説明

画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラム

【課題】2D表示機能、3D表示機能、視野角制御機能の3種の機能の自在な切り替えが可能な画像表示ユニットを提供する。
【解決手段】画素からの画像光を遮蔽するスリット100Sを形成するバリア液晶パネル100に、前記画素の配列間隔に対応してあらかじめ定めた電極幅の1ないし複数の電極を1組とするスキャン側透明電極105、コモン側透明電極104を画素の位置に対応付けて配置し、スキャン側透明電極105、コモン側透明電極104を構成する1ないし複数の電極に印加する電位を、指定された動作モードに応じて適宜制御することにより、スリット100Sのスリット幅、スリットピッチを変更して、画素からの2D表示用の画像光を射出する2D表示機能、画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D表示用の画像光を射出する3D表示機能、および、画素からの画像光の視野角を制御する視野角制御機能の、3つの機能のいずれかに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムに関し、特に、2D(2 Dimension)表示機能と3D(3 Dimension)表示機能と視野角制御機能とを併せ備えた画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョンやパソコン(PC:Personal Computer)や携帯電話等の携帯端末の画像表示ユニット(ディスプレイ)に3D(3 Dimension)の立体視画像を表示するため3D表示技術としては、従来から良く知られているように、視差バリア方式/マイクロレンズ方式/インテグラルイメージング方式などが存在し、一方、画像表示ユニットの視野角を制御する視野角制御技術としては、一般に市販されているようなルーバー(斜光をスリットによりカットする羽板シート)を貼り付けたり、指向性の異なる液晶を重ね合わせたり、表示液晶自体の視角特性に階調調整によるコントラスト低下を加えた方式などが存在している(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−293270号公報(第5−14頁)
【特許文献2】特表2008−545994号公報(第16−24頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3D表示機能を実現する視差バリア方式/マイクロレンズ方式/インテグラルイメージング方式等の従来の技術については、いずれも、2D/3D切り替えを実現するための技術としては確立されているものの、その他の機能をも持ち合わせた方法としては実現されていない。また、表示の用途によっては、2Dの方が使い易い場合や、3Dよりも優先すべき使用環境下が存在する場合もあり、3D表示機能のみではデメリットが表面化し易いことになる。
【0005】
特に、ノートパソコンや携帯電話等の携帯端末の使用環境として、電車の中など人混みの中で利用されるシーンを想定することが必要であるが、かかる場合においては、周囲の他人から、携帯端末の画像表示ユニット(ディスプレイ)上に表示されたメール画面を覗き込まれることも多く、携帯端末を自由に操作することができないことも多い。
【0006】
かくのごとき問題を解決する技術としては、視野角を制御する技術を適用して、前述したように、例えば、画像表示ユニットとして指向性の強い液晶を重ねたり、液晶の階調制御により表示コントラストを低下させたり、ルーバー(一般でも市販されているスリットを内部に形成した羽板シート)を貼り付けたりする方法があるが、いずれも、画像表示ユニットの更なる厚み増や保証外の強度リスクを発生させ兼ねない。また、階調反転し難い広視野角を謳い文句にしているような液晶を適用していた場合には、階調制御によって表示コントラストを低下させたとしても、正面視と斜視との間で視認性を大きく変化させることが困難になることが多い。
【0007】
つまり、前述したような3D表示技術や視野角制御技術を単独で実現するだけでは、次のような課題がある。
【0008】
第1の課題は、2D⇔3Dの表示切替えを行うに当たって追加される技術、構成部材の如何により、画像表示ユニットの透過率低下やユニット厚増加などのデメリットが発生するが、3D表示が全ての表示用途において必須とは限らないことや、使用シーンにより別の効果が優先される場合もあるため、かかるデメリットに対して得られる効果を増加させることがより重要である、ということにある。
【0009】
第2の課題は、広視野角液晶を用いている画像表示ユニットの場合には、元々、視野角が広いため、階調調整によるコントラスト低下を行うことによって、斜視からは見えなくしようとした場合には、正面視の場合においても、視認性が大きく低下してしまい、視野角制御の効果を十分に得られない、ということにある。
【0010】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、2D表示機能、3D表示機能、視野角制御機能の3種の機能を備え、それぞれの機能の自在な切り替えを可能にする画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明による画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)本発明による画像表示ユニットは、画像を表示するための画素を形成する画像表示パネルと、前記画像表示パネルの上側に配置されて前記画像表示パネルの前記画素からの画像光を遮蔽するためのバリアとなるスリットを形成するバリア液晶パネルとを少なくとも備えた画像表示ユニットにおいて、前記スリットを形成する前記バリア液晶パネルは、前記画素の配列間隔に対応してあらかじめ定めた1ないし複数の電極幅にそれぞれ設定された1ないし複数の電極からなる電極群を1組の電極とするスキャン側透明電極およびコモン側透明電極を、前記画素の位置に対応付けて配置した状態で備え、前記スキャン側透明電極および前記コモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の前記電極に印加する電位を、指定された動作モードに応じて適宜制御することにより、前記バリア液晶パネルに形成される前記スリットのスリット幅、スリットピッチを変更して、第1モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を射出する2D表示機能、第2モードとして前記画像表示パネルの前記画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を射出する3D表示機能、および、第3モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの画像光の視野角を制御する視野角制御機能の、3つの機能のいずれかに切り替えることを特徴とする。
【0013】
(2)本発明による画像表示制御方法は、画像を表示するための画素を形成する画像表示パネルと、前記画像表示パネルの上側に配置されて前記画像表示パネルの前記画素からの画像光を遮蔽するためのバリアとなるスリットを形成するバリア液晶パネルとを少なくとも備えた画像表示ユニットにおける画像表示制御方法であって、前記スリットを形成する前記バリア液晶パネルは、前記画素の配列間隔に対応してあらかじめ定めた1ないし複数の電極幅にそれぞれ設定された1ないし複数の電極からなる電極群を1組の電極とするスキャン側透明電極およびコモン側透明電極を、前記画素の位置に対応付けて配置した状態で備え、前記スキャン側透明電極および前記コモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の前記電極に印加する電位を、指定された動作モードに応じて適宜制御することにより、前記バリア液晶パネルに形成される前記スリットのスリット幅、スリットピッチを変更して、第1モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を射出する2D表示機能、第2モードとして前記画像表示パネルの前記画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を射出する3D表示機能、および、第3モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの画像光の視野角を制御する視野角制御機能の、3つの機能のいずれかに切り替えることを特徴とする。
【0014】
(3)本発明による画像表示制御プログラムは、少なくとも前記(2)に記載の画像表示制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0016】
第1の効果は、バリア液晶パネルに形成するスキャン側透明電極、コモン側透明電極の電極構造を1ないし複数の電極を1組とする構造にして、各組の電極群を画像表示パネルに形成した画素の位置と対応付けるように配置し、かつ、動作モードに応じて各組の電極群に対する制御方法を使い分けることによって、2D表示用の第1モード、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードの3種類の動作モードのいずれにも容易に切り替えることができる、ということである。
【0017】
第2の効果は、例えば、視差バリア方式の画像表示ユニットとして適用する場合、2D⇔3D切替えのためにバリア液晶パネルを追加することになり、そのための厚みが増加することになるが、視野角制御機能をさらに追加するに当たっては、それ以上の厚みを増加する必要はなく、かつ、画像表示モジュールとしてあるいは画像表示装置としての強度等の構造的リスクも少なくすることができる、ということである。
【0018】
第3の効果は、例えば、視差バリア方式の画像表示ユニットとして適用する場合、通常の2D表示用の機能に3D表示用機能と視野角制御用機能との機能を追加するに当たって、視差バリアパネルすなわちバリア液晶パネルの生産プロセス自体を、従来技術から大きく変更することなく適用することができる、ということである。
【0019】
第4の効果は、バリア液晶パネルに形成するスリットの形成条件の如何に応じて、2D表示や視野角制御時の正面視においても、3D表示の場合と同等の明るさを実現することができる、ということである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】視差バリア方式の画像表示ユニットにおける3D表示発現原理概略を例示した説明図である。
【図2】視差バリア方式の画像表示ユニットにおける視野角制御機能の実現原理の概略を例示した説明図である。
【図3】視差バリア方式の画像表示ユニットの概略断面構造の一例を示す断面図である。
【図4】図3の視差バリア方式の画像表示ユニットにおけるバリア液晶パネルの概略断面構造の一例を示す断面図である。
【図5】画像表示パネル上側のバリア液晶パネルに形成するスリットのスリットピッチ、スリット幅を変更した場合のスリット間を透過する光束の様子を説明するための説明図である。
【図6】画像表示パネル上側のバリア液晶パネルに形成するスリットの形状と視認角度との関係を簡易的に導出するための説明図である。
【図7】図6にて導出される視認角度とスリットの形状との一般的な関係を説明するための説明図である。
【図8】画像表示パネル上側のバリア液晶パネルに形成するスリットのスリットピッチ、スリット幅を変化させた場合のスリットの形状と視認角度との関係を簡易的に導出するための説明図である。
【図9】画像表示パネル上側のバリア液晶パネルに形成するスリットのスリット幅/スリットピッチを切り替えるためのスキャン側透明電極の電極構造の一例を示す模式図である。
【図10】図6に示したような3D表示用の第2モードにおける画像表示パネル上側のバリア液晶パネル内部の内部状態の一例を示す断面図である。
【図11】図8に示したような視野角制御用の第3モードにおける画像表示パネル上側のバリア液晶パネル内部の内部状態の一例を示す断面図である。
【図12】バリア液晶パネルのバリア液晶層に形成するスリットのスリット幅/スリットピッチを切り替えるためのコモン側透明電極の電極構造の一例を示す模式図である。
【図13】バリア液晶パネルのバリア液晶層に形成するスリットのスリット幅/スリットピッチを切り替えるためのコモン側透明電極の電極構造の図12とは異なる例を示す模式図である。
【図14】バリア液晶パネルのバリア液晶層に形成するスリットのスリット幅/スリットピッチを切り替えるためのコモン側透明電極の電極構造の図12、図13とは異なる例を示す模式図である。
【図15】バリア液晶パネルのバリア液晶層に形成するスキャン側透明電極、コモン側透明電極の電極構造のさらに異なる例を示す模式図である。
【図16】図15に示す電極構造のものを互いに直交配置するようにバリア液晶パネルのバリア液晶層に形成した場合のスキャン側透明電極、コモン側透明電極の電極構造の例を示す模式図である。
【図17】通常2D表示用の第1モードと3D表示用の第2モードと視野角制御用の第3モードとの3つの動作モードを有する画像表示ユニットの動作の一例を本発明の画像表示制御方法の一例として説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明による画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による画像表示ユニットおよび画像表示制御方法について説明するが、かかる画像表示制御方法をコンピュータにより実行可能な画像表示制御プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、画像表示制御プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0022】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、2D表示機能と3D表示機能と視野角制御機能との3つの機能を実現可能な画像表示ユニット、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムを提供するものであって、画素の配列間隔を勘案して電極幅をあらかじめ定めた1ないし複数の電極を1組とした本発明に特有の電極構造を有するスキャン側透明電極およびコモン側透明電極を形成することが可能なバリア液晶パネルを備えて、設定しようとする動作モードに応じて、該電極の制御方法を適宜切り替えることにより、該バリア液晶パネルという1部品のみによって、2D表示機能に加えて3D表示機能と視野角制御機能との2つの機能を合わせて実現するという効果を得ようとするものである。特に、パソコンや携帯電話などの使用環境や必要な表示性能に応じて、瞬時に、通常の2D表示用の第1モード、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードのいずれか適切な動作モードに切り替えることを可能にすることを主要な特徴としている。
【0023】
より具体的には、3D表示を実現するために、左右の眼に視差を持たせた映像を入射できるように光路設計を行うに当たって、視野角を狭める設計も同時に画像表示ユニットに盛り込んでおくことによって、通常状態の2D表示機能から3D表示機能への切り替えのみならず、視野角制御機能への切り替えも可能にすることを主要な特徴としている。つまり、本発明においては、例えば視差バリア方式の画像表示ユニットの場合には、視差バリアパネルを形成するバリア液晶パネルの電極構造とその印加電圧のスイッチング制御方法とにより、視差バリアのスリット幅やスリットピッチなどを変化させて、画像表示パネルの画素から射出される画像光のスリット間を透過する光量/角度を制御し、2D表示機能と3D表示機能と視野角制御機能とを状況に応じて任意に切り替えることを可能にしている。
【0024】
さらに詳細に説明すると、本発明は、画像を表示するための画素を形成する画像表示パネルと、画像表示パネルの上側に配置されて画像表示パネルの画素からの画像光を遮蔽するためのバリアとなるスリットを形成するバリア液晶パネルとを少なくとも備え、かつ、スリットを形成するバリア液晶パネルは、画素の配列間隔に対応してあらかじめ定めた1ないし複数の電極幅にそれぞれ設定された1ないし複数の電極からなる電極群を1組の電極とするスキャン側透明電極およびコモン側透明電極を、前記画素の位置に対応付けて配置した状態で備え、スキャン側透明電極およびコモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の電極に印加する電位を、指定された動作モードに応じて適宜制御することにより、バリア液晶パネルに形成されるスリットのスリット幅、スリットピッチを変更して、第1モードとして画像表示パネルの画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を射出する2D表示機能、第2モードとして画像表示パネルの画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を射出する3D表示機能、および、第3モードとして画像表示パネルの画素からの画像光の視野角を制御する視野角制御機能の、3つの機能のいずれかに切り替えることを主要な特徴としている。
【0025】
ここで、第1モードにおいては、スキャン側透明電極およびコモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の電極を、いずれも、共通電位に固定するか、あるいは、オフ状態に設定することにより、バリア液晶パネルにスリットを形成することなく、画像表示パネルの画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光をバリア液晶パネルから射出させる。また、第2モードにおいては、スキャン側透明電極を構成する複数の電極のうち3D表示用としてあらかじめ定めた電極に対して交流電位を印加し、スキャン側透明電極の残りの電極およびコモン側透明電極を構成する1ないし複数の電極を共通電位に固定することにより、バリア液晶パネルに画素の配列間隔に等しいスリット幅およびスリットピッチからなるスリットを画素の中心と対向する位置に該スリットの側端が配置されるように形成して、画像表示パネルの画素の左目用画素、右目用画素それぞれから射出される3D(3 Dimension)表示用の画像光をバリア液晶パネルからそれぞれの方向に射出させる。また、第3モードにおいては、スキャン側透明電極を構成する複数の電極のうち視野角制御用としてあらかじめ定めた電極に対して交流電位を印加し、スキャン側透明電極の残りの電極およびコモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することにより、バリア液晶パネルに画素の配列間隔よりも狭いスリット幅およびスリットピッチからなるスリットを形成して、画像表示パネルの画素からの画像光の視野角を視野角制御用として指定された範囲に制限して、バリア液晶パネルから射出させる。
【0026】
(実施形態の構成例)
次に、本発明による画像表示ユニットの実施形態についてその一例を説明する。まず、図1には、本発明の画像表示ユニットの一例である視差バリア方式の画像表示ユニットにおける3D表示発現原理概略を例示している。視差バリア方式の画像表示ユニットは、図1に示すように、右目用画素10Rと左目用画素10Lとからなる画像を表示する画像表示パネル10上側に、視差バリアパネルとなるバリア液晶パネル100として、或るピッチ(スリットピッチp)で光を遮断するためのスリット100S(スリット幅wは右目用画素10Rおよび左目用画素10Lの画素の配列間隔に等しい)を形成させたバリア液晶パネルを配置し、右目201および左目202に視差のある画像(右目用画素10Rおよび左目用画素10Lの画像)を入射させて、立体映像すなわち3D画像と錯覚させようとする技術である。
【0027】
次に、本発明による画像表示ユニットの一例として、図1のごとき3D画像を表示する視差バリア方式の画像表示ユニットの構成例を、図3、図4を用いて説明する。ここに、図3は、視差バリア方式の画像表示ユニットの概略断面構造の一例を示す断面図であり、図4は、図3の視差バリア方式の画像表示ユニットにおけるバリア液晶パネル100の概略断面構造の一例を示す断面図である。
【0028】
図3に示すように、視差バリア方式の画像表示ユニットは、画像表示用の画像表示パネル10と視差バリア形成用のバリア液晶パネル100とから構成されており、画像表示パネル10は、画像表示用の右目用画素10Rおよび左目用画素10Lを形成するための表示用液晶層11をガラス、アクリル等のパネル基板12によって挟持する構造からなり、一方、バリア液晶パネル100は、光を遮蔽するためのスリット100Sを形成するためのバリア液晶層101をガラス、アクリル等のパネル基板102によって挟持し、さらに、そのパネル基板102の外側に射出光を偏向させるための偏光板103を配置した構造からなっている。
【0029】
ここで、図3に例示したバリア液晶パネル100のバリア液晶層101は、図4の断面図に示すように、コモン側透明電極104とスキャン側透明電極105との間に介在し、コモン側透明電極104を共通の電位に固定した状態で、スキャン側透明電極105に交流電位を印加して、コモン側透明電極104とスキャン側透明電極105との交差部に電位差を設けることによって、画像表示パネル10の画素から射出される画像光を遮蔽するためのスリット100Sを形成することを可能にしている。
【0030】
ただし、視差バリア用としてバリア液晶パネル100という1つの部品を画像表示パネル10の上側に追加した構造となっているため、画像表示ユニットとしての厚みの増加や光の透過率の減少などのデメリットも発生している状況にあり、3D画像を画像表示するという唯1つの効果を奏するだけでは、かくのごときデメリットを補い切れない。
【0031】
本発明においては、かくのごときデメリットを十分に補って余りある方式として、バリア液晶層101に1組が1ないし複数の電極からなる電極構造を採用するとともに、該電極の制御方法を動作モードに応じて適宜切り替えることにより、3D画像の表示機能のみならず、視野角制御機能も可能にしている。すなわち、前記電極の制御方法を動作モードに応じて適宜切り替えることにすれば、バリア液晶パネル100を形成するスリット100Sのスリット幅/スリットピッチ/スリット厚/表示面−スリット面間距離等を任意に変化させ、画像表示ユニットの液晶表示画面の視野角を変化させることが原理上可能であることを利用して、例えば、通常2D表示機能の第1モードから3D表示機能の第2モードへの切り替え、3D表示機能の第2モードから通常2D表示機能の第1モードへの切り戻し、のみならず、さらには、視野角制御機能の第3モードへの切り替え、視野角制御機能の第3モードから通常2D表示機能の第1モードへの切り戻し、等も可能にし、シーンに応じた3種の機能(動作モード)の使い分けを可能にする、という本発明に特有の効果が得られる。
【0032】
次に、図3や図4にて前述した本発明の一例である視差バリア方式の画像表示ユニットにおいて視野角を制御する視野角制御機能の実現例について、図2を用いて説明する。図2は、視差バリア方式の画像表示ユニットにおける視野角制御機能の実現原理の概略を例示した説明図であり、図1に前述した3D表示の実現例に対して、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成されるスリット100Sのスリットピッチp′、スリット幅w′をそれぞれ1/2(すなわち、p′=p/2、w′=w/2)に変化させている例を示している。すなわち、図2は、図1の場合における3D表示機能の第2モードを実現している状態とは異なり、視野角制御機能の第3モードを実現している一例を示している。
【0033】
なお、図2においては、スリット100Sのスリットピッチp′、スリット幅w′が、図1の3D表示の場合に比して半減する代わりに、スリット開口数密度が倍増している。このため、画像表示パネル10からの光の直線透過率(正面視での明るさ)としては、図1の場合と変化させないこと、および、3D表示時に調整された右目201、左目202への最適入射角度を変化させないことを前提条件として仮設定することにしている。
【0034】
また、スリットピッチp′/スリット幅w′を、図1の3D表示時におけるスリットピッチp/スリット幅wから変化させた際には、同時に、画像表示パネル10の右目用画素10Rおよび左目用画素10Lそれぞれに表示していた画像を、両目用画素10Bとして、右目201、左目202双方に同じ画像、もしくは、表示画面の精細度を有効に利用した通常画像(通常2D画像)となるように変更しなくてはならない。つまり、画像表示パネル10の画素を図1のような3D表示時のまま、すなわち、画像表示パネル10の各画素を右目用画素10Rおよび左目用画素10Lのままにしておくと、右目201、左目202の双方に、右目用画素10Rおよび左目用画素10Lそれぞれが表示する2種類の画像が入射することとなり、2重画像として視認してしまうことになるためである。
【0035】
かくのごとく、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100にスリットピッチp′、スリット幅w′のスリット100Sを形成させた状態で、通常画像(通常2D画像)を表示した場合のユーザの視認性としては、通常の画像表示パネル(表示画面)上にルーバー(羽板シート)を貼り付けた場合の視認イメージと同等であることが容易に想像することができよう。
【0036】
次に、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成するスリット100Sのスリットピッチp′、スリット幅w′を、3D表示用のスリットピッチp、スリット幅w(すなわち、画像表示パネル10の両目用画素10Bの画素配列間隔w)から半減させた場合に、スリット100S間を透過することができる光束の様子を、図5を用いて説明する。図5は、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成するスリット100Sのスリットピッチ、スリット幅を変更した場合のスリット間を透過する光束の様子を説明するための説明図である。
【0037】
図5(A)が、動作モードとして3D表示用の第2モードが指定され、スリット100Sが3D表示用のスリットピッチp、スリット幅wに形成された場合の光束の様子を示し、図5(B)が、動作モードとして視野角制御用の第3モードが指定され、図5(A)の3D表示用のスリットピッチp、スリット幅wを半減させたスリットピッチp′、スリット幅w′に形成された場合の光束の様子を示している。なお、説明を簡素化するために、図5は、図3、図4において説明したような表示用液晶層11やバリア液晶層101を挟持するためのパネル基板12,102や偏光板103、さらには、液晶の屈折率等は無視した簡易図として示している。
【0038】
図5に簡素化して示すように、或る両目用画素10Bから出射した光がスリット100S間を透過することができる光束の角度θ(すなわち、視野角を示す視認角度)は、スリット幅w/スリットピッチp/スリット厚t/画素−スリット距離dによって制約され、バリア液晶パネル100に形成するスリット100Sが、例えば、図5(A)の状態から図5(B)に示すスリット幅w′/スリットピッチp′/スリット厚t/画素−スリット距離dの状態に変化すると、透過することができる光束の角度θ′が変化して、表示用液晶層11からの射出光(画像光)を視認することが可能な視野角に影響を及ぼすことが分かる。
【0039】
次に、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成するスリット100Sのスリットピッチp、スリット幅w、スリット厚t、画素−スリット距離dと、画像表示パネル10からの光束の視認角度θすなわち視野角との関係について、図6および図7を用いて説明する。図6は、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成するスリット100Sの形状と視認角度θとの関係を簡易的に導出するための説明図であり、図7は、図6にて導出される視認角度θとスリット100Sの形状との一般的な関係を説明するための説明図であり、いずれも、視認角度θ(視野角)に関する条件を導出するためのイメージを図示している。
【0040】
なお、図6、図7においては、スリット100Sのスリットピッチpを、スリット幅wの2倍の関係になるように設定している例を示しており、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を透過させるバリア液晶パネル100の開口幅は、画像光を遮蔽するスリット100Sのスリット幅wと同じ大きさに設定している。つまり、スリット100Sのスリット幅wおよびバリア液晶パネル100の開口幅wのいずれも、画像表示パネル10の各画素の配列間隔を示すセルピッチと同じ大きさに設定する場合を想定している。また、各スリット100Sの側端は、画像表示パネル10の各画素の中心から垂直に延長した位置に配置されている場合を示している。
【0041】
図6に示すように、画像表示パネル10の表示面からスリット100Sの下端までの距離を示す画素−スリット距離をd、スリット100Sのスリット幅をw、スリット100Sのスリットピッチをp=2w、スリット厚をtとし、画像表示パネル10からの射出される画像光がバリア液晶パネル100を透過できなくなる境界線が画像表示パネル10の表示面への垂直線となす角度すなわち視認角度(視野角)をθとした場合に、或る画素10aの中心Oから第N番目(N=1,2,3,…)のスリット100Sの側端Pまでの水平距離x(画像表示パネル10の表示面に平行に計測した距離、すなわち、画素10aの中心Oから第N番目のスリット100Sの側端P直下の画像表示パネル10の表示面の位置Uまでの距離)は、次の式で与えられる。
x = (N−1)p = 2(N−1)w
【0042】
一方、図6において、三角形OPSと三角形QPTとの相似関係から、図7に示すように、
2(N-1)w : w = d : t
∴ N = (d+2t)/2t
の関係を導出することができる。(ただし、Nは1以上の整数であるので、小数点以下は切り捨てることになる。)
【0043】
そして、図6に示すような条件で、バリア液晶パネル100を構成した場合、或る画素10aの中心Oと、当該画素10aの中心Oの垂直線上に側端Sが位置するスリット100Sを第1番目として、斜視方向へ向かって第N番目に相当するスリット100Sの側端Pとなす視認角度θ(視野角)は、図6、図7に示すように、
tanθ = 2(N−1)w/d
として与えられる。
【0044】
次に、図5(B)に示したように、図5(A)の3D表示用のスリットピッチp、スリット幅wをスリットピッチp′、スリット幅w′に半減させた場合の画像表示パネル10からの光束の視認角度θ′すなわち視野角との関係について、図8を用いて説明する。図8は、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成するスリット100Sのスリットピッチ、スリット幅を変化させた場合のスリット100Sの形状と視認角度θ′との関係を簡易的に導出するための説明図であり、図6の3D表示用のスリットピッチp、スリット幅wをそれぞれ1/2に半減させてスリットピッチp′(=p/2)、スリット幅w′(=w/2)に変化させた場合を示している。
【0045】
なお、図8においても、スリット100Sのスリットピッチp′を、スリット幅w′の2倍の関係になるように設定している例を示しており、また、画像表示パネル10の画素配列間隔を示すセルピッチは、図6の場合と同じ間隔wになっていることを想定している。また、各スリット100Sと画像表示パネル10の各画素との位置関係は、図6の場合とは異なり、各スリット100Sの中心が、画像表示パネル10の各画素の中心から垂直に延長した位置に形成される場合を示している。
【0046】
図8の場合、図6の場合と同様に、画像表示パネル10の表示面からスリット100Sの下端までの距離を示す画素−スリット距離をd、スリット100Sのスリット幅をw′(=w/2)、スリット100Sのスリットピッチをp′=2w′(=w)、スリット厚をtとし、画像表示パネル10から射出される画像光がバリア液晶パネル100を透過できなくなる境界線が画像表示パネル10の表示面への垂直線となす角度すなわち視認角度(視野角)をθ′とした場合に、或る画素10aの中心Oから第N′番目(N′=1,2,3,…)のスリット100Sの側端P′までの水平距離x′(画像表示パネル10の表示面に平行に計測した距離、すなわち、画素10aの中心Oから第N′番目のスリット100Sの側端P′直下の画像表示パネル10の表示面の位置U′までの距離)は、次の式で与えられる。
x′= (N′−1)p + w′/2
= 2(N′−1)w′ + w′/2
= (4N′−3)w′/2
= (4N′−3)w/4
【0047】
一方、三角形OP′Sと三角形Q′P′T′との相似関係から、
(4N′−3)w′/2 : w′= d : t
∴ N′= (2d+3t)/4t
の関係を導出することができる。(ただし、N′は1以上の整数であるので、小数点以下は切り捨てることになる。)
【0048】
そして、図8に示すような条件で、バリア液晶パネル100を構成した場合、或る画素10aの中心Oと、当該画素10aの中心Oの垂直線上に中心Sが位置するスリット100Sを第1番目として、斜視方向に向かって第N′番目に相当するスリット100Sの側端P′となす視認角度θ′(視野角)は、図8に示すように、
tanθ′= (4N′−3)w′/2d
= (4N′−3)w/4d
として与えられる。
【0049】
ここで、図6、図7に示すような条件で、バリア液晶パネル100を構成した場合の視認角度θ(視野角)と、図8に示すような条件で、バリア液晶パネル100を構成した場合の視認角度θ′(視野角)との関係を求めると、次のような関係になる。
tanθ:tanθ′= 2(N−1)w/d:(4N′−3)w/4d
∴ tanθ/tanθ′= 8(N−1)/(4N′−3)
【0050】
例えば、仮に、d = 0.5mm、t = 0.02mm、w = 0.08mmと設定した場合には、
N = 13
N′= 13
となり、
tanθ = 3.84 ∴ θ ≒ 75°
tanθ′= 1.96 ∴ θ′≒ 63°
になる。つまり、例えば、スリット100Sのスリット幅w′、スリットピッチp′を、スリット幅w、スリットピッチpから半減させると、画像表示パネル10の画素からの画像光を視認することが可能な視野角を、75°から63°に制限することができる。
【0051】
さらに、スリット幅w/スリットピッチpのみならず、スリット厚t、画素−スリット距離dなどを変化させることによっても、視認角度θ(視野角)に変化を与えることができるが、それ以外にも、画像表示に使用する液晶材料や、階調調整によるコントラスト調整、輝度調整などと組み合わせることによって、より効果的に視認角度θ(視野角)を変化させることが可能になる。
【0052】
なお、実際には、画像表示ユニットを構成する部材の屈折率や透過率などのパラメータがさらに入り込むことによって、視認角度θ(視野角)に多少の影響を及ぼすことも生じるが、かかる要因については、本実施形態において当然のことながら想定範囲内の変動要因として扱うことができる。
【0053】
また、かくのごとき視認角度θ(視野角)を任意に制御するという効果を実現するためには、前述のように、例えば、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101に形成したスリット100Sのスリット幅w/スリットピッチpを3D表示時の状態から切り替えることが必要になるが、図6に示したような3D表示用の第2モードから図8に示したような視野角制御用の第3モードへ切り替える方法の一例について、以下に説明する。
【0054】
なお、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101内に配置している、以下に記載する電極とは、図4に説明したスキャン側透明電極105のことであり、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を透過させるために、コモン側透明電極104とともに、透明な電極として形成されている。また、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101は、「ノーマリホワイト」である場合を仮定して、対応する領域にスリット100Sを形成することにより、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を不透過状態に設定する場合について示している。
【0055】
図9は、画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100に形成するスリット100Sのスリット幅w/スリットピッチpを切り替えるためのスキャン側透明電極105の電極構造の一例を示す模式図であり、画像表示ユニットの動作モードに応じて、画像表示ユニットの視野角を制御するために、各電極を制御して、図6に示したスリット幅w/スリットピッチpと図8に示したスリット幅w′/スリットピッチp′とを切り替えることによって、画像表示パネル10の画像表示面からの射出光の視認角度θと視認角度θ′とを切り替える例を示している。
【0056】
図9に示すように、スキャン側透明電極105は、1本の第1電極105−1と、該第1電極105−1の両側に配置する2本の第2電極105−2と、2本の該第2電極105−2それぞれの外側に配置する2本の第3電極105−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群として形成されており、それぞれは、スキャン側透明電極用の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3に接続されている。
【0057】
ここで、第1電極105−1の電極幅は、図6に示した3D表示用のスリット100Sのスリット幅w(画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略半分(≒w/2)であり、2本の第2電極105−2および2本の第3電極105−3それぞれの電極幅は、図6に示した3D表示用のスリット100Sのスリット幅w(画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略1/4(≒w/4)である。なお、スキャン側透明電極105の5本ずつの電極からなる電極群の組と隣の電極群の組との間の電極が存在していない間隙部の開口幅は、図6に示したスリット100Sのスリット幅w(画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略半分(≒w/2)である。電極幅や開口幅をスリット幅w(画素配列間隔w)との関係において「略」と表現している理由は、電極間のショートが起きないように絶縁膜を介して電極パターンを形成することが必要になるためであって、絶縁膜の成膜精度や電極材料などによって、電極幅や開口幅がスリット幅w(画素配列間隔w)とは若干異なるためである。
【0058】
ただし、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101として、スリット幅wが均一な各スリット100Sを形成するための最低限の電極幅は確実に確保することが望ましく、後述の図10、図11に示すように、第1電極105−1は、スリット幅wの半分(=w/2)の領域を略覆うように配置され、第2電極105−2および2本の第3電極105−3は、それぞれ、スリット幅wの1/4(=w/4)の領域を略覆うように配置される。
【0059】
図9において、図6に示したような3D表示時の第2モードに切り替える場合は、動作モードの切り替え指示に応じて3D表示用としてあらかじめ定めた、第1電極駆動回路(S1)107−1と第2電極駆動回路(S2)107−2との双方を駆動して、電極幅が(w/2)の1本の第1電極105−1とその両隣に配置されている電極幅が(w/4)の2本の第2電極105−2とに交流電位を印加することによって、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wに略等しい幅になり、バリア液晶パネル100を該画像光が透過する開口幅も画素配列間隔wに略等しい幅になる状態に切り替えることができる。また、各スリット100Sの側端が画像表示パネル10の各画素の中心の位置に対向するように形成することができる。
【0060】
また、図8に示したような視野角制御時の第3モードに切り替える場合は、動作モードの切り替え指示に応じて視野角制御用としてあらかじめ定めた、第2電極駆動回路(S2)107−2と第3電極駆動回路(S3)107−3との双方を駆動して、電極幅が(w/4)の2本の第2電極105−2とそれぞれの外側に隣接して配置されている電極幅が(w/4)の2本の第3電極105−3とに交流電位を印加することによって、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wの略半分の幅(w/2)になり、バリア液晶パネル100を該画像光が透過する開口幅も画素配列間隔wの略半分の幅(w/2)になる状態に切り替えることができる。また、各スリット100Sの中心が画像表示パネル10の各画素の中心の位置に対向するように形成することができる。
【0061】
以上のように、図6に示したような3D表示用の第2モードと図8に示したような視野角制御用の第3モードとの切り替えを行った場合の、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101内の内部状態を、図10および図11の断面図に示している。図10は、図6に示したような3D表示用の第2モードにおける画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100内部の内部状態の一例を示す断面図であり、図11は、図8に示したような視野角制御用の第3モードにおける画像表示パネル10上側のバリア液晶パネル100内部の内部状態の一例を示す断面図である。なお、図10および図11においては、コモン側透明電極104は、簡素化のために、単一の電極パターンとして形成されている場合を例にとって示している。また、図10、図11には図示していないが、画像表示パネル10の各画素との位置関係については、画像表示パネル10の各画素の中心が、バリア液晶パネル100の第2電極105−2と第3電極105−3との間の境界線の位置に対向する位置に配置されるように調整されている。
【0062】
図6に示したような3D表示用の第2モードの場合には、図9において説明したように、電極幅が(w/2)の1本の第1電極105−1とその両隣に配置されている電極幅が(w/4)の2本の第2電極105−2とに交流電位が印加されて、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を遮蔽するスリット100Sが、図10のバリア液晶層101に黒い領域として示しているように、スリット幅w(=w/4+w/2+w/4)として形成され、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を透過する開口部が、開口幅w(=w/4+w/2+w/4)として形成される。
【0063】
一方、図8に示したような視野角制御用の第3モードの場合には、図9において説明したように、電極幅が(w/4)の2本の第2電極105−2とそれぞれの外側に隣接して配置されている電極幅が(w/4)の2本の第3電極105−3とに交流電位が印加されて、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を遮蔽するスリット100Sが、図11のバリア液晶層101に黒い領域として示しているように、スリット幅w/2(=w/4+w/4)として形成され、画像表示パネル10の各画素から射出される画像光を透過する開口部が、開口幅w/2(=w/2)として形成される。
【0064】
なお、図10、図11においては、コモン側透明電極104を単一の電極パターンとして形成している場合について例示したが、バリア液晶パネル100内のスキャン側透明電極105の各電極群組と対向するコモン側透明電極104としては、図12の模式図に示すように、図9の模式図に示したスキャン側透明電極105の電極パターンと同じ電極パターンを同じ向きに形成するようにすれば、形成すべきスリット100Sのスリット幅wをより正確に制御することができ、好ましい切り替え特性を得ることができる。図12は、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101に形成するスリット100Sのスリット幅w/スリットピッチpを切り替えるためのコモン側透明電極104の電極構造の一例を示す模式図である。
【0065】
つまり、図12に示すように、スキャン側透明電極105の配列方向と同じ方向に形成されるコモン側透明電極104についても、図9のスキャン側透明電極105の場合と同様に、1本の第1電極104−1と、該第1電極104−1の両側に配置する2本の第2電極104−2と、2本の該第2電極104−2それぞれの外側に配置する2本の第3電極104−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群として形成されており、それぞれは、コモン側透明電極用の第1電極駆動回路(C1)106−1、第2電極駆動回路(C2)106−2、第3電極駆動回路(C3)106−3に接続されている。
【0066】
図12において、第1電極104−1の電極幅は、図9のスキャン側透明電極105の場合と同様に、図6に示したスリット100Sのスリット幅w(画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略半分(≒w/2)であり、2本の第2電極104−2および2本の第3電極104−3それぞれの電極幅も、図6に示したスリット100Sのスリット幅w(画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略1/4(≒w/4)である。なお、コモン側透明電極の5本ずつの電極からなる電極群組と隣の電極群組との間の電極が存在していない間隙部の開口幅は、図6に示したスリット100Sのスリット幅w(画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略半分(≒w/2)である。電極幅や開口幅をスリット幅w(画素配列間隔w)との関係において「略」と表現している理由は、図9のスキャン側透明電極105の場合と同様に、電極間のショートが起きないように絶縁膜を介して電極パターンを形成することが必要になるためであって、絶縁膜の成膜精度や電極材料などによって、電極幅や開口幅がスリット幅w(画素配列間隔w)とは若干異なるためである。
【0067】
ただし、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101として、コモン側透明電極104についても、スリット幅wが均一な各スリット100Sを形成するための最低限の電極幅は確実に確保することが望ましく、スキャン側透明電極105の場合と同様に、第1電極104−1は、スリット幅wの半分(=w/2)の領域を略覆うように配置され、第2電極104−2および2本の第3電極104−3は、それぞれ、スリット幅wの1/4(=w/4)の領域を略覆うように配置される。
【0068】
なお、コモン側透明電極104の電極配置については、バリア液晶層101にかかる電界を配慮した上で、図12の構成例よりも、簡易化を図ることも可能である。例えば、1本の第1電極104−1、2本の第2電極104−2、2本の第3電極104−3をベタパターンとして纏めて配置してしまうことも可能である。
【0069】
さらには、図13の模式図に示すように、コモン側透明電極104を単一の電極パターンとし、かつ、スキャン側透明電極105の配列方向とは直交する方向に、互いに交差するように配置するようにしても良い。図13は、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101に形成するスリット100Sのスリット幅w/スリットピッチpを切り替えるためのコモン側透明電極104の電極構造の図12とは異なる例を示す模式図である。
【0070】
図13において、コモン側透明電極104の各電極組は、単一電極104−4の1つの電極(電極幅は例えば(w/2))のみからなり、該単一電極104−4は単一電極駆動回路(C4)106−4に接続されている。ここで、コモン側透明電極104を構成する単一電極104−4は、前述のように、スキャン側透明電極105の配列方向とは直交する方向に配置されている。
【0071】
なお、スキャン側透明電極105が、図9に示したように、1本の第1電極105−1と、該第1電極105−1の両側に配置する2本の第2電極105−2と、2本の該第2電極105−2それぞれの外側に配置する2本の第3電極105−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成され、コモン側透明電極104が、図12に示したように、スキャン側透明電極105と同様に、1本の第1電極104−1と、該第1電極104−1の両側に配置する2本の第2電極104−2と、2本の該第2電極104−2それぞれの外側に配置する2本の第3電極104−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成されている場合には、3D表示用の第2モードに切り替える場合と視野角制御用の第3モードに切り替える場合とは、次のように制御すれば良い。
【0072】
すなわち、3D表示用の第2モードに切り替える場合には、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1と第2電極駆動回路(S2)107−2との双方を駆動して、電極幅が(w/2)の1本の第1電極105−1とその両隣に配置されている電極幅が(w/4)の2本の第2電極105−2とに交流電位を印加する一方、スキャン側の第3電極105−3、コモン側の第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3のいずれも共通電位に固定するように制御すれば、3D表示用に必要なスリット幅wを有するスリット100Sを、それぞれに必要とする位置に、コモン側透明電極104を単一の電極パターンとする場合よりも正確に形成することができる。
【0073】
さらに、視野角制御用の第3モードに切り替える場合には、スキャン側の第2電極駆動回路(S2)107−2と第3電極駆動回路(S3)107−3との双方を駆動して、電極幅が(w/4)の2本の第2電極105−2とそれぞれの外側に隣接して配置されている電極幅が(w/4)の2本の第3電極105−3とに交流電位を印加する一方、スキャン側の第1電極105−1、コモン側の第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3のいずれも共通電位に固定するように制御すれば、視野角制御用に必要なスリット幅(w/2)を有するスリット100Sを、それぞれに必要とする位置により正確に形成することができる。
【0074】
なお、3D表示も視野角制御も行わない通常2D表示用の第1モードに設定する場合であれば、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3およびコモン側の第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3の全電極を、共通電位に固定するように制御しても良いし、もしくは、ノーマリホワイトの場合であれば全電極をOFF状態に設定するようにしても良い。
【0075】
また、図13に示したように、スキャン側透明電極105の配列方向と直交する方向に1組が1個のみの単一電極104−4からなるコモン側透明電極104を配置した構成を適用した場合についても、図12の場合と同様であるが、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードのいずれの場合においても、コモン側の単一電極104−4は、共通電位に固定するように制御すれば良い。
【0076】
さらに、図12のように、コモン側透明電極104として、対向するスキャン側透明電極105と全く同様の電極構造を適用して、1本の第1電極104−1と、該第1電極104−1の両側に配置する2本の第2電極104−2と、2本の該第2電極104−2それぞれの外側に配置する2本の第3電極104−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成する代わりに、コモン側透明電極104の構成を簡素化するために、図14に示すように、スキャン側透明電極105の配列方向と同じ方向に配置した2本の第2電極104−2のみによって構成するようにしても良い。図14は、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101に形成するスリット100Sのスリット幅/スリットピッチを切り替えるためのコモン側透明電極104の電極構造の図12、図13とは異なる例を示す模式図である。
【0077】
つまり、図14に示すコモン側透明電極104の各電極組は、スキャン側透明電極105において、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードのいずれにおいても交流電位を印加する2本の第2電極105−2と対向する同一の位置に形成されるコモン側の2本の第2電極104−2のみによって構成されている。而して、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードのいずれにおいても、コモン側の第2電極104−2を共通電位に固定することによって、電界の周り具合にもよるが、図10や図11と略同様のスリット100Sを、単一の電極パターンの場合よりも正確に形成することが可能になる。
【0078】
また、バリア液晶パネル100の構成例として、3D表示や視野角の縦横切り替えにも対応することができるように、画像表示パネル10からの画像光の縦横の切り替え制御を実現することも可能である。すなわち、図15に示すように、コモン側透明電極104の各電極の組として、図9に示したスキャン側透明電極105の各電極組間の間隙部(つまり、スキャン側の第3電極105−3の外側)と対向する位置に、電極幅が3D表示の際のスリット100Sのスリット幅w(すなわち、画像表示パネル10の画素の配列間隔w)の略半分(w/2)の第1単一電極104−4を配置するように形成し、さらに、同様にして、スキャン側透明電極105の各電極組間の間隙部に第2単一電極104−5を配置するように形成して、この両者を、図16に示すように、互いに直交するように配置するように構成する。而して、3D表示や視野角の縦横切り替えにも容易に対応することができるようになる。
【0079】
図15は、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101に形成するスキャン側透明電極105、コモン側透明電極104の電極構造のさらに異なる例を示す模式図である。また、図16は、図15に示す電極構造のものを互いに直交配置するようにバリア液晶パネル100のバリア液晶層101に形成した場合のスキャン側透明電極105、コモン側透明電極104の電極構造の例を示す模式図である。
【0080】
まず、図15に示すように、スキャン側透明電極105は、図9の場合と同様に、電極幅が(w/2)の1本の第1電極105−1と、該第1電極105−1の両側に配置する2本の電極幅が(w/4)の第2電極105−2と、2本の該第2電極105−2それぞれの外側に配置する2本の電極幅が(w/4)の第3電極105−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成され、第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3のそれぞれは、スキャン側透明電極用の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3に接続される。
【0081】
一方、コモン側透明電極104は、スキャン側透明電極105の電極群の各組の間に形成されている幅が(w/2)の間隙部と対向する位置に、電極幅が(w/2)の第1単一電極104−4を配置することによって構成され、第1単一電極104−4は、コモン側透明電極用の第1単一電極駆動回路(C4)106−4に接続される。
【0082】
次に、3D表示や視野角の縦横切り替えにも対応できるように、図15と全く同様の電極構造のものを、図15のスキャン側透明電極105とコモン側透明電極104の各電極の配列方向と互いに直交する方向に、スキャン側透明電極105として、電極幅が(w/2)の1本の第4電極105−4と、該第4電極105−4の両側に配置する2本の電極幅が(w/4)の第5電極105−5と、2本の該第5電極105−5それぞれの外側に配置する2本の電極幅が(w/4)の第6電極105−6と、の1組5本ずつの電極からなる電極群をさらに追加し、コモン側透明電極104として、追加したスキャン側透明電極105の第4電極105−4、第5電極105−5、第6電極105−6の電極群の各組の間に形成されている幅が(w/2)の間隙部と対向する位置に、電極幅が(w/2)の第2単一電極104−5を追加して配置することによって、図16に示すような電極構造を形成する。
【0083】
ここで、図16に示すように、直交する位置に追加したスキャン側の第4電極105−4、第5電極105−5、第6電極105−6は、それぞれ、追加したスキャン側透明電極用の第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6に接続され、コモン側の第2単一電極104−5は、追加した第2単一電極駆動回路(C5)106−5に接続される。
【0084】
つまり、図16においては、スキャン側透明電極105として、1本の第1電極105−1と、該第1電極105−1の両側に配置する2本の第2電極105−2と、2本の該第2電極105−2それぞれの外側に配置する2本の第3電極105−3と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成されるのみならず、これらの電極群の配列方向と直交する方向に、1本の第4電極105−4と、該第4電極105−4の両側に配置する2本の第5電極105−5と、2本の該第5電極105−5それぞれの外側に配置する2本の第6電極105−6と、の1組5本ずつの電極からなる電極群を配置し、さらに、コモン側透明電極104として、スキャン側透明電極105の各組の間隙部と対向する位置に第1単一電極104−4、第2単一電極104-5を互いに直交するように配置することによって、画像表示パネル10からの画像光の縦横切り替え制御を可能にしている。
【0085】
さらに説明すれば、図16のごとく、互いに直交する位置にスキャン側透明電極105、コモン側透明電極104を形成して、縦横切り替えのON/OFF指示に基づいて指定された配列方向のスキャン側透明電極105、コモン側透明電極104を選択するように制御し、かつ、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードの動作モードの指示に応じて決定されるスキャン側の電極に対して交流電位を印加し、残りの電極を共通電位に固定するように制御することによって、動作モードに応じて、画像表示パネル10の各画素からの画像光の縦横の制御を任意に切り替えることが可能になる。
【0086】
以上に詳細に説明した画像表示ユニットを形成するためのプロセス技術(製造技術)に関しては、当該画像表示ユニットに関する技術を有している当業者にとって良く知られているものをそのまま適用すれば製造することが可能であり、また、本発明とは直接関係しないので、その詳細な製造条件等については、ここでの説明を省略する。
【0087】
(実施形態の動作の説明)
次に、通常状態の2D表示用の第1モードと3D表示用の第2モードと視野角制御用の第3モードとの3つの動作モードを有する画像表示ユニットにおいて動作モードを切り替える際の動作の一例について、図17のフローチャートを用いてさらに説明する。図17は、通常2D表示用の第1モードと3D表示用の第2モードと視野角制御用の第3モードとの3つの動作モードを有する画像表示ユニットの動作の一例を本発明の画像表示制御方法の一例として説明するためのフローチャートである。
【0088】
図17のフローチャートにおいては、通常2D表示用の第1モードに設定している状態を初期状態として、3D表示用の第2モードおよび2D表示時における視野角制御用の第3モードの各状態に遷移させる際の電極(スキャン側透明電極105の各電極、コモン側透明電極104の各電極)への印加電圧の切り替え制御方法の一例を示している。また、縦横切り替え機能の有り/無しによる場合分けを行い、さらに、縦横切り替え機能が有りの場合においては、縦横切り替えON/OFFの指示による場合分けをも示している。
【0089】
なお、実施形態の構成例として前述したように、スキャン側透明電極105を構成するスキャン側電極群、コモン側透明電極104を構成するコモン側電極群については、種々の電極パターンを選択することが可能であるため、図17に示すフローチャートにおいては、実施形態として最大の本数の電極を用いて構成している場合について記載している。
【0090】
つまり、スキャン側透明電極105の各電極群組については、画像表示パネル10からの画像光の縦横切り替え機能を備えている場合には、図16に示したように、第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3、第4電極105−4、第5電極105−5、第6電極105−6から構成されており、それぞれの電極を駆動するための駆動回路として、第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3、第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6を備え、また、縦横切り替え機能を備えていない場合には、図9に示したように、第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3から構成され、それぞれの電極を駆動するための駆動回路として、第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3を備えている場合を示している。
【0091】
一方、コモン側透明電極104の各電極群組については、画像表示パネル10からの画像光の縦横切り替え機能を備えている場合には、図16に示したように、第1単一電極104−4、第2単一電極104−5から構成されており、それぞれの電極を駆動するための駆動回路として、第1単一電極駆動回路(C4)106−4、第2単一電極駆動回路(C5)106−5を備え、また、縦横切り替え機能を備えていない場合には、図12に示したように、第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3から構成され、それぞれの電極を駆動するための駆動回路として、第1電極駆動回路(C1)106−1、第2電極駆動回路(C2)106−2、第3電極駆動回路(C3)106−3を備えている場合を示している。
【0092】
図17のフローチャートにおいて、3D表示も視野角制御も行わない通常状態の2D表示用の第1モードに設定する場合であれば(ステータスST1)、縦横切り替え機能を備えている場合には、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3、第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6およびコモン側の第1単一電極駆動回路(C4)106−4、第2単一電極駆動回路(C5)106−5により、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3、第4電極105−4、第5電極105−5、第6電極105−6およびコモン側の第1単一電極104−4、第2単一電極104−5のいずれも、共通電位に固定するか、あるいは、ノーマリホワイトの場合であれば、スキャン側、コモン側の全電極をOFF状態に設定するように制御する(ステップSt1)。
【0093】
また、2D表示用の第1モードに設定する場合であって、かつ、縦横切り替え機能を備えていなかった場合には、スキャン側の第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6が備えられていないので、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3およびコモン側の第1電極駆動回路(C1)106−1、第2電極駆動回路(C2)106−2、第3電極駆動回路(C3)106−3により、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3およびコモン側の第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3のいずれも、共通電位に固定するか、あるいは、ノーマリホワイトの場合であれば、スキャン側、コモン側の全電極をOFF状態に設定するように制御する(ステップSt1)。
【0094】
また、通常2D表示用の第1モードから3D表示用の第2モードに切り替える場合であれば(ステータスST2)、縦横切り替え機能の有無を確認し、縦横切り替え機能が備えられていなかった場合には(ステップSt2)、スキャン側の第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6が備えられていないので、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2を駆動して、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2に交流電位を印加する一方、スキャン側の第3電極駆動回路(S3)107−3およびコモン側の第1電極駆動回路(C1)106−1、第2電極駆動回路(C2)106−2、第3電極駆動回路(C3)106−3により、スキャン側の第3電極105−3およびコモン側の第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3を、共通電位に固定するように制御する(ステップSt3)。
【0095】
これにより、図1に示したように、バリア液晶パネル100において3D用の画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wと同じ幅に形成され、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101において3D用の画像光を透過する開口幅も画素配列間隔wと同じ幅に形成されて、3D表示用の状態に切り替わる。
【0096】
一方、縦横切り替え機能が備えられていた場合には(ステップSt4)、さらに、縦横切り替え機能のON/OFFの指示を確認し、縦横切り替え機能の指示がOFFであった場合には(ステップSt5)、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2を駆動して、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2に交流電位を印加する一方、スキャン側の第3電極駆動回路(S3)107−3、第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6およびコモン側の第1単一電極駆動回路(C4)106−4、第2単一電極駆動回路(C5)106−5により、スキャン側の第3電極105−3、第4電極105−4、第5電極105−5、第6電極105−6およびコモン側の第1単一電極104−4、第2単一電極104−5を、共通電位に固定するように制御する(ステップSt6)。
【0097】
これにより、例えば画像表示ユニットの横方向に、バリア液晶パネル100において3D用の画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wと同じ幅に形成され、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101において3D用の画像光を透過する開口幅も画素配列間隔wと同じ幅に形成されて、3D表示用の状態に切り替わる。
【0098】
また、縦横切り替え機能の指示がONであった場合には(ステップSt7)、画像表示パネル10からの画像光の縦横の制御を切り替えるために、スキャン側の第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5を駆動して、スキャン側の第4電極105−4、第5電極105−5に交流電位を印加する一方、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3、第6電極駆動回路(S6)107−6およびコモン側の第1単一電極駆動回路(C4)106−4、第2単一電極駆動回路(C5)106−5により、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3、第6電極105−6およびコモン側の第1単一電極104−4、第2単一電極104−5を、共通電位に固定するように制御する(ステップSt8)。
【0099】
これにより、例えば画像表示ユニットの縦方向に、バリア液晶パネル100において3D用の画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wと同じ幅に形成され、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101において3D用の画像光を透過する開口幅も画素配列間隔wと同じ幅に形成されて、3D表示用の状態に切り替わる。
【0100】
また、通常2D表示用の第1モードから視野角制御用の第3モードに切り替える場合であれば(ステータスST3)、3D表示用の第2モードへの切り替えの場合と同様、縦横切り替え機能の有無を確認し、縦横切り替え機能が備えられていなかった場合には(ステップSt9)、スキャン側の第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6が備えられていないので、スキャン側の第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3を駆動して、スキャン側の第2電極105−2、第3電極105−3に交流電位を印加する一方、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1およびコモン側の第1電極駆動回路(C1)106−1、第2電極駆動回路(C2)106−2、第3電極駆動回路(C3)106−3により、スキャン側の第1電極105−1およびコモン側の第1電極104−1、第2電極104−2、第3電極104−3を、共通電位に固定するように制御する(ステップSt10)。
【0101】
これにより、図2に示したように、バリア液晶パネル100において2D用の画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wの半分の幅(w/2)に形成され、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101において2D用の画像光を透過する開口幅も画素配列間隔wの半分の幅(w/2)に形成されて、視野角を第1モードよりも制限した視野角制御用の状態に切り替わる。
【0102】
一方、縦横切り替え機能が備えられていた場合には(ステップSt11)、3D表示用の第2モードへの切り替えの場合と同様、さらに、縦横切り替え機能のON/OFFの指示を確認し、縦横切り替え機能の指示がOFFであった場合には(ステップSt12)、スキャン側の第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3を駆動して、スキャン側の第2電極105−2、第3電極105−3に交流電位を印加する一方、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第4電極駆動回路(S4)107−4、第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6およびコモン側の第1単一電極駆動回路(C4)106−4、第2単一電極駆動回路(C5)106−5により、スキャン側の第1電極105−1、第4電極105−4、第5電極105−5、第6電極105−6およびコモン側の第1単一電極104−4、第2単一電極104−5を、共通電位に固定するように制御する(ステップSt13)。
【0103】
これにより、例えば画像表示ユニットの横方向に、バリア液晶パネル100において2D用の画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wの半分の幅(w/2)に形成され、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101において2D用の画像光を透過する開口幅も画素配列間隔wの半分の幅(w/2)に形成されて、視野角を第1モードよりも制限した視野角制御用の状態に切り替わる。
【0104】
また、縦横切り替え機能の指示がONであった場合には(ステップSt14)、画像表示パネル10からの画像光の縦横の制御を切り替えるために、スキャン側の第5電極駆動回路(S5)107−5、第6電極駆動回路(S6)107−6を駆動して、スキャン側の第5電極105−5、第6電極105−6に交流電位を印加する一方、スキャン側の第1電極駆動回路(S1)107−1、第2電極駆動回路(S2)107−2、第3電極駆動回路(S3)107−3、第4電極駆動回路(S4)107−4およびコモン側の第1単一電極駆動回路(C4)106−4、第2単一電極駆動回路(C5)106−5により、スキャン側の第1電極105−1、第2電極105−2、第3電極105−3、第4電極105−4およびコモン側の第1単一電極104−4、第2単一電極104−5を、共通電位に固定するように制御する(ステップSt15)。
【0105】
これにより、例えば画像表示ユニットの縦方向に、バリア液晶パネル100において2D用の画像光の透過を遮蔽するスリット100Sのスリット幅が画素配列間隔wの半分の幅(w/2)に形成され、バリア液晶パネル100のバリア液晶層101において2D用の画像光を透過する開口幅も画素配列間隔wの半分の幅(w/2)に形成されて、視野角を第1モードよりも制限した視野角制御用の状態に切り替わる。
【0106】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、以下に記載するような効果を得ることができる。
【0107】
第1の効果は、バリア液晶パネル100に形成するスキャン側透明電極105、コモン側透明電極104の電極構造を1ないし複数の電極を1組とする構造にして、各組の電極群を画像表示パネル10の画素の中心の位置と対応付けるように配置し、かつ、動作モードに応じて各組の電極群に対する制御方法を使い分けることによって、2D表示用の第1モード、3D表示用の第2モード、視野角制御用の第3モードの3種類の動作モードのいずれにも容易に切り替えることができる、ということである。
【0108】
第2の効果は、例えば、前述の実施形態において説明したような視差バリア方式の画像表示ユニットとして適用する場合、2D⇔3D切替えのためにバリア液晶パネル100を追加することになり、そのための厚みが増加することになるが、視野角制御機能をさらに追加するに当たっては、それ以上の厚みを増加する必要はなく、かつ、画像表示モジュールとしてあるいは画像表示装置としての強度等の構造的リスクも少なくすることができる、ということである。
【0109】
第3の効果は、例えば、前述の実施形態において説明したような視差バリア方式の画像表示ユニットとして適用する場合、通常の2D表示用の機能に3D表示用機能と視野角制御用機能との機能を追加するに当たって、視差バリアパネルすなわちバリア液晶パネルの生産プロセス自体を、従来技術から大きく変更することなく適用することができる、ということである。
【0110】
第4の効果は、バリア液晶パネル100に形成するスリット100Sの形成条件如何に応じて、2D表示や視野角制御時の正面視においても、3D表示の場合と同等の明るさを実現することができる、ということである。
【0111】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0112】
10 画像表示パネル
10a 画素
10B 両目用画素
10L 左目用画素
10R 右目用画素
11 表示用液晶層
12 パネル基板
100 バリア液晶パネル(視差バリアパネル)
100S スリット
101 バリア液晶層
102 パネル基板
103 偏光板
104 コモン側透明電極
104−1 第1電極(コモン側透明電極)
104−2 第2電極(コモン側透明電極)
104−3 第3電極(コモン側透明電極)
104−4 単一電極(または第1単一電極)(コモン側透明電極)
104−5 第2単一電極(コモン側透明電極)
105 スキャン側透明電極
105−1 第1電極(スキャン側透明電極)
105−2 第2電極(スキャン側透明電極)
105−3 第3電極(スキャン側透明電極)
105−4 第4電極(スキャン側透明電極)
105−5 第5電極(スキャン側透明電極)
105−6 第6電極(スキャン側透明電極)
106−1 第1電極駆動回路(C1)(コモン側透明電極用)
106−2 第2電極駆動回路(C2)(コモン側透明電極用)
106−3 第3電極駆動回路(C3)(コモン側透明電極用)
106−4 単一電極駆動回路(または第1単一電極駆動回路)(C4)
(コモン側透明電極用)
106−5 第2単一電極駆動回路(C5)(コモン側透明電極用)
107−1 第1電極駆動回路(S1)(スキャン側透明電極用)
107−2 第2電極駆動回路(S2)(スキャン側透明電極用)
107−3 第3電極駆動回路(S3)(スキャン側透明電極用)
107−4 第4電極駆動回路(S4)(スキャン側透明電極用)
107−5 第5電極駆動回路(S5)(スキャン側透明電極用)
107−6 第6電極駆動回路(S6)(スキャン側透明電極用)
201 右目
202 左目
d 画素−スリット距離
p スリットピッチ
p′ スリットピッチ
t スリット厚
w スリット幅
w′ スリット幅
θ 光束の角度(視認角度)
θ′ 光束の角度(視認角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための画素を形成する画像表示パネルと、前記画像表示パネルの上側に配置されて前記画像表示パネルの前記画素からの画像光を遮蔽するためのバリアとなるスリットを形成するバリア液晶パネルとを少なくとも備えた画像表示ユニットにおいて、前記スリットを形成する前記バリア液晶パネルは、前記画素の配列間隔に対応してあらかじめ定めた1ないし複数の電極幅にそれぞれ設定された1ないし複数の電極からなる電極群を1組の電極とするスキャン側透明電極およびコモン側透明電極を、前記画素の位置に対応付けて配置した状態で備え、前記スキャン側透明電極および前記コモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の前記電極に印加する電位を、指定された動作モードに応じて適宜制御することにより、前記バリア液晶パネルに形成される前記スリットのスリット幅、スリットピッチを変更して、第1モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を射出する2D表示機能、第2モードとして前記画像表示パネルの前記画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を射出する3D表示機能、および、第3モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの画像光の視野角を制御する視野角制御機能の、3つの機能のいずれかに切り替えることを特徴とする画像表示ユニット。
【請求項2】
前記第1モードにおいては、前記スキャン側透明電極および前記コモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の前記電極を、いずれも、共通電位に固定するか、あるいは、オフ状態に設定することにより、前記バリア液晶パネルに前記スリットを形成することなく、前記画像表示パネルの前記画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を前記バリア液晶パネルから射出させ、また、前記第2モードにおいては、前記スキャン側透明電極を構成する複数の前記電極のうち3D表示用としてあらかじめ定めた電極に対して交流電位を印加し、前記スキャン側透明電極の残りの電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することにより、前記バリア液晶パネルに前記画素の配列間隔に等しいスリット幅およびスリットピッチからなる前記スリットを、前記画素の中心と対向する位置に該スリットの側端が配置されるように形成して、前記画像表示パネルの前記画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を前記バリア液晶パネルからそれぞれの方向に射出させ、また、前記第3モードにおいては、前記スキャン側透明電極を構成する複数の前記電極のうち視野角制御用としてあらかじめ定めた電極に対して交流電位を印加し、前記スキャン側透明電極の残りの電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することにより、前記バリア液晶パネルに前記画素の配列間隔よりも狭いスリット幅およびスリットピッチからなる前記スリットを形成して、前記画像表示パネルの前記画素からの画像光の視野角を視野角制御用として指定された範囲に制限して、前記バリア液晶パネルから射出させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示ユニット。
【請求項3】
前記スキャン側透明電極を、横方向または縦方向のいずれか一方向に形成するか、あるいは、横方向と縦方向との双方に互いに直交するように形成し、前記コモン側透明電極を、前記スキャン側透明電極の配置方向と同じ方向または直交する方向に形成するか、あるいは、横方向と縦方向との双方に互いに直交するように形成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示ユニット。
【請求項4】
前記スキャン側透明電極が、電極幅が前記画素の配列間隔の略半分の1本の第1電極と、該第1電極の両側に配置して電極幅が前記画素の配列間隔の略1/4の2本の第2電極と、2本の該第2電極それぞれの外側に配置して電極幅が前記画素の配列間隔の略1/4の2本の第3電極と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成され、該電極群からなる各組の間に前記画素の配列間隔の略半分ずつの間隙部を設けて配置されており、前記第1モードにおいては、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定するか、あるいは、オフ状態に設定し、前記第2モードにおいては、前記第1電極および前記第2電極に対して交流電位を印加し、前記第3電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定し、また、前記第3モードにおいては、前記第2電極および前記第3電極に対して交流電位を印加し、前記第1電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示ユニット。
【請求項5】
画像を表示するための画素を形成する画像表示パネルと、前記画像表示パネルの上側に配置されて前記画像表示パネルの前記画素からの画像光を遮蔽するためのバリアとなるスリットを形成するバリア液晶パネルとを少なくとも備えた画像表示ユニットにおける画像表示制御方法であって、前記スリットを形成する前記バリア液晶パネルは、前記画素の配列間隔に対応してあらかじめ定めた1ないし複数の電極幅にそれぞれ設定された1ないし複数の電極からなる電極群を1組の電極とするスキャン側透明電極およびコモン側透明電極を、前記画素の位置に対応付けて配置した状態で備え、前記スキャン側透明電極および前記コモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の前記電極に印加する電位を、指定された動作モードに応じて適宜制御することにより、前記バリア液晶パネルに形成される前記スリットのスリット幅、スリットピッチを変更して、第1モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を射出する2D表示機能、第2モードとして前記画像表示パネルの前記画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を射出する3D表示機能、および、第3モードとして前記画像表示パネルの前記画素からの画像光の視野角を制御する視野角制御機能の、3つの機能のいずれかに切り替えることを特徴とする画像表示制御方法。
【請求項6】
前記第1モードにおいては、前記スキャン側透明電極および前記コモン側透明電極それぞれを構成する1ないし複数の前記電極を、いずれも、共通電位に固定するか、あるいは、オフ状態に設定することにより、前記バリア液晶パネルに前記スリットを形成することなく、前記画像表示パネルの前記画素からの2D(2 Dimension)表示用の画像光を前記バリア液晶パネルから射出させ、また、前記第2モードにおいては、前記スキャン側透明電極を構成する複数の前記電極のうち3D表示用としてあらかじめ定めた電極に対して交流電位を印加し、前記スキャン側透明電極の残りの電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することにより、前記バリア液晶パネルに前記画素の配列間隔に等しいスリット幅およびスリットピッチからなる前記スリットを、前記画素の中心と対向する位置に該スリットの側端が配置されるように形成して、前記画像表示パネルの前記画素の左目用画素、右目用画素それぞれからの3D(3 Dimension)表示用の画像光を前記バリア液晶パネルからそれぞれの方向に射出させ、また、前記第3モードにおいては、前記スキャン側透明電極を構成する複数の前記電極のうち視野角制御用としてあらかじめ定めた電極に対して交流電位を印加し、前記スキャン側透明電極の残りの電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することにより、前記バリア液晶パネルに前記画素の配列間隔よりも狭いスリット幅およびスリットピッチからなる前記スリットを形成して、前記画像表示パネルの前記画素からの画像光の視野角を視野角制御用として指定された範囲に制限して、前記バリア液晶パネルから射出させることを特徴とする請求項5に記載の画像表示制御方法。
【請求項7】
前記スキャン側透明電極を、横方向または縦方向のいずれか一方向に形成するか、あるいは、横方向と縦方向との双方に互いに直交するように形成し、前記コモン側透明電極を、前記スキャン側透明電極の配置方向と同じ方向または直交する方向に形成するか、あるいは、横方向と縦方向との双方に互いに直交するように形成することを特徴とする請求項5または6に記載の画像表示制御方法。
【請求項8】
前記スキャン側透明電極が、電極幅が前記画素の配列間隔の略半分の1本の第1電極と、該第1電極の両側に配置して電極幅が前記画素の配列間隔の略1/4の2本の第2電極と、2本の該第2電極それぞれの外側に配置して電極幅が前記画素の配列間隔の略1/4の2本の第3電極と、の1組5本ずつの電極からなる電極群によって構成され、該電極群からなる各組の間に前記画素の配列間隔の略半分ずつの間隙部を設けて配置されており、前記第1モードにおいては、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定するか、あるいは、オフ状態に設定し、前記第2モードにおいては、前記第1電極および前記第2電極に対して交流電位を印加し、前記第3電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定し、また、前記第3モードにおいては、前記第2電極および前記第3電極に対して交流電位を印加し、前記第1電極および前記コモン側透明電極を構成する1ないし複数の前記電極を共通電位に固定することを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の画像表示制御方法。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれかに記載の画像表示制御方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする画像表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−185307(P2012−185307A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48131(P2011−48131)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】