説明

画像投射ユニットおよび投射型画像表示装置

【課題】バックフォーカス長が異なる交換レンズの使用を可能にする、画像投射ユニットおよび投射型画像表示装置を提供する。
【解決手段】複数の色光を各々に変調する複数の液晶パネル13R、13G、13Bと、複数の液晶パネルにより変調された複数の色光を合成する色合成プリズム14と、色合成プリズムにより合成された色光を投射する交換レンズ30と、異なるバックフォーカス長を有する交換レンズを取付け自在なシフトユニット15と、シフトユニットに取付けられた交換レンズのバックフォーカス長に応じて、バックフォーカス長を補正する補正レンズ50を着脱自在に取付けるためのレンズホルダ16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投射ユニットおよび投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用環境に応じて投射レンズを交換して使用可能なレンズ交換式プロジェクタ(投射型画像表示装置)が知られている。
【0003】
この種のプロジェクタでは、パネル寸法、解像度、製品寸法、製品価格等に応じて最適な仕様が異なるので、交換レンズの取付け仕様および動作仕様(光学仕様、電気仕様等)が機種毎に異なる。例えば、取付け仕様は、交換レンズとの取付け手段に応じて決定され、光学仕様は、台形補正時の光学収差特性等に応じて決定され、電気仕様は、電動ズーム・フォーカスの駆動電圧等に応じて決定される。
【0004】
特に、この種のプロジェクタでは、所定のバックフォーカス長(交換レンズに収容された最後面のレンズ頂点から後側焦点までの長さ)を有する交換レンズの使用時に、最適な収差状態が得られるように光学仕様が決定されている。そして、最適な収差状態が得られていない場合には、交換レンズの光学性能が十分に発揮されず、投射画像が不鮮明となり、プロジェクタとしての使用に耐えなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、従来のプロジェクタでは、バックフォーカス長が異なる交換レンズを最適な収差状態で使用することができなかった。しかしながら、ユーザは、バックフォーカス長が異なる交換レンズを自らのプロジェクタに取付けて使用したいと欲する場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、バックフォーカス長が異なる交換レンズの使用を可能にする、画像投射ユニットおよび投射型画像表示装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある観点によれば、複数の色光を各々に変調する複数の画像表示素子と、複数の画像表示素子により変調された複数の色光を合成するプリズム型素子と、プリズム型素子により合成された色光を投射する交換レンズと、異なるバックフォーカス長を有する交換レンズを取付け自在な交換レンズ取付け部と、交換レンズ取付け部に取付けられた交換レンズのバックフォーカス長に応じて、バックフォーカス長を補正する補正レンズを着脱自在に取付けるための補正レンズ取付け部とを備える画像投射ユニットが提供される。
【0008】
かかる構成によれば、画像投射ユニットでは、異なるバックフォーカス長を有する交換レンズが取付け自在となり、取付けられた交換レンズのバックフォーカス長に応じて、バックフォーカス長を補正する補正レンズが着脱自在に取付けられる。これにより、画像投射ユニットの光学仕様に応じて、最適な収差状態が得られるように補正レンズを着脱することで、バックフォーカス長が異なる交換レンズを使用することができる。
【0009】
上記画像投射ユニットは、交換レンズを光軸に直交する方向に平行移動させるためのレンズ移動部をさらに備え、上記レンズ移動部には、交換レンズ取付け部および補正レンズ取付け部が設けられてもよい。
【0010】
上記補正レンズ取付け部は、プリズム型素子の出射面と交換レンズの入射面の間に設けられてもよい。
【0011】
上記補正レンズ取付け部の前面には、交換レンズが装着されていない状態で、補正レンズの手動による取付けまたは取外しを自在とする開口が設けられてもよい。
【0012】
上記補正レンズは、平板レンズ、球面レンズ、または非球面レンズでもよい。
【0013】
また、本発明の別の観点によれば、前述した画像投射ユニットと、照明光を複数の色光に分解して複数の画像表示素子に照射する照明光学系とを備える投射型画像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、バックフォーカス長が異なる交換レンズの使用を可能にする、画像投射ユニットおよび投射型画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの構成を示す図である。
【図2】プロジェクタ本体に対する交換レンズの取付け方法を示す模式図である。
【図3】レンズホルダに対する補正レンズの取付け手順を示す斜視図である。
【図4】補正レンズ取付け前のシフトユニットを示す斜視図である。
【図5】補正レンズ取付け後のシフトユニットを示す斜視図である。
【図6】図5に示す6−6線沿いの断面を示す断面図である。
【図7】A型交換レンズ取付け後のシフトユニットを示す斜視図である。
【図8】図7に示す7−7断面を示す断面図である。
【図9】C型交換レンズ取付け後のシフトユニットを示す斜視図である。
【図10】図9に示す10−10線沿いの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
[1.プロジェクタ1の構成]
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1(投射型画像表示装置)の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、プロジェクタ1は、光源11(ランプ111、リフレクタ112)、照明光学系12、3枚の液晶パネル13R、13G、13B(画像表示素子)、色合成プリズム14(プリズム型素子)、およびシフトユニット15(レンズ移動部)からなるプロジェクタ本体10を有する。また、プロジェクタ1は、プロジェクタ本体10に直接またはレンズアダプタ40(以下、アダプタ40とも称する。)を介して取付けられる交換レンズ30と、プロジェクタ本体10にレンズホルダ16(補正レンズ取付け部)を介して取付けられる補正レンズ50を有する。
【0019】
ここで、シフトユニット15は、単独またはアダプタ40と組合されて交換レンズ取付け部として機能する。なお、交換レンズ30、アダプタ40、補正レンズ50は、各々に後述する各種の交換レンズ30A、30B、30C、アダプタ40B、40C、補正レンズ50A、50Bの総称である。
【0020】
プロジェクタ1では、光源11から発する白色光が照明集光されて3枚の液晶パネル13R、13G、13Bに入射する。白色光は、照明光学レンズ121により集光された後、照明光学系12内の色分解素子により赤、緑、青の3色光に分解され、分解された3色光は、対応する液晶パネル13R、13G、13Bに入射する。
【0021】
色分解素子は、第1および第2のダイクロイックミラー122、123と、第1〜第3の折返しミラー124〜126を有する。第1のダイクロイックミラー122では、赤色光が透過し、緑色光および青色光が反射する。第2のダイクロイックミラー123では、第1のダイクロイックミラーで反射した青色光が透過し、緑色光が反射して液晶パネル13Gに入射する。第1の折返しミラー124では、第1のダイクロイックミラー122を透過した赤色光が反射して液晶パネル13Rに入射する。第2および第3の折返しミラー125,126では、第2のダイクロイックミラー123を透過した青色光が反射して液晶パネル13Bに入射する。
【0022】
3枚の液晶パネル13R、13G、13Bは、電気信号として印加された映像信号に基づき入射光を空間変調する。液晶パネル13R、13G、13Bからの出射光は、色合成プリズム14により合成されて交換レンズ30に入射する。そして、交換レンズ30により液晶パネル13R、13G、13Bの像が合成されて投射出力され、スクリーン等に投射される。
【0023】
交換レンズ30は、色合成プリズム14の出射側に配置されたシフトユニット15を介して、プロジェクタ本体10に取付けられる。シフトユニット15は、交換レンズ30を光軸に直交する方向にシフトするための機構を有する。シフトユニット15には、交換レンズ30の取付け仕様に応じて、直接または対応するアダプタ40を介して交換レンズ30を取付けることができる。また、シフトユニット15には、交換レンズ30の光学仕様に応じて、レンズホルダ16を介して補正レンズ50を取付けることができる。
【0024】
ここで、補正レンズ50は、所定のバックフォーカス長(標準バックフォーカス長)以外のバックフォーカス長を有する交換レンズ30の使用時に、最適な収差状態を得るために取付けられる。なお、補正レンズ50としては、平板レンズ、球面レンズ、および非球面レンズのいずれが適用されてもよい。
【0025】
交換レンズ30またはアダプタ40にはコネクタ31、41が設けられ、シフトユニット15にはコネクタ31、41に対応するソケット151が設けられている。コネクタ31、41は、交換レンズ30の動作仕様を示す識別情報をプロジェクタ本体10に伝達するために用いられる。また、コネクタ31、41は、電動ズーム・フォーカス機能を有する交換レンズ30の駆動モータ32に駆動電源を供給するために用いられる場合もある。
【0026】
さらに、プロジェクタ1は、識別情報検出部17、電源供給部18、操作部19、表示部20、および制御部21を有する。識別情報検出部17は、コネクタ31、41を通じて交換レンズ30の識別情報を検出する。電源供給部18は、電動ズーム・フォーカス機能を有する交換レンズ30の駆動モータ32に、コネクタ31、41を通じて駆動電源を供給する。操作部19は、ボタン等の操作子からなり、ユーザからの操作入力を受け付ける。表示部20は、表示パネルやスクリーン上に操作メニュー等を表示する。制御部21は、例えば、CPU、ROM、RAM等からなり、プログラムの実行を通じてプロジェクタ1全体の動作を制御する。制御部21は、交換レンズ30の識別情報が示す動作仕様に従って、プロジェクタ1全体の動作を制御する。
【0027】
[2.交換レンズ30の取付け方法]
つぎに、図2を参照しながら、プロジェクタ本体10に対する交換レンズ30の取付け方法について説明する。
【0028】
図2には、交換レンズ30の取付け方法が模式的に示されている。図2に示すように、交換レンズ30は、型式に応じて取付け仕様を異にしている。このため、交換レンズ30は、取付け仕様に応じて直接またはアダプタ40を介して、プロジェクタ本体10(シフトユニット15)に取付けられる。
【0029】
例えば、A型交換レンズ30Aは、シフトユニット15に適合する取付け仕様を有しているので、シフトユニット15の前面側に直接取付けられる。また、B型、C型の交換レンズ30B、30Cは、シフトユニット15に適合する取付け仕様を有していないので、各々にB型、C型のアダプタ40B、40Cを介してシフトユニット15の前面側に取付けられる。
【0030】
また、交換レンズ30は、型式に応じて動作仕様(光学仕様、電気仕様)を異にしている。このため、交換レンズ30は、交換レンズ30の動作仕様を示す識別情報をプロジェクタ本体10に伝達する。そして、プロジェクタ本体10では、交換レンズ30の動作仕様に基づいて、制御部21がプロジェクタ1全体の動作を制御する。
【0031】
例えば、A型交換レンズ30Aでは、交換レンズ30A自体に設けられたコネクタ31がシフトユニット15のソケット151に接続されて識別情報が伝達される。B型、C型の交換レンズ30B、30Cでは、交換レンズ30B、30Cに取付けられるB型、C型のアダプタ40B、40Cに設けられたコネクタ41がシフトユニット15のソケット151に接続されて識別情報が伝達される。B型、C型のアダプタ40B、40Cには、B型、C型の交換レンズ30B、30Cの識別情報が保持されている。コネクタ31、41は、交換レンズ30の取付け状態の検知、交換レンズ30の型式の検知、駆動電源の供給、交換レンズ30を制御するための信号伝送等に用いられる。
【0032】
ここで、交換レンズ30は、型式に応じてバックフォーカス長を異にしている。一方、プロジェクタ本体10は、標準バックフォーカス長を有する交換レンズ30の使用時に、最適な収差状態が得られるように光学仕様が決定されている。このため、交換レンズ30は、バックフォーカス長に応じて補正レンズ50の着脱を伴って、プロジェクタ本体10(シフトユニット15)に取付けられる。
【0033】
例えば、標準バックフォーカス長を有するC型交換レンズ30Cの使用時には、C型交換レンズ30Cがシフトユニット15の前面側に取付けられる。一方、標準バックフォーカス長とは異なるバックフォーカス長を有するA型、B型の交換レンズ30A、30Bの使用時には、A型、B型の交換レンズ30A、30Bがシフトユニット15の前面側に取付けられるとともに、対応する補正レンズ50A、50Bがシフトユニット15の後面側に取付けられる。
【0034】
ここで、A型、B型の交換レンズ30A、30Bに各々に対応する補正レンズ50A、50Bは、各交換レンズ30A、50Bのバックフォーカス長を標準バックフォーカス長に補正するように取付けられる。標準バックフォーカス長は、交換レンズ30に収容された最後面のレンズ頂点から後側焦点までの長さとして定義される。なお、図2では、交換レンズ30に収容されたレンズの中、最後面のレンズのみが示されている。
【0035】
[3.取付け方法の具体例]
図4〜図10には、シフトユニット15に対する交換レンズ30の取付け方法の具体例が示されている。図3には、レンズホルダ16に対する補正レンズ50の取付け手順が示されている。また、図4および図5には、補正レンズ50取付け前後のシフトユニット15が各々に示されている。
【0036】
(補正レンズ50)
図3に示すように、補正レンズ50は、レンズリング51に固定されている。レンズリング51には、補正レンズ50を固定するための円形開口511が中央に設けられ、レンズリング51をレンズホルダ16に取付けるためのフランジ512が周縁に設けられている。フランジ512は、円弧状の前面片512aと、突起状の後面片512bからなり、4つの前面片512aと4つの後面片512bがフランジ512の前後方向(紙面奥行き方向)で所定の段差をなして交互に形成されている。また、レンズリング51には、後面片512bの1つを示す第1のマーク513が付されている。
【0037】
レンズホルダ16は、略リング状の取付け部材161と、取付け部材161の上半周縁に突設した略半円アーチ状の固定部材162からなる。取付け部材161には、レンズリング51を介して補正レンズ50を取付けるための開口163が中央に設けられている。固定部材162には、固定ネジを挿通するための3つのネジ孔164が設けられている。
【0038】
開口163の周縁は、フランジ512と略同一の半径を有する第1の円弧部165aと、フランジ512を除いたレンズリング51と略同一の半径を有する第2の円弧部165bからなり、4つの第1の円弧部165aと4つの第2の円弧部165bが交互に形成されている。開口163の周縁部は、レンズリング51の前面片512aと後面片512bの間に形成された段差に相当する部材厚で形成されている。また、取付け部材161には、第1の円弧部165aの1つを示す第2のマーク166と、第2のマーク166から開口163に沿って所定の離間距離の位置を示す第3のマーク167が付されている。
【0039】
補正レンズ50の取付けに際して、第1のマーク513が第2のマーク166と重なるように、レンズリング51がレンズホルダ16の開口163に配置され、4つの後面片512bが4つの第1の円弧部165aに係合される。そして、第1のマーク513が第3のマーク167と重なるように、レンズリング51が周方向(図3に示す例では時計回り)に回転される。ここで、レンズリング51が回転された状態では、レンズホルダ16の4つの第2の円弧部165bがレンズリング51の対応する前面片512aと後面片512bの間に挟持された状態で、レンズホルダ16に対してレンズリング51が取付けられる。これにより、工具を用いることなく容易に、補正レンズ50をレンズホルダ16に取付けることができる。
【0040】
(シフトユニット15)
図4には、レンズホルダ16が後面側に取付けられた状態のシフトユニット15が示されている。図4に示すように、シフトユニット15は、プロジェクタ本体10の前面に固定される固定フレーム152と、固定フレーム152に対してスライド自在に支持されたシフトフレーム153と、シフトフレーム153に固定されて交換レンズ30を支持するための支持フレーム154と、シフトフレーム153をシフトさせるシフト機構155からなる。
【0041】
固定フレーム152には、交換レンズ30を挿通するための開口であり、後面側に取付けられるレンズホルダ16により覆われる開口152aが中央に設けられ、固定ネジを挿通するためのネジ孔152bが4つのコーナ(図中には2つが示されている。)に設けられている。シフトフレーム153には、交換レンズ30を挿通するための開口153aが中央に設けられている。支持フレーム154には、交換レンズ30を挿通するための円形開口154aが中央に設けられ、取付けネジを挿通するためのネジ孔154bが4つのコーナに設けられ、交換レンズ30またはアダプタ40のコネクタ31、41が接続されるソケット151が一端に設けられている。シフト機構155には、モータ155a、ギヤ155b、送りネジ155c等からなる駆動機構が設けられている。
【0042】
シフトユニット15では、3つの開口152a、153a、154aに挿通された交換レンズ30が取付けネジを介して支持フレーム154に取付けられる。そして、固定フレーム152に対してシフトフレーム153をシフトさせることで、交換レンズ30が光軸に直交して垂直方向(図面に対して上下方向)にシフトされ、支持フレーム154をシフトさせることで水平方向(図面に対して左右方向)にシフトされる。シフト機構155では、例えば、制御部21から供給される制御信号に応じて駆動機構を制御することで、シフトフレーム153がシフトされる。
【0043】
図5には、レンズホルダ16を介して補正レンズ50が取付けられた状態のシフトユニット15が示されている。図4に示したように、シフトユニット15の前面側には、交換レンズ30を挿通するための2つの開口153a、154aが設けられている。ここで、開口153a、154aは、ユーザが手に把持したレンズリング51を挿通可能な程度の寸法を有している。このため、ユーザは、交換レンズ30の取付けに際して、レンズリング51に固定された補正レンズ50を、開口153a、154aを通じてレンズホルダ16の前面側に配置し、図3で説明した手順に従ってレンズホルダ16に対して脱着自在に取付けることができる。
【0044】
図6には、図5に示した6−6線沿いの断面が示されている。図6に示すように、色合成プリズム14の出射側(図6中では左側)には、シフトユニット15が配置され、シフトユニット15の後面側(図6中では右側)には、レンズホルダ16が取付けられている。シフトユニット15には、色合成プリズム14の側から順に、固定フレーム152、シフトフレーム153、支持フレーム154が配置されている。なお、図6中には、交換レンズ30が二点鎖線で示されている。図6に示すように、色合成プリズム14の出射面と交換レンズ30の入射面の間に補正レンズ50を配置することで、交換レンズ30に収容された最後面のレンズ(不図示)の頂点と色合成プリズム14の出射面の間の光学距離が標準バックフォーカス長に補正される。
【0045】
(交換レンズ30の取付け例)
図7〜図10には、交換レンズ30の取付け例として、A型、C型の交換レンズ30A、30Cの取付け状態が示されている。
【0046】
まず、図7には、A型交換レンズ30A取付け後のシフトユニット15が示され、図8には、図7に示した8−8線(光軸)沿いの断面が示されている。なお、図8では、レンズ鏡筒33内の詳細が省略されている。
【0047】
図7および図8に示すように、A型交換レンズ30Aは、レンズ鏡筒33と、レンズ鏡筒33をシフトユニット15に取付けるための取付けフレーム34からなる。レンズ鏡筒33には、1以上のレンズ(不図示)が収容され、レンズカバー331が先端に設けられ、マウント332が後端に設けられ、固定フレーム333を介して駆動モータ32が周辺に固定されている。取付けフレーム34には、取付けネジを挿通するためのネジ孔341が4つ(図中には3つが示されている。)のコーナに設けられ、レンズ鏡筒33を挿通するための開口342が中央に設けられている。
【0048】
また、取付けフレーム34には、基板(不図示)を保持する保持板351が一端に設けられている。保持板351には、コネクタ31を実装した基板(不図示)が設けられ、基板には、A型交換レンズ30Aに応じた回路パターンが形成されている。
【0049】
ここで、A型交換レンズ30Aは、前述したように、シフトユニット15に適合する取付け仕様を有しているので、アダプタ40を介さずにシフトユニット15の前面側に直接取付けられる。シフトユニット15への取付けに際しては、シフトユニット15の3つの開口152a、153a、154aにレンズ鏡筒33が挿通される。そして、A型交換レンズ30Aの取付けフレーム34および支持フレーム154のネジ孔341、154bに取付けネジが挿通される。また、A型交換レンズ30Aのコネクタ31がシフトユニット15のソケット151に接続される。
【0050】
A型交換レンズ30Aのコネクタ31がソケット151に接続されると、A型交換レンズ30Aの識別情報が識別情報検出部17により検出され、制御部21は、交換レンズ30Aの装着および型式を認識する。そして、制御部21は、識別情報が示す光学仕様に従ってプロジェクタ1全体を制御する。また、制御部21は、識別情報からA型交換レンズ30Aが電動ズーム・フォーカス機能を有するかを判定し、該当する場合、電動ズーム・フォーカスを行うためのメニュー等を表示部20に表示する。そして、電動ズーム・フォーカスの実行が指示されると、識別情報が示す電気仕様に従って12V駆動電圧で駆動モータ32を駆動制御する。なお、駆動電圧は、コネクタ31を通じて電源供給部18から供給され、モータハーネス(不図示)を通じて駆動モータ32に伝達される。
【0051】
ここで、A型交換レンズ30Aは、前述したように、標準バックフォーカス長とは異なるバックフォーカス長を有している。このため、図8に示すように、シフトユニット15には、A型交換レンズ30Aが前面側に取付けられ、A型交換レンズ30Aに対応する補正レンズ50Aがレンズホルダ16を介して後面側に取付けられる。これにより、補正レンズ50Aにより光学距離を補正することで、標準バックフォーカス長とは異なるバックフォーカス長を有するA型交換レンズ30Aを最適な収差状態で使用することができる。
【0052】
つぎに、図9には、C型交換レンズ30C取付け後のシフトユニット15が示され、図10には、図9に示した10−10線(光軸)沿いの断面が示されている。なお、図10では、レンズ鏡筒33内の詳細が省略されている。
【0053】
図9および図10に示すように、C型交換レンズ30Cは、レンズ鏡筒33と、レンズ鏡筒33を他のプロジェクタに取付けるための取付けフレーム34からなる。レンズ鏡筒33には、1以上のレンズ(不図示)が収容され、レンズカバー331が先端に設けられ、マウント332が後端に設けられている。取付けフレーム34には、取付けネジを挿通するためのネジ孔(不図示)が設けられている。
【0054】
C型アダプタ40Cは、C型交換レンズ30Cが取付けられる取付け筒42と、シフトユニット15に取付けられる取付けフレーム43と、基板(不図示)を保持する保持板441からなる。取付け筒42および取付けフレーム43は、C型交換レンズ30Cの取付けに適した形状に形成されている。
【0055】
取付け筒42は、半円アーチ筒状の下部材421および半円アーチ帯状の上部材422からなり、下部材421と上部材422の間にレンズ鏡筒33が配置され、取付けネジを挿通するためのネジ孔(不図示)が下部材421のアーチの基端に設けられている。取付けフレーム43は、方形平板状の部材であり、レンズ鏡筒33を挿通するための円形開口431が中央に設けられ、取付けネジを挿通するためのネジ孔432が4つのコーナ(図中では3つが示されている。)に設けられている。取付け筒42は、取付けフレーム43の円形開口431の全周縁に沿って上部アーチおよび下部アーチをなすように取付けフレーム43に突設される。
【0056】
保持板441は、取付けフレーム43の前面の一端から突設した支持板(不図示)に支持される。保持板441には、コネクタ41およびモータハーネス用のソケット152を実装した基板(不図示)が設けられ、基板には、C型交換レンズ30Cに応じた回路パターンが形成されている。
【0057】
ここで、C型交換レンズ30Cは、シフトユニット15とは異なる取付け仕様を有しているので、C型アダプタ40Cを介してシフトユニット15に取付けられる。C型交換レンズ30Cは、取付けフレーム43の開口431にレンズ鏡筒33を挿通した状態で、C型交換レンズ30Cの取付けフレーム34のネジ孔(不図示)および取付け筒32のネジ孔(不図示)に取付けネジを挿通することで、C型アダプタ40Cに取付けられる。
【0058】
C型交換レンズ30Cは、C型アダプタ40Cに取付けられた状態でシフトユニット15に取付けられる。シフトユニット15への取付けに際しては、シフトユニット15の3つの開口152a、153a、154aにレンズ鏡筒33が挿通される。そして、C型アダプタ40Cの取付けフレーム43およびシフトユニット15の支持フレーム154のネジ孔432、154bに取付けネジが挿通される。
【0059】
また、C型アダプタ40Cのコネクタ41がシフトユニット15のソケット151に接続される。さらに、C型アダプタ40Cのソケット151と、C型交換レンズ30Cの駆動モータ32に設けられたソケット(不図示)がモータハーネス用のコネクタ(不図示)により接続される。これにより、C型アダプタ40Cを介して、取付け仕様および動作仕様の異なるC型交換レンズ30Cをシフトユニット15に取付けることができる。
【0060】
C型アダプタ40Cのコネクタ41がソケット151に接続されると、C型交換レンズ30Cの識別情報が識別情報検出部17により検出され、制御部21は、交換レンズ30Cの装着および型式を認識する。そして、制御部21は、識別情報が示す光学仕様に従ってプロジェクタ1全体を制御する。また、制御部21は、C型交換レンズ30Cが電動ズーム・フォーカス機能を有していないので、電動ズーム・フォーカスを行うためのメニュー等を表示部20に表示しない。そして、制御部21は、駆動モータ32の駆動制御を行わない。
【0061】
ここで、C型交換レンズ30Cは、前述したように、標準バックフォーカス長を有している。このため、図10に示すように、シフトユニット15には、C型交換レンズ30Cが前面側に取付けられるが、補正レンズ50が後面側に取付けられない。これにより、標準バックフォーカス長を有するC型交換レンズ30Cを最適な収差状態で使用することができる。
【0062】
なお、B型交換レンズ30Bは、シフトユニット15とは異なる取付け仕様を有しているので、C型交換レンズ30Cと同様に、B型アダプタ40Bを介してシフトユニット15に取付けられる。また、B型アダプタ40Bのコネクタ41がシフトユニット15のソケット151に接続され、B型アダプタ40Bのソケット152と、B型交換レンズ30Bの駆動モータ32に設けられたソケット(不図示)がモータハーネス用のコネクタ(不図示)により接続される。
【0063】
さらに、B型交換レンズ30Bは、前述したように、標準バックフォーカス長とは異なるバックフォーカス長を有している。このため、シフトユニット15には、A型交換レンズ30Aと同様に、B型交換レンズ30Bが前面側に取付けられ、B型交換レンズ30Bに対応する補正レンズ50Bがレンズホルダ16を介して後面側に取付けられる。これにより、補正レンズ50Bにより光学距離を補正することで、標準バックフォーカス長とは異なるバックフォーカス長を有するB型交換レンズ30Bを最適な収差状態で使用することができる。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1によれば、異なるバックフォーカス長を有する交換レンズ30が取付け自在となり、取付けられた交換レンズ30のバックフォーカス長を補正する補正レンズ50が着脱自在に取付けられる。これにより、画像投射ユニットの光学仕様に応じて、最適な収差状態が得られるように補正レンズ50を着脱することで、バックフォーカス長が異なる交換レンズ30を使用することができる。
【0065】
そして、バックフォーカス長が異なる発売済みの交換レンズ30に対応して補正レンズ50を準備したり、新規に発売される交換レンズ30とともに対応する補正レンズ50を準備したりすることで、プロジェクタ1の継続的な使用を可能にすることができる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0067】
1 プロジェクタ
10 プロジェクタ本体
11 光源
12 照明光学系
13R、13G、13B 液晶パネル
14 色合成プリズム
15 シフトユニット
16 レンズホルダ
17 識別情報検出部
18 電源供給部
19 操作部
20 表示部
21 制御部
30、30A、30B、30C 交換レンズ
31、41 コネクタ
32 駆動モータ
40、40B、40C レンズアダプタ
50、50A、50B 補正レンズ
51 レンズリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色光を各々に変調する複数の画像表示素子と、
前記複数の画像表示素子により変調された前記複数の色光を合成するプリズム型素子と、
前記プリズム型素子により合成された色光を投射する交換レンズと、
異なるバックフォーカス長を有する前記交換レンズを取付け自在な交換レンズ取付け部と、
前記交換レンズ取付け部に取付けられた前記交換レンズのバックフォーカス長に応じて、前記バックフォーカス長を補正する補正レンズを着脱自在に取付けるための補正レンズ取付け部と
を備える画像投射ユニット。
【請求項2】
前記交換レンズを光軸に直交する方向に平行移動させるためのレンズ移動部をさらに備え、
前記レンズ移動部には、前記交換レンズ取付け部および前記補正レンズ取付け部が設けられている、請求項1に記載の画像投射ユニット。
【請求項3】
前記補正レンズ取付け部は、前記プリズム型素子の出射面と前記交換レンズの入射面の間に設けられている、請求項1または2に記載の画像投射ユニット。
【請求項4】
前記補正レンズ取付け部の前面には、前記交換レンズが装着されていない状態で、前記補正レンズの手動による取付けまたは取外しを自在とする開口が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像投射ユニット。
【請求項5】
前記補正レンズは、平板レンズ、球面レンズ、または非球面レンズである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像投射ユニット。
【請求項6】
上記請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像投射ユニットと、
照明光を前記複数の色光に分解して前記複数の画像表示素子に照射する照明光学系と
を備える投射型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−158657(P2011−158657A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19422(P2010−19422)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】