説明

画像形成装置

【課題】ユーザーの使用態様に対応してユーザーを検知し、かつ装置の小型化が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、動作モードとして、通常モードと通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する。画像形成装置は、ユーザーからの指示を受け付けるための操作部を含む。操作部はユーザーからの所定の指示が入力される操作領域を有する。画像形成装置は、操作領域に対応して配置され、通常モードのときに操作領域へのユーザーからの入力を検出する第1の検出部と、省電力モードのときに、操作領域近傍に位置する人体を検出する第2の検出部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードへの移行を制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、消費電力削減のために、画像形成装置が一定時間使用されていない場合、当該装置の一部の電力供給を停止する低消費電力モードへ移行させる電力制御が行なわれている。低消費電力モード時においては、当該装置の操作パネルへのユーザーからの操作を受け付けると、低消費電力モードを解除し通常モードヘ移行する。これは、操作パネル内に配置されている検出回路により操作パネルのキーやタッチパネルを常時スキャンし、ユーザーからの操作を検出することで移行させている。しかし、近年では低消費電力モード時において、消費電力をさらに削減するため、上記検出部分についても電力供給を停止することも行なわれている。この場合、ユーザーは操作パネルによる操作では低消費電力モードを解除できないため、別に人体検知センサーを備え、当該人体検知センサーの検知結果に基づき省電力モードを解除する方式が提案されている。
【0003】
たとえば、特開2006−251194号公報(特許文献1)には、画像形成装置の正面床面上にマットスイッチを設け、ユーザーが当該装置の正面に立ったことを検出することで省電力モードを解除する方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−251194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2006−251194号公報に開示された技術によると、画像形成装置の正面にユーザーが立っているか否かにより省電力モードを解除することはできるが、ユーザーが当該装置を操作するか否かにより省電力モードを解除することはできない。この場合、ユーザーからの操作を検出するために、当該操作領域近傍に人体検知センサーを設ける方式もあるが、当該センサー専用の基板等を作成するとコストが上がり、また装置が大型化されるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、ユーザーの使用態様に対応してユーザーを検知し、かつ装置の小型化が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従うと、画像形成装置であって、動作モードとして、通常モードと通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する。画像形成装置は、ユーザーからの指示を受け付けるための操作部を含む。操作部はユーザーからの所定の指示が入力される操作領域を有する。画像形成装置は、操作領域に対応して配置され、通常モードのときに操作領域へのユーザーからの入力を検出する第1の検出部と、省電力モードのときに、操作領域近傍に位置する人体を検出する第2の検出部とを備える。
【0008】
好ましくは、第2の検出部の検出領域は、操作領域を含む範囲に設定される。
好ましくは、第2の検出部は、第1の検出部と同一の基板上に配置される。
【0009】
好ましくは、第2の検出部は、検出電極と人体との間の静電容量の変化を読み取ることで人体を検出する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、ユーザーの使用態様に対応してユーザーを検知し、装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に従う画像形成装置を示す概略正面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う操作パネルの外観の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う操作パネルのディスプレイに取り付けられているタッチパネルの構成を示した概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う操作パネルの操作キーに対応する検出部の概略構成の一例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う操作パネルにおける通常モードおよび省電力モードのときの電力制御内容を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の動作モードの移行処理手順を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に従う人感センサーの構成の概略説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う人感センサーに対応するアンテナの配置場所の一例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う操作パネルのプリント基板上に配置される、アンテナと、操作キーおよびタッチパネルの検出部との位置関係を示した図である。
【図11】図9の線A−A’に沿う操作パネルの概略断面図である。
【図12】図9の線B−B’に沿う操作パネルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての同一部分については、その詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<全体構成>
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。画像形成装置は、たとえば、複数の原稿を順次搬送するための原稿搬送機能や自動で両面コピーを行うための再搬送機能などを有するディジタル複合機である。
【0014】
<全体構成>
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。画像形成装置は、たとえば、複数の原稿を順次搬送するための原稿搬送機能や自動で両面コピーを行うための再搬送機能などを有するディジタル複合機である。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1を示す概略正面断面図である。
図1を参照して、画像形成装置1は、画像処理部12と、画像形成部14と、給紙部16と、定着装置18と、排紙部19とを含む。画像形成装置1の本体上部には、自動原稿搬送装置20と画像読取部30とが搭載されている。
【0016】
自動原稿搬送装置20は、原稿台22と、自動搬送部23と、搬送ローラー24とを含む。自動原稿搬送装置20の原稿台22には、複写面を上向きにして図示しない原稿が載置される。搬送ローラー24は、原稿を順次搬送路に送り込み、当該原稿は自動搬送部23まで搬送される。
【0017】
搬送路の最終端には、スキュー補正部であるレジストローラー26が配置されている。レジストローラー26は、画像読取部30の走査タイミングと同期して回転することによって、原稿をスリットガラス28上を通過させる。
【0018】
画像読取部30は、第1走査ユニット32と、第2走査ユニット34と、結像レンズ36と、CCD等の撮像素子38とを含む。第1走査ユニット32は、スリットガラス28を通して原稿に光を照射する光源とミラーとを含む。第2走査ユニット34は、反射光を結像レンズ36へとガイドする2枚のミラーを含む。
【0019】
第1走査ユニット32は、原稿が画像読取部30の上部に配置されたスリットガラス28上を通過する際に、原稿に光を照射することによって、原稿からの反射光を受光する。反射光は、第2走査ユニット34および結像レンズ36を経て、撮像素子38上に入射する。すなわち、第1走査ユニット32と第2走査ユニット34と結像レンズ36とは、原稿に印刷された画像を撮像素子38上に結像することによって、原稿上に印刷された画像を読み取る。
【0020】
画像処理部12は、撮像素子38からの電気信号に基づいて、画像データを生成する。すなわち、画像処理部12は、撮像素子38からの電気信号に基づいて画像処理する。より詳細には、画像処理部12は、撮像素子38からの電気信号(アナログ信号)に基づいて、画像を示す画像データ(デジタルデータ)を生成し、当該画像データを後述する記憶部110に一時的に格納する。
【0021】
画像形成部14は、像担持体10と、帯電装置42と、画像書込部44と、現像装置46と、転写装置48とを含む。帯電装置42は、像担持体10の外周面に沿って配置される。像担持体10が帯電装置42に沿って回転することによって、帯電装置42は像担持体10の表面をほぼ一様に帯電させる。画像書込部44は、像担持体10の表面に静電潜像を形成する。現像装置46は、帯電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置48は、像担持体10の表面上のトナー像を転写紙Pに転写する。クリーニング装置49は、転写後の像担持体10の表面を清掃する。
【0022】
一方、給紙部16は、給紙カセット52(52A、52B)を含む。給紙カセット52は、転写紙Pを収容する。給紙カセット52内には、可動板53が配置される。可動板53は、板バネ等の付勢手段によって、常時その自由端が上方向に付勢される。このような構成によって、可動板53上に配置される複数の転写紙Pのうち最も上に位置する転写紙Pが、ピックアップローラー54に接触する。
【0023】
ピックアップローラー54は、ピックアップローラー54に接触する転写紙Pを給紙カセット52から排出する。さばきローラー54Aは、複数の転写紙Pを1枚ずつ分離する。複数の中間ローラー56は、転写紙Pをガイドしつつ、転写紙Pを下レジストローラー58まで搬送する。下レジストローラー58は、給紙タイミングに合わせて、転写紙Pを転写装置48に送り込む。
【0024】
前述したように、転写装置48は、像担持体10上に形成されたトナー像を転写紙Pに転写する。トナー像が転写された転写紙Pは、定着装置18に搬送される。定着装置18は、転写紙Pにトナー像の定着処理を施す。その後、排紙ローラー72が、転写紙Pを扶持することによって、転写紙Pを画像形成装置1の外部に排出する。すなわち、画像が印刷された転写紙Pが排紙台74上に載置される。
【0025】
また、操作パネル300が画像形成装置1の前面に配置されており、ユーザーからの画像形成装置1への各種の指示を受け付ける。
【0026】
<ハードウェア構成>
次に、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0028】
図2を参照して、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)100と、記憶部110と、通信部120と、タイマー126と、プリンター部130と、スキャナー部140と、電源制御部150と、電源部152と、人感センサー160と、操作パネル300とを含む。
【0029】
CPU100は、後述する記憶部110の不揮発性メモリに予め格納されているプログラムを読み出し、プログラムを順次実行することによって、画像形成装置1の各部を制御する。より詳細には、CPU100は、当該プログラムを実行することによって、後述する画像形成装置1の処理を実現する。
【0030】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)112や、RAM(Random Access Memory)114や、HDD(Hard Disk Drive)116などの不揮発性メモリなどによって実現される。ROM112は、CPU100で実行されるプログラムを予め格納し、RAM114は、CPU100のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶する。HDD116は、比較的大容量のデータを不揮発的に格納することができ、たとえば、後述するスキャナー部140が画像を読み取ることによって取得した画像データなどを複数格納する。
【0031】
通信部120は、ネットワークインターフェイスなどによって実現される。通信部120は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介してパーソナルコンピュータやサーバー装置との間で画像データなどを送受信する。たとえば、通信部120は、ユーザーからの認証印刷処理を受信する。
【0032】
タイマー126は、時刻を計時する部位であり、計時した時刻に応じた信号をCPU100に送出する。CPU100は、当該信号に基づき、たとえば一定時間間隔で予め定められた処理をすることができる。
【0033】
プリンター部130は、画像データに基づいて転写紙Pに画像を印刷する。プリンター部130は、主な構成要素として、画像処理部12と、画像形成部14と、給紙部16と、定着装置18と、排紙部19とを含む。
【0034】
スキャナー部140は、原稿を光学的に読取って画像データを得て、データとして記憶部110に記憶する。スキャナー部140は、主な構成要素として画像読取部30を含む。
【0035】
電源制御部150は、CPU100からの指示に応答して、電源部152からの電力を画像形成装置1のほぼ全ての部位に供給したり(通常モード)、画像形成装置1の一部の部位のみに供給したり(省電力モード)して、画像形成装置1の電力供給制御を行なう。たとえば、電源制御部150は省電力モードのときには後述するパネル制御部310への電源部152からの電力供給を停止して消費電力を低減する。
【0036】
電源部152は、交流電圧から直流電圧に変換する回路を有し、変換した直流電圧によって、画像形成装置1を動作させる。
【0037】
人感センサー160は、後述する操作パネル300に配置されており、所定の検出領域に対する人体の有無を検出する。たとえば、人感センサー160は静電容量式センサーで構成されており、後述する検出電極(アンテナ162)と、センサー回路制御部164とを含む。具体的には、アンテナ162で検出された静電容量の変化をセンサー回路制御部164が検出信号に変換して、CPU100に出力する。なお、人感センサー160が、省電力モードのときにユーザーを検出すると、CPU100は省電力モードを解除し通常モードに画像形成装置1を移行させる。なお、本例においては、人感センサー160は静電容量式センサーの場合を例に挙げて説明するが、静電容量式センサーに限られず、人体を検出する機能を有するものであればよく、赤外線センサー、超音波センサー、他の人感センサーであってもよい。
【0038】
操作パネル300は、パネル制御部310と、液晶ディスプレイであるディスプレイ320と、LCD(Liquid Crystal Display)駆動回路330と、ユーザーからの操作入力を受付ける操作キー340とを含む。ただし、ディスプレイ320は、たとえば、有機ELディスプレイであってもよいし、LCD駆動回路330は、有機ELディスプレイ駆動回路であってもよい。なお、詳細は後述するが、操作パネル300には人感センサー160が所定の箇所に配置されている。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態に従う操作パネル300の外観の一例を示した図である。
図3を参照して、操作パネル300のディスプレイ320には、ユーザーが各種モードの表示や設定等を実行するためにタッチパネル350が取付けられている。また、操作キー340(操作キー群340A、340B)は、たとえば、コピー/スキャン等の動作を開始させるためのスタートキー、入力された数値のクリアするためのクリアキー、コピー/スキャン動作の停止を指示するためのストップキー、設定されているモードおよびジョブを破棄するためのリセットキーを含む。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態に従う操作パネル300のディスプレイ320に取り付けられているタッチパネル350の構成を示した概略図である。
【0041】
図4を参照して、タッチパネル350の構造は、フィルム基板352と、ガラス基板356とを平行に重ね合わせた構造であり、フィルム基板352とガラス基板356の各々対抗する面には酸化インジウムスズなどの透明導電膜が形成されている。フィルム基板352と、ガラス基板356とは所定の距離で通常離れているため、指などで押下することで接触し通電する。また、外的要因によるフィルムのたわみで誤接触がおこらないように、ガラス基板356のフィルム基板352に対抗する側には図示しないスペーサが形成されている。
【0042】
次に、タッチパネル350に対するユーザーからの入力の検出方式について説明する。
フィルム基板352には、左右両端にX電極354Aおよび354Bが設けられ、ガラス基板356には、上下両端にY電極358Aおよび358Bが設けられている。X座標の検出は、X電極354Aに所定の電圧Vを印加し、X電極354Bはアース接続するとフィルム基板352のX方向に透明導電膜の抵抗によって電位勾配ができるため、接触点の電位をガラス基板356を通じてA/Dコンバータで検出すると分圧により、接触点のX座標の検出ができる。同様に、図示しない切り替えスイッチにより、Y電極358Aおよび358Bに所定の電圧を印加して、Y座標も検出することができる。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態に従う操作パネル300の操作キー340に対応する検出部の概略構成の一例を示した図である。
【0044】
図5を参照して、操作キー340の検出部は、たとえば、4本×8本の行列状の配線および当該配線の各交点に操作キーを有するマトリクス回路と、当該マトリクス回路の行方向の各配線にそれぞれ繋がっている4本の出力ポートおよび列方向の各配線に繋がっている8本の入力ポートを有するパネル制御部310とから構成されている。各々の出力ポートから各々の走査信号(KEYSCAN0〜3)が順次出力されていき、各々の対応する入力ポートに入力される検出信号の電圧を読み取ることで、どの操作キー340が押下されたかを検出することができる。たとえば、走査信号KEYSCAN0がHigh状態を出力した場合、ユーザーが操作キーXを押下した際には、操作キーXと対応する検出信号KEYRET7の電圧がLow状態となり、検出信号KEYRET0〜6の電圧がHigh状態となるため、ユーザーが操作キーXを押下したことを検出することができる。
【0045】
<動作モード>
次に、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の動作モードについて説明する。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態に従う操作パネル300における通常モードおよび省電力モードのときの電力制御内容を示す図である。
【0047】
まず、通常モードのときの電力制御内容について説明する。
通常モードのときには、CPU100は電源制御部150に指示して操作パネル300に配置されている人感センサー160の電力供給を停止し、それ以外の部位には電力を供給する。これは、通常モードのときは、ユーザーが操作パネル300を操作することにより画像形成装置1の機能を実行可能とする一方で、人感センサー160によってユーザーを検出する必要性が低いことから、画像形成装置1の低消費電力化を図るものである。このとき、パネル制御部310には電力が供給されているため、画像形成装置1はユーザーからの操作キー340やタッチパネル350に対する入力を検出することができ、またLCD駆動回路330にも電力が供給されているため、ディスプレイ320によってユーザーは各種情報を視認することができる。
【0048】
次に、省電力モードAのときの電力制御内容について説明する。
省電力モードAのときには、CPU100は電源制御部150に指示して操作パネル300に配置されている人感センサー160およびLCD駆動回路330への電力供給を停止し、パネル制御部310には電力を供給する。これは省電力モードAが、通常モードと、より低消費電力のモードである後述の省電力モードBとの移行段階にあるモードであるため、通常モードに対して、電力消費量の大きいLCD駆動回路330の電力供給を停止するものである。このとき、パネル制御部310には電力が供給されているため、画像形成装置1はユーザーからの操作キー340やタッチパネル350に対する入力は検出することができ、当該検出がされるとCPU100は画像形成装置1を通常モードに移行する。
【0049】
次に、省電力モードBのときの電力制御内容について説明する。
省電力モードBのときには、CPU100は電源制御部150に指示して操作パネル300に配置されているパネル制御部310およびLCD駆動回路330への電力供給を停止し、人感センサー160には電力を供給する。これは、画像形成装置1の電力をより低消費電力化するものである。このとき、パネル制御部310には電力が供給されていないため、ユーザーからの操作キー340やタッチパネル350に対する入力は検出されない。しかし、人感センサー160には電力が供給されているため、所定検出領域内でユーザーを検出することができる。従って、人感センサー160によりユーザーが検出されると、CPU100は画像形成装置1を通常モードに移行する。
【0050】
次に、画像形成装置1の動作モードの移行処理手順について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の動作モードの移行処理手順を示したフローチャートである。
【0051】
まず、通常モードにおいて(ステップS102)、画像形成装置1の通常モード動作状態の時間を計測するために、CPU100の指示により、タイマー126は通常モード時間の計測を開始する(ステップS104)。
【0052】
次に、操作パネル300は、パネル制御部310での検出結果によりユーザーからの入力指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS106)。操作パネル300は、ユーザーからの入力指示を受け付けたと判断すると(ステップS106においてNOである場合)、CPU100の指示により、タイマー126はステップS104に戻り通常モード動作時間の計測を最初からやり直す。一方、操作パネル300は、ユーザーからの入力指示を受け付けていないと判断すると(ステップS106においてYESである場合)、CPU100の指示により、タイマー126は通常モード動作時間の計測を続行する。
【0053】
次に、CPU100は、タイマー126によって計測されている通常モード動作時間が予め設定された時間に達したか否かを判断する(ステップS108)。CPU100は、通常モード動作時間が予め設定された時間に達していないと判断すると(ステップS108においてNOである場合)、ステップS106からの処理を繰り返す。一方、CPU100は、通常モード時間が予め設定された時間に達したと判断すると(ステップS108においてYESである場合)、画像形成装置1を通常モードから省電力モードAに移行させる(ステップS110)。具体的には、CPU100の指示により、電源制御部150は上記で説明した省電力モードAのときの電力制御を行なう。
【0054】
次に、画像形成装置1の省電力モードAの動作状態の時間を計測するために、CPU100の指示により、タイマー126は省電力モードAの動作時間の計測を開始する(ステップS112)。
【0055】
次に、操作パネル300は、パネル制御部310での検出結果によりユーザーからの入力指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS114)。操作パネル300がユーザーからの入力指示を受け付けたと判断すると(ステップS114においてNOである場合)、CPU100は画像形成装置1を省電力モードAから通常モードに移行させて(ステップS122)、処理を終了する。具体的には、CPU100の指示により、電源制御部150は上記で説明した通常モードのときの電力制御を行なう。一方、操作パネル300がユーザーからの指示を受け付けていないと判断すると(ステップS114においてYESである場合)、CPU100の指示により、タイマー126は省電力モードAの動作時間の計測を続行する。
【0056】
次に、CPU100は、タイマー126によって計測されている省電力モードAの動作時間が予め設定された時間に達したか否かを判断する(ステップS116)。CPU100は、省電力モードAの動作時間が予め設定された時間に達していないと判断すると(ステップS116においてNOである場合)、ステップS114からの処理を繰り返す。一方、CPU100は、省電力モードAの動作時間が予め設定された時間に達したと判断すると(ステップS116においてYESである場合)、画像形成装置1を省電力モードAから省電力モードBに移行させる(ステップS118)。具体的には、CPU100の指示により、電源制御部150は上記で説明した省電力モードBのときの電力制御を行なう。
【0057】
次に、CPU100は、人感センサー160の検出結果により人体を検出したか否かを判断する(ステップS120)。CPU100は、人体を検出していないと判断すると(ステップS120においてNOである場合)、ステップS120の状態を維持し、省電力モードBの状態を維持する。一方、CPU100は、人体を検出したと判断すると(ステップS120においてYESである場合)、CPU100は、画像形成装置1を省電力モードBから通常モードに移行させて(ステップS122)、処理を終了する。
【0058】
(人感センサーの概要)
次に、人感センサー160の概要について説明する。
【0059】
図8は、本発明の実施の形態に従う人感センサー160の構成の概略説明図である。
図8を参照して、人感センサー160は静電容量式のセンサーであり、回路の一部に検出電極(アンテナ162)を設けて、アンテナ162に物体が接近することによって生じる電極の静電容量の変化を電気信号に変換して、人体の接近を検出する。概略的には、人感センサー160はその内部に検出容量Crおよび基準容量Coを有しており、検出容量Crと基準容量Coとを比較することにより容量の変化ΔCを検出する。たとえば、アンテナ162にユーザーの操作指が接近すると操作指とアンテナ162との間の容量Cpの容量が増加するため、容量(Cp+Cr)と基準容量Coとを比較することでΔCを検出する。検出したΔCの容量変化によりセンサー内部の図示しない発振回路が発振し回路に流れる電流が増大するため、予め設定された電流設定値を超えると出力回路にて検出信号がCPU100に出力される。CPU100は、当該検出信号に基づいて人体が検出されたか否かを判断する。
【0060】
(人感センサーの配置場所)
次に、人感センサー160のアンテナ162の配置場所について説明する。
【0061】
図9は、本発明の実施の形態に従う人感センサー160に対応するアンテナ162の配置場所の一例を示した図である。なお、図6での人感センサー160に対応するアンテナ162の配置場所はこれに限定されるものではなく、ユーザーの使用用途によって様々な配置場所が設定できる。
【0062】
図9を参照して、操作パネル300には、操作キー340(操作キー群340A、340B)と、ディスプレイ320に取り付けられているタッチパネル350と、人感センサー160A〜160Cに対応するアンテナ162A〜162Cとを含む。
【0063】
アンテナ162Aは、操作キー群340Aをディスプレイ320側の一辺を除いたコの字型で取り囲むように配置されている。アンテナ162Aに対応する人感センサー160Aは、操作キー群340Aを押下しようとするユーザーを検出することが可能である。なお、配置パターンはこれに限られず、たとえば、アンテナ162Aは、操作キー群340Aの四方全てを取り囲んでいてもよい。
【0064】
アンテナ162Bは、操作キー群340Bに沿うように下方側に配置されている。アンテナ162Bに対応する人感センサー160Bは、操作キー群340Bを押下しようとするユーザーを検出することが可能である。なお、配置パターンはこれに限られず、たとえば、アンテナ162Bは、操作キー群340Bの四方全てを取り囲んでいてもよい。
【0065】
アンテナ162Cは、ディスプレイ320の外周を取り囲むように配置されており、タッチパネル350を押下しようとするユーザーを検出することが可能である。なお、配置パターンはこれに限られず、たとえば、外周に沿ってコの字型に配置されたり、L字型に配置されていてもよい。
【0066】
次に、アンテナ162のより詳細な配置場所について説明する。
図10は、本発明の実施の形態に従う操作パネル300のプリント基板380上に配置される、アンテナ162と、操作キー340およびタッチパネル350の検出部390との位置関係を示した図である。
【0067】
図10を参照して、プリント基板380Aには、アンテナ162Aおよび検出部390Aが配置されている。プリント基板380Bには、アンテナ162Bおよび検出部390Bが配置されている。プリント基板380Cには、アンテナ162Cおよび検出部390Cが配置されている。なお、アンテナ162A〜162Cは、検出部390A〜390Cと物理的に干渉しないようにプリント基板380の外周に沿って配置される。
【0068】
検出部390Aおよび390Bは、それぞれ操作キー群340Aおよび340Bに対するユーザーの入力を検出するものであり、たとえば、図5で説明した検出方式により検出を行なう。
【0069】
検出部390Cは、タッチパネル350に対するユーザーの入力を検出するものであり、たとえば、図4で説明した検出方式により検出を行なう。
【0070】
次に、操作パネル300の断面構造について説明する。
図11は、図9の線A−A’に沿う操作パネル300の概略断面図である。
【0071】
図11を参照して、プリント基板380A上に配置された、操作キー群340Aの検出部390Aと物理的に干渉しないようにアンテナ162Aが配置される。また、同様にプリント基板380B上に配置された、操作キー群340Bの検出部390Bと物理的に干渉しないようにアンテナ162Bが配置される。なお、アンテナ162Aに対応する人感センサー160Aの検出範囲は操作キー群340Aを押下しようとするユーザーを検出可能なように設定され、アンテナ162Bに対応する人感センサー160Bの検出範囲は操作キー群340Bを押下しようとするユーザーを検出可能なように設定される。
【0072】
図12は、図9の線B−B’に沿う操作パネル300の概略断面図である。
図12を参照して、タッチパネル350の下方(プリント基板380C方向)にLCDモジュール360が設けられており、LCDモジュール360の下方にプリント基板380Cが設けられている。LCDモジュール360と、プリント基板380B上に配置された検出部390Bとに物理的に干渉しないようにアンテナ162Bおよびアンテナ162Cが配置されている。なお、アンテナ162Bに対応する人感センサー160Bの検出範囲は操作キー群340Bを押下しようとするユーザーを検出可能なように設定される。また、同様にアンテナ162Cに対応する人感センサー160Cの検出範囲はタッチパネル350を押下しようとするユーザーを検出可能なように設定される。
【0073】
以上より、操作パネル300におけるプリント基板380の既存のスペースを利用してアンテナ162を配置でき、人感センサー160で人体を検出することが可能である。また、上述の通り、電源制御部150によって省電力モードのときは人感センサー160には電力が供給されるがパネル制御部310には電力が供給されないことから、パネル制御部310の機能、すなわち検出部390の機能は無効となる。従って、検出部390の機能を有効にしたときに発生する信号変化によるノイズが人感センサー160のアンテナ162に対して影響を与えることがないため、アンテナ162を検出部390に隣接して配置しても人感センサー160の検出精度を維持することができる。また、アンテナ162を検出部390に隣接して配置できるため、センサー専用基板を用いることもなく画像形成装置1の小型化が可能となる。
【0074】
<その他の実施の形態>
上記では、人感センサー160のアンテナ162をプリント基板380上に配置する例について説明したが、操作パネル300の筐体にワイヤ形状のアンテナを設けてもよい。この場合、筐体の保持を安定化させるための保持手段を別途設けるようにしてもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置、10 像担持体、12 画像処理部、14 画像形成部、16 給紙部、18 定着装置、19 排紙部、20 自動原稿搬送装置、22 原稿台、23 自動搬送部、24 搬送ローラー、26 レジストローラー、28 スリットガラス 、30 画像読取部、32 第1走査ユニット、34 第2走査ユニット、36 結像レンズ、38 撮像素子、42 帯電装置、44 画像書込部、46 現像装置、48 転写装置、49 クリーニング装置、52 給紙カセット、53 可動板、54 ピックアップローラー、54A さばきローラー、56 中間ローラー、58 下レジストローラー、72 排紙ローラー、74 排紙台、100 CPU、110 記憶部、112 ROM、114 RAM、120 通信部、126 タイマー、130 プリンター部、140 スキャナー部、150 電源制御部、152 電源部、160 人感センサー、162 アンテナ、164 センサー回路制御部、300 操作パネル、310 パネル制御部、320 ディスプレイ、330 LCD駆動回路、340 操作キー、350 タッチパネル、352 フィルム基板、356 ガラス基板、360 LCDモジュール、380 プリント基板、390 検出部、P 転写紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードとして、通常モードと前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する画像形成装置であって、
ユーザーからの指示を受け付けるための操作部を含み、
前記操作部はユーザーからの所定の指示が入力される操作領域を有し、
前記操作領域に対応して配置され、前記通常モードのときに前記操作領域へのユーザーからの入力を検出する第1の検出部と、
前記省電力モードのときに、前記操作領域近傍に位置する人体を検出する第2の検出部とを備えた、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の検出部の検出領域は、前記操作領域を含む範囲に設定される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の検出部は、前記第1の検出部と同一の基板上に配置される、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の検出部は、検出電極と人体との間の静電容量の変化を読み取ることで人体を検出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−7904(P2013−7904A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140734(P2011−140734)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】