画像形成装置
【課題】手差し給紙機構から給紙する際に、手差し用紙が滞留してしまった場合や、給紙カセットの用紙でプリントがされた場合に、異常報知ができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】カセット給紙機構と、手差し給紙機構と、カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構と、手差し給紙機構によって搬送された用紙を分離機構を用いて給送させる画像形成装置において、手差し給紙機構の搬送路において用紙を検出する第1の用紙検出手段と、カセット給紙機構と手差し給紙機構に共通の用紙搬送路において用紙を検出する第2の用紙検出手段と、第1の用紙検出手段の検出結果と第2の用紙検出手段の検出結果とにもとづいて手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段と、異常状態を報知する報知手段(S211,S213)と、を備えた画像形成装置。
【解決手段】カセット給紙機構と、手差し給紙機構と、カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構と、手差し給紙機構によって搬送された用紙を分離機構を用いて給送させる画像形成装置において、手差し給紙機構の搬送路において用紙を検出する第1の用紙検出手段と、カセット給紙機構と手差し給紙機構に共通の用紙搬送路において用紙を検出する第2の用紙検出手段と、第1の用紙検出手段の検出結果と第2の用紙検出手段の検出結果とにもとづいて手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段と、異常状態を報知する報知手段(S211,S213)と、を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセット給紙機構と手差し給紙機構を有する、カラー複写機等の画像形成装置に関し、特にその手差し給紙における異常状態の検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8で、画像形成装置としてのレーザープリンタ全体の構成について説明する。
なお、以下の説明では、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーション、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
【0003】
(画像形成部)
第1ステーションでは、1aは像担持体としての有機光導電体層を有する感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層などからなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低くほぼ絶縁性である。帯電手段として帯電ローラ2aが感光ドラム1aに当接され、感光ドラム1aの回転にともない、従動回転しなから感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧もしくは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面の当接ニップ部から上下流側の微小な空気ギャップで放電が発生することにより感光ドラム1aは帯電される。
【0004】
3aは、感光ドラム1a上の転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニットである。現像手段としての現像ユニットは、現像ローラ4a、非磁性一成分現像剤5a、現像剤塗布ブレード7a、トナー収納部4aからなり、前述の1a〜8aは、画像形成装置から着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aを構成している。
【0005】
11aは露光手段であり、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニットまたはLEDアレイから構成され、画像信号にもとづいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2a、現像ローラ4a、一次転写ローラ81aのそれぞれは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電バイアス電源20a、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像バイアス電源21a、一次転写ローラ81aへの電圧供給手段である一次転写バイアス電源84aに接続されている。
【0006】
以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成をしており、同一の番号の後ろにb、c、dの枝符号を付けている。
【0007】
中間転写ベルト80は、その張架部材として二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト80は感光ドラム1a〜1dに対して順方向に略同速度で移動する。
また、中間転写ベルト80は、矢印方向に回転し、一次転写ローラ81aは中間転写ベルト80を挟んで感光ドラム1aと反対側に配置されている。
また、一次転写ローラ81aの中間転写ベルト80回転方向下流側には除電部材23aが配置されている。駆動ローラ14、テンションローラ15及び除電部材23a、二次転写対向ローラ86は電気的に接地されている。
【0008】
像担持体としての感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導電体層(OPC)を塗布して構成したものである。感光ドラム1はその両端部をフランジによって回転自在に支持しており、一方の端部に図示しない駆動モータから駆動力を伝達することにより、図に対して反時計回りに回転駆動される。
各帯電ローラ2は、ローラ状に形成された導電性のローラで、これを感光ドラム1表面に当接させると共に、図示しない電源によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
露光手段11はポリゴンミラーを有し、このポリゴンミラーには図示しないレーザーダイオードから画像信号に対応する画像光が照射される。
【0009】
現像手段は、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナーを収納したトナー収納部8a〜8d、感光ドラム1表面に隣接し、図示しない駆動部により回転駆動されると共に、図示しない現像バイアス電源により現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う現像ローラ4a〜4d等から構成される。
また、中間転写ベルト80の内側には、4個の感光ドラム1a〜1dに対向して、中間転写ベルト80に当接する一次転写ローラ81a〜81dがそれぞれ併設されている。これら一次転写ローラ81a〜81dは一次転写バイアス電源84a〜84dで接続されている。そして、一次転写ローラ81a〜81dから正極性の電荷が中間転写ベルト80を介して感光ドラム1に接触中の中間転写ベルト80に付与され、感光ドラム1上の負極性の各色トナー像が順次中間転写ベルト80に転写され、多色画像が形成される。
【0010】
(シート搬送詳細)
給紙部である16、30より給送されたシートは、レジストローラ18によって二次転写部に搬送する。
中間転写ベルト80は、二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラで張架支持され、すべての感光ドラム1a〜1dに対向して配設されている。中間転写ベルト80は、感光ドラム1に対向する外周面にトナーを静電吸着させるべく、駆動ローラ14によって循環移動する。これにより中間転写ベルト80の外周に多色画像が形成され、ベルト上に形成された画像は二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部まで搬送される。
シートの搬送に際しては、前記二次転写ローラ82に電圧を印加することで、対向している設置された二次転写対向ローラ86に電界を形成し、中間転写ベルト80及びシートの間に誘電分極を発生させて両者に静電吸着力を生じさせるようになっている。
【0011】
(定着部)
定着手段19は、シート上に形成した画像に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させるものであり、図示しない定着ベルトと弾性加圧ローラとを有している。弾性加圧ローラは定着ベルトを挟み、図示しないベルトガイド部材と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部を形成している。
定着ニップ部が所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成部から搬送された未定着トナー画像が形成されたシートが、定着ニップ部の定着ベルトと弾性加圧ローラとの間に画像面が上向き、即ち定着ベルト面に対向して導入される。そして、定着ニップ部において画像面が定着ベルトの外面に密着して定着ベルトと一緒に定着ニップ部を挟持搬送されていく。
この定着ニップ部を定着ベルトと一緒にシートが挟持搬送されていく過程において、定着ベルトを介して加熱され、シート上の未定着トナー画像が加熱定着される。
【0012】
(システム構成)
図2は、実施例1のシステム構成を示すブロック図であるが、CPU204以外の構成は、従来例でも同じなので、図2を援用して従来例の画像形成装置のシステム構成を説明する。
コントローラ部201は、ホストコンピュータ200、エンジン制御部202と相互に通信が可能となっている。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像情報と印字条件を受け取る。コントローラ部201は、受け取った印字条件を基に、転写材毎の印字情報(給紙口、転写材サイズ、印字モード等を付加した印字動作の予約を行う印字予約コマンドをエンジン制御部202へ送信し、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換する。コントローラ部201は、画像情報の解析が終了した時点で、エンジン制御部202へ印字動作の開始を指示するための印字開始コマンドを送信する。エンジン制御部202は、印字開始コマンドを受信すると、第1ステーションに対するビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力し、給紙動作を開始し、給紙された転写材をレジストローラ18で一時待機させる。その後、中間転写ベルト80上に形成されたトナー画像が二次転写位置に到達するのに合わせて、レジストローラ18から転写材を再給紙する。
【0013】
なお、204はCPU、205はROM、206は画像処理GA、207は画像制御部、208は定着制御部、209は用紙制御部、210は駆動制御部、211は手差し用紙制御部である。
【0014】
ここで、従来技術として、手差し給紙機構を有する画像形成装置における給送部の動作について詳細に説明する。
【0015】
(給送部)
本体の給紙カセット16から画像形成する際には、ピックアップローラ17を駆動させるとともに、その動作に同期して、給紙カセット底板29が上昇し、給紙カセット16内に設置されたシートPを押し上げる。押し上げられたシートPの最上の一枚が、ピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、一枚ずつシートが分離給送され、レジストローラ18によって、二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部に搬送される。
【0016】
手差し給紙トレイ30から印字を行う場合について、図9と図10で説明する。なお、図9は、カセット給紙機構上部に手差し給紙機構を備える画像形成装置で手差し印字を行う様子を説明するもので、図8の一部を拡大した図である。また、図10は、手差し印字を行う様子を説明するフローチャートである。
【0017】
手差し給紙トレイから用紙を給紙して印字を行う場合、手差し給紙トレイに用紙がセットされていることを用紙有無センサ33で検知する(ステップ100参照(以下、S100のように略記する))。そして、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する(S101)(図9のa)。さらにマルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知してから所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する(S102)。次に、手差し給紙トレイ30からの印字命令が有った場合(S103)、手差し給紙トレイ30から搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達したところで、ピックアップローラ17を駆動させることによって給紙カセット底板29が上昇する。なお、給紙カセット16内にカセット用紙が設置されている場合は、給紙カセット16内に設置されたカセット用紙を押し上げることになる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げる。すると、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙が分離給送される(図9のb)。そして、レジストローラ18によって、二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部に搬送される(図9のc)。なお、前述の手差し用紙とは手差し給紙トレイ30にセットされた用紙を意味し、カセット用紙とはカセット16にセットされた用紙を意味する。
以下の特許文献1、2には、前述のような従来の技術に関連した技術が開示されている。
【0018】
また、特許文献3には、用紙を積載収納する給紙カセットの上面を覆うカバーを、手差し給紙用の用紙挿入・搬送路部材とし、給紙コロとで用紙を1枚ずつ分離搬送するコーナを給紙カセットに設け、給紙カセットから給紙される用紙とカバー体上に挿入される用紙との搬送路を共通にする技術が開示されている。
さらに、特許文献4には、手差し給紙機能を有する装置において、用紙サイズの不一致によるジャム発生時に、ユーザにその原因を認識させて、ユーザにサイズ変更を促す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9−86690号公報
【特許文献2】特開平11−165891号公報
【特許文献3】特開平8−208045号公報
【特許文献4】特開平11−292349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図11に示すような、給紙カセット機構と手差し給紙機構が共通の用紙搬送路を有し、かつ、給紙カセット機構から給紙される用紙と手差し給紙機構から給紙される用紙を他の用紙から分離する共通の機構を有する画像形成装置を前提としている。この構成を前提として、用紙の分離を行うためにピックアップローラ17が動作する時に給紙カセットの底板が上がる構成の画像形成装置の場合、以下のような問題が発生する。
【0021】
(用紙滞留動作)
図11のaに示すように、手差し給紙トレイ30上の手差し用紙に対して印字指示がなされて手差し用紙が搬送された際に、搬送不良等が発生して手差し用紙が手差し用紙搬送路の途中で止まってしまうことがある。このような場合、手差し用紙は搬送されないものの、図11のbに示すように、給紙カセット底板29が上昇する。次に図11のcに示すように、押し上げられたカセット用紙の最上の一枚がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、カセット用紙が給送され、転写、定着を経て印字動作が行われる。これはユーザが意図しないカセット用紙に印字を行ったことになる。このような状態を検知して、ユーザに通知する手段がない場合、ユーザは給紙カセットの用紙で印字を行ってしまったことを容易に知ることができない。
【0022】
(手差し用紙の用紙引き止め/引き抜き動作)
図11のbに示すように、手差し給紙トレイ30上の手差し用紙に対して印字指示がなされて手差し用紙が搬送された際に、ユーザが手差し用紙を持ったままの場合、若しくは、ユーザが手差し用紙を引き抜いてしまう場合が考えられる。このような場合、手差し用紙は搬送されないものの、給紙カセット底板29が上昇する。次に図11のcに示すように、押し上げられたカセット用紙の最上の一枚がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、カセット用紙が給送され、転写、定着を経て印字動作が行われる。これはユーザが意図しないカセット用紙に印字を行ったことになる。このような状態を検知して、ユーザに通知する手段がない場合、ユーザは給紙カセットの用紙で印字を行ってしまったことを容易に知ることができない。
【0023】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、手差し給紙機構から給紙する際に生じる複数の異常状態によってユーザが意図していない給紙カセットの用紙でプリントがされた場合に、それを検知してユーザに報知することができる画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記課題を解決するため、本発明では、画像形成装置を次の(1)のとおりに構成する。
【0025】
(1)カセット給紙機構と、手差し給紙機構と、前記カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構と、前記手差し給紙機構によって搬送された用紙を前記分離機構を用いて給送させる画像形成装置において、前記手差し給紙機構の搬送路において用紙を検出する第1の用紙検出手段と、前記カセット給紙機構と前記手差し給紙機構に共通の用紙搬送路において用紙を検出する第2の用紙検出手段と、前記第1の用紙検出手段の検出結果と前記第2の用紙検出手段の検出結果とにもとづいて手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段と、前記異常状態を報知する報知手段と、を備えた画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、手差し給紙機構から給紙の際に生じる異常状態によってユーザが意図していない用紙でプリントがされた場合に、それを検知してユーザに報知することができ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0027】
また、本発明によれば、無駄な画像形成、用紙への無駄な印字を防止することができ、ベルト汚れを防止し、無駄なトナー消費を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1である画像形成装置の処理を示すフローチャート
【図2】実施例1のシステム構成を示すブロック図
【図3】正常な場合の印字動作を説明するタイミングチャート
【図4】用紙が引き抜かれた場合の印字動作を説明するタイミングチャート
【図5】実施例2に係る用紙が滞留した/用紙が引き止められた場合の印字動作を説明するタイミングチャート
【図6】実施例2における処理を示すフローチャート
【図7】実施例3における処理を示すフローチャート
【図8】従来例である手差し給紙機構を有する画像形成装置の機構を示す断面図
【図9】従来例の印字動作を説明する図
【図10】従来例の印字動作を説明するフローチャート
【図11】従来例の印字動作における問題点を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0030】
実施例1である“画像形成装置”について説明する。本実施例は、給紙カセット機構と手差し給紙機構が共通の用紙搬送路を有し、かつ、共通のピックアップローラで、給紙カセット機構から給紙される用紙と手差し給紙機構から給紙される用紙をピックアップし分離する機構を有する構成を前提としている。そして、用紙をピックアップする際に給紙カセットの底板が上がり、用紙を分離する機構を有する構成の画像形成装置において、手差しトレイからの印字開始命令後に、ユーザによって手差しトレイ上の手差し用紙が引き抜かれたことを検知し、報知するというものである。
【0031】
本実施例の全体構成、動作および給紙部の機構、動作は、従来例と同様なので、その説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0032】
図2は、本実施例の画像形成装置におけるシステム構成を示すブロック図である。通常の印字動作は先の従来例と同様であるため説明は省略する。
【0033】
エンジン制御部202のCPU204(請求項でいう、手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段に相当)は、マルチレジ前センサ101の検知結果から用紙長を算出するマルチレジ前センサ用紙長算出部304(請求項でいう、搬送中の手差し用紙の搬送方向の用紙長を検出する第1の用紙長検出手段に相当)と、レジセンサ102の検知結果から用紙長を算出するレジセンサ用紙長算出部305(請求項でいう、共通の用紙搬送路で搬送中の用紙の搬送方向の用紙長を検出する第2の用紙長検出手段に相当)と、前記マルチレジ前センサ用紙長算出部304と前記レジセンサ用紙長検出部305の結果を比較する用紙長比較部303と、前記用紙長比較部303の結果に応じて用紙滞留/用紙引き止めを検知する用紙滞留/用紙引き止め判断部300と、用紙引き抜きを検知する用紙引き抜き判断部301と、前記用紙滞留/用紙引き止め判断部300と前記用紙引き抜きを検知する用紙引き抜き判断部301の結果に応じてジャムやミスプリントなどの情報をユーザに報知するエラー報知処理部302とで構成されている。
【0034】
図3は、用紙引き抜き判断部301で“手差し用紙引き抜き無し”と判断する場合を説明するためのタイミングチャートである。
図4は、用紙引き抜き判断部301で“手差し用紙引き抜き有り”と判断する場合を説明するためのタイミングチャートである。
【0035】
以下、図3、図4の各タイミング(T1〜T6)について説明する。
手差し給紙トレイ30に用紙を置くと、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する。さらに、マルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知して(T1)から所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する。次に、手差しトレイに対する印字開始命令がきたタイミング(T2)で、手差し給紙トレイ30から搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達した時に、ピックアップローラ17を駆動させることによって、給紙カセット底板29が上昇し、給紙カセット16内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げ、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙が分離給送され、レジセンサ35まで手差し用紙の給送を行う(T3)。ここで再給紙タイミングがくるまでしばらくレジセンサ35の位置で待機する。
【0036】
次に中間転写ベルト80上の画像を用紙に二次転写するための再給紙タイミング(T4)がきて、しばらくするとマルチレジ前センサ34で立下りを検知し、マルチレジ前センサ34における用紙長が確定する(T5)。次に、レジセンサ35で立下りを検知し、レジセンサ35における用紙長が確定する(T6)。
ここで、本実施例で説明する用紙長は、マルチレジ前センサ34での用紙先端を基準にして、用紙後端がマルチレジ前センサ34を通過するまでの時間から算出された長さを便宜的に用紙長として定義している。具体的には、マルチレジ前センサ34で検出した用紙長とは、再給紙タイミングからマルチレジ前センサ34が立ち下がりを検出するまでの時間にプロセス速度をかけたものであり、次式で表される。
L1=(T5−T4)×プロセス速度
一方、レジセンサ35で検出した用紙長とは、再給紙タイミングからレジセンサ35が立ち下がりを検出するまでの時間にプロセス速度をかけたものからレジセンサ35とマルチレジ前センサ34の搬送距離を差し引いたものであり、次式で表される。
L2=((T6−T4)×プロセス速度)−(レジセンサとマルチレジ前センサの搬送距離)
L1とL2を比較し、用紙長が等しい場合、手差し用紙が正常に印字されたと判断する(図3を参照)。
また、L1とL2を比較し、用紙長が異なる場合、手差し用紙がユーザに引き抜かれたと判断する(図4を参照)。
【0037】
図1は、本実施例の処理を説明するためのフローチャートである。なお、この処理は、CPU204により行われる。
【0038】
手差し給紙トレイ30から用紙を給紙して印字を行う場合、手差し給紙トレイ30に用紙がセットされていることを用紙有無センサ33で検知すると(S200)、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する(S201)。さらにマルチレジ前センサ34(請求項でいう第1の用紙検出手段に相当)が手差し用紙の先端を検知してから所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラの直下まで搬送する(S202)。次に、手差しトレイからの印字命令が有った場合(S203)、手差し給紙トレイから搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラの直下に到達したところで、ピックアップローラを駆動させることによって、給紙カセットの底板が上昇し、給紙カセット内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板が、手差し給紙トレイから搬送した手差し用紙を押し上げ、手差し給紙トレイから搬送した手差し用紙がピックアップローラと当接し、ピックアップローラ17の回転により、一番上の用紙がピックアップされ他の用紙と分離給送される(請求項でいう、カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構に相当)。そしてレジセンサ35まで手差し用紙の給送を行う(S204)。レジセンサ35(請求項でいう、第2の用紙検出手段に相当)で待機し、再給紙タイミングになったら(S205)、マルチレジ前センサ34とレジセンサ35の用紙長検出用タイマをONする(S206)。しばらくして、マルチレジ前センサ34で立下り(用紙後端)を検出すると(S207)、マルチレジ前センサ34の用紙長検出用タイマをOFFする(S208)。次にレジセンサ35で立下り(用紙後端)を検出すると(S209)、レジセンサ35の用紙長検出用タイマをOFFする。レジセンサ35の立下りを検知できない場合、用紙が詰まったと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S211)。また、レジセンサ35で用紙後端を検知したタイミングで、マルチレジ前センサ34で検出した用紙長とレジセンサ35で検出した用紙長が等しいかどうかを判断する(S212)。それぞれのセンサで検出した用紙長が異なる場合は、ユーザにより手差しトレイ上の用紙が引き抜かれたと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S213)。そして、二次転写と定着を行い用紙を機外に排出する(S214)。
【0039】
以上説明したように、本実施例によれば、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングで、マルチレジ前センサとレジセンサの用紙長を比較することによって、ユーザによる手差しトレイの用紙の引き抜きを検知することができる。また、この時に手差し用紙のミスプリントを報知することで、ユーザに給紙カセットからの用紙で印字を行ったことを報知できるようになる。
【実施例2】
【0040】
実施例2である“画像形成装置”について説明する。
実施例1は、手差しトレイからの印字開始命令後に、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長検知を行い、その用紙長を比較することによって、ユーザによって手差しトレイ上の用紙が引き抜かれたことを検知し、報知するというものであった。
【0041】
これに対し、本実施例2は、実施例1と同様の構成において、手差しトレイからの印字開始命令後に、搬送ローラによる搬送不良などにより手差し用紙搬送路に用紙が滞留した、若しくは、ユーザによって手差しトレイ上の手差し用紙が引き止められたことを検知するものである。
【0042】
図5は、用紙滞留/用紙引き止め判断部300で“手差し用紙が滞留した、若しくは、ユーザにより引き止められた”と判断する場合を説明するためのタイミングチャートである。
【0043】
手差し給紙トレイ30に用紙を置くと、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する。さらに、マルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知して(T1)から所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する。次に、手差し給紙トレイ30に対する印字開始命令がきたタイミング(T2)で、手差し給紙トレイ30から搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達した時に、ピックアップローラ17を駆動させることによって、給紙カセット底板29が上昇する。そして、給紙カセット内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット16内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げる。そして、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙がピックアップされ他の用紙と分離給送され、レジセンサ35まで手差し用紙の給送を行う(T3)。次に中間転写ベルト80上の画像を用紙に二次転写するための再給紙タイミング(T4)がきて、しばらくするとマルチレジ前センサ34で立下りを検知し、マルチレジ前センサ34における用紙長が確定する(T5)。次に、レジセンサ35で立下りを検知し、レジセンサ35における用紙長が確定する(T6)。
マルチレジ前センサ34とレジセンサ35での用紙長算出方法は、実施例1に示した通りなのでここでの説明は省略する。
【0044】
L1とL2を比較し、用紙長が等しい場合、手差し用紙が正常に印字されたと判断する(図3を参照)。また、レジセンサにおける用紙長確定タイミング(T6)までに、マルチレジ前センサ34における用紙長が確定していない場合、手差し用紙が滞留した、若しくは、ユーザに引き止められたと判断する(図5を参照)。
【0045】
図6は、本実施例の処理を説明するためのフローチャートである。なお、この処理はCPU204により行われる。
手差し給紙トレイ30から用紙を給紙して印字を行う場合、手差し給紙トレイ30に用紙がセットされていることを用紙有無センサ33で検知すると(S300)、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する(S301)。さらにマルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知してから所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する(S302)。次に、手差し給紙トレイ30からの印字命令が有った場合(S303)、手差し給紙トレイから搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達したところで、ピックアップローラ17を駆動させることによって、給紙カセット16の底板が上昇する。そして、給紙カセット内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げる。そして、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙がピックアップされ他の用紙と分離給送される。
【0046】
そしてレジセンサ35まで手差し用紙の給送を行い(S304)。レジセンサ35で待機し、再給紙タイミングになったら(S305)、マルチレジ前センサ34とレジセンサ35の用紙長検出用タイマをONする(S306)。しばらくして、マルチレジ前センサ34で立下り(用紙後端)を検出すると(S307)、マルチレジ前センサ34の用紙長検出用タイマをOFFする(S308)。マルチレジ前センサ34で立下りを検知できない場合、マルチレジ前センサ用紙検出用エラーフラグを立てる(S309)。次にレジセンサ35で立下り(用紙後端)を検出すると(S310)、レジセンサ35の用紙長検出用タイマをOFFする(S311)。レジセンサ35の立下りを検知できない場合、用紙が詰まったと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S312)。
【0047】
また、レジセンサ35で用紙後端を検知し、レジセンサ35における用紙長が確定したタイミングで、マルチレジ前センサ用紙検出用エラーフラグが立っているかどうかを判断する(S313)。エラーフラグが立っている場合、手差し用紙が滞留した、若しくは、ユーザにより手差し用紙が引き抜かれたと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S314)。
【0048】
エラーフラグが立っていない場合、マルチレジ前センサ34の用紙長とレジセンサ35の用紙長を比較し用紙長が異なるかどうかを判断する(S315)。用紙長が異なる場合、ユーザに手差し用紙が引き抜かれたと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S316)。そして、二次転写と定着を行い用紙を機外に排出する(S317)。
【0049】
以上説明したように本実施例によれば、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングでマルチレジ前センサの用紙長検出結果を参照する。これにより、搬送ローラによる搬送不良などによる用紙滞留、若しくは、ユーザによる手差しトレイの用紙の引き止めを検知することができる。また、この時に手差し用紙のミスプリントを報知することで、ユーザに給紙カセットからの用紙で印字を行ったことを報知できるようになる。
【実施例3】
【0050】
実施例3である“画像形成装置”について説明する。
実施例1、実施例2では、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングで、各々の用紙長を比較した結果に応じて、搬送ローラによる搬送不良などによる手差し用紙の滞留、若しくは、ユーザによる手差しトレイ上の用紙の引き止め、若しくは、引き抜きを検知するというものであった。
【0051】
本実施例3は、実施例1と実施例2に記載した手法で異常を検知したタイミングが画像形成途中の場合は、画像形成を中止し、用紙がピックアップローラに到達する以前の場合は給紙を中止するというものである。本実施例の構成も実施例1と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0052】
図7は、本実施例の処理を説明するためのフローチャートである。この処理はCPU204によって行われる。
【0053】
なお、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングでマルチレジ前センサの用紙長検出結果を参照することにより、機械的要因などによる用紙滞留、若しくは、ユーザによる手差しトレイの用紙の引き止めを検知するところまでは、実施例1と2に記載したフローチャート(図1、図6)と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0054】
異常を検知したタイミングが次のカセット用紙の画像形成の前、若しくは、画像形成中であった場合(S400)、高圧バイアスを出力しない、または、画像マスクをかけるなどして画像形成を中止し(S401)、カセット用紙のピックアップ動作を中止する。また、異常を検知したタイミングが次のカセット用紙の画像形成後であり、かつ、次のカセット用紙のピックアップ前だった場合(S402)は、カセット用紙のピックアップを中止する。
【0055】
以上説明したように本実施例によれば、手差し用紙の異常を検知したタイミングに応じて画像形成中止処理とカセット給紙中止処理を行うことにより、不要な画像形成、用紙への不要な印字を防止することができ、ベルト汚れを防止し、かつ、無駄なトナー消費を防止することができるようになる。
【符号の説明】
【0056】
204 CPU
211 手差し用紙制御部
300 用紙滞留/用紙引き止め判断部
301 用紙引き抜き判断部
302 エラー報知処理部
303 用紙長比較部
304 マルチレジ前センサ用紙長検出部
305 レジセンサ用紙長検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセット給紙機構と手差し給紙機構を有する、カラー複写機等の画像形成装置に関し、特にその手差し給紙における異常状態の検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8で、画像形成装置としてのレーザープリンタ全体の構成について説明する。
なお、以下の説明では、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーション、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
【0003】
(画像形成部)
第1ステーションでは、1aは像担持体としての有機光導電体層を有する感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層などからなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低くほぼ絶縁性である。帯電手段として帯電ローラ2aが感光ドラム1aに当接され、感光ドラム1aの回転にともない、従動回転しなから感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧もしくは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面の当接ニップ部から上下流側の微小な空気ギャップで放電が発生することにより感光ドラム1aは帯電される。
【0004】
3aは、感光ドラム1a上の転写残トナーをクリーニングするクリーニングユニットである。現像手段としての現像ユニットは、現像ローラ4a、非磁性一成分現像剤5a、現像剤塗布ブレード7a、トナー収納部4aからなり、前述の1a〜8aは、画像形成装置から着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aを構成している。
【0005】
11aは露光手段であり、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニットまたはLEDアレイから構成され、画像信号にもとづいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2a、現像ローラ4a、一次転写ローラ81aのそれぞれは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電バイアス電源20a、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像バイアス電源21a、一次転写ローラ81aへの電圧供給手段である一次転写バイアス電源84aに接続されている。
【0006】
以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成をしており、同一の番号の後ろにb、c、dの枝符号を付けている。
【0007】
中間転写ベルト80は、その張架部材として二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト80は感光ドラム1a〜1dに対して順方向に略同速度で移動する。
また、中間転写ベルト80は、矢印方向に回転し、一次転写ローラ81aは中間転写ベルト80を挟んで感光ドラム1aと反対側に配置されている。
また、一次転写ローラ81aの中間転写ベルト80回転方向下流側には除電部材23aが配置されている。駆動ローラ14、テンションローラ15及び除電部材23a、二次転写対向ローラ86は電気的に接地されている。
【0008】
像担持体としての感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導電体層(OPC)を塗布して構成したものである。感光ドラム1はその両端部をフランジによって回転自在に支持しており、一方の端部に図示しない駆動モータから駆動力を伝達することにより、図に対して反時計回りに回転駆動される。
各帯電ローラ2は、ローラ状に形成された導電性のローラで、これを感光ドラム1表面に当接させると共に、図示しない電源によって帯電バイアス電圧を印加することにより、感光ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
露光手段11はポリゴンミラーを有し、このポリゴンミラーには図示しないレーザーダイオードから画像信号に対応する画像光が照射される。
【0009】
現像手段は、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナーを収納したトナー収納部8a〜8d、感光ドラム1表面に隣接し、図示しない駆動部により回転駆動されると共に、図示しない現像バイアス電源により現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う現像ローラ4a〜4d等から構成される。
また、中間転写ベルト80の内側には、4個の感光ドラム1a〜1dに対向して、中間転写ベルト80に当接する一次転写ローラ81a〜81dがそれぞれ併設されている。これら一次転写ローラ81a〜81dは一次転写バイアス電源84a〜84dで接続されている。そして、一次転写ローラ81a〜81dから正極性の電荷が中間転写ベルト80を介して感光ドラム1に接触中の中間転写ベルト80に付与され、感光ドラム1上の負極性の各色トナー像が順次中間転写ベルト80に転写され、多色画像が形成される。
【0010】
(シート搬送詳細)
給紙部である16、30より給送されたシートは、レジストローラ18によって二次転写部に搬送する。
中間転写ベルト80は、二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラで張架支持され、すべての感光ドラム1a〜1dに対向して配設されている。中間転写ベルト80は、感光ドラム1に対向する外周面にトナーを静電吸着させるべく、駆動ローラ14によって循環移動する。これにより中間転写ベルト80の外周に多色画像が形成され、ベルト上に形成された画像は二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部まで搬送される。
シートの搬送に際しては、前記二次転写ローラ82に電圧を印加することで、対向している設置された二次転写対向ローラ86に電界を形成し、中間転写ベルト80及びシートの間に誘電分極を発生させて両者に静電吸着力を生じさせるようになっている。
【0011】
(定着部)
定着手段19は、シート上に形成した画像に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させるものであり、図示しない定着ベルトと弾性加圧ローラとを有している。弾性加圧ローラは定着ベルトを挟み、図示しないベルトガイド部材と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部を形成している。
定着ニップ部が所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成部から搬送された未定着トナー画像が形成されたシートが、定着ニップ部の定着ベルトと弾性加圧ローラとの間に画像面が上向き、即ち定着ベルト面に対向して導入される。そして、定着ニップ部において画像面が定着ベルトの外面に密着して定着ベルトと一緒に定着ニップ部を挟持搬送されていく。
この定着ニップ部を定着ベルトと一緒にシートが挟持搬送されていく過程において、定着ベルトを介して加熱され、シート上の未定着トナー画像が加熱定着される。
【0012】
(システム構成)
図2は、実施例1のシステム構成を示すブロック図であるが、CPU204以外の構成は、従来例でも同じなので、図2を援用して従来例の画像形成装置のシステム構成を説明する。
コントローラ部201は、ホストコンピュータ200、エンジン制御部202と相互に通信が可能となっている。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像情報と印字条件を受け取る。コントローラ部201は、受け取った印字条件を基に、転写材毎の印字情報(給紙口、転写材サイズ、印字モード等を付加した印字動作の予約を行う印字予約コマンドをエンジン制御部202へ送信し、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換する。コントローラ部201は、画像情報の解析が終了した時点で、エンジン制御部202へ印字動作の開始を指示するための印字開始コマンドを送信する。エンジン制御部202は、印字開始コマンドを受信すると、第1ステーションに対するビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力し、給紙動作を開始し、給紙された転写材をレジストローラ18で一時待機させる。その後、中間転写ベルト80上に形成されたトナー画像が二次転写位置に到達するのに合わせて、レジストローラ18から転写材を再給紙する。
【0013】
なお、204はCPU、205はROM、206は画像処理GA、207は画像制御部、208は定着制御部、209は用紙制御部、210は駆動制御部、211は手差し用紙制御部である。
【0014】
ここで、従来技術として、手差し給紙機構を有する画像形成装置における給送部の動作について詳細に説明する。
【0015】
(給送部)
本体の給紙カセット16から画像形成する際には、ピックアップローラ17を駆動させるとともに、その動作に同期して、給紙カセット底板29が上昇し、給紙カセット16内に設置されたシートPを押し上げる。押し上げられたシートPの最上の一枚が、ピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、一枚ずつシートが分離給送され、レジストローラ18によって、二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部に搬送される。
【0016】
手差し給紙トレイ30から印字を行う場合について、図9と図10で説明する。なお、図9は、カセット給紙機構上部に手差し給紙機構を備える画像形成装置で手差し印字を行う様子を説明するもので、図8の一部を拡大した図である。また、図10は、手差し印字を行う様子を説明するフローチャートである。
【0017】
手差し給紙トレイから用紙を給紙して印字を行う場合、手差し給紙トレイに用紙がセットされていることを用紙有無センサ33で検知する(ステップ100参照(以下、S100のように略記する))。そして、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する(S101)(図9のa)。さらにマルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知してから所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する(S102)。次に、手差し給紙トレイ30からの印字命令が有った場合(S103)、手差し給紙トレイ30から搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達したところで、ピックアップローラ17を駆動させることによって給紙カセット底板29が上昇する。なお、給紙カセット16内にカセット用紙が設置されている場合は、給紙カセット16内に設置されたカセット用紙を押し上げることになる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げる。すると、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙が分離給送される(図9のb)。そして、レジストローラ18によって、二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部に搬送される(図9のc)。なお、前述の手差し用紙とは手差し給紙トレイ30にセットされた用紙を意味し、カセット用紙とはカセット16にセットされた用紙を意味する。
以下の特許文献1、2には、前述のような従来の技術に関連した技術が開示されている。
【0018】
また、特許文献3には、用紙を積載収納する給紙カセットの上面を覆うカバーを、手差し給紙用の用紙挿入・搬送路部材とし、給紙コロとで用紙を1枚ずつ分離搬送するコーナを給紙カセットに設け、給紙カセットから給紙される用紙とカバー体上に挿入される用紙との搬送路を共通にする技術が開示されている。
さらに、特許文献4には、手差し給紙機能を有する装置において、用紙サイズの不一致によるジャム発生時に、ユーザにその原因を認識させて、ユーザにサイズ変更を促す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9−86690号公報
【特許文献2】特開平11−165891号公報
【特許文献3】特開平8−208045号公報
【特許文献4】特開平11−292349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図11に示すような、給紙カセット機構と手差し給紙機構が共通の用紙搬送路を有し、かつ、給紙カセット機構から給紙される用紙と手差し給紙機構から給紙される用紙を他の用紙から分離する共通の機構を有する画像形成装置を前提としている。この構成を前提として、用紙の分離を行うためにピックアップローラ17が動作する時に給紙カセットの底板が上がる構成の画像形成装置の場合、以下のような問題が発生する。
【0021】
(用紙滞留動作)
図11のaに示すように、手差し給紙トレイ30上の手差し用紙に対して印字指示がなされて手差し用紙が搬送された際に、搬送不良等が発生して手差し用紙が手差し用紙搬送路の途中で止まってしまうことがある。このような場合、手差し用紙は搬送されないものの、図11のbに示すように、給紙カセット底板29が上昇する。次に図11のcに示すように、押し上げられたカセット用紙の最上の一枚がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、カセット用紙が給送され、転写、定着を経て印字動作が行われる。これはユーザが意図しないカセット用紙に印字を行ったことになる。このような状態を検知して、ユーザに通知する手段がない場合、ユーザは給紙カセットの用紙で印字を行ってしまったことを容易に知ることができない。
【0022】
(手差し用紙の用紙引き止め/引き抜き動作)
図11のbに示すように、手差し給紙トレイ30上の手差し用紙に対して印字指示がなされて手差し用紙が搬送された際に、ユーザが手差し用紙を持ったままの場合、若しくは、ユーザが手差し用紙を引き抜いてしまう場合が考えられる。このような場合、手差し用紙は搬送されないものの、給紙カセット底板29が上昇する。次に図11のcに示すように、押し上げられたカセット用紙の最上の一枚がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、カセット用紙が給送され、転写、定着を経て印字動作が行われる。これはユーザが意図しないカセット用紙に印字を行ったことになる。このような状態を検知して、ユーザに通知する手段がない場合、ユーザは給紙カセットの用紙で印字を行ってしまったことを容易に知ることができない。
【0023】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、手差し給紙機構から給紙する際に生じる複数の異常状態によってユーザが意図していない給紙カセットの用紙でプリントがされた場合に、それを検知してユーザに報知することができる画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記課題を解決するため、本発明では、画像形成装置を次の(1)のとおりに構成する。
【0025】
(1)カセット給紙機構と、手差し給紙機構と、前記カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構と、前記手差し給紙機構によって搬送された用紙を前記分離機構を用いて給送させる画像形成装置において、前記手差し給紙機構の搬送路において用紙を検出する第1の用紙検出手段と、前記カセット給紙機構と前記手差し給紙機構に共通の用紙搬送路において用紙を検出する第2の用紙検出手段と、前記第1の用紙検出手段の検出結果と前記第2の用紙検出手段の検出結果とにもとづいて手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段と、前記異常状態を報知する報知手段と、を備えた画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、手差し給紙機構から給紙の際に生じる異常状態によってユーザが意図していない用紙でプリントがされた場合に、それを検知してユーザに報知することができ、ユーザビリティを向上させることができる。
【0027】
また、本発明によれば、無駄な画像形成、用紙への無駄な印字を防止することができ、ベルト汚れを防止し、無駄なトナー消費を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1である画像形成装置の処理を示すフローチャート
【図2】実施例1のシステム構成を示すブロック図
【図3】正常な場合の印字動作を説明するタイミングチャート
【図4】用紙が引き抜かれた場合の印字動作を説明するタイミングチャート
【図5】実施例2に係る用紙が滞留した/用紙が引き止められた場合の印字動作を説明するタイミングチャート
【図6】実施例2における処理を示すフローチャート
【図7】実施例3における処理を示すフローチャート
【図8】従来例である手差し給紙機構を有する画像形成装置の機構を示す断面図
【図9】従来例の印字動作を説明する図
【図10】従来例の印字動作を説明するフローチャート
【図11】従来例の印字動作における問題点を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0030】
実施例1である“画像形成装置”について説明する。本実施例は、給紙カセット機構と手差し給紙機構が共通の用紙搬送路を有し、かつ、共通のピックアップローラで、給紙カセット機構から給紙される用紙と手差し給紙機構から給紙される用紙をピックアップし分離する機構を有する構成を前提としている。そして、用紙をピックアップする際に給紙カセットの底板が上がり、用紙を分離する機構を有する構成の画像形成装置において、手差しトレイからの印字開始命令後に、ユーザによって手差しトレイ上の手差し用紙が引き抜かれたことを検知し、報知するというものである。
【0031】
本実施例の全体構成、動作および給紙部の機構、動作は、従来例と同様なので、その説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0032】
図2は、本実施例の画像形成装置におけるシステム構成を示すブロック図である。通常の印字動作は先の従来例と同様であるため説明は省略する。
【0033】
エンジン制御部202のCPU204(請求項でいう、手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段に相当)は、マルチレジ前センサ101の検知結果から用紙長を算出するマルチレジ前センサ用紙長算出部304(請求項でいう、搬送中の手差し用紙の搬送方向の用紙長を検出する第1の用紙長検出手段に相当)と、レジセンサ102の検知結果から用紙長を算出するレジセンサ用紙長算出部305(請求項でいう、共通の用紙搬送路で搬送中の用紙の搬送方向の用紙長を検出する第2の用紙長検出手段に相当)と、前記マルチレジ前センサ用紙長算出部304と前記レジセンサ用紙長検出部305の結果を比較する用紙長比較部303と、前記用紙長比較部303の結果に応じて用紙滞留/用紙引き止めを検知する用紙滞留/用紙引き止め判断部300と、用紙引き抜きを検知する用紙引き抜き判断部301と、前記用紙滞留/用紙引き止め判断部300と前記用紙引き抜きを検知する用紙引き抜き判断部301の結果に応じてジャムやミスプリントなどの情報をユーザに報知するエラー報知処理部302とで構成されている。
【0034】
図3は、用紙引き抜き判断部301で“手差し用紙引き抜き無し”と判断する場合を説明するためのタイミングチャートである。
図4は、用紙引き抜き判断部301で“手差し用紙引き抜き有り”と判断する場合を説明するためのタイミングチャートである。
【0035】
以下、図3、図4の各タイミング(T1〜T6)について説明する。
手差し給紙トレイ30に用紙を置くと、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する。さらに、マルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知して(T1)から所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する。次に、手差しトレイに対する印字開始命令がきたタイミング(T2)で、手差し給紙トレイ30から搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達した時に、ピックアップローラ17を駆動させることによって、給紙カセット底板29が上昇し、給紙カセット16内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げ、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙が分離給送され、レジセンサ35まで手差し用紙の給送を行う(T3)。ここで再給紙タイミングがくるまでしばらくレジセンサ35の位置で待機する。
【0036】
次に中間転写ベルト80上の画像を用紙に二次転写するための再給紙タイミング(T4)がきて、しばらくするとマルチレジ前センサ34で立下りを検知し、マルチレジ前センサ34における用紙長が確定する(T5)。次に、レジセンサ35で立下りを検知し、レジセンサ35における用紙長が確定する(T6)。
ここで、本実施例で説明する用紙長は、マルチレジ前センサ34での用紙先端を基準にして、用紙後端がマルチレジ前センサ34を通過するまでの時間から算出された長さを便宜的に用紙長として定義している。具体的には、マルチレジ前センサ34で検出した用紙長とは、再給紙タイミングからマルチレジ前センサ34が立ち下がりを検出するまでの時間にプロセス速度をかけたものであり、次式で表される。
L1=(T5−T4)×プロセス速度
一方、レジセンサ35で検出した用紙長とは、再給紙タイミングからレジセンサ35が立ち下がりを検出するまでの時間にプロセス速度をかけたものからレジセンサ35とマルチレジ前センサ34の搬送距離を差し引いたものであり、次式で表される。
L2=((T6−T4)×プロセス速度)−(レジセンサとマルチレジ前センサの搬送距離)
L1とL2を比較し、用紙長が等しい場合、手差し用紙が正常に印字されたと判断する(図3を参照)。
また、L1とL2を比較し、用紙長が異なる場合、手差し用紙がユーザに引き抜かれたと判断する(図4を参照)。
【0037】
図1は、本実施例の処理を説明するためのフローチャートである。なお、この処理は、CPU204により行われる。
【0038】
手差し給紙トレイ30から用紙を給紙して印字を行う場合、手差し給紙トレイ30に用紙がセットされていることを用紙有無センサ33で検知すると(S200)、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する(S201)。さらにマルチレジ前センサ34(請求項でいう第1の用紙検出手段に相当)が手差し用紙の先端を検知してから所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラの直下まで搬送する(S202)。次に、手差しトレイからの印字命令が有った場合(S203)、手差し給紙トレイから搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラの直下に到達したところで、ピックアップローラを駆動させることによって、給紙カセットの底板が上昇し、給紙カセット内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板が、手差し給紙トレイから搬送した手差し用紙を押し上げ、手差し給紙トレイから搬送した手差し用紙がピックアップローラと当接し、ピックアップローラ17の回転により、一番上の用紙がピックアップされ他の用紙と分離給送される(請求項でいう、カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構に相当)。そしてレジセンサ35まで手差し用紙の給送を行う(S204)。レジセンサ35(請求項でいう、第2の用紙検出手段に相当)で待機し、再給紙タイミングになったら(S205)、マルチレジ前センサ34とレジセンサ35の用紙長検出用タイマをONする(S206)。しばらくして、マルチレジ前センサ34で立下り(用紙後端)を検出すると(S207)、マルチレジ前センサ34の用紙長検出用タイマをOFFする(S208)。次にレジセンサ35で立下り(用紙後端)を検出すると(S209)、レジセンサ35の用紙長検出用タイマをOFFする。レジセンサ35の立下りを検知できない場合、用紙が詰まったと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S211)。また、レジセンサ35で用紙後端を検知したタイミングで、マルチレジ前センサ34で検出した用紙長とレジセンサ35で検出した用紙長が等しいかどうかを判断する(S212)。それぞれのセンサで検出した用紙長が異なる場合は、ユーザにより手差しトレイ上の用紙が引き抜かれたと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S213)。そして、二次転写と定着を行い用紙を機外に排出する(S214)。
【0039】
以上説明したように、本実施例によれば、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングで、マルチレジ前センサとレジセンサの用紙長を比較することによって、ユーザによる手差しトレイの用紙の引き抜きを検知することができる。また、この時に手差し用紙のミスプリントを報知することで、ユーザに給紙カセットからの用紙で印字を行ったことを報知できるようになる。
【実施例2】
【0040】
実施例2である“画像形成装置”について説明する。
実施例1は、手差しトレイからの印字開始命令後に、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長検知を行い、その用紙長を比較することによって、ユーザによって手差しトレイ上の用紙が引き抜かれたことを検知し、報知するというものであった。
【0041】
これに対し、本実施例2は、実施例1と同様の構成において、手差しトレイからの印字開始命令後に、搬送ローラによる搬送不良などにより手差し用紙搬送路に用紙が滞留した、若しくは、ユーザによって手差しトレイ上の手差し用紙が引き止められたことを検知するものである。
【0042】
図5は、用紙滞留/用紙引き止め判断部300で“手差し用紙が滞留した、若しくは、ユーザにより引き止められた”と判断する場合を説明するためのタイミングチャートである。
【0043】
手差し給紙トレイ30に用紙を置くと、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する。さらに、マルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知して(T1)から所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する。次に、手差し給紙トレイ30に対する印字開始命令がきたタイミング(T2)で、手差し給紙トレイ30から搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達した時に、ピックアップローラ17を駆動させることによって、給紙カセット底板29が上昇する。そして、給紙カセット内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット16内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げる。そして、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙がピックアップされ他の用紙と分離給送され、レジセンサ35まで手差し用紙の給送を行う(T3)。次に中間転写ベルト80上の画像を用紙に二次転写するための再給紙タイミング(T4)がきて、しばらくするとマルチレジ前センサ34で立下りを検知し、マルチレジ前センサ34における用紙長が確定する(T5)。次に、レジセンサ35で立下りを検知し、レジセンサ35における用紙長が確定する(T6)。
マルチレジ前センサ34とレジセンサ35での用紙長算出方法は、実施例1に示した通りなのでここでの説明は省略する。
【0044】
L1とL2を比較し、用紙長が等しい場合、手差し用紙が正常に印字されたと判断する(図3を参照)。また、レジセンサにおける用紙長確定タイミング(T6)までに、マルチレジ前センサ34における用紙長が確定していない場合、手差し用紙が滞留した、若しくは、ユーザに引き止められたと判断する(図5を参照)。
【0045】
図6は、本実施例の処理を説明するためのフローチャートである。なお、この処理はCPU204により行われる。
手差し給紙トレイ30から用紙を給紙して印字を行う場合、手差し給紙トレイ30に用紙がセットされていることを用紙有無センサ33で検知すると(S300)、搬送ローラ31と搬送ローラ32によって手差し用紙を給送する(S301)。さらにマルチレジ前センサ34が手差し用紙の先端を検知してから所定時間または所定ステップ搬送を行うことで、手差し用紙をピックアップローラ17の直下まで搬送する(S302)。次に、手差し給紙トレイ30からの印字命令が有った場合(S303)、手差し給紙トレイから搬送された手差し用紙の先端がピックアップローラ17の直下に到達したところで、ピックアップローラ17を駆動させることによって、給紙カセット16の底板が上昇する。そして、給紙カセット内にカセット用紙が設置されていれば、給紙カセット内に設置されたカセット用紙を押し上げる。押し上げられたカセット用紙の最上の一枚、または給紙カセット底板29が、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙を押し上げる。そして、手差し給紙トレイ30から搬送した手差し用紙がピックアップローラ17と当接し、ピックアップローラ17の回転により、用紙がピックアップされ他の用紙と分離給送される。
【0046】
そしてレジセンサ35まで手差し用紙の給送を行い(S304)。レジセンサ35で待機し、再給紙タイミングになったら(S305)、マルチレジ前センサ34とレジセンサ35の用紙長検出用タイマをONする(S306)。しばらくして、マルチレジ前センサ34で立下り(用紙後端)を検出すると(S307)、マルチレジ前センサ34の用紙長検出用タイマをOFFする(S308)。マルチレジ前センサ34で立下りを検知できない場合、マルチレジ前センサ用紙検出用エラーフラグを立てる(S309)。次にレジセンサ35で立下り(用紙後端)を検出すると(S310)、レジセンサ35の用紙長検出用タイマをOFFする(S311)。レジセンサ35の立下りを検知できない場合、用紙が詰まったと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S312)。
【0047】
また、レジセンサ35で用紙後端を検知し、レジセンサ35における用紙長が確定したタイミングで、マルチレジ前センサ用紙検出用エラーフラグが立っているかどうかを判断する(S313)。エラーフラグが立っている場合、手差し用紙が滞留した、若しくは、ユーザにより手差し用紙が引き抜かれたと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S314)。
【0048】
エラーフラグが立っていない場合、マルチレジ前センサ34の用紙長とレジセンサ35の用紙長を比較し用紙長が異なるかどうかを判断する(S315)。用紙長が異なる場合、ユーザに手差し用紙が引き抜かれたと判断し、ジャム及びミスプリントを報知する(S316)。そして、二次転写と定着を行い用紙を機外に排出する(S317)。
【0049】
以上説明したように本実施例によれば、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングでマルチレジ前センサの用紙長検出結果を参照する。これにより、搬送ローラによる搬送不良などによる用紙滞留、若しくは、ユーザによる手差しトレイの用紙の引き止めを検知することができる。また、この時に手差し用紙のミスプリントを報知することで、ユーザに給紙カセットからの用紙で印字を行ったことを報知できるようになる。
【実施例3】
【0050】
実施例3である“画像形成装置”について説明する。
実施例1、実施例2では、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングで、各々の用紙長を比較した結果に応じて、搬送ローラによる搬送不良などによる手差し用紙の滞留、若しくは、ユーザによる手差しトレイ上の用紙の引き止め、若しくは、引き抜きを検知するというものであった。
【0051】
本実施例3は、実施例1と実施例2に記載した手法で異常を検知したタイミングが画像形成途中の場合は、画像形成を中止し、用紙がピックアップローラに到達する以前の場合は給紙を中止するというものである。本実施例の構成も実施例1と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0052】
図7は、本実施例の処理を説明するためのフローチャートである。この処理はCPU204によって行われる。
【0053】
なお、マルチレジ前センサとレジセンサで用紙長を検出し、レジセンサでの用紙長が確定したタイミングでマルチレジ前センサの用紙長検出結果を参照することにより、機械的要因などによる用紙滞留、若しくは、ユーザによる手差しトレイの用紙の引き止めを検知するところまでは、実施例1と2に記載したフローチャート(図1、図6)と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0054】
異常を検知したタイミングが次のカセット用紙の画像形成の前、若しくは、画像形成中であった場合(S400)、高圧バイアスを出力しない、または、画像マスクをかけるなどして画像形成を中止し(S401)、カセット用紙のピックアップ動作を中止する。また、異常を検知したタイミングが次のカセット用紙の画像形成後であり、かつ、次のカセット用紙のピックアップ前だった場合(S402)は、カセット用紙のピックアップを中止する。
【0055】
以上説明したように本実施例によれば、手差し用紙の異常を検知したタイミングに応じて画像形成中止処理とカセット給紙中止処理を行うことにより、不要な画像形成、用紙への不要な印字を防止することができ、ベルト汚れを防止し、かつ、無駄なトナー消費を防止することができるようになる。
【符号の説明】
【0056】
204 CPU
211 手差し用紙制御部
300 用紙滞留/用紙引き止め判断部
301 用紙引き抜き判断部
302 エラー報知処理部
303 用紙長比較部
304 マルチレジ前センサ用紙長検出部
305 レジセンサ用紙長検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット給紙機構と、手差し給紙機構と、前記カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構と、前記手差し給紙機構によって搬送された用紙を前記分離機構を用いて給送させる画像形成装置において、
前記手差し給紙機構の搬送路において用紙を検出する第1の用紙検出手段と、
前記カセット給紙機構と前記手差し給紙機構に共通の用紙搬送路において用紙を検出する第2の用紙検出手段と、
前記第1の用紙検出手段の検出結果と前記第2の用紙検出手段の検出結果とにもとづいて手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段と、
前記異常状態を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の用紙検出手段を用いて、搬送中の手差し用紙の搬送方向の用紙長を検出する第1の用紙長検出手段と、
前記第2の用紙検出手段を用いて、前記共通の用紙搬送路で搬送中の用紙の搬送方向の用紙長を検出する第2の用紙長検出手段と、
前記第1の用紙長検出手段と前記第2の用紙長検出手段で検出した用紙長を比較する用紙長比較手段と、を有し、
前記異常判別手段は、前記用紙長比較手段によって比較した結果にもとづいて、前記手差し給紙機構の用紙搬送路に搬送された用紙が引き抜かれたことを判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記異常判別手段は、前記手差し給紙機構から給紙を行い、前記第2の用紙長検出手段で用紙長が確定しない場合、用紙のジャムが発生したと判別することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常判別手段は、前記手差し給紙機構から給紙を行い、前記第2の用紙長検出手段で用紙長が確定した場合で、前記第1の用紙長検出手段で用紙長が確定していないときに、用紙の滞留もしくは用紙が引き止められたと判別することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記異常判別手段により異常を判別したタイミングが、画像形成途中の場合は画像形成を中止し、用紙をピックアップする以前の場合は給紙を中止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
カセット給紙機構と、手差し給紙機構と、前記カセット給紙機構から用紙を分離給送するための分離機構と、前記手差し給紙機構によって搬送された用紙を前記分離機構を用いて給送させる画像形成装置において、
前記手差し給紙機構の搬送路において用紙を検出する第1の用紙検出手段と、
前記カセット給紙機構と前記手差し給紙機構に共通の用紙搬送路において用紙を検出する第2の用紙検出手段と、
前記第1の用紙検出手段の検出結果と前記第2の用紙検出手段の検出結果とにもとづいて手差し給紙機構における複数の異常状態を判別する異常判別手段と、
前記異常状態を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の用紙検出手段を用いて、搬送中の手差し用紙の搬送方向の用紙長を検出する第1の用紙長検出手段と、
前記第2の用紙検出手段を用いて、前記共通の用紙搬送路で搬送中の用紙の搬送方向の用紙長を検出する第2の用紙長検出手段と、
前記第1の用紙長検出手段と前記第2の用紙長検出手段で検出した用紙長を比較する用紙長比較手段と、を有し、
前記異常判別手段は、前記用紙長比較手段によって比較した結果にもとづいて、前記手差し給紙機構の用紙搬送路に搬送された用紙が引き抜かれたことを判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記異常判別手段は、前記手差し給紙機構から給紙を行い、前記第2の用紙長検出手段で用紙長が確定しない場合、用紙のジャムが発生したと判別することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常判別手段は、前記手差し給紙機構から給紙を行い、前記第2の用紙長検出手段で用紙長が確定した場合で、前記第1の用紙長検出手段で用紙長が確定していないときに、用紙の滞留もしくは用紙が引き止められたと判別することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記異常判別手段により異常を判別したタイミングが、画像形成途中の場合は画像形成を中止し、用紙をピックアップする以前の場合は給紙を中止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−79152(P2013−79152A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22343(P2013−22343)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2008−108950(P2008−108950)の分割
【原出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2008−108950(P2008−108950)の分割
【原出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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