画像形成装置
【課題】薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】筺体の一部に、装置本体10に対して開閉可能な開閉ドア40が形成され、開閉ドア40の内側面の両端部近傍には、開閉ドア40が装置本体10に閉じた状態において装置本体10に係止される係止部50a、50bが設けられている画像形成装置において、係止部50aと係止部50bとの間に突き当て部60が設けられており、突き当て部60が装置本体10に設けられた被突き当て部材としてのスライド部材80に突き当たり、突き当て部60がスライド部材80を移動させることで、係止部50a、50bを装置本体10に係止させ、かつ、係止部50a、50bのいずれかが装置本体10に係止される前に、突き当て部60がスライド部材80に突き当たる構成であることを特徴とする。
【解決手段】筺体の一部に、装置本体10に対して開閉可能な開閉ドア40が形成され、開閉ドア40の内側面の両端部近傍には、開閉ドア40が装置本体10に閉じた状態において装置本体10に係止される係止部50a、50bが設けられている画像形成装置において、係止部50aと係止部50bとの間に突き当て部60が設けられており、突き当て部60が装置本体10に設けられた被突き当て部材としてのスライド部材80に突き当たり、突き当て部60がスライド部材80を移動させることで、係止部50a、50bを装置本体10に係止させ、かつ、係止部50a、50bのいずれかが装置本体10に係止される前に、突き当て部60がスライド部材80に突き当たる構成であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して開閉可能な開閉ドアを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の筺体には、消耗品の交換、または紙詰まりの処理等を行う為の開閉ドアが形成されている。図9に、開閉ドアを有する従来の画像形成装置の概略斜視図を示す。図9に示す従来の画像形成装置には、装置本体1の下部に複数のシート材を積載する給送トレイ2が設けられ、装置本体1の上面には画像形成済みのシート材が排出される排出トレイ3が設けられている。また、装置本体1の筺体には、開閉ドア4が形成されており、開閉ドア4は、回転軸4aを回転中心として図中矢印方向に開閉可能に構成されている。
【0003】
さらに、開閉ドア4の内側面の左右両端部(図9中黒丸部)には係止部5a、5bが設けられている。開閉ドア4を閉じる際に、開閉ドア4の係止部5a、5bが装置本体1に係止されることで、開閉ドア4を装置本体1に対して閉じた状態にすることができる。なお、開閉ドアに磁石を設け、磁力を利用して開閉動作を行う構成、または開閉ドアにハンドル部を設け、ハンドル部の操作と連動させて開閉動作を行う構成も知られている。
【0004】
開閉ドア4を開く場合は、ユーザが開閉ドア4に形成された把持部4bを操作し、開閉ドア4の係止部5a、5bの係止状態を解除することで、開閉ドア4を開くことが出来る。図10に、開閉ドア4が閉じて、開閉ドア4の係止部5a、5bが装置本体1の係止部6a、6bによって係止された状態の概略構成を示す。
【0005】
しかしながら、かかる構成の画像形成装置では、開閉ドア4の両端部に設けられた係止部5a、5bのうち、例えば一方の係止部5aのみが装置本体1の係止部6aに係止され、もう一方の係止部5bは、装置本体に係止されない状態が生じる虞がある。この状態を、開閉ドア4の「片閉まり」と称する。「片閉まり」は、開閉ドア4を閉じる際に、開閉ドア4の一方の端部のみをユーザが押圧する場合に多く生じる。特に、近年は軽量化、コストダウン等を目的として、開閉ドア4が薄型化されており、このような薄型化された(剛性の低い)開閉ドア4を用いる場合は「片閉まり」が生じやすい。
【0006】
図11を参照して、「片閉まり」が生じるメカニズムについて説明する。図11に示すように、ユーザが開閉ドア4の一方の端部の外側面をF1の力で押圧すると、その端部に形成されている係止部5aは、装置本体1の係止部6aに係止される。しかし、開閉ドア4の一方の端部のみが押圧されることで、開閉ドア4には、ねじれ力Tが生じてしまうので、もう一方の係止部5bがねじれ力Tによる反力F2を受けてしまう。
【0007】
そして、反力F2を受けることにより、もう一方の係止部5bは装置本体の係止部6bに係止されることが出来ない。つまり、開閉ドア4の一方の係止部5aのみが係止され、もう一方の係止部5bが係止されない「片閉まり」の状態になってしまう。なお、このねじれ力Tは、開閉ドア4の剛性が低いほど大きくなるので、薄型化された開閉ドア4を用いる場合は「片閉まり」が生じやすくなる。また、一旦「片閉まり」の状態になった開閉ドア4は、開閉ドア4の剛性が低い場合は係止された方の係止部5aの係止状態を解除することが困難であるので、「片閉まり」の状態が維持されることになる。
【0008】
このような「片閉まり」の状態になった場合に装置本体が画像形成動作を開始しないように、「片閉まり」の状態を検知する検知手段を備える画像形成装置が提案されている。
特許文献1には、インタロックスイッチと弾性部材を組み合わせ、「片閉まり」が生じてもインタロックスイッチが切れるようにする技術が開示されている。
【0009】
また特許文献2には、開閉ドアの両端部と中央部のそれぞれに爪部材を計3つ設け、中央部の爪部材が装置本体に係止されない状態では、両端部の爪部材のいずれも装置本体に係止されることが不可能な構成が提案されている。さらに、開閉ドア4には把持部が設けられ、把持部の操作と係止状態の解除を連動させる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−53193号公報
【特許文献2】特開2000−98681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら上記従来の画像形成装置では以下の課題を生じる。
【0012】
「片閉まり」の状態を検知する検知手段を画像形成装置に別途設ける場合は、製造コストの増加、装置本体の大型化につながってしまう。また、開閉ドアに設けた把持部の操作と係止解除を連動させる場合は、連動機構を設ける必要があるので開閉ドアを薄型化することが困難になる。さらに、開閉ドアが大きい場合は、当該連動機構に要する部品も大型化してしまうので、製造コストの増大を招いてしまう。
【0013】
すなわち従来では、軽量化、コストダウン等を目的として開閉ドアを薄型化した場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」自体の発生を防止することが可能な画像形成装置は提案されていない。
【0014】
そこで上記現状に鑑みて本発明は、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
画像形成を行う複数の部材を収容する筺体の一部に、装置本体に対して開閉可能な開閉ドアが形成され、
前記開閉ドアの内側面の両端部近傍には、
前記開閉ドアが装置本体に閉じた状態において装置本体に係止される第1の係止部と第2の係止部とが設けられている画像形成装置において、
第1の係止部と第2の係止部との間に突き当て部が設けられており、
前記開閉ドアを閉じる際は、
前記突き当て部が装置本体に設けられた被突き当て部材に突き当たり、
前記開閉ドアの閉じ動作に伴って前記突き当て部が前記被突き当て部材を移動させることで、前記開閉ドアが閉じ方向に移動し、第1の係止部、及び第2の係止部を装置本体に係止させることが可能であって、
かつ、
第1の係止部と第2の係止部の少なくとも一方が装置本体に係止される前に、前記突き当て部が前記被突き当て部材に突き当たる構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な
構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図3】第1の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図4】第2の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図5】第2の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図6】第3の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図7】第3の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図8】第3の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図9】従来例に係る画像形成装置の概略斜視図。
【図10】従来例における開閉ドアが閉じた状態の概略構成図。
【図11】片閉まりが生じるメカニズムを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
【0020】
(画像形成装置の概略構成)
図1に本実施の形態に係る画像形成装置の外観斜視図を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、装置本体の下部にシート材を複数積載する給送トレイ20と、装置本体の上面に画像形成済みのシート材が排出される排出トレイ30とを備えている。
【0021】
また、画像形成装置10には、複数の画像形成手段(像担持体、現像ユニット、露光ユニット、定着ユニット、シート材の搬送ユニット等)が筺体内の所定の位置に収容されている。シート材に画像形成を行う際は、露光ユニットが像担持体の表面に形成した静電潜像を、現像ユニットがトナー像として現像し、それをシート材上に転写した後、定着ユニットでトナー像を定着させて排出トレイ30に排出する。
【0022】
一般的に通紙枚数が増えると、画像形成手段を構成する上記の各部材、ユニットの中には、メンテナンス作業が必要になるものがでてくる。このメンテナンス作業には、例えば消耗部品の交換、補給等の作業が含まれる。また、画像形成プロセスの途中でシート材のジャムが生じた場合は、画像形成プロセスを一旦中止して、ジャムを取り除く必要がある。
【0023】
このようなメンテナンス作業、ジャムの処理等を、ユーザが容易に行えるようにするために、画像形成装置の筺体には、装置本体に対して開閉自在な開閉ドア40が設けられている。これにより、ユーザがメンテナンス作業、ジャム処理を行う場合の作業スペースが確保されるので、ユーザビリティの向上につながる。なお、装置本体の軽量化、コストダウンを目的として、本実施の形態における開閉ドア40は薄型化されており、よって、開閉ドア40の剛性は低くなっている。
【0024】
本実施の形態における開閉ドア40は、装置本体の筺体の一部をなしており、給送トレイ20の上方に設けられた回転軸40aを中心として、図1中矢印方向に開くことが出来る。また、開閉ドア40の外側面には把持部40bが設けられており、開閉ドア40を開く際は、ユーザが把持部40bを手前に引くことで開閉ドア40を開くことができる。
【0025】
また、開閉ドア40の上端部近傍の内側面の左右両端部近傍には、係止部50a(第1の係止部)、50b(第2の係止部)が設けられており、さらに係止部50aと50bの間(略中央部)には、突き当て部60が設けられている。突き当て部60は、開閉ドア40の把持部40bと略同一の位置に形成されている。また、図1中の黒丸部は、係止部50a、50b、突き当て部60の位置を示すものである。係止部50a、50bは、開閉ドア40を閉じた状態で、後に説明する装置本体側に設けられた係止部70a、70bに係止されるものである。
【0026】
(開閉ドア及び装置本体の係止部の構成)
図2、3を参照して、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60、及び装置本体に設けられる係止部70a、70b、被突き当て部材であるスライド部材82の構成について説明する。図2は、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60が装置本体に係止された状態を示し、図3は、ユーザが開閉ドア40の端部のみを押圧して、突き当て部60がスライド部材82に突き当たっている状態を示すものである。
【0027】
図2、3に示すように、本実施の形態における開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60は、開閉ドア40の内側面から装置本体側へ向かう凸形状を有しており、係止部50a、50bの先端には、爪部51a、51bが形成されている。なお、係止部50a、50b、突き当て部60は、開閉ドア40を閉じる際に、突き当て部60がスライド部材82に最初に突き当たるように構成されている。すなわち、本実施の形態では、突き当て部60の高さが係止部50a、50bと比較して最も高くなるように構成されている。
【0028】
爪部51aには、開閉ドア40が閉じる方向に傾斜する先端斜面52a、先端斜面52aとは逆方向に傾斜する後端斜面53aが形成されている。同様に爪部51bにも、開閉ドア40が閉じる方向に傾斜する先端斜面52b、先端斜面52bとは逆方向に傾斜する後端斜面53bが形成されている。なお、先端斜面52a、52bの傾斜角を52θとする。
【0029】
一方、突き当て部60の先端側には、開閉ドア40が閉じる方向に傾斜する先端側の斜面62、先端側の斜面62とは反対側に設けられ、斜面62とは逆方向に傾斜する後端側の斜面63が設けられている。さらに、斜面62と斜面63に接続する平坦部64が形成されている。なお、斜面62の傾斜角を62θ、斜面63の傾斜角を63θとする。
【0030】
また、装置本体には、上述した開閉ドア40の係止部50a、50bを係止する係止部70a、70b、さらに、突き当て部60が突き当たるスライド部材82が設けられている。
【0031】
装置本体側の係止部70aは、付勢バネ71aと、付勢バネ71aに接続されるスライド部材72aを備え、付勢バネ71aがスライド部材72aを付勢し、スライド部材72aを開閉ドア40の開閉方向と略直交する方向に付勢する。なお、スライド部材72aの先端には、上述した後端斜面53aに倣う斜面73aと、斜面73aと反対方向に傾斜する斜面74aが形成されている。
【0032】
装置本体側の係止部70bは、付勢バネ71bと、付勢バネ71bに接続されるスライド部材72bを備え、付勢バネ71bがスライド部材72bを付勢し、スライド部材72bを突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢する。なお、スライド部材72bの先端には、上述した後端斜面53bに倣う斜面73bと、斜面73bと反対方向に傾斜する斜面74bが形成されている。
【0033】
突き当て部60が突き当たるスライド部材82は、付勢バネ81に接続され、付勢バネ81によって、突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢される。なお、スライド部材82の先端には、上述した後端斜面63に倣う斜面83と、斜面83と反対方向に傾斜する斜面84が形成されている。
【0034】
かかる構成によると、開閉ドア40を装置本体に対して閉じると、スライド部材72a、72b、82が付勢バネ71a、71b、81に付勢されることで、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60が図2に示す状態で係止されることになる。よって、一旦開閉ドア40を閉じると、その係止状態が保持され続けることになる。そしてこの係止状態は、ユーザが開閉ドア40の把持部40bを操作することで解除される。
【0035】
(片閉まりを防止する構成)
従来、特に開閉ドアが薄型化された場合は、ユーザが開閉ドアの一方の端部を押圧して開閉ドアを閉じると、開閉ドアの一方の端部のみが装置本体に係止される「片閉まり」が生じてしまうことは上記で説明した。これに対し、本実施の形態における開閉ドア40では、ユーザが一方の端部を押圧して開閉ドア40を閉じる場合でも、「片閉まり」を生じるおそれがない。以下、本実施の形態における「片閉まりを防止する構成」について説明する。
【0036】
図3に、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧して開閉ドア40を閉じる状態を示す。本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部をF1の力で押圧すると、まず最初に、開閉ドア40の突き当て部60の先端斜面62が待機位置にあるスライド部材82の斜面84に接触する。
【0037】
スライド部材82と突き当て部60が接触すると、突き当て部60の先端側の斜面62に対して、付勢バネ81の作用によってF2の力(開閉ドア40を押し戻す方向の力)が働く。なお、突き当て部60が受けるF2の力の大きさは、先端側の斜面62の傾斜角62θによって調節可能である。
【0038】
そしてF2の力が突き当て部60に働いている状態では、突き当て部60は、F2の力に抗してスライド部材82を押し込んで開閉ドア40が閉じる方向に進むことができない。つまり、開閉ドア40の剛性が低いので、突き当て部60はスライド部材82に突き当たった状態で停止し、その後はねじれ力Tによって、開閉ドア40が突き当て部60の付け根を支点に変形することになる。
【0039】
このように本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合には、開閉ドア40の間に位置する突き当て部60がスライド部材82を移動させることがない。さらに、開閉ドア40が図3のように変形し、係止部50aのみが係止部70aに係止される「片閉まり」の状態になって開閉ドア40の押圧を中止しても、開閉ドア40のねじれ力Tにより、開閉ドア40は元の形状に戻ろうとするので、「片閉まり」が解除される。
【0040】
つまり、「片閉まり」の状態から開閉ドア40が元の形状に戻ろうとする際に生じるねじれ力Tは、係止部70aが係止部50aを係止している力よりも大きい。よって、ユー
ザの操作を必要とせず、開閉ドア40の変形を利用して、「片閉まり」を解除することができる。
【0041】
以上より、本実施の形態に係る画像形成装置によれば、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合であっても、開閉ドア40が「片閉まり」の状態となることを防ぐことが可能である。なお、上記ではユーザが開閉ドア40の係止部50aの方の端部を押圧した場合について説明したが、もう一方の端部(係止部50bの方)を押圧する場合であっても、「片閉まり」の状態を防ぐことは可能である。
【0042】
また、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、突き当て部60がスライド部材82から受ける力F2に抗して、スライド部材82を押しのけて開閉ドア40を閉じることができる。
【0043】
同様に、開閉ドア40の係止部50a、50bもスライド部材72a、72bを押しのけて、スライド部材72a、72bに係止される。よって、ユーザが開閉ドア40の略中央部を押圧する場合は、開閉ドア40を装置本体に確実に閉じることができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、開閉ドア40の突き当て部60の先端側の斜面62の傾斜角62θが、係止部50a、50bの先端斜面52a、52bの傾斜角52θよりも大きくなるようにした(62θ>52θ)。
【0045】
これにより、突き当て部60に対しては、より大きな反力F2を付与することが可能になり、一方で係止部50a、50bに対しては、スライド部材70a、70bから受ける反力の大きさをF2より小さくすることができる。これは、係止部50a、50bに大きな反力が働くと、開閉ドア40を閉じるために要するユーザの押圧力も大きくなってしまうので、それによってユーザの操作性が低下することを防ぐためである。
【0046】
また、本実施の形態では、突き当て部60の先端側の斜面62の傾斜角62θを、後端側の斜面63の傾斜角63θよりも大きくした。さらに、先端側の傾斜面62と後端側の斜面63を平坦部64で接続した。この構成によると、開閉ドア40を開く際に、突き当て部60がスライド部材82から受ける力を低減させることができるので、開閉ドア40を開くために要するユーザの力を低減させることが可能になる。
【0047】
また、開閉ドア40を閉じた状態では、スライド部材82が突き当て部60の後端側の斜面63を係止するので(図2参照)、開閉ドア40に反りがある場合でも、開閉ドア40を閉じた状態ではそりを矯正することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、スライド部材82から突き当て部60に働く反力F2の大きさを、先端側の斜面62の傾斜角62θによって調節している。すなわち、付勢バネ等で反力F2の大きさを調節する構成ではないので、装置本体に設けられた係止部70a、70bに、同一の付勢バネ、スライド部材を用いることができる。よって、製造コストを抑えることが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態では、開閉ドア40に爪部60を設け、装置本体に係止部70a、70b、スライド部材82を設ける構成としたが、本発明に係る画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、本実施の形態とは逆に、開閉ドア40に付勢バネ、スライド部材を配置し、装置本体に爪部を設ける構成であってもよい。
【0050】
以上より、本実施の形態によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供
することが可能になる。
【0051】
[第2の実施の形態]
図4、5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。なお、(画像形成装置の概略構成)に関しては上記第1の実施の形態と異なるものではないのでその説明は省略し、ここでは第1の実施の形態と異なる部分のみ説明を行う。
【0052】
(開閉ドア及び装置本体の係止部の構成)
図4、5を参照して、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60、及び装置本体に設けられた係止部70a、70b、スライド部材82の構成について説明する。図4は、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60が、装置本体の係止部70a、70bに係止された状態を示し、図5は、ユーザが開閉ドア40の端部のみを押圧して、突き当て部60がスライド部材82に突き当たっている状態を示すものである。
【0053】
開閉ドア40の係止部50a、50bには、第1の実施の形態と同様に爪部51a、51bが形成されており、一方で装置本体の係止部70a、70bには、爪部51a、51bの斜面に倣う斜面が形成されている。なお、本実施の形態では、装置本体の係止部70a、70bは付勢バネ等で付勢される構成ではなく、係止部50a、50bと当接することで、撓むように構成されている。
【0054】
係止部50aと係止部50bの間(略中央部)に形成される突き当て部60は、先端に突入リブ68を備えている。また、第1の実施の形態と同様に、開閉ドア40を閉じる際に突き当て部60が装置本体側のスライド部材82に最初に突き当たるように構成されており、突き当て部60の高さが係止部50a、50bと比較して最も高くなるように構成されている。
【0055】
突き当て部60が突き当たるスライド部材82は、付勢バネ81に接続されている。そして、付勢バネ81がスライド部材82を付勢し、スライド部材82を突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢している。なお、スライド部材82の先端面は、略平坦に形成されている。
【0056】
かかる構成によると、開閉ドア40を閉じると、係止部50a、50bが係止部70a、70bを押し込んで撓ませ、その後、爪部51a、51bが係止部70a、70bに係止される。なお、突き当て部60は、スライド部材82に係止されなくとも、開閉ドア40を閉じた状態にすることは可能である。
【0057】
以上の構成によれば、開閉ドア40の係止部50a、50bが装置本体の係止部70a、70bに係止されていれば、開閉ドア40を確実に閉じた状態にすることができる。なお、この係止状態は、ユーザが開閉ドア40の把持部40bを操作することで解除される。
【0058】
(片閉まりを防止する構成)
図5に示すようにユーザが開閉ドア40の一方の端部をF1の力で押圧すると、まず最初に、突き当て部60の突入リブ68が待機位置にあるスライド部材82に突き当たる。
【0059】
スライド部材82と突き当て部60の突入リブ68が突き当たると、突入リブ68には、付勢バネ81の作用によってF2の力(開閉ドア40を押し戻す方向の力)が働く。なお、突入リブ68が受けるF2の力の大きさは、突入リブ68の斜面の傾斜角によって調節可能である。
【0060】
そしてF2の力が突入リブ68に働いている状態では、突き当て部60は、F2の力に抗してスライド部材82を押し込んで開閉ドア40が閉じる方向に進むことができない。つまり、開閉ドア40の剛性が低いので、突き当て部60はスライド部材82に突き当たった状態で停止し、その後はねじれ力Tによって、開閉ドア40が突入リブ68の先端を支点に変形することになる。
【0061】
このように本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合には、開閉ドア40の間(略中央部)に位置する突き当て部60がスライド部材82を押し込んで進むことがない。さらに、開閉ドア40が図5のように変形し、係止部50aのみが係止部70aに係止される「片閉まり」の状態になって開閉ドア40の押圧を中止しても、開閉ドア40のねじれ力により、開閉ドア40は元の形状に戻ろうとするので、「片閉まり」が解除される。
【0062】
つまり、「片閉まり」の状態から開閉ドア40が元の形状に戻ろうとする際に生じるねじれ力は、係止部70aが係止部50aを係止している力よりも大きい。よって、ユーザの操作を必要とせず、開閉ドア40の変形を利用して、「片閉まり」を解除することができる。
【0063】
以上より、本実施の形態に係る画像形成装置によれば、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合であっても、開閉ドア40が「片閉まり」の状態となることを防ぐことが可能である。なお、上記ではユーザが開閉ドア40の係止部50aの方の端部を押圧した場合について説明したが、もう一方の端部(係止部50bの方)を押圧する場合であっても、「片閉まり」の状態を防ぐことは可能である。
【0064】
また、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、開閉ドア40の突入リブ68がスライド部材82から受ける力F2に抗してスライド部材82を押しのけることが可能なので、開閉ドア40を閉じる方向に進ませることができる。
【0065】
よって、開閉ドア40の係止部50a、50bが係止部72a、72bを撓ませて、係止部72a、72bに係止された状態になる。従って、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b)近傍を押圧する場合は、開閉ドア40を装置本体に確実に閉じることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、スライド部材82の先端面は略平坦に形成されているので、図4に示す状態から開閉ドア40を開く場合は、突き当て部60とスライド部材82の摺動抵抗よりも大きな力でユーザは開閉ドア40を開けばよい。従って、第1の実施の形態と比較すると比較的小さな力で開閉ドア40を開くことができる。
【0067】
また、本実施の形態では、開閉ドア40に突入リブ68を設け、装置本体にスライド部材82を設ける構成としたが、本発明に係る画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、本実施の形態とは逆に、開閉ドア40にスライド部材82を配置し、装置本体に突入リブ68を設ける構成であってもよい。
【0068】
以上より、本実施の形態によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0069】
[第3の実施の形態]
図6〜8を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、(画像形成装置の概略構成)に関しては上記第1の実施の形態と異なるものではないのでその説明は
省略し、ここでは第1の実施の形態と異なる部分のみ説明を行う。
【0070】
(開閉ドア及び装置本体の係止部の構成)
本実施の形態における開閉ドア40に形成される係止部50a、50b、突き当て部60の形状は、上記で説明した第2の実施の形態と同一である。すなわち、本実施の形態における係止部50a、50bは、爪部51a、51bを有しており、係止部50aと係止部50bの間(略中央部)に形成される突き当て部60は、先端に突入リブ68を備えている。
【0071】
また、装置本体に形成され、開閉ドア40の係止部50a、50bを係止する係止部70a、70bも、上記第2の実施の形態と同一の形状である。すなわち、開閉ドア40が閉まると、係止部50a、50bが係止部70a、70bを撓ませ、その後、爪部51a、51bが係止部70a、70bによって係止される構成である。なお、係止部70a、70bは、第1の実施の形態のように、付勢バネを有する構成であってもよい。
【0072】
本実施の形態では、上記構成に加え、係止部70a、70bと開閉ドア40との間に、付勢バネ81によって突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢されるスライド部材88が設けられていることを特徴とする。さらに、スライド部材88には、係止部50a、50b、突き当て部60のそれぞれに対応する3つの開口部150a、150b、160が形成されている。
【0073】
(片閉まりを防止する構成)
図8に示すように、ユーザが開閉ドア40の一方の端部をF1の力で押圧すると、まず最初に、開閉ドア40の突き当て部60の突入リブ68が待機位置にあるスライド部材88に突き当たる。なお、図7(b)に示すように、スライド部材88が待機位置にある状態では、開口部150a、150b、160は、係止部50a、50b、突き当て部60がそれぞれの開口部を通過可能な位置に配置されていない。
【0074】
スライド部材88と突き当て部60の突入リブ68が突き当たると、突入リブ68には、付勢バネ81の作用によってF2の力(開閉ドア40を押し戻す方向の力)が働く。なお、突入リブ68が受けるF2の力の大きさは、突入リブ68の斜面の傾斜角によって調節可能である。
【0075】
そしてF2の力が突入リブ68に働いている状態では、突き当て部60は、F2の力に抗してスライド部材88を押し込んで開閉ドア40が閉じる方向に進むことができない。つまり、開閉ドア40の剛性が低いので、突き当て部60はスライド部材88に突き当たった状態で停止し、その後はねじれ力Tによって、開閉ドア40が突入リブ68の先端を支点に変形するからである。
【0076】
開閉ドア40にねじれ力Tが働いて変形すると、係止部50aの先端はスライド部材88に突き当たった状態で停止する。この状態では係止部60がスライド部材88を押し込んでいないので、スライド部材88に形成された開口部150a、150bを係止部50a、50bは通過することができない。
【0077】
従って、本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧しても、その端部に設けられている係止部50a、50bがスライド部材88の開口部150a、150bを通過することが出来ないので、「片閉まり」が発生しない。
【0078】
一方、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、突き当て部60の突入リブ68がスライド部材88から受ける力F2に抗して、スライド部材
88を押しのけて上方にスライドさせることが可能である。そして、スライド部材88が移動することで、開口部150aが係止部50aに、開口部160が突き当て部60に、開口部150bが係止部50bを臨む位置に配置され、図7(a)の状態になる。すなわち図7(a)に示す状態は、係止部50a、50bが装置本体に対して係止可能な状態といえる。
【0079】
よって、開口部150a、150b、160を係止部50a、50b、突き当り部60が通過可能になり、開閉ドア40がさらに進み、開閉ドア40の係止部50a、50bが係止部70a、70bを撓ませて、係止部70a、70bに係止された状態になる。従って、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、開閉ドア40を装置本体に確実に閉じることができる。
【0080】
なお、装置本体には開閉ドア40の突き当て部60を係止する係止手段は設けられていないので、開閉ドア40を開く際は、突き当て部60に対して付加がかからず、ユーザは開閉ドア40を容易に開くことができる。
【0081】
また、本実施の形態では、開閉ドア40に突入リブ68を設け、装置本体にスライド部材88を設ける構成としたが、本発明に係る画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、本実施の形態とは逆に、開閉ドア40にスライド部材88を配置し、装置本体に突入リブ68を設ける構成であってもよい。
【0082】
以上より、本実施の形態によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0083】
10 画像形成装置
40 開閉ドア
50a係止部
50b係止部
52a先端斜面
52b先端斜面
60 突き当て部
80 スライド部材
150a開口部
150b開口部
160 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して開閉可能な開閉ドアを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の筺体には、消耗品の交換、または紙詰まりの処理等を行う為の開閉ドアが形成されている。図9に、開閉ドアを有する従来の画像形成装置の概略斜視図を示す。図9に示す従来の画像形成装置には、装置本体1の下部に複数のシート材を積載する給送トレイ2が設けられ、装置本体1の上面には画像形成済みのシート材が排出される排出トレイ3が設けられている。また、装置本体1の筺体には、開閉ドア4が形成されており、開閉ドア4は、回転軸4aを回転中心として図中矢印方向に開閉可能に構成されている。
【0003】
さらに、開閉ドア4の内側面の左右両端部(図9中黒丸部)には係止部5a、5bが設けられている。開閉ドア4を閉じる際に、開閉ドア4の係止部5a、5bが装置本体1に係止されることで、開閉ドア4を装置本体1に対して閉じた状態にすることができる。なお、開閉ドアに磁石を設け、磁力を利用して開閉動作を行う構成、または開閉ドアにハンドル部を設け、ハンドル部の操作と連動させて開閉動作を行う構成も知られている。
【0004】
開閉ドア4を開く場合は、ユーザが開閉ドア4に形成された把持部4bを操作し、開閉ドア4の係止部5a、5bの係止状態を解除することで、開閉ドア4を開くことが出来る。図10に、開閉ドア4が閉じて、開閉ドア4の係止部5a、5bが装置本体1の係止部6a、6bによって係止された状態の概略構成を示す。
【0005】
しかしながら、かかる構成の画像形成装置では、開閉ドア4の両端部に設けられた係止部5a、5bのうち、例えば一方の係止部5aのみが装置本体1の係止部6aに係止され、もう一方の係止部5bは、装置本体に係止されない状態が生じる虞がある。この状態を、開閉ドア4の「片閉まり」と称する。「片閉まり」は、開閉ドア4を閉じる際に、開閉ドア4の一方の端部のみをユーザが押圧する場合に多く生じる。特に、近年は軽量化、コストダウン等を目的として、開閉ドア4が薄型化されており、このような薄型化された(剛性の低い)開閉ドア4を用いる場合は「片閉まり」が生じやすい。
【0006】
図11を参照して、「片閉まり」が生じるメカニズムについて説明する。図11に示すように、ユーザが開閉ドア4の一方の端部の外側面をF1の力で押圧すると、その端部に形成されている係止部5aは、装置本体1の係止部6aに係止される。しかし、開閉ドア4の一方の端部のみが押圧されることで、開閉ドア4には、ねじれ力Tが生じてしまうので、もう一方の係止部5bがねじれ力Tによる反力F2を受けてしまう。
【0007】
そして、反力F2を受けることにより、もう一方の係止部5bは装置本体の係止部6bに係止されることが出来ない。つまり、開閉ドア4の一方の係止部5aのみが係止され、もう一方の係止部5bが係止されない「片閉まり」の状態になってしまう。なお、このねじれ力Tは、開閉ドア4の剛性が低いほど大きくなるので、薄型化された開閉ドア4を用いる場合は「片閉まり」が生じやすくなる。また、一旦「片閉まり」の状態になった開閉ドア4は、開閉ドア4の剛性が低い場合は係止された方の係止部5aの係止状態を解除することが困難であるので、「片閉まり」の状態が維持されることになる。
【0008】
このような「片閉まり」の状態になった場合に装置本体が画像形成動作を開始しないように、「片閉まり」の状態を検知する検知手段を備える画像形成装置が提案されている。
特許文献1には、インタロックスイッチと弾性部材を組み合わせ、「片閉まり」が生じてもインタロックスイッチが切れるようにする技術が開示されている。
【0009】
また特許文献2には、開閉ドアの両端部と中央部のそれぞれに爪部材を計3つ設け、中央部の爪部材が装置本体に係止されない状態では、両端部の爪部材のいずれも装置本体に係止されることが不可能な構成が提案されている。さらに、開閉ドア4には把持部が設けられ、把持部の操作と係止状態の解除を連動させる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−53193号公報
【特許文献2】特開2000−98681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら上記従来の画像形成装置では以下の課題を生じる。
【0012】
「片閉まり」の状態を検知する検知手段を画像形成装置に別途設ける場合は、製造コストの増加、装置本体の大型化につながってしまう。また、開閉ドアに設けた把持部の操作と係止解除を連動させる場合は、連動機構を設ける必要があるので開閉ドアを薄型化することが困難になる。さらに、開閉ドアが大きい場合は、当該連動機構に要する部品も大型化してしまうので、製造コストの増大を招いてしまう。
【0013】
すなわち従来では、軽量化、コストダウン等を目的として開閉ドアを薄型化した場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」自体の発生を防止することが可能な画像形成装置は提案されていない。
【0014】
そこで上記現状に鑑みて本発明は、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
画像形成を行う複数の部材を収容する筺体の一部に、装置本体に対して開閉可能な開閉ドアが形成され、
前記開閉ドアの内側面の両端部近傍には、
前記開閉ドアが装置本体に閉じた状態において装置本体に係止される第1の係止部と第2の係止部とが設けられている画像形成装置において、
第1の係止部と第2の係止部との間に突き当て部が設けられており、
前記開閉ドアを閉じる際は、
前記突き当て部が装置本体に設けられた被突き当て部材に突き当たり、
前記開閉ドアの閉じ動作に伴って前記突き当て部が前記被突き当て部材を移動させることで、前記開閉ドアが閉じ方向に移動し、第1の係止部、及び第2の係止部を装置本体に係止させることが可能であって、
かつ、
第1の係止部と第2の係止部の少なくとも一方が装置本体に係止される前に、前記突き当て部が前記被突き当て部材に突き当たる構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な
構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図3】第1の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図4】第2の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図5】第2の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図6】第3の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図7】第3の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図8】第3の実施の形態における開閉ドア及び装置本体の係止部の概略構成図。
【図9】従来例に係る画像形成装置の概略斜視図。
【図10】従来例における開閉ドアが閉じた状態の概略構成図。
【図11】片閉まりが生じるメカニズムを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
【0020】
(画像形成装置の概略構成)
図1に本実施の形態に係る画像形成装置の外観斜視図を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、装置本体の下部にシート材を複数積載する給送トレイ20と、装置本体の上面に画像形成済みのシート材が排出される排出トレイ30とを備えている。
【0021】
また、画像形成装置10には、複数の画像形成手段(像担持体、現像ユニット、露光ユニット、定着ユニット、シート材の搬送ユニット等)が筺体内の所定の位置に収容されている。シート材に画像形成を行う際は、露光ユニットが像担持体の表面に形成した静電潜像を、現像ユニットがトナー像として現像し、それをシート材上に転写した後、定着ユニットでトナー像を定着させて排出トレイ30に排出する。
【0022】
一般的に通紙枚数が増えると、画像形成手段を構成する上記の各部材、ユニットの中には、メンテナンス作業が必要になるものがでてくる。このメンテナンス作業には、例えば消耗部品の交換、補給等の作業が含まれる。また、画像形成プロセスの途中でシート材のジャムが生じた場合は、画像形成プロセスを一旦中止して、ジャムを取り除く必要がある。
【0023】
このようなメンテナンス作業、ジャムの処理等を、ユーザが容易に行えるようにするために、画像形成装置の筺体には、装置本体に対して開閉自在な開閉ドア40が設けられている。これにより、ユーザがメンテナンス作業、ジャム処理を行う場合の作業スペースが確保されるので、ユーザビリティの向上につながる。なお、装置本体の軽量化、コストダウンを目的として、本実施の形態における開閉ドア40は薄型化されており、よって、開閉ドア40の剛性は低くなっている。
【0024】
本実施の形態における開閉ドア40は、装置本体の筺体の一部をなしており、給送トレイ20の上方に設けられた回転軸40aを中心として、図1中矢印方向に開くことが出来る。また、開閉ドア40の外側面には把持部40bが設けられており、開閉ドア40を開く際は、ユーザが把持部40bを手前に引くことで開閉ドア40を開くことができる。
【0025】
また、開閉ドア40の上端部近傍の内側面の左右両端部近傍には、係止部50a(第1の係止部)、50b(第2の係止部)が設けられており、さらに係止部50aと50bの間(略中央部)には、突き当て部60が設けられている。突き当て部60は、開閉ドア40の把持部40bと略同一の位置に形成されている。また、図1中の黒丸部は、係止部50a、50b、突き当て部60の位置を示すものである。係止部50a、50bは、開閉ドア40を閉じた状態で、後に説明する装置本体側に設けられた係止部70a、70bに係止されるものである。
【0026】
(開閉ドア及び装置本体の係止部の構成)
図2、3を参照して、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60、及び装置本体に設けられる係止部70a、70b、被突き当て部材であるスライド部材82の構成について説明する。図2は、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60が装置本体に係止された状態を示し、図3は、ユーザが開閉ドア40の端部のみを押圧して、突き当て部60がスライド部材82に突き当たっている状態を示すものである。
【0027】
図2、3に示すように、本実施の形態における開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60は、開閉ドア40の内側面から装置本体側へ向かう凸形状を有しており、係止部50a、50bの先端には、爪部51a、51bが形成されている。なお、係止部50a、50b、突き当て部60は、開閉ドア40を閉じる際に、突き当て部60がスライド部材82に最初に突き当たるように構成されている。すなわち、本実施の形態では、突き当て部60の高さが係止部50a、50bと比較して最も高くなるように構成されている。
【0028】
爪部51aには、開閉ドア40が閉じる方向に傾斜する先端斜面52a、先端斜面52aとは逆方向に傾斜する後端斜面53aが形成されている。同様に爪部51bにも、開閉ドア40が閉じる方向に傾斜する先端斜面52b、先端斜面52bとは逆方向に傾斜する後端斜面53bが形成されている。なお、先端斜面52a、52bの傾斜角を52θとする。
【0029】
一方、突き当て部60の先端側には、開閉ドア40が閉じる方向に傾斜する先端側の斜面62、先端側の斜面62とは反対側に設けられ、斜面62とは逆方向に傾斜する後端側の斜面63が設けられている。さらに、斜面62と斜面63に接続する平坦部64が形成されている。なお、斜面62の傾斜角を62θ、斜面63の傾斜角を63θとする。
【0030】
また、装置本体には、上述した開閉ドア40の係止部50a、50bを係止する係止部70a、70b、さらに、突き当て部60が突き当たるスライド部材82が設けられている。
【0031】
装置本体側の係止部70aは、付勢バネ71aと、付勢バネ71aに接続されるスライド部材72aを備え、付勢バネ71aがスライド部材72aを付勢し、スライド部材72aを開閉ドア40の開閉方向と略直交する方向に付勢する。なお、スライド部材72aの先端には、上述した後端斜面53aに倣う斜面73aと、斜面73aと反対方向に傾斜する斜面74aが形成されている。
【0032】
装置本体側の係止部70bは、付勢バネ71bと、付勢バネ71bに接続されるスライド部材72bを備え、付勢バネ71bがスライド部材72bを付勢し、スライド部材72bを突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢する。なお、スライド部材72bの先端には、上述した後端斜面53bに倣う斜面73bと、斜面73bと反対方向に傾斜する斜面74bが形成されている。
【0033】
突き当て部60が突き当たるスライド部材82は、付勢バネ81に接続され、付勢バネ81によって、突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢される。なお、スライド部材82の先端には、上述した後端斜面63に倣う斜面83と、斜面83と反対方向に傾斜する斜面84が形成されている。
【0034】
かかる構成によると、開閉ドア40を装置本体に対して閉じると、スライド部材72a、72b、82が付勢バネ71a、71b、81に付勢されることで、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60が図2に示す状態で係止されることになる。よって、一旦開閉ドア40を閉じると、その係止状態が保持され続けることになる。そしてこの係止状態は、ユーザが開閉ドア40の把持部40bを操作することで解除される。
【0035】
(片閉まりを防止する構成)
従来、特に開閉ドアが薄型化された場合は、ユーザが開閉ドアの一方の端部を押圧して開閉ドアを閉じると、開閉ドアの一方の端部のみが装置本体に係止される「片閉まり」が生じてしまうことは上記で説明した。これに対し、本実施の形態における開閉ドア40では、ユーザが一方の端部を押圧して開閉ドア40を閉じる場合でも、「片閉まり」を生じるおそれがない。以下、本実施の形態における「片閉まりを防止する構成」について説明する。
【0036】
図3に、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧して開閉ドア40を閉じる状態を示す。本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部をF1の力で押圧すると、まず最初に、開閉ドア40の突き当て部60の先端斜面62が待機位置にあるスライド部材82の斜面84に接触する。
【0037】
スライド部材82と突き当て部60が接触すると、突き当て部60の先端側の斜面62に対して、付勢バネ81の作用によってF2の力(開閉ドア40を押し戻す方向の力)が働く。なお、突き当て部60が受けるF2の力の大きさは、先端側の斜面62の傾斜角62θによって調節可能である。
【0038】
そしてF2の力が突き当て部60に働いている状態では、突き当て部60は、F2の力に抗してスライド部材82を押し込んで開閉ドア40が閉じる方向に進むことができない。つまり、開閉ドア40の剛性が低いので、突き当て部60はスライド部材82に突き当たった状態で停止し、その後はねじれ力Tによって、開閉ドア40が突き当て部60の付け根を支点に変形することになる。
【0039】
このように本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合には、開閉ドア40の間に位置する突き当て部60がスライド部材82を移動させることがない。さらに、開閉ドア40が図3のように変形し、係止部50aのみが係止部70aに係止される「片閉まり」の状態になって開閉ドア40の押圧を中止しても、開閉ドア40のねじれ力Tにより、開閉ドア40は元の形状に戻ろうとするので、「片閉まり」が解除される。
【0040】
つまり、「片閉まり」の状態から開閉ドア40が元の形状に戻ろうとする際に生じるねじれ力Tは、係止部70aが係止部50aを係止している力よりも大きい。よって、ユー
ザの操作を必要とせず、開閉ドア40の変形を利用して、「片閉まり」を解除することができる。
【0041】
以上より、本実施の形態に係る画像形成装置によれば、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合であっても、開閉ドア40が「片閉まり」の状態となることを防ぐことが可能である。なお、上記ではユーザが開閉ドア40の係止部50aの方の端部を押圧した場合について説明したが、もう一方の端部(係止部50bの方)を押圧する場合であっても、「片閉まり」の状態を防ぐことは可能である。
【0042】
また、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、突き当て部60がスライド部材82から受ける力F2に抗して、スライド部材82を押しのけて開閉ドア40を閉じることができる。
【0043】
同様に、開閉ドア40の係止部50a、50bもスライド部材72a、72bを押しのけて、スライド部材72a、72bに係止される。よって、ユーザが開閉ドア40の略中央部を押圧する場合は、開閉ドア40を装置本体に確実に閉じることができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、開閉ドア40の突き当て部60の先端側の斜面62の傾斜角62θが、係止部50a、50bの先端斜面52a、52bの傾斜角52θよりも大きくなるようにした(62θ>52θ)。
【0045】
これにより、突き当て部60に対しては、より大きな反力F2を付与することが可能になり、一方で係止部50a、50bに対しては、スライド部材70a、70bから受ける反力の大きさをF2より小さくすることができる。これは、係止部50a、50bに大きな反力が働くと、開閉ドア40を閉じるために要するユーザの押圧力も大きくなってしまうので、それによってユーザの操作性が低下することを防ぐためである。
【0046】
また、本実施の形態では、突き当て部60の先端側の斜面62の傾斜角62θを、後端側の斜面63の傾斜角63θよりも大きくした。さらに、先端側の傾斜面62と後端側の斜面63を平坦部64で接続した。この構成によると、開閉ドア40を開く際に、突き当て部60がスライド部材82から受ける力を低減させることができるので、開閉ドア40を開くために要するユーザの力を低減させることが可能になる。
【0047】
また、開閉ドア40を閉じた状態では、スライド部材82が突き当て部60の後端側の斜面63を係止するので(図2参照)、開閉ドア40に反りがある場合でも、開閉ドア40を閉じた状態ではそりを矯正することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、スライド部材82から突き当て部60に働く反力F2の大きさを、先端側の斜面62の傾斜角62θによって調節している。すなわち、付勢バネ等で反力F2の大きさを調節する構成ではないので、装置本体に設けられた係止部70a、70bに、同一の付勢バネ、スライド部材を用いることができる。よって、製造コストを抑えることが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態では、開閉ドア40に爪部60を設け、装置本体に係止部70a、70b、スライド部材82を設ける構成としたが、本発明に係る画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、本実施の形態とは逆に、開閉ドア40に付勢バネ、スライド部材を配置し、装置本体に爪部を設ける構成であってもよい。
【0050】
以上より、本実施の形態によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供
することが可能になる。
【0051】
[第2の実施の形態]
図4、5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。なお、(画像形成装置の概略構成)に関しては上記第1の実施の形態と異なるものではないのでその説明は省略し、ここでは第1の実施の形態と異なる部分のみ説明を行う。
【0052】
(開閉ドア及び装置本体の係止部の構成)
図4、5を参照して、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60、及び装置本体に設けられた係止部70a、70b、スライド部材82の構成について説明する。図4は、開閉ドア40の係止部50a、50b、突き当て部60が、装置本体の係止部70a、70bに係止された状態を示し、図5は、ユーザが開閉ドア40の端部のみを押圧して、突き当て部60がスライド部材82に突き当たっている状態を示すものである。
【0053】
開閉ドア40の係止部50a、50bには、第1の実施の形態と同様に爪部51a、51bが形成されており、一方で装置本体の係止部70a、70bには、爪部51a、51bの斜面に倣う斜面が形成されている。なお、本実施の形態では、装置本体の係止部70a、70bは付勢バネ等で付勢される構成ではなく、係止部50a、50bと当接することで、撓むように構成されている。
【0054】
係止部50aと係止部50bの間(略中央部)に形成される突き当て部60は、先端に突入リブ68を備えている。また、第1の実施の形態と同様に、開閉ドア40を閉じる際に突き当て部60が装置本体側のスライド部材82に最初に突き当たるように構成されており、突き当て部60の高さが係止部50a、50bと比較して最も高くなるように構成されている。
【0055】
突き当て部60が突き当たるスライド部材82は、付勢バネ81に接続されている。そして、付勢バネ81がスライド部材82を付勢し、スライド部材82を突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢している。なお、スライド部材82の先端面は、略平坦に形成されている。
【0056】
かかる構成によると、開閉ドア40を閉じると、係止部50a、50bが係止部70a、70bを押し込んで撓ませ、その後、爪部51a、51bが係止部70a、70bに係止される。なお、突き当て部60は、スライド部材82に係止されなくとも、開閉ドア40を閉じた状態にすることは可能である。
【0057】
以上の構成によれば、開閉ドア40の係止部50a、50bが装置本体の係止部70a、70bに係止されていれば、開閉ドア40を確実に閉じた状態にすることができる。なお、この係止状態は、ユーザが開閉ドア40の把持部40bを操作することで解除される。
【0058】
(片閉まりを防止する構成)
図5に示すようにユーザが開閉ドア40の一方の端部をF1の力で押圧すると、まず最初に、突き当て部60の突入リブ68が待機位置にあるスライド部材82に突き当たる。
【0059】
スライド部材82と突き当て部60の突入リブ68が突き当たると、突入リブ68には、付勢バネ81の作用によってF2の力(開閉ドア40を押し戻す方向の力)が働く。なお、突入リブ68が受けるF2の力の大きさは、突入リブ68の斜面の傾斜角によって調節可能である。
【0060】
そしてF2の力が突入リブ68に働いている状態では、突き当て部60は、F2の力に抗してスライド部材82を押し込んで開閉ドア40が閉じる方向に進むことができない。つまり、開閉ドア40の剛性が低いので、突き当て部60はスライド部材82に突き当たった状態で停止し、その後はねじれ力Tによって、開閉ドア40が突入リブ68の先端を支点に変形することになる。
【0061】
このように本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合には、開閉ドア40の間(略中央部)に位置する突き当て部60がスライド部材82を押し込んで進むことがない。さらに、開閉ドア40が図5のように変形し、係止部50aのみが係止部70aに係止される「片閉まり」の状態になって開閉ドア40の押圧を中止しても、開閉ドア40のねじれ力により、開閉ドア40は元の形状に戻ろうとするので、「片閉まり」が解除される。
【0062】
つまり、「片閉まり」の状態から開閉ドア40が元の形状に戻ろうとする際に生じるねじれ力は、係止部70aが係止部50aを係止している力よりも大きい。よって、ユーザの操作を必要とせず、開閉ドア40の変形を利用して、「片閉まり」を解除することができる。
【0063】
以上より、本実施の形態に係る画像形成装置によれば、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧した場合であっても、開閉ドア40が「片閉まり」の状態となることを防ぐことが可能である。なお、上記ではユーザが開閉ドア40の係止部50aの方の端部を押圧した場合について説明したが、もう一方の端部(係止部50bの方)を押圧する場合であっても、「片閉まり」の状態を防ぐことは可能である。
【0064】
また、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、開閉ドア40の突入リブ68がスライド部材82から受ける力F2に抗してスライド部材82を押しのけることが可能なので、開閉ドア40を閉じる方向に進ませることができる。
【0065】
よって、開閉ドア40の係止部50a、50bが係止部72a、72bを撓ませて、係止部72a、72bに係止された状態になる。従って、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b)近傍を押圧する場合は、開閉ドア40を装置本体に確実に閉じることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、スライド部材82の先端面は略平坦に形成されているので、図4に示す状態から開閉ドア40を開く場合は、突き当て部60とスライド部材82の摺動抵抗よりも大きな力でユーザは開閉ドア40を開けばよい。従って、第1の実施の形態と比較すると比較的小さな力で開閉ドア40を開くことができる。
【0067】
また、本実施の形態では、開閉ドア40に突入リブ68を設け、装置本体にスライド部材82を設ける構成としたが、本発明に係る画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、本実施の形態とは逆に、開閉ドア40にスライド部材82を配置し、装置本体に突入リブ68を設ける構成であってもよい。
【0068】
以上より、本実施の形態によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0069】
[第3の実施の形態]
図6〜8を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、(画像形成装置の概略構成)に関しては上記第1の実施の形態と異なるものではないのでその説明は
省略し、ここでは第1の実施の形態と異なる部分のみ説明を行う。
【0070】
(開閉ドア及び装置本体の係止部の構成)
本実施の形態における開閉ドア40に形成される係止部50a、50b、突き当て部60の形状は、上記で説明した第2の実施の形態と同一である。すなわち、本実施の形態における係止部50a、50bは、爪部51a、51bを有しており、係止部50aと係止部50bの間(略中央部)に形成される突き当て部60は、先端に突入リブ68を備えている。
【0071】
また、装置本体に形成され、開閉ドア40の係止部50a、50bを係止する係止部70a、70bも、上記第2の実施の形態と同一の形状である。すなわち、開閉ドア40が閉まると、係止部50a、50bが係止部70a、70bを撓ませ、その後、爪部51a、51bが係止部70a、70bによって係止される構成である。なお、係止部70a、70bは、第1の実施の形態のように、付勢バネを有する構成であってもよい。
【0072】
本実施の形態では、上記構成に加え、係止部70a、70bと開閉ドア40との間に、付勢バネ81によって突き当て部60の移動方向と略直交する方向に付勢されるスライド部材88が設けられていることを特徴とする。さらに、スライド部材88には、係止部50a、50b、突き当て部60のそれぞれに対応する3つの開口部150a、150b、160が形成されている。
【0073】
(片閉まりを防止する構成)
図8に示すように、ユーザが開閉ドア40の一方の端部をF1の力で押圧すると、まず最初に、開閉ドア40の突き当て部60の突入リブ68が待機位置にあるスライド部材88に突き当たる。なお、図7(b)に示すように、スライド部材88が待機位置にある状態では、開口部150a、150b、160は、係止部50a、50b、突き当て部60がそれぞれの開口部を通過可能な位置に配置されていない。
【0074】
スライド部材88と突き当て部60の突入リブ68が突き当たると、突入リブ68には、付勢バネ81の作用によってF2の力(開閉ドア40を押し戻す方向の力)が働く。なお、突入リブ68が受けるF2の力の大きさは、突入リブ68の斜面の傾斜角によって調節可能である。
【0075】
そしてF2の力が突入リブ68に働いている状態では、突き当て部60は、F2の力に抗してスライド部材88を押し込んで開閉ドア40が閉じる方向に進むことができない。つまり、開閉ドア40の剛性が低いので、突き当て部60はスライド部材88に突き当たった状態で停止し、その後はねじれ力Tによって、開閉ドア40が突入リブ68の先端を支点に変形するからである。
【0076】
開閉ドア40にねじれ力Tが働いて変形すると、係止部50aの先端はスライド部材88に突き当たった状態で停止する。この状態では係止部60がスライド部材88を押し込んでいないので、スライド部材88に形成された開口部150a、150bを係止部50a、50bは通過することができない。
【0077】
従って、本実施の形態では、ユーザが開閉ドア40の一方の端部を押圧しても、その端部に設けられている係止部50a、50bがスライド部材88の開口部150a、150bを通過することが出来ないので、「片閉まり」が発生しない。
【0078】
一方、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、突き当て部60の突入リブ68がスライド部材88から受ける力F2に抗して、スライド部材
88を押しのけて上方にスライドさせることが可能である。そして、スライド部材88が移動することで、開口部150aが係止部50aに、開口部160が突き当て部60に、開口部150bが係止部50bを臨む位置に配置され、図7(a)の状態になる。すなわち図7(a)に示す状態は、係止部50a、50bが装置本体に対して係止可能な状態といえる。
【0079】
よって、開口部150a、150b、160を係止部50a、50b、突き当り部60が通過可能になり、開閉ドア40がさらに進み、開閉ドア40の係止部50a、50bが係止部70a、70bを撓ませて、係止部70a、70bに係止された状態になる。従って、ユーザが開閉ドア40の略中央部(把持部40b近傍)を押圧する場合は、開閉ドア40を装置本体に確実に閉じることができる。
【0080】
なお、装置本体には開閉ドア40の突き当て部60を係止する係止手段は設けられていないので、開閉ドア40を開く際は、突き当て部60に対して付加がかからず、ユーザは開閉ドア40を容易に開くことができる。
【0081】
また、本実施の形態では、開閉ドア40に突入リブ68を設け、装置本体にスライド部材88を設ける構成としたが、本発明に係る画像形成装置の構成はこれに限られるものではない。すなわち、本実施の形態とは逆に、開閉ドア40にスライド部材88を配置し、装置本体に突入リブ68を設ける構成であってもよい。
【0082】
以上より、本実施の形態によれば、薄型化された開閉ドアが用いられる場合であっても、簡易かつ安価な構成で「片閉まり」の発生を防止することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0083】
10 画像形成装置
40 開閉ドア
50a係止部
50b係止部
52a先端斜面
52b先端斜面
60 突き当て部
80 スライド部材
150a開口部
150b開口部
160 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成を行う複数の部材を収容する筺体の一部に、装置本体に対して開閉可能な開閉ドアが形成され、
前記開閉ドアの内側面の両端部近傍には、
前記開閉ドアが装置本体に閉じた状態において装置本体に係止される第1の係止部と第2の係止部とが設けられている画像形成装置において、
第1の係止部と第2の係止部との間に突き当て部が設けられており、
前記開閉ドアを閉じる際は、
前記突き当て部が装置本体に設けられた被突き当て部材に突き当たり、
前記開閉ドアの閉じ動作に伴って前記突き当て部が前記被突き当て部材を移動させることで、前記開閉ドアが閉じ方向に移動し、第1の係止部、及び第2の係止部を装置本体に係止させることが可能であって、
かつ、
第1の係止部と第2の係止部の少なくとも一方が装置本体に係止される前に、前記突き当て部が前記被突き当て部材に突き当たる構成であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記突き当て部の先端には斜面が形成されており、
前記開閉ドアを閉じる際に前記斜面が前記被突き当て部材に突き当たり、前記開閉ドアの閉じ動作に伴って、前記被突き当て部材を前記突き当て部の移動方向と略直交する方向へ移動させる構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被突き当て部材には、
第1の係止部、第2の係止部、及び突き当て部のそれぞれが通過することが可能な開口部が形成されており、
前記突き当て部が前記被突き当て部材に突き当たる前は、
第1の係止部、及び第2の係止部のいずれもが、それぞれに対応して設けられた前記開口部を通過することが出来ない構成であり、
前記開閉ドアを閉じる際に前記突き当て部が前記被突き当て部材を移動させることで、
第1の係止部に対応する開口部が、第1の係止部が該開口部を通過可能な位置まで移動し、
かつ、
第2の係止部に対応する開口部が、第2の係止部が該開口部を通過可能な位置まで移動し、第1の係止部及び第2の係止部が装置本体に係止可能な状態になることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1の係止部と第2の係止部の先端には爪部が形成されており、
前記開閉ドアを閉じた状態では前記爪部が装置本体に係止される構成であって、
前記爪部の先端に形成された先端斜面の傾斜角は、
前記突き当て部の先端に形成された前記斜面の傾斜角よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記突き当て部には、
前記突き当て部の先端に形成された前記斜面に接続し、前記被突き当て部材の移動方向とは略直交する平坦部が形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記突き当て部には、
前記突き当て部の先端側に対して反対側に設けられ、
前記平坦部に接続し、
前記突き当て部の先端に形成された前記斜面よりも傾斜角が小さく、
かつ、前記斜面が傾斜する方向とは反対方向に傾斜する斜面が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置本体の外側面には、
前記開閉ドアの開閉動作を行う把持部が設けられており、
前記突き当て部は、
前記把持部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
画像形成を行う複数の部材を収容する筺体の一部に、装置本体に対して開閉可能な開閉ドアが形成され、
前記開閉ドアの内側面の両端部近傍には、
前記開閉ドアが装置本体に閉じた状態において装置本体に係止される第1の係止部と第2の係止部とが設けられている画像形成装置において、
第1の係止部と第2の係止部との間に突き当て部が設けられており、
前記開閉ドアを閉じる際は、
前記突き当て部が装置本体に設けられた被突き当て部材に突き当たり、
前記開閉ドアの閉じ動作に伴って前記突き当て部が前記被突き当て部材を移動させることで、前記開閉ドアが閉じ方向に移動し、第1の係止部、及び第2の係止部を装置本体に係止させることが可能であって、
かつ、
第1の係止部と第2の係止部の少なくとも一方が装置本体に係止される前に、前記突き当て部が前記被突き当て部材に突き当たる構成であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記突き当て部の先端には斜面が形成されており、
前記開閉ドアを閉じる際に前記斜面が前記被突き当て部材に突き当たり、前記開閉ドアの閉じ動作に伴って、前記被突き当て部材を前記突き当て部の移動方向と略直交する方向へ移動させる構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被突き当て部材には、
第1の係止部、第2の係止部、及び突き当て部のそれぞれが通過することが可能な開口部が形成されており、
前記突き当て部が前記被突き当て部材に突き当たる前は、
第1の係止部、及び第2の係止部のいずれもが、それぞれに対応して設けられた前記開口部を通過することが出来ない構成であり、
前記開閉ドアを閉じる際に前記突き当て部が前記被突き当て部材を移動させることで、
第1の係止部に対応する開口部が、第1の係止部が該開口部を通過可能な位置まで移動し、
かつ、
第2の係止部に対応する開口部が、第2の係止部が該開口部を通過可能な位置まで移動し、第1の係止部及び第2の係止部が装置本体に係止可能な状態になることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1の係止部と第2の係止部の先端には爪部が形成されており、
前記開閉ドアを閉じた状態では前記爪部が装置本体に係止される構成であって、
前記爪部の先端に形成された先端斜面の傾斜角は、
前記突き当て部の先端に形成された前記斜面の傾斜角よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記突き当て部には、
前記突き当て部の先端に形成された前記斜面に接続し、前記被突き当て部材の移動方向とは略直交する平坦部が形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記突き当て部には、
前記突き当て部の先端側に対して反対側に設けられ、
前記平坦部に接続し、
前記突き当て部の先端に形成された前記斜面よりも傾斜角が小さく、
かつ、前記斜面が傾斜する方向とは反対方向に傾斜する斜面が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置本体の外側面には、
前記開閉ドアの開閉動作を行う把持部が設けられており、
前記突き当て部は、
前記把持部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−57968(P2013−57968A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257672(P2012−257672)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−123237(P2008−123237)の分割
【原出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2008−123237(P2008−123237)の分割
【原出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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