説明

画像管理システムおよび画像読取装置

【課題】OCR処理といった高機能処理を行う装置ないしプログラムを必要とせず,簡便に画像管理を行うことができる画像管理システムおよび画像読取装置を提供すること。
【解決手段】画像管理システム100では,1部がM枚でありN部で構成される原稿(M×N枚)5をスキャナ部にセットする。そして,原稿の保存先である基準フォルダ50を指定し,原稿の画像を読み取る。基準フォルダ50下には,N個の保存フォルダ51〜56を用意しておく。そして,読み取った画像を基にM枚ずつ画像で構成される画像データファイルを作成し,作成したファイルを基準フォルダ50下の保存フォルダ51〜56に振り分けて保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,原稿を読み取り,読み取った原稿の画像データを保存する画像管理システムおよび画像読取装置に関する。さらに詳細には,画像データの保存先を管理する画像管理システムおよび画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,複数枚の原稿を纏めて読み取ることができる画像読取装置には,読み取った画像データを指定されたフォルダに保存する画像管理機能を有するものがある。画像データの保存方法としては,複数枚の原稿を1つのファイルとして保存する方法や,1枚ずつ保存する方法がある。
【0003】
画像管理機能の適用例としては,1クラスN名の学級の成績を管理するケースがある。この場合,N名分のテストの答案をスキャンして,それぞれの答案(画像データ)を生徒ごとに作成されたフォルダに振り分けて保存する。すなわち,テストの答案であるため,各生徒で原稿の枚数が変化しない。さらに欠席等の特別な事情がない限り,生徒数も変化しない。このことから,原稿枚数は既知であり,読み取った画像データを所定の枚数ごとに振り分けて保存することができる。この他,病院での患者のカルテ管理や,スポーツクラブ等での会員のデータ管理に適用できる。
【0004】
画像管理機能の詳細としては,例えば特許文献1に開示された文書管理システムがある。特許文献1の文書管理システムでは,原稿をスキャナで読み取り,読み取った画像データをOCR処理し,それによって得られたテキスト情報を基に原稿画像を保存するフォルダを指定している。
【特許文献1】特開2004−171199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像管理技術には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1の文書管理システムでは,OCR処理によって文字認識や,原稿の背景,色,厚み,特定のマークの検出を行う。そのため,OCR処理を行う装置ないしプログラムが必要となり,処理の複雑化やコストアップを招く。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像管理技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,OCR処理といった高機能処理を行う装置ないしプログラムを必要とせず,簡便に画像管理を行うことができる画像管理システムおよび画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像管理システムは,原稿を読み取る読取手段と,読取手段によって読み取られた原稿の画像データの保存先のフォルダである基準フォルダを指定する指定手段と,読取手段によって読み取られた原稿の画像データを,指定手段によって指定された基準フォルダ内の各フォルダである保存フォルダに,所定の枚数ずつ振り分けて保存する保存手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像管理システムでは,1部が所定の枚数(M枚)であり所定の部数(N部)で構成される原稿(M×N枚)の画像を読み取り,基準フォルダ内の各フォルダである保存フォルダに,原稿の画像データを所定の枚数(M枚=1部)ずつに振り分けて保存する。保存フォルダは,既存のフォルダであってもよいし,新規に作成するフォルダであってもよい。すなわち,本画像管理システムでは,1部ずつの画像データが各保存フォルダにそれぞれ自動的に保存されることから,OCR等の装置や高度な処理が必要なく,単純な構成で画像データを管理できる。
【0009】
また,本発明の画像管理システムは,読取手段によって読み取られた原稿の全枚数と,基準フォルダ内に存在する保存フォルダの数とを基に,読取手段によって読み取られた原稿の画像データを各保存フォルダに振り分けて保存できるか否かを判断する第1判断手段を備え,第1判断手段にて保存可能と判断された場合に,保存手段は画像データを保存するとよりよい。
【0010】
すなわち,保存フォルダがあらかじめ存在する場合であれば,既存の保存フォルダ数を取得し,さらに原稿を読み取った後に原稿の全枚数を取得することで,その保存フォルダ数と原稿の全枚数とを基に,所定枚数(1部)ごとに振り分けての保存の可否を判断できる。具体的には,原稿の全枚数を保存フォルダ数で割ったときの余りが0であるか否かによって振り分け保存の可否を判断できる。そこで,第1判断手段によって,振り分け保存の可否を判断することで,より適切な画像データ管理を実現できる。
【0011】
また,上記の画像管理システムは,画像データを保存する保存フォルダを選択する選択手段を備え,保存手段は,選択手段によって選択された保存フォルダに画像データを保存するとよりよい。すなわち,原稿の一部に欠落がある場合に,必ずしも適切な保存フォルダに適切な画像データを保存できるとは限らない。また,基準フォルダ内には,保存フォルダの他に,他の目的のフォルダが存在することも考えられる。そこで,保存先を選択可能にする(例えば,保存フォルダごとに保存の可否を設定する)ことにより,適切な保存先に画像データを保存することができる。よって,システムの信頼性が向上する。
【0012】
また,上記の画像管理システムは,第1判断手段にて保存不可と判断された場合に,選択手段にて保存先を選択させるとよりよい。すなわち,原稿の欠落等の保存不可の事由があった場合に保存先を選択させる。言い換えると,保存不可の事由がない場合には,選択を行わずに自動的に振り分ける。これにより,ユーザの設定の手間が軽減される。一方,保存不可の事由がある場合には,ユーザに保存先を選択させる。これにより,適切な保存先に画像データを保存することができる。
【0013】
また,本発明の画像管理システムは,保存フォルダの数と原稿の1部の枚数との少なくとも一方を入力する入力手段と,読取手段によって読み取られた原稿の全枚数と,入力手段にて得られたデータとを基に,読取手段によって読み取られた原稿の画像データを各保存フォルダに振り分けて保存できるか否かを判断する第2判断手段と,入力手段にて得られたデータを基に保存フォルダの数を決定し,基準フォルダ内に,決定した数分の保存フォルダを作成する作成手段とを備え,第2判断手段にて保存可能と判断された場合に,作成手段は保存フォルダを作成し,保存手段はその保存フォルダ内に画像データを保存するとよりよい。
【0014】
すなわち,保存フォルダを新規に作成して保存する場合であれば,入力手段によって保存フォルダの数と原稿の1部の枚数との少なくとも一方を入手する。さらに原稿を読み取った後に原稿の全枚数を取得する。これにより,保存フォルダ数,原稿の1部の枚数,および原稿の全枚数とを基に,所定枚数(1部)ごとに振り分けての保存の可否が判断できる。具体的には,原稿の全枚数X,原稿の1部の枚数M,保存フォルダ数Nがすべて自然数であり,X=M×Nの関係を満たすか否かによって,振り分け保存の可否を判断できる。そこで,第2判断手段によって,振り分け保存の可否を判断することで,より適切な画像データ管理を実現できる。
【0015】
また,上記の画像管理システムは,第2判断手段にて保存不可と判断された場合に,入力手段での再入力を促すとよりよい。すなわち,ユーザが保存フォルダの数あるいは原稿の1部の枚数を入力ミスしたとしても,再入力が可能となる。このことから,ユーザの利便性が向上する。
【0016】
また,本発明の画像管理システムは,読取手段によって読み取られた原稿の画像データの保存方法を選択する保存方法選択手段を備え,保存方法選択手段の選択肢には,既存の保存フォルダに保存する方法と,新規に保存フォルダを作成してその保存フォルダに保存する方法とが含まれるとよりよい。すなわち,複数方法が選択可能であることから,ユーザの管理自由度が大きい。
【0017】
また,本発明は,原稿を読み取る読取手段と,読取手段によって読み取られた原稿の画像データの保存先のフォルダである基準フォルダを指定する指定手段と,読取手段によって読み取られた原稿の画像データを,指定手段によって指定された基準フォルダ内の各フォルダである保存フォルダに,所定の枚数ずつ振り分けて保存する保存手段とを備えることを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,OCR処理といった高機能処理を行う装置ないしプログラムを必要とせず,簡便に画像管理を行うことができる画像管理システムおよび画像読取装置が実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,本発明にかかる画像管理システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パーソナルコンピュータ(PC)と複合機(MFP)とがネットワークに接続された画像管理システムに本発明を適用したものである。
【0020】
[システム構成]
本形態の画像管理システム100は,図1に示すように,MFP10と,PC20とを備えている。本システム100では,MFP10とPC20とがLAN等のネットワーク30を介して接続されている。また,MFP10には,着脱可能な外部メモリであるUSBメモリ40が装着されている。なお,本システム100を構成するMFP,PC,USBメモリはそれぞれ1台に限るものではなく,複数台接続されてもよい。
【0021】
本システム100を構成するMFP10は,CPU11(保存手段,第1判断手段,第2判断手段,作成手段の一例)と,ROM12と,RAM13と,不揮発性メモリ(NVRAM)14と,ASIC15と,ネットワークインターフェース16と,USBインターフェース17と,表示部18と,操作部19(指定手段,選択手段,入力手段,保存方法選択手段の一例)と,画像形成部110と,スキャナ部120(読取手段の一例)とを有している。
【0022】
CPU11は,MFP10におけるスキャン機能,プリント機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。ROM12には,MFP10を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM13は,各種制御プログラムが読み出される作業領域や画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM14は,不揮発性を有する記憶手段(Non Volatile RAM)であって,各種設定ないし画像データ等を保存するものである。
【0023】
ASIC15は,画像形成部110,スキャナ部120,表示部18,操作部19等と電気的に接続されている。CPU11は,ROM12から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM13やNVRAM14に記憶させながら,ASIC15を介してMFP10の各構成要素を制御する。
【0024】
ネットワークインターフェース16は,ネットワーク30に接続され,このネットワークインターフェース16を介してPC20との相互のデータ通信が可能になっている。USBインターフェース17には,外部メモリであるUSBメモリ40が接続され,このUSBインターフェース17を介してUSBメモリ40へのデータの読み書きが可能になっている。
【0025】
図2に,MFP10の外観を示す。画像形成部110は,PC20から送られてくる画像データやスキャナ部120で読み取った原稿の画像データを用紙に印刷する。画像形成方式は,電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。スキャナ部120は,原稿台にセットされた原稿の画像を読み取って原稿の画像データを作成する。また,スキャナ部120は,原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder:自動原稿供給装置)121とを備えており,複数枚の原稿を連続して読み取ることができる。
【0026】
表示部18は,スキャナ部120の前面側に位置し,液晶ディスプレイ等の表示手段を備える。また,操作部19は,同じくスキャナ部120の前面側に位置し,タッチパネルや各種のボタン等の入力手段を備える。MFP10では,表示部18や操作部19により,動作状況の表示やユーザによる入力が可能になっている。
【0027】
[画像データ振り分け保存機能の動作]
続いて,MFP10の動作について説明する。MFP10は,スキャン機能の1つとして,スキャナ部120で読み取った原稿の画像データを,所望のデバイス(例えば,自身のNVRAM14,外部メモリであるUSBメモリ40,ネットワーク30を介して接続するPC20)に保存する機能を有する。さらにMFP10は,読み取った原稿の画像データを,所定のフォルダに振り分けて保存する機能(「画像データ振り分け保存機能」とする。保存手段の一例)を有する。以下,画像データ振り分け保存機能の動作について説明する。
【0028】
具体的に,本画像データ振り分け保存機能では,1部がM枚でありN部で構成される原稿をスキャンする場合に,M枚(1部)ごとにファイルを作成し,各ファイルをN個のフォルダに振り分けて保存する。すなわち,本機能を動作させる上で,基本的に,M×N枚で構成される原稿が連続的に読み取られる。
【0029】
この画像データ振り分け保存機能は,例えば次のようなケースに好適である。すなわち,教師であるユーザが,あるクラスの各生徒の文書(例えば,テストの答案)をスキャンして保存管理するケースである。この場合,文書1部の枚数(テスト用紙の枚数)およびその部数(生徒数)は決まっていると考えられる。そこで,図3に示すように,あらかじめ所定のフォルダ50の下に生徒数分のフォルダ51〜56を作成しておく。各フォルダは,生徒番号に対応するようなフォルダ名になっており,各生徒用に割り当てられる。そして,テスト答案の束である原稿5を連続スキャンし,フォルダ51〜56に各生徒のテスト結果の画像データとして保存する。これにより,テスト結果の管理を行うことができる。なお,この他の適用例としては,病院での患者のカルテ管理や,スポーツクラブ等での会員の個人情報管理がある。
【0030】
以下,M(1部の枚数)×N(部数)枚のテストの答案原稿を連続して読み取って,各生徒用に割り当てられたN個のフォルダに振り分けて保存するケースを例に挙げ,画像データ振り分け保存機能の動作手順を,図4および図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本画像データ振り分け保存機能は,ユーザがスキャナ部120のADF121の原稿台に,生徒番号順に重ねられたM×N枚の原稿をセットした後,操作部19にて本機能の開始を選択することによって実行される。
【0031】
まず,図4のフローチャートに示すように,原稿がセットされていることを検知する(S101)。原稿がセットされていなければ,原稿のセットを促すメッセージを表示部18に表示し,原稿がセットされるまで待機する。
【0032】
次に,読み取った原稿の画像データの保存方法を指定する(S102,保存方法選択手段の一例)。具体的にMFP10では,図6に示すような保存方法指定画面を表示部18に表示し,ユーザの入力によって保存方法が指定される。MFP10では,画像データの保存方法として,1部ごとのファイルを作成し,各ファイルを既存フォルダに振り分けて保存する方法(「既存フォルダ保存」)と,1部ごとのファイルを作成し,各ファイル用の新規フォルダを作成し,各ファイルを新規フォルダに振り分けて保存する方法(「新規フォルダ保存」)と,原稿全体として1つのファイルを作成し,指定されたフォルダ下にまとめて保存する方法(「一括保存」)とが選択可能である。
【0033】
次に,保存先のフォルダ(「基準フォルダ」とする)を指定する(S103,指定手段の一例)。具体的には,図7に示すようなフォルダ選択画面を表示部18に表示し,ユーザの入力によって基準フォルダが指定される。なお,基準フォルダを指定するに先立って,保存先のデバイスが選択される。選択可能デバイスとしては,MFP10自身,PC20,USBメモリ40がある。
【0034】
次に,指定された保存方法が「既存フォルダ保存」であるか否かを判断する(S104)。「既存フォルダ保存」である場合には(S104:YES),基準フォルダの直下に存在するフォルダ(「保存フォルダ」とする)の数Nを取得する(S141)。そして,取得したフォルダ数Nを表示し,基準フォルダ内での保存を行うか否かを確認する(S142)。具体的には,図8に示すようなフォルダ確認画面を表示部18に表示し,ユーザに基準フォルダの確認を促す。なお,基準フォルダ下の保存フォルダに変更がある場合(例えば,新しい生徒用の保存フォルダを追加する,あるいは既存の生徒用の保存フォルダを削除する場合)には,フォルダ編集ボタンから保存フォルダの編集を行う。これにより,保存フォルダ群の構成を任意に変更できる。指定した基準フォルダ内での保存を行うことを確認した場合には(S142:YES),S106の処理に移行する。指定した基準フォルダ内での保存を行わない場合には(S142:NO),S103の処理に戻ってフォルダの再指定を行う。
【0035】
S104の処理にて「既存フォルダ保存」でない場合には(S104:NO),S102の処理で指定された保存方法が「新規フォルダ保存」であるか否かを判断する(S105)。「新規フォルダ保存」である場合には(S105:YES),作成されるフォルダ名のルールを指定する(S151)。具体的に,S151の処理では,例えばフォルダ名を連番にする,所定の文字列に連番を付与する等のフォルダ名の付け方のルールが設定される。
【0036】
S142の処理の後,S151の処理の後,あるいはS105の処理にて「新規フォルダ保存」でない場合には(S105:NO),原稿が1枚ずつ連続して読み取られる(S106,読取手段の一例)。読み取られた原稿の画像データはRAM13に記憶される。
【0037】
すべての原稿の読み取りが終了した後,スキャンした回数X(以下,「スキャン数X」とする),すなわち原稿の全枚数Xを取得する(S107)。
【0038】
次に,図5のフローチャートに移行し,保存方法が「既存フォルダ保存」であるか否かを判断する(S108)。保存方法が「既存フォルダ保存」である場合には(S108:YES),読み取った原稿の画像データが既存の保存フォルダに振り分け保存可能か否かを判断する(S181,第1判断手段の一例)。具体的には,スキャン数X/フォルダ数Nで得られるM(1部の枚数に相当)が自然数であるか否かによって判断される。なお,スキャン数XはS107の処理で,フォルダ数NはS141の処理で,それぞれ取得した値である。
【0039】
振り分け保存不可と判断した場合には(S181:NO),原稿の全枚数Xとフォルダ数Nとに差異があることを報知するとともに,保存フォルダの設定を行う(S182,選択手段の一例)。具体的には,図9に示すような非保存フォルダ確認画面を表示部18に表示し,ユーザの入力によって保存の対象としない保存フォルダ(「非保存フォルダ」とする)が選択される。非保存フォルダの設定後は,非保存フォルダ以外の保存フォルダ数N,すなわち保存の対象となっている保存フォルダ数Nを取得し(S183),S181の処理に戻り,振り分け保存可能か否かを再判断する。
【0040】
振り分け保存が不可となるケースとしては,例えば,テストを欠席した生徒がいるケースが考えられる。欠席者が存在する場合,欠席した生徒のテスト答案が無く,原稿枚数が少ない。その場合,非フォルダ確認画面によって欠席した生徒に対応する保存フォルダを選択し,非保存フォルダに設定する。これにより,スキャン数X=M(Mは自然数)×フォルダ数を満たすようになる。
【0041】
振り分け保存可能と判断した場合には(S181:YES),読み取った原稿の画像データについて,1部ごと(すなわちMページごと)のファイルを作成し,各ファイルを既存の保存フォルダに振り分けて保存する(S184,保存手段の一例)。すなわち,各生徒のテスト答案の画像データが作成され,各生徒用の保存フォルダに自動的に保存される。ページ数Mについては,S181の処理での判断の際に取得される。
【0042】
なお,S183の保存処理では,S182の処理によって保存しないフォルダに設定されているフォルダについては画像データを保存しない。これにより,原稿に欠番があったとしても,適切なフォルダへの保存される。
【0043】
一方,保存方法が「既存フォルダ保存」でない場合には(S108:NO),保存方法が「新規フォルダ保存」であるか否かを判断する(S109)。保存方法が「新規フォルダ保存」である場合には(S109:YES),テスト答案の1部の枚数Mあるいは作成するフォルダ数Nのいずれか一方を入力する(S191,入力手段の一例)。具体的には,図10に示すような原稿情報入力画面を表示部18に表示し,ユーザの入力によって1部の枚数Mあるいは作成するフォルダ数Nが入力される。なお,1部の枚数Mとフォルダ数Nとの両方を入力可能にしてもよい。
【0044】
次に,読み取った画像データが入力された枚数Mあるいはフォルダ数Nを基に,振り分け保存可能か否かを判断する(S192,第2判断手段の一例)。具体的には,S181の処理と同様に,次の式(1)を基に判断される。
スキャン数X=1部の枚数M×フォルダ数N (1)
すなわち,式(1)を見たすM,Nが,ともに自然数となるか否かによって判断される。振り分け保存不可と判断した場合には(S192:NO),S191の処理に戻り,枚数Mあるいはフォルダ数Nの再入力を促す。
【0045】
振り分け保存可能と判断した場合には(S192:YES),S191の処理にて入力されたフォルダ数NあるいはS192の処理にて算出されたフォルダ数N分の保存フォルダを基準フォルダ下に作成する(S193,作成手段の一例)。
【0046】
その後,読み取った原稿の画像データについて,1部ごと(すなわちMページごと)のファイルを作成し,各ファイルをS193の処理で作成した保存フォルダに振り分けて保存する(S194,保存手段の一例)。すなわち,各生徒のテストの答案データが各生徒用の保存フォルダに自動的に保存される。1部ごとのページ数Mについては,S191の処理での入力あるいはS192の処理での判断の際に取得される。
【0047】
一方,保存方法が「新規フォルダ保存」でない場合には(S109:NO),保存方法が「一括保存」であると判断できる。そのため,読み取った原稿の画像データについて,原稿全体(すなわちXページ)として1つのファイルを作成し,当該ファイルを基準フォルダの下に保存する(S110)。すなわち,各生徒のテストの答案データが振り分けられずに,基準フォルダに自動的に保存される。
【0048】
S184あるいはS194の振り分け保存処理,あるいはS110の一括保存処理の後,本処理を終了する。これにより,読み取った原稿の画像データが所望のフォルダに保存される。すなわち,OCRを使用しての文字認識や,原稿の背景色,厚み,特定のマーク等の検出を行うことなく,低コストで画像データを管理できる。
【0049】
なお,各フォルダは,生徒番号に対応するフォルダ名になっている必要は必ずしもない。フォルダの名前順,作成順等の順番に,読み取った原稿の画像データを1部ごと(Mページずつ)に順番に振り分け保存してもよい。
【0050】
以上詳細に説明したように本形態の画像管理システム100では,1部がM枚でありN部で構成される原稿(M×N枚)の画像を読み取り,基準フォルダ内の生徒ごとに割り当てられた保存フォルダに,M枚(=1部,実施例では各生徒の答案)ずつに振り分けて保存する。保存フォルダは,既存のフォルダであってもよいし,新規に作成するフォルダであってもよい。すなわち,本画像管理システムでは,各生徒の答案に対応する画像データが各生徒用に割り当てられた保存フォルダにそれぞれ自動的に保存される。このことから,OCR等の装置や高度な処理が必要なく,単純な構成で画像データ(実施例では1クラス分のテスト結果)を管理できる。
【0051】
また,本形態の画像管理システム100では,全スキャン枚数(原稿の全枚数)X,1部の原稿枚数M,保存フォルダ数Nがすべて自然数であり,X=M×Nの関係を満たすか否かによって,振り分け保存の可否を判断している。そして,振り分け保存可能と判断した場合に振り分け保存を実行し,振り分け保存不可と判断した場合には保存フォルダの調節を実行している。これにより,より適切な画像データ管理を実現している。
【0052】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,スキャン機能を有する画像読取装置であればよく,スキャナや複写機であっても適用可能である。
【0053】
また,実施の形態では,全ての原稿をスキャンし,一旦RAM13に記憶した後に画像データの振り分けを行っているが,RAM13の容量が少なく,原稿の全画像データを保存できない場合には,保存先のPCやUSBメモリに作業用のテンポラリフォルダを作成し,一時的に画像データを保存してもよい。
【0054】
また,実施の形態では,保存方法が「既存フォルダ保存」であり,振り分け保存不可と判断された場合に非保存フォルダの設定を行っている(S182)が,非保存フォルダの設定を,スキャン処理(S106)より前に行ってもよい。
【0055】
また,実施の形態では,保存方法が「既存フォルダ保存」であり,振り分け保存不可と判断された場合に保存対象としない非保存フォルダの設定を行っているが,保存対象とする保存フォルダの設定としてもよい。
【0056】
また,実施の形態では,保存方法が「一括保存」の場合,原稿全体として1つのファイルを作成しているが,1部ごとのページ数を入力させ,1部ごとのファイルを作成してもよい。さらには,保存方法が「一括保存」の場合,1部ごとにファイルを作成するか,原稿全体で1つのファイルとするかをユーザが選択できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態にかかる画像管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】画像管理システムを構成するMFPの外観を示す斜視図である。
【図3】実施の形態にかかる画像管理システムの適用例を示す図である。
【図4】MFPの画像データ振り分け保存機能の動作手順(開始からスキャンまで)を示すフローチャートである。
【図5】MFPの画像データ振り分け保存機能の動作手順(スキャン後から終了まで)を示すフローチャートである。
【図6】画像データ振り分け保存機能を実行する際の保存方法指定画面の一例を示す図である。
【図7】画像データ振り分け保存機能を実行する際のフォルダ選択画面の一例を示す図である。
【図8】画像データ振り分け保存機能を実行する際のフォルダ確認画面の一例を示す図である。
【図9】画像データ振り分け保存機能を実行する際の非フォルダ選択画面の一例を示す図である。
【図10】画像データ振り分け保存機能を実行する際の原稿情報入力画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 MFP
18 表示部
19 操作部
20 PC
40 USBメモリ
100 画像管理システム
110 画像形成部
120 スキャナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と,
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データの保存先のフォルダである基準フォルダを指定する指定手段と,
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データを,前記指定手段によって指定された基準フォルダ内の各フォルダである保存フォルダに,所定の枚数ずつ振り分けて保存する保存手段とを備えることを特徴とする画像管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像管理システムにおいて,
前記読取手段によって読み取られた原稿の全枚数と,前記基準フォルダ内に存在する保存フォルダの数とを基に,前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データを各保存フォルダに振り分けて保存できるか否かを判断する第1判断手段を備え,
前記第1判断手段にて保存可能と判断された場合に,前記保存手段は画像データを保存することを特徴とする画像管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載する画像管理システムにおいて,
画像データを保存する保存フォルダを選択する選択手段を備え,
前記保存手段は,前記選択手段によって選択された保存フォルダに画像データを保存することを特徴とする画像管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載する画像管理システムにおいて,
前記第1判断手段にて保存不可と判断された場合に,前記選択手段にて保存先を選択させることを特徴とする画像管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像管理システムにおいて,
保存フォルダの数と原稿の1部の枚数との少なくとも一方を入力する入力手段と,
前記読取手段によって読み取られた原稿の全枚数と,前記入力手段にて得られたデータとを基に,前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データを各保存フォルダに振り分けて保存できるか否かを判断する第2判断手段と,
前記入力手段にて得られたデータを基に保存フォルダの数を決定し,前記基準フォルダ内に,決定した数分の保存フォルダを作成する作成手段とを備え,
前記第2判断手段にて保存可能と判断された場合に,前記作成手段は保存フォルダを作成し,前記保存手段はその保存フォルダ内に画像データを保存することを特徴とする画像管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載する画像管理システムにおいて,
前記第2判断手段にて保存不可と判断された場合に,前記入力手段での再入力を促すことを特徴とする画像管理システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像管理システムにおいて,
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データの保存方法を選択する保存方法選択手段を備え,
前記保存方法選択手段の選択肢には,既存の保存フォルダに保存する方法と,新規に保存フォルダを作成してその保存フォルダに保存する方法とが含まれることを特徴とする画像管理システム。
【請求項8】
原稿を読み取る読取手段と,
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データの保存先のフォルダである基準フォルダを指定する指定手段と,
前記読取手段によって読み取られた原稿の画像データを,前記指定手段によって指定された基準フォルダ内の各フォルダである保存フォルダに,所定の枚数ずつ振り分けて保存する保存手段とを備えることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−284312(P2009−284312A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135455(P2008−135455)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】