説明

画像形成装置

【課題】省エネのため圧力転位樹脂トナーを用い、モノクロ画像印刷時には高生産性を確保した印刷が行え、カラー画像印刷時にはトナー画像の良好な定着性を確保できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】圧力相転移樹脂を含む黒色トナーを用いて、黒色トナー画像を記録媒体P上に形成する電子写真方式の画像形成部101と、黒色トナー画像を記録媒体P上に圧力定着する定着装置301とを備えたプリンタ500において、イエロー、マゼンタ、シアン等の複数色の異なるインクにより多色画像を、記録媒体P上に形成するインクジェット方式の画像形成部201を備え、インクジェット方式の画像形成部201を、定着装置301の記録媒体搬送方向上流側に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単色及び複数色の画像形成が可能な複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、及びこれらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題を配慮した画像形成装置への要望として、より一層の省エネルギー性の向上が求められている。また、文書等のカラー化の普及にともない、一般的なオフィス等においても、単色及び複数色の画像形成が可能な画像形成装置(以下、カラー画像形成装置という)の利用も拡大してきている。
【0003】
従来から、一般的なオフィス等では、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置として、電子写真方式の画像形成装置や、インクジェット方式の画像形成装置が広く普及している。特に、利用頻度が高い文書等を記録媒体上に形成するモノクロ印刷においては、印刷速度の高さや、文書等の文字のにじみ等が少ない電子写真方式の画像形成装置が用いられることが多い。また、カラー画像形成においても、電子写真方式の画像形成装置の利用が拡大してきている。
【0004】
通常のオフィス使用の電子写真方式の画像形成装置では、記録媒体上に担持されたトナー画像を記録媒体上に定着する定着装置の方式として、熱定着方式が広く用いられている。しかし、電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上が、熱定着方式の加熱に費やされており、近年の環境問題の観点から加熱温度を下げるか、全く加熱させないで定着させる定着方式が種々提案されてきている。例えば、特許文献1には、シリコーンオイルに溶解する溶媒にてトナーを溶解させる方法が記載されている。また、特許文献2には、次のような湿式定着方法が記載されている。トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶である有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液剤を調合する。そして、調合した液体を記録媒体の表面に噴霧または滴下して未定着のトナーを溶解または膨潤させた後、記録媒体を乾燥させるものである。これらの方法により、トナーを非加熱にて定着させることができるものと考えられる。しかし、これらの方法では定着液を塗布あるいは噴霧する際や、塗布後の液体の表面張力の影響により未定着トナーが移動してしまい画像が大幅に乱れてしまう不具合が生じたり、水分除去が必要になったりする。
【0005】
また、近年、圧力によって流動化する樹脂、いわゆるバロプラスチック(以下、圧力相転移樹脂という)を含むトナーを用いた画像形成装置が提案されている。圧力相転移樹脂については、エンジニアリングプラスチックやバイオプラスチック分野で、樹脂のミクロ相分離構造由来の特性を利用した低温での圧力成形用樹脂材用の研究がなされてきた。性質の異なる二種以上の高分子が共有結合でつながって構成されているブロック共重合体(樹脂)は、性質の異なる各高分子鎖が独立して凝集し、ミクロ相分離構造を形成する。従来から、ブロック共重合体(樹脂)の構造は、各高分子鎖の組成に比例し、海島構造、シリンダー構造、ラメラ構造へと変化することは既に広く知られていた。そして、非特許文献1(1998年論文)の小核中性子散乱によるブロック共重合体(樹脂)の構造研究において、このような樹脂に圧力刺激を加えると流動性が発生するという現象が近年、新たに発見された。
【0006】
そして、具体的な画像形成装置の例としては、例えば、特許文献3には、圧力相転移樹脂を含むトナーを用い、定着温度15℃以上50℃以下、定着圧力が0.1Mpa以上5.0Mpa以下で定着を行う画像形成方法が記載されている。特許文献4には、上述のような圧力相転移樹脂を含むトナーを用い、最大定着圧力が5.0Mpa(5Mpa)となるように2ロール型の定着機を改造して定着ローラを加熱することなく圧力定着する実施例が記載されている。そして、特許文献5には、カラー画像印刷時に、カラー画像を形成する4色のトナーの全色に圧力相転移樹脂を含むトナーを用いて作像し、中間転写体上で重ね合わせたトナー画像を圧力によりフィルム化して記録媒体に転写後、圧力定着を行なうカラー画像形成装置が記載されている。このように圧力相転移樹脂を含むトナーを用いて圧力定着を行うことで、カラー画像形成においても、省電力での画像形成、つまり省エネでのカラー画像形成が可能になるものと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献5に記載の画像形成装置では、カラー画像印刷時に、中間転写体上に複数色のトナーでカラー画像が形成されるため、2色以上のトナーが重なる画像部と、1色のトナーによる画像部とが混在することになる。このように混在した場合、フィルム化の工程でトナー画像にかかる圧力に不均一が生じ、トナー画像がフィルム化される部分と、フィルム化されず粒子のままの部分とが生じ、トナー画像を完全にフィルム化することが困難になってしまう。また、記録媒体への転写後の圧力定着時にも同様に、圧力の不均一により良好な定着性を確保することが困難になってしまう。これらのような現象は、中間転写体上でのフィルム化工程を有した場合だけに生じる現象ではなく、中間転写体上でのフィルム化工程を持たずに、記録媒体への転写後に圧力定着にて定着する場合についても同様に生じる。良好な定着性が確保できないと、印刷された記録媒体に手や衣服が触れて汚れたり、印刷された記録媒体の色再現域が狭くなったりするといったユーザーのデメリットにつながる。また、このような現象を解決するためには、圧力定着時の圧力またはフィルム化の際の圧力を高くする必要があり、装置が大掛かりになり、装置サイズや装置重量、及び製造コストの点で好ましくない。
【0008】
なお、電子写真方式の画像形成部と、インクジェット方式の画像形成部の双方を併せ持ち、電子写真方式の画像形成部で記録媒体上に形成した黒色トナー画像を、記録媒体上に圧力定着する点が後述する本発明と共通する発明が特許文献6に記載されている。しかし、この文献の発明では、電子写真方式の画像形成部で用いるトナーに、圧力相転位樹脂を含むトナーを用いる点については、記載も示唆もされていない。そして、圧力相転位樹脂を含むトナーを用いずに、従来から周知のトナーを用いる場合には、圧力定着部で加圧する圧力が、圧力相転位樹脂を含むトナーを用いる場合に比べて高くなる可能性がある。圧力定着部で加圧する圧力が高くなると、装置が大掛かりになり、装置サイズや装置重量、及び製造コストの点で好ましくない。
【0009】
また、この文献の発明では、インクジェット方式の画像形成部で、黒色トナー画像を圧力定着部で記録媒体上に圧力定着した後に、記録媒体上にインクを滴下している。記録媒体にインクを滴下する前に、圧力定着部で加圧する圧力が、上記のように高くなってしまうと、カラー画像印刷時に用いる記録媒体が紙の場合、つまり、記録媒体に利用頻度が高い転写紙を用いる場合、紙の繊維間の距離が小さくなり、毛細管現象が強まってしまう可能性がある。毛細管現象が強まると、インクジェット方式の画像形成部で滴下されたインクが、記録媒体である転写紙の表面の繊維を移動しやすくなり、インクがにじみ易くなる。すなわち、インクジェット方式における課題の1つである、色にじみが発生し易いという課題が顕著に現れてしまう。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、省エネのため圧力転位樹脂トナーを用い、モノクロ画像印刷時には高生産性を確保した印刷が行え、カラー画像印刷時にはトナー画像の良好な定着性を確保できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、圧力転位樹脂を含むトナーを用いて、トナー画像を記録媒体上に形成する電子写真方式の画像形成部と、前記トナー画像を前記記録媒体上に圧力定着する圧力定着部とを備えた画像形成装置において、前記圧力転位樹脂を含むトナーは黒色トナーであり、イエロー、マゼンタ、シアン等の複数色の異なるインクにより多色画像を、前記記録媒体上に形成するインクジェット方式の画像形成部を備えたことを特徴とするものである。
本発明は、電子写真方式の画像形成部で作像した黒色トナー画像を記録媒体上に圧力定着するので、熱定着方式の定着装置のように高熱を必要とせず、消費電力を抑制できる。また、モノクロ画像印刷時には、電子写真方式の画像形成部で画像形成を行え、高生産性を確保した印刷が行える。加えて、カラー画像印刷時に用いるトナーは、圧力相転移樹脂を含む黒色トナーのみであり、特許文献5のように全色のトナーに圧力相転移樹脂を含むトナーを用いて、圧力定着時の圧力に不均一に起因した不具合が発生することもない。すなわち、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時のいずれの場合でも、従来の熱定着方式の定着装置で定着を行う画像形成装置に比べて消費電力を抑制できるとともに、トナー画像の良好な定着性を確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時のいずれの場合でも、従来の熱定着方式の定着装置で定着を行う画像形成装置に比べて消費電力を抑制できるとともに、トナー画像の良好な定着性を得ることができる。
よって、省エネのため圧力転位樹脂トナーを用い、モノクロ画像印刷時には高生産性を確保した印刷が行え、カラー画像印刷時にはトナー画像の良好な定着性を確保できる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係る画像形成装置であるプリンタの概略構成図。
【図2】実施例1に係る電子写真方式の画像形成部の構成説明図。
【図3】実施例1に係るインクジェット方式の画像形成部の構成説明図。
【図4】実施例1に係るインクジェット方式の画像形成部のインクジェットヘッドのノズル面の配置説明図。
【図5】実施例1に係る制御部のブロック図である。
【図6】実施例1に係る制御部で行う動作制御を説明するフロー図。
【図7】実施例2に係る画像形成装置であるプリンタの概略構成図。
【図8】実施例2に係る電子写真方式の画像形成部の構成説明図。
【図9】実施例3に係る画像形成装置であるプリンタの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、画像形成装置であるカラープリンタ(以下、プリンタ500という)に適用した一実施形態について、複数の実施例を挙げ、図を用いて説明する。
【0015】
(実施例1)
まず、本実施形態の第1の実施例である実施例1から説明する。ここで、図1は、本実施例に係る画像形成装置であるプリンタ500の概略構成図、図2は、本実施例に係る電子写真方式の画像形成部101の構成説明図である。図3は、本実施例に係るインクジェット方式の画像形成部201の構成説明図、図4は、本実施例に係るインクジェット方式の画像形成部201のインクジェットヘッド202のノズル面の配置説明図である。図5は、本実施例に係る制御部401のブロック図、図6は、本実施例に係る制御部401で行う動作制御を説明するフロー図である。
【0016】
図1に示すように、本実施例に係るプリンタ500では、電子写真方式の画像形成部101の記録媒体搬送方向上流側(以下、上流側という)にインクジェット方式の画像形成部201を配置している。そして、電子写真方式の画像形成部101の記録媒体搬送方向下流側(以下、下流側という)に、この画像形成部101で記録媒体P上に転写したトナー画像を、記録媒体P上に圧力定着する圧力定着部である定着装置301を配置している。また、インクジェット方式の画像形成部201の上流側には、記録媒体Pを各画像形成部に給紙する給紙部130を配置している。
【0017】
電子写真方式の画像形成部101には、圧力相転移樹脂を含む黒色トナーを用いる現像装置103、感光体ドラム104、感光体クリーニングユニット105、及び帯電装置106を有した画像形成ユニット102を備えている。また、中間転写ベルト108と中間転写ベルトクリーニングユニット109と有した中間転写ユニット107、及び感光体ドラム104表面上に静電潜像を形成する光書込みユニット110も備えている。一方、インクジェット方式の画像形成部201には、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックのインクを吐出する、図示していないインクジェットヘッド202、インクジェットヘッド202に対して駆動信号を伝達する信号伝達ケーブル203、及びインク供給経路204を備えている。そして、定着装置301には、加圧ローラ302と対向ローラ303とを有し、給紙部130には、記録媒体Pを収容する複数の給紙カセット131と、記録媒体Pを手差し給紙する際に用いる手差しトレイ132とを有している。
【0018】
ここで、図2を用いて、電子写真方式の画像形成部101の構成についてより詳細に説明する。画像形成ユニット102の下方には、図示していない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、及び反射ミラー等を有し、画像データに基づいて感光体ドラム104の表面にレーザー光を走査しながら照射する光書込みユニット110を配置している。また、画像形成ユニット102の上方には、画像形成ユニット102の感光体ドラム104表面上に形成された黒色トナー画像を中間転写するための中間転写ベルト108を有した中間転写ユニット107を配置している。この中間転写ユニット107には、中間転写ベルト108の外周面に接触するようにブラシローラとクリーニングブレードを配置した中間転写ベルトクリーニングユニット109を有している。
【0019】
次に、電子写真方式の画像形成部101の画像形成方法について説明する。画像形成ユニット102には、後述する圧力相転移樹脂を含む黒色トナーを用いる現像装置103を有する。この現像装置103は、黒色トナーのみから成る1成分現像方式の現像装置103である。現像装置103に有した現像ローラには、供給ローラと不図示の規制ブレードにより所定量のトナーを帯電させながら保持する。この現像ローラは感光体ドラム104に非接触に対向する位置に配置されている。現像装置103は、光書込みユニット110により感光体ドラム104表面上に形成された静電潜像に対して、電界の力によって黒色トナーを供給し、黒色トナー画像を形成する。
【0020】
感光体ドラム104表面上に形成された黒色トナー画像は、1次転写ローラ111に所定の電圧を印加することにより、中間転写ベルト108上に黒色トナー像を転写する。中間転写ベルト108に転写した黒色トナー画像は、中間転写ベルト駆動ローラ112により中間転写ベルト108が無端移動されることにより2次転写部へと運ばれる。2次転写部には2次転写ローラ113が中間転写ベルト108に接するように、中間転写ベルト駆動ローラ112に対向して配置されている。いずれかの給紙カセット131から2次転写部に運ばれる記録媒体Pに対して、中間転写ベルト108上の黒色トナー画像を、所定の電圧を印加することにより2次転写する。
【0021】
ここで、記録媒体P上に転写された黒色トナー画像が搬送され、記録媒体P上に圧力定着される圧力定着部である定着装置301について説明する。定着装置301には、円筒の芯金の表層をPFAで被覆した加圧ローラ302と、同じくPFAで表層を被覆した対向ローラ303とを有している。両ローラにかかる最大圧力は0.50MPa以上10MPa以下であることが好ましく、2.0MPa以上8.0MPa以下であることがより好ましい。これは、十分な定着性の確保と定着オフセットの回避のためには、最大圧力は2.0MPa以上8.0MPa以下であることが望ましいためである。ここで、本実施例において加圧ローラ302と対向ローラ303との最大圧力とは、定着ニップ入り口から出口までの圧力の変化におけるローラ長手方向平均値の最大値を表している。なお、上記定着圧力は、ニッタ株式会社の面圧力分布測定システムI−SCANで計測することができる。PFAで被覆した加圧ローラ302の表面は、表面粗さがRa=0.2μm以下であることが好ましい。表面粗さがRa=0.2μm以下である加圧ローラを用いることで、圧力相転移樹脂を含むトナーで形成されるトナー像に対して圧力がニップ面内方向に十分に均一にかかり、定着性が確保される。ただし、加圧ローラ302と対向ローラ303の表層は、この限りではなく、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂によって被覆されたものでも良い。
【0022】
また、圧力定着の際に熱による補助を行っても良い。具体的には、図1及び図2に示すように、定着装置301内に加圧ローラ302に下方から対向する位置に、熱源であるハロゲンヒータ305と輻射板306とを設ける。これにより、輻射熱によって定着ニップ上流位置で加圧ローラ302を加熱し、加圧ローラ302が回転することで加熱位置は逐次、定着ニップ部に移動し、定着ニップ部で圧力相転移樹脂を含むトナーを温める。圧力相転移樹脂は温度が高いほどより小さい加圧力で流動性を発現する。したがって、この熱の補助により、より小さい加圧力で圧力定着が済むため、加圧ローラ302と対向ローラ303が小型にできる。もしくは厚紙などトナーに圧のかかりにくい紙種でのみ、熱の補助を行ってもよい。
【0023】
インクジェット方式の画像形成部201の構成について説明する。図3に示すように、このインクジェット方式の画像形成部201では、インクジェットヘッド202と信号伝達ケーブル203、インク供給経路204を有している。インクジェットヘッド202は、図3で示すように、ライン型のインクジェットヘッドであり、記録媒体Pの全幅を走査することなく一度にインクを吐出して画像を形成する。インクジェットヘッド202には、図4のノズル面の配置説明図に示すように、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色毎のノズル列205を印字幅全域にわたって記録媒体搬送方向に対して千鳥状に配置している。なお、本実施例では、上述の構成のインクジェットヘッド202を用いているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、インクジェットヘッドを、装置の図中、前後方向に移動することで記録媒体Pの全幅を走査するインクキャリッジ走査型としても良い。
【0024】
次に、本実施例のプリンタ500の動作制御について説明する。図5のブロック図に示すように、本実施例の制御部401は、パソコン等の外部装置から印刷する画像データを入力する画像入力部402、及び入力した画像データの各種処理を行うとともに装置全体の動作を管理する中央制御部403を有する。また、電子写真方式の画像形成部101の動作を制御する第1の駆動制御部404、インクジェット方式の画像形成部201の動作を制御する第2の駆動制御部405、及び記録媒体の搬送を制御する給紙排紙制御部406も有する。さらに、定着装置301の加圧ローラ302の駆動を制御する圧力定着部制御部407も有する。
【0025】
この制御部401では、図6のフロー図に示すように、パソコン等の外部装置から画像入力部402に画像データが入力すると(ステップ1)、中央制御部403は入力した画像データがカラー画像の画像データであるかモノクロの画像データであるかを判定する(ステップ2)。判定した結果、入力した画像データがモノクロ画像の場合、中央制御部403は第1の駆動制御部404、給紙排紙制御部406、及び圧力定着部制御部407に、それぞれ駆動選択信号を送る。第1の駆動制御部404は駆動選択信号が送られると、画像形成部101を駆動制御して電子写真方式によって黒色トナー画像を感光体ドラム104表面上に形成する。また、給紙排紙制御部406は駆動選択信号が送られると、感光体ドラム104表面上に形成される黒色トナー画像の形成タイミングに合わせて、図示していない分離ローラ、搬送ローラ、及びレジストローラ対等を駆動制御して、いずれかの給紙カセット131から記録媒体Pを送り出す。そして、感光体ドラム104表面上に形成された黒色トナー画像は、第1の駆動制御部404により駆動制御された中間転写ベルト駆動ローラ112の回転で無端移動する中間転写ベルト108を介して記録媒体P上に転写される(ステップ3)。
【0026】
また、圧力定着部制御部407は、駆動選択信号が送られると、第1の駆動制御部404及び給紙排紙制御部406の駆動制御により記録媒体P上に転写された黒色トナー画像を定着すべく、定着装置301の加圧ローラ302、及び対向ローラ303を駆動制御する。また、補助加熱を行う場合はハロゲンヒータ305も駆動制御する。そして、黒色トナー画像が転写された記録媒体Pを、両ローラ間に形成された定着ニップ部を通すことで、黒色トナー画像を圧力により記録媒体P上に定着させる(ステップ4)。その後、給紙排紙制御部406は、黒色トナー画像が定着された記録媒体Pを排紙トレイ150に排紙するべく排紙ローラを駆動制御して排紙する(ステップ5)。以上のように、モノクロ印刷の場合は、インクジェット方式の画像形成部201は動作させず、インクジェットヘッド202と図示しない搬送ガイド板の間を通過させるだけである。
【0027】
一方、判定した結果(ステップ2)、入力した画像データをカラー画像であった場合、中央制御部403は、第1の駆動制御部404、第2の駆動制御部405、給紙排紙制御部406、及び圧力定着部制御部407に、それぞれ駆動選択信号を送る。第2の駆動制御部405は駆動選択信号が送られると、インクジェット方式の画像形成部201を駆動制御してインクジェットヘッド202に千鳥状に配置されたノズルからシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色のインクを吐出し、多色画像を直接記録媒体に形成する。また、給紙排紙制御部406は駆動選択信号が送られると、インクジェット方式の画像形成部201により記録媒体上に形成される多色画像の形成タイミングに合わせて、図示していない分離ローラ、搬送ローラ、及びレジストローラ対等を駆動制御して、いずれかの給紙カセット131から記録媒体Pを送り出す(ステップ6)。
【0028】
また、第1の駆動制御部404は駆動選択信号が送られると、記録媒体P上に形成される多色画像の形成タイミングに合わせて画像形成部101を駆動制御して電子写真方式によって黒色トナー画像を感光体ドラム104表面上に形成する。この感光体ドラム104表面上に形成された黒トナー画像は中間転写ベルト108を経て、多色画像が形成された記録媒体P上に転写される(ステップ7)。
【0029】
また、圧力定着部制御部407は、駆動選択信号が送られると、第2の駆動制御部405、第1の駆動制御部404、及び給紙排紙制御部406の駆動制御により多色画像が形成された記録媒体P上に転写された黒色トナー画像を定着すべく、定着装置301の加圧ローラ302、及び対向ローラ303を駆動制御する。また、補助加熱を行う場合はハロゲンヒータ305も駆動制御する。そして、黒色トナー画像が転写された記録媒体Pを、両ローラ間に形成された定着ニップ部を通すことで、黒色トナー画像を圧力により多色画像が形成された記録媒体P上に定着させる(ステップ8)。その後、給紙排紙制御部406は、多色画像が形成され、黒色トナー画像が定着された記録媒体Pを排紙トレイ150に排紙するべく排紙ローラを駆動制御して排紙する(ステップ9)。以上のように、カラー印刷の場合は、電子写真方式の画像形成部101に加え、インクジェット方式の画像形成部201も用いて、記録媒体P上にカラー画像を形成する。
【0030】
上述したように、本実施例では、電子写真方式の画像形成部101の現像装置103で、圧力相転移樹脂を含む黒色トナーの現像剤を用いている。この画像形成部101で記録媒体P上に転写した黒色トナー画像を、記録媒体P上に圧力定着する圧力定着部である定着装置301の上流側に、イエロー、マゼンタ、シアン等の複数の異なるインクにより、記録媒体P上に多色画像を記録できるインクジェット方式の画像形成部201を配置している。ここで、インクジェット方式の画像形成部201は、電子写真方式の画像形成部101で記録媒体P上に黒色トナー画像を転写する2次転写位置よりも、上流側に配置している。
【0031】
このように電子写真方式の画像形成部101で作像した黒色トナー画像を記録媒体P上に定着装置301で圧力定着するので、熱定着方式の定着装置のように高熱を必要とせず、消費電力を抑制できる。加えて、圧力相転移樹脂を含むトナーを用いるのは、黒色トナーの1色のみなので、従来の全色のトナーに圧力相転移樹脂を含むトナーを用いる構成のように、圧力定着時の圧力に不均一に起因した定着性不良等の不具合が発生することもない。すなわち、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時のいずれの場合でも、従来の熱定着方式の定着装置で定着を行う画像形成装置に比べて消費電力を抑制できるとともに、トナー画像の良好な定着性を確保できる。よって、省エネのため圧力転位樹脂トナーを用い、モノクロ画像印刷時には高生産性を確保した印刷が行え、カラー画像印刷時にはトナー画像の良好な定着性を確保できる。また、黒色トナーに、従来の圧力定着を行う画像形成装置のように、ワックス類を用いたトナーを用いると、定着後の画像強度が十分でなく、描画性いわゆるひっかき耐性が熱定着によるトナー画像より劣るってしまう。しかし、本実施例では、黒色トナーに圧力転位樹脂を含むトナーを用いており、従来のワックス類を用いたトナーを用いるよりも、黒色画像を担う黒色トナー画像のひっかき耐性が改善する。
【0032】
また、本実施例では、圧力定着部のニップ圧を0.50MPa以上10MPa以下とすることで、圧力相転移樹脂を含む黒色トナーが流動性を発現するために十分な圧刺激となり、引っかき耐性である描画性や擦り耐性であるスミア性、光沢性が確保される。これにより、ユーザーは十分な画像定着性の中でモノクロ印刷の高生産性とモノクロ及びカラー印刷時の省エネ性を得ることができる。
【0033】
また、電子写真方式の画像形成部101に中間転写ユニット107を設けることにより、用紙対応性は然ることながら、画像形成面に画像形成したインクが直接、感光体ドラム104に付着することが回避される。これにより、経時での感光体ドラム104の表層の劣化を防ぐことができる。つまり、カラー印刷時でも定着性を確保した省エネでの画像形成が行えるとともに、用紙対応性を向上させ、かつ、機内汚染を低減できる。
【0034】
また、発明の概要の部分で説明したように、従来のインクジェット方式の画像形成部を圧力定着部の下流側に設けた構成では、インクジェット方式における課題の1つである、色にじみが発生し易いという課題が顕著に現る場合があるという不具合があった。
【0035】
一方、本実施例では、インクジェット方式による画像形成部201を、2次転写部の上流側に配置しているので、インクジェット方式の画像形成部201により転写紙上にインクを滴下後、転写紙の紙面面内方向から面内垂直方向に浸透したインク像を有する転写紙は、黒色トナー画像が2次転写された後に定着装置301で圧力定着されることとなる。このように転写紙の紙面面内方向と面内垂直方向にインクが浸透した後の転写紙に、定着装置301の圧力を加えるため、インクジェット方式の画像形成部を圧力定着部の下流側に設けた従来の構成のように、繊維間の距離が小さくなり、毛細管現象が強まることを抑制できる。したがって、紙面面内方向への浸透が促進されるインク量を、上記従来の構成よりも少なくでき、インクのにじみが軽減される。また、インクを滴下した転写紙に黒色トナー画像を2次転写するので、インクを滴下する際の衝撃で定着前の黒色トナー画像が乱れることもない。
【0036】
また、従来のインクジェット方式の画像形成部を圧力定着部の下流側に設けた構成では、次のような不具合も生じていた。従来の圧力定着を行なう定着装置では、熱定着装置のように高熱を必要とせず消費電力は小さいが、全く加熱しないものではなく、少しでも加圧する圧力を下げるため補助加熱手段を設けて所定温度までトナーを加熱することが多かった。このように補助加熱手段を設けた圧力定着部を通った記録媒体は加熱されることとなる。そして、連続印刷時には、圧力定着部を通り加熱された記録媒体がインクジェット方式による画像形成部に搬送され、インクを記録媒体に吐出するインクジェットヘッドが記録媒体からの熱で温まってしまい、吐出量が変化してしまう。そして、吐出量が変化してしまうと、色バランスが崩れる等して画質が安定しないという不具合が生じていた。
【0037】
一方、本実施例では、インクジェット方式による画像形成部201を、定着装置301の上流側に配置している。したがって、定着装置301を通り加熱され、インクジェット方式による画像形成部201に熱を持ったままの記録媒体Pが入らない構成となるため、連続通紙時にインクジェットヘッド202が記録媒体Pからの熱により温まって、吐出量が変化することを回避できる。このように熱による吐出量の変化を回避することで、ベタ部やライン部、網点部、文字部など画像部のインク量を安定させることができ、従来の圧力定着部の下流側にインクジェット方式による画像形成部を設ける構成よりも、インクジェットヘッドからの吐出量が安定する。したがって、従来の圧力定着部の下流側にインクジェット方式による画像形成部を設ける構成よりも、安定した画質を得られる。上述したように、インクジェット方式による画像形成部201を、定着装置301の上流側に配置していることで、カラー画像印刷時でも、定着性を確保した省エネでの画像形成が行え、インクのにじみを軽減でき、安定した画質が得られる。
【0038】
ここで、本実施例では、インクジェット方式による画像形成部201を、圧力相転移樹脂を含む黒色トナー画像を記録媒体P上に転写する2次転写位置よりも上流側に配置することで、次のことが懸念される。インクジェット方式による画像形成部201で記録媒体P上に滴下したインクが、中間転写ベルト108を経由して感光体ドラム104に付着することや、定着装置301の定着ニップ部で加圧ローラ302に付着することである。このようなインクの付着により異常画像が生じることを防止するためには、付着したインクを除去するために、中間転写ベルト108や加圧ローラ302に水などの溶媒を含浸させたウェブを当接配置してもよい。
【0039】
次に、本実施例の電子写真方式の画像形成部101の現像装置103で用いる圧力転位樹脂を含むトナーについて説明する。本発明のトナー用樹脂としては、ミクロ相分離構造を有するものが好ましく、ブロック共重合体あるいはコアシェル構造の樹脂がより好ましい。また、コアシェル構造の樹脂の場合にも、同様に次のように構成されていることがさらに好ましい。コアかシェルのどちらかがガラス転移温度の高いハードセグメントの高分子からなり、もう一方はガラス転移温度あるいは融点が低いソフトセグメントの高分子から構成されていることである。このような構造の樹脂を用いると、圧力刺激により樹脂の流動性が発現し、電子写真方式の画像形成部101で記録媒体P上に転写したトナー画像を、定着装置301で記録媒体P上に定着を行うのに、必要な所望の樹脂流動性を得ることができる。
【0040】
このような構造の樹脂としては、重縮合機構により重合させた樹脂あるいはエチレン性不飽和単量体をラジカル重合機構により重合させた樹脂を用いることができる。重縮合機構により重合させた樹脂としては、例えば、非特許文献2、非特許文献3等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができる。また、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、又は、組み合わせて用いて合成することができ、ポリエステル樹脂を好ましく挙げることができる。エチレン性不飽和単量体を重合する場合には、リビングアニオン重合法によりブロック共重合体を得ることができる。また、コアシェル粒子の場合には2ステージフィード法と呼ばれる単量体を段階的に重合系へ供給する方法にてコア成分高分子とシェル成分高分子のガラス転移温度の異なるナノサイズのコアシェル樹脂粒子を合成することができ好ましい。ここで、ガラス転移温度Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC)を用いて−80から140℃まで、毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のASTM D3418−82に規定された方法で測定した値を意味する。ハードセグメント成分相のTgは、45〜120℃であることが好ましく、50〜110℃の範囲にあることがより好ましい。ソフトセグメント成分相Tgは、前記ハードセグメント成分相のTgより20℃以上低いことが好ましく、圧力刺激による樹脂の流動性を効率よく出願させるためには、30℃以上低いことより好ましい。
【0041】
ブロック共重合体や重縮重合させたポリエステル樹脂については、次に挙げる既存の分散法等を利用してナノサイズコアシェル粒子の場合と同様に、樹脂粒子分散液にすることができる。回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)など各種機械的高剪断力により水系媒体に分散させる剪断乳化法。樹脂を有機溶剤に溶解した後、水系媒体を添加し転相させる転相乳化法。ブロック共重合体又はその前駆体(リビング末端低分子量体又はブロック)を少量のエチレン性不飽和化合物と混合し、剪断乳化や転相乳化後、ミニエマルション重合、懸濁重合によりブロック共重合体の樹脂粒子分散液に調合する手法等である。例えば、得られた樹脂分散液を用い、着色剤含有分散液、必要に応じて離型剤含有分散液をそれぞれ適量配合し、乳化凝集法により静電荷像現像用トナーを製造することができる。
【0042】
静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記分散液中の前記樹脂粒子、離型剤粒子及びその他の添加した粒子を凝集(会合)させる既知の凝集法を用いて凝集させることにより、トナー粒径及び粒径分布を調整することが可能である。具体的には、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液等と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成する。その後、配合した分散液の系を樹脂粒子のガラス転移温度以上、又は、融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合合一し、洗浄、乾燥することにより静電荷像現像用トナーが得られる。この時、加熱温度条件を選択することでトナー形状を不定形から球形まで制御することができる。
【0043】
重縮合樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。そして、ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸や、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸等の重縮合性単量体を用いた直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い、作製することができる。また、重縮合の際には、重縮合を促進するために、重縮合触媒を併用することが好ましい。
【0044】
本実施例において、多価カルボン酸は、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸、それらのアルキルエステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を含む。また、多価アルコールは、多価アルコール、それらのエステル化合物を含む。ここで、多価カルボン酸のアルキルエステルは、低級アルキルエステルであることが好ましい。前記低級アルキルエステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であるアルキルエステルを表す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等を挙げることができる。
【0045】
本実施例に用いることができる多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸を挙げることができる。また、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸も挙げることができる。また、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸も挙げることができる。また、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸も挙げることができる。また、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸も挙げることができる。そして、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
【0046】
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。これらの多価カルボン酸は、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を併用することもできる。
【0047】
多価アルコール(ポリオール)は、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサンジオールを挙げることができる。また、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物も挙げることができる。そして、ビスフェノキシアルコールフルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン)等も挙げることができる。また、ジオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミンを挙げることができる。また、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等も挙げることができる。これらの多価アルコール(ポリオール)は、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を併用することもできる。
【0048】
本実施例に用いることができる着色剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。これらの着色剤は、次のような任意の分散方法を使用することにより、着色剤粒子の分散液が調製される。例えば、回転せん断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等や、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散され、また、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
【0049】
本実施例の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加される。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%添加される。前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するために好ましい量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)を100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性が確保される。ここで、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。
【0050】
本実施例で用いられる離型剤の具体例としては、次ぎのようなものが挙げられる。例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類が挙げられる。また、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類も挙げられる。また、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックスも挙げられる。また、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などが挙げられる。これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
【0051】
これらのワックス類を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散する。そして、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、サブミクロン以下の粒子の分散液が作製される。これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で好ましい。また、得られた離型剤粒子分散液の粒径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から好ましい。
【0052】
磁性体としては、具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、若しくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。本実施例において水系媒体中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。しかし、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
【0053】
重合、顔料分散、樹脂粒子製造や分散、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、次のようなものが挙げられる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。そして、分散のため手段としては回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用される。
【0054】
(実施例2)
次に、本実施形態の第2の実施例である実施例2を説明する。ここで、図7は、本実施例に係る画像形成装置であるプリンタ500の概略構成図、図8は、本実施例に係るに係る電子写真方式の画像形成部101の構成説明図である。ここで、上述した実施例1と本実施例とでは、本実施例が2次転写と圧力定着とを分けて行わずに、転写電界を用いない転写同時非加熱定着を行うことに係る点のみが異なる。その他の構成、動作、及びその効果に関わる点は上述した実施例1と同様であるので、同様な点は適宜省略して説明する。
【0055】
図7に示すように、本実施例に係るプリンタ500では、実施例1と同様に、電子写真方式の画像形成部101の上流側にインクジェット方式の画像形成部201を配置している。しかし、実施例1と異なり、電子写真方式の画像形成部101の中間転写ユニット107には加圧転写ローラ114を設けており、対向する2次転写ローラ113とともに2次転写兼圧力定着部304を構成している。この2次転写兼圧力定着部304に設けた加圧転写ローラ114は、中空のSUS製の円筒型のローラである。また、2次転写ローラ113は、円筒の芯金の表層をPFAで被覆したローラであり、両ローラは中間転写ベルト108を介して接触して対向配置されている。
【0056】
本実施例の中間転写ベルト108は、ポリイミド(PI)製で、表面粗さがRa=0.2μm以下であることが好ましい。また、表面粗さがRa=0.2μm以下である中間転写ベルトを用いることで、圧力相転移樹脂を含む黒色トナーで形成される黒色トナー画像に対して圧力がニップ面内方向に十分に均一にかかり、定着性が確保される。ただし、2次転写ローラ113の表層は、この限りではなく、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂によって被覆されたものでも良い。
【0057】
両ローラの定着ニップ部にかかる最大圧力は0.50MPa以上10MPa以下であることが好ましく、2.0MPa以上8.0MPa以下であることがより好ましい。これは、十分な定着性の確保と定着オフセットの回避のためには、最大圧力は2.0MPa以上8.0MPa以下であることが望ましいためである。ここで、本実施例おける加圧転写ローラ114と2次転写ローラ113との最大圧力とは、実施例1と同様に、定着ニップ入り口から出口までの圧力の変化におけるローラ長手方向平均値の最大値を表している。
【0058】
また、本実施例でも、実施例1と同様に、圧力定着の際に熱による補助を行っても良い。具体的には、図7及び図8に示すように、加圧転写ローラ114に下方から対向する位置に、熱源であるハロゲンヒータ305と輻射板306を設ける。これにより、輻射熱によって定着ニップ上流位置で加圧転写ローラ114を加熱し、加圧転写ローラ114と中間転写ベルト108が回転することで加熱位置は逐次、定着ニップ部に移動し、定着ニップ部で圧力相転移樹脂を含む黒色トナーを温める。圧力相転移樹脂は温度が高いほどより小さい加圧力で流動性を発現する。したがって、この熱の補助により、より小さい加圧力で済むため、加圧転写ローラ114と2次転写ローラ113が小型にできる。もしくは厚紙などトナーに圧のかかりにくい紙種で、熱の補助を行ってもよい。
【0059】
本実施例の構成では、圧力相転移樹脂を含む黒色トナーの現像剤を、圧力を利用して定着する圧力定着部が2次転写部を兼ねる2次転写兼圧力定着部304であること、つまり、転写同時非加熱定着を行うことで、次のような効果を奏することができる。実施例1の効果に加え、さらに画像形成装置が圧力定着部を独立して設けない分、コンパクトになり、ユーザーにとって省スペース化につながる。また、通常、電子写真方式の画像形成部で形成したトナー画像を、インクジェット方式の画像形成部でインクを滴下した記録媒体に転写する場合、インクの滴下面積によって転写体の抵抗が変動してしまう。しかし、本実施例の構成では、転写電界を用いない転写同時非加熱定着を行うので、インクの抵抗によらず、インクジェット作像による画像パターンによらない良好な転写性を確保することができる。このように、本実施例の構成では、実施例1の効果に加え、カラー印刷時でも定着性を確保した省エネでの画像形成が行え、かつ、装置の省スペース化が可能であるとともに、良好な転写性を確保することができる。
【0060】
(実施例3)
次に、本実施形態の第3の実施例である実施例3を説明する。ここで、図9は、本実施例に係る画像形成装置であるプリンタ500の概略構成図である。ここで、上述した実施例1、2と本実施例とでは、インクジェット方式の画像形成部201を、圧力定着部である定着装置301や2次転写兼圧力定着部304の下流側に配置していることに係る点と、排紙部を2箇所設けていることに係る点が異なる。その他の構成、動作、及びその効果に関わる点は上述した実施例1、2と同様であるので、同様な点は適宜省略して説明する。また、以下の説明では、インクジェット方式の画像形成部201を、圧力定着部である定着装置301の下流側に設けた構成について説明する。
【0061】
図9に示すように、本実施例に係るプリンタ500では、実施例1とは異なり、電子写真方式の画像形成部101及び定着装置301の下流側にインクジェット方式の画像形成部201を配置している。そして、インクジェット方式の画像形成部201と定着装置301の間に、第1排出口151と、記録媒体Pを第1排出口151までガイドするガイド部材と、排紙ローラとで構成された第1の排紙部を設けている。また、インクジェット方式の画像形成部201の下流側には、記録媒体Pを第2排出口152までガイドするガイド部材と、排紙ローラとで構成された第2の排紙部を設けている。また、第1の排紙部への搬送経路と、第2の排紙部への搬送経路とを切換える搬送路切替爪153も設けている。ここで、本実施例の電子写真方式の画像形成部101の構成は、図2を用いて説明した実施例1の電子写真方式の画像形成部101の構成と同様である。
【0062】
本実施例のプリンタ500の動作は、モノクロ画像印刷時には、画像形成部101での記録媒体P上に黒色トナー画像を2次転写し、定着装置301で2次転写した黒色トナー画像を記録媒体P上に圧力定着する。その後、中央制御部403から送られた駆動選択信号に基づき、給紙排紙制御部406の制御により、記録媒体Pを第1の排紙部へ案内する方向に切替られた搬送路切替爪153により、定着装置301を通過した記録媒体Pは、第1の排紙部へ搬送される。そして、第1の排紙部へ搬送された記録媒体Pは、ガイド部材によりガイドされながら排紙ローラの回転駆動により第1排出口151から排紙される。
【0063】
また、カラー画像印刷時には、まず、画像形成部101での記録媒体P上に黒色トナー画像を2次転写し、その後、定着装置301で2次転写した黒色トナー画像を、記録媒体P上に圧力定着する。その後、中央制御部403から送られた駆動選択信号に基づき、給紙排紙制御部406の制御により、記録媒体Pを第2の排紙部へ案内する方向に切替られた搬送路切替爪153により、定着装置301を通過した記録媒体Pは、インクジェット方式の画像形成部201に搬送される。そして、インクジェット方式の画像形成部201で、記録媒体P上に多色画像を形成する各色のインクが滴下された後、第1の排紙部へ搬送された記録媒体Pは、ガイド部材によりガイドされながら排紙ローラの回転駆動により第2排出口152から排紙される。
【0064】
また、本実施例でも、図2を用いて説明した実施例1と同様に、圧力定着の際に熱による補助を行っても良い。この熱の補助により、より小さい加圧力で済むため、加圧転写ローラ302と2次転写ローラ303が小型にできる。もしくは厚紙などトナーに圧のかかりにくい紙種で、熱の補助を行ってもよい。
【0065】
本実施例は、実施例1と同様に、省エネのため圧力転位樹脂トナーを用い、モノクロ画像印刷時には高生産性を確保した印刷が行え、カラー画像印刷時にはトナー画像の良好な定着性を確保できる。また、従来のワックス類を用いたトナーを用いるよりも、黒色画像を担う黒色トナー画像のひっかき耐性が改善する。また、圧力定着部のニップ圧を0.50MPa以上10MPa以下とすることで、カラー印刷時でも定着性を確保した省エネでの画像形成が行えるとともに、用紙対応性を向上させ、かつ、機内汚染を低減できる。そして、電子写真方式の画像形成部101に中間転写ユニット107を設けることにより、カラー印刷時でも定着性を確保した省エネでの画像形成が行えるとともに、用紙対応性を向上させ、かつ、機内汚染を低減できる。
【0066】
また、本実施例では上記効果に加え、次のような効果も奏することができる。電子写真方式の画像形成部101及び定着装置301の下流側にインクジェット方式の画像形成部201を配置していることで、電子写真方式の画像形成部101の2次転写部での黒色トナー画像の記録媒体P上への2次転写を良好に行うことができる。これは、記録媒体P上への黒色トナー画像の2次転写を、インクジェット方式の画像形成部201で記録媒体P上にインクが滴下される前に行えるため、2次転写時に、記録媒体P上に滴下されたインクの影響がでないためである。また、上記のように、2つの排紙部を設け、画像形成するモノクロ又はカラーの種別により、この2つの排紙部を切替て、記録媒体Pを排紙できるので、モノクロ画像印刷時の排出経路長を短くすることで、モノクロ画像印刷時のファーストプリントタイムを向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、インクジェット方式の画像形成部201で、シアン,マゼンタ,イエローのインクだけではなく、ブラックのインクも吐出できるように構成している。このように構成することで、次のような画像形成も可能となる。出力する画像によっては、文字部(テキスト部)と、イラスト部及び写真画像部とがある。このような画像の場合に、ブラックインクをもつことで、文字部は黒トナーで、イラスト部及び写真画像部はブラックインクと他のカラーインクで作像することも可能となり、イラスト部及び写真画像部を黒トナーと他のカラーインクで作像するよりも光沢度の差のないイラスト部や写真画像部の画像形成が可能となる。
【0068】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
圧力転位樹脂を含むトナーを用いて、トナー画像を記録媒体Pなどの記録媒体上に形成する画像形成部101などの電子写真方式の画像形成部と、前記トナー画像を前記記録媒体上に圧力定着する定着装置301などの圧力定着部とを備えたプリンタ500などの画像形成装置において、前記圧力転位樹脂を含むトナーは黒色トナーであり、イエロー、マゼンタ、シアン等の複数色の異なるインクにより多色画像を、前記記録媒体上に形成する画像形成部201などのインクジェット方式の画像形成部を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、省エネのため圧力転位樹脂トナーを用い、モノクロ画像印刷時には高生産性を確保した印刷が行え、カラー画像印刷時にはトナー画像の良好な定着性を確保できるプリンタ500などの画像形成装置を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、定着装置301などの前記圧力定着部の定着ニップ圧は、0.50MPa以上10MPa以下であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、十分な黒色トナー画像の定着性を確保した上で、モノクロ画像印刷時の高生産性とモノクロ及びカラー画像印刷時の省エネ性を得ることができるプリンタ500などの画像形成装置を提供できる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、画像形成部101などの前記電子写真方式の画像形成部には、少なくとも1つ以上の中間転写ベルト108などの中間転写体を有することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、カラー印刷時でも定着性を確保した省エネでの画像形成が行えるとともに、用紙対応性を向上させ、かつ、機内汚染を低減できるプリンタ500などの画像形成装置を提供できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、画像形成部201などの前記インクジェット方式の画像形成部を、記録媒体Pなどの前記記録媒体に黒色のトナー画像が転写される転写部の記録媒体搬送方向上流側に配置したことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、カラー画像印刷時でも、定着性を確保した省エネでの画像形成が行え、インクのにじみを軽減でき、安定した画質が得られるプリンタ500などの画像形成装置を提供できる。また、定着前の黒色トナー画像が乱れない画像形成装置を提供できる。
(態様E)
(態様C)において、中間転写ベルト108などの前記中間転写体から記録媒体Pなどの前記記録媒体に前記黒色トナー画像が転写される2次転写兼圧力定着部304などの転写部が圧力定着部を兼ねることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、カラー画像印刷時でも定着性を確保した省エネでの印刷が行え、かつ、プリンタ500などの装置の省スペース化が可能であるとともに、良好な転写性を確保することができるプリンタ500などの画像形成装置を提供できる。
(態様F)
(態様A)乃至(態様C)のいずれか、又は(態様E)において、画像形成部201などの前記インクジェット方式の画像形成部は、定着装置301などの前記圧力定着部の記録媒体搬送方向下流側に位置し、前記インクジェット方式の画像形成部と前記圧力定着部との間に位置する第1排出口151などの第1の排紙部と、前記インクジェット方式の画像形成部の記録媒体搬送方向下流側に位置する第2排出口152などの第2の排紙部とを設けており、モノクロ画像印刷時には前記第1の排紙部に、カラー画像印刷時には前記第2の排紙部に、前記圧力定着部を通過した記録媒体Pなどの前記記録媒体を排紙するように第1搬送経路及び第2搬送経路などの搬送経路を切替ることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例3について説明したように、モノクロ画像印刷時のファーストプリントタイムを向上させることができるプリンタ500などの画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0069】
101 画像形成部(電子写真方式)
102 画像形成ユニット
103 現像装置
104 感光体ドラム
105 感光体クリーニングユニット
106 帯電装置
107 中間転写ユニット
108 中間転写ベルト
109 中間転写ベルトクリーニングユニット
110 光書込みユニット
111 1次転写ローラ
112 中間転写ベルト駆動ローラ
113 2次転写ローラ
114 加圧転写ローラ
130 給紙部
131 給紙カセット
132 手差しトレイ
150 排紙トレイ
151 第1排紙口
152 第2排紙口
153 搬送路切替爪
201 画像形成部(インクジェット方式)
202 インクジェットヘッド
203 信号伝達ケーブル
204 インク供給経路
205 ノズル列
301 定着装置
302 加圧ローラ
303 対向ローラ
304 2次転写兼圧力定着部
305 ハロゲンヒータ
306 輻射板
401 制御部
402 画像入力部
403 中央制御部
404 第1の駆動制御部
405 第2の駆動制御部
406 給紙排紙制御部
407 圧力定着部制御部
500 プリンタ
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開昭59−119364号公報
【特許文献2】特許第3290513号公報
【特許文献3】特許第4582227号公報
【特許文献4】特許第4525828号公報
【特許文献5】特開2010‐191197公報
【特許文献6】特開平08‐314328公報
【非特許文献】
【0071】
【非特許文献1】Pollard, M., Russell, T. P., Ruzette, A.-V. G., Mayes, A. M. and Gallot, Y. "The effect of hydrostatic pressure on the lower critical ordering transition on diblock copolymers": Macromolecules, 31, 6493 (1998)
【非特許文献2】「重縮合」(化学同人、1971年刊)
【非特許文献3】「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社編、1988年刊)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力転位樹脂を含むトナーを用いて、トナー画像を記録媒体上に形成する電子写真方式の画像形成部と、前記トナー画像を前記記録媒体上に圧力定着する圧力定着部とを備えた画像形成装置において、
前記圧力転位樹脂を含むトナーは黒色トナーであり、
イエロー、マゼンタ、シアン等の複数色の異なるインクにより多色画像を、前記記録媒体上に形成するインクジェット方式の画像形成部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記圧力定着部の定着ニップ圧は、0.50MPa以上10MPa以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記電子写真方式の画像形成部には、少なくとも1つ以上の中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像形成装置おいて、
前記インクジェット方式の画像形成部を、前記記録媒体に黒色のトナー画像が転写される転写部の記録媒体搬送方向上流側に配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記中間転写体から前記記録媒体に黒色のトナー画像が転写される転写部が圧力定着部を兼ねることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一、又は5に記載の画像形成装置において、
前記インクジェット方式の画像形成部は、前記圧力定着部の記録媒体搬送方向下流側に位置し、
前記インクジェット方式の画像形成部と前記圧力定着部との間に位置する第1の排紙部と、前記インクジェット方式の画像形成部の記録媒体搬送方向下流側に位置する第2の排紙部とを設けており、
モノクロ画像印刷時には前記第1の排紙部に、カラー画像印刷時には前記第2の排紙部に、前記圧力定着部を通過した前記記録媒体を排紙するように搬送経路を切替ることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−64891(P2013−64891A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203795(P2011−203795)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】