説明

画像表示装及び画像表示システム

【課題】撮像ユニットの誤作動、故障等の異常が発生した場合でも、良好な画像表示を行うことが可能な画像表示装置及び画像表示システムを提供する。
【解決手段】第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニット120と、第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出部130と、検出部の検出結果に応じて、第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された画像を表示ユニットに表示する表示制御部150とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像装置を有する頭部装着型の画像表示装置及び画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現実世界と仮想世界をリアルタイムにシームレスに融合させる、すなわち現実世界と仮想世界をリアルタイムに違和感なく統合して利用できる技術として複合現実感、いわゆるMR(Mixed Reality)技術が知られている。
【0003】
MR技術の1つに、ビデオシースルーHMD(Head Mounted Display)を利用して、HMD装着者の瞳位置から観察される被写体と略一致する被写体をビデオカメラなどで撮像し、その撮像画像にCG(Computer Graphics)を重畳表示した画像をHMD装着者が観察できる技術が提案されている。
【0004】
図6は,従来のビデオシースルーHMDの構成を示す構成図である。右目用、左目用とで対の構成となるため片方のみ図示している。HMDは,右目用、左目用の小型の液晶ディスプレイなどからなる表示素子201と、それらに表示された右目用、左目用の画像を拡大表示するための自由曲面プリズムなどの表示光学系202、HMD装着者の瞳401の位置から観察される被写体と略一致する被写体を撮像するための撮像素子301と、HMD装着者の瞳401の位置と撮像素子301の位置を略一致させるための撮像光学系302とで構成されている。
【0005】
図7は、ビデオシースルーHMD501を装着したときの外観図、図8は,ビデオシースルーHMD501の簡単なブロック図である。HMD501に表示する画像を撮像する撮像ユニット510R,510L、撮像された画像にCGを重畳表示するなどの画像処理を行う画像処理ユニット540、撮像画像とCGの合成画像を表示する表示ユニット520R,520Lで構成される。
【0006】
撮像ユニット510R,510Lは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子511R,511L、撮像素子511R,511Lから出力されるアナログ信号に対してゲイン調整、CDS(相関2重サンプリング)などを行った後にデジタル信号に変換するAD変換部512R,512L、デジタル信号に対してゲイン制御、色味制御、輝度制御、ガンマ補正などを行うデジタル信号処理部513R,513L、外部に撮像画像信号を出力する撮像画像出力部514R,514Lなどから構成される。
【0007】
画像処理ユニット540は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどで構成される。表示ユニット520R,520Lは、p−SiTFTやLCOSなどの表示素子521R,521L、この表示素子521R,521Lを制御・駆動するための表示駆動部522R,522L、外部から入力される表示画像信号を受信する表示画像入力部523R,523Lなどから構成される。
【0008】
以上の構成のビデオシースルーHMDを装着することで、現実世界と仮想世界とがリアルタイムにシームレスに融合した複合現実世界を体験できる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−133725(段落0026〜0036、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のビデオシースルーHMDでは、ビデオカメラなどから構成される撮像ユニットに誤動作、故障等の異常が発生した場合、異常が発生した撮像ユニットから画像が出力されずに表示ユニットに何も表示されなかったり、画像にノイズ等が発生した状態で表示ユニットに表示されてしまう問題があった。
【0010】
また、撮像ユニットの該異常に対応した警告や表示が行われず、さらには、ビデオシースルーHMDに設けられた複数の撮像ユニットのどの撮像ユニットに異常が発生しているのか、撮像ユニットのどの箇所で故障等が発生しているのかの特定ができないため、該異常に対して円滑に対処することができないままであった。
【0011】
本発明の例示的な目的の1つは、撮像ユニットの誤作動、故障等の異常が発生した場合でも、良好な画像表示を行うことが可能な画像表示装置及び画像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの観点としての画像表示装置は、第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、該第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニットと、第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出部と、この検出部の検出結果に応じて、第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された画像を表示ユニットに表示する表示制御部とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の観点としての画像表示装置は、第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、該第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニットと、第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出部と、画像に対して検出部の検出結果に応じた画像処理を行う画像処理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、該撮像ユニットの状態に応じて一方の撮像ユニットで撮影された画像を表示ユニットに表示している。
【0015】
このため、撮像ユニットに異常は発生した場合でも従来のように表示ユニットに何も表示されない、若しくはノイズ画像が表示されてしまうことがなく、良好な画像表示を行うことが可能となる。
【0016】
また、撮像ユニットに異常が発生した場合に、表示する画像に画像処理を施してから表示ユニットに表示することで、撮像ユニットに異常が発生していることをユーザーに知らせたり、正常動作時の画像表示と同様な画像を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1に係る頭部装着型の画像表示装置(ビデオシースルーHMD)を利用した画像表示システムの構成ブロック図である。
【0019】
ビデオシースルーHMD100は、左右の撮像ユニット110R,110L、左右の表示ユニット120R,120L、画像処理ユニット(画像処理部)140及び左右の画像信号選択部(表示制御部)150R,150L、異常検出ユニット(検出部)130から構成される。
【0020】
撮像ユニット110R,110Lは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子111R,111L、この撮像素子111R,111Lから出力されるアナログ信号に対しゲイン調整、CDS(相関2重サンプリング)などを行った後にデジタル信号に変換するAD変換部112R,112L、デジタル信号に対してゲイン制御、色味制御、輝度制御、ガンマ補正などを行うデジタル信号処理部113R,113L、撮像画像信号をUSBやIEEE1394などの画像フォーマットに変換して外部のコンピュータに出力する撮像画像出力部114R,114Lなどから構成される。
【0021】
表示ユニット120R,120Lは、p−SiTFTやLCOSなどの表示素子121R,121L、この表示素子121R,121Lを制御・駆動するための表示駆動部122R,122L、外部のコンピュータから入力されるDVIなどの画像フォーマットを受信する表示画像入力部123R,123Lなどから構成されている。
【0022】
異常検出ユニット130は、撮像ユニットの異常を検出する異常検出部131と、異常検出部131が異常を検出した場合に異常箇所などに対応付けた異常検出信号133を外部に出力する異常検出信号出力部132などから構成され、異常検出ユニット130は例えばMPUなど構成される。
【0023】
画像処理ユニット140は、ビデオシースルーHMD100の撮像画像出力部114R,114Lからの撮像画像信号にCGの重畳表示などの画像処理を行い、画像処理後の表示画像データを表示画像入力部123R,123Lに出力する。また、異常検出信号出力部132からの異常検出信号133を受信する。画像処理ユニット140は、例えば汎用のパーソナルコンピュータやワークステーションから構成してもよい。
【0024】
次に、本実施例のビデオシースルーHMD100及び画像表示システムの画像表示における処理について図2Aを用いて説明する。
【0025】
まず、各撮像ユニットの撮像素子111R,111Lは、ビデオシースルーHMD100の装着者の瞳位置から観察される画像に概略一致する画像、つまり、左右の瞳位置に対応した基線長分だけ異なる画像をそれぞれ撮影する(S101)。
【0026】
この撮像素子111R,111Lで撮影された物体像はアナログ信号としてそれぞれのAD変換部112R,112Lに入力され、ゲイン調整、CDS(相関2重サンプリング)などの処理が行われた後、デジタル信号に変換される(S102)。
【0027】
次にAD変換部でデジタル信号に変換された撮像信号は、デジタル信号処理部113R,113Lに入力され、ゲイン制御、色味制御、輝度制御、ガンマ補正などが行われて撮影画像データが生成される(S103)。そして、この撮像画像データはそれぞれの画像信号選択部(表示制御部)150R,150Lと、画像処理ユニット140に出力するために撮像画像出力部114R,114Lに出力される。
【0028】
画像信号選択部150RではビデオシースルーHMDの装着者が選択した表示画像モードに応じて(S104)、デジタル信号処理部113R,113Lから出力された撮影画像データを表示ユニット120Rに表示するのか(表示画像モードA)、あるいは画像処理ユニット140で画像処理されて表示画像入力部123Rに出力された撮影画像データを表示ユニット120Rに表示するのか(表示画像モードB)を制御し、いずれか1つの撮影画像データを表示駆動部122Rに出力する(S105)。
【0029】
同様に画像信号選択部150Lでも表示画像モードの選択に応じて、デジタル信号処理部113R,113L及び表示画像入力部123Lから入力された撮影画像データのいずれか1つを表示駆動部122Lに出力する。
【0030】
なお、処理負担を軽減するために、例えば表示画像モードAの場合、つまりデジタル信号処理部113R、113Lから出力される撮影画像データを表示ユニット120R、120Lに表示させる場合は、ステップ103において撮像画像出力部114R,114Lに撮影画像データの出力を行わないようにしたり、表示画像モードBの場合、つまり、画像処理ユニット140で画像処理されて表示画像入力部123R、123Lに出力された撮影画像データを表示ユニット120R、120Lに表示する場合は、ステップ103において画像信号選択部150R、150Lにデジタル信号処理部からの撮影画像データを出力しないように構成することも可能である。
【0031】
ステップ105において、撮像画像出力部114R,114Lは撮影画像データをUSBやIEEE1394などの画像フォーマットに変換し、画像処理ユニット140に出力する。画像処理ユニット140では撮影画像データにCGを重畳表示するなどの処理を行い、画像処理後の撮影画像データはそれぞれの表示画像入力部123R,123Lに出力され、画像信号選択部150R,150Lに入力されることになる。
【0032】
そして、画像信号選択部150R,150Lがそれぞれデジタル信号処理部113R,113Lから入力された撮影画像データを選択する表示画像モードAの場合は、撮像素子111R,111Lにおいて撮影された画像が直接それぞれの表示素子121R,121Lで表示される(S108)。
【0033】
また、画像信号選択部150R,150Lがそれぞれ表示画像入力部123R,123Lから入力された撮影画像データを選択する表示画像モードBの場合、画像処理ユニット140において撮像素子111R,111Lでの撮影画像データに画像処理が行われた画像がそれぞれの表示素子121R,121Lで表示されることになる(S108)。このように、画像信号選択部150R,150Lは2つの画像信号入力のうち1つを選択して出力するセレクタとしての役割を担っている。なお、表示画像モード選択が行われていない場合、それぞれ表示画像入力部123R,123Lから入力された撮影画像データを選択する表示画像モードBが設定される。
【0034】
次に、本実施例の頭部装着型画像表示装置及び画像表示システムにおいて、撮像ユニット110R、110Lのいずれかに異常が発生した際の処理について図2A、図2Bを用いて説明する。なお、図2Bは撮像ユニットン110Lに異常が発生した場合のブロック図である。
【0035】
図2Aにおいて、電源がONされると(S100)、撮像ユニット110R、110Lでの撮影動作とともに(S101)、異常検出ユニット130での撮像ユニット110R、110Lの状態検出処理が開始される(S109)。具体的には、異常検出部131が撮像ユニット110R,110Lにおける電源ラインや撮像素子111R、111Lから出力される撮像信号、水平同期信号、垂直同期信号、画素クロック信号、イネーブル信号などの信号を常に検出している。例えば、異常検出部131がデジタル信号処理部113R,113Lを監視し、撮像素子111R、111Lからの信号入力が所定時間以上無い、若しくは電源ラインの電圧範囲が規格外になるなどの異常を検出する(S110)。このように本実施例では、上記各信号が所定値以上又は所定値以下の場合に撮像ユニット110R、110Lに異常が発生したと検出するとともに、上記各信号の入力が無い場合においても撮像ユニット110R、110Lに異常が発生したとして検出する。
【0036】
異常検出部130が異常を検出した場合は、異常検出信号出力部132から異常検出信号133が画像処理ユニット140に出力され、さらに、表示切替制御信号136が異常検出ユニット130から画像信号選択部150R,150Lに出力される(S111)。図2Bは、異常検出信号出力部132から表示切替制御信号136が出力されていることを示している。なお、この表示切替制御信号136は、異常検出信号出力部132からの異常検出信号133を受信した画像処理ユニット140から出力される構成としてもよい。
【0037】
ここで、異常検出信号133について詳細に説明する。図3は異常検出信号133のデータフォーマットの1例である。異常検出信号133は、異常が検出された撮像ユニット110Rまたは110Lを示す識別ID134、異常が検出された場所を示すLOCATION135から構成される。識別ID134は撮像ユニット110Rで異常を検出した場合は「00」、撮像ユニット110Lで異常を検出した場合は「01」などと割り当てられる。
【0038】
LOCATION135は、電源ラインで異常を検出した場合は「00」,撮像信号において異常が検出された場合は「01」などと割り当てられる。異常検出信号133の画像処理ユニット140への通信はシリアルやI2Cなどのインタフェースが利用できる。
【0039】
この撮像ユニット110R、110Lの識別ID134は、異常検出ユニット130の異常検出部131が撮像ユニット110R、110Lの異常を検出した際に、撮像ユニット110R、110Lの識別信号として検出される。また、撮像ユニット110Rの撮像素子111R、A/D変換部112R及びデジタル信号処理部113Rのどの箇所からの信号に異常が発生しているのかを判別してLOCATION情報として検出される。そして識別信号とLOCATION情報とが異常検出信号出力部132に出力され、異常検出信号出力部132において図3に示すような異常検出信号133が生成・出力される。
【0040】
表示切替制御信号136を受信した画像信号選択部150Rでは,デジタル信号処理部113Rから出力された撮影画像データを表示駆動部122Rに出力するように表示切替動作を行う。同様に表示切替制御信号136を受信した画像信号選択部150Lでは、異常が発生した撮像ユニット110Lのデジタル信号処理部113Lから出力された撮影画像データではなく、デジタル信号処理部113Rから出力された撮影画像データを表示駆動部122Lに出力するように表示切替動作を行う(S106、S107)。
【0041】
また、異常検出信号133を受信した画像処理ユニット140では、異常状態にある撮像ユニットの識別ID134、異常場所を知らせるLOCATION135などから、異常箇所を特定するとともに、警告にためにビープ音を出したり、外部接続したモニタ等に警告文を表示したりする。外部接続したLEDを発光させるなどの異常警告ユニット160により、異常箇所をビデオシースルーHMD装着者または第三者に知らせるように構成することもできる(S112)。
【0042】
このように本実施例では、異常検出ユニット130により撮像ユニット110R、110Lの状態を常に検出し、該状態に応じて撮像ユニット110R、110Lのうち一方の撮像ユニットで撮影された撮影画像データを表示ユニット120R、120Lに表示している。
【0043】
すなわち、異常検出信号133に応じて、撮像ユニット110Rにより撮影された第1の撮影画像データと撮像ユニット110Lにより撮影された第2の撮影画像データのうち一方の撮影画像データを表示ユニット120R、120Lの両表示ユニットに表示する第1のモードと、第1及び第2の撮影画像データをそれぞれ表示ユニット120R、120Lに表示する第2のモードと切り替えている。
【0044】
このため、片方の撮像ユニット110Lに異常が発生した場合でも、即座に撮像素子111Rが撮像した画像が表示素子121R、121Lに表示されるように表示動作が切り替わり、従来のように表示ユニットに何も表示されない、若しくはノイズ画像が表示されてしまうことが回避される。したがって、良好な画像表示を行うことができ、ビデオシースルーHMD装着者は正常な視界を保つことができる。
【0045】
さらに、出力される異常検出信号133には撮像ユニット110R、110Lの識別情報及び異常が発生した箇所のLOCATION情報が含まれているため、異常箇所が特定でき、メンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
【実施例2】
【0046】
図4Aは本発明の実施例2に係る頭部装着型の画像表示装置を利用した画像表示システムの構成ブロック図である。本実施例は、主にこの撮影画像データを画像処理ユニット140に出力して、該撮影画像データにCGを重畳表示したり、3D表示を可能とするような画像処理を行ってから表示ユニット120R、120Lに表示させる画像処理システムである。その他の構成については、実施例1の図1と同様の符号を付して説明を省略する。
【0047】
本実施例の頭部装着型画像表示装置及び画像表示システムの画像表示における処理について図4Bを用いて説明する。
【0048】
まず、まず、各撮像ユニットの撮像素子111R,111Lは、ビデオシースルーHMD装着者の瞳位置から観察される画像に概略一致する画像、つまり、左右の瞳位置に対応した基線長分だけ異なる画像をそれぞれ撮影する(S301)。
【0049】
この撮像素子111R,111Lで撮影された物体像はアナログ信号としてそれぞれのAD変換部112R,112Lに入力され、ゲイン調整、CDS(相関2重サンプリング)などの処理が行われた後、デジタル信号に変換される(S302)。
【0050】
次にAD変換部でデジタル信号に変換された撮像信号は、デジタル信号処理部113R,113Lに入力され、ゲイン制御、色味制御、輝度制御、ガンマ補正などが行われて撮影画像データが生成される(S303)。そして、この撮像画像データは画像処理ユニット140に出力するために撮像画像出力部114R,114Lに出力される。
【0051】
画像処理ユニット140では撮影画像データにCGを重畳表示するなどの画像処理が行われ(S304)、画像処理後の撮影画像データはそれぞれの表示画像入力部123R,123Lに入力される。そして、この撮影画像データは表示駆動部122R,122Lを介して表示素子121R,121Lに出力される。表示素子121R,121Lには画像処理ユニット140で画像処理が行われた画像が表示されることになる。
【0052】
次に、本実施例の頭部装着型画像表示装置及び画像表示システムにおいて、撮像ユニット110R、110Lのいずれかに異常が発生した際の処理について図4Bを用いて説明する。なお、撮像ユニット110Lに異常が発生した場合について説明を行い、撮像ユニット110Rに異常が発生した場合については省略する。
【0053】
図4Bにおいて、電源がONされると(S300)、撮像ユニット110R、110Lでの撮影動作とともに(S301)、異常検出ユニット130での撮像ユニット110R、110Lの状態検出処理が開始される(S309)。上記実施例1と同様に異常検出部131が撮像ユニット110R,110Lにおける電源ラインや撮像素子111R、111Lから出力される撮像信号、水平同期信号、垂直同期信号、画素クロック信号、イネーブル信号などの信号を常に検出している。
【0054】
異常検出部130が異常を検出した場合は(S310)、異常検出信号出力部132から異常検出信号133が画像処理ユニット140に出力される(S311)。異常検出信号133及び異常検出信号133の詳細については図3と同様に構成されている。
【0055】
異常検出信号133を受信した画像処理ユニット140では、異常状態にある撮像ユニットの識別ID134、異常場所を知らせるLOCATION135などから、撮像ユニット110Lに異常が発生しており、かつ異常発生箇所を特定することができる(S305)。
【0056】
ここで、本実施例では正常に動作している撮像ユニット110Rから出力された撮影画像データから、異常が発生した撮像ユニット110Lにより撮影されるべき撮影画像データと略一致する撮影画像データを画像処理ユニット140で生成する。つまり、撮像画像出力部114Rから出力される撮影画像データをビデオシースルーHMD装着者の左右視差に合わせて適宜シフトさせたシフト画像を生成する。
【0057】
そして、撮像ユニット110Rで生成された撮影画像データと、撮像ユニット110Rで生成された撮影画像データに基づいて生成されたシフト画像データとに対してCGを重畳させる処理を行い、画像処理された各々の撮影画像データを各々の表示ユニット120R、120Lに出力して表示させる。
【0058】
さらに、本実施例では異常検出信号133を画像処理ユニット140が受信しているので、この画像処理ユニット140での画像処理の際に、撮影画像データに異常検出信号133の異常箇所に合わせて、警告文、異常発生箇所等の異常検出情報を重畳表示することでビデオシースルーHMD装着者に異常が発生したことを即座に認識させる。
【0059】
また、上記実施例1と同様に、異常発生を知らせる異常警告手段160を設けて表示ユニット120R、120Lへの異常検出情報表示と組み合わせることも可能である。
【0060】
図5は表示ユニット120R、120Lに表示される、撮影画像データに警告文が重畳表示された撮影画像データを示す図であり、異常を検出した撮像ユニットを示すID134が撮像ユニット110L,異常を検出した場所を示すLOCATION135が電源ラインの場合を示している。警告文の表示内容、表示位置、表示方法などは図5に限定されるものではなく、ビデオシースルーHMD装着者が撮像ユニット110R,110Lのいずれかに異常が発生していることを認識できるものであればよい。
【0061】
このように本実施例では、撮像ユニット110Lに異常が発生した場合でも、異常発生前と変わらない3D画像を観察できる。また同時に、撮影画像データに警告文を重畳表示するなどの画像処理を施すことにより、ビデオシースルーHMD装着者に撮像ユニットの異常発生を直ちに認識させることが可能となる。
【0062】
言い換えれば、異常検出信号133に基づいて、撮影画像データに対して異常検出情報を重畳する画像処理を行い、さらには、一方の撮像ユニット110Rで撮影された撮影画像データ(第1の画像)に基づいて、他方の撮像ユニット110Lで撮影されるべき撮影画像データ(第2の画像)に略一致する撮影画像データ(第3の画像)を生成している。
【0063】
したがって、撮影画像データに撮像ユニットでの異常発生を知らせる警告文を重畳表示するので、ビデオシースルーHMD装着者に異常の発生、異常箇所を直ちに認識させることができると同時に、正常動作している撮像ユニットで撮像した画像から視差画像を生成することで、異常発生前と変わらない3D画像を提供することが可能となり、撮像ユニットで撮像した画像にCGを重畳表示することなども異常発生前と変わらずに行うことができる。
【0064】
また、上記実施例1と同様に、正常に動作している撮像ユニット110Rから出力される撮影画像データにCGを重畳表示するなどの画像処理を行い、かつ、その画像処理が行われた撮影画像データを表示画像入力部123R,123Lに出力する。つまり、異常が発生した撮像ユニット110Lから出力された撮影画像データに対しては画像処理を行わずに、正常に動作している撮像ユニット110Rからの撮影画像データを両表示ユニット120R、120Lに出力するように構成するとともに、撮影画像データに警告文を重畳表示するなどの画像処理を施すように構成することも可能である。
【0065】
なお、本実施例では画像処理ユニット140が異常検出信号133に応じて、撮像ユニット110R、110Lの両撮像ユニットで撮影された画像を各々の表示ユニット120R、120Lに表示するモードと、正常に動作している撮像ユニットから出力された撮影画像データ及び異常が発生した撮像ユニットにより撮影されるべき撮影画像データと略一致する撮影画像データを表示ユニット120R、120Lのそれぞれに表示するモードと切り替えを行っている。
【0066】
以上、実施例1、2の画像表示システムにおいて、画像処理ユニット140をビデオシースルーHMD100、102とは別に設けているが、ビデオシースルーHMD100、102と画像処理ユニット140を一体的に設けることも可能である。
【0067】
また、実施例1では異常警告手段160を設けて撮像ユニット110R、110Lの異常を警告しているが、実施例2と同様に異常が発生した場合、表示ユニット120R、120Lに異常検出情報を表示させるように画像処理を施すことも可能である。
【0068】
さらに、表示ユニット120R、120Lの一部の表示領域に予め異常検出情報を表示させる表示素子を設けて、撮像ユニット110R、110Lに異常が発生した際に出力される異常検出信号133に基づいて、撮影画像データに該異常検出情報を重畳させずに表示するように構成することもできる。なお、表示ユニット120R、120Lを1つの表示ユニットをして設け、表示ユニット内の表示領域を撮像ユニット110Rに対応した第1の表示領域と、撮像ユニット110Lに対応した第2の表示領域として各々の撮影画像データを表示するように構成することもできる。
【0069】
その他、実施例1、2において、画像信号選択部150R,150Lによる表示動作の切り替えを表示切替制御信号136を出力することによって行っているが、例えば、画像信号選択部150R,150Lと異常検出ユニット130が同一のFPGAで構成し、撮像異常検出部131での異常検出と画像信号選択部150R,150Lの表示切替制御とを自動制御する回路構成とすることもできる。
【0070】
また、異常検出信号133は、異常が検出された撮像ユニットを示すID134と、異常が検出された場所を示すLOCATION135から構成される例を示したが、インタフェースやビデオシースルーHMDの構成に合わせて、適宜最適なフォーマットに構成することが望ましい、例えば、ID134として撮像ユニットを構成する撮像素子111R,111L、AD変換部112R,112L、デジタル信号処理部113R,113L、撮像画像出力部114R,114Lを割り当てることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1における頭部装着型の画像表示装置を適用した画像表示システムの構成ブロック図。
【図2A】本発明の実施例1における頭部装着型の画像表示装置を適用した画像表示システムの動作フローチャート図。
【図2B】本発明の実施例1における撮像ユニットに異常が発生した場合の処理遷移を示すブロック図。
【図3】本発明の実施例1における異常検出信号を示す図。
【図4A】本発明の実施例2における頭部装着型の画像表示装置を適用した画像表示システムの構成ブロック図。
【図4B】本発明の実施例2における頭部装着型の画像表示装置を適用した画像表示システムの動作フローチャート図。
【図5】本発明の実施例2における頭部装着型の画像表示装置に表示される画像に異常検出情報が重畳表示された画像を示す図。
【図6】従来の頭部装着型の画像表示装置の構成を示す図。
【図7】従来の頭部装着型の画像表示装置を装着したときの外観図。
【図8】従来の頭部装着型の画像表示装置の構成ブロック図。
【符号の説明】
【0072】
100 ビデオシースルーHMD(頭部装着型画像表示装置)
110R、110L 撮像ユニット
120R、120L 表示ユニット
130 異常検出ユニット(検出部)
140 画像処理ユニット
150R、150L 画像信号選択部(表示制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された前記画像を前記表示ユニットに表示する表示制御部とを有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記検出部の検出結果に応じて、前記第1の撮像ユニットにより撮影された第1の画像及び前記第2の撮像ユニットにより撮影された第2の画像の一方の画像を前記表示ユニットに表示する第1のモードと、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記表示ユニットに表示する第2のモードとを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出部と、
前記画像に対して前記検出部の検出結果に応じた画像処理を行う画像処理部とを有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された第1の画像に基づいて、前記第1の画像とは異なる画像を生成することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された第1の画像及び他方の撮像ユニットで撮影された第2の画像を前記表示ユニットに表示する第1のモードと、前記第1の画像及び前記第2の画像のうち一方の画像と前記異なる画像とを前記表示ユニットに表示する第2のモードとを切り替えることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記異なる画像は、前記第1の画像とは異なる他方の前記撮像ユニットで撮影される第2の画像と略一致する第3の画像であることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記撮像ユニットの前記状態に応じて状態検出信号を出力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記撮像ユニットの前記状態に基づいて前記検出部から出力される状態検出信号に応じた状態検出情報を前記画像に重畳させる処理を行うことを特徴とする請求項3から6のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記第1及び第2の撮像ユニットから出力される撮像信号を含む出力信号に基づいて、前記撮像ユニットの状態を検出することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記第1及び第2の撮像ユニットの識別情報を検出することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された前記画像を前記表示ユニットに表示する表示制御手段とを有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項12】
前記表示制御手段は、前記検出手段の検出結果に応じて、前記第1の撮像ユニットにより撮影された第1の画像及び前記第2の撮像ユニットにより撮影された第2の画像の一方の画像を前記表示ユニットに表示する第1のモードと、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記表示ユニットに表示する第2のモードとを切り替えることを特徴とする請求項11に記載の画像表示システム。
【請求項13】
第1の撮像ユニット及び第2の撮像ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットにより撮影された画像を表示する表示ユニットと、
前記第1及び第2の撮像ユニットの状態を検出する検出手段と、
前記画像に対して前記検出手段の検出結果に応じた画像処理を行う画像処理手段とを有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項14】
前記画像処理手段は、前記検出手段の検出結果に応じて、前記第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された第1の画像に基づいて、前記第1の画像とは異なる画像を生成することを特徴とする請求項13に記載の画像表示システム。
【請求項15】
前記画像処理手段は、前記第1及び第2の撮像ユニットのうち一方の撮像ユニットで撮影された第1の画像及び他方の撮像ユニットで撮影された第2の画像を前記表示ユニットに表示する第1のモードと、前記第1の画像及び前記第2の画像のうち一方の画像と前記異なる画像とを前記表示ユニットに表示する第2のモードとを切り替えることを特徴とする請求項14に記載の画像表示システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−174316(P2006−174316A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367041(P2004−367041)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】