説明

画像表示方法、画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】ポインティング手段による指定位置をユーザに正確に把握させることが可能な、画像表示方法、画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体を提供すること。
【解決手段】表示画面SCに表示されたSEM画像SIのうち、ユーザが指先FGを表示画面SCに接触させて指定した指定位置SPを含む領域ARの画像であって、指定位置SPを示すマーカーMKを含むサブ画像SUを表示画面SCの一部に表示する。ユーザが指先FGを表示画面SCに接触させたまま指示位置SPを移動させると、SEM画像SIのうち移動後の指示位置SPを含む領域ARの画像であって、移動後の指示位置SPを示すマーカーMKを含むサブ画像SUを表示する。ユーザが指先FGを表示画面SCから離す第2の指定を行うと、指定位置SPを確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示方法、画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、SEMによって形成された画像を表示するディスプレイ・モニタにタッチ・スクリーンを備えたSEMシステムが知られている(例えば、特許文献1)。このSEMシステムでは、ユーザは、タッチ・スクリーン・ディスプレイ上の画像の任意の部分に触れて、触れた位置の画像を中央に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−540511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイに表示された画像上の位置をタッチパネル等のポインティング手段を用いて指定する場合、指定オブジェクト(例えば、タッチパネルに触れる指やタッチペン等のタッチオブジェクト)が画像上の指定位置を隠してしまうため、ユーザが指定位置を正確に把握することができないといった問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、ポインティング手段による指定位置をユーザに正確に把握させることが可能な、画像表示方法、画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像表示方法は、
表示部に表示された表示画像上の位置を指定するためのポインティング手段による第1の指定によって指定された指定位置を取得する指定位置取得工程と、
前記表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成して表示するサブ画像表示工程と、
前記ポインティング手段による第2の指定によって前記指定位置を確定する指定位置確定工程とを含み、
前記サブ画像表示工程において、
取得した前記指定位置が変化した場合に、変化後の前記指定位置を含む領域の画像であって、変化後の前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成して表示する。
【0007】
本発明によれば、表示部に表示された表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を表示することで、ポインティング手段による指定位置をユーザに正確に把握させることができる。
【0008】
(2)本発明に係る画像表示方法では、
確定した2つの前記指定位置間の距離を測定するとともに、測定結果を表示する測長表示工程を更に含んでもよい。
【0009】
本発明によれば、ユーザはポインティング手段による指定位置を正確に把握することができるため、2つの指示位置間の距離を正確に測定することができる。
【0010】
(3)本発明に係る画像表示方法では、
前記サブ画像表示工程において、
取得した前記指定位置を含む領域の画像を所定の倍率で拡大してサブ画像を生成してもよい。
【0011】
本発明によれば、ポインティング手段による指定位置をより正確にユーザに把握させることができる。
【0012】
(4)本発明に係る画像表示方法では、
前記サブ画像表示工程において、
生成したサブ画像を、前記表示部の表示領域の一部、又は他の表示部に表示してもよい。
【0013】
本発明によれば、ポインティング手段による指定位置をユーザに正確に把握させることができる。
【0014】
(5)本発明に係る画像表示方法では、
前記ポインティング手段は、前記表示部に設けられたタッチパネルでもよい。
【0015】
本発明によれば、タッチパネルに触れるタッチオブジェクト(例えば、ユーザの指やタッチペン)が、タッチパネル上の位置指定の際に画像上の指定位置を隠してしまう場合であっても、前記サブ画像を表示することで、画像上の指定位置をユーザに正確に把握させることができる。
【0016】
(6)本発明に係る画像表示装置は、
表示部に表示された表示画像上の位置を指定するためのポインティング手段による第1の指定によって指定された指定位置を取得する指定位置取得部と、
前記表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成するサブ画像生成部と、
前記ポインティング手段による第2の指定によって前記指定位置を確定する指定位置確定部とを含み、
前記サブ画像生成部が、
取得した前記指定位置が変化した場合に、変化後の前記指定位置を含む領域の画像であって、変化後の前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成する。
【0017】
また本発明は、上記各部(指定位置取得部、サブ画像生成部、指定位置確定部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムに関する。また本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶した情報記憶媒体に関する。
【0018】
本発明によれば、表示部に表示された表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成することで、ポインティング手段による指定位置をユーザに正確に把握させることができる。
【0019】
(7)本発明に係る画像表示装置では、
確定した2つの前記指定位置間の距離を測定する測長部を更に含んでもよい。
【0020】
また本発明に係るプログラム及び情報記憶媒体では、
確定した2つの前記指定位置間の距離を測定する測長部として更にコンピュータを機能させてもよい。
【0021】
本発明によれば、ユーザはポインティング手段による指定位置を正確に把握することができるため、2つの指示位置間の距離を正確に測定することができる。
【0022】
(8)本発明に係る画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体では、
前記サブ画像生成部が、
取得した前記指定位置を含む領域の画像を所定の倍率で拡大してサブ画像を生成してもよい。
【0023】
本発明によれば、ポインティング手段による指定位置をより正確にユーザに把握させることができる。
【0024】
(9)本発明に係る画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体では、
前記サブ画像生成部によって生成されたサブ画像を、前記表示部の表示領域の一部、又は他の表示部に表示させてもよい。
【0025】
本発明によれば、ポインティング手段による指定位置をユーザに正確に把握させることができる。
【0026】
(10)本発明に係る画像表示装置、プログラム及び情報記憶媒体では、
前記ポインティング手段は、前記表示部に設けられたタッチパネルでもよい。
【0027】
本発明によれば、タッチパネルに触れるタッチオブジェクト(例えば、ユーザの指やタッチペン)が、タッチパネル上の位置指定の際に画像上の指定位置を隠してしまう場合であっても、前記サブ画像を生成することで、画像上の指定位置をユーザに正確に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る画像表示装置を適用した荷電粒子線装置の構成の一例を示す図。
【図2】タッチパネルディスプレイの表示画面を示す図。
【図3】タッチパネルディスプレイの表示画面を示す図。
【図4】本実施形態の処理の一例を示すフローチャート図。
【図5】表示画像の拡大について説明するための図。
【図6】表示画像の拡大について説明するための図。
【図7】表示画像の回転について説明するための図。
【図8】表示画像の回転について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
1.構成
図1に、本実施形態に係る画像表示装置を適用した荷電粒子線装置の構成の一例を示す。ここでは、荷電粒子線装置が、走査型電子顕微鏡(SEM)の構成を有する場合について説明する。なお本実施形態の荷電粒子線装置は図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0031】
図1に示すように、荷電粒子線装置100は、電子銃4と、コンデンサレンズ6と、コンデンサレンズ制御装置7と、走査コイル8と、走査コイル制御装置9と、対物レンズ10と、対物レンズ制御装置11と、ステージ12と、ステージ制御装置13と、検出器14と、増幅器15と、処理部20と、タッチパネル30と、表示部32と、記憶部34と、情報記憶媒体36とを含んでいる。
【0032】
電子銃4は、電子を加速し電子ビームBを発生する。電子銃制御装置5は、電子銃4の加速電圧等を制御する。コンデンサレンズ6は、試料Sに到達する電子ビームBの照射電流量及び開き角を制御するものであり、コンデンサレンズ制御装置7により制御される。走査コイル8は、対物レンズ10によって集束された電子ビームBの試料S上での走査を行うための電磁コイルであり、走査コイル制御装置9により制御される。対物レンズ10は、電子ビームBを試料Sの表面で集束させるためのものであり、対物レンズ制御装置11により制御される。ステージ12は、ステージ制御装置13により制御され、試料Sを水平方向や垂直方向に移動させ、また試料Sを回転、傾斜させる。電子銃4、コンデンサレンズ6、走査コイル8及び対物レンズ10は、荷電粒子線装置の鏡筒2に収容されている。
【0033】
検出器14は、集束された電子ビームBの走査に基づいて試料Sから放出される二次電子や反射電子を検出する。検出器14によって検出された検出信号(二次電子や反射電子の強度信号)は、増幅器15によって増幅された後、処理部20に供給される。
【0034】
タッチパネル30(ポインティング手段の一例)は、表示部32に表示された表示画面上の位置を指定するためのものであり、タッチパネルに対する接触操作(指定操作)によって入力された接触位置の座標値を連続的に検出し、処理部20に出力する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式(4線式、5線式)、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式、赤外線走査方式などがある。タッチパネル30は、表示部32の表示領域に設けられ、表示部32とともにタッチパネルディスプレイを構成する。タッチパネル30への接触操作は、指先を用いて行ってもよいし、タッチペンなどを用いて行ってもよい。
【0035】
表示部32は、処理部20によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部32は、処理部20により生成された、SEM画像(集束された電子ビームBの走査に基づく試料Sの二次電子像或いは反射電子像)や、サブ画像を表示する。
【0036】
記憶部34は、処理部20のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。情報記憶媒体36(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部20は、情報記憶媒体36に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体36には、処理部20の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶することができる。
【0037】
処理部20は、コンデンサレンズ制御装置7、走査コイル制御装置9、対物レンズ制御装置13及びステージ装置13を制御する処理や、増幅器15によって増幅された検出信号を、走査コイル制御装置9に供給される電子ビームBの走査信号と同期された画像データ(SEM画像)とする処理、タッチパネル30からの信号に基づきサブ画像を生成する処理、測長処理、SEM画像を拡大・回転させる処理などの処理を行う。処理部20の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部20は、指定位置取得部22と、サブ画像生成部24と、指定位置確定部26と、測長部28とを含む。
【0038】
指定位置取得部22は、表示部32に表示されたSEM画像に対応してタッチパネル30により検出された接触位置の座標値に基づき、当該SEM画像(表示画像)上の指定位置の座標値を取得する。
【0039】
サブ画像生成部24は、処理部20で生成され表示部32に表示されたSEM画像のうち、指定位置取得部22によって取得された指定位置(タッチパネル30による第1の指定によって指定された指定位置)を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成する。サブ画像生成部24によって生成されたサブ画像は、表示部32の表示領域の一部に表示される。また、生成されたサブ画像を、SEM画像を表示する表示部32とは異なる他の表示部(表示装置)に表示するようにしてもよい。
【0040】
また、サブ画像生成部24は、タッチパネル30上でのタッチオブジェクトの接触移動に伴い、指定位置取得部22によって取得される指定位置が変化した場合に、SEM画像のうち変化後の指定位置を含む領域の画像であって、変化後の指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成する。
【0041】
また、サブ画像生成部24は、指定位置取得部22によって取得された指定位置を含む領域の画像を所定の倍率で拡大して前記サブ画像を生成するようにしてもよい。
【0042】
指定位置確定部26は、タッチパネル30に対するタッチオブジェクトの操作に基づく第2の指定によって、前記指定位置を確定し、確定した前記指定位置の座標値を記憶部34に記憶させる処理を行う。
【0043】
測長部28は、指定位置確定部26によって確定された2つの前記指定位置の座標値と、SEM画像の倍率とに基づき、確定した2つの前記指定位置間の距離を測定する測長処理を行う。2つの前記指定位置間の距離の測定結果は、表示部32に表示される。また測長部28は、3つ以上の前記指定位置の座標値と前記倍率とに基づき、各指定位置を結ぶ線分が構成する多角形の面積を算出してもよい。
【0044】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。
【0045】
図2(A)は、タッチパネルディスプレイ(タッチパネル30を備えた表示部32)の表示画面を示す図である。表示画面SCには、SEM画像SI(表示画像の一例)が表示されている。ここでは、SEM画像SIとして、試料である粒子PTの像が表示されている。ユーザは、指先FG(タッチペン等でもよい)を表示画面SC(タッチパネル30)に接触させる操作を行うことで、SEM画像SI上の任意の位置を指定することができる。
【0046】
図2(A)に示すように、ユーザが指先FGを表示画面SCに接触させて、SEM画像SI上の任意の位置SPを指定すると、SEM画像SIのうち、指定位置SPを含む所定範囲の領域ARの画像であって、指定位置SPを示すためのマーカーMKを含む画像が、サブ画像SUとして表示画面SCの一部に表示される。
【0047】
なお、ここでは、指定位置SPを中心点とする矩形の領域ARを所定範囲として設定しているが、領域ARの形状と大きさ(範囲)は任意である。また、ここでは、マーカーMKの形状を十字線形状として、十字線の交点がその時点での指示位置SP(サブ画像SUにおいて、SEM画像上の指示位置SPに相当する位置)を示すようにしているが、マーカーMKの形状は、指示位置SPを示すものであればどのような形状でもよい。
【0048】
また、サブ画像SUを、SEM画像SIが表示されるウィンドウとは異なるウィンドウに表示してもよいし、SEM画像SIの一部に重畳して表示してもよい。また、サブ画像SUを、SEM画像SIが表示される表示部32とは異なる表示部に表示してもよい。
【0049】
また、図2(A)の例では、指定位置SPを含む領域ARの画像を等倍でサブ画像SUとして表示しているが、図2(B)に示すように、指定位置SPを含む領域ARの画像を所定の倍率で拡大した画像であって、指定位置SPを示すマーカーMKを含む画像を、サブ画像SUとして表示してもよい。また、領域ARの画像を等倍でサブ画像SUとして表示するモードと、領域ARの画像を所定の倍率で拡大してサブ画像SUとして表示するモードを、ユーザが変更できるように構成してもよい。
【0050】
図2(C)に示すように、ユーザが指先FGを表示画面SCに接触させたまま移動させて指示位置SPを移動させると(図2(B)の状態から図2(C)の状態へ移行)、SEM画像SIのうち移動後の指示位置SPを含む領域ARの画像であって、移動後の指示位置SPを示すマーカーMKを含むサブ画像SUが表示される。すなわち、ユーザが指先FGを表示画面に接触させ続ける限り、領域ARの位置は、その形状と大きさが保持された状態で、当該移動後の指示位置SPを内包する位置に再設定され、領域ARの位置の変更に応じてサブ画像SUが更新される。
【0051】
図2(A)〜図2(C)に示すように、ユーザが指先FGやタッチペン等を表示画面SCに接触させてSEM画像SI上の位置を指定する場合、指先FGやタッチペン等のタッチオブジェクトによりSEM画像SI上の指定位置SPが視覚上隠されてしまう。
【0052】
そこで本実施形態では、SEM画像SIのうち指定位置SPを含む領域ARの画像であって、指定位置SPを示すマーカーMKを含むサブ画像SUを生成し、生成したサブ画像SUを、SEM画像SIとは別に表示している。このようにすると、SEM画像SI上でのその時点における指示位置SPを、ユーザに視覚上正確に知らせることができる。すなわち、ユーザは、サブ画像SUを確認しながら、SEM画像SI上で位置を指定することで、SEM画像SI上の所望の位置を正確に指定することができる。さらに、指定位置SPを含む領域ARの画像を拡大してサブ画像SUとして表示することで、SEM画像SI上の指示位置SPをより正確にユーザに把握させることができる。
【0053】
そして、ユーザが、指定位置SPをSEM画像SI上の所望する位置に合わせた後、指先FGを表示画面SCから離す第2の指定を行うと、指示位置SPが確定して、確定した指示位置SPのSEM画像SI上の座標値が記憶部34に記憶される。
【0054】
また、ユーザが、一方の指先FGによって指定位置SPをSEM画像SI上の所望する位置に合わせたまま、他方の指先(タッチペン等でもよい)による第2の指定(例えば、他方の指先を表示画面SC上の任意の位置に接触させ所定時間内に離す操作)を行った場合に、一方の指先FGによる接触位置を指示位置SPとして確定してもよい。このようにすると、ユーザは一方の指先FGを表示画面SCから離さずに指定位置SPを確定することができ、指先FGを表示画面SCから離したことによって指定位置SPが所望する位置からずれてしまうことを防止することができる。
【0055】
また、ユーザは、SEM画像SI上で複数の指定位置SPを確定して、SEM画像SI上で測長することができる。例えば、図3(A)、図3(B)に示すように、一の指定位置SP1の確定後に、SEM画像SI上の別の位置を他の指定位置SP2として確定した場合に、双方の指定位置SP1、SP2の座標値と、SEM画像SIの観察倍率とに基づき、両指定位置SP1、SP2間の距離Lが測定され、測定結果RTが表示画面SCに表示される。ユーザは、SEM画像SI上の所望の位置を正確に指定することができるため正確な測長を行うことができる。ユーザは、例えば、SEM画像SI内の粒子PTの粒径を正確に測定することができる。
【0056】
3.処理
次に、本実施形態の処理の一例について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0057】
まず、処理部20は、SEM画像SIを表示部32(例えば、表示部32に表示される第1のウィンドウ)に表示させる制御を行う(ステップS10)。ここで、表示部32に表示させるSEM画像SIは、増幅器15によって増幅された検出信号に基づきリアルタイムに生成したSEM画像でもよいし、記憶部34に記憶されたSEM画像でもよい。
【0058】
次に、処理部20は、ユーザによってSEM画像SI上の任意の位置SPを指定する第1の指定がなされたか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、タッチパネル30によって接触位置の座標値が検出されたか否かを判断する。第1の指定があったと判断された場合(ステップS12の「Y」)には、指定位置取得部22は、タッチパネル30で検出された座標値に基づき、SEM画像SI上の指定位置SPの座標値を取得する(ステップS14)。
【0059】
次に、サブ画像生成部24は、SEM画像SIから指定位置SPを含む領域ARの画像をトリミングする処理を行い(ステップS16)、トリミングした画像を所定の倍率で拡大する処理を行い(ステップS18)、拡大した画像に対して、指定位置SPに相当する位置にマーカーMKを描画(重畳)する処理を行う(ステップS20)。ステップS16〜ステップS20の処理によって、SEM画像SIのうち指定位置SPを含む領域の画像を拡大した画像であって、指定位置SPを示すマーカーMKを含むサブ画像SUが生成される。
【0060】
次に、処理部20は、生成されたサブ画像SUを表示部32(例えば、表示部32に表示される第2のウィンドウ)に表示させる制御を行う(ステップS22)。
【0061】
次に、処理部20は、ユーザによって第2の指定がなされたか否かを判断する(ステップS24)。例えば、タッチパネル160によって接触位置が検出されなくなったと判断した場合に、第2の指定がなされたと判断する。また、第1の指定により検出された座標値との差が所定値以上である新たな座標値がタッチパネル160によって検出された場合に、第2の指定がなされたと判断してもよい。
【0062】
第2の指定がなされていないと判断した場合(ステップS24の「N」)には、ステップS14に進み、新たに取得した指定位置SPに基づきサブ画像SUを更新するステップS14〜S22の処理を、第2の指定がなされるまで繰り返す。第2の指定がなされたと判断された場合(ステップS24の「Y」)には、指定位置確定部26は、指定位置SPを確定し、確定した指定位置SPの座標値を記憶部34に記憶させる処理を行う(ステップS26)。
【0063】
4.表示画像の拡大、回転等
本実施形態では、ユーザは、指先等を表示画面SCに接触させる操作を行うことで、表示画面SCに表示されたSEM画像SIを拡大或いは回転させる等の操作を行うことができる。
【0064】
例えば、図5(A)に示すように、ユーザが左手の指先FG1と右手の指先FG2をそれぞれ表示画面SCに接触させて、SEM画像SIの任意の位置SP1、SP2を指定した状態で、図5(B)に示すように、指定位置SP1、SP2を互いに離れる方向に移動させた場合に、指定位置SP1、SP2の移動量(例えば、移動前の指定位置SP1、SP2の中点MPからの移動量)に応じて、SEM画像SIを拡大して表示画面SCに表示する。ここで、SEM画像SIの中心点を中心としてSEM画像SIを拡大してもよいし、移動前の指定位置SP1、2の中点MPを中心としてSEM画像SIを拡大してもよい。
【0065】
また、図6(A)に示すように、ユーザが左手の指先FG1と右手の指先FG2をそれぞれ表示画面SCに接触させて、SEM画像SIの任意の位置SP1、SP2を指定し、そのまま指先FG1、FG2を表示画面SCから離した場合に、2つの指定位置SP1、SP2に基づきその位置と大きさが決定される領域AR1(例えば、その外形が指定位置SP1、SP2を通る矩形の領域)を設定し、図6(B)に示すように、SEM画像SIのうち領域AR1の画像を拡大して表示画面SCに表示してもよい。
【0066】
ここで、SEM画像SIの拡大は、走査コイル制御装置9を制御して観察倍率を変更する(すなわち、電子線Bの走査領域を小さくする)ことで実現してもよいし、SEM画像SI自体を拡大する画像処理により実現してもよい。また、SEM画像SIの中心点以外の点を中心としてSEM画像SIを拡大する場合には、走査コイル制御装置9を制御して、視野位置を変更しつつ観察倍率を変更してもよい。
【0067】
また、図7(A)に示すように、ユーザが左手の指先FG1と右手の指先FG2をそれぞれ表示画面SCに接触させて、SEM画像SIの任意の位置SP1、SP2を指定した状態で、図7(B)に示すように、指定位置SP1、SP2を右回り(或いは左回り)に回転移動させた場合には、指定位置SP1又は指定位置SP2の移動量(例えば、移動前の指定位置SP2と移動前の指定位置SP1、SP2の中点MPを結ぶ線分と、移動後の指定位置SP2と中点MPを結ぶ線分とがなす角度θ)に応じて、SEM画像SIを右回り(或いは左回り)に回転させて表示画面SCに表示する。ここで、SEM画像SIの中心点を中心としてSEM画像SIを回転させてもよいし、移動前の指定位置SP1、2の中点MPを中心としてSEM画像SIを回転させてもよい。
【0068】
また、図8(A)に示すように、ユーザが左手の指先FG1と右手の指先FG2をそれぞれ表示画面SCに接触させて、SEM画像SIの任意の位置SP1、SP2を指定した状態で、図8(B)に示すように、一方の指定位置SP1を固定しつつ他方の指定位置SP2を右回り(或いは左回り)に回転移動させた場合に、他方の指定位置SP2の移動量(例えば、指定位置SP1と移動前の指定位置SP2を結ぶ線分と、指定位置SP1と移動後の指定位置SP2を結ぶ線分とがなす角度θ)に応じて、SEM画像SIを右回り(或いは左回り)に回転させて表示画面SCに表示してもよい。ここで、SEM画像SIの中心点を中心としてSEM画像SIを回転させてもよいし、一方の指定位置SP1を中心としてSEM画像SIを回転させてもよい。
【0069】
ここで、SEM画像SIの回転は、走査コイル制御装置9を制御して電子線Bの走査領域を回転すること(スキャンローテーション)で実現してもよいし、ステージ制御装置13を制御してステージ12を回転することで実現してもよいし、SEM画像SI自体を回転させる画像処理により実現してもよい。
【0070】
このように、本実施形態によれば、タッチパネルを用いた直感的な操作で表示画面SCに表示されたSEM画像SIを回転或いは拡大させることができ、操作性を向上することができる。また、ユーザが指先等を表示画面にSCに接触させたまま任意の方向に移動させた場合に、指先等の移動に応じてSEM画像SIを移動させる(例えば、走査コイル制御装置9を制御して電子線Bの走査領域を移動させる、或いは、ステージ制御装置13を制御してステージ12を水平方向に移動させる)ようにしてもよい。また、ユーザが指先等を表示画面SC上の所定の領域に接触させた場合に、表示画面SCに表示されたSEM画像SIを記憶部34に記憶してもよい。このとき、SEM画像撮像時の条件(走査コイル9等の電子光学系やステージ12の条件)とともにSEM画像を記憶し、SEM画像撮像時の条件を再現できるようにしてもよい。また、ユーザが指先等を表示画面SCに接触させた場合に、偏向コイルを制御してイメージシフトをリセットするようにしてもよい。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0072】
2 鏡筒、4 電子銃、5 電子銃制御装置、6 コンデンサレンズ、7 コンデンサレンズ制御装置、8 走査コイル、9 走査コイル制御装置、10 対物レンズ、11 対物レンズ制御装置、12 ステージ、13 ステージ制御装置、14 検出器、15 増幅器、20 処理部、22 指定位置取得部、24 サブ画像生成部、26 指定位置確定部、28 測長部、30 タッチパネル、32 表示部、34 記憶部、36 情報記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示された表示画像上の位置を指定するためのポインティング手段による第1の指定によって指定された指定位置を取得する指定位置取得工程と、
前記表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成して表示するサブ画像表示工程と、
前記ポインティング手段による第2の指定によって前記指定位置を確定する指定位置確定工程とを含み、
前記サブ画像表示工程において、
取得した前記指定位置が変化した場合に、変化後の前記指定位置を含む領域の画像であって、変化後の前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成して表示する、画像表示方法。
【請求項2】
請求項1において、
確定した2つの前記指定位置間の距離を測定するとともに、測定結果を表示する測長表示工程を更に含む、画像表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記サブ画像表示工程において、
取得した前記指定位置を含む領域の画像を所定の倍率で拡大してサブ画像を生成する、画像表示方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記サブ画像表示工程において、
生成したサブ画像を、前記表示部の表示領域の一部、又は他の表示部に表示する、画像表示方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記ポインティング手段は、前記表示部に設けられたタッチパネルである、画像表示方法。
【請求項6】
表示部に表示された表示画像上の位置を指定するためのポインティング手段による第1の指定によって指定された指定位置を取得する指定位置取得部と、
前記表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成するサブ画像生成部と、
前記ポインティング手段による第2の指定によって前記指定位置を確定する指定位置確定部とを含み、
前記サブ画像生成部が、
取得した前記指定位置が変化した場合に、変化後の前記指定位置を含む領域の画像であって、変化後の前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成する、画像表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
確定した2つの前記指定位置間の距離を測定する測長部を更に含む、画像表示装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記サブ画像生成部が、
取得した前記指定位置を含む領域の画像を所定の倍率で拡大してサブ画像を生成する、画像表示装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかにおいて、
前記サブ画像生成部によって生成されたサブ画像を、前記表示部の表示領域の一部、又は他の表示部に表示させる、画像表示装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかにおいて、
前記ポインティング手段は、前記表示部に設けられたタッチパネルである、画像表示装置。
【請求項11】
表示部に表示された表示画像上の位置を指定するためのポインティング手段による第1の指定によって指定された指定位置を取得する指定位置取得部と、
前記表示画像のうち、取得した前記指定位置を含む領域の画像であって、前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成するサブ画像生成部と、
前記ポインティング手段による第2の指定によって前記指定位置を確定する指定位置確定部としてコンピュータを機能させ、
前記サブ画像生成部が、
取得した前記指定位置が変化した場合に、変化後の前記指定位置を含む領域の画像であって、変化後の前記指定位置を示すマーカーを含むサブ画像を生成する、プログラム。
【請求項12】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項11に記載のプログラムを記憶した情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−159699(P2012−159699A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19470(P2011−19470)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】