説明

画像撮像装置

【課題】蛍光画像のような特殊画像を撮像する画像撮像装置において、特殊画像の発光部分とその周辺部分とを明確に区別できるようにし、被観察部における発光部分の位置を把握できるようにする。
【解決手段】特殊光を被観察部に照射する特殊光照射部と、特殊光の照射によって被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を撮像する撮像素子および上記光を透過するとともに特殊光の波長以下の波長帯域の光をカットする特殊光カットフィルタを有する撮像部とを備えた画像撮像装置において、特殊光カットフィルタを透過する波長であって、撮像素子の感度範囲内の波長の照明光を被観察部に照射する照明光照射部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を取得する画像撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内の組織を観察する内視鏡システムが広く知られており、白色光の照射によって体腔内の被観察部を撮像して通常画像を得、この通常画像をモニタ画面上に表示する電子式内視鏡システムが広く実用化されている。
【0003】
また、上記のような内視鏡システムとして、たとえば、特許文献1においては、通常画像とともに、励起光の照射によって被観察部から発せられた自家蛍光像を撮像して自家蛍光画像を得、これらの画像をモニタ画面上に表示する蛍光内視鏡システムが提案されている。
【0004】
また、蛍光内視鏡システムとしては、たとえば、ICG(インドシアニングリーン)を予め体内に投入し、励起光を被観察部に照射して血管内のICGの蛍光を検出することによって蛍光画像を取得するものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−304600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述したような蛍光内視鏡システムは、微弱な蛍光を検出するため、蛍光画像を撮像する撮像系において、被観察部を反射した励起光や白色光の照射によって被観察部を反射した反射光をカットする励起光カットフィルタが設けられており、蛍光画像のみを高感度に撮像するような構成となっている。
【0007】
したがって、蛍光画像上においては蛍光の発光部分のみが観察可能であり、その発光部分の周辺は観察することができない。
【0008】
しかしながら、蛍光画像上で発光している部分が臓器などのどの部分に位置しているのかを確認したい場合もある。
【0009】
なお、特許文献1においては、励起光を照射して蛍光画像を観察する際、励起光カットフィルタの閾値を可視光側に下げることによって励起光の一部を被観察部に照射し、蛍光画像の発光部分の周辺を視認できるようにする方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1においては、励起光の一部を照明光として利用しているため、励起光の反射光の強度と蛍光の強度とを独立して制御することができず、蛍光の強度によっては励起光の反射光の強度が蛍光の強度以上となってしまい蛍光部分を適切に観察できない問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑み、上述した蛍光画像のような特殊画像を撮像する画像撮像装置において、特殊画像の発光部分とその周辺部分とを明確に区別できるように撮像することができ、被観察部における発光部分の位置を把握することができる画像撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像撮像装置は、特殊光を被観察部に照射する特殊光照射部と、特殊光の照射によって被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を撮像する撮像素子および上記光を透過するとともに特殊光の波長以下の波長帯域の光をカットする特殊光カットフィルタを有する撮像部とを備えた画像撮像装置において、特殊光カットフィルタを透過する波長であって、撮像素子の感度範囲内の波長の照明光を被観察部に照射する照明光照射部を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の画像撮像装置においては、特殊光照射部と照明光照射部とを、互いに独立して特殊光と照明光とを照射可能なものとできる。
【0014】
また、撮像部を、特殊光のみの被観察部への照射によって被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を撮像するものとするとともに、特殊光と照明光との両方の照射によって被観察部から発せられた光を受光して混合画像を撮像するものとし、混合画像と特殊画像とに基づいて、照明光の被観察部への照射による反射光のみに応じた反射画像を取得する反射画像取得部と、特殊画像と反射画像とを合成した合成画像を取得する合成画像取得部とを設けることができる。
【0015】
また、特殊画像の信号強度が反射画像の信号強度の1以上の定数倍よりも小さい場合には、照明光の光量を減らすように照明光照射部を制御する照明光制御部を設けることができる。
【0016】
また、照明光制御部を、特殊画像の信号強度が反射画像の信号強度の1以上の定数倍よりも大きい場合には、照明光の光量を増やすように照明光照射部を制御するものとできる。
【0017】
また、特殊光カットフィルタによってカットされる通常光を被観察部に照射する通常光照射部と、通常光の被観察部への照射によって被観察部から反射された反射光を受光して通常画像を撮像する通常画像撮像部とを設けることができる。
【0018】
また、特殊光照射部を、特殊光として励起光を被観察部に照射するものとし、撮像部を、励起光の照射によって被観察部から発せられた蛍光を受光して特殊画像として蛍光画像を撮像するものとできる。
【0019】
また、照明光照射部を、照明光として、特殊光の照射によって被観察部から発せられた光のピーク波長と略同じ波長の光を照射するものとできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像撮像装置によれば、特殊光を被観察部に照射する特殊光照射部と、特殊光の照射によって被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を撮像する撮像素子および上記光を透過するとともに特殊光の波長以下の波長帯域の光をカットする特殊光カットフィルタを有する撮像部とを備えた画像撮像装置において、特殊光カットフィルタを透過する波長であって、撮像素子の感度範囲内の波長の照明光を被観察部に照射する照明光照射部を設けるようにしたので、特殊画像を撮像しているときに、上述したような励起光カットフィルタによってカットされない波長特性の照明光を照射することによって、特殊画像の発光部分の周辺も撮像することができ、被観察部における発光部分の位置を把握することができる。
【0021】
また、上記本発明の画像撮像装置において、特殊光照射部と照明光照射部とを、互いに独立して特殊光と照明光とを照射可能ものにした場合には、たとえば、特殊光のみの被観察部への照射によって特殊画像を撮像するとともに、特殊光と照明光との両方の照射によって混合画像を撮像し、混合画像と特殊画像とに基づいて、照明光の照射による反射光のみに応じた反射画像を取得することができるので、特殊画像と反射画像とを区別して、すなわち特殊光の照射による発光部分とその周辺部分とを明確に区別して表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画像撮像装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムの概略構成図
【図2】体腔挿入部の概略構成図
【図3】撮像ユニットの概略構成図
【図4】画像処理装置および光源装置の概略構成を示すブロック図
【図5】画像処理部の概略構成を示すブロック図
【図6】励起光のスペクトルS1と蛍光波長域照明光のスペクトルS2とICGの蛍光の発光スペクトルS3との一例を示す図
【図7】合成画像を表示する作用を説明するための図
【図8】蛍光画像が反射画像に埋もれないように蛍光波長域照明光の光量を制御する方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の画像撮像装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムについて詳細に説明する。図1は、本実施形態の硬性鏡システム1の概略構成を示す外観図である。
【0024】
本実施形態の硬性鏡システム1は、図1に示すように、白色の通常光、励起光および蛍光波長域照明光を射出する光源装置2と、光源装置2から射出された通常光、励起光および後述する蛍光波長域照明光を導光して被観察部に照射するとともに、通常光の照射により被観察部から反射された反射光に基づく通常像、励起光の照射により被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像、および励起光と蛍光波長域照明光の照射により被観察部から発せられた光に基づく混合像を撮像する硬性鏡撮像装置10と、硬性鏡撮像装置10によって撮像された画像信号に所定の処理を施す画像処理装置3と、画像処理装置3において生成された表示制御信号に基づいて被観察部の通常画像、蛍光画像および後述する合成画像を表示するモニタ4とを備えている。
【0025】
硬性鏡撮像装置10は、図1に示すように、体腔内に挿入される体腔挿入部30と、体腔挿入部30によって導光された被観察部の通常像および蛍光像を撮像する撮像ユニット20とを備えている。
【0026】
また、硬性鏡撮像装置10は、図2に示すように、体腔挿入部30と撮像ユニット20とが着脱可能に接続されている。そして、体腔挿入部30は接続部材30a、挿入部材30b、ケーブル接続口30c、および照射窓30dを備えている。
【0027】
接続部材30aは、体腔挿入部30(挿入部材30b)の一端側30Xに設けられており、たとえば撮像ユニット20側に形成された開口20aに嵌め合わされることにより、撮像ユニット20と体腔挿入部30とが着脱可能に接続される。
【0028】
挿入部材30bは、体腔内の撮影を行う際に体腔内に挿入されるものであって、硬質な材料から形成され、たとえば、直径略5mmの円柱形状を有している。挿入部材30bの内部には、被観察部の像を結像するためのレンズ群が収容されており、他端側30Yから入射された被観察部の通常像および蛍光像はレンズ群を介して一端側30Xの撮像ユニット20側に射出される。
【0029】
挿入部材30bの側面にはケーブル接続口30cが設けられており、このケーブル接続口30cに光ケーブルLCが機械的に接続される。これにより、光源装置2と挿入部材30bとが光ケーブルLCを介して光学的に接続されることになる。
【0030】
照射窓30dは、体腔挿入部30の他端側30Yに設けられており、光ケーブルLCによって導光された通常光、励起光および蛍光波長域照明光を被観察部に対し照射するものである。なお、挿入部材30b内にはケーブル接続口30cから照射窓30dまで通常光、励起光および蛍光波長域照明光を導光するライトガイドが収容されており(図示せず)、照射窓30dはライトガイドによって導光された通常光、励起光および蛍光波長域照明光を被観察部に照射するものである。
【0031】
図3は、撮像ユニット20の概略構成を示す図である。撮像ユニット20は、体腔挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の蛍光像および混合像を撮像して被観察部の蛍光画像信号および混合画像信号を生成する第1の撮像系と、体腔挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の通常像を撮像して通常画像信号を生成する第2の撮像系とを備えている。これらの撮像系は、通常像を反射するとともに、蛍光像および混合像を透過する分光特性を有するダイクロイックプリズム21によって、互いに直交する2つの光軸に分けられている。なお、混合像については、後で詳述する。
【0032】
第1の撮像系は、被観察部において反射し、ダイクロイックプリズム21を透過した励起光の波長以下の光をカットするとともに、後述する蛍光波長域照明光を透過する励起光カットフィルタ22と、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を透過した蛍光像L4または混合像L5を結像する第1結像光学系23と、第1結像光学系23により結像された蛍光像L4または混合像L5を撮像する高感度撮像素子24とを備えている。
【0033】
第2の撮像系は、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21を反射した通常像L3を結像する第2結像光学系25と、第2結像光学系25により結像された通常像L3を撮像する撮像素子26を備えている。
【0034】
高感度撮像素子24は、蛍光像L4の波長帯域の光を高感度に検出し、蛍光画像信号に変換して出力するものである。また、高感度撮像素子24は、励起光および蛍光波長域照明光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた混合像L5も検出し、混合画像信号に変換して出力するものである。高感度撮像素子24はモノクロの撮像素子である。
【0035】
撮像素子26は、通常像の波長帯域の光を検出し、通常画像信号に変換して出力するものである。撮像素子26の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。
【0036】
また、撮像ユニット20は、撮像制御ユニット27を備えている。撮像制御ユニット27は、高感度撮像素子24から出力された蛍光画像信号および混合画像信号と撮像素子26から出力された通常画像信号とに対し、CDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理を施し、ケーブル5(図1参照)を介して画像処理装置3に出力するものである。
【0037】
画像処理装置3は、図4に示すように、通常画像入力コントローラ31、蛍光画像入力コントローラ32、画像処理部33、メモリ34、ビデオ出力部35、操作部36、TG(タイミングジェネレータ)37およびCPU38を備えている。
【0038】
通常画像入力コントローラ31および蛍光画像入力コントローラ32は、所定容量のラインバッファを備えており、通常画像入力コントローラ31は、撮像ユニット20の撮像制御ユニット27から出力された1フレーム毎の通常画像信号を一時的に記憶するものであり、蛍光画像入力コントローラ32は、蛍光画像信号および混合画像信号をそれぞれ一時的に記憶するものである。そして、通常画像入力コントローラ31に記憶された通常画像信号および蛍光画像入力コントローラ32に記憶された蛍光画像信号および混合画像信号はバスを介してメモリ34に格納される。
【0039】
画像処理部33は、メモリ34から読み出された1フレーム毎の通常画像信号、蛍光画像信号および混合画像信号が入力され、これらの画像信号に所定の画像処理を施し、バスに出力するものである。画像処理部33のより具体的な構成を図5に示す。
【0040】
画像処理部33は、図5に示すように、通常画像処理部51、蛍光画像処理部52、混合画像処理部53および反射画像取得部54を備えている。
【0041】
通常画像処理部51は、入力された通常画像信号に対し、通常画像に適した所定の画像処理を施して出力するものである。
【0042】
蛍光画像処理部52は、入力された蛍光画像信号に対し、蛍光画像に適した所定の画像処理を施して出力するものである。
【0043】
混合画像処理部53は、入力された混合画像信号に対し、混合画像に適した所定の画像処理を施して出力するものである。
【0044】
反射画像取得部54は、混合画像処理部53から出力された混合画像信号から蛍光画像処理部52から出力された蛍光画像信号を減算して反射画像信号を取得して出力するものである。
【0045】
図4に戻り、ビデオ出力部35は、画像処理部33から出力された通常画像信号、蛍光画像信号および反射画像信号がバスを介して入力され、所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ4に出力するものである。
【0046】
操作部36は、種々の操作指示や制御パラメータなどの操作者による入力を受け付けるものである。また、TG37は、撮像ユニット20の高感度撮像素子24、撮像素子26および後述する光源装置2のLDドライバ45を駆動するための駆動パルス信号を出力するものである。また、CPU36は装置全体を制御するものである。
【0047】
光源装置2は、約400〜700nmの広帯域の波長からなる通常光(白色光)L1を射出する通常光源40と、通常光源40から射出された通常光L1を集光する集光レンズ42と、集光レンズ42によって集光された通常光L1を透過するとともに、後述する励起光L2を反射し、通常光L1および励起光L2とを光ケーブルLCの入射端に入射させるダイクロイックミラー43とを備えている。なお、通常光源40としては、たとえばキセノンランプが用いられる。また、通常光源40と集光レンズ42との間には、絞り41が設けられており、ALC(Automatic light control)48からの制御信号に基づいてその絞り量が制御される。
【0048】
また、光源装置2は、750〜790nmの近赤外光を励起光L2として射出する近赤外LD光源44と、近赤外LD光源44を駆動するLDドライバ45と、近赤外LD光源44から射出された励起光L2を集光する集光レンズ46と、集光レンズ46によって集光された励起光L2をダイクロイックミラー43に向けて反射するとともに、後述する蛍光波長域照明光を透過するダイクロイックミラー47とを備えている。
【0049】
なお、励起光L2としては、広帯域の波長からなる通常光よりも狭帯域の波長が用いられる。そして、励起光L2としては上記波長域の光に限定されず、蛍光色素の種類もしくは自家蛍光させる生体組織の種類によって適宜決定される。
【0050】
また、光源装置2は、ICGの蛍光のピーク波長と略同じ波長の光を蛍光波長域照明光L0として射出する照明光LD光源49と、照明光LD光源49を駆動するLDドライバ50と、照明光LD光源49から射出された蛍光波長域照明光L0をダイクロイックミラー47に向けて反射するミラー57とを備えている。
【0051】
ここで、図6に、近赤外LD光源44から射出される励起光L2のスペクトルS1と、照明光LD光源49から射出される蛍光波長域照明光L0のスペクトルS2と、ICGの蛍光の発光スペクトルS3とを示している。上述したように、本実施形態においては、蛍光波長域照明光L0として、ICGの蛍光のピーク波長と略同じ波長の光を用いている。そして、この蛍光波長域照明光L0は、図3に示した蛍光画像を撮像する第1の撮像系における励起光カットフィルタ22を透過する光であり、ICG蛍光とともに高感度撮像素子24によって光電変換されるものである。
【0052】
なお、蛍光波長域照明光L0の波長としてはこの波長に限らず、励起光カットフィルタ22を透過する光であって高感度撮像素子24の感度範囲内の波長の光であればその他の波長の光を用いてもよい。
【0053】
また、光源装置2は、光ケーブルLCを介して硬性鏡撮像装置10に光学的に接続されている。
【0054】
次に、本実施形態の硬性鏡システムの作用について説明する。
【0055】
本実施形態の硬性鏡システムは、励起光の照射によるICGの蛍光の蛍光画像と、白色光の照射による通常画像と、励起光と蛍光波長域照明光とを同時に照射することによって、蛍光画像における蛍光部分以外の範囲も蛍光部分とともに確認できるようにした合成画像とを表示するものあるが、まずは、通常画像と蛍光画像とを表示する作用について説明する。
【0056】
まず、操作者により体腔挿入部30が体腔内に挿入され、体腔挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0057】
そして、光源装置2の通常光源40から射出された通常光L1が、集光レンズ42、ダイクロイックミラー43および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから被観察部に照射される。一方、光源装置2の近赤外LD光源44から射出された励起光L2が、集光レンズ46、ミラー47、ダイクロイックミラー43および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから通常光L1と同時に被観察部に照射される。
【0058】
そして、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像が撮像されるとともに、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像が撮像される。なお、被観察部には、予めICGが投与されており、このICGから発せられる蛍光を撮像するものとする。
【0059】
具体的には、通常像の撮像の際には、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像L3が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0060】
撮像ユニット20に入射された通常像L3は、ダイクロイックプリズム21により撮像素子26に向けて直角方向に反射され、第2結像光学系25により撮像素子26の撮像面上に結像され、撮像素子26によって所定のフレームレートで順次撮像される。
【0061】
撮像素子26から順次出力された通常画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介して画像処理装置3に順次出力される。
【0062】
そして、画像処理装置3に入力された通常画像信号は、通常画像入力コントローラ31において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の通常画像信号は、画像処理部33の通常画像処理部51において階調補正処理およびシャープネス補正処理が施された後、ビデオ出力部35に順次出力される。
【0063】
そして、ビデオ出力部35は、入力された通常画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて通常画像を表示する。
【0064】
一方、蛍光像の撮像の際には、励起光の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像L4が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0065】
撮像ユニット20に入射された蛍光像L4は、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を通過した後、第1結像光学系23により高感度撮像素子24の撮像面上に結像され、高感度撮像素子24によって所定のフレームレートで撮像される。
【0066】
高感度撮像素子24から順次出力された蛍光画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介して画像処理装置3に順次出力される。
【0067】
そして、画像処理装置3に入力された蛍光画像信号は、蛍光画像入力コントローラ32において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の蛍光画像信号は、画像処理部33の蛍光画像処理部52において所定の画像処理が施された後、ビデオ出力部35に順次出力される。
【0068】
そして、ビデオ出力部35は、入力された蛍光画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて蛍光画像を表示する。
【0069】
そして、上記のようにして蛍光画像が表示されている状態において、観察者が蛍光画像における発光部分だけでなく、その発光部分の周囲の範囲も確認したい場合がある。そのような場合には、観察者によって操作部36を用いて合成画像の表示指示が行われ、この指示に応じて合成画像の表示が行われる。以下、その合成画像の表示の作用について説明する。
【0070】
合成画像を表示する際には、具体的には、上述したような蛍光画像の撮像が行われている状態において、さらに、光源装置2の照明光LD光源49から射出された蛍光波長域照明光L0が、ミラー57、ダイクロイックミラー47、ダイクロイックミラー43および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから被観察部に照射される。
【0071】
このとき、励起光L2は連続して照射されているが、蛍光波長域照明光L0は、励起光L2が照射されている間に、所定の間隔を空けてパルス状に照射される。すなわち、照明光LD光源49は、オン・オフを交互に繰り返して駆動され、これに応じてパルス状の蛍光波長域照明光L0が照射される。
【0072】
そして、励起光L2のみが照射されている場合には、すなわち蛍光波長域照明光L0がオフしている場合には、上述した蛍光画像の撮像の場合と同様の処理が行われ、画像処理部33の蛍光画像処理部52において所定の画像処理が施された後、反射画像取得部54に出力される。
【0073】
一方、励起光L2と蛍光波長域照明光L0との両方が被観察部に照射されている場合には、励起光L2と蛍光波長域照明光L0との両方の照射によって被観察部から発せられた光に基づく混合像L5が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0074】
撮像ユニット20に入射された混合像L5は、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を通過した後、第1結像光学系23により高感度撮像素子24の撮像面上に結像され、高感度撮像素子24によって所定のフレームレートで撮像される。
【0075】
そして、高感度撮像素子24から順次出力された混合画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介して画像処理装置3に順次出力される。
【0076】
そして、画像処理装置3に入力された混合画像信号は、蛍光画像入力コントローラ32において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の混合画像信号は、画像処理部33の混合画像処理部53において所定の画像処理が施された後、反射画像取得部54に出力される。
【0077】
そして、反射画像取得部54においては、図7に示すように、入力された混合画像信号から蛍光画像信号が減算され、反射画像信号が取得される。この反射画像信号は、実質的に混合画像から蛍光画像の発光部分のみを差し引いた周辺部分を表す画像信号となる。
【0078】
そして、反射画像取得部54において取得された反射画像信号と、蛍光画像処理部52から出力された蛍光画像信号とがビデオ出力部35に出力される。
【0079】
そして、ビデオ出力部35は、入力された反射画像信号と蛍光画像信号とにそれぞれ異なる色を割り当てて合成することによって合成画像信号を生成し、その合成画像信号に対して所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて、図7に示すような合成画像を表示する。
【0080】
合成画像においては、蛍光画像の発光部分とその周辺部分とが互いに異なる色によって表示され、蛍光部分の周囲の部分についてもその状態を観察することができる。
【0081】
また、上記実施形態のように励起光L2と蛍光波長域照明光L0とを同時に照射して合成画像を表示する際、蛍光波長域照明光L0の光量が大き過ぎると、蛍光画像が反射画像に埋もれてしまい合成画像において蛍光部分が認識しづらくなる可能性がある。
【0082】
そこで、上記で取得した反射画像信号と蛍光画像信号とに基づいて、蛍光波長域照明光の光量を調整するようにしてもよい。
【0083】
具体的には、まず、蛍光画像信号からその発光部分のみの蛍光部分画像信号を抽出し、図8に示すように、混合画像信号からその蛍光部分画像信号を減算して反射画像信号を取得し、さらに、その反射画像信号から上記蛍光部分画像信号に対応する反射部分画像信号を抽出する。
【0084】
そして、蛍光画像信号が反射画像信号に対して信号強度が強い状態を維持するため、たとえば、蛍光部分画像信号と反射部分画像信号との関係が、下式(1)を満たす場合には、蛍光波長域照明光の光量を下げるようにすればよい。
蛍光部分画像信号 − 反射部分画像信号×2 < 0 ・・・(1)
そして、さらに下式(2)を満たす場合には、蛍光波長域照明光の光量を上げるようにしてもよい。
蛍光部分画像信号 − 反射部分画像信号×2 > 0 ・・・(2)
上式(1)と上式(2)との両方を満たすように制御することによって、蛍光画像信号の信号強度と反射画像信号の信号強度との比を一定に維持することができる。
【0085】
なお、上式(1)と上式(2)における定数の2は、この値に限らず、その他の1以上の値としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、励起光を連続照射するとともに蛍光波長域照明光をパルス状に照射することによって、励起光のみの照射による蛍光画像と、励起光および蛍光波長域照明光の照射による混合画像とを取得し、その混合画像から蛍光画像を減算することによって反射画像を取得し、その反射画像と蛍光画像とを用いて合成画像を生成するようにしたが、これに限らず、たとえば、励起光と蛍光波長域照明光とを交互に繰り返して照射し、励起光のみの照射による蛍光画像と、蛍光波長域照明光のみの照射による反射画像とを取得し、この蛍光画像と反射画像とを用いて合成画像を生成するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態においては、蛍光波長域照明光をパルス状に照射するようにしたが、これに限らず、観察者が合成画像を観察したいときに任意のタイミングで蛍光波長域照明光を照射して、上記実施形態と同様にして合成画像を生成するようにしてもよい。
【0088】
なお、上記実施形態においては、第1の撮像系により蛍光画像を撮像するようにしたが、これに限らず、被観察部への特殊光の照射による被観察部の吸光特性に基づく画像を撮像するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態は、本発明の画像取得装置を硬性鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡装置を有するその他の内視鏡システムに適用してもよい。また、内視鏡システムに限らず、体内に挿入される挿入部を備えていない、いわゆるビデオカメラ型の医用画像撮像装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 硬性鏡システム
2 光源装置
3 画像処理装置
4 モニタ
10 硬性鏡撮像装置
20 撮像ユニット
22 励起光カットフィルタ
24 高感度撮像素子
26 撮像素子
30 体腔挿入部
33 画像処理部
35 ビデオ出力部
40 通常光源
49 照明光LD光源
50 ドライバ
51 通常画像処理部
52 蛍光画像処理部
53 混合画像処理部
54 反射画像取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特殊光を被観察部に照射する特殊光照射部と、前記特殊光の照射によって前記被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を撮像する撮像素子および前記光を透過するとともに前記特殊光の波長以下の波長帯域の光をカットする特殊光カットフィルタを有する撮像部とを備えた画像撮像装置において、
前記特殊光カットフィルタを透過する波長であって、前記撮像素子の感度範囲内の波長の照明光を前記被観察部に照射する照明光照射部を備えたことを特徴とする画像撮像装置。
【請求項2】
前記特殊光照射部と前記照明光照射部とが、互いに独立して前記特殊光と前記照明光とを照射可能なものであることを特徴とする請求項1記載の画像撮像装置。
【請求項3】
前記撮像部が、前記特殊光のみの前記被観察部への照射によって前記被観察部から発せられた光を受光して特殊画像を撮像するものであるとともに、前記特殊光と前記照明光との両方の照射によって前記被観察部から発せられた光を受光して混合画像を撮像するものであり、
前記混合画像と前記特殊画像とに基づいて、前記照明光の前記被観察部への照射による反射光のみに応じた反射画像を取得する反射画像取得部と、
前記特殊画像と前記反射画像とを合成した合成画像を取得する合成画像取得部とを備えたことを特徴とする請求項2記載の画像撮像装置。
【請求項4】
前記特殊画像の信号強度が前記反射画像の信号強度の1以上の定数倍よりも小さい場合には、前記照明光の光量を減らすように前記照明光照射部を制御する照明光制御部を備えたことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の画像撮像装置。
【請求項5】
前記照明光制御部が、前記特殊画像の信号強度が前記反射画像の信号強度の1以上の定数倍よりも大きい場合には、前記照明光の光量を増やすように前記照明光照射部を制御するものであることを特徴とする請求項4記載の画像撮像装置。
【請求項6】
前記特殊光カットフィルタによってカットされる通常光を前記被観察部に照射する通常光照射部と、
前記通常光の前記被観察部への照射によって前記被観察部から反射された反射光を受光して通常画像を撮像する通常画像撮像部とを備えたことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の画像撮像装置。
【請求項7】
前記特殊光照射部が、前記特殊光として励起光を前記被観察部に照射するものであり、
前記撮像部が、前記励起光の照射によって前記被観察部から発せられた蛍光を受光して前記特殊画像として蛍光画像を撮像するものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の画像撮像装置。
【請求項8】
前記照明光照射部が、前記照明光として、前記特殊光の照射によって前記被観察部から発せられた光のピーク波長と略同じ波長の光を照射するものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−50633(P2012−50633A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195114(P2010−195114)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
【Fターム(参考)】