説明

画像形成装置

【課題】回転処理前の画像データを用いて画像形成した記録媒体と、回転処理後の画像データを用いて画像形成した記録媒体とで画質の変化を低減する。
【解決手段】入力された画像データに画像処理を行って、記録媒体に画像を形成する画像形成装置1は、記録媒体の向きと異なる向きの異方向画像データが入力された場合に、画像処理にて、異方向画像データを記録媒体の向きに回転する画像回転処理を行ってから、ハーフトーン処理を行う画像処理部20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、複数枚からなる原稿の複数部数印刷を行うときに、回転ソートして1部毎にまとめて排出する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一文書を複数部数出力するソート印刷を行う印刷装置は、画像データを90度回転させる回転手段を備え、ソート印刷として同サイズの用紙方向が90度異なる各用紙に奇数部目と偶数部目とで交互に印刷出力する。この印刷装置は、PDL(Page Description Language)の印刷データを解釈してイメージ展開した画像データ(第1画像データと称する)を、変換手段により符号化して第1データとして記憶部に格納する。そして、第1データを複合して回転手段により回転させた画像データ(第2画像データと称する)を符号化して第2データとして記憶部に格納する。そして、印刷装置は、奇数(1,3,5,…)部目は第1データを、偶数(2,4,6,…)部目は第2データを用いて印刷出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−181642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印刷装置(画像形成装置)は、偶数部目の印刷処理で用いる第2画像データが、奇数部目の印刷処理で用いる第1画像データを単に90度回転させたデータになっている。そして、第1画像データは、PDLの印刷データからイメージ展開されたデータであり、色の濃淡(濃度)がハーフトーン(網点)で表現されている。
また、一般的に、このハーフトーン処理で用いる網点の成長パターンは、画像形成装置が備える画像形成部(印刷エンジン)の特性に合わせて最適化されている。例えば、縦縞を印刷することに適した画像形成部(印刷エンジン)であれば、横縞模様の網点を印刷するより、縦縞模様の網点を印刷するほうが、画質がよくなる。
つまり、第2画像データは、第1画像データのハーフトーン表示ごと画像を90度回転させているため、網点の成長パターンにより、そのため、第1画像データを用いて画像形成した記録媒体(第1画像データを印刷した印刷物)と、第2画像データを用いて画像形成した記録媒体(第2画像データを印刷した印刷物)とでは、画質が明らかに異なるという問題点があった。
【0005】
特に、網点の成長パターンが縦縞模様である場合(例えば、色が濃くなるにつれて縦縞が太くなり(濃度100%で塗り潰される)、色が淡くなるにつれて縦縞が細くなる(濃度0%で色なし)という成長パターンの場合)、第1画像データは、縦縞模様の網点でハーフトーンが表現されるが、第2画像データでは、横縞模様の網点でハーフトーンが表現されることとなる。そのため、第1画像データを用いて画像形成した記録媒体(印刷物)では、色の濃淡(濃度)が縦縞の太さで表現され、第2画像データを用いて画像形成した記録媒体(印刷物)では、色の濃淡(濃度)が横縞の太さで表現された。このように、第1画像データを用いて画像形成した記録媒体と、第2画像データを用いて画像形成した記録媒体とでは、画質が明らかに異なっていた。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、回転処理前の画像データを用いて画像形成した記録媒体と、回転処理後の画像データを用いて画像形成した記録媒体とで画質の変化を低減する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、入力された画像データに画像処理を行って、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録媒体の向きと異なる向きの異方向画像データが入力された場合に、前記画像処理にて、前記異方向画像データを前記記録媒体の向きに回転する画像回転処理を行ってから、ハーフトーン処理を行う画像処理部を備える構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転しない画像データを用いて画像形成した記録媒体とほとんど変わらない画質で、回転させた画像データを用いて画像形成した記録媒体を提供することができる。
【0009】
また、ハーフトーンで表現された(ハーフトーン処理後の)画像データに回転処理を行うと、画像形成した記録媒体に干渉縞が形成されたり、各トナー色の隙間が白く見える白抜けが発生したり、記録媒体に形成された色に違いが発生することが考えられるが、本発明によれば、回転処理をしてからハーフトーン処理を行うため、これらの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】操作パネル部の外観図である。
【図3】操作パネル部の表示部に表示されたコピー設定画面の一例である。
【図4】設定データ記憶部に記憶された設定データの一例である。
【図5】コピー設定データに基づいて生成され、ジョブ情報記憶部に記憶されたジョブ情報の一例である。
【図6】ハーフトーン処理で用いる網点の成長パターンの一例である。(a)濃度0%、(b)濃度25%、(c)濃度50%、(d)濃度75%、(e)濃度100%の一例を示す。
【図7】図6のハーフトーンに画像回転処理を行って、左に90度回転させた場合の網点の成長パターンの一例である。(a)濃度0%、(b)濃度25%、(c)濃度50%、(d)濃度75%、(e)濃度100%の一例を示す。
【図8】奇数部用ジョブファイルの一例である。
【図9】偶数部用ジョブファイルの一例である。
【図10】画像形成装置の画像形成部が画像を形成するパターンを示す一例である。
【図11】画像形成装置のコピー処理動作を示すフローチャートである。
【図12】画像データ処理部の画像処理動作を示すフローチャートである。
【図13】ジョブ生成部のジョブファイル生成処理動作を示すフローチャートである。
【図14】印刷ジョブ管理部の印刷ジョブ生成処理動作を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図16】操作パネル部の表示部に表示された印刷設定画面の一例である。
【図17】印刷設定データに基づいて生成され、ジョブ情報記憶部に記憶されたジョブ情報の一例である。
【図18】奇数部印刷ジョブデータの一例である。
【図19】偶数部印刷ジョブデータの一例である。
【図20】画像形成装置の画像形成部が画像を形成するパターンを示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明について概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
(画像形成装置1)
図1は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、制御部2(画像処理部20)と、記憶部3と、画像データ生成部4と、画像形成部5と、操作パネル部6と、ネットワーク部7とを備える装置である。
第1の実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、電子写真記録方式のプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、MFP(Multifunction Printer:複合機)などであるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよい。
【0013】
(制御部2)
制御部2は、画像形成装置1として機能するように、各構成部を制御する構成部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成される。各構成部の制御部としての機能は、記憶部3に格納されるプログラムを展開し、実行することによって実現される。
本実施形態において、制御部2は、後記する画像処理部20としての機能を実行し、後記する画像データ生成部4が生成した一連の画像データに、後記する画像処理(図12)を行って、印刷ジョブデータを生成し、画像形成部5に出力する。詳細は後記する。
【0014】
(記憶部3)
記憶部3は、画像形成装置1が機能するために必要なデータやプログラムを記憶する記憶部であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などで構成される。
本実施形態において、記憶部3には、画像処理部20が画像処理を実行するために必要なデータやプログラム、ユーザが入力した情報が後記する操作パネル部6を介して記憶される。詳細は後記する。
【0015】
(画像データ生成部4)
画像データ生成部4は、原稿の画像を読み取って、画像データを生成する構成部である。そして、画像データ生成部4は、一連の画像を順番に読み取って生成した一連の画像データを、制御部2(画像データ処理部21)に出力する。例えば、画像データ生成部4は、フラットベッド(原稿固定走査)方式やADF(原稿移動走査)方式で、原稿の画像を読み取る。
【0016】
(画像形成部5)
画像形成部5は、印刷ジョブデータに従って、用紙などの記録媒体に画像を形成する構成部である。この画像形成部5は、同サイズの用紙で向きが90度異なる縦向き用紙(例えば、A4サイズ縦)と、横向き用紙(例えば、A4サイズ横)とを記録媒体として用いる。画像形成部5は、縦向き用紙の束が用紙トレイに縦置き(ポートレート)で載置されたと、横向き用紙の束が用紙トレイ(ランドスケープ)に載置される、奇数部の画像を形成する処理のときと、偶数部の画像を形成する処理のときとで、用紙搬送元の用紙トレイを換える。
この画像形成部5は、例えば所謂電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものである。具体的には、画像形成部5は、感光体ドラムを帯電するための帯電装置、帯電された感光体ドラム上を画像に応じた光で露光することにより感光体ドラム上に画像に応じた静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー現像する現像装置、感光体ドラム上に形成された画像に応じたトナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された画像に応じたトナー像を定着する定着装置等を含んで構成される。
【0017】
(操作パネル部6)
操作パネル部6は、ユーザの操作を受け付ける操作部61と、各種の画面を表示する表示部62とで構成される。なお、画像形成装置1は、操作パネル部6を、例えば、タッチパネルとして、操作部61と表示部62とを一体化された構成にすることもできる。
図2は、操作パネル部6の外観の一例である。操作パネル部6は、表示部62と、原稿の画像を複製(コピー)するために、コピー設定画面の表示を指示するコピーボタン611と、当該原稿の画像を読み取る(スキャナ)ために、スキャン設定画面の表示を指示するスキャンボタン612と、印刷設定画面の表示を指示するプリントボタン613と、画面にて選択された項目を示すフォーカスを移動する方向キー614と、フォーカスされた項目の選択を決定する決定キー615と、各種設定画面で決定した設定でコピーやスキャナの実行を指示する開始ボタン616とを備える。そして、操作パネル部6は、各種設定画面で決定した設定の情報を、設定データとして記憶部3(設定データ記憶部31)に記憶させる。
【0018】
図3は、操作パネル部6の表示部62に表示されたコピー設定画面の一例である。操作パネル部6にて、コピーボタン611を押下することで表示部62に表示される。ここでは、コピー設定画面には、コピーする部数「4」、ソート「回転ソート」、レイアウト「4面」が表示されており、「回転ソート」がフォーカスされている。
【0019】
(ネットワーク部7)
ネットワーク部7は、不図示のネットワークインタフェースを備え、ネットワークNを介して、ユーザが操作するコンピュータ(不図示)と接続し、データの送受信を行う。
【0020】
(記憶部3)
記憶部3は、設定データ記憶部31と、ジョブ情報記憶部32と、画像データ記憶部33(奇数部画像データ、偶数部画像データ)と、ジョブファイル記憶部34(奇数部用ジョブファイル、偶数部用ジョブファイル)と、プログラム記憶部35(奇数部ジョブストリームプログラム、偶数部ジョブストリームプログラム)とを備える。
【0021】
(設定データ記憶部31)
設定データ記憶部31は、操作パネル部6の操作部61を介して入力された設定に係る情報がデータ化された設定データを記憶する。
この設定データ記憶部31には、例えば、図4に示す設定データが記憶されており、コピーに係る設定データとして、コピー設定データが記憶されており、部数「4」、ソート「回転ソート」、レイアウト「4面」が記憶されている。また、設定データとして、部数「4」、ソート「回転ソート」、給紙トレイ「トレイ1」が記憶されている。また、印刷設定に係る設定データとして、印刷設定データが記憶されており、部数「4」、ソート「回転ソート」、給紙トレイ「トレイ1」が記憶されている。
【0022】
(ジョブ情報記憶部32)
ジョブ情報記憶部32は、後記するジョブ生成部22が生成したジョブ情報が記憶される構成部である。図5は、コピー設定データに基づいて生成され、ジョブ情報記憶部32に記憶されたジョブ情報の一例である。例えば、図4に示すコピー設定データに基づいて生成されたジョブ情報の場合、図5に示すように、部数「4」、ソート「回転ソート」、レイアウト「4面」、ジョブファイル名「“”」、奇数部用ジョブファイル名「SCANTOPRINT_ODD.BIN」、偶数部用ジョブファイル名「SCANTOPRINT_EVEN.BIN」とするジョブ情報が記憶される。
【0023】
(画像データ記憶部33)
画像データ記憶部33は、画像データを記憶する構成部である。本実施形態において、画像データ記憶部33には、後記する画像データ処理部21から取得した、奇数部数にあたる一連の画像データ(奇数部画像データ)と、偶数部数にあたる一連の画像データ(偶数部画像データ)とが記憶される。
【0024】
(ジョブファイル記憶部34)
ジョブファイル記憶部34は、後記するジョブ生成部22が生成したジョブファイルが記憶される構成部である。このジョブファイル記憶部34には、奇数部用ジョブファイルと、偶数部用ジョブファイルとが記憶される。
【0025】
(プログラム記憶部35)
プログラム記憶部35は、制御部2が実行するプログラムが記憶される構成部である。本実施形態において、プログラム記憶部35は、後記するジョブ生成部22が生成したジョブファイルを、後記するインタプリタ部24が解釈するためのジョブストリームプログラムを記憶する構成部である。プログラム記憶部35には、ジョブストリームプログラムとして、奇数部用ジョブファイルを解釈するための奇数部ジョブストリームプログラムと、偶数部用ジョブファイルを解釈するための偶数部ジョブストリームプログラムとが記憶されている。
【0026】
(画像処理部20)
画像処理部20は、画像データ処理部21と、ジョブ生成部22と、印刷ジョブ管理部23と、インタプリタ部24とを備え、制御部2(CPU)により各構成部の機能が実行される。
【0027】
(画像データ処理部21)
画像データ処理部21は、設定データ記憶部31に記憶された設定データに基づき、画像データ生成部4から取得した一連の画像データに、画像処理を行って、画像データ記憶部33に記憶させる構成部である。ここで、設定データに複数部数の印刷が指示されていた場合、画像データ処理部21は、奇数部数用と偶数部数用とで別々の画像データを生成する。そして、奇数部用画像データと偶数部用画像データとが画像データ記憶部33に記憶される。
【0028】
画像データ処理部21は、設定データ記憶部31に記憶された設定データを参照して、画像データに、スケーリング処理、色補正処理、ハーフトーン処理、画像回転処理などの画像処理を実行する。
【0029】
<スケーリング処理>
画像データ処理部21は、設定データ記憶部31に記憶された設定データのレイアウトを参照して、2以上の数値が設定されていた場合、画像データにスケーリング処理を行う。スケーリング処理を実行する画像データ処理部21は、レイアウトに設定された数値にあわせて、画像データの拡大/縮小を行う。例えば、レイアウト「4面」である場合、画像データ処理部21は、画像データの縦および横のスケールをそれぞれ2分の1に縮小する。
【0030】
<色補正処理>
画像データ処理部21は、画像データに色補正処理を行う。
<ハーフトーン処理>
画像データ処理部21は、画像データに対してハーフトーン処理を行い、色の濃淡(濃度)をハーフトーンで表現する画像データにする。このとき、画像データ処理部21は、画像データに含まれる所定の領域毎の濃度値データを取得して、その濃度値に応じて領域内の網点の数や量を調整する。
<画像回転処理>
画像データ処理部21は、画像データに画像回転処理を行う。
【0031】
図6は、ハーフトーン処理で用いる網点の成長パターンの一例である。そして、図7は、図6で示す縦縞模様のハーフトーンに画像回転処理を行って、左に90度回転させた場合の網点の成長パターンの一例である。
図6のように、縦縞模様のハーフトーンは、縞を太らせることで濃淡を表現する。図6の(a)は濃度0%、(b)は濃度25%、(c)は濃度50%、(d)は濃度75%、(e)は濃度100%のときのハーフトーンである。
このハーフトーンをそのまま90度回転させると、用紙の搬送方向に対して、図7に示すように横縞のハーフトーンとなる。
【0032】
通常、ハーフトーン処理で用いる網点の成長パターンは、印刷エンジンである画像形成部5の特性より、最適なものが選択されている。例えば、用紙の搬送方向に対して直角方向の印刷に優れた特性をもつ印刷エンジン(画像形成部5)を備える画像形成装置1であれば、用紙の搬送方向に対して直角方向の縞模様のハーフトーンが用いられる。例えば、図6の縦縞模様のハーフトーンは、紙面横方向が用紙の搬送方向であるときに用いられる。このとき、図7の横縞模様のハーフトーンを用いると、用紙の搬送方向に対して直角方向の印刷に優れた特性をもつ印刷エンジン(画像形成部5)の適正が合わないため、縦縞模様のハーフトーンを用いて印刷した場合と比較して、画質などが悪くなる。
以上のように、縦縞模様のハーフトーンをそのまま90度回転させると、画像形成部5の特性により、回転処理をしない画像データを用いて画像を媒体に形成した場合と、回転処理を行った画像データを用いて画像を媒体に形成した場合とで画質に大きな違いが生じてしまう。
【0033】
また、画像データ処理部21は、設定データ記憶部31(図4)に記憶された設定データの部数を参照して、部数が1であれば、色補正処理後の画像データに奇数部用の処理のみ行う。一方、部数が2以上であれば、さらに設定データのソートを参照する。
ソートが「回転ソート」であれば、画像データ処理部21は、色補正処理後の画像データをコピーして、一方の画像データには奇数部用の処理を実行し、もう一方の画像データには偶数部用の処理を実行する。
一方、ソートが「回転ソート」以外であれば、画像データ処理部21は、1部目で行われた奇数部用の処理後の画像データを用いて、2部目以降の処理を行う。
【0034】
奇数部用の処理を実行する画像データ処理部21は、色補正処理後の画像データにハーフトーン処理を行う。そして、ハーフトーン処理後の画像データを奇数部画像データとして、画像データ記憶部33に記憶させる。
一方、偶数部用の処理を実行する画像データ処理部21は、色補正処理後の画像データにまず、画像回転処理を行ってからハーフトーン処理を行う。そして、ハーフトーン処理後の画像データを偶数部画像データとして、画像データ記憶部33に記憶させる。
【0035】
本実施形態では、同サイズの用紙で向きが90度異なる縦向き用紙と横向き用紙とを画像形成用の媒体として用いて、ソート印刷のとき、奇数部は縦向き用紙に印刷を行い、偶数部は横向き用紙に印刷を行う。
【0036】
(ジョブ生成部22)
ジョブ生成部22は、設定データ記憶部31に記憶された設定データに基づき、ジョブ情報を生成し、ジョブ情報記憶部32に記憶させる構成部であり、また、ジョブ生成部22は、設定データ記憶部31(図4)に記憶された設定データに基づき、画像データ記憶部33から一連の画像データを取得して、ジョブファイルを生成して、ジョブファイル記憶部34に記憶させる構成部である。本実施形態において、ジョブファイルは、後記するインタプリタ部24が解釈することができるPDL(Page Description Language)データである。
【0037】
(ジョブ情報の生成)
ジョブ生成部22は、例えば、図4に示す設定データが設定データ記憶部31に記憶されているときに、図2の操作パネル部6にコピー設定画面が表示されている状態で「開始ボタン」が押下された場合、制御部2は、コピー機能を実行する。これにより、ジョブ生成部22は、設定データ記憶部31に記憶された設定データ(コピー設定データ)に基づき、ジョブ情報を生成する。図4に示す設定データであれば、部数「4」、ソート「回転ソート」、レイアウト「4面」、ジョブファイル名「""」、奇数部用ジョブファイル名「"SCANTOPRINT_ODD.BIN"」、偶数部用ジョブファイル名「"SCANTOPRINT_EVEN.BIN"」とするジョブ情報が生成される。「""」は名称が指定されていないことを示している。
【0038】
(ジョブファイルの生成)
ジョブ生成部22は、画像データ記憶部33から一連の奇数部用画像データを取得して、奇数部用ジョブファイル(図8)を生成する。また、画像データ記憶部33から一連の偶数部用画像データを取得して、偶数部用ジョブファイル(図9)を生成する。
【0039】
<奇数部用ジョブファイル>
図8は、ジョブ生成部22に生成された奇数部用ジョブファイルの一例であり、この奇数部用ジョブファイルは、図5に示すジョブ情報に基づき、作成されたものである。
このジョブ情報は、部数「4」、ソート「回転ソート」、レイアウト「4面」、ジョブファイル名「“”」、奇数部用ジョブファイル名「SCANTOPRINT_ODD.BIN」、偶数部用ジョブファイル名「SCANTOPRINT_EVEN.BIN」で構成されている。
【0040】
ジョブ生成部22は、コピー設定画面にて選択決定された、画像が形成される用紙のサイズを〔A4〕とする『用紙選択コマンド』を記述する([0002]行目)。さらに、1ページ目の用紙の印刷方向を〔縦〕とする『印刷方向選択コマンド』を記述する([0003]行目)。
【0041】
ジョブ生成部22は、レイアウト「4面」であることに基づき、読み取られた順番に4つの『画像データ指定コマンド』それぞれに指定される画像データを〔左上〕、〔右上〕、〔左下〕、〔右下〕の順に配置する『描画位置指定コマンド』を記述する。
まず、読み取られた順番が1番目の〔奇数部画像データR1〕が〔左上〕に配置され([0004], [0005]行目)、次に2番目の〔奇数部画像データR2〕が〔右上〕に配置され([0006], [0007]行目)、そして3番目の〔奇数部画像データR3〕が〔左下〕に配置され([0008], [0009]行目)、最後に4番目の〔奇数部画像データR4〕が〔右下〕に配置される([0010], [0011]行目)『画像データ指定コマンド』および『描画位置指定コマンド』を記述する。
そして、ジョブ生成部22は、配置すべき画像データが残っているため、1ページに4面の画像データを配置させるコマンドの後で、『改ページコマンド』を記述する([0012]行目)。
【0042】
さらに、ジョブ生成部22は、読み取られた順番が5〜8番目の『画像データ指定コマンド』それぞれに指定される画像データを配置する『描画位置指定コマンド』を生成する。これにより、〔奇数部画像データR5〕が〔左上〕に、〔奇数部画像データR6〕が〔右上〕に、〔奇数部画像データR7〕が〔左下〕に、〔奇数部画像データR8〕が〔右下〕に配置される([0013]〜[0020]行目)『画像データ指定コマンド』および『描画位置指定コマンド』を記述する。
そして、ジョブ生成部22は、配置すべき画像データが残っていないため、『印刷ジョブ終了コマンド』を挿入する([0021]行目)。
最後に、ジョブ生成部22は、この奇数部用ジョブファイルに、ジョブ情報の奇数部用ジョブファイル名「SCANTOPRINT_ODD.BIN」を付けて、ジョブファイル記憶部34に記憶させる。
【0043】
さらに、ジョブ生成部22は、奇数部用ジョブファイルを生成後、ジョブ情報の部数が2以上であることから、偶数部用ジョブファイルを生成する。
<偶数部用ジョブファイル>
図9は、ジョブ生成部22に生成された偶数部用ジョブファイルの一例である。
ジョブ生成部22は、コピー設定画面にて選択決定された、画像が形成される用紙のサイズを〔A4〕とする『用紙選択コマンド』を記述する([0002]行目)。さらに、1ページ目の用紙の印刷方向を〔横〕とする『印刷方向選択コマンド』を記述する([0003]行目)。
【0044】
ジョブ生成部22は、レイアウト「4面」であることに基づき、読み取られた順番に4つの『画像データ指定コマンド』それぞれに指定される画像データを〔左下〕、〔左上〕、〔右下〕、〔右上〕の順に配置する『描画位置指定コマンド』を記述する。
まず、読み取られた順番が1番目の〔偶数部画像データR1〕が〔左下〕に配置され([0004], [0005]行目)、次に2番目の〔偶数部画像データR2〕が〔左上〕に配置され([0006], [0007]行目)、そして3番目の〔偶数部画像データR3〕が〔右下〕に配置され([0008], [0009]行目)、最後に4番目の〔偶数部画像データR4〕が〔右上〕に配置される([0010], [0011]行目)『画像データ指定コマンド』および『描画位置指定コマンド』を記述する。
そして、ジョブ生成部22は、配置すべき画像データが残っているため、1ページに4面の画像データを配置させるコマンドの後で、『改ページコマンド』を記述する([0012]行目)。
【0045】
さらに、ジョブ生成部22は、読み取られた順番が5〜8番目の『画像データ指定コマンド』それぞれに指定される画像データを配置する『描画位置指定コマンド』を生成する。これにより、〔偶数部画像データR5〕が〔左下〕に、〔偶数部画像データR6〕が〔左上〕に、〔偶数部画像データR7〕が〔右下〕に、〔偶数部画像データR8〕が〔右上〕に配置される([0013]〜[0020]行目)『画像データ指定コマンド』および『描画位置指定コマンド』を記述する。
そして、ジョブ生成部22は、配置すべき画像データが残っていないため、『印刷ジョブ終了コマンド』を挿入する([0021]行目)。
最後に、ジョブ生成部22は、この偶数部用ジョブファイルに、ジョブ情報の偶数部用ジョブファイル名「SCANTOPRINT_EVEN.BIN」を付けて、ジョブファイル記憶部34に記憶させる。
【0046】
以上のように、ジョブ生成部22により、奇数部用ジョブファイル「SCANTOPRINT_ODD.BIN」と偶数部用ジョブファイル「SCANTOPRINT_EVEN.BIN」とが生成されて、ジョブファイル記憶部34に記憶される。
【0047】
(印刷ジョブ管理部23)
印刷ジョブ管理部23は、ジョブ情報記憶部32からジョブ情報を取得し、そのジョブ情報に基づいて、ジョブファイル記憶部34からジョブファイルを取得し、さらに、プログラム記憶部35からジョブストリームプログラムを取得して、ジョブファイルおよびジョブストリームプログラムをインタプリタ部24に出力する構成部である。このとき、印刷ジョブ管理部23は、ジョブ情報記憶部32に記憶されたジョブ情報の部数値に応じて、奇数部用ジョブファイルと、偶数部用ジョブファイルとを交互に取得して、インタプリタ部24に出力する。
【0048】
(インタプリタ部24)
インタプリタ部24は、印刷ジョブ管理部23からジョブファイルおよびジョブストリームプログラムを取得し、ジョブストリームプログラムを実行して、ジョブファイル(PDLデータ)を解釈し、印刷ジョブデータを生成する。そして、印刷ジョブデータを画像形成部5に出力する。
【0049】
以上の構成を備える画像形成装置1によれば、奇数部は、奇数部用ジョブファイル(図8)に基づき、画像データが配置される。1ページ目の〔左上〕には、画像データ生成部4に読み取られた順番が1番目の〔奇数部画像データR1〕が配置され、次に2番目の〔奇数部画像データR2〕が〔右上〕に配置され、そして3番目の〔奇数部画像データR3〕が〔左下〕に配置され、最後に4番目の〔奇数部画像データR4〕が〔右下〕に配置される。2ページ目以降も奇数部用ジョブファイル(図8)に基づき、画像データが配置される。
【0050】
同様に、偶数部は、偶数部用ジョブファイル(図9)に基づき、画像データが配置される。1ページ目の〔左下〕には〔偶数部画像データR1〕が配置され、次に2番目の〔偶数部画像データR2〕が〔左上〕に配置され、そして3番目の〔偶数部画像データR3〕が〔右下〕に配置され、最後に4番目の〔偶数部画像データR4〕が〔右上〕に配置される。そして、2ページ目以降も偶数部用ジョブファイル(図9)に基づき、画像データが配置される。
【0051】
そして、画像形成装置1(画像形成部5)は、図10に示されるように、画像を記録媒体に形成する。奇数部の1部目は、画像が縦向き用紙(A4サイズ縦)に形成され、偶数部の2部目は、90度回転した画像が横向き用紙(A4サイズ横)に形成される。そして、再度奇数部となる3部目は、画像が縦向き用紙に形成され、偶数部の4部目は、90度回転した画像が横向き用紙に形成される。
【0052】
(処理)
ここで、第1の実施形態における画像形成装置1にて行われるコピー処理について説明する。図11は、画像形成装置1のコピー処理動作を示すフローチャートである。
ユーザが操作パネル部6のコピー設定画面にて設定を入力する(ステップS101)。そして、ユーザにより開始ボタンが押下されたことを契機に、操作パネル部6は、入力された設定情報に基づき、コピー設定データを生成して、設定データ記憶部31に記憶させる(ステップS102)。
【0053】
また、ユーザにより開始ボタンが押下されたことを契機に、ステップS103〜ステップS107に示すループ処理を実行する。このループ処理は、載置トレイ(不図示)に置かれた原稿の枚数が0枚になるまで続けられる。
ループ処理において、まず、画像データ生成部4は、載置トレイ(不図示)に置かれた原稿を一枚スキャンして画像を読み取って画像データを生成し(ステップS104)、画像データ処理部21に出力する。
画像データ処理部21は、取得した画像データに画像処理を行う(ステップS105,図12)。そして、画像処理後の画像データ(奇数部画像データ、偶数部画像データ)を画像データ記憶部33に記憶させる(ステップS106)。
【0054】
ステップS106の後、載置トレイ(不図示)にある原稿検知部(不図示)が、載置トレイ(不図示)に原稿が置かれているか否かを検知する。原稿が検知されると(doc=1)、再びループ処理(ステップS103〜ステップS107)を実行する。
一方、載置トレイ(不図示)の原稿が0枚となり、原稿検知部(不図示)により原稿が検知できなくなったとき(doc=0)、ループ処理を終了して、次のステップS108の処理を実行する。
【0055】
ステップS108の処理において、ジョブ生成部22がジョブファイル生成処理を実行する(ステップS108,図13)。そして、印刷ジョブ管理部23が印刷ジョブ生成処理を実行する(ステップS109,図14)。この印刷ジョブ生成処理により、インタプリタ部24は、印刷ジョブ管理部23からジョブファイルおよびジョブストリームプログラムを取得する。
【0056】
インタプリタ部24は、ジョブストリームプログラムを実行して、ジョブファイル(PDLデータ)を解釈し、印刷ジョブデータを生成する(ステップS110)。そして、印刷ジョブデータを画像形成部5に出力する。画像形成部5は、印刷ジョブデータに従って、用紙に画像を形成する(ステップS111)。
【0057】
(画像処理)
画像データ処理部21により実行される画像処理(ステップS105,図11)について説明する。図12は、画像データ処理部21の画像処理動作を示すフローチャートである。
まず、画像データ処理部21は、画像データ生成部4から画像データを取得する(ステップS201)。また、画像データ処理部21は、設定データ記憶部31から設定データを取得する(ステップS202)。
【0058】
そして、画像データ処理部21は、設定データに基づいて、画像データにスケーリング処理を行う(ステップS203)。ここで、画像データ処理部21は、「コピー設定_レイアウト」の設定値に応じて、その数の画像が1枚の用紙サイズに印刷されるように、画像データのスケールを所定の値で変更する。例えば、ステップS202で取得した設定データの「コピー設定_レイアウト」の設定値が「4面」である場合、1枚の用紙サイズに4面の画像が印刷されるように、画像データ処理部21は、画像データの縦方向のスケールを半分、横方向のスケールを半分にする。
次に、画像データ処理部21は、色補正処理を行う(ステップS204)。ここで、色補正後の画像データを「スケール画像データ」とする。
【0059】
画像データ処理部21は、スケール画像データにハーフトーン処理を行う(ステップS205)。このハーフトーン処理後のスケール画像データを「奇数部数画像データ」とする。画像データ処理部21は、奇数部数画像データを画像データ記憶部33に記憶させる(ステップS206)。
【0060】
次に、画像データ処理部21は、ステップS202で取得した設定データの「コピー設定_ソート」の設定値が、回転ソートであるか否かを判定する(ステップS207)。
ここで、回転ソート以外であれば(ステップS207,No)、画像データ処理部21は、画像処理(ステップS105,図11)を終了する。
【0061】
一方、回転ソートであれば(ステップS207,Yes)、画像データ処理部21は、スケール画像データに画像回転処理を行う(ステップS208)。ここで、画像データ処理部21は、スケール画像データを左に90度回転した画像データを生成する。この画像回転処理後のスケール画像データを「スケール回転画像データ」とする。
そして、画像データ処理部21は、スケール回転画像データにハーフトーン処理を行う(ステップS209)。このハーフトーン処理後のスケール画像データを「偶数部数画像データ」とする。画像データ処理部21は、偶数部数画像データを画像データ記憶部33に記憶させる(ステップS210)。その後、画像データ処理部21は、画像処理(ステップS105,図12)を終了する。
【0062】
(ジョブファイル生成処理)
ジョブ生成部22により実行されるジョブファイル生成処理(ステップS108,図11)について説明する。図13は、ジョブ生成部22のジョブファイル生成処理動作を示すフローチャートである。
まず、ジョブ生成部22は、設定データ記憶部31から設定データを取得して(ステップS301)、ジョブ情報を生成して、ジョブ情報記憶部32に記憶させる(ステップS302)。
【0063】
そして、ジョブ生成部22は、奇数部用ジョブファイルを生成し(ステップS303)、ステップS108で取得した設定データに基づき、奇数部用ジョブファイルにジョブヘッダを書き込む(ステップS304)。これにより、図8に示すように、奇数部用ジョブファイルには、印刷ジョブ開始コマンド、用紙選択コマンドおよび印刷方向選択コマンドがジョブヘッダとして書き込まれる。
次に、ジョブ生成部22は、ステップS108で取得した設定データの「コピー設定_ソート」の設定値が「回転ソート」であるか否かを判定する(ステップS305)。
回転ソート以外であれば(ステップS305,No)、後記するステップS308の処理を行う。
【0064】
一方、回転ソートであれば(ステップS305,Yes)、ジョブ生成部22は、偶数部用ジョブファイルを生成し(ステップS306)、ステップS108で取得した設定データに基づき、偶数部用ジョブファイルにジョブヘッダを書き込む(ステップS307)。これにより、図9に示すように、偶数部用ジョブファイルには、印刷ジョブ開始コマンド、用紙選択コマンドおよび印刷方向選択コマンドがジョブヘッダとして書き込まれる。
【0065】
そして、ジョブ生成部22は、画像データ処理部21により、画像データ記憶部33に記憶された画像データを記憶された順番に取得する(ステップS308)。このとき、ジョブ生成部22は、取得した画像データが奇数部用画像データであるのか、偶数部用画像データであるのかを判定する(ステップS309)。
【0066】
奇数部用画像データであれば(ステップS309,奇数部用画像データ)、奇数部用ジョブファイル(図8)に、奇数部用画像データに係るコマンドを書き込む(ステップS310)。この処理にて、ジョブ生成部22は、設定データの「コピー設定_レイアウト」のデータを取得する。ここで、4面であることから、奇数部用ジョブファイルに、描画位置指定コマンドを書き込む。このとき、ステップS309で奇数部用画像データであると判定された回数が、1回目のときは、描画位置指定コマンドに〔左上〕を書き込む。以降、2回目のときは〔右上〕、3回目のときは〔左下〕、4回目のときは〔右下〕の順番で書き込む。そして、〔右下〕を書き込んだとき、判定回数をリセット(0回)する。そして、ジョブ生成部22は、描画位置指定コマンドを書き込んだ後に、取得した奇数部用画像データを関連付ける画像データ指定コマンドを書き込む。さらに、ジョブ生成部22は、描画位置指定コマンドに〔右下〕と書き込んだ場合には、画像データ指定コマンドを書き込んだ後に、改ページコマンドを書き込む。以上のようにして、ジョブ生成部22は、ステップS310を行って、奇数部用画像データに係るコマンドを書き込む。
【0067】
一方、偶数部用画像データであれば(ステップS309,偶数部用画像データ)、偶数部用ジョブファイル(図9)に、偶数部用画像データに係るコマンドを書き込む(ステップS311)。この処理にて、ジョブ生成部22は、設定データの「コピー設定_レイアウト」のデータを取得する。ここで、4面であることから、偶数部用ジョブファイルに、描画位置指定コマンドを書き込む。このとき、ステップS309で偶数部用画像データであると判定された回数が、1回目のときは、描画位置指定コマンドに〔左下〕を書き込む。以降、2回目のときは〔左上〕、3回目のときは〔右下〕、4回目のときは〔右上〕の順番で書き込む。そして、〔右上〕を書き込んだとき、判定回数をリセット(0回)する。そして、ジョブ生成部22は、描画位置指定コマンドを書き込んだ後に、取得した偶数部用画像データを関連付ける画像データ指定コマンドを書き込む。さらに、ジョブ生成部22は、描画位置指定コマンドに〔右上〕と書き込んだ場合には、画像データ指定コマンドを書き込んだ後に、改ページコマンドを書き込む。以上のようにして、ジョブ生成部22は、ステップS311を行って、偶数部用画像データに係るコマンドを書き込む。
【0068】
そして、画像データ記憶部33から取得していない画像データがあるか否かを判定する(ステップS312)。未取得の画像データがあれば(ステップS312,Yes)、ジョブ生成部22が画像データ記憶部33に記憶された画像データをすべて取得するまで、ステップS308〜S311までの処理を繰り返し実行する。
そして、画像データ記憶部33からジョブ生成部22が画像データを取得できなくなったとき(ステップS312,No)、ジョブ生成部22は、奇数部用ジョブファイルおよび偶数部用ジョブファイルを閉じる(ステップS313)。このとき、ジョブ生成部22は、奇数部用ジョブファイルおよび偶数部用ジョブファイルの最終行に印刷ジョブ終了コマンドを書き込む。そして、ジョブ生成部22は、ジョブファイル生成処理(ステップS108,図11)を終了して、印刷ジョブ管理部23が次のステップS109の処理(印刷ジョブ生成処理)を実行する。
【0069】
(印刷ジョブ生成処理)
印刷ジョブ管理部23により実行される印刷ジョブ生成処理(ステップS109,図11)について説明する。図14は、印刷ジョブ管理部23の印刷ジョブ生成処理動作を示すフローチャートである。
まず、印刷ジョブ管理部23は、ジョブ情報記憶部32からジョブ情報を取得し(ステップS401)、このジョブ情報からコピー設定_部数の設定値を取得する(ステップS402)。ここで、印刷ジョブ生成処理の実行回数のカウントを開始し、このときカウント=1とする(ステップS403)。
そして、印刷ジョブ管理部23は、カウントが奇数であるのか偶数であるのかを判定する(ステップS404)。
【0070】
奇数であれば(ステップS404,奇数)、印刷ジョブ管理部23は、ジョブファイル記憶部34から奇数部用ジョブファイルを取得し(ステップS405)、さらにプログラム記憶部35から奇数ジョブストリームプログラムを取得する(ステップS406)。そして、印刷ジョブ管理部23は、奇数部用ジョブファイルおよび奇数ジョブストリームプログラムをインタプリタ部24に出力する(ステップS407)。そして、ステップS411を実行する。
【0071】
一方、偶数であれば(ステップS404,偶数)、印刷ジョブ管理部23は、ジョブファイル記憶部34から偶数部用ジョブファイルを取得し(ステップS408)、さらにプログラム記憶部35から偶数ジョブストリームプログラムを取得する(ステップS409)。そして、印刷ジョブ管理部23は、偶数部用ジョブファイルおよび偶数ジョブストリームプログラムをインタプリタ部24に出力する(ステップS410)。そして、ステップS411を実行する。
【0072】
ステップS407またはステップS410の後で、印刷ジョブ管理部23は、実行回数の判定を行う(ステップS411,カウント=コピー設定_部数の設定値?)。ここで、カウントがコピー設定_部数の設定値より少ない値であれば(ステップS411,カウント<コピー設定_部数の設定値?)、印刷ジョブ管理部23は、現在のカウントに1を加えてから(ステップS412)、再びステップS404の処理を実行する。
【0073】
一方、カウントがコピー設定_部数の設定値と同値であれば(ステップS411,カウント=コピー設定_部数の設定値)、印刷ジョブ管理部23は、印刷ジョブ生成処理を終了する(ステップS109,図11)を終了する。
【0074】
《第2の実施形態》
【0075】
図15は、画像形成装置1Aの構成を示すブロック図である。
ここで、第2の実施形態に係る画像形成装置1Aは、図15に示すように、受信ジョブ処理部25を備える点が異なっている。また、画像処理部21および画像データ記憶部33を備えない点が異なっている。さらに、第1の実施形態に係る画像形成装置1のジョブ生成部22およびインタプリタ部24の代わりに、ジョブ生成部22Aおよびインタプリタ部24Aを備える点が異なっている。そして、第1の実施形態に係るジョブファイル記憶部34に記憶されるジョブファイルが、第2の実施形態に係るジョブファイル記憶部34Aと異なっている。他の構成は同様なので、説明を便宜的に省略する。
【0076】
図16は、操作パネル部6の表示部62に表示された印刷設定画面の一例である。操作パネル部6にて、プリントボタン613を押下することで表示部62に表示される。ここでは、印刷設定画面には、部数「4」、ソート「回転ソート」、給紙トレイ「トレイ1」が表示されており、「回転ソート」がフォーカスされている。
【0077】
ネットワーク部7は、ネットワークNを介して、ユーザが操作するコンピュータ(不図示)から、印刷指示とともに、一連の画像データを含む印刷ジョブで構成される受信データを受信する。
【0078】
(受信ジョブ処理部25)
受信ジョブ処理部25は、ネットワーク部7が受信した印刷ジョブに係る受信データから、一連の画像データを取得して、ジョブ生成部22Aに出力する。
(ジョブ生成部22A)
ジョブ生成部22Aは、設定データ記憶部31に記憶された設定データに基づき、ジョブ情報を生成し、ジョブ情報記憶部32に記憶させる構成部であり、また、受信ジョブ処理部25から取得した一連の画像データからジョブファイルを生成して、ジョブファイル記憶部34Aに記憶させる構成部である。ジョブファイルは、後記するインタプリタ部24Aが解釈することができるPDLデータである。
【0079】
例えば、図4に示す設定データが設定データ記憶部31に記憶されているときに、ネットワーク部7が受信した受信データから、受信ジョブ処理部25が印刷ジョブに係る受信ジョブを取得することで、制御部2は、印刷機能を実行する。これにより、ジョブ生成部22Aは、設定データ記憶部31に記憶された設定データに基づき、ジョブ情報を生成する。図4に示す設定データであれば、部数「4」、ソート「回転ソート」、給紙トレイ「トレイ1」、ジョブファイル名「"PCPRINT.BIN"」、奇数部用ジョブファイル名「""」、偶数部用ジョブファイル名「""」とするジョブ情報が生成される。さらに、ジョブ生成部22Aは、受信ジョブ処理部25から取得した一連の画像データからジョブファイルを生成して、ジョブファイル名「"PCPRINT.BIN"」を付けて、ジョブファイル記憶部34に記憶させる。ジョブファイルの生成処理手順は、第1の実施形態のジョブ生成部22が行う処理手順と同様なので、説明を便宜的に省略する。
【0080】
(インタプリタ部24A)
インタプリタ部24Aは、第1の実施形態のインタプリタ部24の機能に加えて、さらに、第1の実施形態の画像データ処理部21の画像処理機能を備える構成部である。
インタプリタ部24Aは、印刷ジョブ管理部23からジョブファイルおよびジョブストリームプログラムを取得し、ジョブストリームプログラムを実行して、ジョブファイル(PDLデータ)を解釈して、画像処理を実行し、印刷ジョブデータを生成する。このジョブストリームプログラムは、第1の実施形態で用いられたジョブストリームプログラムとは異なるものである。そのため、以降、「ジョブストリームプログラムA」と称する。また、インタプリタ部24Aにより実行される画像処理は、第1の実施形態にて画像データ処理部21が実行する画像処理を同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0081】
(プログラム記憶部35)
プログラム記憶部35には、ジョブストリームプログラムAとして、奇数ジョブストリームプログラムAと偶数ジョブストリームプログラムAとが記憶されている。
ジョブストリームプログラムAは、インタプリタ部24Aがジョブファイルを実行するためのプログラムである。図18は、奇数部用ジョブストリームAを実行することで、生成される奇数部印刷ジョブデータである。図19は、偶数部用ジョブストリームAを実行することで、生成される偶数部印刷ジョブデータである。
【0082】
(インタプリタ部24Aが実行する処理の概要)
ここで、奇数ジョブストリームプログラムAを実行したインタプリタ部24Aは、PDLデータで形成されるジョブファイルを解釈して、画像データを取得して、画像処理を実行する。このときインタプリタ部24Aは、画像データにハーフトーン処理を行い、奇数部用画像データを生成し、奇数部用画像データを用いて奇数部印刷ジョブデータを生成する。
一方、偶数ジョブストリームプログラムAを実行したインタプリタ部24Aは、取得した画像データに画像回転処理を行ってから、ハーフトーン処理を行って偶数部用画像データを生成し、偶数部用画像データを用いて偶数部印刷ジョブデータを生成する。
【0083】
インタプリタ部24Aは、印刷ジョブ管理部23からジョブファイルおよびジョブストリームプログラムAを取得し、ジョブストリームプログラムA(奇数ジョブストリームプログラムA、偶数ジョブストリームプログラムA)を実行する。
インタプリタ部24Aは、奇数ジョブストリームプログラムAおよび偶数ジョブストリームプログラムAを実行して、ジョブファイルを解釈し、PDL形式データを読み出す。そして、インタプリタ部24Aは、第1の実施形態の画像処理を実行して、一旦奇数部印刷ジョブデータおよび偶数部印刷ジョブデータを生成する。
【0084】
ここで、図18は、奇数部印刷ジョブデータの一例であり、図19は、偶数部印刷ジョブデータの一例である。図18に示すように、奇数部印刷ジョブデータには、印刷ジョブ開始コマンド([0001]行目)、用紙選択コマンド([0002]行目)および印刷方向選択コマンド([0003]行目)がジョブヘッダとして書き込まれる。そして、ジョブファイルから取得した受信ジョブデータが書き込まれて([0004]行目)、最後に印刷ジョブ終了コマンド([0005]行目)が書き込まれる。
また、図19に示すように、偶数部印刷ジョブデータには、印刷ジョブ開始コマンド([0001]行目)、用紙選択コマンド([0002]行目)および印刷方向選択コマンド([0003]行目)がジョブヘッダとして書き込まれる。そして、ジョブファイルから取得した受信ジョブデータが書き込まれて([0004]行目)、最後に印刷ジョブ終了コマンド([0005]行目)が書き込まれる。
【0085】
(ジョブ情報記憶部32)
ジョブ情報記憶部32は、ジョブ生成部22Aが生成したジョブ情報が記憶される構成部である。図19は、印刷設定データに基づいて生成され、ジョブ情報記憶部32に記憶されたジョブ情報の一例である。例えば、図4に示す印刷設定データに基づいて生成されたジョブ情報の場合、図19に示すように、部数「4」、ソート「回転ソート」、給紙トレイ「トレイ1」、ジョブファイル名「"PCPRINT.BIN"」、奇数部用ジョブファイル名「""」、偶数部用ジョブファイル名「""」とするジョブ情報が記憶される。
【0086】
以上の構成を備える画像形成装置1Aによれば、奇数部は、奇数部印刷ジョブデータ(図18)に基づき、画像データが配置される。1ページ目には、画像データ生成部4に読み取られた順番が1番目の〔奇数部画像データR1〕が配置され、2ページ目には〔奇数部画像データR2〕が配置され、3ページ目には〔奇数部画像データR3〕が配置され、4ページ目には〔奇数部画像データR4〕が配置される。
同様に、偶数部は、偶数部印刷ジョブデータ(図19)に基づき、画像データが配置される。1ページ目には〔偶数部画像データR1〕が配置され、2ページ目には〔偶数部画像データR2〕が配置され、3ページ目には〔偶数部画像データR3〕が配置され、4ページ目には〔偶数部画像データR4〕が配置される。
【0087】
そして、画像形成装置1A(画像形成部5)は、図20に示されるように、画像を記録媒体に形成する。奇数部の1部目は、画像が縦向き用紙(A4サイズ縦)に形成され、偶数部の2部目は、90度回転した画像が横向き用紙(A4サイズ横)に形成される。そして、再度奇数部となる3部目は、画像が縦向き用紙に形成され、偶数部の4部目は、90度回転した画像が横向き用紙に形成される。
【0088】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、本実施例では、ハーフトーン処理で用いる網点が縞模様である場合の説明を行ったが、網点は一般的に用いられるドットなどであっても構わない。
【0089】
また、第2の実施形態において、ネットワーク部7を介して受信ジョブ処理部25が取得した一連の画像データは、画像データ内のハーフトーン処理により形成される網点パターンの領域の境界線が、画像データが示す画像の向きに対して平行または直交であることが望ましい。この画像データに基づく画像を記録媒体に形成するとき、画像の向きと記録媒体の向きとが合致するように形成される。よって、網点パターンが形成される領域が、記録媒体が搬送される向きとも平行または直交であることから、画像形成部5が記録媒体に形成する際の、画像回転処理時の影響を低減することができる。
【符号の説明】
【0090】
1,1A 画像形成装置
2 制御部
3 記憶部
4 画像データ生成部
5 画像形成部
6 操作パネル部
7 ネットワーク部
20 画像処理部
21 画像データ処理部
22,22A ジョブ生成部
23 印刷ジョブ管理部
24,24A インタプリタ部
25 受信ジョブ処理部
31 設定データ記憶部
32 ジョブ情報記憶部
33 画像データ記憶部
34,34A ジョブファイル記憶部
35 プログラム記憶部
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに画像処理を行って、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録媒体の向きと異なる向きの異方向画像データが入力された場合に、前記画像処理にて、前記異方向画像データを前記記録媒体の向きに回転する画像回転処理を行ってから、ハーフトーン処理を行う画像処理部
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ハーフトーン処理で用いられる網点パターンは縞模様であり、色が濃くなるにつれて縞が太くなり、色が淡くなるにつれて縞が細くなる成長パターンであることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記網点パターンは、縦縞模様または横縞模様であることを特徴とする請求項2に記載された画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載された画像形成装置において、
前記画像回転処理は、0度、90度、180度および270度のいずれか一つの方向に回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載された画像形成装置において、
さらに、複数部数の画像形成を行う画像形成部を備え、
奇数部数の画像形成を行うとき、前記画像処理部は、入力された所定の向きの画像データに前記ハーフトーン処理を行って、前記画像形成部は、前記所定の向きの第1の記録媒体に画像を形成し、
偶数部数の画像形成を行うとき、前記画像処理部は、入力された前記所定の向きの画像データに前記画像回転処理を行って、前記所定の向きと90度の角度をなす向きに回転してから、前記ハーフトーン処理を行って、前記画像形成部は、前記所定の向きと90度の角度をなす向きの第2の記録媒体に画像を形成する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載された画像形成装置において、前記画像回転処理を行う前に、色補正処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載された画像形成装置において、前記入力された画像データ内の、前記ハーフトーン処理により形成される網点パターンの領域の境界線が、前記画像データが示す画像の向きに対して平行または直交であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−69095(P2013−69095A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206892(P2011−206892)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】