画像投影装置
【課題】投影画像の色の変化を抑えながら効果的に消費電力を低減させること。
【解決手段】異なる色の照明光を発生する複数のLED2a,2b,2cを有する光源ユニット2と、入力される映像信号に基づいて、光源ユニット2から射出された照明光を変調する透過型液晶表示パネル4と、光源ユニット2の各LED2a,2b,2cを駆動制御する制御装置10とを備え、制御装置10が、LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、LED2a,2b,2cの駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードとを有し、一または複数のフレームに対応する映像信号から表示画像の特徴量を検出し、該特徴量に基づいて第1制御モード及び第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードにてLED2a,2b,2cの駆動制御を行う画像投影装置を提供する。
【解決手段】異なる色の照明光を発生する複数のLED2a,2b,2cを有する光源ユニット2と、入力される映像信号に基づいて、光源ユニット2から射出された照明光を変調する透過型液晶表示パネル4と、光源ユニット2の各LED2a,2b,2cを駆動制御する制御装置10とを備え、制御装置10が、LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、LED2a,2b,2cの駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードとを有し、一または複数のフレームに対応する映像信号から表示画像の特徴量を検出し、該特徴量に基づいて第1制御モード及び第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードにてLED2a,2b,2cの駆動制御を行う画像投影装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタなどの画像投影装置において、投影画像の明るさを調整する方法として、光源に印加する駆動電流の大きさを制御する方法と、光源にパルス状の駆動電流を印加し、そのデューティ比を制御する方法とが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−70443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、光源としてLED(発光ダイオード)を使用する場合、LEDの駆動電流を増減させることで光量を調整しようとすると、発光色の色味が変わってしまい、投影画像の色合いが変化するという不都合があった。
また、光源に印加する駆動電流のデューティ比を制御することにより光量を調整する場合には、駆動電流を増減させる方法に比べて、消費電力を効果的に低減できないという不都合があった。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、投影画像の色の変化を抑えながら効果的に消費電力を低減させることのできる画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記光源の駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、前記光源の駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードとを有し、一または複数のフレームに対応する前記映像信号から表示画像の特徴量を検出し、該特徴量に基づいて前記第1制御モード及び前記第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードにて前記光源の駆動制御を行う画像投影装置を提供する。
【0006】
このような構成によれば、光源ユニットから射出された異なる色の照明光は、光変調手段に導かれ、映像信号に基づく光変調がされることにより、表示画像が重畳される。この場合において、光源ユニットの各光源は、映像信号の特徴量に応じた制御モード、具体的には、光源の駆動電流の大きさを可変制御することで光量調整を行う第1制御モード、及び、光源の駆動電流のデューティ比を可変制御することで光量調整を行う第2制御モードのいずれか一方、或いは、両方を組み合わせた制御モードによって駆動制御されることとなる。したがって、表示画像の特徴量に応じた適切な制御モードにより、各光源の光量を調整することが可能となる。
【0007】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記特徴量を検出し、前記照明光の色毎に制御モードの選択を行うこととしてもよい。
【0008】
このような構成によれば、色毎に表示画像の特徴量が検出され、この特徴量に応じて各色の光源が該特徴量に応じて選択された制御モードにて駆動制御されるので、色毎に適切な制御モードに従って光量を調整することができる。
【0009】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記表示画像の特徴量として輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に前記第2制御モードを選択し、該輝度が所定の値未満である場合に前記第1制御モードを選択することとしてもよい。
【0010】
このような構成によれば、表示画像の輝度が明るく、色調の変化がわかりやすい場合には、駆動電流の大きさを可変させない第2制御モードを選択するので、色調の変化を回避することができる。また、表示画像の輝度が暗く、色調の変化がわかりにくい場合には、第2制御モードを選択することにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力の低減を図ることができる。
【0011】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記画像の輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に、当該色に対応する前記光源を第2制御モードで駆動制御し、該輝度が所定の値未満である場合に、当該色に対応する前記光源を第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。
【0012】
このような構成によれば、色毎に表示画像の輝度を検出し、この輝度が所定の値以上か否かによって各色に対応する光源の制御モードを選択するので、より細やかな光源の駆動制御を行うことができる。
【0013】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記画像の特徴量として色成分の偏りを検出し、該色成分の偏りに応じて、制御モードの選択を行うこととしてもよい。
【0014】
このように、画像の特徴量として色成分の偏りを検出し、この色成分の偏りに応じて制御モードの選択を行うので、光源の駆動制御に色成分の偏りを反映させることができる。例えば、色調変化が顕著に出てしまうような色成分の偏りをもつ画像を表示する場合には、各光源を第2制御モードで駆動制御することにより、消費電力の低減よりも色調を重視する。一方、色調変化があまり顕著に生じないような色成分の偏りをもつ画像を表示する場合には、各光源を第1制御モードで駆動制御することにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力を効果的に低減させる。
【0015】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記表示画像の色成分として、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の照明光の色または所定の値よりも多く含む場合に、少なくとも当該色に対応する前記光源を前記第2制御モードで駆動制御することとしてもよい。
【0016】
このような構成によれば、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の色または所定の値よりも多く含む画像を表示させる場合には、少なくともこの色に対応する光源については、駆動電流の増減を伴わない第2制御モードを選択することにより、色調の変化を防止することができる。また、この場合において、上記他の色に対応する光源については、第1制御モードを選択することにより、消費電力の低減を図ることができる。
また、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の色または所定の値よりも少なく含む画像を表示させる場合には、全ての光源を第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。これにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力を効果的に低減させることができる。
【0017】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記画像における色数を検出し、該色数に応じて、制御モードの選択を行うこととしてもよい。
【0018】
このように、画像の特徴量として色数を検出し、この色数に応じて制御モードの選択を行うので、光源の駆動制御に色数を反映させることができる。例えば、色調変化が顕著に出てしまうような色数の画像を表示する場合には、各光源を第2制御モードで駆動制御することにより、消費電力の低減よりも色調を重視する。一方、色調変化があまり顕著に生じないような色数の画像を表示する場合には、各光源を第1制御モードで駆動制御することにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力の更なる低減を図ることができる。
【0019】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記画像における色数が所定数より少ない場合は、全ての前記光源を第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。
【0020】
このような構成によれば、例えば、プレゼンテーション用の画像のように、表示画像における色数が所定数よりも少ない場合には、色の変化による視覚的な影響が少ないことから、第1制御モードを採用することにより、消費電力を効果的に低減させることができる。
【0021】
本発明は、異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、各前記光源に印加する駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、各前記光源に印加する駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードとを有し、駆動電流の大きさの変化による色の変化が所定値よりも大きい前記光源を前記第2制御モードで駆動制御し、該色の変化が所定値以下である前記光源を前記第1制御モードで駆動制御する画像投影装置を提供する。
【0022】
駆動電流の増減による色調変化が大きい色に対応する光源については、駆動電流を増減させる第1制御モードを採用してしまうと、色調に変化が生じてしまう。従って、このような光源については、第2制御モードにより駆動制御することにより、光量調整を行う。これにより、駆動電流の増減に伴う色調変化を抑制することができる。これに対し、駆動電流の増減による色調変化が小さい色に対応する光源については、第1制御モードにより駆動制御を行うことで、光量調整を行う。これにより、色の変化を抑えながら、消費電力を低下させることが可能となる。
例えば、上記光源としてLEDを採用した場合には、赤色の照明光を射出するLED、青色の照明光を射出するLEDについては、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも小さいため、第1制御モードにより光量の調整を行う。また、緑色の照明光を射出するLEDについては、駆動電流の増減による色調変化が上記他の光源に比べて大きいため、第2制御モードにより光量の調整を行う。
また、上述した態様は、可能な範囲で組み合わせて利用することができるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像投影装置によれば、投影画像の色の変化を抑えながら効果的に消費電力を低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る画像投影装置について、図を参照して説明する。
本実施形態に係る画像投影装置1は、図1に示されるように、光源ユニット2と、光源ユニット2から射出された照明光を導く導光ユニット3と、導光ユニット3により導かれた照明光を変調する透過型液晶表示パネル(光変調手段)4と、該透過型液晶表示パネル4により変調された照明光をスクリーンSに対して投影する投影光学ユニット5とを備えている。なお、説明の簡略のため、偏光板等は図示を省略している。
【0025】
光源ユニット2は、異なる色の照明光を射出する複数の光源及び各光源から射出された照明光を共通の光路に導く色合成素子6を有している。
本実施形態では、上記光源として、赤色の照明光を射出するLED2a、緑色の照明光を射出するLED2b、及び青色の照明光を射出するLED2cを備えている。
導光ユニット3は、平行度等を適切に調整するテーパロッド等の各種光学系を有している。
【0026】
このような構成を備える画像投影装置においては、LED2a,2b,2cは、時分割で順次点灯され、その照明光は色合成素子6により共通する導光ユニット3に導かれ、この導光ユニット3により透過型液晶表示パネル4に導かれる。透過型液晶表示パネル4を透過することにより表示画像が重畳された照明光は、投影光学ユニット5によって拡大されてスクリーンSに投影される。これにより、スクリーンSには、表示画像が投影される。
【0027】
この場合において、透過型液晶表示パネル4は、各LED2a,2b,2cの点灯タイミングと同期して、駆動制御される。具体的には、LED2aが発光している期間においては、赤色の映像信号に基づいて、また、LED2bが発光している期間においては緑色の映像信号に基づいて、LED2cが発光している期間においては、青色の映像信号に基づいて透過型液晶表示パネル4が駆動制御される。各LED2a,2b,2cの発光周期は非常に短く設定されていることから、観察者には白色の照明光が照射されているのと略同様の視覚的効果を与えることができる。
【0028】
上記LED2a,2b,2c及び透過型液晶表示パネル4は、制御装置(制御手段)10により制御される。
制御装置10は、画像処理回路11、パネル駆動回路12、CPU13、及び光源駆動回路14を主な構成要素として備えている。
【0029】
画像処理回路11には、映像信号が入力されるようになっている。画像処理回路11は、入力された映像信号に対して、補間処理、階調補正処理等の公知の画像処理を行うとともに、1フレームに対応する映像信号に基づいて表示画像の特徴量を検出する。
例えば、画像処理回路11は、図2に示すように、γ補正回路15、特徴量検出回路16、及びゲイン調整回路17を主な構成要素として備えている。γ補正回路15は、映像信号に対してγ補正を行うことにより、リニアな映像信号を生成する。特徴量検出回路16は、γ補正回路15から入力される1フレームに対応する映像信号に基づいて表示画像の特徴量を検出し、検出した特徴量をCPU13に出力するとともに、ゲイン調整回路17に該特徴量及び映像信号を出力する。
例えば、特徴量検出回路16は、1フレームに対応する映像信号から各色の輝度に関する特徴量、具体的には、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxを検出し、これら最大階調値Rmax,Gmax,BmaxをCPU13に出力するとともに、これら最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxと映像信号とをゲイン調整回路17に出力する。
【0030】
ゲイン調整回路17は、赤色、緑色、青色の各光量のレベル調整を行い、調整後の映像信号をパネル駆動回路12に出力し、調整状態をCPU13に出力する。具体的には、ゲイン調整回路17は、特徴量検出回路16から表示画像における各色の最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが入力されると、この最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが画像投影装置の最大表示階調値(例えば、255)となるように映像信号の各画素の階調値を補正し、この補正後の映像信号をパネル駆動回路12に出力する。例えば、画像投影装置の最大表示階調値が255であった場合、ゲイン調整回路17は、図3に示すように、映像信号の各画素の階調値に255/Rmaxをかけることにより、パネル透過率に関する映像信号を補正し、補正後の映像信号をパネル駆動回路12に出力する。
【0031】
また、ゲイン調整回路17は、パネル駆動回路12に出力する映像信号の階調値を高めに補正した値をCPU13に出力する。具体的には、上述のように、各画素の階調値に255/Rmaxをかけた場合には、この係数255/RmaxをCPU13に出力する。CPU13は、この係数の逆数Rmax/255を各色の光量に乗ずることにより光量を補正する。
このように、透過型液晶表示パネル4の透過率を増加させる一方で、この増加に対応する分、光量を低下させるので、最終的にスクリーンに表示される投影画像の輝度を変えることなく、各LED2a,2b,2cの発光量を効果的に低減させることが可能となる。これにより、消費電力を低減させることができる。なお、上述は赤色に関して一例を挙げて説明したが、緑色、青色についても同様である。
【0032】
図1に戻り、パネル駆動回路12は、画像処理回路11からの映像信号の階調値に基づいて透過型液晶表示パネル4の透過率を画素毎に変化させる。これにより、透過型液晶パネル4の各画素の透過率は映像信号に応じて調整され、この結果、上述のように、透過型液晶表示パネル4に入射された照明光には、映像信号に基づく表示画像が重畳されることとなる。
【0033】
また、CPU13は、画像処理回路11からの特徴量並びに映像信号に基づいて、各LED2a,2b,2cを駆動制御するための制御信号をそれぞれ生成し、生成した制御信号を光源駆動回路14に出力する。具体的には、CPU13は、各LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさをそれぞれ可変制御することにより、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する第1制御モードと、各LED2a,2b,2cの駆動電流のデューティ比をそれぞれ制御することにより、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する第2制御モードとを備えている。
そして、CPU13は、特徴量に応じて上記第1制御モード及び第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードに基づいて各LED2a,2b,2cに対する制御信号をそれぞれ生成し、これらを光源駆動回路14に出力する。
【0034】
光源駆動回路14は、CPU13からの各制御信号に基づいて駆動電流を各LED2a,2b,2cに対して印加する。これにより、LED2a,2b,2cの発光量が映像信号に基づいて制御される。
【0035】
また、CPU13には、ユーザI/F18からのモード指示信号、電源回路19からの電源信号が入力されるようになっている。ユーザI/F18は、ユーザによりモード指定がされた場合に、指定されたモードに対応する信号をモード指示信号としてCPU13に出力する。電源回路19は、ACアダプタ(図示略)から電力が供給されている状態であるか、または、バッテリ(図示略)から電力が供給されている状態であるかを判別し、この判別結果を電源信号としてCPU13に出力する。
【0036】
次に、上記第1制御モード及び第2制御モードについて詳しく説明する。
第1制御モードは、図5に示すように、各LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさを増減させることにより、各LED2a,2b,2cの光量を調整する制御モードである。図5において、最大電流Imaxは、例えば、通常時において各LED2a,2b,2cに印加可能な最大値に設定されている。なお、この最大電流Imaxは、各LED2a,2b,2cに対して個別に設定可能な値である。
このように、第1制御モードでは、各LED2a,2b,2cに印加する駆動電流の大きさを変化させることで、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する。
【0037】
第2制御モードは、図6に示すように、各LED2a,2b,2cの駆動電流のデューティ比を可変制御することにより、各LED2a,2b,2cの光量を調整する制御モードである。図6に示すように、第2制御モードでは、各LED2a,2b,2cに印加する駆動電流の大きさは変えずに、例えば、最大電流Imaxで一定とし、電流印加時間を調整することで、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する。
【0038】
ここで、図7に、各LED2a,2b,2cの駆動電流に対する光量及び消費電力の一般的な特性を示す。
図7において、横軸は相対的な駆動電流、縦軸は、相対的な光量または消費電力をそれぞれ示している。
図7に示されるように、各LED2a,2b,2cの光量は駆動電流がある程度大きくなると飽和する傾向にある。また、各LED2a,2b,2cの消費電力は、駆動電流の増加に伴い増加するが、その増加幅ΔPは印加電流が増加するほど徐々に大きくなる(図7において、ΔP1<ΔP2)。これは、駆動電流の増加に伴いLED2a,2b,2cの順方向効果電圧がわずかに増加するためである。
【0039】
このような特性を有することから、例えば、LED2a,2b,2cの光量を低下させる場合には、デューティ比を変えるのではなく、駆動電流の大きさを減少させると、消費電力が効果的に低減できることがわかる。例えば、図7において、LED2bを例に挙げて説明すると、光量を相対値4から2へ低減させる場合、駆動電流を約9から約2.7に低下することとなり、また、このときの消費電力は約20から約4まで低下することとなる。このことから、光量を50%低下させる場合、駆動電流にして約70%減少、消費電力にして約83%低下させることが可能となる。これに対し、パルス駆動においてデューティ比を1/2に低減させても、消費電力は50%にしかならない。
このことから、第1制御モードは、第2制御モードに比べて、消費電力を効果的に低減させることができる。
【0040】
次に、図8は、各LED2a,2b,2cからの赤、緑、青の光による色表現域をxy色調図上に示した図である。各LED2a,2b,2cの駆動電流が小さいときは、図中破線で示されるように広い色表現域を有するが、各LED2a,2b,2cの駆動電流が大きくなると、赤、緑、青の色調がそれぞれ図中実線で示されるように変化し、色表現域が狭くなる傾向にある。また、この図からわかるように、特に、緑色の照明光を射出するLED2bにおいては、駆動電流の増減によって照明光の色調が大きく変化することがわかる。これに対し、赤色の照明光を射出するLED2a、青色の照明光を射出するLED2cに関しては、駆動電流の増減による色調変化は小さく、駆動電流による影響をほとんど受けていない。
【0041】
このことから、図5に示したように、LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードは、消費電力の低減効果は高いが、その一方で、図8に示すように、緑色の照明光の色調が変化するという特性を有する。
【0042】
従って、本実施形態に係る画像投影装置では、上記点に着眼して、色変化を抑制しながら、消費電力を効果的に低減させるべく、以下のような光源制御を行うこととしている。
【0043】
まず、制御装置10の画像処理回路11に映像信号が入力されると、図2に示したγ補正回路15により映像信号にγ補正が行われ、続いて、特徴量検出回路16による特徴量の検出処理が行われる。具体的には、特徴量検出回路16は、1フレームに対応する映像信号から表示画像の明るさに関する特徴量、例えば、各色の最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxを検出し、これら最大階調値Rmax,Gmax,BmaxをCPU13に出力するとともに、これら最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxと映像信号とをゲイン調整回路17に出力する。
【0044】
ゲイン調整回路17は、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxに基づいて各色の映像信号のレベル調整を行うことにより、パネル透過率に関する映像信号と光量に関する映像信号とを生成し、パネル透過率に関する映像信号をパネル駆動回路12に出力するとともに、光量に関する映像信号をCPU13に出力する。
【0045】
CPU13は、最大階調値Rmax,Gmax,Bmax及び光量を補正する値が入力されると、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが予め設定されている閾値以上であるか否かを判定し、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが閾値以上であると判断した色に対応するLEDに関しては、第2制御モードによる制御を選択し、また、最大階調値が閾値未満であると判断した色に対応するLEDに関しては第1制御モードを選択する。
【0046】
例えば、赤色の最大階調値Rmaxが最大値(例えば、255)であった場合には、図9のaに示すように、CPU13は、LED2aに対して1フレームの期間、最大電流Irmaxを印加するような制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。
【0047】
また、赤色の最大階調値Rmaxが最大値未満かつ閾値以上であった場合には、図9のbに示すように、CPU13は、LED2aに対して、最大階調値Rmaxに応じたデューティ比をもつパルス状の制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。ここで、最大階調値Rmaxが大きいほど、電流印加時間は長く設定される。なお、パルス駆動周期は、設計事項により最適な値を選択することが可能である。
【0048】
また、赤色の最大階調値Rmaxが閾値未満であった場合には、CPU13は、図9のcに示すように、CPU13は、LED2aに対して、所定のデューティ比であり、かつ、最大階調値Rmaxに応じた電流のパルス状の制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。ここで、所定のデューティ比は、最大階調値Rmaxが閾値と一致したときのデューティ比を採用している。
なお、CPU13は、図9のcに示したように、パルス状の波形において電流値を増減させるのではなく、図5に示したように、最大階調値Rmaxに対応する電流を1フレーム期間にわたって連続して印加するような制御信号を生成することとしてもよい。
CPU13は、LED2b,2cに関しても同様に制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。
【0049】
光源駆動回路14は、このようにして生成された制御信号を受け付けると、各制御信号に基づく駆動電流を各LED2a,2b,2cに印加する。
これにより、各色のLED2a,2b,2cが最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxに応じた光量にて順次発光し、各照明光は色合成部6、導光ユニット7を介して透過型液晶表示パネル4に導かれ、映像信号に基づく光変調が施された後、投影光学ユニット5によりスクリーンSに投影されることとなる。これにより、スクリーンS上に投影画像が表示される。
【0050】
以上説明してきたように、本実施形態に係る画像投影装置によれば、1フレームに対応する映像信号から表示画像の輝度に関する特徴量を検出し、この検出結果に基づいて制御モードを選択するので、表示画像の明るさに応じた最適な制御モードにて各LED2a,2b,2cをそれぞれ駆動制御することが可能となる。
具体的には、表示画像の輝度が明るく、色調の変化が顕著に現れる場合には、駆動電流の大きさを可変させない第2制御モードを選択することにより、消費電力の低減よりも色調を重視する。
また、表示画像の輝度が暗く、色調の変化がわかりにくい場合には、第1制御モードを選択することにより、色調の変化よりも消費電力の低減を重視する。
これにより、各フレーム画像の特徴に応じた光量調整が可能となり、色調の変化を抑制しながら効果的に消費電力を低減させることができる。
また、本実施形態に係る画像投影装置によれば、色毎に表示画像の輝度を検出し、各LED2a,2b,2cをそれぞれ輝度に応じた制御モードで駆動制御するので、全てのLED2a,2b,2cを同じ制御モードにて駆動制御する場合に比べて、細やかな駆動制御を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態において、CPU13が用いる上記閾値は、色毎に個別に設定されていることが好ましい。例えば、図8に示したように、赤色及び青色に関しては、駆動電流の増減による色調変化が小さいため、上記閾値を高めに設定することにより、消費電力を効果的に低減させることのできる第1制御モードを積極的に採用することとし、また、緑色に関しては、駆動電流の増減による色調変化が他の色に比べて大きいため、上記閾値を他の色に比べて低めに設定することにより、色調の変化と消費電力の低下とのバランスの調整を行う。これにより、消費電力を更に効果的に低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態においては、1フレームに対応する映像信号から最大階調値を検出し、1フレーム周期で制御モードの切替が可能な構成としていたが、これに代えて、複数フレームに対応する映像信号から最大階調値を検出することにより、複数フレームの周期で制御モードの切り替えが可能な構成としてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、映像信号に基づいて形成される表示画像の各色の最大階調値を検出し、この最大階調値が閾値以上であるか否かによって採用する制御モードを決めていたが、これに代えて、表示画像における平均階調値を色毎に求め、この平均階調値が閾値以上である場合に第2制御モード(図6参照)を採用し、平均階調値が閾値未満である場合に第1制御モード(図5参照)、或いは、第2制御モードと第1制御モードとの組み合わせによる制御モード(図9のc参照)を採用することとしてもよい。
【0054】
また、上記表示画像が明るいか否かを判断する場合、上記方法に代えて、表示画像において階調値が閾値以上の画素を色毎に検出し、検出した画素の数が予め設定されている基準画素数以上である場合に、第2制御モード(図6参照)を採用し、該画素の数が基準画素数未満である場合に、第1制御モード(図5参照)、或いは、第2制御モードと第1制御モードとの組み合わせによる制御モード(図9のc参照)を採用することとしてもよい。
【0055】
また、表示画像が明るいか暗いかを判定するための方法については、上述した方法に限られない。要は、表示画像が明るいか否かを判断するための判断基準を適宜設定し、この判断基準に基づいて表示画像が明るいと判断した場合には、色調の変化を伴わない第2制御モードを採用し、表示画像が暗いと判断した場合には、色調の変化を伴うが消費電力の低減効果の高い第1制御モード、または、第2制御モードと第1制御モードとの組み合わせによる制御モードを採用すればよい。
【0056】
また、本実施形態においては、色毎に最大輝度値を検出し、この最大輝度値に基づいて各LED2a,2b,2cの制御モードを選択することとしたが、これに代えて、赤、緑、青を含めた表示画像の全体の明るさに応じて全てのLED2a,2b,2cを同じ制御モードで制御することとしてもよい。
表示画像が明るいか否かの判断方法については、任意に決定することが可能であるが、例えば、1フレームにおける映像信号から所定値以上の階調値を持つ画素を抽出し、この画素数が予め設定されている基準画素数以上であった場合には、表示画像が明るいと判断して全てのLED2a,2b,2cを第2制御モードで駆動制御し、また、上記画素数が基準画素数未満であった場合には、表示画像が暗いと判断して全てのLED2a,2b,2cを第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。また、1フレームにおける平均階調値を求め、この平均階調値が閾値以上であるか否かにより表示画像が明るいか否かを判断することとしてもよい。
【0057】
また、本実施形態において、CPU13がユーザI/F18からモード指定信号を受け付けた場合には、ユーザにより指定された制御モードを優先して採用することとしてもよい。例えば、CPU13が、第1制御モードを指定する旨の信号をユーザI/F18から受け付けた場合には、第1制御モードによって各LED2a,2b,2cを駆動制御する。このように、ユーザが所望する制御モードを優先的に採用することにより、LED2a,2b,2cの駆動制御にユーザの意思を反映させることができる。
また、上記ユーザによる制御モードの選択は、色毎に可能な構成としてもよい。これにより、ユーザの意思をより詳細に反映させることができる。また、制御モードだけでなく、例えば、表示画面が明るいか暗いかを判断するときの判断基準、例えば、上記閾値や基準画素数についてもユーザが設定可能な構成としてもよい。
【0058】
また、本実施形態において、CPU13は、電源回路19からの電源信号に基づいて制御モードを切り替えることとしてもよい。例えば、ACアダプタから電力が供給されている状態を示す電源信号が入力されている期間においては、消費可能な電力に制限がないため、CPU13は、第2制御モードを採用することにより、消費電力よりも色調を重視する。一方、バッテリから電力が供給されている状態を示す電源信号が入力されている期間においては、使用可能な電力が制限されているため、CPU13は、第1制御モード、或いは、上述した第1制御モードと第2制御モードの組合せからなる制御モードを採用することにより、色調変化を許容しながら消費電力の低減効果を高める。このように、電源の供給状態に応じて、制御モードを切り替えることとしてもよい。また、バッテリから電力が供給されている場合において、バッテリの残容量に応じて制御モードを切り替えることとしてもよい。
なお、上述した各態様は、可能な範囲で組み合わせて適用することが可能である。
【0059】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像投影装置について説明する。
本実施形態に係る画像投影装置においては、駆動電流の増減による色調変化が小さい色、即ち、赤色及び青色に関しては、第1制御モードを採用し、駆動電流の増減による色調変化が大きい色、即ち、緑色に関しては、第2制御モードを採用する。
このように、本実施形態における画像投影装置によれば、色毎に制御モードを使い分けるので、画像処理回路11及びCPU13における処理負担を大幅に低減させることができる。
【0060】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像投影装置について説明する。
本実施形態に係る画像投影装置は、映像信号に基づいて形成される表示画像の色成分の偏りに応じて制御モードの選択を行う点で、上述した第1の実施形態に係る画像投影装置と異なる。
以下、本実施形態に係る画像投影装置について、第1の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0061】
図10及び図11は、映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、図10は、花の画像の例であり、図11は夕日の画像の一例である。
図10は、RGBの3原色で囲まれる三角形の色表現範囲に画素の色調プロットが広がっていることから、この表示画像には様々な色成分が含まれていることがわかる。これに対し、図11では、RGBの3原色で囲まれる三角形の色表現範囲に画素の色調プロットがRの原色に近い範囲に偏っていることから、この表示画像にはG(緑)やB(青)の原色に近い成分がほとんど含まれていないことがわかる。
【0062】
本実施形態に係る画像投影装置の制御装置10は、特徴量抽出回路16において1フレームに対応する映像信号から表示画像の色調の偏りを検出し、この検出結果に基づいてCPU13が採用する制御モードを決定する。ここで、各画素の色調は、公知の手法によって、例えば、映像信号における各画素のRGB信号レベルと、RGB原色の各3刺激値XYZのマトリクスとを用いてマトリクス演算処理を行うことで容易に求めることができる。
CPU13は、色調の偏りがない場合には、第2制御モードを採用することにより、駆動電流の大きさの変化による色の変化を抑える。また、CPU13は、色調の偏りがある場合には、多く含まれている色(例えば、図11に示される表示画像では、赤色)について第2制御モードを採用することにより駆動電流の大きさの変化による色の変化を抑え、一方、ほとんど含まれていない色(例えば、図11においては、緑色、青色)については、第1制御モードを採用することにより、消費電力を効果的に低減させる。
【0063】
以上説明してきたように、本実施形態に係る画像投影装置によれば、映像信号に基づいて形成される表示画像の色の偏りに基づいて制御モードを選択するので、投影画像の色調変化を許容範囲に抑えながら効果的に消費電力を低減させることができる。
なお、本実施形態において、電流の大きさにより色の影響を受けない赤色、青色については、上記色調の偏りにかかわらず常に第1制御モードを採用し、電流の大きさの変化によって色が変化しやすい緑色に関してのみ、上記色調の偏りに応じて制御モードを選択することとしてもよい。このように、LED2a,2cについては、常に第1制御モードを採用することにより、消費電力を更に低減させることができる。
【0064】
また、本実施形態において、図12に示すように、色調図上のプロットが直線的に並んでいる場合には、色調の変化に気づきにくいため、各LED2a,2b,2cを第1制御モードで制御することとしてもよい。例えば、プレゼンテーション画像のように、同じ色で表された画素が多い画像の場合には、映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準としてxy空間にプロットすると、図12に示すように、プロットが直線的に表れる傾向が強く、図10、図11に示した自然画に比べて、色調を表す点の数(色数)が少ない。このような場合には、色調の変化が気にならないと判断して、消費電力を効果的に低減できる第1制御モードを採用するとよい。
【0065】
〔第1の変形例〕
なお、上記各実施形態においては、光源ユニット2が、互いに異なる色の照明光を射出する3つのLED2a,2b,2cを有していたが、これに代えて、図13に示すように、同色の照明光を射出する複数のLEDを同一面上にアレイ状に配置したLED群2a´,2b´,2c´を用いることとしてもよい。この場合において、各LEDの光量制御方法は、上述と同様である。
【0066】
〔第2の変形例〕
また、上記各実施形態に係る光源ユニット2に代えて、図14乃至図16に示すような光源ユニット2´としてもよい。図14は光源ユニット2´を照明光の射出端側からみたときの平面図、図15は光源ユニット2´の縦断面図、図16は光源ユニット2´が備える回転ロッド20の回転状態及び光の伝達効率を説明するための図である。
図14及び図15に示すように、光源ユニット2´において、複数のLED2a、複数のLED2b、複数のLED2cが同一円周上に配置されている。この配列の中心には、当該配列中心軸周りに回転可能な回転ロッド20が設けられている。
この回転ロッド20の自由端には、各LEDから射出された照明光を取り込むための入射端20aが設けられており、同一円周上に配列された各LED2a,2b,2cの点灯タイミングに同期して、回転ロッド20が配列中心軸回りに回転させられることにより、回転ロッド20の入射端20aに対向するLED2a,2b,2cから発せられた照明光が入射端20aから回転ロッド20内に取り込まれ、この回転ロッド20を介して固定ロッド23の入射端に導かれるようになっている。
【0067】
このような光源ユニット2´においては、全てのLED2a,2b,2cを点灯したときの照明光の合成光が所望の色(例えば、白色)になるように各LED2a,2b,2cの最大駆動電流を決定する。例えば、図17に示すように、LED2aの最大駆動電流Irmax,LED2bの最大駆動電流Igmax,LED2cの最大駆動電流Ibmaxは、以下のように設定される。
Ibmax<Irmax<Igmax
そして、駆動電流の増減による色調変化が大きい緑色に関しては、図18に示されるように、第2制御モードが採用され、駆動電流の増減による色調変化が小さい赤色、青色に関しては、第1制御モードを採用することにより、消費電力低減の向上を図る。
【0068】
なお、表示画像の緑色にかかる輝度が、予め設定されている閾値(例えば、一のLED2bを完全に消灯状態としたときのLED2b全体で得られる光量に対応する輝度)以下であった場合には、図19に示すように、一のLED2bを完全に消灯状態とし、他のLED2bを輝度に応じたデューティ比で制御することとしてもよい。
【0069】
なお、上記光源ユニット2´において、回転ロッド20をLED2a,2b,2cの配列中心軸周りに回転させる場合、図16に示すように、回転ロッド20の回転角θが変化すると、回転ロッド20の射出端20bと、該射出端20bに対向配置された固定ロッド23の入射端23aとの結合状態が変化し、光の伝達効率が変動する。回転ロッド20の射出端20bと固定ロッド23の入射端23aとは同一形状であり、例えば、四角に形成されている。ここで、両者の四辺が一致する状態のときの回転ロッド20の回転角を0°とした場合、図20に示すように、光の伝達効率は、回転角0°と90°のときに最大値をとり、回転角45°及び135°の時に最小値をとる正弦波として表される。このように、光の伝達効率は回転角θによる周期的な変化を示すので、光量を低減させる場合には、光の伝達効率の低い位置に配置されたLED2a,2b,2cから優先的に光量を低減させることが好ましい。このように、光量調整を行うことにより、同じ明るさを得る場合でも、消費電力を効率的に低減させることができる。
【0070】
〔第3の変形例〕
また、上述した各実施形態においては、各LED2a,2b,2cから射出された照明光を共通する導光ユニット3を介して共通する透過型液晶表示パネル4に導いていたが、これに変えて、図21に示すように、LED2a,2b,2cのそれぞれに対して、導光ユニット3a,3b,3c、及び透過型液晶表示パネル4a,4b,4cを設けることとしてもよい。この場合、透過型液晶表示パネル4a,4b,4cを透過した各照明光は、同一の光合成素子8に導かれ、ここで合成された後、投影光学ユニット5に導かれるようになっている。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した各実施形態において、透過型液晶表示パネル4に代えて、反射型液晶表示パネル、或いは、DMD(Digital Micro Mirror)を採用することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像投影装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示した画像処理装置の内部概略構成を示したブロック図である。
【図3】図2に示したゲイン調整回路の作用を説明するための図である。
【図4】図2に示したゲイン調整回路の作用を説明するための図である。
【図5】第1制御モードの説明をするための図である。
【図6】第2制御モードの説明をするための図である。
【図7】LEDの駆動電流−光量特性及び駆動電流−消費電力特性を示した図である。
【図8】駆動電流を増減させたときの色調の変化を示した図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像投影装置の光量制御を説明するための図である。
【図10】映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、花の画像の例を示した図である。
【図11】映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、夕日の画像の一例を示した図である。
【図12】映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、プレゼンテーションの画像の一例を示した図である。
【図13】図1に示した光源ユニットの第1の変形例を示した図である。
【図14】図1に示した光源ユニットの第2の変形例を示した図であり、光源ユニットを照明光の射出端側からみたときの平面図である。
【図15】図14に示した光源ユニットの縦断面図である。
【図16】図14に示した光源ユニットが備える回転ロッドの回転状態及び光の伝達効率を説明するための図である。
【図17】第2の変形例に係る光源ユニットが備える各色のLEDの駆動電流の最大電流値の大小関係を示した図である。
【図18】第2の変形例に係る光源ユニットが備える各色のLEDの光量制御の一例を示した図である。
【図19】第2の変形例に係る光源ユニットが備える各色のLEDの光量制御の一例を示した図である。
【図20】第2の変形例に係る回転ロッドの角度と光の伝達効率との関係を示した図である。
【図21】第3の変形例に係る画像投影装置の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
1 画像投影装置
2 光源ユニット
2a,2b,2c LED
3 導光ユニット
4 透過型液晶表示パネル
6 光合成素子
10 制御装置
11 画像処理回路
12 パネル駆動回路
13 CPU
14 光源駆動回路
18 ユーザI/F
19 電源回路
S スクリーン
【技術分野】
【0001】
本発明は画像投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタなどの画像投影装置において、投影画像の明るさを調整する方法として、光源に印加する駆動電流の大きさを制御する方法と、光源にパルス状の駆動電流を印加し、そのデューティ比を制御する方法とが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−70443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、光源としてLED(発光ダイオード)を使用する場合、LEDの駆動電流を増減させることで光量を調整しようとすると、発光色の色味が変わってしまい、投影画像の色合いが変化するという不都合があった。
また、光源に印加する駆動電流のデューティ比を制御することにより光量を調整する場合には、駆動電流を増減させる方法に比べて、消費電力を効果的に低減できないという不都合があった。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、投影画像の色の変化を抑えながら効果的に消費電力を低減させることのできる画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記光源の駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、前記光源の駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードとを有し、一または複数のフレームに対応する前記映像信号から表示画像の特徴量を検出し、該特徴量に基づいて前記第1制御モード及び前記第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードにて前記光源の駆動制御を行う画像投影装置を提供する。
【0006】
このような構成によれば、光源ユニットから射出された異なる色の照明光は、光変調手段に導かれ、映像信号に基づく光変調がされることにより、表示画像が重畳される。この場合において、光源ユニットの各光源は、映像信号の特徴量に応じた制御モード、具体的には、光源の駆動電流の大きさを可変制御することで光量調整を行う第1制御モード、及び、光源の駆動電流のデューティ比を可変制御することで光量調整を行う第2制御モードのいずれか一方、或いは、両方を組み合わせた制御モードによって駆動制御されることとなる。したがって、表示画像の特徴量に応じた適切な制御モードにより、各光源の光量を調整することが可能となる。
【0007】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記特徴量を検出し、前記照明光の色毎に制御モードの選択を行うこととしてもよい。
【0008】
このような構成によれば、色毎に表示画像の特徴量が検出され、この特徴量に応じて各色の光源が該特徴量に応じて選択された制御モードにて駆動制御されるので、色毎に適切な制御モードに従って光量を調整することができる。
【0009】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記表示画像の特徴量として輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に前記第2制御モードを選択し、該輝度が所定の値未満である場合に前記第1制御モードを選択することとしてもよい。
【0010】
このような構成によれば、表示画像の輝度が明るく、色調の変化がわかりやすい場合には、駆動電流の大きさを可変させない第2制御モードを選択するので、色調の変化を回避することができる。また、表示画像の輝度が暗く、色調の変化がわかりにくい場合には、第2制御モードを選択することにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力の低減を図ることができる。
【0011】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記画像の輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に、当該色に対応する前記光源を第2制御モードで駆動制御し、該輝度が所定の値未満である場合に、当該色に対応する前記光源を第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。
【0012】
このような構成によれば、色毎に表示画像の輝度を検出し、この輝度が所定の値以上か否かによって各色に対応する光源の制御モードを選択するので、より細やかな光源の駆動制御を行うことができる。
【0013】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記画像の特徴量として色成分の偏りを検出し、該色成分の偏りに応じて、制御モードの選択を行うこととしてもよい。
【0014】
このように、画像の特徴量として色成分の偏りを検出し、この色成分の偏りに応じて制御モードの選択を行うので、光源の駆動制御に色成分の偏りを反映させることができる。例えば、色調変化が顕著に出てしまうような色成分の偏りをもつ画像を表示する場合には、各光源を第2制御モードで駆動制御することにより、消費電力の低減よりも色調を重視する。一方、色調変化があまり顕著に生じないような色成分の偏りをもつ画像を表示する場合には、各光源を第1制御モードで駆動制御することにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力を効果的に低減させる。
【0015】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記表示画像の色成分として、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の照明光の色または所定の値よりも多く含む場合に、少なくとも当該色に対応する前記光源を前記第2制御モードで駆動制御することとしてもよい。
【0016】
このような構成によれば、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の色または所定の値よりも多く含む画像を表示させる場合には、少なくともこの色に対応する光源については、駆動電流の増減を伴わない第2制御モードを選択することにより、色調の変化を防止することができる。また、この場合において、上記他の色に対応する光源については、第1制御モードを選択することにより、消費電力の低減を図ることができる。
また、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の色または所定の値よりも少なく含む画像を表示させる場合には、全ての光源を第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。これにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力を効果的に低減させることができる。
【0017】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記画像における色数を検出し、該色数に応じて、制御モードの選択を行うこととしてもよい。
【0018】
このように、画像の特徴量として色数を検出し、この色数に応じて制御モードの選択を行うので、光源の駆動制御に色数を反映させることができる。例えば、色調変化が顕著に出てしまうような色数の画像を表示する場合には、各光源を第2制御モードで駆動制御することにより、消費電力の低減よりも色調を重視する。一方、色調変化があまり顕著に生じないような色数の画像を表示する場合には、各光源を第1制御モードで駆動制御することにより、多少の色調変化を許容しながら消費電力の更なる低減を図ることができる。
【0019】
上記画像投影装置において、前記制御手段は、前記画像における色数が所定数より少ない場合は、全ての前記光源を第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。
【0020】
このような構成によれば、例えば、プレゼンテーション用の画像のように、表示画像における色数が所定数よりも少ない場合には、色の変化による視覚的な影響が少ないことから、第1制御モードを採用することにより、消費電力を効果的に低減させることができる。
【0021】
本発明は、異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、各前記光源に印加する駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、各前記光源に印加する駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードとを有し、駆動電流の大きさの変化による色の変化が所定値よりも大きい前記光源を前記第2制御モードで駆動制御し、該色の変化が所定値以下である前記光源を前記第1制御モードで駆動制御する画像投影装置を提供する。
【0022】
駆動電流の増減による色調変化が大きい色に対応する光源については、駆動電流を増減させる第1制御モードを採用してしまうと、色調に変化が生じてしまう。従って、このような光源については、第2制御モードにより駆動制御することにより、光量調整を行う。これにより、駆動電流の増減に伴う色調変化を抑制することができる。これに対し、駆動電流の増減による色調変化が小さい色に対応する光源については、第1制御モードにより駆動制御を行うことで、光量調整を行う。これにより、色の変化を抑えながら、消費電力を低下させることが可能となる。
例えば、上記光源としてLEDを採用した場合には、赤色の照明光を射出するLED、青色の照明光を射出するLEDについては、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも小さいため、第1制御モードにより光量の調整を行う。また、緑色の照明光を射出するLEDについては、駆動電流の増減による色調変化が上記他の光源に比べて大きいため、第2制御モードにより光量の調整を行う。
また、上述した態様は、可能な範囲で組み合わせて利用することができるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像投影装置によれば、投影画像の色の変化を抑えながら効果的に消費電力を低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る画像投影装置について、図を参照して説明する。
本実施形態に係る画像投影装置1は、図1に示されるように、光源ユニット2と、光源ユニット2から射出された照明光を導く導光ユニット3と、導光ユニット3により導かれた照明光を変調する透過型液晶表示パネル(光変調手段)4と、該透過型液晶表示パネル4により変調された照明光をスクリーンSに対して投影する投影光学ユニット5とを備えている。なお、説明の簡略のため、偏光板等は図示を省略している。
【0025】
光源ユニット2は、異なる色の照明光を射出する複数の光源及び各光源から射出された照明光を共通の光路に導く色合成素子6を有している。
本実施形態では、上記光源として、赤色の照明光を射出するLED2a、緑色の照明光を射出するLED2b、及び青色の照明光を射出するLED2cを備えている。
導光ユニット3は、平行度等を適切に調整するテーパロッド等の各種光学系を有している。
【0026】
このような構成を備える画像投影装置においては、LED2a,2b,2cは、時分割で順次点灯され、その照明光は色合成素子6により共通する導光ユニット3に導かれ、この導光ユニット3により透過型液晶表示パネル4に導かれる。透過型液晶表示パネル4を透過することにより表示画像が重畳された照明光は、投影光学ユニット5によって拡大されてスクリーンSに投影される。これにより、スクリーンSには、表示画像が投影される。
【0027】
この場合において、透過型液晶表示パネル4は、各LED2a,2b,2cの点灯タイミングと同期して、駆動制御される。具体的には、LED2aが発光している期間においては、赤色の映像信号に基づいて、また、LED2bが発光している期間においては緑色の映像信号に基づいて、LED2cが発光している期間においては、青色の映像信号に基づいて透過型液晶表示パネル4が駆動制御される。各LED2a,2b,2cの発光周期は非常に短く設定されていることから、観察者には白色の照明光が照射されているのと略同様の視覚的効果を与えることができる。
【0028】
上記LED2a,2b,2c及び透過型液晶表示パネル4は、制御装置(制御手段)10により制御される。
制御装置10は、画像処理回路11、パネル駆動回路12、CPU13、及び光源駆動回路14を主な構成要素として備えている。
【0029】
画像処理回路11には、映像信号が入力されるようになっている。画像処理回路11は、入力された映像信号に対して、補間処理、階調補正処理等の公知の画像処理を行うとともに、1フレームに対応する映像信号に基づいて表示画像の特徴量を検出する。
例えば、画像処理回路11は、図2に示すように、γ補正回路15、特徴量検出回路16、及びゲイン調整回路17を主な構成要素として備えている。γ補正回路15は、映像信号に対してγ補正を行うことにより、リニアな映像信号を生成する。特徴量検出回路16は、γ補正回路15から入力される1フレームに対応する映像信号に基づいて表示画像の特徴量を検出し、検出した特徴量をCPU13に出力するとともに、ゲイン調整回路17に該特徴量及び映像信号を出力する。
例えば、特徴量検出回路16は、1フレームに対応する映像信号から各色の輝度に関する特徴量、具体的には、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxを検出し、これら最大階調値Rmax,Gmax,BmaxをCPU13に出力するとともに、これら最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxと映像信号とをゲイン調整回路17に出力する。
【0030】
ゲイン調整回路17は、赤色、緑色、青色の各光量のレベル調整を行い、調整後の映像信号をパネル駆動回路12に出力し、調整状態をCPU13に出力する。具体的には、ゲイン調整回路17は、特徴量検出回路16から表示画像における各色の最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが入力されると、この最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが画像投影装置の最大表示階調値(例えば、255)となるように映像信号の各画素の階調値を補正し、この補正後の映像信号をパネル駆動回路12に出力する。例えば、画像投影装置の最大表示階調値が255であった場合、ゲイン調整回路17は、図3に示すように、映像信号の各画素の階調値に255/Rmaxをかけることにより、パネル透過率に関する映像信号を補正し、補正後の映像信号をパネル駆動回路12に出力する。
【0031】
また、ゲイン調整回路17は、パネル駆動回路12に出力する映像信号の階調値を高めに補正した値をCPU13に出力する。具体的には、上述のように、各画素の階調値に255/Rmaxをかけた場合には、この係数255/RmaxをCPU13に出力する。CPU13は、この係数の逆数Rmax/255を各色の光量に乗ずることにより光量を補正する。
このように、透過型液晶表示パネル4の透過率を増加させる一方で、この増加に対応する分、光量を低下させるので、最終的にスクリーンに表示される投影画像の輝度を変えることなく、各LED2a,2b,2cの発光量を効果的に低減させることが可能となる。これにより、消費電力を低減させることができる。なお、上述は赤色に関して一例を挙げて説明したが、緑色、青色についても同様である。
【0032】
図1に戻り、パネル駆動回路12は、画像処理回路11からの映像信号の階調値に基づいて透過型液晶表示パネル4の透過率を画素毎に変化させる。これにより、透過型液晶パネル4の各画素の透過率は映像信号に応じて調整され、この結果、上述のように、透過型液晶表示パネル4に入射された照明光には、映像信号に基づく表示画像が重畳されることとなる。
【0033】
また、CPU13は、画像処理回路11からの特徴量並びに映像信号に基づいて、各LED2a,2b,2cを駆動制御するための制御信号をそれぞれ生成し、生成した制御信号を光源駆動回路14に出力する。具体的には、CPU13は、各LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさをそれぞれ可変制御することにより、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する第1制御モードと、各LED2a,2b,2cの駆動電流のデューティ比をそれぞれ制御することにより、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する第2制御モードとを備えている。
そして、CPU13は、特徴量に応じて上記第1制御モード及び第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードに基づいて各LED2a,2b,2cに対する制御信号をそれぞれ生成し、これらを光源駆動回路14に出力する。
【0034】
光源駆動回路14は、CPU13からの各制御信号に基づいて駆動電流を各LED2a,2b,2cに対して印加する。これにより、LED2a,2b,2cの発光量が映像信号に基づいて制御される。
【0035】
また、CPU13には、ユーザI/F18からのモード指示信号、電源回路19からの電源信号が入力されるようになっている。ユーザI/F18は、ユーザによりモード指定がされた場合に、指定されたモードに対応する信号をモード指示信号としてCPU13に出力する。電源回路19は、ACアダプタ(図示略)から電力が供給されている状態であるか、または、バッテリ(図示略)から電力が供給されている状態であるかを判別し、この判別結果を電源信号としてCPU13に出力する。
【0036】
次に、上記第1制御モード及び第2制御モードについて詳しく説明する。
第1制御モードは、図5に示すように、各LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさを増減させることにより、各LED2a,2b,2cの光量を調整する制御モードである。図5において、最大電流Imaxは、例えば、通常時において各LED2a,2b,2cに印加可能な最大値に設定されている。なお、この最大電流Imaxは、各LED2a,2b,2cに対して個別に設定可能な値である。
このように、第1制御モードでは、各LED2a,2b,2cに印加する駆動電流の大きさを変化させることで、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する。
【0037】
第2制御モードは、図6に示すように、各LED2a,2b,2cの駆動電流のデューティ比を可変制御することにより、各LED2a,2b,2cの光量を調整する制御モードである。図6に示すように、第2制御モードでは、各LED2a,2b,2cに印加する駆動電流の大きさは変えずに、例えば、最大電流Imaxで一定とし、電流印加時間を調整することで、各LED2a,2b,2cから射出される光量を調整する。
【0038】
ここで、図7に、各LED2a,2b,2cの駆動電流に対する光量及び消費電力の一般的な特性を示す。
図7において、横軸は相対的な駆動電流、縦軸は、相対的な光量または消費電力をそれぞれ示している。
図7に示されるように、各LED2a,2b,2cの光量は駆動電流がある程度大きくなると飽和する傾向にある。また、各LED2a,2b,2cの消費電力は、駆動電流の増加に伴い増加するが、その増加幅ΔPは印加電流が増加するほど徐々に大きくなる(図7において、ΔP1<ΔP2)。これは、駆動電流の増加に伴いLED2a,2b,2cの順方向効果電圧がわずかに増加するためである。
【0039】
このような特性を有することから、例えば、LED2a,2b,2cの光量を低下させる場合には、デューティ比を変えるのではなく、駆動電流の大きさを減少させると、消費電力が効果的に低減できることがわかる。例えば、図7において、LED2bを例に挙げて説明すると、光量を相対値4から2へ低減させる場合、駆動電流を約9から約2.7に低下することとなり、また、このときの消費電力は約20から約4まで低下することとなる。このことから、光量を50%低下させる場合、駆動電流にして約70%減少、消費電力にして約83%低下させることが可能となる。これに対し、パルス駆動においてデューティ比を1/2に低減させても、消費電力は50%にしかならない。
このことから、第1制御モードは、第2制御モードに比べて、消費電力を効果的に低減させることができる。
【0040】
次に、図8は、各LED2a,2b,2cからの赤、緑、青の光による色表現域をxy色調図上に示した図である。各LED2a,2b,2cの駆動電流が小さいときは、図中破線で示されるように広い色表現域を有するが、各LED2a,2b,2cの駆動電流が大きくなると、赤、緑、青の色調がそれぞれ図中実線で示されるように変化し、色表現域が狭くなる傾向にある。また、この図からわかるように、特に、緑色の照明光を射出するLED2bにおいては、駆動電流の増減によって照明光の色調が大きく変化することがわかる。これに対し、赤色の照明光を射出するLED2a、青色の照明光を射出するLED2cに関しては、駆動電流の増減による色調変化は小さく、駆動電流による影響をほとんど受けていない。
【0041】
このことから、図5に示したように、LED2a,2b,2cの駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードは、消費電力の低減効果は高いが、その一方で、図8に示すように、緑色の照明光の色調が変化するという特性を有する。
【0042】
従って、本実施形態に係る画像投影装置では、上記点に着眼して、色変化を抑制しながら、消費電力を効果的に低減させるべく、以下のような光源制御を行うこととしている。
【0043】
まず、制御装置10の画像処理回路11に映像信号が入力されると、図2に示したγ補正回路15により映像信号にγ補正が行われ、続いて、特徴量検出回路16による特徴量の検出処理が行われる。具体的には、特徴量検出回路16は、1フレームに対応する映像信号から表示画像の明るさに関する特徴量、例えば、各色の最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxを検出し、これら最大階調値Rmax,Gmax,BmaxをCPU13に出力するとともに、これら最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxと映像信号とをゲイン調整回路17に出力する。
【0044】
ゲイン調整回路17は、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxに基づいて各色の映像信号のレベル調整を行うことにより、パネル透過率に関する映像信号と光量に関する映像信号とを生成し、パネル透過率に関する映像信号をパネル駆動回路12に出力するとともに、光量に関する映像信号をCPU13に出力する。
【0045】
CPU13は、最大階調値Rmax,Gmax,Bmax及び光量を補正する値が入力されると、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが予め設定されている閾値以上であるか否かを判定し、最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxが閾値以上であると判断した色に対応するLEDに関しては、第2制御モードによる制御を選択し、また、最大階調値が閾値未満であると判断した色に対応するLEDに関しては第1制御モードを選択する。
【0046】
例えば、赤色の最大階調値Rmaxが最大値(例えば、255)であった場合には、図9のaに示すように、CPU13は、LED2aに対して1フレームの期間、最大電流Irmaxを印加するような制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。
【0047】
また、赤色の最大階調値Rmaxが最大値未満かつ閾値以上であった場合には、図9のbに示すように、CPU13は、LED2aに対して、最大階調値Rmaxに応じたデューティ比をもつパルス状の制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。ここで、最大階調値Rmaxが大きいほど、電流印加時間は長く設定される。なお、パルス駆動周期は、設計事項により最適な値を選択することが可能である。
【0048】
また、赤色の最大階調値Rmaxが閾値未満であった場合には、CPU13は、図9のcに示すように、CPU13は、LED2aに対して、所定のデューティ比であり、かつ、最大階調値Rmaxに応じた電流のパルス状の制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。ここで、所定のデューティ比は、最大階調値Rmaxが閾値と一致したときのデューティ比を採用している。
なお、CPU13は、図9のcに示したように、パルス状の波形において電流値を増減させるのではなく、図5に示したように、最大階調値Rmaxに対応する電流を1フレーム期間にわたって連続して印加するような制御信号を生成することとしてもよい。
CPU13は、LED2b,2cに関しても同様に制御信号を生成し、これを光源駆動回路14に出力する。
【0049】
光源駆動回路14は、このようにして生成された制御信号を受け付けると、各制御信号に基づく駆動電流を各LED2a,2b,2cに印加する。
これにより、各色のLED2a,2b,2cが最大階調値Rmax,Gmax,Bmaxに応じた光量にて順次発光し、各照明光は色合成部6、導光ユニット7を介して透過型液晶表示パネル4に導かれ、映像信号に基づく光変調が施された後、投影光学ユニット5によりスクリーンSに投影されることとなる。これにより、スクリーンS上に投影画像が表示される。
【0050】
以上説明してきたように、本実施形態に係る画像投影装置によれば、1フレームに対応する映像信号から表示画像の輝度に関する特徴量を検出し、この検出結果に基づいて制御モードを選択するので、表示画像の明るさに応じた最適な制御モードにて各LED2a,2b,2cをそれぞれ駆動制御することが可能となる。
具体的には、表示画像の輝度が明るく、色調の変化が顕著に現れる場合には、駆動電流の大きさを可変させない第2制御モードを選択することにより、消費電力の低減よりも色調を重視する。
また、表示画像の輝度が暗く、色調の変化がわかりにくい場合には、第1制御モードを選択することにより、色調の変化よりも消費電力の低減を重視する。
これにより、各フレーム画像の特徴に応じた光量調整が可能となり、色調の変化を抑制しながら効果的に消費電力を低減させることができる。
また、本実施形態に係る画像投影装置によれば、色毎に表示画像の輝度を検出し、各LED2a,2b,2cをそれぞれ輝度に応じた制御モードで駆動制御するので、全てのLED2a,2b,2cを同じ制御モードにて駆動制御する場合に比べて、細やかな駆動制御を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態において、CPU13が用いる上記閾値は、色毎に個別に設定されていることが好ましい。例えば、図8に示したように、赤色及び青色に関しては、駆動電流の増減による色調変化が小さいため、上記閾値を高めに設定することにより、消費電力を効果的に低減させることのできる第1制御モードを積極的に採用することとし、また、緑色に関しては、駆動電流の増減による色調変化が他の色に比べて大きいため、上記閾値を他の色に比べて低めに設定することにより、色調の変化と消費電力の低下とのバランスの調整を行う。これにより、消費電力を更に効果的に低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態においては、1フレームに対応する映像信号から最大階調値を検出し、1フレーム周期で制御モードの切替が可能な構成としていたが、これに代えて、複数フレームに対応する映像信号から最大階調値を検出することにより、複数フレームの周期で制御モードの切り替えが可能な構成としてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、映像信号に基づいて形成される表示画像の各色の最大階調値を検出し、この最大階調値が閾値以上であるか否かによって採用する制御モードを決めていたが、これに代えて、表示画像における平均階調値を色毎に求め、この平均階調値が閾値以上である場合に第2制御モード(図6参照)を採用し、平均階調値が閾値未満である場合に第1制御モード(図5参照)、或いは、第2制御モードと第1制御モードとの組み合わせによる制御モード(図9のc参照)を採用することとしてもよい。
【0054】
また、上記表示画像が明るいか否かを判断する場合、上記方法に代えて、表示画像において階調値が閾値以上の画素を色毎に検出し、検出した画素の数が予め設定されている基準画素数以上である場合に、第2制御モード(図6参照)を採用し、該画素の数が基準画素数未満である場合に、第1制御モード(図5参照)、或いは、第2制御モードと第1制御モードとの組み合わせによる制御モード(図9のc参照)を採用することとしてもよい。
【0055】
また、表示画像が明るいか暗いかを判定するための方法については、上述した方法に限られない。要は、表示画像が明るいか否かを判断するための判断基準を適宜設定し、この判断基準に基づいて表示画像が明るいと判断した場合には、色調の変化を伴わない第2制御モードを採用し、表示画像が暗いと判断した場合には、色調の変化を伴うが消費電力の低減効果の高い第1制御モード、または、第2制御モードと第1制御モードとの組み合わせによる制御モードを採用すればよい。
【0056】
また、本実施形態においては、色毎に最大輝度値を検出し、この最大輝度値に基づいて各LED2a,2b,2cの制御モードを選択することとしたが、これに代えて、赤、緑、青を含めた表示画像の全体の明るさに応じて全てのLED2a,2b,2cを同じ制御モードで制御することとしてもよい。
表示画像が明るいか否かの判断方法については、任意に決定することが可能であるが、例えば、1フレームにおける映像信号から所定値以上の階調値を持つ画素を抽出し、この画素数が予め設定されている基準画素数以上であった場合には、表示画像が明るいと判断して全てのLED2a,2b,2cを第2制御モードで駆動制御し、また、上記画素数が基準画素数未満であった場合には、表示画像が暗いと判断して全てのLED2a,2b,2cを第1制御モードで駆動制御することとしてもよい。また、1フレームにおける平均階調値を求め、この平均階調値が閾値以上であるか否かにより表示画像が明るいか否かを判断することとしてもよい。
【0057】
また、本実施形態において、CPU13がユーザI/F18からモード指定信号を受け付けた場合には、ユーザにより指定された制御モードを優先して採用することとしてもよい。例えば、CPU13が、第1制御モードを指定する旨の信号をユーザI/F18から受け付けた場合には、第1制御モードによって各LED2a,2b,2cを駆動制御する。このように、ユーザが所望する制御モードを優先的に採用することにより、LED2a,2b,2cの駆動制御にユーザの意思を反映させることができる。
また、上記ユーザによる制御モードの選択は、色毎に可能な構成としてもよい。これにより、ユーザの意思をより詳細に反映させることができる。また、制御モードだけでなく、例えば、表示画面が明るいか暗いかを判断するときの判断基準、例えば、上記閾値や基準画素数についてもユーザが設定可能な構成としてもよい。
【0058】
また、本実施形態において、CPU13は、電源回路19からの電源信号に基づいて制御モードを切り替えることとしてもよい。例えば、ACアダプタから電力が供給されている状態を示す電源信号が入力されている期間においては、消費可能な電力に制限がないため、CPU13は、第2制御モードを採用することにより、消費電力よりも色調を重視する。一方、バッテリから電力が供給されている状態を示す電源信号が入力されている期間においては、使用可能な電力が制限されているため、CPU13は、第1制御モード、或いは、上述した第1制御モードと第2制御モードの組合せからなる制御モードを採用することにより、色調変化を許容しながら消費電力の低減効果を高める。このように、電源の供給状態に応じて、制御モードを切り替えることとしてもよい。また、バッテリから電力が供給されている場合において、バッテリの残容量に応じて制御モードを切り替えることとしてもよい。
なお、上述した各態様は、可能な範囲で組み合わせて適用することが可能である。
【0059】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像投影装置について説明する。
本実施形態に係る画像投影装置においては、駆動電流の増減による色調変化が小さい色、即ち、赤色及び青色に関しては、第1制御モードを採用し、駆動電流の増減による色調変化が大きい色、即ち、緑色に関しては、第2制御モードを採用する。
このように、本実施形態における画像投影装置によれば、色毎に制御モードを使い分けるので、画像処理回路11及びCPU13における処理負担を大幅に低減させることができる。
【0060】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像投影装置について説明する。
本実施形態に係る画像投影装置は、映像信号に基づいて形成される表示画像の色成分の偏りに応じて制御モードの選択を行う点で、上述した第1の実施形態に係る画像投影装置と異なる。
以下、本実施形態に係る画像投影装置について、第1の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0061】
図10及び図11は、映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、図10は、花の画像の例であり、図11は夕日の画像の一例である。
図10は、RGBの3原色で囲まれる三角形の色表現範囲に画素の色調プロットが広がっていることから、この表示画像には様々な色成分が含まれていることがわかる。これに対し、図11では、RGBの3原色で囲まれる三角形の色表現範囲に画素の色調プロットがRの原色に近い範囲に偏っていることから、この表示画像にはG(緑)やB(青)の原色に近い成分がほとんど含まれていないことがわかる。
【0062】
本実施形態に係る画像投影装置の制御装置10は、特徴量抽出回路16において1フレームに対応する映像信号から表示画像の色調の偏りを検出し、この検出結果に基づいてCPU13が採用する制御モードを決定する。ここで、各画素の色調は、公知の手法によって、例えば、映像信号における各画素のRGB信号レベルと、RGB原色の各3刺激値XYZのマトリクスとを用いてマトリクス演算処理を行うことで容易に求めることができる。
CPU13は、色調の偏りがない場合には、第2制御モードを採用することにより、駆動電流の大きさの変化による色の変化を抑える。また、CPU13は、色調の偏りがある場合には、多く含まれている色(例えば、図11に示される表示画像では、赤色)について第2制御モードを採用することにより駆動電流の大きさの変化による色の変化を抑え、一方、ほとんど含まれていない色(例えば、図11においては、緑色、青色)については、第1制御モードを採用することにより、消費電力を効果的に低減させる。
【0063】
以上説明してきたように、本実施形態に係る画像投影装置によれば、映像信号に基づいて形成される表示画像の色の偏りに基づいて制御モードを選択するので、投影画像の色調変化を許容範囲に抑えながら効果的に消費電力を低減させることができる。
なお、本実施形態において、電流の大きさにより色の影響を受けない赤色、青色については、上記色調の偏りにかかわらず常に第1制御モードを採用し、電流の大きさの変化によって色が変化しやすい緑色に関してのみ、上記色調の偏りに応じて制御モードを選択することとしてもよい。このように、LED2a,2cについては、常に第1制御モードを採用することにより、消費電力を更に低減させることができる。
【0064】
また、本実施形態において、図12に示すように、色調図上のプロットが直線的に並んでいる場合には、色調の変化に気づきにくいため、各LED2a,2b,2cを第1制御モードで制御することとしてもよい。例えば、プレゼンテーション画像のように、同じ色で表された画素が多い画像の場合には、映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準としてxy空間にプロットすると、図12に示すように、プロットが直線的に表れる傾向が強く、図10、図11に示した自然画に比べて、色調を表す点の数(色数)が少ない。このような場合には、色調の変化が気にならないと判断して、消費電力を効果的に低減できる第1制御モードを採用するとよい。
【0065】
〔第1の変形例〕
なお、上記各実施形態においては、光源ユニット2が、互いに異なる色の照明光を射出する3つのLED2a,2b,2cを有していたが、これに代えて、図13に示すように、同色の照明光を射出する複数のLEDを同一面上にアレイ状に配置したLED群2a´,2b´,2c´を用いることとしてもよい。この場合において、各LEDの光量制御方法は、上述と同様である。
【0066】
〔第2の変形例〕
また、上記各実施形態に係る光源ユニット2に代えて、図14乃至図16に示すような光源ユニット2´としてもよい。図14は光源ユニット2´を照明光の射出端側からみたときの平面図、図15は光源ユニット2´の縦断面図、図16は光源ユニット2´が備える回転ロッド20の回転状態及び光の伝達効率を説明するための図である。
図14及び図15に示すように、光源ユニット2´において、複数のLED2a、複数のLED2b、複数のLED2cが同一円周上に配置されている。この配列の中心には、当該配列中心軸周りに回転可能な回転ロッド20が設けられている。
この回転ロッド20の自由端には、各LEDから射出された照明光を取り込むための入射端20aが設けられており、同一円周上に配列された各LED2a,2b,2cの点灯タイミングに同期して、回転ロッド20が配列中心軸回りに回転させられることにより、回転ロッド20の入射端20aに対向するLED2a,2b,2cから発せられた照明光が入射端20aから回転ロッド20内に取り込まれ、この回転ロッド20を介して固定ロッド23の入射端に導かれるようになっている。
【0067】
このような光源ユニット2´においては、全てのLED2a,2b,2cを点灯したときの照明光の合成光が所望の色(例えば、白色)になるように各LED2a,2b,2cの最大駆動電流を決定する。例えば、図17に示すように、LED2aの最大駆動電流Irmax,LED2bの最大駆動電流Igmax,LED2cの最大駆動電流Ibmaxは、以下のように設定される。
Ibmax<Irmax<Igmax
そして、駆動電流の増減による色調変化が大きい緑色に関しては、図18に示されるように、第2制御モードが採用され、駆動電流の増減による色調変化が小さい赤色、青色に関しては、第1制御モードを採用することにより、消費電力低減の向上を図る。
【0068】
なお、表示画像の緑色にかかる輝度が、予め設定されている閾値(例えば、一のLED2bを完全に消灯状態としたときのLED2b全体で得られる光量に対応する輝度)以下であった場合には、図19に示すように、一のLED2bを完全に消灯状態とし、他のLED2bを輝度に応じたデューティ比で制御することとしてもよい。
【0069】
なお、上記光源ユニット2´において、回転ロッド20をLED2a,2b,2cの配列中心軸周りに回転させる場合、図16に示すように、回転ロッド20の回転角θが変化すると、回転ロッド20の射出端20bと、該射出端20bに対向配置された固定ロッド23の入射端23aとの結合状態が変化し、光の伝達効率が変動する。回転ロッド20の射出端20bと固定ロッド23の入射端23aとは同一形状であり、例えば、四角に形成されている。ここで、両者の四辺が一致する状態のときの回転ロッド20の回転角を0°とした場合、図20に示すように、光の伝達効率は、回転角0°と90°のときに最大値をとり、回転角45°及び135°の時に最小値をとる正弦波として表される。このように、光の伝達効率は回転角θによる周期的な変化を示すので、光量を低減させる場合には、光の伝達効率の低い位置に配置されたLED2a,2b,2cから優先的に光量を低減させることが好ましい。このように、光量調整を行うことにより、同じ明るさを得る場合でも、消費電力を効率的に低減させることができる。
【0070】
〔第3の変形例〕
また、上述した各実施形態においては、各LED2a,2b,2cから射出された照明光を共通する導光ユニット3を介して共通する透過型液晶表示パネル4に導いていたが、これに変えて、図21に示すように、LED2a,2b,2cのそれぞれに対して、導光ユニット3a,3b,3c、及び透過型液晶表示パネル4a,4b,4cを設けることとしてもよい。この場合、透過型液晶表示パネル4a,4b,4cを透過した各照明光は、同一の光合成素子8に導かれ、ここで合成された後、投影光学ユニット5に導かれるようになっている。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した各実施形態において、透過型液晶表示パネル4に代えて、反射型液晶表示パネル、或いは、DMD(Digital Micro Mirror)を採用することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像投影装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示した画像処理装置の内部概略構成を示したブロック図である。
【図3】図2に示したゲイン調整回路の作用を説明するための図である。
【図4】図2に示したゲイン調整回路の作用を説明するための図である。
【図5】第1制御モードの説明をするための図である。
【図6】第2制御モードの説明をするための図である。
【図7】LEDの駆動電流−光量特性及び駆動電流−消費電力特性を示した図である。
【図8】駆動電流を増減させたときの色調の変化を示した図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像投影装置の光量制御を説明するための図である。
【図10】映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、花の画像の例を示した図である。
【図11】映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、夕日の画像の一例を示した図である。
【図12】映像信号に基づいて形成される表示画像の各画素の色調をsRGBの3原色を基準として、xy空間にプロットした図であり、プレゼンテーションの画像の一例を示した図である。
【図13】図1に示した光源ユニットの第1の変形例を示した図である。
【図14】図1に示した光源ユニットの第2の変形例を示した図であり、光源ユニットを照明光の射出端側からみたときの平面図である。
【図15】図14に示した光源ユニットの縦断面図である。
【図16】図14に示した光源ユニットが備える回転ロッドの回転状態及び光の伝達効率を説明するための図である。
【図17】第2の変形例に係る光源ユニットが備える各色のLEDの駆動電流の最大電流値の大小関係を示した図である。
【図18】第2の変形例に係る光源ユニットが備える各色のLEDの光量制御の一例を示した図である。
【図19】第2の変形例に係る光源ユニットが備える各色のLEDの光量制御の一例を示した図である。
【図20】第2の変形例に係る回転ロッドの角度と光の伝達効率との関係を示した図である。
【図21】第3の変形例に係る画像投影装置の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
1 画像投影装置
2 光源ユニット
2a,2b,2c LED
3 導光ユニット
4 透過型液晶表示パネル
6 光合成素子
10 制御装置
11 画像処理回路
12 パネル駆動回路
13 CPU
14 光源駆動回路
18 ユーザI/F
19 電源回路
S スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、
入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、
前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
前記光源の駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、
前記光源の駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードと
を有し、一または複数のフレームに対応する前記映像信号から表示画像の特徴量を検出し、該特徴量に基づいて前記第1制御モード及び前記第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードにて前記光源の駆動制御を行う画像投影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記特徴量を検出し、前記照明光の色毎に制御モードの選択を行う請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示画像の特徴量として輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に前記第2制御モードを選択し、該輝度が所定の値未満である場合に前記第1制御モードを選択する請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記画像の輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に、当該色に対応する前記光源を前記第2制御モードで駆動制御し、該輝度が所定の値未満である場合に、当該色に対応する前記光源を前記第1制御モードで駆動制御する請求項3に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示画像の特徴量として色成分の偏りを検出し、該色成分の偏りに応じて、制御モードの選択を行う請求項1または請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表示画像の色成分として、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の照明光の色または所定の値よりも多く含む場合に、少なくとも当該色に対応する前記光源を前記第2制御モードで駆動制御する請求項5に記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記表示画像における色数を検出し、該色数に応じて、制御モードの選択を行う請求項1または請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記表示画像における色数が所定数より少ない場合は、全ての前記光源を第1制御モードで駆動制御する請求項7に記載の画像投影装置。
【請求項9】
異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、
入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、
前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
各前記光源に印加する駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、
各前記光源に印加する駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードと
を有し、駆動電流の大きさの変化による色の変化が所定値よりも大きい前記光源を前記第2制御モードで駆動制御し、該色の変化が所定値以下である前記光源を前記第1制御モードで駆動制御する画像投影装置。
【請求項1】
異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、
入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、
前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
前記光源の駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、
前記光源の駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードと
を有し、一または複数のフレームに対応する前記映像信号から表示画像の特徴量を検出し、該特徴量に基づいて前記第1制御モード及び前記第2制御モードのいずれか一方、または、両方を選択し、選択した制御モードにて前記光源の駆動制御を行う画像投影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記特徴量を検出し、前記照明光の色毎に制御モードの選択を行う請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示画像の特徴量として輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に前記第2制御モードを選択し、該輝度が所定の値未満である場合に前記第1制御モードを選択する請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記照明光の色毎に前記画像の輝度を検出し、該輝度が所定の値以上である場合に、当該色に対応する前記光源を前記第2制御モードで駆動制御し、該輝度が所定の値未満である場合に、当該色に対応する前記光源を前記第1制御モードで駆動制御する請求項3に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示画像の特徴量として色成分の偏りを検出し、該色成分の偏りに応じて、制御モードの選択を行う請求項1または請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表示画像の色成分として、駆動電流の増減による色調変化が所定の値よりも大きい照明光の色を他の照明光の色または所定の値よりも多く含む場合に、少なくとも当該色に対応する前記光源を前記第2制御モードで駆動制御する請求項5に記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記表示画像における色数を検出し、該色数に応じて、制御モードの選択を行う請求項1または請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記表示画像における色数が所定数より少ない場合は、全ての前記光源を第1制御モードで駆動制御する請求項7に記載の画像投影装置。
【請求項9】
異なる色の照明光を発生する複数の光源を有する光源ユニットと、
入力される映像信号に基づいて、前記光源ユニットから射出された照明光を変調する光変調手段と、
前記光源ユニットの各前記光源を駆動制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段が、
各前記光源に印加する駆動電流の大きさを可変制御する第1制御モードと、
各前記光源に印加する駆動電流のデューティ比を可変制御する第2制御モードと
を有し、駆動電流の大きさの変化による色の変化が所定値よりも大きい前記光源を前記第2制御モードで駆動制御し、該色の変化が所定値以下である前記光源を前記第1制御モードで駆動制御する画像投影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−102442(P2008−102442A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286675(P2006−286675)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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