説明

画像表示装置、方法、及びプログラム

【課題】画像の表示サイズが一定でない場合における表示切り替え操作性を向上させることが可能な画像表示装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像表示装置1内の表示部30は、ディスプレイ10に一の画像を表示する。制御部40は、ディスプレイ10の表示面上に配置したタッチパネル20上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した閾値距離を超えた場合、表示部30に対して他の画像をディスプレイ10に表示するよう指示する。また、制御部40は、前記表示サイズが一定サイズに満たない場合、前記距離閾値を固定値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、方法、及びプログラムに関し、特にユーザによるタッチパネル操作に応じた画像表示を行う装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを搭載する画像表示装置が広く普及しつつある。このような画像表示装置においては、ディスプレイへの画像表示に際して、タッチパネルに対するドラッグ操作(ユーザが指やスタイラス等を、タッチパネルを押下したまま移動させる操作)と連動した種々の制御が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1〜3には、ディスプレイに全体を表示しきれない画像の一部を切り出して表示すると共に、当該画像の切出範囲をドラッグ操作に追従して移動(スクロール)させる画像表示装置が記載されている。また、特許文献4には、このスクロール動作をドラッグ操作の終了後も惰性的に継続し、以てユーザの操作負荷を軽減する画像表示装置が記載されている。
【0004】
一方、特許文献5には、ドラッグ長(ドラッグ操作によるタッチパネル上の押下位置の移動距離)が所定の閾値距離を超える場合に、表示する画像を切り替える画像表示装置が記載されている。
【特許文献1】特開平6−149531号公報
【特許文献2】特開2005−44036号公報
【特許文献3】特開2005−234199号公報
【特許文献4】特開平10−161628号公報
【特許文献5】特開2000−221879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献5に記載される画像表示装置には、画像の表示サイズ(ディスプレイの表示面上で画像が占める領域の大きさ)が一定でない場合に、表示切り替えがドラッグ操作に伴わないという課題があった。より具体的には、ユーザは、画像を切り替えたい場合、一般に、表示された画像を触ってドラッグ操作を行う傾向がある。このため、ユーザは、表示サイズの大きい画像に対してディスプレイの端点付近からドラッグ長の大きいドラッグ操作を行う一方、表示サイズの小さい画像に対してはディスプレイの中央付近からドラッグ長の小さいドラッグ操作を行う。従って、画像の表示サイズが小さい場合には、ドラッグ長が上記の閾値距離を超えず、画像の切り替えが行われない虞がある。
【0006】
特に、近年の画像表示装置においては、種々の表示サイズを有する画像が扱われるため、上記の課題が顕著に生じることとなる。
【0007】
従って、本発明は、画像の表示サイズが一定でない場合における表示切り替え操作性を向上させることが可能な画像表示装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る画像表示装置は、ディスプレイと、前記ディスプレイの表示面上に配置したタッチパネルと、前記ディスプレイに一の画像を表示する表示部と、前記タッチパネル上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した距離閾値を超えた場合、前記表示部に対して他の画像を前記ディスプレイに表示するよう指示する制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る画像表示方法は、ディスプレイに一の画像を表示し、前記ディスプレイの表示面上に配置されたタッチパネル上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した距離閾値を超えた場合、他の画像を前記ディスプレイに表示する。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係る画像表示プログラムは、ディスプレイ及びその表示面上に配置されたタッチパネルを備えた端末装置に、前記ディスプレイに一の画像を表示する処理と、前記タッチパネル上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した距離閾値を超えた場合、他の画像を前記ディスプレイに表示する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ドラッグ操作による表示切り替えの閾値距離が、画像の表示サイズに応じて動的に変更される。このため、画像の表示サイズが一定でない場合であっても、ユーザに対して優れた表示切り替え操作性を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像表示装置の実施の形態1及び2を、図1〜図6を参照して説明する。なお、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
[実施の形態1]
図1に示す本実施の形態に係る画像表示装置1は、ディスプレイ10と、このディスプレイ10の表示面上に配置したタッチパネル20と、表示部30と、制御部40と、メモリMEMとを備えている。
【0014】
表示部30は、制御部40からの表示制御指示INSに従って、メモリMEMに記憶された画像データDTをディスプレイ10に表示する。また、制御部40は、タッチパネル20で検出された、ユーザ(図示せず)によるタッチパネル20上の押下位置に関する情報(以下、押下位置情報と呼称する)INF1と、メモリMEMに記憶された画像データDTに関する情報(以下、画像情報と呼称する)INF2とに基づき、表示部30を制御する。
【0015】
ここで、押下位置情報INF1には、ユーザによるドラッグ操作のドラッグ方向及びドラッグ長が含まれていても良いし、或いはユーザによるタッチパネル20の押下位置の座標情報のみが含まれていても良い。後者の場合、制御部40は、当該座標情報からドラッグ方向及びドラッグ長を自律的に算出する。また、画像情報INF2には、例えば、画像データDTに付加されたヘッダ中のサイズ情報(縦方向及び横方向各々の画素数等)を用いることができる。さらに、メモリMEMには、内蔵型メモリ又は着脱式メモリのいずれを用いても良い。
【0016】
動作においては、図2に示すように、制御部40は、上記の押下位置情報INF1に基づきユーザによるドラッグ操作OPを検出する(ステップS1)と、上記の画像情報INF2に基づきディスプレイ10に表示中の画像の表示サイズDSを算出する(ステップS2)と共に、ドラッグ長の閾値距離THを表示サイズDSに応じて設定する(ステップS3)。ここで、閾値距離THは、後述する如く、ディスプレイ10への表示対象とする画像を他の画像に切り替えるか否かの判定に際して使用される。
【0017】
より具体的には、図3(a)に示す如く画像P1がディスプレイ表示面10s全体に表示されており、且つユーザによる左方向へのドラッグ操作OPが検出された場合を例に取ると、まず制御部40は、画像情報INF2に基づき、画像P1の表示サイズDSとして、ディスプレイ表示面10sにおける表示幅DSw="W(ディスプレイ表示面10sの幅)"を算出する。そして、制御部40は、閾値距離THを、例えば表示幅DSwの50%("0.5W")に設定する。
【0018】
この後、制御部40は、ドラッグ操作OPを監視し、そのドラッグ長が閾値距離THを超過しているか否かを判定する(ステップS4)。この結果、ドラッグ長が閾値距離THを超えていなければ、制御部40は、表示部30に対して、画像P1のスクロール処理の実行を指示する表示制御指示INSを与える(ステップS5)。
【0019】
この時、制御部40は、表示部30に対し、スクロール処理に必要となるドラッグ操作OPのドラッグ方向及びドラッグ長に加えて、ディスプレイ10に次に表示すべき画像P2を指示する。ここで、制御部40は、画像P2をドラック方向に応じて決定する。例えば、制御部40は、ユーザにより左方向のドラック操作が行われた場合に、メモリMEM中に記憶された複数の画像の内でその作成日時が画像P1の次に新しい画像を選択する一方、ユーザにより右方向のドラック操作が行われた場合には、画像P1の次に作成日時が古い画像を選択する。
【0020】
表示部30は、図3(b)に示す如く、画像P1の表示位置をドラッグ操作OPに追従して移動させると共に、画像P2の一部をディスプレイ表示面10sに表示する。この場合、ユーザは、画像P2が閲覧したい画像であるか否かを、画像表示装置1による表示切り替えに先立って判断できる(すなわち、画像P2が所望の画像でない場合、ユーザは、不要なドラッグ操作の継続を回避することができる)。
【0021】
一方、上記のステップS4にて、ドラッグ長が閾値距離THを超過したと判定した場合、制御部40は、表示部30に対して、画像P1から画像P2への表示切り替え処理の実行を指示する表示制御指示INSを与える(ステップS6)。表示部30は、図3(c)に示す如く、画像P1に代えて、画像P2をディスプレイ表示面10sに表示する。
【0022】
また、図4(a)に示す如く、図3(a)に示した画像P1より表示幅DSwの狭い画像P3(例えば、DSw="0.6W")がディスプレイ表示面10sに表示されている場合を例に取ると、制御部40は、閾値距離THを表示幅DSwの50%("0.3W(ディスプレイ表示幅Wの30%")に設定する。この場合、図4(c)に示す如く、図3(c)と比較してより小さなドラッグ長で、画像P3から画像P2への表示切り替えが行われることとなる。また、図4(b)に示す如く、ドラッグ長が閾値距離THを超過するまでの間は、図3(b)と同様のスクロール処理が行われる。
【0023】
このように、画像表示装置1は、画像の表示切り替えを上述したユーザのドラック操作傾向に則して適切に行うことができ、以て画像の表示サイズが一定でない場合における表示切り替え操作性を、従来の画像表示装置と比較して大幅に向上させることができる。
【0024】
[実施の形態2]
本実施の形態に係る画像表示装置は、図1に示した画像表示装置1と同様の構成とすることができる。但し、制御部40の動作が、上記の実施の形態1とは異なる。より具体的には、図5に示すように、制御部40は、図2に示したステップS1〜S6の処理に加えて、ステップS7及びS8に示す処理を実行する。
【0025】
すなわち、制御部40は、上記の実施の形態1と同様にして表示サイズDSに応じて閾値距離THを設定した後、上記の実施の形態1とは異なり、表示サイズDSが一定サイズ以上であるか否かをさらに判定する(ステップS7)。この結果、表示サイズDSが一定サイズ以上であると判定した場合、制御部40は、上記の実施の形態1と同様に動作する。
【0026】
一方、表示サイズDSが一定サイズに満たないと判定した場合、制御部40は、閾値距離THを固定値FVに再設定する(ステップS8)。ここで、閾値距離THを固定値FVに設定する理由は、閾値距離THを無条件に小さな値に設定すると、タッチパネル20への僅かな接触がドラッグ操作として検出された場合に、ユーザの意志に反して画像の表示切り替えが行われてしまう虞があるためである。これを回避するため、表示サイズDSが一定サイズに満たない場合、制御部40は、閾値距離THを誤動作が生じない程度の最小閾値に設定する。
【0027】
より具体的には、図6(a)に示す如く、ディスプレイ表示幅Wより非常に表示幅DSwの狭い画像P4(例えば、DSw="0.3W")がディスプレイ表示面10sに表示されている場合を例に取ると、制御部40は、表示幅DWsに関わらず、閾値距離THを固定値FV(例えば"0.2W(ディスプレイ表示幅Wの20%)")に再設定する。
【0028】
これにより、図6(c)に示す如く、ドラッグ長が固定値FVを超えるドラッグ操作OPが行われて初めて画像P4から画像P2への表示切り替えが行われることとなり、以てユーザの意志に反した表示切り替えを防止することができる。なお、図6(b)に示す如く、ドラッグ長が固定値FVを超過するまでの間は、図2(b)及び図3(b)と同様のスクロール処理が行われる。
【0029】
なお、上記の実施の形態によって本発明は限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。例えば、上記の実施の形態で示した表示部30及び制御部40の各処理を、タッチパネルを備えた携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、パーソナルコンピュータ、及びナビゲーション装置等の端末装置に実行させるためのプログラムとして提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る画像表示装置の実施の形態1及び2に共通の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明に係る画像表示装置の実施の形態1の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図3】本発明に係る画像表示装置の実施の形態1における画像のスクロール処理及び表示切り替え処理の一の例を示した図である。
【図4】本発明に係る画像表示装置の実施の形態1における画像のスクロール処理及び表示切り替え処理の他の例を示した図である。
【図5】本発明に係る画像表示装置の実施の形態2の全体動作例を示したフローチャート図である。
【図6】本発明に係る画像表示装置の実施の形態2における画像のスクロール処理及び表示切り替え処理の一の例を示した図である。
【符号の説明】
【0031】
1 画像表示装置
10 ディスプレイ
10s ディスプレイ表示面
20 タッチパネル
30 表示部
40 制御部
MEM メモリ
DT 画像データ
INF1 押下位置情報
INF2 画像情報
INS 表示制御指示
OP ドラッグ操作
P1〜P4 画像
DS 表示サイズ
DSw 表示幅
W ディスプレイ表示幅
TH 閾値距離
FV 固定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイの表示面上に配置したタッチパネルと、
前記ディスプレイに一の画像を表示する表示部と、
前記タッチパネル上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した距離閾値を超えた場合、前記表示部に対して他の画像を前記ディスプレイに表示するよう指示する制御部と、
を備えた画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部が、前記表示サイズが一定サイズに満たない場合、前記距離閾値を固定値に設定することを特徴とした画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御部が、前記押下位置の移動方向に応じて、前記指示の対象とする画像を決定することを特徴とした画像表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、
前記制御部が、前記移動距離が前記閾値距離以下である場合、前記表示部に対して、前記一の画像の表示位置を前記押下位置の移動に追従して移動するよう指示することを特徴とした画像表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部が、前記表示部に対して、前記表示位置の移動に際し、前記他の画像の一部を前記ディスプレイに表示するよう指示することを特徴とした画像表示装置。
【請求項6】
ディスプレイに一の画像を表示し、
前記ディスプレイの表示面上に配置されたタッチパネル上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した距離閾値を超えた場合、他の画像を前記ディスプレイに表示する、
画像表示方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記表示サイズが一定サイズに満たない場合、前記距離閾値を固定値に設定することを特徴とした画像表示方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記押下位置の移動方向に応じて、表示対象とする画像を決定することを特徴とした画像表示方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項において、
前記移動距離が前記閾値距離以下である場合、前記一の画像の表示位置を前記押下位置の移動に追従して移動することを特徴とした画像表示方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記表示位置の移動に際して、前記他の画像の一部を前記ディスプレイに表示することを特徴とした画像表示方法。
【請求項11】
ディスプレイ及びその表示面上に配置されたタッチパネルを備えた端末装置に、
前記ディスプレイに一の画像を表示する処理と、
前記タッチパネル上のユーザによる押下位置の移動距離が、前記一の画像の表示サイズに応じて設定した距離閾値を超えた場合、他の画像を前記ディスプレイに表示する処理と、
を実行させるための画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−113459(P2010−113459A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284338(P2008−284338)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】