1〜第4の各給紙カセット61A〜61Dのそれぞれは、装置本体Aの給紙部60から前方(正面側)に引き出されることによって、それぞれの内部に記録シートSを補給することができるようになっている。
給紙部60には、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dのそれぞれが装置本体Aから引き出されることによってオン状態になる第1給紙カセット着脱センサー92a、第2給紙カセット着脱センサー92b、第3給紙カセット着脱センサー92c、第4給紙カセット着脱センサー92dが設けられている。
【0032】
また、給紙部60には、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dのそれぞれから記録シートSが繰り出される第1〜第4の繰り出し経路62A〜62Dにおいて記録シートSが紙詰まり(JAM)になったことを検出する第1繰り出しJAMセンサー93a、第2繰り出しJAMセンサー93b、第3繰り出しJAMセンサー93c、第4繰り出しJAMセンサー93dが設けられている。
【0033】
さらに、給紙部60には、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dのそれぞれ内部に設けられた載置板61x上の記録シートSがなくなったことを検出する第1給紙センサー94a、第2給紙センサー94b、第3給紙センサー94c、第4給紙センサー94dが設けられている。第1〜第4の給紙センサー94a〜94dのそれぞれは、第1〜第4の給紙カセット61A〜61D内における載置板61x上の記録シートSがなくなったことを検出することによってオン状態になる。
【0034】
また、給紙経路63には、搬送される記録シートSが給紙経路63において紙詰まり状態になったことを検出する給紙JAMセンサー87が設けられている。
なお、装置本体Aにおける給紙経路63に対向した右側の側面には、面状部材である右扉(開閉部材)64が開閉可能に設けられている。右扉64は、装置本体Aの右側の側面に沿った垂直な状態(閉状態)で、背面側の垂直な側縁部を回動支点として、正面側の側縁部が右側側方に回動されることにより、開状態になる。
【0035】
右扉64が開状態になると、給紙部60の内部が開放された状態になり、給紙経路63が装置本体Aの外部に露出し、給紙経路63における記録シートSの紙詰まりの解消等を行うことができる。
装置本体Aの給紙部60には、右扉64が開放されたことを検出する右扉開閉センサー86が設けられている。
【0036】
給紙部60の上部における装置本体Aの右側側面には、記録シートSを手差し給紙する面状部材としての手差し給紙台65が設けられている。手差し給紙台65は、通常は、装置本体Aの右側側面に沿った垂直な閉状態になっているが、手差し給紙を行う場合には、手差し給紙台65の上部が右側下方に回動されてほぼ水平な給紙状態とされる。このような給紙状態では、手差し給紙台65上に載置された記録シートSが、1枚ずつ、手差し経路69を通ってレジストローラー67へ搬送されて、レジストローラー67によって、搬送経路66を通って、転写ニップNtへ搬送される。
【0037】
なお、装置本体Aには、手差し給紙台65が垂直な閉状態から給紙状態になったことを検出する手差し開閉センサー88が設けられている。また、手差し給紙台65には、水平な給紙状態で手差し給紙台65上に記録シートSが載置されたことを検出する手差しシートセンサー91が設けられている。さらに、装置本体Aには、手差し給紙台65に載置された記録シートSがレジストローラー67へ繰り出す手差し経路69において記録シートSが紙詰まり状態であることを検出する手差しJAMセンサー89が設けられている。
【0038】
なお、レジストローラー67から供給される記録シートSを転写ニップNtへ搬送する搬送経路66には、搬送される記録シートSが紙詰まりになったことを検出する搬送JAMセンサー84が設けられている。搬送経路66は、前扉20bが開状態となることによって、外部に開放された状態になり、搬送経路66において紙詰まり状態になった記録シートSを取り除くことができる。
【0039】
転写ニップNtを通過した記録シートSは、転写ニップNtの上方に設けられた定着部50へ搬送される。定着部50は、相互に対向配置された加圧ローラー51と加熱ベルト52とを備えており、転写ニップNtにてトナー画像が転写された記録シートSが加圧ローラー51と加熱ベルト52との間を通過することにより加熱および加圧されて記録シートS上に熱定着される。
【0040】
定着部50を通過した記録シートSは、排紙経路68を通って、排紙ローラー29へ搬送され、排紙ローラー29によって排紙トレイ20a上に排出される。排紙ローラー29によって排紙トレイ29a上に順次排出される記録シートSは、排紙トレイ20a上に積載される。
排紙経路68には、記録シートSが紙詰まり状態になったことを検出する排紙JAMセンサー82が設けられている。
【0041】
また、排紙トレイ20aにおける記録シートSの排出方向の上流側に位置する側面部分には、排紙トレイ20a上に排出された記録シートSが予め設定された所定枚数に達したことを光学的に検出する排紙高さセンサー95が設けられている。排紙高さセンサー95は、排紙トレイ20a上に排出された記録シートSが所定枚数(高さ)に達することによってオン状態になる。
【0042】
なお、排紙ローラー29に対向して、定着部50を通過した記録シートSを転写ニップNtへ循環させるシート循環経路28が配置されている。排紙ローラー29へ搬送される記録シートSは、両面コピーモード等の両面プリントジョブの場合に、排紙ローラー29によって記録シートSがシート循環経路28に供給される。シート循環経路28に供給された記録シートSは、シート循環経路28を通過すると、表裏を反転された状態で、レジストローラー67へ搬送されて、レジストローラー67から搬送経路66を通って転写ニップNtへ搬送される。
【0043】
画像形成部20の内部には、音声信号によって駆動されて機械的振動を発生する音声振動発生器32が設けられている。音声振動発生器32は、画像形成部20の上部における背面側部分に配置されている。音声振動発生器32によって生じた機械的振動は、予め設定された複数個所に伝搬されるように構成されている。
図2(a)は、音声振動発生器32の構成を説明するための横断面図である。また、図2(b)は、音声振動発生器32に取り付けられた振動板33および伝搬経路34a〜34iを説明するための背面側から見た模式図である。
【0044】
図2(a)に示すように、音声振動発生器32は、一端面が閉鎖された円筒形状の外ヨーク32aと、外ヨーク32a内に同心状態で取り付けられた磁石32bと、磁石32b上において外ヨーク32aと間隙をあけて同心状態で取り付けられた内ヨーク32cとを有しており、外ヨーク32aの閉鎖された端面が、装置本体Aの背面側フレーム35に取り付けられている。
【0045】
外ヨーク32aと、磁石32bと、内ヨーク32cとは磁気回路を形成しており、外ヨーク32aと、内ヨーク32cとの間に磁気ギャップが形成されている。磁気ギャップには、ボイスコイル32dが配置されている。ボイスコイル32dは、外ヨーク32aに嵌合されており、一方の端部がコイル固定部材32eに取り付けられている。
コイル固定部材32eは、外ヨーク32aと同心状態の円板状部分と、外ヨーク32aの外周面に間隔をあけて嵌合される円筒部とを有しており、円筒部と外ヨーク32aの外周面との間にサスペンション32fが設けられている。コイル固定部材32eには振動板33が取り付けられている。
【0046】
音声振動発生器32は、ボイスコイル32dに音声信号が入力されることにより、ボイスコイル32dが軸方向に振動される。これにより、振動板33がボイスコイル32dと一体となって同方向に振動する。
振動板33は、図2(b)に示すように、コイル固定部材32eの円板状部分よりも大きな面積を有する金属板(板金)によって構成されている。振動板33は、振動伝搬係数が高く、しかも、内部減衰率の低い金属材料(例えば鉄)によって構成されている。
【0047】
図2(b)に示すように、振動板33には、音声振動発生器32によって振動板33に生じた機械的振動を、音声出力部として予め設定された複数の面状部材(本実施形態では9つ)のそれぞれに伝搬するために、第1〜第9の伝搬経路34a〜34iが設けられている。
第1〜第9の伝搬経路34a〜34iのそれぞれは、装置本体A内において、所定の方向に折り曲げられること等によって延長方向が変更されて、それぞれの先端部が、所定の各音声出力部の近傍に位置している。
【0048】
第1〜第9の伝搬経路34a〜34iのそれぞれは、音声振動発生器32による振動板33の機械的振動を、それぞれの先端部にまで伝達できるように、振動板33と同様に、高振動伝搬係数であって内部減衰率の低い材料によって構成されている。第1〜第9の伝搬経路34a〜34iとしては、板金が好適に使用することができ、本実施形態では、鉄製の板金によって、幅が2〜3cm程度の帯板状に構成されている。
【0049】
また、第1〜第9の各伝搬経路34a〜34iは、装置本体A内において、背面側フレーム35に沿った部分が、伝搬経路34a〜34iを伝搬される機械的振動の減衰を抑制した状態で支持されている。具体的には、各伝搬経路34a〜34iは、背面側フレーム35にネジ37によって取り付けられた円板形状の支持部材38によって、背面側フレーム35に沿った状態に支持されている。
【0050】
各支持部材38は、各伝搬経路34a〜34iにおける機械的振動の減衰を抑制することができるとともに、背面側フレーム35に対する振動伝達率が小さな材料(例えば、スポンジ)によって構成されている。
第1〜第9の各伝搬経路34a〜34iのそれぞれには、振動板33の機械的振動が伝播する。各伝搬経路34a〜34iを伝播する機械的振動は、空気伝播音として周囲に伝達される。しかし、各伝搬経路34a〜34iの幅が2〜3cm程度の帯板状に構成されているために、空気伝播音として伝達される音量が比較的小さくなっている。しかも、各伝搬経路34a〜34iが、背面側フレーム35と装置本体の背面との間の空間内に配置されており、その空間が内部の音を外部へほとんど漏出しない構成になっているために、各伝搬経路34a〜34iから発生した機械的振動が空気伝播音として漏出する際の音量がきわめて小さく、周囲の人が騒音として認識することを抑制できる。
【0051】
図3は、第1〜第9の伝搬経路34a〜34iと、それぞれの先端部の近傍に位置する音声出力部との構成を説明するための模式図である。第1〜第9の伝搬経路34a〜34iのそれぞれの先端部の近傍に位置する第1〜第9の音声出力部は、それぞれが、外部に露出した平面を有する面状部材であるか、またはユーザー操作によって平面が外部に露出した状態になる面状部材になっている。
【0052】
第1〜第9の音声出力部は、図3に示すように、画像読取部Bに設けられた原稿ガラス13、装置本体Aの上面に設けられた排紙トレイ20a、装置本体Aの正面側に設けられた前扉20b、装置本体Aの右側の側面に設けられた右扉64、右扉64の上側に設けられた手差し給紙台65、給紙部60の4つの第1〜第4の給紙カセット61A〜61D内に設けられた面状部材としての規制板61a(図6参照)である。
【0053】
なお、第1〜第9の音声出力部を構成するそれぞれの面状部材は、周囲の部材へ機械的振動が伝搬されないように構成されている。
振動板33の振動を伝搬する第1〜第9の伝搬経路34a〜34jと、それぞれの音声出力部との間には、機械的振動を伝達および遮断する第1〜第9の振動伝達遮断機構71〜79が設けられている。
【0054】
図4(a)および(b)は、それぞれ、第1伝搬経路34aの先端部と、第1の音声出力部としての原稿ガラス13との間に設けられた第1振動伝達遮断機構71を説明するための模式図である。第1振動伝達遮断機構71は、第1伝搬経路34aの先端部に伝搬された機械的振動を、原稿ガラス13に伝達および遮断するために設けられている。原稿ガラス13は、第1伝搬経路34aを伝搬された機械的振動が伝達されることによって、その機械的振動に対応した音声を空気伝播音として出力する。
【0055】
第1伝搬経路34aは、図2(b)に示すように、装置本体A内における背面側部分を上方へ延伸して、装置本体Aの上部から画像読取部B内の背面側部分に進入しており、先端部が原稿ガラス13に向うように水平に折り曲げられている。第1伝搬経路34aの先端部は、原稿ガラス13の背面側において、原稿ガラス13とは適当な間隔をあけた状態で配置されている。
【0056】
図4(a)および(b)に示すように、第1振動伝達遮断機構71は、第1伝搬経路34aの先端部における機械的振動を原稿ガラス13に伝達する振動伝達板71aと、ADFユニットCの開閉によって振動伝達板71aを第1伝搬経路34aの先端部に対して接触および離間させるためにADFユニットCに垂直状態で取り付けられた軸状の駆動部材71bとを有している。
【0057】
振動伝達板71aは、可撓性を有する帯板状の板金によって構成されており、長手方向の一方の側部が、原稿ガラス13の下面に密着した状態で取り付けられている。原稿ガラス13に取り付けられた振動伝達板71aは、原稿ガラス13の下面から第1伝搬経路34aに向って水平に延出しており、その先端部が、第1伝搬経路34aの水平状態となった先端部の下面に接触した状態になっている。
【0058】
駆動部材71bは、原稿ガラス13と第1伝搬経路34aの先端部との間に位置しており、図4(a)に示すように、原稿ガラス13がADFユニットCによって閉鎖された状態では、原稿ガラス13と第1伝搬経路34aの先端部との間に位置する振動伝達板71aを下方に押し下げる。これにより、振動伝達板71aは、原稿ガラス13から水平に延出した部分が下方に撓んだ状態になり、振動伝達板71aの先端部と第1伝搬経路34aの先端部とが離間した非接触状態になる。このような状態では、第1伝搬経路34aの先端部に伝達された機械的振動は原稿ガラス13に伝達されない。
【0059】
これに対して、ADFユニットCが画像読取部Bに対して上方に回動されて原稿ガラス13の上面が開放された状態になると、図4(b)に示すように、駆動部材71bは、ADFユニットCとともに上方に移動し、振動伝達部材71aとは離間した状態になる。これにより、可撓性を有する振動伝達部材71aは下方に湾曲した状態を解消して、振動伝達部材71a自体の可撓性によって、第1伝搬経路34aの先端部と接触した状態になる。
【0060】
このような状態になると、第1伝搬経路34aの先端部に伝搬された機械的振動が原稿ガラス13に伝達されて原稿ガラス13は機械的に振動する。これにより、原稿ガラス13からは、音声振動発生器32によって発生されて第1伝搬経路34aを伝搬した所定の機械的振動が音声として出力される。
この場合、第1伝搬経路34aを伝搬する機械的振動は、第1伝搬経路34aの幅(2〜3cm程度)よりも広い幅になった原稿ガラス13からは、大きな音量で原稿ガラス13から出力される。
【0061】
図5(a)および(b)は、第2伝搬経路34bと、第2の音声出力部としての排紙トレイ20aとの間に設けられた第2振動伝達遮断機構72を説明するための模式図である。第2振動伝達遮断機構72は、第2伝搬経路34bの先端部に伝搬された機械的振動を、排紙トレイ20aに伝達および遮断するために設けられている。
図5(a)および(b)に示すように、第2振動伝達遮断機構72は、例えば、第2伝搬経路34bの機械的振動を排紙トレイ20aに伝達するために、排紙トレイ20aと、第2伝搬経路34bの先端部との間に配置された振動伝達板72aと、振動伝達板72aを排紙トレイ20aおよび第2伝搬経路34bの先端部に対して接触および離間させるソレノイド72bとを有している。
【0062】
ソレノイド72bのプランジャー72cは垂直状態に配置されており、上方に向って付勢されている。プランジャー72cの上端部には、水平状態になった振動伝達板72aが、スペーサー72dを介して取り付けられている。スペーサー72dは、振動伝達板72aが機械的に振動した場合に、その機械的振動の減衰を抑制するとともに、振動伝達板72aの機械的振動がプランジャー72cに伝達されることを抑制する機能を有していればよく、前述した各伝搬経路34a〜34iと背面側フレーム35との間に介在されるスペーサーと同じ材料(例えばスポンジ)によって構成されている。
【0063】
ソレノイド72bは、駆動されない通常の状態では、付勢力によって上方に付勢されたプランジャー72cによって、振動伝達板72aを、排紙トレイ20aおよび第2伝搬経路34bの先端部からそれぞれ離間させており、ソレノイド72bが駆動されると、プランジャー72cが下方に牽引されて、振動伝達板72aは下方に平行移動される。これにより、振動伝達板72aは、排紙トレイ20aおよび第2伝搬経路34bの先端部の両方に接触した状態になり、第2伝搬経路34bの先端部に伝搬された機械的振動が排紙トレイ20aへ伝達される。従って、排紙トレイ20aからは、第2伝搬経路34bの先端部に伝搬された機械的振動に対応した所定の音声が空気伝播音として出力される。
【0064】
図6は、第3の音声出力部としての前扉20bと第3伝搬経路34cとの間に設けられた第3振動伝達遮断機構73を説明するための模式図である。第3伝搬経路34cは、背面側フレーム35から正面側に向って水平状態で延びており、その先端部は、前扉20bの下方に位置している。前扉20bの下側の側縁部は、前扉20bが画像形成部20の内部を閉鎖した垂直状態(閉状態)では、第3伝搬経路34cの先端部と接触しないように間隔をあけた状態で、画像形成部20の内部(背面側)に向って円弧状に湾曲している。
【0065】
前扉20bは、前扉20bの上側縁が前側下方に回動されて水平な開状態になると、前扉20bにおける湾曲状態になった下側の側縁部に連続した平坦面が、第3伝搬経路34cの先端部とは面接触状態になる。これにより、第3伝搬経路34cの先端部に伝搬された機械的振動が、開状態(水平状態)になった前扉20bへ伝達される。従って、前扉20bからは、第3伝搬経路34cの先端部に伝搬された機械的振動に対応した所定の音声が空気伝播音として出力される。
【0066】
このように、第3振動伝達遮断機構73は、前扉20bにおける回動支点の近傍の湾曲状態になった側縁部と、その側縁部に対向して配置された第3伝搬経路34cの先端部とによって構成されている。
第4音声出力部としての右扉64と第4伝搬経路34dとの間に設けられた第4振動伝達遮断機構74は、図6に示した第3振動伝達遮断機構73と同様の構成になっているが、右扉64が背面側の垂直状態になった側縁部を回動支点として回動することから、第4伝搬経路34dの先端部は、右扉64の背面側の側縁部の近傍に垂直状態で配置されている。また、右扉64の回動支点の近傍である背面側の側縁部が湾曲状態になっており、この湾曲部分と垂直状態に配置された第4伝搬経路34dの先端部とによって第4振動伝達遮断機構74が構成されている。
【0067】
このような構成により、右扉64が、給紙部60の内部を閉鎖した状態では、第4伝搬経路34dの先端部と右扉64とが離間しており、第4伝搬経路34dを伝搬した機械的振動は、右扉64に伝達されず、右扉64から音声は出力されない。しかし、右扉64の正面側の側縁部が背面側の側縁部を支点として背面側に回動されて給紙部60の内部が開放された状態になると、第4伝搬経路34dの先端部と右扉64とが接触状態になり、第4伝搬経路34dの先端部に伝搬された機械的振動は、開状態になった右扉64に伝達される。これにより、右扉64からは、第4伝搬経路34dの先端部に伝搬された機械的振動に対応した所定の音声が空気伝播音として出力される。
【0068】
第5の音声出力部としての手差し給紙台65と第5伝搬経路34eとの間に設けられた第5振動伝達遮断機構74も、図6に示した第3振動伝達遮断機構73と同様の構成になっており、従って、第5振動伝達遮断機構74は、水平状態に配置された第5伝搬経路34eの先端部と、手差し給紙台65の回動支点の近傍の湾曲状態になった下側の側縁部とによって構成されている。
【0069】
このような構成により、手差し給紙台65が、装置本体の側面に沿った垂直状態(閉状態)では、第5伝搬経路34eの先端部と手差し給紙台65とが離間した非接触状態になっており、第5伝搬経路34eを伝搬した機械的振動は手差し給紙台65に伝達されず、手差し給紙台65から音声は出力されない。しかし、手差し給紙台65の上側の側縁部が下側の側縁部を支点として回動されて、給紙部60の内部が開放された水平な給紙状態になると、第5伝搬経路34eの先端部と手差し給紙台65とが接触状態になり、第5伝搬経路34eの先端部に伝搬された機械的振動は、給紙状態になった手差し給紙台65に伝達される。これにより、水平状態(給紙状態)になった手差し給紙台65からは、第5伝搬経路34eの先端部に伝搬された機械的振動に対応した所定の音声が空気伝播音として出力される。
【0070】
図7は、第6伝搬経路34fと、第6の音声出力部としての第1給紙カセット61Aとの間に設けられた第6振動伝達遮断機構76の構成を説明するための模式図である。なお、図7は、第1給紙カセット61Aが装置本体Aの給紙部60から正面側(前方)に引き出された状態を示している。
第6伝搬経路34fは、背面側フレーム35に沿って、下方に向って垂直状態で延長されて、給紙部60における第1給紙カセット61Aが収容される内部空間の下側を正面側に向って水平状態で通過するように折り曲げられている。第6伝搬経路34fの先端部は、第1給紙カセット61Aが収容される空間部分の正面側の下部に位置しており、その先端部が上方に突出するように屈曲されている。
【0071】
第1給紙カセット61A内には、内部に収容された記録シートSが載置される載置板61x(図1参照)が設けられるとともに、当該載置板61x上に載置された記録シートSの幅方向(給紙方向とは直交方向)の側縁を揃えるための規制板61aが面状部材として設けられている。規制板61aは、記録シートSの幅方向の側縁に接触する垂直部分61mと、その垂直部分61mの下端部において水平状態となるように屈曲された水平部分61nとを有しており、その水平部分61nが、第1給紙カセット61Aの底面に沿って配置されている。
【0072】
規制板61aは、垂直部分61mが、例えば背面側に位置する第1給紙カセット61Aの側面に対して接近および離間するように水平部分61nが、第1給紙カセット61Aの底面に沿ってスライドするように構成されており、第1給紙カセット61Aの側面と垂直部分61mとによって第1給紙カセット61A内に収容された記録シートSの側縁部を揃えるようになっている。
【0073】
なお、規制板61aは、第1給紙カセット61Aが給紙部60から引き出されることによって、規制板61aにおける垂直部分61mの大部分が、装置本体Aの給紙部60から外部に位置された状態になる。また、第1給紙カセット61A内において、規制板61aにおける垂直部分61mの上側縁は、予め設定された所定枚数の記録シートSが収容された場合に、最上部の記録シートSとは適当な間隔が形成されるように構成されている。
【0074】
第1給紙カセット61Aの底面における背面側部分には、第1給紙カセット61Aが給紙部60から引き出された際に、給紙部60の正面側に位置する第6伝搬経路34fの上方に向って屈曲された先端部が進入する開口部61cが設けられている。この開口部61cの上側には、規制板61aの下部に設けられた水平部分61nが位置している。
また、第1給紙カセット61Aの底面には、第1給紙カセット61Aが給紙部60内に収容される際に、第6伝搬経路34fの先端部と摺接する防振板61dが、第6伝搬経路34fに対向する下側面に設けられている。第6伝搬経路34fの先端部は、第1給紙カセット61Aが給紙部60内に収容された状態では、防振板61dに接触して、下方に撓んだ状態になる。
【0075】
このような構成の第6振動伝達遮断機構76は、第1給紙カセット61Aが給紙部60内に収容された状態では、第6伝搬経路34fの屈曲された先端部は、防振板61dに接触して下側に撓んだ状態になる。従って、第6伝搬経路34fの先端部に伝搬した機械的振動は、第1給紙カセット61Aの防振板61dによって吸収されて、第1給紙カセット61A内の規制板61aには伝達されない。
【0076】
これに対して、第1給紙カセット61Aが給紙部60から引き出された状態になると、図7に示すように、第6伝搬経路34fの屈曲された先端部は、第1給紙カセット61Aの防振板61dとは非接触状態になって、第6伝搬経路34fの先端部自体の可撓性によって撓んだ状態が解消され、第1給紙カセット61Aの背面側の底面に設けられた開口部61c内に進入した状態になる。これにより、第6伝搬経路34fの先端部は、第1給紙カセット61A内の規制板61aにおける水平部分61nに接触した状態になり、第6伝搬経路34fの先端部に伝搬した機械的振動は規制板61aに伝達される。規制板61aに伝達された機械的振動によって、規制板61aの垂直部分61mも機械的に振動し、垂直部分61mからは、第6伝搬経路34の先端部に伝搬された機械的振動に対応した所定の音声が出力される。
【0077】
第7の音声出力部である第2給紙カセット61Bと第7伝搬経路34gとの間に設けられた第7振動伝達遮断機構77、第8の音声出力部である第3給紙カセット61Cと第8伝搬経路34hとの間に設けられた第8振動伝達遮断機構78、第9の音声出力部である第4給紙カセット61Dと第9伝搬経路34iとの間に設けられた第9振動伝達遮断機構79のそれぞれも、図7に示した第6振動伝達遮断機構76と同様の構成になっている。
【0078】
従って、第7〜第9の振動伝達遮断機構77〜79のそれぞれも、第2〜第4の給紙カセット61B〜61Dが給紙部60から引き出されると、それぞれの内部に設けられた規制板61aと、第6伝搬経路34f、第7伝搬経路34g、第8伝搬経路34hのそれぞれの屈曲状態になった先端部とが接触状態になって振動伝達状態になり、それぞれの規制板61aの垂直部分61mから所定の音声を出力できる状態になる。これにより、第6伝搬経路34f、第7伝搬経路34g、第8伝搬経路34hのそれぞれの先端部に伝搬された機械的振動に対応した音声が、規制板61aの垂直部分61mからそれぞれ空気伝播音として出力される。
【0079】
図8は、本実施形態のMFP装置の制御系の構成を示すブロック図である。MFP装置の制御系には、制御部(CPU)41と、ROM42と、RAM43と、ネットワーク(例えばLAN)44を介して外部端末等との間で通信を行う通信部45とを有している。
制御部41は、通信部45によってネットワーク44を介して各種データが送信および受信されるように通信部45を制御する。通信部45によって受信された各種データは、データ記憶部46に記憶される。
【0080】
制御部41は、画像読取部Bを制御して、原稿ガラス13上に載置された原稿の画像、あるいは、ADFユニットCによって画像読取部Bに搬送される原稿の画像を、画像読取部Bによって読み取らせる。画像読取部Bによって読み取られた原稿画像のデータは、画像処理部47によって画像処理されて、画像形成部20またはデータ記憶部46に送信される。
【0081】
また、制御部41は、画像形成部20を制御して、画像形成部20により、画像処理部47によって画像処理された画像データ、あるいは、データ記憶部46に記憶された画像データに基づいて、記録シートS上にトナー画像を形成する。
制御部41には、画像読取部Bに設けられた操作パネル14からの信号が与えられており、従って、操作パネル14に設けられた両面コピーモードスイッチ14bの出力も与えられている。また、制御部41は、操作パネル14に設けられた表示部14aを制御して、表示部14aに所定の表示を行わせる。
【0082】
さらに、制御部41は、装置本体A内に設けられた音声振動発生器32を音声信号によって制御して、音声振動発生器32から、所定の音声に対応した機械的振動を出力させるようになっている。
また、制御部41は、第2振動伝達遮断機構72に設けられたソレノイド72bを制御して、排紙トレイ20aと、第2伝搬経路34bの先端部とを振動伝達状態および振動遮断状態に切り替える。
【0083】
制御部41には、装置本体Aに設けられた前述の各センサーの出力が与えられている。制御部41に出力が与えられるセンサーは、具体的には、原稿センサー80、ADF開閉センサー81、排紙JAMセンサー82、前扉開閉センサー83、搬送JAMセンサー84、各ユニット着脱センサー85a〜85d、右扉開閉センサー86、給紙JAMセンサー87、手差し開閉センサー88、手差しJAMセンサー89、手差しシートセンサー91、第1〜第4の給紙カセット装着センサー92a〜92d、第1〜第4の繰り出しJAMセンサー93a〜93d、第1〜第4の給紙センサー94a〜94d、排紙高さセンサー95、トナー濃度センサー98a〜98d、トナーカートリッジセンサー99a〜99dである。制御部41は、これらのセンサーの出力に基づいて、音声振動発生器32から所定の内容の音声に対応した振動が出力されるように、音声振動発生器32を制御する音声出力制御を実行する。
【0084】
図9は、制御部41によって実行される音声出力制御の処理手順を示すフローチャートである。制御部41は、例えば、プリントジョブの実行が指示された場合、あるいは、ADFユニットCが上方に回動された場合に、音声出力制御を実行する。
音声出力制御が開始されると、制御部41は、まず、ADFユニットCが上方に回動された状態であるかを、ADF開閉センサー81の出力に基づいて確認する(図9のステップS11参照)。ADFユニットCが上方に回動されて、ADF開閉センサー81の出力がオン状態になっている場合には(ステップS11において「YES」)、原稿ガラス13上における所定位置に原稿が所定の状態で載置されているかを原稿センサー80の出力に基づいて判定する(図のステップS12参照)。
【0085】
なお、ADFユニットCが上方に回動されることによって音声出力制御が開始される場合には、ADF開閉センサー81の出力はオン状態になっているために(ステップS11において「YES」)、ステップS12に進むことになる。
ステップS12において、原稿ガラス13上における所定位置に原稿が載置された状態になっていないことにより、原稿センサー80がオン状態でない場合には(ステップS12において「NO」)、制御部41は、原稿ガラス13に対して原稿が所定の状態に載置されていないことを内容とする音声1に対応した機械的振動1が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS13)。これにより、音声振動発生器32によって振動板33が機械的に振動し、その機械的振動が、第1〜第9の伝搬経路34a〜34iに伝達される。
【0086】
この場合、ADFユニットCが上方に回動された状態であるために、図4(b)に示すように、第1振動伝達遮断機構71の振動伝達板71aが第1伝搬経路34aの先端部および原稿ガラス13の両方に接触しており、第1伝搬経路34aの先端部に伝搬した機械的振動が、振動伝達板71aを介して原稿ガラス13に伝達される。これにより、原稿ガラス13は、原稿ガラス13に対して原稿が所定の状態に載置されていないことを内容とする音声1に対応した振動状態になる。
【0087】
この場合、原稿ガラス13の全体が振動状態になるために、原稿ガラス13の全体からは、第1伝搬経路34aから出力される音量よりも大きな音量で、所定の音声1が出力される。従って、原稿ガラス13上に原稿を載置したユーザーは、原稿ガラス13の全体から出力される音声1によって、原稿ガラス13上において原稿が所定状態に載置されていないことを容易に知ることができる。
【0088】
この場合には、第2〜第9の伝搬経路34b〜34iの先端部は、対応する第2〜第9の音声出力部のそれぞれとは、第2〜第9の振動伝達遮断機構72〜79によって振動遮断状態になっているために、第2〜第9の伝搬経路34b〜34iのそれぞれを伝搬した機械的振動が第2〜第9の音声出力部に伝達されず、第2〜第9の音声出力部から音声が出力されるおそれがない。
【0089】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS14)、ステップS12に戻り、原稿ガラス13上に載置された原稿が所定状態になっているかを、原稿センサー80の出力に基づいて確認する。原稿ガラス13上に載置された原稿が所定状態になっていることによって原稿センサー80の出力がオン状態になっている場合には(ステップS12において「YES」)、ステップS15に進む。
【0090】
なお、ステップS12において、原稿ガラス13上に載置された原稿が所定状態になっていない場合には、ステップS13に進んで、所定時間が経過した後に、再度、音声振動発生器32から所定の機械的振動1が出力され、原稿ガラス13から音声1が出力される。この場合、原稿ガラス13から音声1が1度出力されてから所定時間が経過しているために、原稿ガラス13から短時間の間隔で音声1が出力されることがない。
【0091】
原稿ガラス13上の原稿が所定状態であることが確認された後のステップS15では、操作パネル14に設けられた両面コピーモードスイッチ14bからの出力に基づいて、原稿ガラス13上に載置された原稿の両面をコピーする両面コピーモードであるかを確認する。
両面コピーモードスイッチ14bがオン状態の場合には(ステップS15において「YES」)、制御部41は、両面コピー音声ガイダンス制御のサブルーチンを実行する(ステップS16)。両面コピー音声ガイダンスは、原稿ガラス13上に載置された原稿の両面の画像を、画像読取部Bにおいて読み取らせるために必要とされるユーザーの原稿操作を音声で案内する。
【0092】
両面コピーガイダンス制御のサブルーチンが終了すると、図11のステップS17に進む。
なお、図9のステップS15において、両面コピーモードスイッチ14bがオフ状態の場合には(ステップS15において「NO」)、ステップS16における両面コピー音声ガイダンスのサブルーチン制御を実行することなく、図11のステップS17に進む。
【0093】
図10は、両面コピー音声ガイダンス制御のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。両面コピー音声ガイダンス制御は、例えば、原稿ガラス13上において原稿が所定の状態で載置されていることが確認された後に(ステップS12において「NO」)、ADFユニットCが閉状態になると(ステップS71)、制御部41は、原稿ガラス13上の原稿の画像を画像読取部Bによって読み取らせる制御を実行する(ステップS72)。
【0094】
その後、ADFユニットCが開状態になったことをADF開閉センサー81の出力によって確認し(ステップS73)、ADFユニットCが開状態の場合には(ステップS73において「YES」)、原稿ガラス13上の原稿を反転することを指示する内容の案内音声に対応した機械的振動が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS74)。
【0095】
これにより、ADFユニットCが開状態になっていることによって上面が開放された原稿ガラス13の全体からは、原稿ガラス13上の原稿を反転することの案内音声が出力される。
その後、原稿ガラス13上における所定位置に原稿が載置された状態になったかを原稿センサー80の出力に基づいて判定する(ステップS75)。原稿ガラス13上における所定状態に原稿が載置されることによって原稿センサー80がオン状態になると(ステップS75において「YES」)、コピー動作の開始操作を指示する内容の音声に対応した機械的振動が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS76)。これにより、ADFユニットCが開状態になっていることによって上面が開放された原稿ガラス13の全体から、コピー動作の開始操作を指示する内容の音声が出力される。
【0096】
次いで、ADFユニットCが閉状態になったことをADF開閉センサー81によって確認する(ステップS77)。ADFユニットCが閉状態になった場合には(ステップS77において「YES」)、原稿ガラス13上の原稿の画像を画像読取部Bによって読み取らせる制御を実行する(ステップS78)。画像読取部Bによる原稿ガラス13上の原稿の画像の読み取りが終了すると(ステップS78において「YES」)、ADFユニットCが開状態になったことをADF開閉センサー81によって確認する(ステップS79)。
【0097】
ADFユニットCが開状態になってADF開閉センサー81がオン状態になると(ステップS79において「YES」)、原稿ガラス13上における所定位置に原稿が載置されているかを原稿センサー80の出力に基づいて確認する(ステップS80)。原稿ガラス13上に原稿が残っている場合には(ステップS80において「YES」)、原稿ガラス13上に原稿が残っていることを示す内容の音声に対応した機械的振動が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS81)。これにより、ADFユニットCが開状態になっていることによって上面が開放された原稿ガラス13の全体から、原稿ガラス13上に原稿が残っていることを内容とする音声が出力される。
【0098】
その後、原稿ガラス13上に載置された原稿が取り除かれるまで(ステップS80において「YES」)、所定時間が経過する毎に(ステップS82)、原稿ガラス13上に原稿が残っていることを内容とする音声が出力される。
その間に、原稿ガラス13上に載置された原稿が取り除かれると(ステップS80において「NO」)、ADFユニットCが閉状態になったことをADF開閉センサー81によって確認して(ステップS83において「YES」)、両面コピーガイダンス制御のサブルーチンを終了する。
【0099】
図11は、図9のステップS15またはステップS16(図10の両面コピーガイダンス制御のサブルーチン)に連続する処理手順を示すフローチャートである。ステップS17では、排紙トレイ20aへ排出される排紙経路68においてトナー画像が定着された記録シートSが紙詰まり状態になっているかを、排紙JAMセンサー82の出力によって確認する。排紙経路68において記録シートSが紙詰まり状態であることによって排紙JAMセンサー82がオン状態になっている場合には(ステップS17において「YES」)、制御部41は、第2振動伝達遮断機構72のソレノイド72bをオン状態にするとともに、ソレノイド72bがオン状態であることを示すフラグFSをセット状態(FS=1)にする(ステップS18)。
【0100】
第2振動伝達遮断機構72のソレノイド72bがオン状態になると、振動伝達板72aが排紙トレイ20aと第2伝搬経路34bの先端部との両方に接触した状態になり、第2伝搬経路34bの先端部に伝搬される機械的振動が排紙トレイ20aに伝達される状態になる。
このような状態になると、制御部41は、排紙経路68において記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする音声3に対応した機械的振動3が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS19)。
【0101】
音声振動発生器32から機械的振動3が出力されると、その機械的振動3は、第2伝搬経路34bの先端部に伝搬され、第2振動伝達遮断機構72の振動伝達板72aを介して排紙トレイ20aに伝達される。これにより、排紙トレイ20aの全体からは、排紙トレイ20aの近傍である排紙経路68において記録シートSが紙詰まり状態であることを内容とする音声3が出力される。
【0102】
この場合、排紙トレイ20aの全体からは音声3が出力されるために、ユーザーは、排紙経路68において記録シートSが紙詰まり状態であることを知ることができ、通常、ユーザーは、排紙経路68において紙詰まり状態の記録シートSを取り除く作業を実行することになる。
この場合も、第1、第3〜第9の伝搬経路34a、34c〜34iの先端部は、第1、第3〜第9の振動伝達遮断機構71、73〜79によって、対応する第1、第3〜第9の音声出力部とはそれぞれ振動遮断状態になっているために、機械的振動3が伝搬された第1、第3〜第9の伝搬経路34a、34c〜34iのそれぞれの機械的振動が、第1、第3〜第9の音声出力部に伝達されず、第1、第3〜第9の音声出力部から音声が出力されるおそれがない。
【0103】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS20)、ステップS17に戻り、排紙経路68から記録シートSが取り除かれたことを排紙JAMセンサー82の出力に基づいて確認する。排紙経路68から記録シートSが取り除かれず、排紙JAMセンサー82の出力がオン状態の場合には(ステップS17において「YES」)、ステップS18〜S20の処理が繰り返される。
【0104】
ステップS17において、排紙経路68から記録シートSが取り除かれることにより、排紙JAMセンサー82の出力がオフ状態になった場合には(ステップS17において「NO」)、ステップS21に進み、排紙トレイ20a上に排出された記録シートSが、予め設定された所定枚数に達することによって所定の高さに達しているかを、排紙高さセンサー95によって確認する。排紙トレイ20a上に排出された記録シートSが所定の高さであることによって排紙高さセンサー95がオン状態になっている場合には(ステップS21において「YES」)、第2振動伝達遮断機構72のソレノイド72bがオン状態であることを示すフラグFSがセット状態(FS=1)であるかを確認する(ステップS22)。フラグFSがセット状態になっていない場合には(ステップS22において「NO」)、ソレノイド72bをオン状態にするとともに、ソレノイド72bがオン状態であることを示すフラグFSをセット状態(FS=1)として(ステップS23)、ステップS24に進む。
【0105】
フラグFSがセット状態になっていない場合には(ステップS22において「YES」)、ステップS23の処理を実行することなく、ステップS24に進む。
次いで、制御部41は、排紙トレイ20a上に排出された記録シートSが所定の枚数に達していることを内容とする所定の音声4に対応した機械的振動4が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS24)。
【0106】
この場合、第2振動伝達遮断機構72のソレノイド72bがオン状態であって、排紙トレイ20aと第2伝搬経路34bとが振動伝達板72aによって振動伝達状態になっているために、音声振動発生器32から出力された機械的振動4は、第2伝搬経路34bおよび振動伝達板72aを介して、排紙トレイ20aに伝達される。これにより、排紙トレイ20aからは、排紙トレイ20a上に排出された記録シートSが所定の枚数に達したことを内容とする所定の音声4が出力される。
【0107】
なお、この場合、排紙トレイ20a上に所定の枚数の記録シートSが積載された状態になっているが、排紙トレイ20aの面積が、積載される記録シートSの面積よりも大きくなっていることにより、積載された記録シートSによる排紙トレイ20aでの機械的振動の減衰が抑制され、排紙トレイ20aからは、適当な音量になった音声4が出力される。
排紙トレイ20aから所定の音声3が出力されると、ユーザーは、記録シートSが所定の高さにまで排紙された状態であり、排紙トレイ20a上から記録シートSを取り除く必要があることを知り、通常、ユーザーは、排紙トレイ20a上の記録シートSを取り除くことになる。
【0108】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS25)、ステップS21に戻り、排紙トレイ20aから記録シートSが取り除かれたかを排紙高さセンサー95の出力によって確認する。排紙トレイ20a上の記録シートSが取り除かれず、排紙高さセンサー95による出力がオン状態の場合には(ステップS21において「YES」)、ステップS22〜S25の処理が繰り返される。
【0109】
排紙トレイ20aから記録シートSが取り除かれることによって、排紙高さセンサー95の出力がオフ状態になると(ステップS21において「NO」)、ステップS26に進み、第2振動伝達遮断機構72のソレノイド72bがオン状態であることを示すフラグFSがセット状態(FS=1)になっているかを確認する。フラグFSがセット状態(FS=1)の場合には(ステップS26において「YES」)、ソレノイド72bをオフ状態にするとともに、フラグFSをリセット状態とし(ステップS27)、ステップS28に進む。
【0110】
ステップS26において、フラグFSがセット状態(FS=1)でない場合には(ステップS26において「NO」)、ステップS27の処理を実行することなく、図12のステップS28に進む。
図12は、図11のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。ステップS28では、前扉20bが開状態になっているかを、前扉開閉センサー83の出力に基づいて確認する。前扉20bが開状態になっていないことにより、前扉開閉センサー83がオフ状態の場合には(ステップS28において「NO」)、図13のステップS36に進む。
【0111】
前扉20bが開状態になっていることにより、前扉開閉センサー83がオン状態の場合には(ステップS28において「YES」)、レジストローラー67から転写ニップ部Ntまでの搬送経路66において記録シートSが紙詰まり状態であるかを搬送JAMセンサー84の出力に基づいて確認する(ステップS29)。
なお、搬送経路66に記録シートSが紙詰まり状態でなく、搬送JAMセンサー84の出力がオンでない場合には(ステップS29において「NO」)、ステップS32に進む。
【0112】
搬送経路66において記録シートSが紙詰まり状態であることにより搬送JAMセンサー84の出力がオン状態の場合には(ステップS29において「YES」)、制御部41は、搬送経路66において記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする所定の音声5に対応した機械的振動5が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS30)。
【0113】
この場合、図6に示すように、前扉20bの上側縁が前側下方に回動されることによって前扉20bが開状態になっており、従って、第3振動伝達遮断機構73を構成する前扉20bの下部が、第3伝搬経路34cの先端部に接触した状態になっている。このような状態で、音声振動発生器32から機械的振動5が出力されると、その機械的振動5は、振動板33に伝達されて、振動板33の第3伝搬経路34cおよび第3振動伝達遮断機構73を介して前扉20bに伝達される。
【0114】
これにより、開状態の前扉20bの全体から、前扉20bの近傍である搬送経路66において記録シートSが紙詰まり状態であることを内容とする所定の音声5が出力される。この場合も、他の音声出力部から音声が出力されるおそれがない。
前扉20bの全体から所定の音声5が出力されると、ユーザーは、開状態になった前扉20bによって外部に露出した状態になった搬送経路66において記録シートSが紙詰まりになっていることを知ることができ、通常、ユーザーは、搬送経路66内において紙詰まり状態の記録シートSを取り除くことになる。
【0115】
この場合、前扉20bが開状態であることから搬送経路66が開放状態になっているために、搬送経路66において紙詰まり状態の記録シートSを容易に取り除くことができる。
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS31)、ステップS29に戻り、搬送経路66から記録シートSが取り除かれたかを、搬送JAMセンサー84の出力に基づいて確認する。搬送経路66から記録シートSが取り除かれず、搬送JAMセンサー84の出力がオン状態の場合には(ステップS29において「YES」)、ステップS30〜S31の処理が繰り返される。
【0116】
ステップS29において、搬送経路66から記録シートSが取り除かれることにより、搬送JAMセンサー84の出力がオフ状態になった場合には(ステップS29において「NO」)、ステップS32に進み、制御部41は、プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kのいずれかの交換、または、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kのいずれかの交換が必要であるかを、例えば、累積カラープリント枚数および累積黒色プリント枚数に基づいて、または、各現像器25Y、25M、25C、25Kに設けられたトナー濃度センサー98a、98b、98c、98dの出力に基づいて判断する。
【0117】
なお、累積カラープリント枚数および累積黒色プリント枚数は、制御部41に設けられたカウンターによってカウントされており、カウンターによるカウント結果に基づいて、プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kの交換時期を検出することができる。
この場合、累積カラープリント枚数が予め設定された所定枚数に達した状態になっている場合には、プロセスユニット22Y、22M、22Cの交換が必要であると判断し、また、累積カラープリント枚数および累積黒色プリント枚数の合計が、予め設定された所定枚数に達した状態になっている場合には、プロセスユニット22Kの交換が必要であると判断する。
【0118】
また、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kからのトナー補給によってトナー濃度センサー98a、98b、98c、98dによるトナー濃度が変化しないことによって、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kのそれぞれの交換時期を検出することができる。
制御部41は、Y、M、C、Kのプロセスユニット22Y、22M、22C、22Kのいずれかの交換が必要であると判断した場合、または、Y、M、C、Kのトナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kのいずれかの交換が必要であると判断した場合には(ステップS32において「YES」)、プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kの交換、または、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kの交換が必要であることを内容とする所定の音声6に対応した機械的振動6が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS33)。
【0119】
音声振動発生器32から出力された機械的振動6は、振動板33から第3伝搬経路34cを介して前扉20bに伝達される。これにより、前扉20bの全体から、プロセスユニット22Y、22M、22C、22Kのいずれか、または、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kのいずれかの交換が必要であることを内容とする所定の音声6が出力される。
【0120】
前扉20bの全体から音声6が出力されると、ユーザーは、プロセスユニット22Y、22M、22C、22K、または、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kの交換が必要であることを知り、通常、対応するプロセスユニット22Y、22M、22C、22K、または、トナーカートリッジ29Y、29M、29C、29Kを交換することになる。この場合には、前扉20bが開状態になっていることにより、ユーザーは、交換が必要とされるプロセスユニットまたはトナーカートリッジを容易に交換することができる。
【0121】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS34)、交換が必要とされたプロセカユニットの着脱を、ユニット着脱センサー85a〜85dにおける対応センサーに基づいて、または、交換が必要とされたトナーカートリッジの着脱を、トナーカートリッジセンサー98a〜98dにおける対応センサーに基づいて確認する(ステップS35)。この場合、交換が必要とされるプロセスユニットまたはトナーカートリッジに対応したセンサーが、装着状態(オン状態)から取り外された状態(オフ状態)になった後に、再度、装着状態(オン状態)になったことを検出すると、交換が終了したものと判断する(ステップS35において「YES」)。
【0122】
なお、複数のプロセスユニットまたは複数のトナーカートリッジを交換する必要な場合には、交換が必要な全てのプロセスユニットまたはトナーカートリッジの交換が終了するまで、ステップS33〜S35の処理が繰り返される。
その後、プロセカユニットまたはトナーカートリッジの交換が終了すると(ステップS35において「YES」)、図13のステップS36に進む。
【0123】
図13は、図12のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。ステップS36では、右扉64が開状態になっているかを、右扉開閉センサー86の出力に基づいて確認する。
右扉64が開状態でないことにより、右扉開閉センサー86がオン状態でない場合には(ステップS36において「NO」)、図14のステップS40に進む。
【0124】
右扉64が開状態になっていることにより、右扉開閉センサー86がオン状態の場合には(ステップS36において「YES」)、給紙部60における給紙経路63において記録シートSが紙詰まり状態であるかを給紙JAMセンサー87の出力に基づいて確認する(ステップS37)。
給紙経路63において記録シートSが紙詰まり状態になっていない場合には(ステップS37において「NO」)、図14のステップS40に進む。
【0125】
給紙経路63に記録シートSが紙詰まり状態であることによって給紙JAMセンサー87がオン状態になっている場合には(ステップS37において「YES」)、制御部41は、給紙経路63において記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする所定の音声7に対応した機械的振動7が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS38)。
【0126】
音声振動発生器32から所定の機械的振動7が出力されると、その機械的振動7は、振動板33に伝達されて、第4伝搬経路34dを介して右扉64に伝達される。これにより、開状態の右扉64の全体からは、右扉64の近傍である給紙経路63において記録シートSが紙詰まり状態であることを内容とする音声7が出力される。この場合も、他の音声出力部からは音声が出力されるおそれがない。
【0127】
右扉64の全体から音声7が出力されると、ユーザーは、右扉64の近傍の給紙経路63において記録シートSが紙詰まり状態であることを知ることができ、通常、ユーザーは、給紙経路63内において紙詰まり状態の記録シートSを取り除くことになる。この場合、右扉64が開状態であることから、装置本体Aが開放された状態になっており、従って、給紙経路63において紙詰まり状態の記録シートSを容易に取り除くことができる。
【0128】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS39)、ステップS37に戻り、給紙経路63から記録シートSが取り除かれたかを給紙JAMセンサー87の出力に基づいて確認する。給紙経路63から記録シートSが取り除かれず、給紙JAMセンサー84の出力がオン状態の場合には(ステップS37において「YES」)、ステップS38〜S39の処理が繰り返される。
【0129】
ステップS37において、給紙経路63から記録シートSが取り除かれることによって、給紙JAMセンサー84の出力がオフ状態になった場合には(ステップS37において「NO」)、図14のステップS40に進む。
図14は、図13のフローチャートに連続する処理手順を示すフローチャートである。ステップS40では、手差し給紙台65が水平な給紙状態になっているかを、手差し開閉センサー88の出力に基づいて確認する。
【0130】
手差し給紙台65が給紙状態でないことにより、手差し開閉センサー88がオン状態になっていない場合には(ステップS40において「NO」)、図15のステップS47に進む。
手差し給紙台65が給紙状態になっていることにより、手差し開閉センサー88がオン状態になっている場合には(ステップS40において「YES」)、手差し給紙台65からレジストローラー67までの手差し経路69において、記録シートSが紙詰まり状態であるかを手差しJAMセンサー89の出力に基づいて確認する(ステップS41)。
【0131】
手差し経路69において記録シートSが紙詰まり状態でなく、手差しJAMセンサー89の出力がオン状態でない場合には(ステップS41において「NO」)、図15のステップS47に進む。
手差しJAMセンサー89の出力がオン状態であることによって、手差し経路69において記録シートSが紙詰まり状態であることが確認された場合には(ステップS41において「YES」)、制御部41は、手差し経路69において記録シートSが紙詰まり状態であることを内容とする所定の音声8に対応した機械的振動8が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS42)。
【0132】
音声振動発生器32から所定の機械的振動8が出力されると、その機械的振動8は、振動板33に伝達されて、振動板33の第5伝搬経路34dを介して手差し給紙台65に伝達される。これにより、開状態の手差し給紙台65の全体からは、手差し給紙台65の近傍である手差し経路69において記録シートSが紙詰まり状態であることを内容とする所定の音声8が出力される。この場合も、他の音声出力部からは音声が出力されるおそれがない。
【0133】
手差し給紙台65の全体から所定の音声8が出力されると、ユーザーは、手差し給紙台65の近傍の手差し経路69において記録シートSが紙詰まり状態であることを知ることができ、通常、ユーザーは、手差し経路69内において紙詰まり状態の記録シートSを取り除くことになる。この場合、手差し給紙台65が開状態であることから、手差し経路69において紙詰まり状態の記録シートSを容易に取り除くことができる。
【0134】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS43)、ステップS41に戻り、手差し経路69から記録シートSが取り除かれたかを手差しJAMセンサー89の出力に基づいて確認する。手差し経路69から記録シートSが取り除かれず、手差しJAMセンサー89の出力が変化しない場合には(ステップS41において「YES」)、ステップS42〜S43の処理が繰り返される。
【0135】
ステップS41において、手差し経路69から紙詰まり状態の記録シートSが取り除かれることによって手差しJAMセンサー89の出力がオフ状態になった場合には(ステップS41において「NO」)、ステップS44に進み、手差し給紙台65上に記録シートSが載置された状態であるかを、手差しシートセンサー91の出力に基づいて判断する。
手差しシートセンサー91の出力がオン状態であって、手差し給紙台65上に記録シートSが載置された状態の場合には(ステップS44において「YES」)、図15のステップS47に進む。
【0136】
手差しシートセンサー91の出力によって、手差し給紙台65上に記録シートSが載置されていない状態であることが確認された場合には(ステップS44において「NO」)、制御部41は、手差し給紙台65上に記録シートSが載置されていないことを内容とする音声9に対応した機械的振動9が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS45)。
【0137】
音声振動発生器32から所定の機械的振動9が出力されると、その機械的振動9は、振動板33に伝達されて、第5伝搬経路34dを介して手差し給紙台65に伝達される。これにより、給紙状態の手差し給紙台65の全体からは、手差し給紙台65上に記録シートSが載置されていないことを内容とする音声9が出力される。
手差し給紙台65の全体から音声9が出力されると、ユーザーは、給紙状態になった手差し給紙台65上に記録シートSが載置されていないことを知ることができ、通常、ユーザーは、手差し給紙台65上に記録シートSを載置することになる。
【0138】
その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS46)、ステップS44に戻り、手差し給紙台65上に記録シートSが載置されたかを手差しシートセンサー91の出力に基づいて判断する。手差し給紙台65上に記録シートSが載置されず、手差しシートセンサー91がオフ状態の場合には(ステップS44において「NO」)、ステップS45〜S46の処理が繰り返される。
【0139】
ステップS44において、手差し給紙台65上に記録シートSが載置されることにより、手差しシートセンサー91の出力がオン状態になった場合には(ステップS44において「YES」)、図15のステップS47に進む。
図15は、制御部41によるステップS47に連続する処理手順を示すフローチャートである。ステップS47では、第1給紙カセット61Aが装置本体Aの給紙部60から引き出された状態になっているかを、第1給紙カセット装着センサー92aの出力に基づいて確認する。第1給紙カセット61Aが装置本体Aから引き出されることによって、第1給紙カセット装着センサー92aがオン状態になっている場合には(ステップS47において「YES」)、第1給紙カセット61Aに対する所定の音声出力制御が実行される(ステップS48)。
【0140】
なお、この場合、第1給紙カセット61Aが給紙部60から引き出されていることにより、給紙部60の正面側に位置する第6伝搬経路34fの先端部が、第1給紙カセット61Aの内部に設けられた規制板61aの水平部分61nと接触しており、従って、第6伝搬経路34fと、第1給紙カセット61Aの規制板61aとが振動伝達状態になっている。
【0141】
このような状態で、第1繰り出しJAMセンサー93aの出力および第1給紙センサー94aの出力に基づいて音声振動発生器32を制御する第1給紙カセット音声出力制御が実行される。
第1給紙カセット音声出力制御の詳細については後述する。第1給紙カセット音声出力制御が終了すると、ステップS47に戻る。
【0142】
ステップS47において、第1給紙カセット61Aが給紙部60から引き出されていないことによって第1給紙カセット装着センサー92aがオン状態になっていない場合には(ステップS47において「NO」)、ステップS49に進んで、第2給紙カセット61Bが給紙部60から引き出された状態になっているかを、第2給紙カセット装着センサー92bの出力に基づいて確認する。第2給紙カセット61Bが給紙部60から引き出されることによって第2給紙カセット装着センサー92bがオン状態になっている場合には(ステップS49において「YES」)、第2給紙カセット61Bに対する所定の音声出力制御が実行される(ステップS50)。
【0143】
この場合も、第2給紙カセット61Bが給紙部60から引き出されることによって、第2給紙カセット61Bの規制板61aと、第7伝搬経路34gとが振動伝達状態になっており、このような状態で、第2繰り出しJAMセンサー93bの出力および第2給紙センサー94bの出力に基づいて音声振動発生器32を制御する第2給紙カセット音声出力制御が実行される。
【0144】
第2給紙カセット音声出力制御の詳細については後述する。第2給紙カセット61音声出力制御が終了すると、ステップS49に戻る。
ステップS49において、第2給紙カセット61Bが給紙部60から引き出されていないことにより第2給紙カセット装着センサー92bがオン状態になっていない場合には(ステップS49において「NO」)、ステップS51に進んで、第3給紙カセット61Cが給紙部60から引き出された状態になっているかを、第3給紙カセット装着センサー92cの出力に基づいて確認する。第3給紙カセット61Cが給紙部60から引き出されることによって第3給紙カセット装着センサー92cがオン状態になっている場合には(ステップS51において「YES」)、第3給紙カセット61Cに対する所定の音声出力制御が実行される(ステップS52)。
【0145】
この場合も、第3給紙カセット61Cが装置本体Aから引き出されることにより、第3給紙カセット61Cの規制板61aと、第8伝搬経路34hとが振動伝達状態になっており、このような状態で、第3繰り出しJAMセンサー93cの出力および第3給紙センサー94cの出力に基づいて音声振動発生器32を制御する第3給紙カセット音声出力制御が実行される。
【0146】
第3給紙カセット音声出力制御の詳細については後述する。第3給紙カセット音声出力制御が終了すると、ステップS51に戻る。
ステップS51において、第3給紙カセット61Cが給紙部60から引き出されていないことによって第3給紙カセット装着センサー92cがオン状態になっていない場合には(ステップS51において「NO」)、ステップS53に進んで、第4給紙カセット61Dが給紙部60から引き出された状態になっているかを、第4給紙カセット装着センサー92dの出力に基づいて確認する。第4給紙カセット61Dが給紙部60から引き出されることによって第4給紙カセット装着センサー92dがオン状態になっている場合には(ステップS53において「YES」)、第4給紙カセット61Dに対する所定の音声出力制御が実行される(ステップS54)。
【0147】
この場合も、第4給紙カセット61Dが給紙部60から引き出されることにより、第4給紙カセット61Dの規制板61aと、第9伝搬経路34iとが振動伝達状態になっており、このような状態で、第4繰り出しJAMセンサー93dの出力および第4給紙センサー94dの出力に基づいて音声振動発生器32を制御する第4給紙カセット音声出力制御が実行される。
【0148】
第4給紙カセット音声出力制御の詳細については後述する。第4給紙カセット音声出力制御が終了すると、ステップS53に戻る。
ステップS53において、第4給紙カセット61Dが給紙部60から引き出されていないことによって第4給紙カセット装着センサー92dがオン状態になっていない場合には(ステップS53において「NO」)、プリントジョブが終了したかを確認する(ステップS55)。プリントジョブが終了していない場合には(ステップS55において「NO」)、ステップS11に戻って、上述した一連の音声出力制御を実行する。プリントジョブが終了している場合には(ステップS55において「YES」)、一連の音声出力制御を終了する。
【0149】
図16は、ステップS48、S50、S52、S54のそれぞれにおいて実行される第1〜第4の給紙カセット音声出力制御のサブルーチンを示すフローチャートである。第1〜第4の給紙カセット音声出力制御は、それぞれ、同様の処理手順で実行されるために、図16のフローチャートに基づいて、それぞれの給紙カセット音声出力制御について説明する。
【0150】
第1〜第4のそれぞれ給紙カセット音声出力制御が開始されると、第1〜第4の繰り出し経路62A〜62Dのそれぞれにおいて記録シートSが紙詰まり状態になっているかを、第1〜第4の繰り出しJAMセンサー93a〜93dのそれぞれの出力に基づいて確認する(ステップS56)。
記録シートSが紙詰まり状態になっていないことによって、第1〜第4の繰り出しJAMセンサー93a〜93dのそれぞれの出力がオン状態でない場合には(ステップS56において「NO」)、ステップS59に進む。
【0151】
記録シートSが紙詰まり状態になっていることによって、第1〜第4の繰り出しJAMセンサー93a〜93dのそれぞれの出力がオン状態になっている場合には(ステップS56において「YES」)、制御部41は、第1〜第4のそれぞれの繰り出し経路62A〜62Dにおいて記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする所定の音声10に対応した機械的振動10が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS57)。
【0152】
なお、この場合、第1給紙カセット音声出力制御(ステップS48)、第2給紙カセット音声出力制御(ステップS50)、第3給紙カセット音声出力制御(ステップS52)、第4給紙カセット音声出力制御(ステップS54)のそれぞれでは、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dのそれぞれから繰り出された記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする音声10に対応した機械的振動10が生成される。
【0153】
第1給紙カセット音声出力制御(ステップS48)において、音声振動発生器32から、第1給紙カセット61Aから繰り出された記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする機械的振動10が出力されると、その機械的振動10は、振動板33に伝達されて、第6伝搬経路34fを介して、第1給紙カセット61A内の規制板61aに伝達される。これにより、給紙部60から引き出された第1給紙カセット61A内の規制板61aの全体が振動し、規制板61aの全体から第1繰り出し経路62Aにおいて記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする所定の音声10が出力される。
【0154】
なお、規制板61aにおける垂直部分61mは、記録シートSとの接触していない部分が存在するために、記録シートSによる垂直部分61mの機械的振動により、所定の音声が出力される。この場合も、他の音声出力部からは音声が出力されるおそれがない。
同様に、第2給紙カセット音声出力制御(ステップS50)では、音声振動発生器32からは、第2繰り出し経路62Bにおいて記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする機械的振動10が出力され、出力された機械的振動10が、第8伝搬経路34gを介して、第2給紙カセット61B内の規制板61aに伝達される。これにより、給紙部60から引き出された第2給紙カセット61B内の規制板61aにおける垂直部分61mから、第2繰り出し経路62Bにおいて記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする所定の音声10が出力される。
【0155】
第3および第4の給紙カセット音声出力制御(ステップS52およびS54)でも、音声振動発生器32からそれぞれ出力された所定の機械的振動10が、第8伝搬経路34hおよび第9伝搬経路34iをそれぞれ介して、第3給紙カセット61Cおよび第4給紙カセットD内のそれぞれの規制板61aに伝達され、給紙部60から引き出された第3給紙カセット61Cおよび第4給紙カセットD内の規制板61aにおける垂直部分61mから、第3および第4の繰り出し経路62Cおよび62Dにおいて記録シートSが紙詰まり状態になっていることを内容とする所定の音声10が出力される。
【0156】
第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの規制板61aにおける垂直部分61mから、それぞれ所定の音声10が出力されると、ユーザーは、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの近傍の第1〜第4の繰り出し経路62A〜62Dにおいて記録シートSが紙詰まり状態であることを知ることができ、通常、ユーザーは、第1〜第4の繰り出し経路62A〜62D内において紙詰まり状態の記録シートSを取り除くことになる。この場合、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dのそれぞれが給紙部60から引き出された状態であることから、第1〜第4の繰り出し経路62A〜62Dにおいて紙詰まり状態の記録シートSをそれぞれ容易に取り除くことができる。
【0157】
図16のステップ57において、音声振動発生器32から音声10に対応した機械的振動10が出力されると、その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS58)、ステップS56に戻り、第1〜第4のそれぞれの繰り出し経路62A〜62Dから記録シートSが取り除かれたかを、第1〜第4の繰り出しJAMセンサー93a〜93dのそれぞれの出力に基づいて確認する。第1〜第4のそれぞれの繰り出し経路62A〜62Dから記録シートSが取り除かれず、搬送JAMセンサー84の出力がオン状態の場合には(ステップS56において「YES」)、ステップS57〜S58の処理が繰り返される。
【0158】
ステップS56において、第1〜第4のそれぞれの繰り出し経路62A〜62Dから記録シートSが取り除かれることにより、第1〜第4の繰り出しJAMセンサー93a〜93dの出力がオン状態でなくなった場合には(ステップS56において「NO」)、ステップS59に進み、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの内部に、記録シートSがあるかを、第1〜第4の給紙センサー94a〜94dのそれぞれの出力に基づいて確認する。
【0159】
第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの内部に記録シートSがあり、第1〜第4の給紙センサー94a〜94dのそれぞれの出力がオン状態になっていない場合には(ステップS59において「NO」)、給紙カセット音声出力制御を終了する。
第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの内部の載置板61x上に記録シートSがなく、第1〜第4の給紙センサー94a〜94dのそれぞれの出力がオン状態になっている場合には(ステップS59において「YES」)、制御部41は、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの内部に記録シートSがないことを内容とする音声11に対応した機械的振動11が出力されるように、音声振動発生器32を制御する(ステップS60)。
【0160】
なお、この場合、第1給紙カセット音声出力制御(ステップS48)では、第1の給紙カセット61A内に記録シートSがないことを内容とする音声11に対応した機械的振動11が生成され、第2給紙カセット音声出力制御(ステップS50)では、第2の給紙カセット61B内に記録シートSがないことを内容とする音声11に対応した機械的振動11が生成され、第3給紙カセット音声出力制御(ステップS52)では、第3の給紙カセット61C内に記録シートSがないことを内容とする音声10に対応した機械的振動11が生成され、第4給紙カセット音声出力制御(ステップS54)では、第4給紙カセット61D内に記録シートSがないことを内容とする音声11に対応した機械的振動11が生成される。
【0161】
ステップS60において、音声振動発生器32から、第1給紙カセット61A〜第4給紙カセット61D内に記録シートSがないことを内容とする機械的振動11が出力されると、その音声振動11は、振動板33に伝達されて、第6伝搬経路34fを介して、第1給紙カセット61A〜第4給紙カセット61D内の規制板61aに伝達される。これにより、給紙部60から引き出された第1給紙カセット61A〜第4給紙カセット61D内の規制板61aから、記録シートSがないことを内容とする所定の音声11が出力される。
【0162】
第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dの規制板61aから、それぞれ所定の音声11が出力されると、ユーザーは、第1〜第4の給紙カセット61A〜61D内に記録シートSがないことを知ることができ、通常、ユーザーは、第1〜第4の給紙カセット61A〜61D内に記録シートSを補給することになる。この場合、第1〜第4の給紙カセット61A〜61Dのそれぞれが給紙部60から引き出された状態であることから、それぞれに対して記録シートSを容易に補給することができる。
【0163】
図16のステップ60において、音声振動発生器32から音声11に対応した機械的振動11が出力されると、その後、制御部41は、予め設定された所定時間が経過するのを待って(ステップS61)、ステップS59に戻り、第1〜第4のそれぞれの給紙カセット61A〜61D内に記録シートSが補給されたかを、第1〜第4の給紙センサー94a〜94dのそれぞれの出力に基づいて確認する。第1〜第4のそれぞれの給紙カセット61A〜61D内において記録シートSが補給されず、第1〜第4のそれぞれの給紙センサー94a〜94dがオン状態の場合には(ステップS59において「YES」)、ステップS60〜S61の処理が繰り返される。
【0164】
ステップS59において、第1〜第4のそれぞれの給紙カセット61A〜61D内において記録シートSが補給されて、第1〜第4のそれぞれの給紙センサー94a〜94dがオフ状態になった場合には(ステップS59において「NO」)、第1〜第4の給紙カセット音声出力制御のサブルーチンをそれぞれ終了し、図15のステップS47、ステップS49、ステップS51、ステップS53のそれぞれに戻る。その後は、ステップS55において、プリントジョブが終了したことを確認して、一連の音声出力制御が終了する。
【0165】
このように、本実施形態では、1つの音声振動発生器32によって生じた機械的振動を、第1〜第9の伝搬経路34a〜34iによって、第1〜第9の音声出力部を構成する所定部分の近傍にまで伝搬するようになっている。第1〜第9の伝搬経路34a〜34iと、第1〜第9の音声出力部を構成する各部分との間には、第1〜第9の振動伝達遮断機構71〜79が設けられており、各振動伝達遮断機構71〜79が振動伝達状態になることにより、第1〜第9の伝搬経路34a〜34iを伝搬される音声信号が第1〜第9の音声出力部のそれぞれに伝達される。
【0166】
この場合、第1および第2の振動伝達遮断機構71および72以外の第3〜第9の振動伝達遮断機構73〜79は、第3〜第9の音声出力部(それぞれ、前扉20b、右扉64、手差し給紙台65、第1〜第4の給紙カセット61A〜61D)が、ユーザーによって操作されることにより振動伝達状態になり、第3〜第9の音声出力部に機械的振動が伝達される。
【0167】
従って、ユーザーが第3〜第9の音声出力部を操作することにより、操作された第3〜第9の音声出力部から音声信号が選択的に出力されるために、第3〜第9の音声出力部の近傍に位置するユーザーは、それぞれから出力される音声を確実に聞き取ることができる。
この場合、ユーザーが第3〜第9の音声出力部を操作しなければ、第3〜第9の音声出力部から音声が出力されない。従って、第3〜第9の音声出力部の近傍にユーザーが位置している場合にのみ、第3〜第9の音声出力部から音声が出力されることになる。
【0168】
第3〜第9の音声出力部から出力される音声は、第3〜第9の音声出力部の近傍におけるトラブル(紙詰まり、消耗品の消耗)に関する内容であることから、第3〜第9の音声出力部の近傍において、それぞれから出力される音声を聞き取ったユーザーは、それぞれのトラブルに対して迅速に対処することができる。しかも、第3〜第9の音声出力部のそれぞれが、ユーザー操作によって、トラブルの解消処理を容易に実行することができる状態になっていることから、ユーザーは、それぞれのトラブルの処理を迅速に実行することができる。
【0169】
なお、第1の音声出力部である原稿ガラス13は、ユーザーがADFユニットCを回動操作することにより、原稿ガラス13の上面が外部に露出した状態になって、第1振動伝達遮断機構71が振動伝達状態になる構成になっており、このような構成は、第3〜第9の音声出力部の構成と異なっている。しかし、第3〜第9の音声出力部と同様に、ADFユニットCを回動操作したユーザーは、原稿ガラス13の近傍に位置しているために、原稿ガラス13の上面から出力される音声を確実に聞き取ることができる。しかも、原稿ガラス13の上面が開放されない状態(外部に露出されない状態)では、原稿ガラス13の上面から音声が出力されないために、原稿ガラス13の近傍にユーザーが位置しない状態で周囲に音声が出力されることによって周囲の人に不快感を与えるおそれがない。
【0170】
さらには、原稿ガラス13から出力される音声が、原稿ガラス13上において原稿が所定の状態でないことを内容とする場合には、迅速に原稿を所定の状態に修正することができる。また、原稿ガラス13から出力される音声が、両面コピー時の原稿処理に関する音声ガイダンスの場合にも、ユーザーは、音声ガイダンスに従って、原稿ガラス13上の原稿を迅速に操作することができる。
【0171】
さらに、第2の音声出力部である排紙トレイ20aの上面は、装置本体Aの外部に対して常時、露出しているが、その近傍においてトラブルが発生した場合にのみ、第2振動伝達遮断機構72を振動伝達状態として、排紙トレイ20aの近傍のトラブルに関する音声を排紙トレイ20aから出力するようになっている。このような構成によっても、ユーザーは、音声が出力される近傍においてトラブルが発生していることを知ることができ、トラブルに対して迅速に対処することができる。
【0172】
なお、排紙トレイ20aは、外部に露出しているものの、その上面が画像読取部Bによって覆われた状態になっているために、排紙トレイ20aの上面から出力される音声が、広範囲に伝達されることが抑制される。従って、周囲の人に不快感を与えることは抑制される。
さらに、本実施形態では、1つの音声振動発生器32から出力される機械的振動を、既存の開閉部材等による複数の音声出力部に伝搬させる構成であるために、複数のスピーカーをそれぞれ異なる個所に配置して、各スピーカーからそれぞれの配置個所の近傍のトラブル等に関する内容の音声を出力する構成とする場合のように、複数のスピーカーを必要としない。これにより経済性が向上する。
【0173】
また、複数のスピーカーを使用する場合には、ユーザー操作により、それぞれのスピーカーの音声を装置本体の外部に出力させる構成とするためには、各スピーカーに対する配線がユーザー操作される部材に干渉しないように処理する必要がある。これに対して、ユーザーが操作される部材によって機械的振動を伝達および遮断する本実施形態の構成では、そのような配線の処理が不要であって、比較的簡潔な構成とすることができる。
【0174】
[変形例]
なお、上記の実施形態では、第2の音声出力部としての排紙トレイ20aと、第2伝搬経路34bの先端部との間に設けられた第2振動伝達遮断機構72において、ソレノイド72bを使用して、排紙トレイ20aと、第2伝搬経路34bの先端部とを機械的振動の伝達状態と遮断状態とに切り替える構成であったが、このような構成に限らず、図17に示すように、ソレノイド72bに代えてモーター72mを使用する構成としてもよい。
【0175】
この場合、板金によって構成された第2伝搬経路34bの先端部は、排紙トレイ20aにおける排紙ローラー29側の側部の下方に位置している。第2伝搬経路34bの先端部は可撓性を有している。第2伝搬経路34bの先端部の下方には、第2振動伝達遮断機構72を構成する押し上げ部材72hが設けられている。押し上げ部材72hは、第2伝搬経路34bの先端部を排紙トレイ20aに向けて押し上げるようになっており、回転体72gに取り付けられている。
【0176】
なお、押し上げ部材72hの先端部は、第2伝搬経路34bの先端部からの機械的振動が伝搬されることを抑制するためのスペーサー72iが設けられている。
第2振動伝達遮断機構72には、モーター72mの回転を、回転体72gに伝達する一対の減速ギア72eおよび72fが設けられている。モーター72mは正転および逆転可能になっている。
【0177】
押し上げ部材72hは、通常は、第2伝搬経路34bの先端部と排紙トレイ20aとが振動遮断状態になるように、第2伝搬経路34bの先端部から離間した状態になっている(図17の破線参照)。このような状態で、モーター72mが正転されると、モーター72mの回転(正転)が、一対の減速ギア72eおよび72fを介して回転体72gに伝達されて、回転体72gの回転(正転)によって押し上げ部材72hが上方に回動される。これにより、押し上げ部材72hの先端部が、可撓性を有する第2伝搬経路34bの先端部に当接し、第2伝搬経路34bの先端部を上方に湾曲させて、排紙トレイ20aの下面に接触させる(図17の実線参照)。
【0178】
このような状態になると、第2伝搬経路34bの先端部と、排紙トレイ20aとが振動伝達状態になり、第2伝搬経路34bの先端部に機械的振動が伝搬されると、その機械的振動が排紙トレイ20aに伝達される。
このような状態で、モーター72mを逆転すると、モーター72mの回転(逆転)が回転体72gに伝達されて、回転体72gの回転(逆転)によって押し上げ部材72hが下方に回動される。これにより、押し上げ部材72hの先端部が、第2伝搬経路34bの先端部から離間する。このような状態になると、可撓性を有する第2伝搬経路34bの先端部は、自身の可撓性によって、排紙トレイ20aの下面から離間した状態になり、第2伝搬経路34bの先端部と、排紙トレイ20aとが振動遮断状態になる。
【0179】
このような構成の第2振動伝達遮断機構72も、モーター72mの正転および逆転が制御部41によって制御されて、前記実施の形態と同様に、所定のタイミングで、第2伝搬経路34bの先端部と、排紙トレイ20aとが振動伝達状態とされる。
[他の変形例]
なお、本発明は、1つの機械的振動発生器32を設ける構成に限らず、2以上の音声振動発生器を設けて、それぞれの音声振動発生器から出力される機械的振動を、それぞれの音声振動発生器が担当する2以上の音声出力部へ切り替えて伝搬させる構成としてもよい。
【0180】
さらに、上記の実施形態では、排紙トレイ20a、前扉20b、手差し給紙台65のそれぞれにおいて、それぞれの近傍における2か所の状態変化を順番に検出して、それぞれの状態変化の両方に関する内容の音声を出力する構成であったが、いずれか一方のみの状態変化を検出して、その状態変化に関する内容の音声を出力するようにしてもよい。
また、本発明に係る画像形成装置は、カラー画像を形成するMFP装置に限るものではなく、モノクロ画像を形成する構成であってもよい。さらに、本発明は、MFP装置に限らず、原稿搬送装置を備えた構成であれば、カラーまたはモノクロの画像を形成できる複写機、FAX等の画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、所定個所の状態変化を音声によってユーザーに伝える技術として有用である。
【符号の説明】
【0182】
A 画像形成装置本体
B 画像読取装置
C ADFユニット
14 操作パネル
14b 両面コピーモードスイッチ
20a 排紙トレイ
20b 前扉
29 排紙ローラー
22Y、22M、22C、22K プロセスユニット
29Y、29M、29C、29K トナーカートリッジ
32 音声振動発生器
33 振動板
34a、34b、34c、34d、34e、34f、34g、34h、34i
伝搬経路
61A、61B、61C、61D 給紙カセット
62A、62B、62C、62D 繰り出し経路
63 給紙経路
64 右扉
65 手差し給紙台
66 搬送経路
68 排紙経路
69 手差し経路
71、72、73、74、75、76、77、78、79 振動伝達遮断機構
80 原稿センサー
81 ADF開閉センサー
82 排紙JAMセンサー
83 前扉開閉センサー
84 搬送JAMセンサー
85a、85b、85c、85d ユニット着脱センサー
86 右扉開閉センサー
87 給紙JAMセンサー
88 手差し開閉センサー
89 手差しJAMセンサー
91 手差しシートセンサー
92a、92b、92c、92d カセット装着センサー
93a、93b、93c、93d 繰り出しJAMセンサー
94a、94b、94c、94d 給紙センサー
95 排紙高さセンサー
98a、98b、98c、98d トナー濃度センサー
99a、99b、99c、99d トナーカートリッジセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー操作により上面が開放される原稿台、ユーザー操作が可能なように外部に露出した手差し給紙台、給紙カセット、開閉部材等の、機械的振動を音声として出力が可能な面状部材を複数備え、記録シートにトナー画像を形成する画像形成装置であって、
音声信号によって駆動されて機械的振動を出力する音声振動発生手段と、
前記音声振動発生手段が出力する機械的振動を、前記複数の面状部材のそれぞれに伝搬する複数の帯板状の伝搬経路と、
前記伝搬経路のそれぞれと、前記面状部材のそれぞれとの間に介在され、前記各面状部材への前記機械的振動の伝達と遮断とを切り替える振動伝達遮断機構と、
画像形成に係る機能を有する前記面状部材、または前記面状部材の近傍において画像形成に係る機能を有する所定部材が、音声による警報またはガイダンスを必要とする所定状態であるかを検出する複数の状態検出手段と、
前記状態検出手段によって所定状態であることが検出され、かつ、所定状態であることが検出された面状部材または所定部材の近傍の面状部材に対して、前記振動伝達遮断機構が振動伝達状態になっている場合に、必要とされる機械的振動が出力されるように前記音声振動発生手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記面状部材の1つが原稿台であり、
当該原稿台に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該原稿台の上面が開放されることによって振動伝達状態になり、
前記状態検出手段の1つが、当該原稿台における原稿の載置状態を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記面状部材の1つが、ユーザー操作によって、内部が開放状態とされる開閉部材であり、
当該開閉部材に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該開閉部材が通紙経路を開放状態とすることによって振動伝達状態になり、
前記状態検出手段の1つが、当該通紙経路の紙詰まりを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉部材が、ユーザー操作により記録シートが載置可能な給紙状態に開放される手差し給紙台であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記面状部材の1つが、ユーザー操作によって消耗品を着脱できる状態に内部を開放状態とする開閉部材であり、
当該開閉部材に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該開閉部材が内部を開放することによって振動伝達状態になり、
前記状態検出手段の1つが、当該消耗品の交換時期を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記面状部材の1つが、ユーザー操作により記録シートが載置可能な給紙状態に開放される手差し給紙台であり、
当該手差し給紙台に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該手差し給紙台が給紙状態に開放されることによって振動伝達状態になり、
前記状態検出手段の1つが、当該原稿台における載置された原稿を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記面状部材の1つが、ユーザー操作によって装置本体から引き出された状態とされる給紙カセットに配置されており、
当該面状部材に機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構は、当該給紙カセットが装置本体から引き出されることによって振動伝達状態になり、
前記状態検出手段の1つが、当該給紙カセットから繰り出される通紙経路の紙詰まり、または当該給紙カセット内に記録シートがないことを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記面状部材の1つが、画像が形成された記録シートが積載されるように、露出状態で配置された排紙トレイであり、
当該排紙トレイに対して機械的振動を伝達および遮断する振動伝達遮断機構が、前記制御手段によって機械的振動の伝達および遮断状態に切り替えられる構成であり、
前記状態検出手段の1つが、当該排紙トレイ上に積載される記録シートの高さ、または、当該排紙トレイ上に記録シートを排出する通紙経路の紙詰まりを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−57715(P2013−57715A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194705(P2011−194705)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】