説明

画像理装置および方法、並びにプログラム

【課題】右画像および左画像からなる立体画像の視差を正確に検出する。
【解決手段】視差検出部は、右画像と左画像からそれらの画像の各画素の視差を示す視差マップを生成するとともに、その視差の確からしさを示す信頼度マップを生成する。奥行き情報推定部は、右画像または左画像から、画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する。奥行き視差変換部は、奥行き情報の視差情報への変換式を用いて、奥行き情報マップを擬似視差マップに変換する。視差合成部は、信頼度マップを用いて、視差マップと擬似視差マップとを合成し、補正視差マップを生成する。本発明は、画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は画像処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、右画像および左画像からなる立体画像の視差をより正確に検出できるようにした画像処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
右画像と左画像とからなる立体画像から得られる視差は、立体画像を観察するユーザから被写体までの奥行きに対応し、立体画像の視差検出は立体画像の視差調整や視点合成、3次元インターフェースなど、様々なアプリケーションソフトに応用可能である。このような立体画像の視差検出は、左右の画像間の対応点を検出する問題に帰着される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−008539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、立体画像を構成する一方の画像の点に対して、画像上の平坦な部分や繰り返しパターンの部分など、他方の画像上に同様に確からしい対応点の候補が複数存在する場合には、正確な対応付けが困難となり、高精度に視差を検出することができなかった。
【0005】
また、画像上の物体の側面や複数の物体が奥行き方向に重なって見えている場合などには、特定の被写体の領域が立体画像の一方の画像にしか存在せず、そのような領域においては対応点を検出する方法では視差を検出することができなかった。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、立体画像の視差をより正確に検出することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の画像処理装置は、立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部と、前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップを生成する信頼度算出部と、前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成する視差合成部とを備える。
【0008】
前記視差合成部には、前記信頼度マップにより定まる重みを用いて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを重み付き加算することにより、前記補正視差マップを生成させることができる。
【0009】
前記視差合成部には、前記擬似視差マップの高域成分と、前記視差マップの低域成分とを合成して合成マップを生成する成分合成部と、前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記合成マップとを合成して前記補正視差マップを生成する加算部とを設けることができる。
【0010】
前記視差合成部には、前記擬似視差マップの低域成分と、前記視差マップの高域成分とを合成して合成マップを生成する成分合成部と、前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記合成マップとを合成して前記補正視差マップを生成する加算部とを設けることができる。
【0011】
画像処理装置には、前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素近傍の領域と、他方の画像上の前記所定の画素に対応する対応画素近傍の領域との残差を示す残差マップを生成する残差マップ生成部をさらに設け、前記信頼度算出部には、前記残差マップに基づいて前記信頼度マップを生成させることができる。
【0012】
前記視差マップ生成部には、前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素近傍の領域と、他方の画像上の画素近傍の領域との残差が最小となる前記他方の画像の画素を、前記所定の画素に対応する画素として検出することで前記視差マップを生成させ、前記他方の画像上の所定方向に並ぶ画素の前記残差のピークの先鋭度を示し、前記信頼度マップの生成に用いられるピーク先鋭度マップを生成するピーク先鋭度マップ生成部をさらに設けることができる。
【0013】
画像処理装置には、前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素に対応する他方の画像の第1の対応画素の検出結果と、前記他方の画像の前記第1の対応画素に対応する前記一方の画像の第2の対応画素の検出結果とに基づいて、前記所定の画素と前記第1の対応画素との一致度を示す一致度マップを生成する一致度算出部をさらに設け、前記信頼度算出部には、前記一致度マップに基づいて前記信頼度マップを生成させることができる。
【0014】
本技術の第1の側面の画像処理方法またはプログラムは、立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成し、前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップを生成し、前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成し、前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換し、前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成するステップを含む。
【0015】
本技術の第1の側面においては、立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップが生成され、前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップが生成され、前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップが生成され、前記奥行き情報マップが、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換され、前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとが合成されて補正視差マップが生成される。
【0016】
本技術の第2の側面の画像処理装置は、立体画像を構成する右画像または左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、前記右画像および前記左画像と、前記擬似視差マップとに基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部とを備える。
【0017】
本技術の第2の側面の画像処理方法またはプログラムは、立体画像を構成する右画像または左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成し、前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換し、前記右画像および前記左画像と、前記擬似視差マップとに基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成するステップを含む。
【0018】
本技術の第2の側面においては、立体画像を構成する右画像または左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップが生成され、前記奥行き情報マップが、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換され、前記右画像および前記左画像と、前記擬似視差マップとに基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップが生成される。
【発明の効果】
【0019】
本技術の第1の側面および第2の側面によれば、立体画像の視差をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像処理装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】視差検出部の構成例を示す図である。
【図3】視差合成部の構成例を示す図である。
【図4】視差検出処理を説明するフローチャートである。
【図5】視差マップ生成処理を説明するフローチャートである。
【図6】対応画素の検出について説明する図である。
【図7】残差の算出のための関数について説明する図である。
【図8】残差のピークの先鋭度について説明する図である。
【図9】ピークの深さの評価値の算出のための関数について説明する図である。
【図10】ピークの幅の評価値の算出のための関数について説明する図である。
【図11】一致度の算出について説明する図である。
【図12】一致度の算出のための関数について説明する図である。
【図13】補正視差マップ生成処理を説明するフローチャートである。
【図14】視差合成部の他の構成例を示す図である。
【図15】補正視差マップ生成処理を説明するフローチャートである。
【図16】視差合成部の他の構成例を示す図である。
【図17】補正視差マップ生成処理を説明するフローチャートである。
【図18】画像処理装置の他の構成例を示す図である。
【図19】視差検出処理を説明するフローチャートである。
【図20】対応画素の検出について説明する図である。
【図21】コンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本技術を適用した実施の形態について説明する。
【0022】
〈第1の実施の形態〉
[画像処理装置の構成例]
図1は、本技術を適用した画像処理装置の一実施の形態の構成例を示す図である。
【0023】
この画像処理装置11は、右画像と左画像からなる立体画像が供給されると、立体画像の視差を検出し、その検出結果を出力するものである。ここで、右画像とは、立体画像の表示時にユーザの右眼で観察されるように表示される画像であり、左画像とは、立体画像の表示時にユーザの左眼で観察されるように表示される画像である。
【0024】
画像処理装置11は、視差検出部21、奥行き情報推定部22R、奥行き情報推定部22L、および統合部23から構成される。
【0025】
視差検出部21は、供給された右画像および左画像に基づいて、立体画像の各画素における視差を示す視差マップと、視差マップにより示される各画素の視差の確からしさ、すなわち信頼度を示す信頼度マップとを生成して統合部23に供給する。
【0026】
なお、以下において、特に右画像を基準とする視差マップ、すなわち右画像上の各画素と、それらの画素に対応する左画像上の画素との視差を示す視差マップをRL視差マップとも称し、左画像を基準とする視差マップをLR視差マップとも称する。また、以下、RL視差マップの信頼度を示す信頼度マップをRL信頼度マップとも称し、LR視差マップの信頼度を示す信頼度マップをLR信頼度マップとも称する。
【0027】
奥行き情報推定部22Rは、供給された右画像に基づいて、右画像上の各領域(被写体)の奥行きを示すR奥行き情報マップを生成し、統合部23に供給する。奥行き情報推定部22Lは、供給された左画像に基づいて、左画像上の各領域の奥行きを示すL奥行き情報マップを生成し、統合部23に供給する。
【0028】
ここで、画像上の被写体の奥行きとは、画像を観察するユーザが知覚すると推定される被写体の相対的な奥行き位置をいう。なお、以下、奥行き情報推定部22Rと奥行き情報推定部22Lを特に区別する必要のない場合、単に奥行き情報推定部22とも称する。また、以下、R奥行き情報マップとL奥行き情報マップを特に区別する必要のない場合、単に奥行き情報マップとも称する。
【0029】
統合部23は、視差検出部21からの信頼度マップに基づいて、視差検出部21からの視差マップと、奥行き情報推定部22からの奥行き情報マップとを統合し、補正視差マップを生成する。換言すれば、信頼度マップに応じて、奥行き情報マップを用いた視差マップの補正が行なわれる。
【0030】
統合部23は、奥行き視差変換部31R、奥行き視差変換部31L、視差合成部32R、および視差合成部32Lを備えている。
【0031】
奥行き視差変換部31Rは、視差検出部21から供給されたRL視差マップおよびRL信頼度マップに基づいて、奥行き情報推定部22RからのR奥行き情報マップを、視差情報を有する擬似R視差マップに変換し、視差合成部32Rに供給する。すなわち、奥行きを示すR奥行き情報マップが、その奥行きに対応する視差を示す擬似R視差マップに変換される。
【0032】
視差合成部32Rは、視差検出部21から供給されたRL信頼度マップに基づいて、視差検出部21からのRL視差マップと、奥行き視差変換部31Rからの擬似R視差マップとを統合して補正RL視差マップを生成し、出力する。
【0033】
奥行き視差変換部31Lは、視差検出部21から供給されたLR視差マップおよびLR信頼度マップに基づいて、奥行き情報推定部22LからのL奥行き情報マップを、視差情報を有する擬似L視差マップに変換し、視差合成部32Lに供給する。視差合成部32Lは、視差検出部21から供給されたLR信頼度マップに基づいて、視差検出部21からのLR視差マップと、奥行き視差変換部31Lからの擬似L視差マップとを統合して補正LR視差マップを生成し、出力する。
【0034】
なお、以下、奥行き視差変換部31Rと奥行き視差変換部31Lを特に区別する必要のない場合、単に奥行き視差変換部31とも称し、視差合成部32Rと視差合成部32Lを特に区別する必要のない場合、単に視差合成部32とも称する。
【0035】
また、以下、擬似R視差マップと擬似L視差マップを特に区別する必要のない場合、単に擬似視差マップとも称し、補正RL視差マップと補正LR視差マップを特に区別する必要のない場合、単に補正視差マップとも称する。
【0036】
[視差検出部の構成例]
また、図1の視差検出部21は、より詳細には図2に示すように構成される。
【0037】
すなわち、視差検出部21は、対応点検出部61R、対応点検出部61L、一致度算出部62、信頼度算出部63R、および信頼度算出部63Lから構成される。
【0038】
対応点検出部61Rは、左画像から右画像の画素に対応する画素を検出し、RL視差マップ、RL残差マップ、およびRLピーク先鋭度マップを生成する。対応点検出部61Rは、視差マップ生成部71R、残差マップ生成部72R、およびピーク先鋭度マップ生成部73Rを備えている。
【0039】
視差マップ生成部71Rは、供給された左画像と右画像に基づいてRL視差マップを生成し、一致度算出部62、奥行き視差変換部31R、および視差合成部32Rに供給する。すなわち、右画像の各画素に対応する左画像上の画素が検出され、それらの画素位置に基づいて、RL視差マップが生成される。なお、以下、右画像と左画像のうちの一方の画像の画素に対応する他方の画像の画素を対応画素とも称することとする。例えば、右画像の所定画素に対応する左画像の対応画素は、右画像の所定画素と同じ被写体が表示されている画素である。
【0040】
残差マップ生成部72Rは、右画像および左画像と、視差マップ生成部71Rによる対応画素の検出結果とに基づいて、右画像の画素近傍の領域と、その画素に対応する左画像の対応画素近傍の領域との残差を示すRL残差マップを生成し、信頼度算出部63Rに供給する。
【0041】
ピーク先鋭度マップ生成部73Rは、供給された左画像と右画像に基づいて、右画像の画素と、左画像上の各画素との残差を表す曲線のピークの先鋭度、すなわち残差の分散の度合いを示すRLピーク先鋭度マップを生成し、信頼度算出部63Rに供給する。
【0042】
対応点検出部61Lは、左画像の各画素に対する右画像の対応画素を検出し、LR視差マップ、LR残差マップ、およびLRピーク先鋭度マップを生成する。対応点検出部61Lは、視差マップ生成部71L、残差マップ生成部72L、およびピーク先鋭度マップ生成部73Lを備えている。
【0043】
これらの視差マップ生成部71L乃至ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、視差マップ生成部71R乃至ピーク先鋭度マップ生成部73Rと同様の処理を行うので、その説明は省略する。対応点検出部61Lでは、視差マップ生成部71L、残差マップ生成部72L、およびピーク先鋭度マップ生成部73Lにより、LR視差マップ、LR残差マップ、およびLRピーク先鋭度マップが生成される。
【0044】
なお、以下、対応点検出部61Rと対応点検出部61Lを特に区別する必要のない場合、単に対応点検出部61と称する。また、視差マップ生成部71Rと視差マップ生成部71Lを特に区別する必要のない場合、単に視差マップ生成部71とも称し、残差マップ生成部72Rと残差マップ生成部72Lを特に区別する必要のない場合、単に残差マップ生成部72とも称する。さらに、ピーク先鋭度マップ生成部73Rとピーク先鋭度マップ生成部73Lを特に区別する必要のない場合、単にピーク先鋭度マップ生成部73とも称する。
【0045】
さらに、以下、RL残差マップとLR残差マップを特に区別する必要のない場合、単に残差マップとも称し、RLピーク先鋭度マップとLRピーク先鋭度マップを特に区別する必要のない場合、単にピーク先鋭度マップとも称する。
【0046】
一致度算出部62は、対応点検出部61RからのRL視差マップと、対応点検出部61LからのLR視差マップとに基づいて、視差マップの一致度を示す一致度マップを生成する。すなわち、一致度算出部62は、RL視差マップのLR視差マップとの一致度を示すRL一致度マップを生成して信頼度算出部63Rに供給し、LR視差マップのRL視差マップとの一致度を示すLR一致度マップを生成して信頼度算出部63Lに供給する。
【0047】
なお、以下、RL一致度マップとLR一致度マップを特に区別する必要のない場合、単に一致度マップとも称する。
【0048】
信頼度算出部63Rは、対応点検出部61RからのRL残差マップおよびRLピーク先鋭度マップと、一致度算出部62からのRL一致度マップとに基づいて、RL信頼度マップを生成し、奥行き視差変換部31Rおよび視差合成部32Rに供給する。
【0049】
信頼度算出部63Lは、対応点検出部61LからのLR残差マップおよびLRピーク先鋭度マップと、一致度算出部62からのLR一致度マップとに基づいて、LR信頼度マップを生成し、奥行き視差変換部31Lおよび視差合成部32Lに供給する。なお、以下、信頼度算出部63Rと信頼度算出部63Lを特に区別する必要のない場合、単に信頼度算出部63とも称する。
【0050】
[視差合成部の構成例]
また、図1の視差合成部32Rは、より詳細には例えば図3に示すように構成される。
【0051】
すなわち、視差合成部32Rは、乗算部101R、乗算部102R、および加算部103Rから構成される。視差合成部32Rは、信頼度算出部63Rから供給されたRL信頼度マップをそのまま重みとして乗算部102Rに供給するとともに、RL信頼度マップにより定まる重みを乗算部101Rに供給する。
【0052】
乗算部101Rは、奥行き視差変換部31Rから供給された擬似R視差マップに供給された重みを乗算し、加算部103Rに供給する。乗算部102Rは、対応点検出部61Rから供給されたRL視差マップに供給された重みを乗算し、加算部103Rに供給する。
【0053】
加算部103Rは、乗算部101Rからの擬似R視差マップと、乗算部102RからのRL視差マップとを加算して補正RL視差マップを生成し、後段のブロックに出力する。
【0054】
なお、視差合成部32Lの構成も図3の視差合成部32Rの構成と同様であるので、その図示および説明は省略する。また、以下において、乗算部101R、乗算部102R、および加算部103Rに対応する視差合成部32Lの各部を、それぞれ乗算部101L、乗算部102L、および加算部103Lと称することとする。
【0055】
さらに、以下、乗算部101Rと乗算部101Lを特に区別する必要のない場合、単に乗算部101とも称し、乗算部102Rと乗算部102Lを特に区別する必要のない場合、単に乗算部102とも称する。また、加算部103Rと加算部103Lを特に区別する必要のない場合、単に加算部103とも称する。
【0056】
[視差検出処理の説明]
ところで、画像処理装置11に右画像および左画像からなる立体画像が供給され、視差の検出が指示されると、画像処理装置11は視差検出処理を行って補正視差マップを生成し、出力する。以下、図4のフローチャートを参照して、画像処理装置11による視差検出処理について説明する。
【0057】
ステップS11において、視差検出部21は、視差マップ生成処理を行って、視差マップおよび信頼度マップを生成し、統合部23に供給する。なお、視差マップ生成処理の詳細は後述する。視差マップ生成処理が行われると、生成された視差マップおよび信頼度マップが、奥行き視差変換部31および視差合成部32に供給される。
【0058】
ステップS12において、奥行き情報推定部22は奥行き情報マップを生成し、奥行き視差変換部31に供給する。すなわち、奥行き情報推定部22Rは、供給された右画像に基づいてR奥行き情報マップを生成して奥行き視差変換部31Rに供給し、奥行き情報推定部22Lは、供給された左画像に基づいてL奥行き情報マップを生成して奥行き視差変換部31Lに供給する。
【0059】
例えば、奥行き情報推定部22Rは、フィルタ処理などにより右画像から高域成分を抽出するとともに、右画像をいくつかのブロックに分割する。そして、奥行き情報推定部22Rは、ブロックごとに、ブロック内の各位置における高域成分の値の絶対値の和(積算値)を求めることで、R奥行き情報マップを生成する。奥行き情報推定部22Lも同様の処理を行って、L奥行き情報マップを生成する。
【0060】
一般的に、ユーザからみて手前側に見える(定位する)被写体、つまり前景の領域や、画像上の焦点の合っている領域には高域成分が多く含まれており、そのような領域に対応するR奥行き情報マップの画素の値(高域成分の積算値)は、大きくなるはずである。したがって、R奥行き情報マップにおいて画素の画素値が大きい領域ほど、その領域と同じ位置にある右画像の領域は、右画像を観察するユーザから見て、より手前側に見える被写体の領域であると推定することができる。なお、画像に対する奥行きの推定方法については、例えば、特開2007−208399号公報などに詳細に記載されている。
【0061】
また、例えば奥行き情報推定部22が、画像上の各画素の色を特定して、暖色系の色を有する画素は手前側にある被写体の画素であるとし、寒色系の色を有する画素は奥側にある被写体の画素であるとして、奥行き情報マップを生成してもよい。これは、暖色系の色ほど手前側に定位しているように見えるという人の視覚特性を利用したものである。
【0062】
さらに、例えば奥行き情報推定部22が、画像(右画像または左画像)に対するシーン認識を行い、認識されたシーンに対して予め定められた奥行き情報マップを出力するようにしてもよい。
【0063】
なお、奥行き情報マップの生成方法は、奥行き情報を推定して、その奥行き情報を示すマップを生成する方法であれば、既存の2D3D変換技術を利用した方法など、どのような方法であってもよい。例えば、2D3D変換技術については、「JVC,”Real-time 2D-to-3D Conversion at Full HD 1080P Resolution”The 13th IEEE International Symposium on Consumer Electronics(ISCE2009)」や「東芝”2D to 3Dコンテンツ変換技術”映像情報メディア学会年次大会2010」などに詳細に記載されている。
【0064】
ステップS13において、奥行き視差変換部31は、奥行き情報推定部22からの奥行き情報マップ、対応点検出部61からの視差マップ、および信頼度算出部63からの信頼度マップに基づいて、奥行き情報の視差情報への変換式を生成する。
【0065】
例えば、右画像と左画像の視差の方向をi方向とし、i方向と垂直な方向をj方向とするij座標系において、座標(i,j)の位置にある右画像上の画素と同じ位置にあるR奥行き情報マップの画素の画素値がO(i,j)であるとする。また、座標(i,j)にある右画像上の画素と同じ位置にある擬似R視差マップの画素の画素値がPDP(i,j)であるとする。ここで、擬似R視差マップの画素の画素値PDP(i,j)は、これから求めようとする値である。
【0066】
このとき、奥行き視差変換部31Rは、視差情報と奥行き情報の関係のモデル化を行なう。すなわち、奥行き視差変換部31Rは、次式(1)によりR奥行き情報マップの画素の画素値O(i,j)が、擬似R視差マップの画素の画素値PDP(i,j)に線形変換されると仮定する。なお、式(1)において、pおよびqは定数である。
【0067】
【数1】

【0068】
奥行き情報マップは、右画像上の各被写体の奥行き情報を示しており、この奥行き情報は、左右の画像の位置ずれとして検出される視差情報とは特性が異なるため、奥行き情報マップと視差マップを合成するには、それらのマップの特性を合わせる必要がある。
【0069】
そこで、奥行き視差変換部31Rは、奥行き情報である画素値O(i,j)が線形な関数「p×O(i,j)+q」により、等価な視差情報に変換されるものとして、この線形関数を求める。
【0070】
具体的には、奥行き視差変換部31Rは、座標(i,j)にある右画像上の画素と同じ位置にあるRL視差マップの画素の画素値をDPRL(i,j)として、次式(2)の値を最小とする定数pおよびqを最小自乗法により算出する。
【0071】
【数2】

【0072】
すなわち、奥行き視差変換部31Rは、RL視差マップの画素のうち、その画素と同じ位置にあるRL信頼度マップの画素の画素値が所定の閾値T1以上である画素のみを抽出する。そして、奥行き視差変換部31Rは、抽出した各画素について、その画素の画素値DPRL(i,j)と、その画素と同じ位置にあるR奥行き情報マップの画素の画素値O(i,j)とを用いて、差分「DPRL(i,j)−p×O(i,j)−q」を求める。さらに、奥行き視差変換部31Rは、このようにして求められた差分の自乗の和Fを最小とする定数pおよびqを算出する。
【0073】
このようにして求められた定数pとqとから、奥行き情報を視差情報に変換する変換式「p×O(i,j)+q」、すなわち上述した式(1)の右辺が得られる。また、奥行き視差変換部31Lも奥行き視差変換部31Rと同様の処理を行って、L奥行き情報マップを擬似L視差マップに変換する変換式を求める。
【0074】
このようにして、奥行き情報を視差情報に変換する変換式を求めることで、奥行き情報を有する奥行き情報マップを、適切に視差情報を有する擬似視差マップに変換することができるようになる。
【0075】
なお、ここでは、変換式として線形関数を例に説明したが、変換式は線形関数に限らず、どのような関数であってもよい。視差情報と奥行き情報の関係は、どのようにして奥行き情報を求めるかによって異なるので、奥行き情報マップに応じて適切なモデル化が行なわれ、変換式が求められるようにすればよい。
【0076】
ステップS14において、奥行き視差変換部31は、ステップS13の処理で求めた変換式を用いて、奥行き情報マップを擬似視差マップに変換し、得られた擬似視差マップを視差合成部32の乗算部101に供給する。
【0077】
例えば、奥行き視差変換部31Rは、R奥行き情報マップの各画素の画素値O(i,j)を上述した式(1)に代入して得られた値を、それらの画素と同じ位置にある擬似R視差マップの画素の画素値PDP(i,j)とする。奥行き視差変換部31Lも奥行き視差変換部31Rと同様の処理を行って、擬似L視差マップを生成し、乗算部101Lに供給する。
【0078】
ステップS15において、視差合成部32は、補正視差マップ生成処理を行って補正視差マップを生成する。
【0079】
なお、補正視差マップ生成処理の詳細は後述するが、この補正視差マップ生成処理では、信頼度マップに基づいて、視差マップと擬似視差マップとが合成(統合)されて補正視差マップとされる。このとき、例えば視差マップの信頼度の高い領域では、視差マップがそのまま用いられて補正視差マップとされ、視差マップの信頼度の低い領域では、補正視差マップの生成に対する擬似視差マップの寄与率が高くなるようにされる。
【0080】
補正視差マップ生成処理が行われると、生成された補正視差マップが後段に出力され、その後、視差検出処理は終了する。
【0081】
このようにして、画像処理装置11は、左右の画像から視差マップを生成するとともに、右または左の一方の画像から奥行き情報マップを生成し、奥行き情報マップを擬似視差マップに変換する。そして、画像処理装置11は、視差マップの信頼度に応じて視差マップと擬似視差マップとを合成し、最終的な視差検出結果としての補正視差マップを生成する。
【0082】
このように、視差マップの信頼度に応じて、視差マップと擬似視差マップとを統合して最終的な視差検出結果である補正視差マップを生成することで、より正確で安定した視差検出を行うことができる。
【0083】
例えば、平坦部や繰り返しパターンの部分など、右画像と左画像との対応付けが困難である領域では、信頼度マップの画素の画素値が小さくなり、視差マップの信頼度が低くなる。しかし、そのような場合には、左右の何れかの画像から推定された視差、つまり擬似視差マップがより多く用いられて補正視差マップが生成されるので、視差マップのみを用いる場合よりも、より正確な立体画像の視差を求めることができる。
【0084】
[視差マップ生成処理の説明]
次に、図5のフローチャートを参照して、図4のステップS11の処理に対応する視差マップ生成処理について説明する。
【0085】
ステップS41において、視差マップ生成部71は、供給された右画像および左画像に基づいて視差マップを生成し、一致度算出部62および視差合成部32に供給する。
【0086】
例えば、視差マップ生成部71Lは、ブロックマッチングなどにより、左画像上の各画素について、それらの画素に対する右画像の対応画素を検出する。
【0087】
具体的には、視差マップ生成部71Lは、図6の上側に示すように、左画像I上の1つの画素を注目する注目画素g(i,j)とし、注目画素g(i,j)に対する対応点の候補となる右画像I上の画素を画素g’(i+d,j)とする。ここで、対応点の候補である画素g’(i+d,j)は、注目画素g(i,j)とj座標が同じであり、かつ右画像I上の注目画素と同じ位置から、i方向にd画素だけ離れた位置にある画素である。
【0088】
なお、図6において、横方向および縦方向は、ij座標系におけるi方向およびj方向を示している。また、座標が(i,j)である左画像Iの画素の画素値をI(i,j)とし、座標が(i,j)である右画像Iの画素の画素値をI(i,j)であるとする。例えば、左画像I上の画素値がI(i,j)である画素は、左画像Iの左端からi番目であり、かつ左画像Iの上端からj番目に位置する画素である。
【0089】
視差マップ生成部71Lは、注目画素g(i,j)を中心とする所定の領域gb内の画素の画素値と、画素g’(i+d,j)を中心とする所定の領域gb’内の画素の画素値との差分絶対値和を、注目画素における残差Ri,j(d)として算出する。
【0090】
すなわち、視差マップ生成部71Lは、次式(3)を計算することにより、残差Ri,j(d)を算出する。
【0091】
【数3】

【0092】
視差マップ生成部71Lは、予め定められた範囲(例えば、−drng≦d≦drng)内でdの値を変化させながら、各dの値について、つまり各対応画素の候補について、注目画素の残差Ri,j(d)を算出する。
【0093】
ここで、残差Ri,j(d)は、注目画素g(i,j)近傍の領域gb内の画素の画素値と、対応画素の候補である画素g’(i+d,j)近傍の領域gb’内の画素の画素値との差分絶対値和である。したがって、領域gbと領域gb’が類似しているほど、残差Ri,j(d)が小さくなるはずである。
【0094】
そこで、視差マップ生成部71Lは、右画像Iの画素のうち、残差Ri,j(d)が最小となる画素g’(i+d,j)を注目画素の対応画素として、次式(4)により注目画素g(i,j)と同じ位置にあるLR視差マップの画素の画素値DPLR(i,j)を求める。
【0095】
【数4】

【0096】
すなわち、残差Ri,j(d)が最小となるときのdの値が、左画像Iの注目画素g(i,j)における右画像Iとの視差として検出される。この視差d(画素値DPLR(i,j))は、対応画素のi座標から、注目画素のi座標を減算して得られる値である。
【0097】
視差マップ生成部71Lは、左画像Iの各画素を順番に注目画素として、注目画素と同じ位置にあるLR視差マップの画素の画素値DPLR(i,j)を求めることで、LR視差マップを生成する。視差マップ生成部71Lは、生成したLR視差マップを、一致度算出部62および乗算部102Lに供給する。
【0098】
また、視差マップ生成部71Rは、視差マップ生成部71Lと同様の処理を行って、注目画素と同じ位置にあるRL視差マップの画素の画素値DPRL(i,j)を求めることで、RL視差マップを生成する。
【0099】
すなわち、例えば、視差マップ生成部71Rは図6の下側に示すように、右画像I上の1つの画素を注目する注目画素g(i,j)とし、注目画素g(i,j)に対する対応点の候補となる左画像I上の画素を画素g’(i+d,j)とする。
【0100】
視差マップ生成部71Rは、注目画素g(i,j)を中心とする所定の領域gb内の画素の画素値と、画素g’(i+d,j)を中心とする所定の領域gb’内の画素の画素値との差分絶対値和を、注目画素における残差として算出する。つまり、上述した式(3)と同様の演算が行なわれる。
【0101】
そして、視差マップ生成部71Rは、残差が最小となるときのdの値を、右画像Iの注目画素g(i,j)における左画像Iとの視差とし、その視差の値を注目画素と同じ位置にあるRL視差マップの画素の画素値DPRL(i,j)とする。すなわち、画素値DPRL(i,j)は、対応画素のi座標から、注目画素のi座標を減算して得られる値である。
【0102】
視差マップ生成部71Rは、右画像Iの各画素を順番に注目画素として、注目画素と同じ位置にあるRL視差マップの画素の画素値DPRL(i,j)を求めることで、RL視差マップを生成する。視差マップ生成部71Rは、生成したRL視差マップを、一致度算出部62および乗算部102Rに供給する。
【0103】
図5のフローチャートの説明に戻り、ステップS42において、残差マップ生成部72は、左画像および右画像と視差マップとに基づいて残差マップを生成し、信頼度算出部63に供給する。
【0104】
例えば、残差マップ生成部72Lは、左画像上の画素を順番に注目画素として、次式(5)を計算することで、座標が(i,j)である注目画素と同じ位置にあるLR残差マップの画素の画素値ELR(i,j)を求める。
【0105】
【数5】

【0106】
すなわち、左画像上の注目画素近傍の領域内の画素の画素値と、注目画素に対する右画像上の対応画素近傍の領域内の画素の画素値との差分絶対値和が、所定の関数N(x)に代入されて、LR残差マップの画素の画素値ELR(i,j)とされる。
【0107】
ここで、関数N(x)は、例えば図7に示す関数とされる。なお、図7において、縦軸は関数N(x)の値を示しており、横軸は関数N(x)に代入されるxの値、つまり差分絶対値和の値を示している。
【0108】
図7では、折れ線C11は、各xの値に対する関数N(x)の値を示しており、xが0からT11までの区間では、関数N(x)=0となっている。また、x≧T12の区間では関数N(x)=1となっており、T11≦x≦T12の区間では、関数N(x)の値はxの値に比例して大きくなっていく。
【0109】
したがって、注目画素近傍の領域と、注目画素に対する対応画素近傍の領域とが類似しているほど、つまりそれらの領域の差分絶対値和(残差)が小さいほど、LR残差マップの画素の画素値ELR(i,j)は小さくなる。
【0110】
残差マップ生成部72Lは、左画像上の各画素を注目画素として、それらの注目画素に対応するLR残差マップの画素の画素値ELR(i,j)を求めることで、LR残差マップを生成し、信頼度算出部63Lに供給する。このようにして得られるLR残差マップの画素の画素値は、その画素と同じ位置にある左画像上の画素の視差が確からしいほど小さくなる。
【0111】
同様に、残差マップ生成部72Rは、右画像上の画素を順番に注目画素として、次式(6)を計算することで、座標が(i,j)である注目画素と同じ位置にあるRL残差マップの画素の画素値ERL(i,j)を求める。
【0112】
【数6】

【0113】
すなわち、右画像上の注目画素近傍の領域内の画素の画素値と、注目画素に対する左画像上の対応画素近傍の領域内の画素の画素値との差分絶対値和が、関数N(x)に代入されて、RL残差マップの画素の画素値ERL(i,j)とされる。
【0114】
RL残差マップにおいても、注目画素近傍の領域と、注目画素に対する対応画素近傍の領域との差分絶対値和(残差)が小さいほど、RL残差マップの画素の画素値ERL(i,j)は小さくなる。したがって、RL残差マップの画素の画素値は、その画素と同じ位置にある右画像上の画素の視差が確からしいほど小さくなる。
【0115】
残差マップ生成部72Rは、右画像上の各画素を注目画素として、それらの注目画素に対応するRL残差マップの画素の画素値ERL(i,j)を求めることで、RL残差マップを生成し、信頼度算出部63Rに供給する。
【0116】
ステップS43において、ピーク先鋭度マップ生成部73は、供給された左画像と右画像に基づいてピーク先鋭度マップを生成し、信頼度算出部63に供給する。
【0117】
例えば、ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、左画像上の各画素を順番に注目画素とする。そして、ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、視差マップ生成部71Lにより計算された、注目画素についての各視差dに対する残差Ri,j(d)の計算結果に基づいて、注目画素と同じ位置にあるLRピーク先鋭度マップの画素の画素値PKLR(i,j)を算出する。
【0118】
具体的には、左画像上の注目画素についての各視差d(対応画素の候補)に対する残差Ri,j(d)の計算結果として、例えば図8に示す結果が得られたとする。なお、図8において、横軸は注目画素と対応画素の候補との視差dを示しており、縦軸は各視差dにおける残差Ri,j(d)の値を示している。
【0119】
図8の例では、曲線C21は各視差dにおける残差Ri,j(d)を表しており、この曲線C21の図中、下方向に凸となるピーク位置、つまり残差Ri,j(d)が最小となるdの位置が、注目画素の視差d=DPLR(i,j)である。
【0120】
各視差dにおける残差Ri,j(d)は、各対応画素の候補について式(3)により求められた残差であるから、曲線C21のピークの深さが深く、かつピーク部分の幅が狭いほど、つまり相対的に小さい残差が狭い範囲に集中しているほどピークの先鋭度は大きくなる。ここで、残差Ri,j(d)の最大値をrmaxとし、残差Ri,j(d)の最小値をrminとすると、残差のピークの深さは、例えばrmax−rminにより定義することができる。
【0121】
ピーク先鋭度が大きいほど、対応画素らしい候補は少ないことになるため、求められた注目画素の視差DPLR(i,j)も確からしいことになる。逆に、対応画素の検出が困難な画像上の平坦部や繰り返しパターンの部分では、残差のピークは浅く、ピーク幅は広くなる。
【0122】
ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、このような残差のピーク先鋭度を指標としてLR視差マップにより示される視差の確からしさを評価する、LRピーク先鋭度マップの画素の画素値PKLR(i,j)を算出する。
【0123】
すなわち、ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、座標が(i,j)である注目画素についての各視差dに対する残差Ri,j(d)の計算結果に基づいて次式(7)を計算し、残差のピークの深さを指標とする評価値PKHLR(i,j)を算出する。
【0124】
【数7】

【0125】
すなわち、残差Ri,j(d)の最大値rmaxと最小値rminとの差分が、所定の関数N(x)に代入されて、評価値PKHLR(i,j)とされる。
【0126】
ここで、関数N(x)は、例えば図9に示す関数とされる。なお、図9において、縦軸は関数N(x)の値を示しており、横軸は関数N(x)に代入されるxの値、つまり残差の最大値と最小値の差分を示している。
【0127】
図9では、折れ線C31は、各xの値に対する関数N(x)の値を示しており、xが0からT21までの区間では、関数N(x)=0となっている。また、x≧T22の区間では関数N(x)=1となっており、T21≦x≦T22の区間では、関数N(x)の値はxの値に比例して大きくなっていく。したがって、残差のピークの深さが深い(大きい)ほど、評価値PKHLR(i,j)の値は大きくなる。
【0128】
次に、ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、座標が(i,j)である注目画素についての各視差dに対する残差Ri,j(d)の計算結果に基づいて次式(8)を計算し、残差のピークの幅を指標とする評価値PKWLR(i,j)を算出する。
【0129】
【数8】

【0130】
すなわち、予め定められた視差dの範囲である−drng≦d≦drng内の各視差d(対応画素の候補)について、最大値rmaxと残差Ri,j(d)の差分の総和が求められる。そして、得られた差分の総和が、(2drng+1)(rmax−rmin)で除算され、その結果得られた値が、所定の関数N(x)に代入されて、評価値PKWLR(i,j)とされる。ここで、評価値PKWLR(i,j)における関数N(x)内の項は、残差のピーク幅が狭い(細い)ほど、小さくなる。
【0131】
また、関数N(x)は、例えば図10に示す関数とされる。なお、図10において、縦軸は関数N(x)の値を示しており、横軸は関数N(x)に代入されるxの値、つまりΣ(rmax−Ri,j(d))/((2drng+1)(rmax−rmin))を示している。
【0132】
図10では、折れ線C41は、各xの値に対する関数N(x)の値を示しており、xが0からT31までの区間では、関数N(x)=1となっている。また、x≧T32の区間では関数N(x)=0となっており、T31≦x≦T32の区間では、関数N(x)の値はxの値に反比例して小さくなっていく。したがって、残差のピーク幅が狭いほど、評価値PKWLR(i,j)の値は大きくなる。
【0133】
さらに、ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、以上のようにして得られた評価値PKHLR(i,j)と評価値PKWLR(i,j)を次式(9)に代入し、LRピーク先鋭度マップの画素の画素値PKLR(i,j)を求める。
【0134】
【数9】

【0135】
すなわち、注目画素について求められた評価値PKHLR(i,j)と評価値PKWLR(i,j)の積が、その注目画素と同じ位置にあるLRピーク先鋭度マップの画素の画素値PKLR(i,j)とされる。
【0136】
この画素値PKLR(i,j)は、残差のピークの深さが深く、かつピーク幅が狭いほど大きくなる。換言すれば、画素値PKLR(i,j)は、残差のピークの先鋭度が大きく、注目画素の視差が確からしいほど大きくなる。
【0137】
ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、左画像の各画素を注目画素として、注目画素と同じ位置にあるLRピーク先鋭度マップの画素の画素値PKLR(i,j)を求めることで、LRピーク先鋭度マップを生成する。ピーク先鋭度マップ生成部73Lは、生成したLRピーク先鋭度マップを、信頼度算出部63Lに供給する。
【0138】
また、ピーク先鋭度マップ生成部73Rも、ピーク先鋭度マップ生成部73Lと同様の処理を行ってRLピーク先鋭度マップを生成し、信頼度算出部63Rに供給する。
【0139】
ステップS44において、一致度算出部62は、対応点検出部61RからのRL視差マップと、対応点検出部61LからのLR視差マップとに基づいて一致度マップを生成し、信頼度算出部63に供給する。
【0140】
例えば、図11に示すように左画像I上の座標(i,j)にある画素gcに対する右画像I上の対応画素gc’の座標は、LR視差マップから求めることができる。すなわち、LR視差マップ上の画素gcと同じ位置にある画素の画素値がDPLR(i,j)であるとすると、対応画素gc’の座標は(i+DPLR(i,j),j)となる。
【0141】
一方で、右画像I上の対応画素gc’に注目したときに、この対応画素gc’に対する左画像I上の対応画素の座標は、RL視差マップの対応画素gc’と同じ位置の画素の画素値から、(i+DPLR(i,j)+DPRL(i+DPLR(i,j),j),j)となる。
【0142】
したがって、対応画素gc’に対する左画像I上の対応画素が画素gcとなれば、画素gcに対する対応画素gc’が正しく求められており、画素gcと対応画素gc’の対応がとれていることになる。すなわち、画素gcと対応画素gc’とは一致する画素であり、それらの画素に同じ被写体が表示されていることになる。
【0143】
ここで、対応画素gc’の対応画素が画素gcとなるためには、この対応画素の座標(i+DPLR(i,j)+DPRL(i+DPLR(i,j),j),j)が、画素gcの座標(i,j)と一致すればよいため、DPLR(i,j)+DPRL(i+DPLR(i,j),j)=0が成立すればよい。また、DPLR(i,j)+DPRL(i+DPLR(i,j),j)が0とはならなくても、その絶対値が小さい値となれば、ある程度は画素同士の対応がとれていることになる。
【0144】
そこで、一致度算出部62は、次式(10)を計算することで、左画像上の画素とその画素に対する対応画素との一致度を計算し、左画像上の画素と同じ位置にあるLR一致度マップの画素の画素値CLR(i,j)を算出する。
【0145】
【数10】

【0146】
すなわち、左画像上の所定の画素を注目画素とすると、注目画素と同じ位置にあるLR一致度マップの画素の画素値CLR(i,j)は、次のようにして求められる。まず、注目画素と同じ位置にあるLR視差マップの画素の画素値と、注目画素の対応画素と同じ位置にあるRL視差マップの画素の画素値との和の絶対値が求められる。そして、求められた和の絶対値が、所定の関数N(x)に代入されて画素値CLR(i,j)とされる。この画素値CLR(i,j)は、注目画素と対応画素との対応がとれているほど大きい値となる。
【0147】
ここで、関数N(x)は、例えば図12に示す関数とされる。なお、図12において、縦軸は関数N(x)の値を示しており、横軸は関数N(x)に代入されるxの値、つまり|DPLR(i,j)+DPRL(i+DPLR(i,j),j)|を示している。
【0148】
図12では、折れ線C51は、各xの値に対する関数N(x)の値を示しており、xが0からT41までの区間では、関数N(x)=1となっている。また、x≧T42の区間では関数N(x)=0となっており、T41≦x≦T42の区間では、関数N(x)の値はxの値に反比例して小さくなっていく。したがって、左画像の画素とその画素の対応画素との一致度が高いほど、LR一致度マップの画素の画素値CLR(i,j)は大きくなる。
【0149】
一致度算出部62は、このようにしてLR一致度マップの各画素の画素値を求めてLR一致度マップを生成すると、得られたLR一致度マップを信頼度算出部63Lに供給する。また、一致度算出部62は、LR視差マップとRL視差マップとに基づいて、次式(11)を計算し、RL一致度マップの画素の画素値CRL(i,j)を算出する。
【0150】
【数11】

【0151】
なお、式(11)において、DPLR(i,j)およびDPRL(i,j)は、それぞれLR視差マップの画素の画素値、およびRL視差マップの画素の画素値を示しており、N(x)は、式(10)における関数N(x)と同じ関数である。
【0152】
一致度算出部62は、このようにしてRL一致度マップの各画素の画素値を求めてRL一致度マップを生成すると、得られたRL一致度マップを信頼度算出部63Rに供給する。
【0153】
ステップS45において、信頼度算出部63は、対応点検出部61からの残差マップおよびピーク先鋭度マップと、一致度算出部62からの一致度マップとに基づいて、信頼度マップを生成する。
【0154】
例えば、信頼度算出部63Lは、生成しようとするLR信頼度マップの画素を注目画素とし、LR残差マップ、LR一致度マップ、およびLRピーク先鋭度マップのそれぞれの注目画素と同じ位置にある画素の画素値に基づいて、次式(12)を計算し、注目画素の画素値RLR(i,j)を算出する。
【0155】
【数12】

【0156】
なお、式(12)において、ELR(i,j)、CLR(i,j)、およびPKLR(i,j)は、LR残差マップ、LR一致度マップ、およびLRピーク先鋭度マップの画素の画素値を示している。また、α、β、およびγは、予め定められた所定の重みであり、これらの重みは、次式(13)を満たすように定められる。
【0157】
【数13】

【0158】
このように、LR信頼度マップは、LR残差マップ、LR一致度マップ、およびLRピーク先鋭度マップを重み付き加算することにより求められる。また、左画像の画素と、その画素の対応画素との残差が小さく、残差のピーク先鋭度が大きく、かつ画素の一致度が高いほど、LR信頼度マップの画素の画素値は大きくなる。したがって、LR信頼度マップの画素の画素値が大きいほど、LR視差マップにより示される視差の信頼度が高いことになる。
【0159】
信頼度算出部63LはLR信頼度マップを生成すると、LR信頼度マップを奥行き視差変換部31Lおよび視差合成部32Lに供給する。
【0160】
また、信頼度算出部63Rは、RL残差マップ、RL一致度マップ、およびRLピーク先鋭度マップと、上述した式(13)で定められる重みα、β、およびγとを用いて次式(14)を計算し、RL信頼度マップの画素の画素値RRL(i,j)を算出する。
【0161】
【数14】

【0162】
なお、式(14)において、ERL(i,j)、CRL(i,j)、およびPKRL(i,j)は、RL残差マップ、RL一致度マップ、およびRLピーク先鋭度マップの画素の画素値を示している。信頼度算出部63Rは、RL信頼度マップを生成すると、RL信頼度マップを奥行き視差変換部31Rおよび視差合成部32Rに供給する。
【0163】
このようにして信頼度マップが生成されると視差マップ生成処理は終了し、その後、処理は図4のステップS12へと進む。
【0164】
以上のように、視差検出部21は、左画像および右画像から、視差マップと信頼度マップを生成する。視差マップを生成するとともに、その信頼度を示す信頼度マップを生成することで、立体画像の領域ごとに、視差マップにより示される視差がどの程度確からしいかを特定することができ、後段においてより正確な視差を示す補正視差マップを得ることができるようになる。
【0165】
[補正視差マップ生成処理の説明]
次に、図13のフローチャートを参照して、図4のステップS15の処理に対応する補正視差マップ生成処理について説明する。
【0166】
ステップS71において、乗算部101は、奥行き視差変換部31から供給された擬似視差マップに重みを乗算する。
【0167】
例えば、視差合成部32Rは、信頼度算出部63RからRL信頼度マップが供給されると、RL信頼度マップの画素の画素値RRL(i,j)をそのまま画素ごとの重みとして乗算部102Rに供給する。また、視差合成部32Rは、RL信頼度マップの画素の画素値RRL(i,j)を1から減算して得られる値「1−RRL(i,j)」を、画素ごとの重みとして乗算部101Rに供給する。
【0168】
乗算部101Rは、擬似R視差マップの各画素の画素値PDP(i,j)に、供給された画素ごとの重み「1−RRL(i,j)」を乗算し、加算部103Rに供給する。このとき、擬似R視差マップの画素の画素値には、その画素と同じ位置にある信頼度マップの画素の画素値から得られた重みが乗算される。
【0169】
また、視差合成部32Lにおいても、視差合成部32Rにおける場合と同様に、乗算部101Lは、奥行き視差変換部31Lから供給された擬似L視差マップの各画素の画素値PDP(i,j)に、供給された重み「1−RLR(i,j)」を乗算し、加算部103Lに供給する。
【0170】
ステップS72において、乗算部102は、対応点検出部61から供給された視差マップに、供給された重みを乗算し、加算部103に供給する。
【0171】
例えば、乗算部102Rは、RL視差マップの各画素の画素値に、画素ごとの重みRRL(i,j)を乗算し、加算部103Rに供給する。同様に、乗算部102Lは、LR視差マップの各画素の画素値に、画素ごとの重みRLR(i,j)を乗算し、加算部103Lに供給する。
【0172】
ステップS73において、加算部103は、乗算部101からの擬似視差マップと、乗算部102からの視差マップとを加算して補正視差マップを生成し、出力する。
【0173】
例えば、加算部103Rは重みが乗算された擬似R視差マップと、重みが乗算されたRL視差マップとの同じ位置にある画素の画素値を加算して、その結果得られた値を、それらの画素と同じ位置にある補正RL視差マップの画素の画素値DPRL’(i,j)とする。
【0174】
すなわち、次式(15)が計算されて、補正RL視差マップの画素の画素値DPRL’(i,j)が算出される。
【0175】
【数15】

【0176】
式(15)の演算により、RL視差マップの画素のうち、信頼度の高い画素についてはその画素が、そのまま補正RL視差マップの画素として用いられ、信頼度の低い画素については、擬似R視差マップの画素が補正RL視差マップの画素として用いられる。これにより、視差マップの画素ごとの信頼度に応じて、より確からしい視差を示す補正視差マップを得ることができる。なお、視差マップと擬似視差マップとの切り替えをより滑らかに行なうため、視差マップと擬似視差マップの合成前に、信頼度マップに対して平滑化処理を施すようにしてもよい。
【0177】
また、同様に、加算部103Lは重みが乗算された擬似L視差マップと、重みが乗算されたLR視差マップとの同じ位置にある画素の画素値を加算することで、補正LR視差マップを生成し、出力する。
【0178】
このようにして補正視差マップが生成されて出力されると、補正視差マップ生成処理は終了し、これにより図4のステップS15も終了して視差検出処理は終了する。
【0179】
以上のように視差合成部32は、視差マップと擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成する。左右の画像から得られた視差マップと、1つの画像から得られた擬似視差マップとを視差マップの信頼度に応じて合成し、補正視差マップとすることにより、より正確で安定した視差情報を得ることができる。
【0180】
〈変形例1〉
[視差合成部の構成例]
なお、以上においては、視差マップと擬似視差マップとを信頼度に応じて重み付き加算することで、それらのマップを合成する例について説明したが、擬似視差マップの高域成分のみが合成に用いられるようにしてもよい。
【0181】
そのような場合、図1の視差合成部32Rは、例えば図14に示すように構成される。なお、図14において、図3における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0182】
図14の視差合成部32Rは、高域成分抽出部131R、低域成分抽出部132R、成分合成部133R、乗算部101R、乗算部102R、および加算部103Rから構成される。
【0183】
高域成分抽出部131Rは、奥行き視差変換部31Rから供給された擬似R視差マップから高域成分を抽出し、成分合成部133Rに供給する。低域成分抽出部132Rは、対応点検出部61Rから供給されたRL視差マップから低域成分を抽出し、成分合成部133Rに供給する。
【0184】
成分合成部133Rは、高域成分抽出部131Rからの高域成分と、低域成分抽出部132Rからの低域成分とを合成し、その結果得られた合成マップを乗算部101Rに供給する。乗算部101Rは、成分合成部133Rから供給された合成マップの各画素の画素値に、供給された重み「1−RRL(i,j)」を乗算し、加算部103Rに供給する。
【0185】
なお、図1の視差合成部32Rが図14に示した構成とされる場合、視差合成部32Lも図14に示す視差合成部32Rと同様の構成とされるので、その図示および説明は省略する。また、以下において、高域成分抽出部131R、低域成分抽出部132R、および成分合成部133Rに対応する視差合成部32Lの各部を、それぞれ高域成分抽出部131L、低域成分抽出部132L、および成分合成部133Lと称する。
【0186】
さらに、以下、高域成分抽出部131Rと高域成分抽出部131L、低域成分抽出部132Rと低域成分抽出部132L、および成分合成部133Rと成分合成部133Lをそれぞれ区別する必要のない場合、高域成分抽出部131、低域成分抽出部132、および成分合成部133とも称する。
【0187】
[補正視差マップ生成処理の説明]
また、視差合成部32に高域成分抽出部131乃至成分合成部133が設けられる構成とされる場合、図4の視差検出処理におけるステップS15では、図15に示す補正視差マップ生成処理が行われる。
【0188】
以下、図15のフローチャートを参照して、視差合成部32による補正視差マップ生成処理について説明する。
【0189】
ステップS101において、高域成分抽出部131は、奥行き視差変換部31から供給された擬似視差マップに対してフィルタ処理等を行うことにより、擬似視差マップから高域成分を抽出し、成分合成部133に供給する。ステップS101では、高域成分抽出部131Rおよび高域成分抽出部131Lにより、それぞれ高域成分の抽出が行なわれる。
【0190】
ステップS102において、低域成分抽出部132は、対応点検出部61から供給された視差マップに対してフィルタ処理等を行うことにより、視差マップから低域成分を抽出し、成分合成部133に供給する。ステップS102においても、低域成分抽出部132Rおよび低域成分抽出部132Lにより、それぞれ低域成分の抽出が行なわれる。
【0191】
ステップS103において、成分合成部133は、高域成分抽出部131からの高域成分と、低域成分抽出部132からの低域成分とを合成し、その結果得られた合成マップを乗算部101に供給する。
【0192】
例えば、高域成分と低域成分の同じ位置にある画素の画素値が加算され、それらの画素と同じ位置にある合成マップの画素の画素値とされる。ステップS103においても、成分合成部133Rと成分合成部133Lにより、合成マップの生成が行なわれる。
【0193】
ステップS104において、加算部103は、合成マップと視差マップとを加算して補正視差マップを生成する。
【0194】
例えば、乗算部101Rは、成分合成部133Rから供給された合成マップの各画素の画素値に重み「1−RRL(i,j)」を乗算して、加算部103Rに供給する。また、乗算部102Rは、対応点検出部61RからのRL視差マップの各画素に重みRRL(i,j)を乗算し、加算部103Rに供給する。そして、加算部103Rは、乗算部101Rからの合成マップと、乗算部102RからのRL視差マップとを加算して、補正RL視差マップを生成し、出力する。
【0195】
このような合成マップと視差マップとの合成では、視差マップの画素のうち、信頼度の高い画素についてはその画素が、そのまま補正視差マップの画素として用いられる。また、信頼度の低い画素については、視差マップの低域成分のみが用いられ、高域成分は擬似視差マップの画素が用いられる。なお、視差マップと合成マップとの切り替えをより滑らかに行なうため、視差マップと合成マップの合成前に、信頼度マップに対して平滑化処理を施すようにしてもよい。
【0196】
また、乗算部101L乃至加算部103Lも、乗算部101R乃至加算部103Rと同様の処理を行って補正LR視差マップを生成する。このようにして補正視差マップが生成されて出力されると、補正視差マップ生成処理は終了し、これにより図4のステップS15も終了して視差検出処理は終了する。
【0197】
〈変形例2〉
[視差合成部の構成例]
さらに、図14の例では、擬似視差マップの高域成分と視差マップの低域成分が合成されて合成マップとされると説明したが、擬似視差マップの低域成分と視差マップの高域成分が合成されて合成マップとされるようにしてもよい。
【0198】
そのような場合、図1の視差合成部32Rは、例えば図16に示すように構成される。なお、図16において、図14における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0199】
図16の視差合成部32Rは、高域成分抽出部131R、低域成分抽出部132R、成分合成部133R、乗算部101R、乗算部102R、および加算部103Rから構成される。また、図16の視差合成部32Rでは、高域成分抽出部131RにRL視差マップが供給され、低域成分抽出部132Rに擬似R視差マップが供給される。
【0200】
高域成分抽出部131Rは、対応点検出部61Rから供給されたRL視差マップから高域成分を抽出し、成分合成部133Rに供給する。また、低域成分抽出部132Rは、奥行き視差変換部31Rから供給された擬似R視差マップから低域成分を抽出し、成分合成部133Rに供給する。
【0201】
なお、視差合成部32Rが図16に示した構成とされる場合、視差合成部32Lも図16に示す視差合成部32Rと同様の構成とされるので、その図示および説明は省略する。
【0202】
[補正視差マップ生成処理の説明]
また、視差合成部32Rが図16に示す構成とされる場合、図4の視差検出処理におけるステップS15では、図17に示す補正視差マップ生成処理が行われる。
【0203】
以下、図17のフローチャートを参照して、視差合成部32による補正視差マップ生成処理について説明する。
【0204】
ステップS131において、低域成分抽出部132は、奥行き視差変換部31から供給された擬似視差マップに対してフィルタ処理等を行うことにより、擬似視差マップから低域成分を抽出し、成分合成部133に供給する。ステップS131では、低域成分抽出部132Rおよび低域成分抽出部132Lにより、それぞれ低域成分の抽出が行なわれる。
【0205】
ステップS132において、高域成分抽出部131は、対応点検出部61から供給された視差マップに対してフィルタ処理等を行うことにより、視差マップから高域成分を抽出し、成分合成部133に供給する。ステップS132でも、高域成分抽出部131Rおよび高域成分抽出部131Lにより、それぞれ高域成分の抽出が行なわれる。
【0206】
ステップS132の処理が行われると、その後ステップS133およびステップS134の処理が行われて補正視差マップ生成処理は終了するが、これらの処理は図15のステップS103およびステップS104と同様であるので、その説明は省略する。但し、ステップS133では、擬似視差マップの低域成分と、視差マップの高域成分が合成されて合成マップとされる。
【0207】
また、補正視差マップ生成処理が終了すると、図4のステップS15も終了して視差検出処理は終了する。
【0208】
図17の補正視差マップ生成処理では、視差マップの画素のうち、信頼度の高い画素についてはその画素が、そのまま補正視差マップの画素として用いられる。また、信頼度の低い画素については、視差マップの高域成分のみが用いられ、低域成分は擬似視差マップの画素が用いられる。なお、視差マップと合成マップとの切り替えをより滑らかに行なうため、視差マップと合成マップの合成前に、信頼度マップに対して平滑化処理を施すようにしてもよい。
【0209】
〈第2の実施の形態〉
[画像処理装置の構成例]
さらに、以上においては、視差マップと擬似視差マップを合成して補正視差マップを生成する場合について説明したが、左画像および右画像と、擬似視差マップとが用いられて視差マップが生成されるようにしてもよい。
【0210】
そのような場合、画像処理装置は、例えば図18に示すように構成される。なお、図18において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0211】
図18の画像処理装置171は、奥行き情報推定部22R、奥行き情報推定部22L、奥行き視差変換部31R、奥行き視差変換部31L、および視差検出部181から構成される。
【0212】
奥行き情報推定部22Rは、供給された右画像に基づいてR奥行き情報マップを生成し、奥行き視差変換部31Rに供給する。また、奥行き情報推定部22Lは、供給された左画像に基づいてL奥行き情報マップを生成し、奥行き視差変換部31Lに供給する。
【0213】
奥行き視差変換部31Rは、奥行き情報推定部22Rから供給されたR奥行き情報マップを擬似R視差マップに変換し、視差検出部181に供給する。奥行き視差変換部31Lは、奥行き情報推定部22Lから供給されたL奥行き情報マップを擬似L視差マップに変換し、視差検出部181に供給する。
【0214】
視差検出部181は、供給された右画像および左画像と、奥行き視差変換部31からの擬似視差マップとに基づいて視差マップを生成し、出力する。視差検出部181は、対応点検出部191Rおよび対応点検出部191Lを備えている。
【0215】
対応点検出部191Rは、供給された左画像および右画像と、奥行き視差変換部31Rから供給された擬似R視差マップとに基づいてRL視差マップを生成し、出力する。また、対応点検出部191Lは、供給された左画像および右画像と、奥行き視差変換部31Lから供給された擬似L視差マップとに基づいてLR視差マップを生成し、出力する。
【0216】
なお、以下、対応点検出部191Rと対応点検出部191Lを特に区別する必要のない場合、単に対応点検出部191とも称する。
【0217】
[視差検出処理の説明]
次に、図19のフローチャートを参照して、画像処理装置171による視差検出処理について説明する。
【0218】
ステップS161において、奥行き情報推定部22は、供給された右画像または左画像に基づいて奥行き情報マップを生成し、奥行き視差変換部31に供給する。なお、ステップS161では、図4のステップS12の処理と同様の処理が行われる。
【0219】
ステップS162において、奥行き視差変換部31は、奥行き情報推定部22から供給された奥行き情報マップを擬似視差マップに変換し、対応点検出部191に供給する。
【0220】
例えば、奥行き視差変換部31には、上述した「p×O(i,j)+q」等の奥行き情報を視差情報に変換する変換式が予め記録されている。そのような場合、奥行き視差変換部31Rは、記録している変換式を用いてR奥行き情報マップを擬似R視差マップに変換し、対応点検出部191Rに供給する。すなわち、図4のステップS14と同様の処理が行われる。
【0221】
また、奥行き視差変換部31Lも、記録している変換式を用いてL奥行き情報マップを擬似L視差マップに変換し、対応点検出部191Lに供給する。
【0222】
ステップS163において、対応点検出部191は、供給された左画像および右画像と、奥行き視差変換部31からの擬似視差マップとを用いて視差マップを生成する。
【0223】
例えば、対応点検出部191Lは、図20に示すように左画像I上の1つの画素を注目画素geとする。ここで、注目画素geのij座標系における座標は(i,j)である。次に、対応点検出部191Lは、注目画素geと同じ位置にある擬似L視差マップ上の画素の画素値PDP(i,j)を特定し、右画像I上の座標(i+PDP(i,j),j)を中心とする予め定められた大きさの領域を探索領域SRとする。
【0224】
擬似L視差マップによれば、注目画素geの対応画素は、右画像I上の座標(i+PDP(i,j),j)に位置する画素ge’である。そのため、注目画素geの真の対応画素は、この画素ge’近傍にある可能性が高い。
【0225】
そこで、対応点検出部191Lは、画素ge’近傍の探索領域SR内にある各画素を対応画素の候補として、各候補について上述した式(3)を計算して残差Ri,j(d)を算出する。そして、対応点検出部191Lは、それらの残差と式(4)とから、注目画素geと同じ位置にあるLR視差マップ上の画素の画素値DPLR(i,j)を求める。
【0226】
対応点検出部191Lは、左画像上の画素を順番に注目画素として、各注目画素について、注目画素と同じ位置にあるLR視差マップの画素の画素値DPLR(i,j)を求めていくことで、LR視差マップを生成する。
【0227】
このように、左画像の画素に対応する対応画素を検出する場合に、擬似視差マップにより定まる右画像上の探索領域(探索範囲)内の画素のみを対応画素の候補とすることで、より正確に安定して対応画素を検出することができる。また、擬似視差マップにより探索範囲が限定されるので、対応画素の検出をより迅速に行なうことができる。
【0228】
対応点検出部191Lは、このようにして生成されたLR視差マップを出力する。また、対応点検出部191Rは、左画像および右画像と擬似R視差マップとから、対応点検出部191Lにおける場合と同様の処理を行って、RL視差マップを生成し、出力する。
【0229】
このようにして対応点検出部191により視差マップが生成されて出力されると、視差検出処理は終了する。
【0230】
以上のように、画像処理装置171は、左画像または右画像から擬似視差マップを生成し、擬似視差マップと左右の画像を用いて視差マップを生成する。視差マップの生成時に、擬似視差マップを用いて対応画素の探索範囲を適切に定めることで、より迅速かつ正確に視差検出を安定して行なうことができる。
【0231】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0232】
図21は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0233】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)501,ROM(Read Only Memory)502,RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
【0234】
バス504には、さらに、入出力インターフェース505が接続されている。入出力インターフェース505には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記録部508、ネットワークインターフェースなどよりなる通信部509、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動するドライブ510が接続されている。
【0235】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記録部508に記録されているプログラムを、入出力インターフェース505及びバス504を介して、RAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0236】
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア511に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0237】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア511をドライブ510に装着することにより、入出力インターフェース505を介して、記録部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記録部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記録部508に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0238】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0239】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0240】
さらに、本技術は、以下の構成とすることも可能である。
【0241】
[1]
立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部と、
前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップを生成する信頼度算出部と、
前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成する視差合成部と
を備える画像処理装置。
[2]
前記視差合成部は、前記信頼度マップにより定まる重みを用いて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを重み付き加算することにより、前記補正視差マップを生成する
[1]に記載の画像処理装置。
[3]
前記視差合成部は、
前記擬似視差マップの高域成分と、前記視差マップの低域成分とを合成して合成マップを生成する成分合成部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記合成マップとを合成して前記補正視差マップを生成する加算部と
を備える[1]に記載の画像処理装置。
[4]
前記視差合成部は、
前記擬似視差マップの低域成分と、前記視差マップの高域成分とを合成して合成マップを生成する成分合成部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記合成マップとを合成して前記補正視差マップを生成する加算部と
を備える[1]に記載の画像処理装置。
[5]
前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素近傍の領域と、他方の画像上の前記所定の画素に対応する対応画素近傍の領域との残差を示す残差マップを生成する残差マップ生成部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記残差マップに基づいて前記信頼度マップを生成する
[1]乃至[4]の何れかに記載の画像処理装置。
[6]
前記視差マップ生成部は、前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素近傍の領域と、他方の画像上の画素近傍の領域との残差が最小となる前記他方の画像の画素を、前記所定の画素に対応する画素として検出することで前記視差マップを生成し、
前記他方の画像上の所定方向に並ぶ画素の前記残差のピークの先鋭度を示し、前記信頼度マップの生成に用いられるピーク先鋭度マップを生成するピーク先鋭度マップ生成部をさらに備える
[1]乃至[4]の何れかに記載の画像処理装置。
[7]
前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素に対応する他方の画像の第1の対応画素の検出結果と、前記他方の画像の前記第1の対応画素に対応する前記一方の画像の第2の対応画素の検出結果とに基づいて、前記所定の画素と前記第1の対応画素との一致度を示す一致度マップを生成する一致度算出部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記一致度マップに基づいて前記信頼度マップを生成する
[1]乃至[4]の何れかに記載の画像処理装置。
【符号の説明】
【0242】
11 画像処理装置, 21 視差検出部, 22R,22L,22 奥行き情報推定部, 23 統合部, 31R,31L,31 奥行き視差変換部, 32R,32L,32 視差合成部, 71R,71L,71 視差マップ生成部, 72R,72L,72 残差マップ生成部, 73R,73L,73 ピーク先鋭度マップ生成部, 62 一致度算出部, 63R,63L,63 信頼度算出部, 191R,191L,191 対応点検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部と、
前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップを生成する信頼度算出部と、
前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成する視差合成部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記視差合成部は、前記信頼度マップにより定まる重みを用いて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを重み付き加算することにより、前記補正視差マップを生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記視差合成部は、
前記擬似視差マップの高域成分と、前記視差マップの低域成分とを合成して合成マップを生成する成分合成部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記合成マップとを合成して前記補正視差マップを生成する加算部と
を備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記視差合成部は、
前記擬似視差マップの低域成分と、前記視差マップの高域成分とを合成して合成マップを生成する成分合成部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記合成マップとを合成して前記補正視差マップを生成する加算部と
を備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素近傍の領域と、他方の画像上の前記所定の画素に対応する対応画素近傍の領域との残差を示す残差マップを生成する残差マップ生成部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記残差マップに基づいて前記信頼度マップを生成する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記視差マップ生成部は、前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素近傍の領域と、他方の画像上の画素近傍の領域との残差が最小となる前記他方の画像の画素を、前記所定の画素に対応する画素として検出することで前記視差マップを生成し、
前記他方の画像上の所定方向に並ぶ画素の前記残差のピークの先鋭度を示し、前記信頼度マップの生成に用いられるピーク先鋭度マップを生成するピーク先鋭度マップ生成部をさらに備える
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記右画像または前記左画像のうちの一方の画像の所定の画素に対応する他方の画像の第1の対応画素の検出結果と、前記他方の画像の前記第1の対応画素に対応する前記一方の画像の第2の対応画素の検出結果とに基づいて、前記所定の画素と前記第1の対応画素との一致度を示す一致度マップを生成する一致度算出部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記一致度マップに基づいて前記信頼度マップを生成する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部と、
前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップを生成する信頼度算出部と、
前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成する視差合成部と
を備える画像処理装置の画像処理方法であって、
前記視差マップ生成部が前記視差マップを生成し、
前記信頼度算出部が前記信頼度マップを生成し、
前記奥行き情報推定部が前記奥行き情報マップを生成し、
前記奥行き視差変換部が前記擬似視差マップを生成し、
前記視差合成部が前記補正視差マップを生成する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項9】
立体画像を構成する右画像および左画像に基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成し、
前記右画像および前記左画像に基づいて、前記視差マップの信頼度を示す信頼度マップを生成し、
前記右画像または前記左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成し、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換し、
前記信頼度マップに基づいて、前記視差マップと前記擬似視差マップとを合成して補正視差マップを生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項10】
立体画像を構成する右画像または左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、
前記右画像および前記左画像と、前記擬似視差マップとに基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部と
を備える画像処理装置。
【請求項11】
立体画像を構成する右画像または左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成する奥行き情報推定部と、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換する奥行き視差変換部と、
前記右画像および前記左画像と、前記擬似視差マップとに基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する視差マップ生成部と
を備える画像処理装置の画像処理方法であって、
前記奥行き情報推定部が前記奥行き情報マップを生成し、
前記奥行き視差変換部が前記擬似視差マップを生成し、
前記視差マップ生成部が前記視差マップを生成する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項12】
立体画像を構成する右画像または左画像のうちの何れかに基づいて、前記立体画像上の被写体の奥行きを示す奥行き情報マップを生成し、
前記奥行き情報マップを、前記奥行きに対応する視差を示す擬似視差マップに変換し、
前記右画像および前記左画像と、前記擬似視差マップとに基づいて、前記立体画像の各画素の視差を示す視差マップを生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−253666(P2012−253666A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126403(P2011−126403)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】